JP2004018707A - ポリアクリロニトリル系多孔膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】透水性が優れ十分な強度を有し、かつアルデヒド化合物との反応性が良好なアミノ基を含有する重合体が強固に結合したポリアクリロニトリル系多孔膜を提供すること。
【解決手段】アミノ基を含有する重合体を0.1〜10重量%含有させたポリアクリロニトリル系多孔膜。
【選択図】 なし
【解決手段】アミノ基を含有する重合体を0.1〜10重量%含有させたポリアクリロニトリル系多孔膜。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミノ基を含有する重合体を含有したポリアクリロニトリル系多孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアクリロニトリル系多孔膜は血液浄化用膜、限外ろ過膜などに多用されている。このポリアクリロニトリル系多孔膜については、有害物質の除去または、蛋白質の非特異的吸着の抑制などを目的として、種々の化学的改質が検討されてきた。これらの化学的改質の中で、アミノ基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜への改質に関しては、例えば特開昭58−139703号公報に開示されている。該公報には、N,N−ジメチルホルムアミドおよびホルムアミドの混合溶媒に溶解したアクリロニトリル系重合体に、モノアミノ基含有化合物及び/又はアルカリを添加し製膜するか、さらに該膜をプラズマ処理することによって、該膜の親水性を増加させることが記載されている。
また、特開昭58−137405号公報には、アクリロニトリル系共重合体をN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒に溶解し製膜した後、モノアミノ基含有化合物で含浸処理し、さらにプラズマ加工する方法が開示されている。
更に、特許第3099342号公報には、アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜において、多孔膜の表面層の重合体主鎖に一級アミノ基が化学的に導入された多孔膜が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭58−139703号公報、および特開昭58−137405号公報で開示されたモノアミノ基含有化合物の処理はポリアクリロニトリル系多孔膜の親水性向上を目的とした処理であり、かつアミノ基を分子内に1官能基のみ含有するアミノ基含有化合物(モノアミノ基含有化合物と称する)を用いており、多孔膜への処理の際にアミノ基含有化合物が脱落するか架橋するかによってポリアクリロニトリル系多孔膜上に官能基としてのアミノ基を含有させることは困難である。
特許第3099342号公報では、多孔膜の表面層の重合体主鎖に一級アミノ基が化学的に導入されることが開示されている。すなわち、アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜へアクリロニトリルのニトリル部を化学的に変性して一級アミノ基を導入する方法が採用され、具体的にはアクリロニトリル系重合体からなる多孔膜をアルカリ類で加水分解した後、次亜ハロゲン酸塩で処理することによって一級アミノ基が化学的に導入されている。
【0004】
この方法はポリアクリロニトリル系重合体の非多孔膜への一級アミノ基の導入方法としては優れているが、この方法をポリアクリロニトリル系重合体の多孔膜に応用した場合、加水分解することによって、ポリアクリロニトリル系多孔膜が膨潤状態となり、多孔膜の基本的性質である透水性が低下してしまうという重大な問題がある。また、ポリアクリロニトリル系多孔膜自体を加水分解するため該膜の強度低下は不可避であり、この点も大きな問題である。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決しようとするものであり、透水性が優れ強度が十分であり、かつアミノ基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、アミノ基を含有する重合体を0.1〜10重量%含有させたポリアクリロニトリル系多孔膜が特に有効であることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)アミノ基を含有する重合体を0.1〜10重量%含有させたポリアクリロニトリル系多孔膜。
(2)前記重合体がビニルアミン単位を少なくとも20モル%含有するビニルアミン重合体であることを特徴とする前記(1)に記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
(3)前記ポリアクリロニトリル系多孔膜が、酸性基を0.01〜2.5モル/Kg含有していることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
(4)前記ポリアクリロニトリル系多孔膜が、アミノ基を0.02〜2.5モル/Kg含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
(5)前記ポリアクリロニトリル系多孔膜における酸性基に対するアミノ基の結合率が、20〜100モル%であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
(6)前記ビニルアミン重合体が、分子量1000〜200,000である水溶性ビニルアミン重合体であることを特徴とする前記(2)〜(5)のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
【0006】
以下、本発明の詳細について記述する。
本発明に用いられるアミノ基を含有する重合体とは、アミノ基を分子内に2官能基以上有する重合体のことであり、キトサン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリリジン、ポリビニルアミン、ポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(完全に加水分解した場合はポリビニルアミンとなる)などを1種または2種以上組み合わせて用いることが出来る。好ましくはポリビニルアミンまたはポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物を用いることである。ポリビニルアミンまたはポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物は、ビニルアミン単位を少なくとも10モル%有していることが好ましく、より好ましくは含有量として50モル%以上である。ビニルアミン単位の含有量が10モル%未満では、ポリビニルアミンまたはポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物を大量にポリアクリロニトリル系多孔膜に含有させても十分な一級アミノ基量を付与することは出来ない。
【0007】
ポリビニルアミンは、一般にポリN−ビニルホルムアミドを酸、例えば塩酸、硫酸、燐酸等により加水分解した加水分解物またはその塩酸塩などの塩として容易に入手することができる。またポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物に含まれるビニルアミン単位の割合は、ポリN−ビニルホルムアミドの加水分解度を調節することにより広範囲にわたって調整することができる。なお、ポリN−ビニルホルムアミドをポリアクリロニトリル系多孔膜に含有させた後、水溶液中で上記酸によりpHを2〜3に保ってポリN−ビニルホルムアミドを加水分解し、ポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物とすることもできる。
