JP2004022158A - 磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微小粒径の磁性粉末を均一に分散させた磁気記録媒体用磁性塗料を効率よく製造する。
【解決手段】磁性粉末と結合剤とを混合機1を用いて混練し、次いで、結合剤と磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら、磁性粉末と結合剤とを混練する混練機2を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、ここで得られたペースト状の混練材料を、径を異にするビーズを用いる複数のビーズミル11を用いて多段階に分散処理する。
【選択図】 図1
【解決手段】磁性粉末と結合剤とを混合機1を用いて混練し、次いで、結合剤と磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら、磁性粉末と結合剤とを混練する混練機2を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、ここで得られたペースト状の混練材料を、径を異にするビーズを用いる複数のビーズミル11を用いて多段階に分散処理する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等の磁気記録媒体の磁性層を形成する磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体として、磁性粉末を結合剤中に分散させて調整された磁性塗料を非磁性支持体上に塗布することで磁性層を形成した所謂塗布型の磁気記録媒体が広く用いられている。
【0003】
この種の磁気記録媒体として、フィルム状若しくはシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に、非磁性粉末及び結合剤等を溶剤とともに分散させることで調整された下層用非磁性塗料が塗布されて下層塗膜として非磁性層を設け、この非磁性層上に磁性粉末及び結合剤を溶剤に分散させることで調整された磁性塗料を塗布して磁性層を設けたものが用いられている。
【0004】
磁気記録媒体として、磁気テープを収納したテープカートリッジにおいては、記録容量の高容量化が図られている。この種のテープカートリッジにおいて、記録容量の高容量化を図るためには、磁性層を形成する磁性粉末に微粒子粉を用い、高密度に磁性層中に充填させて線記録密度を上げることによって達成できる。
【0005】
このように高容量化が図られた磁気テープの磁性層を構成する磁性粉末として、長軸長を100nm以下の微粒子粉が用いられ、更には長軸長を数10nm以下とする微粒子粉が用いられる。このような数十nm以下の磁性粉末を用いることにより、カートリッジ本体に収納される磁気テープの1巻当たりの記録容量を大きくすることができる。
【0006】
磁気記録媒体の磁性層を形成する磁性粉末は、結合剤と混練され、更に溶媒によって希釈化された磁性塗料とされて磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布される。磁性塗料を構成する磁性粉末及び結合剤を混練し溶剤により希釈化されたペースト状の磁性材料は、サンドミル等のベッセル内に球状のビーズが収納されたビーズミルを用いて磁性粉末が溶媒中に均一に分散する分散処理が行われた後、非磁性支持体上に塗布される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、磁性粉末を結合剤とともに溶剤中に希釈化した磁性塗料は、溶媒中に分散される磁性粉末の粒径が小さくなればなるほど、磁性塗料中に存在する磁性粉末の粒子数の密度が高くなる。すなわち、磁性粉末の粒径が小さくなっていくと、一定の量の磁性塗料中に存在する混練希釈化される前の1次粒子の個数が増えていくので、磁性粉末を溶媒中に分散処理を行うベッセル中のビーズ個数が同じであれば、磁性粉末の粒子1個当たりで見たとき、単位時間内にビーズから受ける衝撃、剪断の回数が落ちいていくことになる。その結果、磁性塗料に用いられる磁性粉末が微小化すればするほど、磁性粉末の溶媒中への分散時間が増加し、効率良く磁性粉末を溶媒中に均一に分散した磁性塗料を得ることができなくなる。
【0008】
磁性粉末の溶媒中への効率の良い分散を行うためには、磁性粉末の微小化に合わせて分散に用いるビーズ径を小さくし、ベッセル内に存在するビーズの個数を増加することが考えられる。
【0009】
ベッセル内に存在するビーズ径が小さくなれば、各ビーズ間の間隔も小さくなり、磁性粉末の小さい凝集体に有効に剪断力を加えることができる。
【0010】
しかし、ベッセル内に存在するビーズ径が小さいと、個々のビーズの重量が軽量であるため、磁性粉末の凝集体に与える衝撃エネルギーが小さくなる。その結果、ビーズが凝集体に衝突しても大きな衝撃エネルギーを与えることができないため、大きな凝集体を粉砕することができない、特に、分散初期の磁性粉末の凝集体は、大きな凝集体であるため、微小化されたビーズにより粉砕することができない。
【0011】
粒子径の小さい磁性粉末は、溶媒中への分散が進んでいくと、一定単位の磁性塗料中に存在する粒子個数が増加していく。磁性粉末の分散が進み一定単位の磁性塗料中に含まれる磁性粉末の粒子個数が増加した磁性塗料は、ビーズミルから取り出された瞬間から、粒子間相互作用により再凝集が始まり、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布したときの表面性を劣化させてしまう。すなわち、再凝集した磁性粉末により磁気記録媒体の表面に大きな突起を発生させ、磁性層の表面粗さを劣化させてしまう。更に、再凝集した磁性粉末は、磁場中で配向しにくくなり、磁気記録媒体として形成したときの情報信号の記録再生特性を劣化させてしまう。
【0012】
また、微小粒子からなる磁性粉末を用いた磁性塗料は、磁性粉末の分散が進むほどネットワークの核となる磁性粉末の粒子個数が増加し、緻密なネットワーク構造を組むため、磁性塗料としての粘度が増加し、非磁性支持体の表面に薄く均一に塗布することが困難となってしまう。