この場合もポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物中のビニルアミン単位は10モル%以上とすることが望ましい。
【0008】
アミノ基を含有する重合体のアミノ基は酸により中和されていても、未中和であっても良い。
アミノ基を含有する重合体の含有量は、ポリアクリロニトリル系多孔膜に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.15〜5.0重量%である。アミノ基を含有する重合体の含有量が0.1重量%未満ではポリアクリロニトリル系多孔膜中へのアミノ基の含有量が少なく、アミノ基の効果を期待できない。一方、10重量%を越えるとアミノ基を含有する重合体がポリアクリロニトリル系多孔膜から脱離しやすくなってしまう。
【0009】
アミノ基を含有する重合体の分子量は1,000〜200,000が好ましく、より好ましくは10,000〜100,000である。該重合体の分子量が1,000未満ではポリアクリロニトリル系多孔膜を構成する分子鎖に対する該重合体を構成する分子鎖1本当たりの結合の割合が低下し、該重合体が脱落やすくなる。また分子量が200,000を超えるときは、ポリアクリロニトリル系多孔膜の内部表面、すなわち多孔膜の細孔表面を含む表面層全体への重合体の均一な分布が困難になる。
また、アミノ基を含有する重合体は水溶性であることが好ましい。水不溶性のアミノ基を含有する重合体を用いると、ポリアクリロニトリル系多孔膜の内部表面への拡散が乏しいため、ポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基との結合率が低なり、アミノ基を含有する重合体が脱落し易くなる。
【0010】
ポリアクリロニトリル系多孔膜は、例えば、40重量%以上のアクリロニトリルと、60重量%以下のアクリロニトリルと共重合可能な単量体との共重合することにより得ることができる。アクリロニトリルと共重合可能な単量体としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、イタコン酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩等のビニル単量体が用いられる。これらの単量体は、1種または2種以上を共重合させることができる。特に好ましいポリアクリロニトリル系多孔膜は、80重量%以上のアクリロニトリルと、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、メタリルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩等のビニル単量体の1種または2種以上を共重合させて得られるポリアクリロニトリル系重合体を得て、更に製膜しポリアクリロニトリル系多孔膜にすることである。
【0011】
また、ポリアクリロニトリル系多孔膜には、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基を有していることが好ましい。これはポリアクリロニトリル系多孔膜中の酸性基がアミノ基を含有する重合体のアミノ基と結合してアミノ基を含有する重合体をポリアクリロニトリル系多孔膜に強固に固定させることができるためである。酸性基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜は、カルボキシル基またはスルホン酸基などの酸性基を有する単量体を共重合したポリアクリロニトリル系重合体からポリアクリロニトリル系多孔膜を製造する方法、カルボキシル基またはスルホン酸基などの酸性基を有する単量体を共重合したポリアクリロニトリル系重合体と酸性基を含まないポリアクリロニトリル系重合体をブレンドして製膜してポリアクリロニトリル系多孔膜を製造する方法、アクリロニトリル系重合体製造時の触媒によりアクリロニトリル系重合体の末端に酸性基を導入する方法、ポリアクリロニトリル系多孔膜形成後のポリアクリロニトリル系多孔膜上に酸性基含有単量体をグラフト重合する方法などにより得ることができるがこれらに限定されるものではない。酸性基としては、アミノ基を含有する重合体との結合の強さからスルホン酸基が好ましい。
【0012】
ポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基含有量は、ポリアクリロニトリル系多孔膜1kg当たり0.01〜2.5モル、好ましくは0.01〜1.5モルである。酸性基含有量が0.01モル未満ではアミノ基を含有する重合体と酸性基との結合が不十分となり、アミノ基を含有する重合体がポリアクリロニトリル系多孔膜から容易に脱離しやすく、2.5モルを超えるとポリアクリロニトリル系多孔膜の多孔性を維持することが困難となる。
本発明の多孔膜の製造方法は、湿式製膜法などの公知の製膜方法を用いて得ることが出来る。該多孔膜の形状については平膜状、中空糸状、管状、円筒状、他の多孔性支持体との複合体などを用いることが出来るがこれらに限定されるものではない。例えばポリアクリロニトリル系重合体を70重量%の硝酸水溶液に10〜20重量%となるように溶解し原液とし、その後凝固液中に該原液を吐出させ凝固膜を作成する。水洗後、2軸延伸してポリアクリロニトリル系多孔膜を得ることが出来る。
【0013】
本発明のポリアクリロニトリル系多孔膜は、アミノ基を含有する重合体をポリアクリロニトリル系多孔膜に含有させることにより製造することができる。本発明のポリアクリロニトリル系多孔膜は、アミノ基を含有する重合体をポリアクリロニトリル系多孔膜製膜時に混合して製膜する方法、ポリアクリロニトリル系多孔膜をアミノ基を含有する重合体溶液に浸漬または噴霧する等の手段により製造することができるがこれらに限定されるものではない。また、本発明において好ましいのは、酸性基を持ったポリアクリロニトリル系多孔膜にアミノ基を含有する重合体水溶液を付着させることである。さらに好ましいのは、酸性基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜にポリビニルアミンまたはポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物水溶液を付着させることである。
【0014】
酸性基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜にアミノ基を含有する重合体を付着させた場合には、ポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基とアミノ基を含有する重合体とが結合し、アミノ基を含有する重合体の脱落が少なくなる。さらに酸性基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜にアミノ基を含有する重合体を付着させる際または付着後に、60℃以上の温度で処理することによってポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基とアミノ基を含有する重合体の結合率が向上し、いっそうアミノ基を含有する重合体のポリアクリロニトリル系多孔膜からの脱離が抑制される。