【0013】
本発明の目的は、微小粒径の磁性粉末を均一に分散させた磁気記録媒体用磁性塗料を効率よく製造することができる磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に容易に塗布することができる磁気記録媒体用磁性塗料を得ることを可能とする磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の更に他の目的は、表面性の良好な磁気記録媒体を製造することが可能な磁気記録媒体用磁性塗料を容易にすることを可能とする磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述したような目的を達成するために提案される本発明は、磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、次いで、結合剤と磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら、磁性粉末と結合剤とを混練する混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、ここで得られたペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練して磁気記録媒体用磁性塗料を製造するものである。
【0017】
本発明は、磁性粉末と結合剤が混練された材料に溶剤を加えながら希釈混練して得られるペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練するので、微小な磁性粉末を溶媒中に均一に分散することができる。このとき、磁性粉末と結合剤を混練する混練機と溶剤を加えながら希釈混練する混練機を共通とすることにより、混練から希釈化の工程を一連に行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法は、磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、次いで、結合剤と磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら、磁性粉末と結合剤とを混練する混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、ここで得られたペースト状の混練材料を、径を異にするビーズを用いる複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理する。
【0019】
複数のビーズミルは、第1段及び第2段のビーズミルからなり、第1段のビーズミルには、直径を0.5mm以上とするジルコニアビーズが用いられ、第2段のビーズミルには、直径を0.3mm以下とするジルコニアビーズが用いられる。
【0020】
本発明は、溶剤に希釈された混練材料が、径を異にするビーズを用いる複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理されることにより、大きな凝集体から小さな凝集体へと順次粉砕して溶剤中への分散が図られる。
【0021】
更に、本発明方法に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法は、複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理された混練材料に振動若しくは衝撃を与えて再分散処理を行う。
【0022】
分散処理された混練材料に振動若しくは衝撃が与えられて再分散処理が図られることにより、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布される直前の磁性塗料に含有される磁性粉末を溶剤中に均一に分散でき、効率よく非磁性支持体上に塗布することができる磁気記録媒体用磁性塗料が得られる。
【0023】
更に、本発明に係る磁気記録媒体用塗料の製造方法は、磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、次いで、結合剤と上記磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら、磁性粉末と結合剤との混練に用いた混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、その後、ペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練して希釈混練材料を得、この希釈混練材料を径を異にするビーズを用いる複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理し、その後、分散処理された混練材料に振動若しくは衝撃を与えて再分散処理を行って磁気記録媒体用磁性塗料を製造するようにしたものである。
【0024】
本発明は、磁性粉末と結合剤を含むペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練し、この希釈混練した材料を複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理するので、磁性粉末を溶剤中に一層均一に分散でき、しかも、分散処理された混練材料を再分散処理を施しているので、効率よく非磁性支持体上に塗布することができる磁性塗料が得られ、この磁性塗料を用いることにより、記録再生特性の良好な高品質の磁性層を有する磁気記録媒体を得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法をさらに具体的に説明する。
【0026】
本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法は、まず、磁性粉末と結合剤と結合剤を用意する。ここで用いる磁性粉末としては、長軸長を100nm以下の微粒子が用いられ、更に好ましくは長軸長を数10nm以下とする微粒子粉が用いられる。長軸長を100nm以下とするものであれば、従来公知のものがいずれも使用可能であって、酸化物磁性粉末でもよく、金属磁性粉末であってもよい。酸化物磁性粉末としては、例えばγ−Fe2O3、Co含有γ−Fe2O3、Fe3O4、Co含有Fe3O4、Co被着γ−Fe2O3、Co被着Fe3O4、CrO2等が挙げられる。