【0015】
本発明において、ポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基とアミノ基を含有する重合体との結合は、酸性基に対してアミノ基の結合率が20〜100モル%であることが好ましい。より好ましくは50〜100モル%、特に好ましくは60〜100モル%である。酸性基の結合率が20モル%未満ではアミノ基を含有する重合体がポリアクリロニトリル系多孔膜から脱離し易くなる。酸性基に対するアミノ基を含有する重合体の結合率は、ポリアクリロニトリル系多孔膜の総酸性基量およびアミノ基を含有する重合体と結合していない残存酸性基量(以下、残存酸性基量と言う)により下式から求めることができる。
酸性基の結合率(モル%)=〔(総酸性基量−残存酸性基量)/総酸性基量〕×100
ただし、総酸性基量および残存酸性基量の単位はモル/kgである。
【0016】
酸性基に対するアミノ基を含有する重合体の結合率は、ポリアクリロニトリル系多孔膜が含有する酸性基の結合割合を示すものである。アミノ基を含有する重合体を含有していないポリアクリロニトリル系多孔膜は、総酸性基量と残存酸性基量が同じ値を示し酸性基の結合率は0モル%となるが、アミノ基を含有する重合体をポリアクリロニトリル系多孔膜に含有させることによって残存酸性基量が低下し、酸性基の結合率が向上する。また、60℃以上の温度で処理することによって更に残存酸性基量が低下し、酸性基に対するアミノ基を含有する重合体の結合率が向上する。この原因は定かではないが、ポリアクリロニトリル系多孔膜が含有する酸性基とアミノ基を含有する重合体のアミノ基間のイオン的結合が60℃以上の温度により促進していることに起因しているためと考えられる。このイオン的結合の促進によってアミノ基を含有する重合体のポリアクリロニトリル系多孔膜からの脱落抑制が推進される。
【0017】
本発明の多孔膜の透水量は好ましくは1m3 /m2 /日/0.1MPa〜100m3 /m2 /日/0.1MPaであり、さらに好ましくは10m3 /m2 /日/0.1MPa〜50m3 /m2 /日/0.1MPaである。透水量が1m3 /m2 /日/0.1Mpa未満では多孔質膜としての特性を発現することが困難であり、透水量が100m3 /m2 /日/0.1Mpa以上では多孔質膜としての強度が不十分となる。また、本発明の多孔質膜の膜厚は好ましくは湿潤状態で5μm〜500μmである。更に好ましくは湿潤状態で膜厚10μm〜100μmである。湿潤状態で膜厚が5μm以下では多孔質膜の強度が不十分であり、湿潤状態で膜厚が500μm以上では透水量を維持することが困難となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の%は特に限定しない場合には重量%を意味する。
1)透水量の測定
直径45mmの円形に切断した膜を湿潤状態のまま、有効面積10cm2 のメンブランフィルターホルダーに組み込み35℃の純水を満たした。0.1MPa の静水圧をかけ、測定時間内に透過した水の重量を測定した。測定は35℃の環境下で実施し、透水量( m3 /m2 /日/0.1MPa) を求めた。
【0019】
2)総酸性基量および残存酸性基量の測定
乾燥したポリアクリロニトリル系多孔膜1.0gを10%塩化ナトリウム水溶液300mlに入れ40℃恒温槽中で30時間振とうした後、精製水で付着塩化ナトリウムを十分に洗浄し、80℃で1時間乾燥してナトリウムイオン結合ポリアクリロニトリル系多孔膜とした。次いで、該ポリアクリロニトリル系多孔膜を96%硫酸5ml、62%硝酸40ml、70%過塩素酸2ml混合液中で電熱ヒーター上で5時間湿式分解を行った。ここで得られた液体を100倍に精製水で希釈し、炎光分析によりナトリウム定量分析を行い、このナトリウム量よりナトリウムと当量のイオン結合をしたと見なした酸性基量を求めた。測定に供したポリアクリロニトリル系多孔膜がアミノ基を含有する重合体の処理前である場合を総酸性基量( モル/ Kg) とし、アミノ基を含有する重合体の処理後である場合を残存酸性基量( モル/Kg) とした。
【0020】
3)アセトアルデヒドの吸着性能
ポリアクリロニトリル系多孔膜上のアミノ基を厳密に定量することは困難であるため、アミノ基と等量で反応しシッフ塩基となりうるアセトアルデヒドを用い評価する方法が簡便である。
アセトアルデヒドの吸着性能の測定:容量1000mlのテトラーバック中に600mlのアセトアルデヒドガスと共にサンプルである乾燥したポリアクリロニトリル系多孔膜1.0gを入れ、120分後の残存ガス濃度をガス検知管で測定しアセトアルデヒドの吸着量を求めた。なお、アセトアルデヒドの初期濃度は、アセトアルデヒド20ppmを用いた。また、ポリアクリロニトリル系多孔膜の乾燥はガラス板上に湿潤状態の該多孔膜を貼り付け、4辺をセロテープで固定し室温で24時間乾燥することによって得ることが出来る。
【0021】
(実施例1 〜3)、(比較例1 〜2)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は65μm、透水量は35( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
【0022】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上で、ビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を95.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)を、夫々5.0%( 実施例1)、0.2%( 実施例2) 、9.0%( 実施例3) 、0%( 比較例1) 、0.05%( 比較例2) 含有する30℃の水溶液に浸漬し、120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表1に示した。
【0023】
実施例1〜3は何れも高い透水量および高いアセトアルデヒドの吸着性能を示した。これは、酸性基の結合率が最も低い実施例2においても33. 3%と高い値を示しておりアミノ基を含有する重合体が強固にポリアクリロニトリルの多孔膜に結合した結果と考えられる。一方、比較例1および2では透水量は高いものの、比較例1においてはアミノ基を含有する重合体を使用していないため、試料に物理的に吸着したと推定される量のアセトアルデヒドの吸着性能( 10%) しか示さなかった。比較例2においても低いアセトアルデヒドの吸着性能( 20%) しか示さなかった。
また、実施例1において得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜をガラス板上に湿潤状態で貼り付け、4辺をセロテープで固定し室温で24時間乾燥することによって乾燥膜を得た。該乾燥膜の膜厚は40μmであり、該乾燥膜を幅25mmに切断し該膜の強度をJIS K7127に基づき測定した所、強度が縦8.1N/mm2 、横6.2N/mm2 であり膜として十分な強度を示すことが分かった。
【0024】
(実施例4)
アクリロニトリル90. 0%、アクリル酸10.0%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は10万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の27%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は60μm、透水量は30( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.13モル/Kgであった。