【0027】
金属磁性粉末としては、例えば、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co−Ni、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等が挙げられ、さらにこれらの種々の特性を改善する目的でAl、Si、Ti、Cr、Mn、Cu、Zn等の金属成分やYを含む希土類元素が添加されたものであってもよい。さらに、Fe5C2等の炭化鉄、窒化鉄等も使用可能である。
【0028】
また、結合剤として塩化ビニールの粉体が用いられる。ここで用いられる塩化ビニールは、更に具体的に日本ゼオン社製の塩ビバインダーMR−110が用いられる。
【0029】
用意した磁性粉末A及び結合剤Bは、図1の工程図に示すように、混合機1に投入される。このとき、磁性粉末A及び結合剤Bとともに溶剤Cも混合機に投入される。ここで用いられる溶剤Cとしては、シクロヘキサノンが用いられる。
【0030】
磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cは、例えば、下記の割合で混合機1に投入される。
【0031】
磁性粉末A(長軸長100nm以下) 100重量部
結合剤B(塩ビバインダーMR−110) 17重量部
溶剤C(シクロヘキサノン) 29重量部
混合機1に投入された磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cは、混合機1によって混合撹拌され均一に分散混合された混合材料Dとなる。ここで、混合機1には、例えばプラネタリーミキサーが用いられる。
【0032】
混合機1によって磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cが分散混合された混合材料Dは、混練機2に投入され混練され、ペースト状の混練材料Eとされる。ここで、混練機2には、例えば2軸混練押し出し機が用いられる。
【0033】
磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cを上述した割合で混合され、その後混練して得られたペースト状の混練材料Eは、固形分が略80%となる。
【0034】
混練機2によって混練されたペースト状の混練材料Dには、更に希釈化するための溶剤Fが加えられて混練希釈化される。この混練希釈化は、混練材料Eを形成する混練機2に溶剤Fを連続して加えながら混練材料Dを段階希釈化することによって行われる。
【0035】
混練機2に加えられる溶剤Fとしては、シクロヘキサノン及びメチルエチルケトンが用いられる。シクロヘキサノンとメチルエチルケトンは、重量比で等しい割合で混合される。
【0036】
混練材料Eの更なる希釈化は、混練材料Eの固形分が略50%になるまで上述したシクロヘキサノンとメチルエチルケトンからなる溶剤Fを混練機2に連続的に加えながら行われる。
【0037】
固形分が略50%になるまで希釈された混練材料Eは、2軸混練押し出し機等の混練機を用いることなくプラネタリーミキサー等の混合機を用いて混合可能な柔らかさとされている。固形分が略50%になるまで希釈されたペースト状の混練材料Eは、混合機3に投入され再度の混練が行われ更なる希釈化が行われる。この希釈化は、混練材料Eが投入された混合機3に、上述した混練機2において加えられた溶剤Fと同様の溶剤Fを順次滴下することによって行われる。このとき、混練材料Eは、固形分が略30%になるまで希釈化される。
【0038】
ここで、混合機3には、プラネタリーミキサーを用いた。
【0039】
固形分が30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eは、粉砕機4に投入され、撹拌処理が施される。この粉砕機4を用いた撹拌処理は、混練材料E中に含まされる粒子の凝集やかたまりを粉砕し、混練材料Eの更なる均一化を図るものである。粉砕機4による撹拌処理は、概ね2時間程度行われる。
【0040】
固形分が30%になるまで希釈化された混練材料Eを撹拌処理する粉砕機4には、混練材料E中に含まされる粒子の凝集やかたまりの粉砕処理を行い得るものが用いられ、例えばディスパーションミル、プラネタリミキサー、ダブルプラネタリミキサー、ストーンミル、ディゾルバー等従来公知の装置が使用される。
【0041】
粉砕機4によって粒子の凝集やかたまりの粉砕処理が施され、溶剤C、F中に金属磁性粉末A、結合剤Bが均一に分散された混練材料Eは、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布される磁気記録媒体用磁性塗料として用いられる。
【0042】
ここで得られる磁気記録媒体用磁性塗料は、上述したような混練希釈化の工程を経て形成されることにより、長軸長を100nm以下とするような微粒子粉の磁性粉末を用いながら、この磁性粉末を結合剤ととともに溶剤中に均一に分散したものとすることができる。
【0043】
上述した磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法では、混合機1によって混合する過程で磁性粉末A及び結合剤Bに溶剤Cを加えているが、磁性粉末A及び結合剤Bを混合機1により混合した混合材料Dを製造し、この混合材料Dを混練機2により混練してペースト状の混練材料Eを製造するようにしてもよい。
【0044】
この場合にも、磁性粉末Aには、長軸長を100nm以下とする磁性粉末が用いられ、結合剤Bとして塩ビバインダーMR−110が用いられる。磁性粉末Aと結合剤Bは、磁性粉末A100重量部に対し結合剤B17重量部の割合で混合される。
【0045】
混練機2によって混練された磁性粉末Aと結合剤Bとからなるペースト状の混合材料Dには、前述した方法と同様に、更に希釈化するための溶剤Fが加えられて混練希釈化される。この混練希釈化も、混練材料Eを形成する混練機2に溶剤Fを連続して加えながら混合材料Dを段階希釈化することによって行われる。
【0046】
ここで用いる溶剤Fも、上述したようにシクロヘキサノン及びメチルエチルケトンを重量比で等しい割合で含むものが用いられる。
【0047】
混練機2によって混練される混練材料Eは、混練機2によって混練される過程で、溶剤Fが加えられて固形分が略50%になるまで希釈化される。固形分が略50%になるまで希釈されたペースト状の混練材料Eは、混合機3に投入され再度の混練が行われ更なる希釈化が行われる。この希釈化は、混練材料Eが投入された混合機3に、上述した混練機2において加えられた溶剤Fと同様の溶剤Fを順次滴下することによって行われる。このとき、混練材料Eは、固形分が略30%になるまで希釈化される。
【0048】
固形分が30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eは、粉砕機4に投入され撹拌処理が施されることにより、溶剤F中に磁性粉末A、結合剤Bが均一に分散された磁気記録媒体用磁性塗料として用いられる。
【0049】
ここで得られる磁気記録媒体用磁性塗料も、上述したような混練希釈化の工程を経て形成されることにより、長軸長を100nm以下とするような微粒子粉の磁性粉末を用いながら、この磁性粉末を結合剤ととともに溶剤中に均一に分散したものとされる。
【0050】
上述した磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cの混合割合は一例であって適宜の混合割合が選択される。
【0051】
また、希釈されたペースト状の混練材料Eを更に希釈化するために加えられる溶剤F中には、結合剤を加えるようにしてもよい。
【0052】
本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法においては、粉砕機4を用いた撹拌処理を終了した段階で溶剤中の固形分の割合が概ね27%〜30%となるように希釈化が図られることが望ましい。これは、磁気記録媒体用磁性塗料の粘性を考慮したものであり、具体的には、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布するときの塗布能率やダイヘッド装置を用いた塗布を行うときの塗布効率を考慮したものである。
【0053】
ところで、上述したように混合、混練の工程を経て、更に混練の途中で希釈化され、更なる希釈化が施され、その後撹拌処理が施されて金属磁性粉末を結合剤とともに溶媒中に混合分散させた磁気記録媒体用磁性塗料であっても、溶媒中に分散される磁性粉末として、長軸長を100nm以下とするような微粒子粉のものを用いているので、磁性塗料中に存在する磁性粉末の粒子数の密度が極めて高くなり、溶媒中に十分に均一に分散し得ないおそれがある。
【0054】
そこで、本発明は、上述した製造工程で得られた固形分が例えば27%〜30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eをビーズミルを用いた分散処理を行う。
【0055】
ビーズミルを用いた分散処理が施されるペースト状の混練材料として、粉砕機4により撹拌処理が施される前のプラネタリーミキサー用いた混合機3によって混合されたものが用いられる。
【0056】
なお、粉砕機4により撹拌処理が施された後の混練材料であってもよい。
【0057】
固形分が例えば27%〜30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eを分散処理するために用いられるビーズミル装置11は、図2に示すように、上述したように希釈化されたペースト状の混練材料Eが供給される供給槽12と、供給槽12から供給される混練材料Eを分散処理する第1及び第2のビーズミル13,14と、供給槽12に貯留された混練材料Eを第1又は第2のビーズミル13,14に供給するポンプ15と、供給槽12から供給される混練材料Eを第1のビーズミル13又は第2のビーズミル14に供給するように切り換える切換弁16とを備える。
【0058】
第1及び第2のビーズミル13,14は、それぞれベッセル内にビーズを収納している。第1及び第2のビーズミル13,14には、それぞれ大きさ、すなわち直径を異にするビーズが収納される。第1のビーズミル13には、第2のビーズミル14に収納されるものより大きなビーズが収納される。例えば、第1のビーズミル13には、直径を0.5mm以上とするビーズ13aが収納され、第2のビーズミル14には、直径を0.3mm以下とするビーズ14aが収納される。具体的には、第1のビーズミル13には、直径を0.5mmとするジルコニアビーズが収納され、第2のビーズミル14には、直径を0.1mmとするジルコニアビーズが収納されている。
【0059】
上述したような構成を備えたビーズミル装置11を用いて、固形分が例えば27%〜30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eを分散処理する工程を説明する。
【0060】
ペースト状の混練材料Eを分散処理するには、上述した工程を経て得られたペースト状の混練材料Eを供給槽12に投入する。次いで、供給槽12に投入された混練材料Eを、第2のビーズミル14に用いられるビーズより径の大きな直径を0.5mmとするビーズを収納した第1のビーズミル13に供給する。第1のビーズミル13のベッセルには、直径を0.5mmとするビーズが略80%まで充填されている。
【0061】
供給槽12に収納された混練材料Eを第1のビーズミル13に供給するには、切換弁16を操作し、供給槽12からの流路が第1のビーズミル13に至るように制御する。次いで、ポンプ15を駆動し、供給槽12に収納された混練材料Eを第1のビーズミル13に供給する。
【0062】
第1のビーズミル13に混練材料Eが供給されると、ベッセル内に配設された分散用ディスクが周速度を12m/秒で回転され、このビーズミル13に供給された混練材料Eの分散処理が行われる。第1のビーズミル13を用いた混練材料Eの分散処理は、5分〜15分程度行われる。
【0063】