【0025】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上でビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を95.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)5.0%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表1 に示した。透水量が20( m3 /m2 /日/0.1MPa) 、アセトアルデヒドの吸着性能は100%と良好な結果であった。
【0026】
(実施例5)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は65μm、透水量は35( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上で分子量70000のポリエチレンイミン( 株式会社 日本触媒製) 5. 0%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表1 に示した。透水量が25( m3 /m2 /日/0.1MPa) 、アセトアルデヒドの吸着性能は80%と良好な結果であった。
【0027】
(比較例3)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は65μm、透水量は35( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
【0028】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上でビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を5.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)5.0%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表1 に示した。透水量が20( m3 /m2 /日/0.1MPa) と良好な透水量を示すが、アセトアルデヒドの吸着性能は40%と低い結果であった。酸性基の結合率が16. 7%と低く、アミノ基を含有する重合体とポリアクリロニトリルの多孔膜との結合が不十分であり、アミノ基を含有する重合体の処理後の水洗で該重合体が脱落した結果と考えられる。
【0029】
【表1】
【0030】
(実施例6)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に4.0倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に3.5倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は49μm、透水量は74( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
【0031】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上でビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を95.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)5.0%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表2に示した。その結果、特に高い透水量および高いアセトアルデヒドの吸着性能を示した。
また、得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜をガラス板上に湿潤状態で貼り付け、4辺をセロテープで固定し室温で24時間乾燥することによって乾燥膜を得た。該乾燥膜の膜厚は17μmであり、該乾燥膜を幅25mmに切断し該膜の強度をJIS K7127に基づき測定した所、強度が縦4.6N/mm2 、横4.3N/mm2 であり膜として十分な強度を示すことが分かった。
【0032】
(実施例7)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は65μm、透水量は35( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
【0033】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上でビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を95.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)0.2%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した。その後、固定枠に該膜を固定した状態を維持したまま以下の操作を行った。該膜を30秒流水で水洗、その後湿潤状態を維持したまま、65℃で30分間熱処理を行った。熱処理後さらに十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表2に示した。実施例2に対してやや透水量は低下するが、アセトアルデヒドの吸着性能は向上することが分かった。これは、熱処理によるアミノ基を含有する重合体の多孔膜への固定化効果によるものと考えられる。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
本発明により、透水性が優れ十分な強度を有し、かつアルデヒド化合物との反応性が良好なアミノ基を含有する重合体が強固に結合したポリアクリロニトリル系多孔膜を提供することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミノ基を含有する重合体を含有したポリアクリロニトリル系多孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアクリロニトリル系多孔膜は血液浄化用膜、限外ろ過膜などに多用されている。このポリアクリロニトリル系多孔膜については、有害物質の除去または、蛋白質の非特異的吸着の抑制などを目的として、種々の化学的改質が検討されてきた。これらの化学的改質の中で、アミノ基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜への改質に関しては、例えば特開昭58−139703号公報に開示されている。該公報には、N,N−ジメチルホルムアミドおよびホルムアミドの混合溶媒に溶解したアクリロニトリル系重合体に、モノアミノ基含有化合物及び/又はアルカリを添加し製膜するか、さらに該膜をプラズマ処理することによって、該膜の親水性を増加させることが記載されている。
また、特開昭58−137405号公報には、アクリロニトリル系共重合体をN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒に溶解し製膜した後、モノアミノ基含有化合物で含浸処理し、さらにプラズマ加工する方法が開示されている。