第1のビーズミル13を用いて分散処理された混練材料Eは、再び供給槽12に戻され、第1のビーズミル13に用いられるビーズより小径の直径を0.1mmとするビーズを収納した第2のビーズミル14に供給する。第2のビーズミル14のベッセルにも、直径を0.1mmとするビーズが略80%まで充填されている。
【0064】
このとき、ビーズミル装置11の切換弁16は、供給槽12からの混練材料Eの供給流路が第2のビーズミル14に至るように切り換えられる。次いで、ポンプ15を駆動し、供給槽12に収納された混練材料Eを第2のビーズミル14に供給する。第2のビーズミル14に混練材料Eが供給されると、ベッセル内に配設された分散用ディスクが周速度を12m/秒で回転され、このビーズミル14に供給された混練材料Eの分散処理が行われる。第2のビーズミル14を用いた混練材料Eの分散処理は、3分〜10分程度行われる。
【0065】
本発明においては、ビーズミルを用いることにより、予め固形分が27%〜30%になるまで希釈化されペースト状の混練材料Eに対し有効な剪断力を加えることができ、混練材料E中に含まれる磁性粉末の凝集体を確実に分散することができる。特に、ペースト状の混練材料Eの分散処理を、それぞれ大きさを異にするビーズを収納した第1及び第2のビーズミル13,14を用いて、多段階で分散処理を行っているので、例えば長軸長を100nm以下とするような微小粒子からなる磁性粉末の凝集を解消し均一に分散させた混練材料Eを得ることができる。
【0066】
特に、第1段の分散処理を大きな径のビーズを用いた大きさ剪断力を発揮し得る第1のビーズミル13により分散処理を行い、第2段の分散処理を第1段の分散に用いるビーズより小径のビーズを用いて行うようにしているので、微小粒子からなる磁性粉末を含み凝集を発生しやすい混練材料E中の凝集体を確実に分散させ、この凝集体を分散させた混練材料E中に含まれる微小粒子からなる磁性粉末を一層均一に溶媒中に分散させることができる。
【0067】
次に、上述したようなビーズミル装置11を用いて製造される上述した実施例の磁気記録媒体用磁性塗料中に含まれる磁性粉末Aの分散度をみる。
【0068】
磁気記録媒体用磁性塗料中に分散される磁性粉末Aの分散度は、ビーズミル装置11により分散処理される時間により変化することが見出された。以下に、ビーズミル装置11による分散処理時間と分散度を評価した結果を以下に示す。
【0069】
上述した工程を経て得られる磁気記録媒体用磁性塗料との対比するため、比較例を用意した。この比較例は、磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cを混合した混合材料を混練し、固形分が略50%になるまで希釈された混練材料を、固形分が30%になるように予め溶剤が投入されているタンクに投入し、2時間ディスパー撹拌したものである。即ち、比較例に用いられる磁気記録媒体用磁性塗料は、固形分を略50%とした混練材料に溶剤Fを順次滴下することによって希釈化された上述した混練材料Eとは製造の手法を異にするものである。
【0070】
実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料とも、まず、ビーズミル装置11の第1のビーズミル13に投入し、第1のビーズミル13を用いて15分間分散処理を行い、その後第2のビーズミル14を用いて9分間分散処理を行った。
【0071】
次に、ビーズミル装置11に滞留する所定時間毎に磁気記録媒体用磁性塗料を採取し、この採取した磁気記録媒体用磁性塗料をドクターブレードを用いて、磁気記録媒体を構成するシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に塗布し、その後乾燥させることにより磁気記録媒体を作製した。
【0072】
なお、実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料とも、非磁性支持体上に塗布する前に超音波を照射し、磁性粉末の更なる分散処理を行った。ここで、磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射する装置として日本精機社製の超音波ホモジナイザーUS−150Tを用いた。
【0073】
なお、非磁性支持体上に塗布するために、超音波を照射することにより得られる磁性粉末の分散度の評価については後述する。
【0074】
上述したように、超音波が照射された磁気記録媒体用磁性塗料を非磁性支持体上に塗布されて形成された磁気記録媒体は、2000ガウス(Guss)以上の磁場がかけられた磁界中で乾燥した。
【0075】
ここで得られた磁気記録媒体の表面粗さRa(算術平均粗さ)、磁気特性である磁性粉末の配向度Rsを測定し、磁性粉末の分散度を評価した。
【0076】
得られた磁気記録媒体の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、三次元測定計を用いて測定し、配向度Rsは、残留磁束密度(Br)と飽和磁束密度(Bs)との比、即ちBr/Bsとして求めた。
【0077】
ビーズミル装置11に滞留する所定時間毎に採取された実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料の表面粗さRa(算術平均粗さ)及び磁性粉末の配向度Rsを測定した結果を下記の表1、図3及び図4に示す。図3及び図4中、Gが実施例を示し、Hが比較例を示す。
【0078】
【表1】
【0079】
実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料は、ビーズミル装置11に、5分、10分、15分間滞留する毎に採取した。この15分までの滞留時間は、第1のビーズミル13に滞留されている時間である。更に、ビーズミル装置11に18分、21分、24分間滞留する毎に採取した。18分以降の滞留時間は、第1のビーズミル13に滞留した時間に加えて第2のビーズミル14に滞留した時間を加えたものである。ビーズミル装置11に18分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により3分間分散処理されたものである。同様に、21分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により6分間分散処理されたものであり、24分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により6分間分散処理されたものである。