更に、特許第3099342号公報には、アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜において、多孔膜の表面層の重合体主鎖に一級アミノ基が化学的に導入された多孔膜が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭58−139703号公報、および特開昭58−137405号公報で開示されたモノアミノ基含有化合物の処理はポリアクリロニトリル系多孔膜の親水性向上を目的とした処理であり、かつアミノ基を分子内に1官能基のみ含有するアミノ基含有化合物(モノアミノ基含有化合物と称する)を用いており、多孔膜への処理の際にアミノ基含有化合物が脱落するか架橋するかによってポリアクリロニトリル系多孔膜上に官能基としてのアミノ基を含有させることは困難である。
特許第3099342号公報では、多孔膜の表面層の重合体主鎖に一級アミノ基が化学的に導入されることが開示されている。すなわち、アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜へアクリロニトリルのニトリル部を化学的に変性して一級アミノ基を導入する方法が採用され、具体的にはアクリロニトリル系重合体からなる多孔膜をアルカリ類で加水分解した後、次亜ハロゲン酸塩で処理することによって一級アミノ基が化学的に導入されている。
【0004】
この方法はポリアクリロニトリル系重合体の非多孔膜への一級アミノ基の導入方法としては優れているが、この方法をポリアクリロニトリル系重合体の多孔膜に応用した場合、加水分解することによって、ポリアクリロニトリル系多孔膜が膨潤状態となり、多孔膜の基本的性質である透水性が低下してしまうという重大な問題がある。また、ポリアクリロニトリル系多孔膜自体を加水分解するため該膜の強度低下は不可避であり、この点も大きな問題である。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決しようとするものであり、透水性が優れ強度が十分であり、かつアミノ基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、アミノ基を含有する重合体を0.1〜10重量%含有させたポリアクリロニトリル系多孔膜が特に有効であることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)アミノ基を含有する重合体を0.1〜10重量%含有させたポリアクリロニトリル系多孔膜。
(2)前記重合体がビニルアミン単位を少なくとも20モル%含有するビニルアミン重合体であることを特徴とする前記(1)に記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
(3)前記ポリアクリロニトリル系多孔膜が、酸性基を0.01〜2.5モル/Kg含有していることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
(4)前記ポリアクリロニトリル系多孔膜が、アミノ基を0.02〜2.5モル/Kg含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
(5)前記ポリアクリロニトリル系多孔膜における酸性基に対するアミノ基の結合率が、20〜100モル%であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
(6)前記ビニルアミン重合体が、分子量1000〜200,000である水溶性ビニルアミン重合体であることを特徴とする前記(2)〜(5)のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
【0006】
以下、本発明の詳細について記述する。
本発明に用いられるアミノ基を含有する重合体とは、アミノ基を分子内に2官能基以上有する重合体のことであり、キトサン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリリジン、ポリビニルアミン、ポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(完全に加水分解した場合はポリビニルアミンとなる)などを1種または2種以上組み合わせて用いることが出来る。好ましくはポリビニルアミンまたはポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物を用いることである。ポリビニルアミンまたはポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物は、ビニルアミン単位を少なくとも10モル%有していることが好ましく、より好ましくは含有量として50モル%以上である。ビニルアミン単位の含有量が10モル%未満では、ポリビニルアミンまたはポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物を大量にポリアクリロニトリル系多孔膜に含有させても十分な一級アミノ基量を付与することは出来ない。
【0007】
ポリビニルアミンは、一般にポリN−ビニルホルムアミドを酸、例えば塩酸、硫酸、燐酸等により加水分解した加水分解物またはその塩酸塩などの塩として容易に入手することができる。またポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物に含まれるビニルアミン単位の割合は、ポリN−ビニルホルムアミドの加水分解度を調節することにより広範囲にわたって調整することができる。なお、ポリN−ビニルホルムアミドをポリアクリロニトリル系多孔膜に含有させた後、水溶液中で上記酸によりpHを2〜3に保ってポリN−ビニルホルムアミドを加水分解し、ポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物とすることもできる。
この場合もポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物中のビニルアミン単位は10モル%以上とすることが望ましい。
【0008】
アミノ基を含有する重合体のアミノ基は酸により中和されていても、未中和であっても良い。
アミノ基を含有する重合体の含有量は、ポリアクリロニトリル系多孔膜に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.15〜5.0重量%である。アミノ基を含有する重合体の含有量が0.1重量%未満ではポリアクリロニトリル系多孔膜中へのアミノ基の含有量が少なく、アミノ基の効果を期待できない。一方、10重量%を越えるとアミノ基を含有する重合体がポリアクリロニトリル系多孔膜から脱離しやすくなってしまう。
【0009】
アミノ基を含有する重合体の分子量は1,000〜200,000が好ましく、より好ましくは10,000〜100,000である。該重合体の分子量が1,000未満ではポリアクリロニトリル系多孔膜を構成する分子鎖に対する該重合体を構成する分子鎖1本当たりの結合の割合が低下し、該重合体が脱落やすくなる。また分子量が200,000を超えるときは、ポリアクリロニトリル系多孔膜の内部表面、すなわち多孔膜の細孔表面を含む表面層全体への重合体の均一な分布が困難になる。
また、アミノ基を含有する重合体は水溶性であることが好ましい。水不溶性のアミノ基を含有する重合体を用いると、ポリアクリロニトリル系多孔膜の内部表面への拡散が乏しいため、ポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基との結合率が低なり、アミノ基を含有する重合体が脱落し易くなる。
【0010】
ポリアクリロニトリル系多孔膜は、例えば、40重量%以上のアクリロニトリルと、60重量%以下のアクリロニトリルと共重合可能な単量体との共重合することにより得ることができる。アクリロニトリルと共重合可能な単量体としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、イタコン酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩等のビニル単量体が用いられる。これらの単量体は、1種または2種以上を共重合させることができる。特に好ましいポリアクリロニトリル系多孔膜は、80重量%以上のアクリロニトリルと、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、メタリルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩等のビニル単量体の1種または2種以上を共重合させて得られるポリアクリロニトリル系重合体を得て、更に製膜しポリアクリロニトリル系多孔膜にすることである。
【0011】
また、ポリアクリロニトリル系多孔膜には、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基を有していることが好ましい。これはポリアクリロニトリル系多孔膜中の酸性基がアミノ基を含有する重合体のアミノ基と結合してアミノ基を含有する重合体をポリアクリロニトリル系多孔膜に強固に固定させることができるためである。酸性基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜は、カルボキシル基またはスルホン酸基などの酸性基を有する単量体を共重合したポリアクリロニトリル系重合体からポリアクリロニトリル系多孔膜を製造する方法、カルボキシル基またはスルホン酸基などの酸性基を有する単量体を共重合したポリアクリロニトリル系重合体と酸性基を含まないポリアクリロニトリル系重合体をブレンドして製膜してポリアクリロニトリル系多孔膜を製造する方法、アクリロニトリル系重合体製造時の触媒によりアクリロニトリル系重合体の末端に酸性基を導入する方法、ポリアクリロニトリル系多孔膜形成後のポリアクリロニトリル系多孔膜上に酸性基含有単量体をグラフト重合する方法などにより得ることができるがこれらに限定されるものではない。酸性基としては、アミノ基を含有する重合体との結合の強さからスルホン酸基が好ましい。
【0012】
ポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基含有量は、ポリアクリロニトリル系多孔膜1kg当たり0.01〜2.5モル、好ましくは0.01〜1.5モルである。酸性基含有量が0.01モル未満ではアミノ基を含有する重合体と酸性基との結合が不十分となり、アミノ基を含有する重合体がポリアクリロニトリル系多孔膜から容易に脱離しやすく、2.5モルを超えるとポリアクリロニトリル系多孔膜の多孔性を維持することが困難となる。
本発明の多孔膜の製造方法は、湿式製膜法などの公知の製膜方法を用いて得ることが出来る。該多孔膜の形状については平膜状、中空糸状、管状、円筒状、他の多孔性支持体との複合体などを用いることが出来るがこれらに限定されるものではない。例えばポリアクリロニトリル系重合体を70重量%の硝酸水溶液に10〜20重量%となるように溶解し原液とし、その後凝固液中に該原液を吐出させ凝固膜を作成する。水洗後、2軸延伸してポリアクリロニトリル系多孔膜を得ることが出来る。
【0013】
本発明のポリアクリロニトリル系多孔膜は、アミノ基を含有する重合体をポリアクリロニトリル系多孔膜に含有させることにより製造することができる。本発明のポリアクリロニトリル系多孔膜は、アミノ基を含有する重合体をポリアクリロニトリル系多孔膜製膜時に混合して製膜する方法、ポリアクリロニトリル系多孔膜をアミノ基を含有する重合体溶液に浸漬または噴霧する等の手段により製造することができるがこれらに限定されるものではない。また、本発明において好ましいのは、酸性基を持ったポリアクリロニトリル系多孔膜にアミノ基を含有する重合体水溶液を付着させることである。さらに好ましいのは、酸性基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜にポリビニルアミンまたはポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物水溶液を付着させることである。
【0014】
酸性基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜にアミノ基を含有する重合体を付着させた場合には、ポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基とアミノ基を含有する重合体とが結合し、アミノ基を含有する重合体の脱落が少なくなる。さらに酸性基を含有するポリアクリロニトリル系多孔膜にアミノ基を含有する重合体を付着させる際または付着後に、60℃以上の温度で処理することによってポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基とアミノ基を含有する重合体の結合率が向上し、いっそうアミノ基を含有する重合体のポリアクリロニトリル系多孔膜からの脱離が抑制される。
【0015】
本発明において、ポリアクリロニトリル系多孔膜の酸性基とアミノ基を含有する重合体との結合は、酸性基に対してアミノ基の結合率が20〜100モル%であることが好ましい。より好ましくは50〜100モル%、特に好ましくは60〜100モル%である。酸性基の結合率が20モル%未満ではアミノ基を含有する重合体がポリアクリロニトリル系多孔膜から脱離し易くなる。酸性基に対するアミノ基を含有する重合体の結合率は、ポリアクリロニトリル系多孔膜の総酸性基量およびアミノ基を含有する重合体と結合していない残存酸性基量(以下、残存酸性基量と言う)により下式から求めることができる。
酸性基の結合率(モル%)=〔(総酸性基量−残存酸性基量)/総酸性基量〕×100
ただし、総酸性基量および残存酸性基量の単位はモル/kgである。
【0016】
酸性基に対するアミノ基を含有する重合体の結合率は、ポリアクリロニトリル系多孔膜が含有する酸性基の結合割合を示すものである。アミノ基を含有する重合体を含有していないポリアクリロニトリル系多孔膜は、総酸性基量と残存酸性基量が同じ値を示し酸性基の結合率は0モル%となるが、アミノ基を含有する重合体をポリアクリロニトリル系多孔膜に含有させることによって残存酸性基量が低下し、酸性基の結合率が向上する。また、60℃以上の温度で処理することによって更に残存酸性基量が低下し、酸性基に対するアミノ基を含有する重合体の結合率が向上する。この原因は定かではないが、ポリアクリロニトリル系多孔膜が含有する酸性基とアミノ基を含有する重合体のアミノ基間のイオン的結合が60℃以上の温度により促進していることに起因しているためと考えられる。このイオン的結合の促進によってアミノ基を含有する重合体のポリアクリロニトリル系多孔膜からの脱落抑制が推進される。
【0017】