【0080】
実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料とも、表1、図3及び図4からも明らかなように、ビーズミル装置11による分散処理時間が長くなるほど表面粗さRa(算術平均粗さ)が小さくなり、配向度Rsは大きくなる。実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料とも、第1のビーズミル13による分散処理時間に加えて第2のビーズミル14による分散処理時間を加えた全体の分散処理時間であるビーズミル装置11内の滞留時間が18分を超えると、表面粗さRa(算術平均粗さ)及び配向度Rsほぼ一定の状態になる。
【0081】
従って、本発明において、磁気記録媒体用磁性塗料として望ましい磁性粉末の分散度を得るためには、大径のビーズを用いた第1のビーズミル13により15分間の分散処理を行い、小径のビーズを用いた第2のビーズミル14による分散処理を3分以上行うことが望ましい。
【0082】
なお、本発明に係る大径のビーズを用いた第1のビーズミル13により分散処理と、小径のビーズを用いた第2のビーズミル14による分散処理とを多段に行う方法においては、磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cを混合した混合材料を混練し、固形分が略50%になるまで希釈された混練材料を、固形分が30%になるように予め溶剤が投入されているタンクに投入して希釈化した比較例の磁気記録媒体用磁性塗料をも十分に磁性粉末Aの分散を図ることが可能となる。
【0083】
次に、非磁性支持体上に塗布する前に超音波を照射し、磁性粉末の更なる分散処理を行った磁気記録媒体用磁性塗料と、超音波の照射を行わなかった磁気記録媒体用磁性塗料の磁性粉末の分散度の評価を行った。
【0084】
ここでの分散度の評価は、実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料を、それぞれドクターブレードを用いて磁気記録媒体を構成するシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に塗布し、その後乾燥させることにより磁気記録媒体を作製し、得られた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsを測定することによって行った。
【0085】
ここでの磁気記録媒体用磁性塗料への超音波の照射は、上述した一連の工程を経て製造された磁気記録媒体用磁性塗料中に含まれる再凝集した磁性粉末を再分散することを目的とするものである。
【0086】
磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)の測定は、磁気記録媒体の磁気記録媒体用磁性塗料が塗布された表面に入射角、反射角が45度となるようにして測定用の光を照射し、磁気記録媒体の表面から反射された光が入射される標準反射板の光沢度を測定することによって行われる。そして、標準反射板の光沢度を84%とするとき、この標準反射板に磁気記録媒体の表面から反射された光が入射されたときの光沢度をもって磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)として測定したものである。
【0087】
実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsの測定は、ビーズミル装置11に滞留する所定時間毎に採取された実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと、照射しないものとを比較した。
【0088】
ここでは、前述した表面粗さRa(算術平均粗さ)及び磁性粉末の配向度Rsを測定したときと同様に、評価に用いる磁気記録媒体用磁性塗料は、ビーズミル装置11に、5分、10分、15分間滞留する毎に採取した。この15分までの滞留時間は、第1のビーズミル13に滞留されている時間である。更に、ビーズミル装置11に18分、21分、24分間滞留する毎に採取した。18分以降の滞留時間は、第1のビーズミル13に滞留した時間に加えて第2のビーズミル14に滞留した時間を加えたものである。ビーズミル装置11に18分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により3分間分散処理されたものである。同様に、21分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により6分間分散処理されたものであり、24分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により6分間分散処理されたものである。
【0089】
それぞれの採取時間に応じて採取された磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと超音波を照射しないもののをそれぞれ非磁性支持体上に塗布して形成した記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsの測定の結果を以下の表2、図5及び図6に示す。
【0090】
図5及び図6中、UがGが超音波を照射した磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体の特性を示し、Nが超音波を照射しないものの特性を示す。
【0091】
【表2】
【0092】
超音波を照射した磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体は、表2、図5及び図6からも明らかなように、ビーズミル装置11による分散処理時間が長くなるほど、表面光沢(Gloss)が上がり、配向度Rsが大きくなり、第1のビーズミル13による分散処理時間に加えて第2のビーズミル14による分散処理時間を加えた全体の分散処理時間であるビーズミル装置11内の滞留時間が18分を超えると、表面光沢(Gloss)及び配向度Rsがほぼ一定の状態になる。