本発明の多孔膜の透水量は好ましくは1m3 /m2 /日/0.1MPa〜100m3 /m2 /日/0.1MPaであり、さらに好ましくは10m3 /m2 /日/0.1MPa〜50m3 /m2 /日/0.1MPaである。透水量が1m3 /m2 /日/0.1Mpa未満では多孔質膜としての特性を発現することが困難であり、透水量が100m3 /m2 /日/0.1Mpa以上では多孔質膜としての強度が不十分となる。また、本発明の多孔質膜の膜厚は好ましくは湿潤状態で5μm〜500μmである。更に好ましくは湿潤状態で膜厚10μm〜100μmである。湿潤状態で膜厚が5μm以下では多孔質膜の強度が不十分であり、湿潤状態で膜厚が500μm以上では透水量を維持することが困難となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の%は特に限定しない場合には重量%を意味する。
1)透水量の測定
直径45mmの円形に切断した膜を湿潤状態のまま、有効面積10cm2 のメンブランフィルターホルダーに組み込み35℃の純水を満たした。0.1MPa の静水圧をかけ、測定時間内に透過した水の重量を測定した。測定は35℃の環境下で実施し、透水量( m3 /m2 /日/0.1MPa) を求めた。
【0019】
2)総酸性基量および残存酸性基量の測定
乾燥したポリアクリロニトリル系多孔膜1.0gを10%塩化ナトリウム水溶液300mlに入れ40℃恒温槽中で30時間振とうした後、精製水で付着塩化ナトリウムを十分に洗浄し、80℃で1時間乾燥してナトリウムイオン結合ポリアクリロニトリル系多孔膜とした。次いで、該ポリアクリロニトリル系多孔膜を96%硫酸5ml、62%硝酸40ml、70%過塩素酸2ml混合液中で電熱ヒーター上で5時間湿式分解を行った。ここで得られた液体を100倍に精製水で希釈し、炎光分析によりナトリウム定量分析を行い、このナトリウム量よりナトリウムと当量のイオン結合をしたと見なした酸性基量を求めた。測定に供したポリアクリロニトリル系多孔膜がアミノ基を含有する重合体の処理前である場合を総酸性基量( モル/ Kg) とし、アミノ基を含有する重合体の処理後である場合を残存酸性基量( モル/Kg) とした。
【0020】
3)アセトアルデヒドの吸着性能
ポリアクリロニトリル系多孔膜上のアミノ基を厳密に定量することは困難であるため、アミノ基と等量で反応しシッフ塩基となりうるアセトアルデヒドを用い評価する方法が簡便である。
アセトアルデヒドの吸着性能の測定:容量1000mlのテトラーバック中に600mlのアセトアルデヒドガスと共にサンプルである乾燥したポリアクリロニトリル系多孔膜1.0gを入れ、120分後の残存ガス濃度をガス検知管で測定しアセトアルデヒドの吸着量を求めた。なお、アセトアルデヒドの初期濃度は、アセトアルデヒド20ppmを用いた。また、ポリアクリロニトリル系多孔膜の乾燥はガラス板上に湿潤状態の該多孔膜を貼り付け、4辺をセロテープで固定し室温で24時間乾燥することによって得ることが出来る。
【0021】
(実施例1 〜3)、(比較例1 〜2)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は65μm、透水量は35( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
【0022】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上で、ビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を95.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)を、夫々5.0%( 実施例1)、0.2%( 実施例2) 、9.0%( 実施例3) 、0%( 比較例1) 、0.05%( 比較例2) 含有する30℃の水溶液に浸漬し、120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表1に示した。
【0023】
実施例1〜3は何れも高い透水量および高いアセトアルデヒドの吸着性能を示した。これは、酸性基の結合率が最も低い実施例2においても33. 3%と高い値を示しておりアミノ基を含有する重合体が強固にポリアクリロニトリルの多孔膜に結合した結果と考えられる。一方、比較例1および2では透水量は高いものの、比較例1においてはアミノ基を含有する重合体を使用していないため、試料に物理的に吸着したと推定される量のアセトアルデヒドの吸着性能( 10%) しか示さなかった。比較例2においても低いアセトアルデヒドの吸着性能( 20%) しか示さなかった。
また、実施例1において得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜をガラス板上に湿潤状態で貼り付け、4辺をセロテープで固定し室温で24時間乾燥することによって乾燥膜を得た。該乾燥膜の膜厚は40μmであり、該乾燥膜を幅25mmに切断し該膜の強度をJIS K7127に基づき測定した所、強度が縦8.1N/mm2 、横6.2N/mm2 であり膜として十分な強度を示すことが分かった。
【0024】
(実施例4)
アクリロニトリル90. 0%、アクリル酸10.0%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は10万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の27%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は60μm、透水量は30( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.13モル/Kgであった。
【0025】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上でビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を95.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)5.0%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表1 に示した。透水量が20( m3 /m2 /日/0.1MPa) 、アセトアルデヒドの吸着性能は100%と良好な結果であった。
【0026】
(実施例5)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は65μm、透水量は35( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上で分子量70000のポリエチレンイミン( 株式会社 日本触媒製) 5. 0%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表1 に示した。透水量が25( m3 /m2 /日/0.1MPa) 、アセトアルデヒドの吸着性能は80%と良好な結果であった。
【0027】
(比較例3)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は65μm、透水量は35( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
【0028】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上でビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を5.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)5.0%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表1 に示した。透水量が20( m3 /m2 /日/0.1MPa) と良好な透水量を示すが、アセトアルデヒドの吸着性能は40%と低い結果であった。酸性基の結合率が16. 7%と低く、アミノ基を含有する重合体とポリアクリロニトリルの多孔膜との結合が不十分であり、アミノ基を含有する重合体の処理後の水洗で該重合体が脱落した結果と考えられる。
【0029】
【表1】
【0030】
(実施例6)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に4.0倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に3.5倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は49μm、透水量は74( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
【0031】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上でビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を95.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)5.0%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した後十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表2に示した。その結果、特に高い透水量および高いアセトアルデヒドの吸着性能を示した。
また、得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜をガラス板上に湿潤状態で貼り付け、4辺をセロテープで固定し室温で24時間乾燥することによって乾燥膜を得た。該乾燥膜の膜厚は17μmであり、該乾燥膜を幅25mmに切断し該膜の強度をJIS K7127に基づき測定した所、強度が縦4.6N/mm2 、横4.3N/mm2 であり膜として十分な強度を示すことが分かった。
【0032】
(実施例7)
アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%を共重合して重合体を得た。該重合体の重量平均分子量は15万であった。該重合体を70%の硝酸に溶解、減圧脱泡して重合体濃度17%の製膜原液を調整した。該製膜原液を幅20cm、スリット間隙0.25mmのスリットダイにより+ 18℃の30%硝酸中に押し出し、凝固させた後、水洗して膜厚120μmの水洗膜を得た。該水洗膜を98℃の熱水中で製膜方向に2.4倍延伸し、その後製膜方向と直交する方向に2.4倍延伸する逐次2軸延伸を行いポリアクリロニトリル系多孔膜を得た。該多孔膜の膜厚は65μm、透水量は35( m3 /m2 /日/0.1MPa) であり、また総酸性基量は0.06モル/Kgであった。
【0033】
該ポリアクリロニトリル系多孔膜を固定枠に保持した上でビニルアミン重合体としてビニルアミン単位を95.0モル%有するポリN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,000、未中和物)0.2%を含有する30℃の水溶液に浸漬し120分間処理した。その後、固定枠に該膜を固定した状態を維持したまま以下の操作を行った。該膜を30秒流水で水洗、その後湿潤状態を維持したまま、65℃で30分間熱処理を行った。熱処理後さらに十分に水洗を行った。得られたアミノ基含有ポリアクリロニトリル系多孔膜の透水量、酸性基の結合率、およびアセトアルデヒドの吸着性能を表2に示した。実施例2に対してやや透水量は低下するが、アセトアルデヒドの吸着性能は向上することが分かった。これは、熱処理によるアミノ基を含有する重合体の多孔膜への固定化効果によるものと考えられる。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
本発明により、透水性が優れ十分な強度を有し、かつアルデヒド化合物との反応性が良好なアミノ基を含有する重合体が強固に結合したポリアクリロニトリル系多孔膜を提供することが出来る。
Claims (6)
- アミノ基を含有する重合体を0.1〜10重量%含有させたポリアクリロニトリル系多孔膜。
- 前記重合体がビニルアミン単位を少なくとも10モル%含有するビニルアミン重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
- 前記ポリアクリロニトリル系多孔膜が、酸性基を0.01〜2.5モル/Kg含有していることを特徴とする請求項1または請求項2記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
- 前記ポリアクリロニトリル系多孔膜が、アミノ基を0.02〜2.5モル/Kg含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
- 前記ポリアクリロニトリル系多孔膜における酸性基に対するアミノ基の結合率が、20〜100モル%であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
- 前記ビニルアミン重合体が、分子量1000〜200,000である水溶性ビニルアミン重合体であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のポリアクリロニトリル系多孔膜。
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Cited By (2)
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|---|---|---|---|---|
| CN103127847A (zh) * | 2013-03-15 | 2013-06-05 | 北京化工大学 | 抗蛋白质污染聚丙烯腈水解改性超滤膜及其制备方法 |
| CN113350589A (zh) * | 2020-03-05 | 2021-09-07 | 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 | 一种血液透析器的抗污改性方法及其应用 |
-
2002
- 2002-06-18 JP JP2002176809A patent/JP2004018707A/ja active Pending
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|---|---|---|---|---|
| CN103127847A (zh) * | 2013-03-15 | 2013-06-05 | 北京化工大学 | 抗蛋白质污染聚丙烯腈水解改性超滤膜及其制备方法 |
| CN103127847B (zh) * | 2013-03-15 | 2015-04-15 | 北京化工大学 | 抗蛋白质污染聚丙烯腈水解改性超滤膜及其制备方法 |
| CN113350589A (zh) * | 2020-03-05 | 2021-09-07 | 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 | 一种血液透析器的抗污改性方法及其应用 |
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