【0093】
これに対し、超音波を照射しない磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体にあっては、ビーズミル装置11内の滞留時間が18分を超えると、即ち、小径のビーズを用いた第2のビーズミル14による分散処理を行ったとき、表面光沢(Gloss)及び配向度Rsが劣化してしまう。これは、磁気記録媒体用磁性塗料中に含まれる微小な磁性粉末Aの凝集体が十分に粉砕されない状態にあり、微小化されたビーズによる撹拌により過分散され、再び再凝集が発生するためと考えられる。
【0094】
表2、図5及び図6の結果から、非磁性支持体上に塗布する前に超音波を照射し、磁性粉末の更なる分散処理を行うこことにより、微小粒径の磁性粉末を均一に分散させた磁気記録媒体用磁性塗料を製造することができ、表面性の良好な磁気記録媒体を製造することができる。
【0095】
ところで、本発明は、上述したように、大径のビーズを用いた第1のビーズミル13により分散処理と、小径のビーズを用いた第2のビーズミル14による分散処理とを施した混練材料Eに超音波を照射することにより、磁気記録媒体用磁性塗料中に含まれる磁性粉末の分散特性の改善を図るようにしているが、超音波照射前のビーズミル装置11による分散処理を行う際に用いるビーズの大きさによって超音波照射の有無における磁気記録媒体用磁性塗料の分散特性が変化する。この状態をいくつかの実施例とともに比較例を用意し、表面光沢(Gloss)及び配向度Rsを測定してその特性を評価した。
【0096】
以下に、いくつかの実施例と比較例とともに、これら実施例及び比較例において得られる磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び配向度Rsを示す。
【0097】
なお、各実施例及び比較例とも、固形分が27%〜30%になるまで希釈化されペースト状の混練材料Eを用いる。ここに混練される磁性粉末には、長軸長を100nm以下とする磁性粉末が用いられる。得られた磁気記録媒体用磁性塗料は、ドクターブレードを用いて磁気記録媒体を構成するシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に塗布され、その後乾燥されることにより磁気記録媒体を作製した、ここで、得られた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsを測定した。
【0098】
実施例1
実施例1は、上述したように、最初に分散処理を行う第1のビーズミル13に直径を0.5mmとするビーズを収納し、その後分散処理を行う第2のビーズミル14に直径を0.1mmとするビーズを収納し、ビーズミル装置11内の全体の滞留時間を24分、即ち、第1のビーズミル13による分散処理を15分間行い、第2のビーズミル14による分散処理を9分間行った。
【0099】
実施例2
実施例2は、第1のビーズミル13に直径を0.5mmとするビーズを収納し、その後分散処理を行う第2のビーズミル14に直径を0.3mmとするビーズを収納し、ビーズミル装置11内の全体の滞留時間を実施例と同様に24分として分散処理を行った。
【0100】
実施例3
実施例3は、第1のビーズミル13に直径を0.7mmとするビーズを収納し、その他は実施例1と同様に混練材料Eの分散処理を行った。
【0101】
比較例1
比較例1は、複数のビーズミルを用いて多段の分散処理を行うことなく、直径を0.7mmとするビーズを収納した第1のビーズミル13のみを用いて滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0102】
比較例2
比較例2も多段処理を行うことなく直径を0.5mmとするビーズを収納した第1のビーズミル13のみを用いて滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0103】
比較例3
比較例3も多段処理を行うことなく直径を0.1mmとするビーズを収納した第1のビーズミル13のみを用いて滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0104】
比較例4
比較例4は、最初に分散処理を行う第1のビーズミル13に直径を0.5mmとするビーズを収納し、その後分散処理を行う第2のビーズミル14に直径を0.4mmとするビーズを収納し、ビーズミル装置11内の全体の滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0105】
比較例5
比較例5は、第1及び第2のビーズミル13,14のそれぞれに直径を0.4mmとするビーズをを収納し、ビーズミル装置11内の全体の滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0106】
上述した各実施例及び比較例に用いるビーズには、ジルコニアビーズが用いられる。
【0107】
上述した実施例及び比較例に示すような条件で混練材料Eに分散処理を施して得られた各磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと照射しないものを用意し、それぞれをドクターブレードを用いて磁気記録媒体を構成するシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に塗布し、その後乾燥させることにより磁気記録媒体を作製し、得られた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsを測定した。その結果を、以下の表3に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
表3に示す結果から明らかなように、固形分が27%〜30%になるまで希釈化されペースト状の混練材料Eを、直径を0.5mm〜0.7mmのビーズを収納した第1のビーズミル13と、直径を0.3mm〜0.1mmのビーズを収納した第2のビーズミル14を用いて多段に分散処理し、この分散処理して得られた混練材料Eに超音波を照射して得られる磁気記録媒体用磁性塗料は、この塗料中に混練された金属磁性粉末の分散特性を向上することができる。
【0110】
【発明の効果】
上述したように、本発明は、磁性粉末と結合剤が混練された材料に溶剤を加えながら希釈混練して得られるペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練するので、長軸長を100nm以下の微小な磁性粉末を用いた場合でも溶媒中に均一に分散することができ、しかも、磁性粉末と結合剤を混練する混練機と溶剤を加えながら希釈混練する混練機を共通とすることにより、混練から希釈化の工程を一連に行うことができ、磁気記録媒体用磁性塗料の製造が容易となる。
【0111】
また、本発明は、磁性粉末と結合剤を含むペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練し、この希釈混練した材料を複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理するので、磁性粉末を溶剤中に一層均一に分散できる。
【0112】
更に、本発明は、分散処理された混練材料に超音波を照射して再分散処理を施しているので、効率よく非磁性支持体上に塗布することができる磁性塗料が得られ、この磁性塗料を用いることにより、記録再生特性の良好な高品質の磁性層を有する磁気記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、ペースト状の混練材料を製造し、これを更に分散処理して磁気記録媒体用磁性塗料を製造する工程を示す工程図である。
【図2】第1及び第2のビーズミルを備えたビーズミル装置を模式的に示す図である。
【図3】本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料と比較例の磁気記録媒体用磁性塗料をビーズミル装置により分散処理する時間と表面粗さRa(算術平均粗さ)との関係を示す特性図である。
【図4】本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料と比較例の磁気記録媒体用磁性塗料をビーズミル装置により分散処理する時間と配向度(Rs)との関係を示す特性図である。
【図5】ビーズミル装置による分散処理時間毎に採取した磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと超音波を照射しないものを用いた記録媒体の表面光沢(Gloss)を測定した結果を示す図である。
【図6】ビーズミル装置による分散処理時間毎に採取した磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと超音波を照射しないものを用いた記録媒体の配向度Rsを測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
11 ビーズミル装置、 12 供給槽、 13 第1のビーズミル、 14第2のビーズミル
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等の磁気記録媒体の磁性層を形成する磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体として、磁性粉末を結合剤中に分散させて調整された磁性塗料を非磁性支持体上に塗布することで磁性層を形成した所謂塗布型の磁気記録媒体が広く用いられている。
【0003】
この種の磁気記録媒体として、フィルム状若しくはシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に、非磁性粉末及び結合剤等を溶剤とともに分散させることで調整された下層用非磁性塗料が塗布されて下層塗膜として非磁性層を設け、この非磁性層上に磁性粉末及び結合剤を溶剤に分散させることで調整された磁性塗料を塗布して磁性層を設けたものが用いられている。
【0004】
磁気記録媒体として、磁気テープを収納したテープカートリッジにおいては、記録容量の高容量化が図られている。この種のテープカートリッジにおいて、記録容量の高容量化を図るためには、磁性層を形成する磁性粉末に微粒子粉を用い、高密度に磁性層中に充填させて線記録密度を上げることによって達成できる。
【0005】
このように高容量化が図られた磁気テープの磁性層を構成する磁性粉末として、長軸長を100nm以下の微粒子粉が用いられ、更には長軸長を数10nm以下とする微粒子粉が用いられる。このような数十nm以下の磁性粉末を用いることにより、カートリッジ本体に収納される磁気テープの1巻当たりの記録容量を大きくすることができる。
【0006】
磁気記録媒体の磁性層を形成する磁性粉末は、結合剤と混練され、更に溶媒によって希釈化された磁性塗料とされて磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布される。磁性塗料を構成する磁性粉末及び結合剤を混練し溶剤により希釈化されたペースト状の磁性材料は、サンドミル等のベッセル内に球状のビーズが収納されたビーズミルを用いて磁性粉末が溶媒中に均一に分散する分散処理が行われた後、非磁性支持体上に塗布される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、磁性粉末を結合剤とともに溶剤中に希釈化した磁性塗料は、溶媒中に分散される磁性粉末の粒径が小さくなればなるほど、磁性塗料中に存在する磁性粉末の粒子数の密度が高くなる。すなわち、磁性粉末の粒径が小さくなっていくと、一定の量の磁性塗料中に存在する混練希釈化される前の1次粒子の個数が増えていくので、磁性粉末を溶媒中に分散処理を行うベッセル中のビーズ個数が同じであれば、磁性粉末の粒子1個当たりで見たとき、単位時間内にビーズから受ける衝撃、剪断の回数が落ちいていくことになる。その結果、磁性塗料に用いられる磁性粉末が微小化すればするほど、磁性粉末の溶媒中への分散時間が増加し、効率良く磁性粉末を溶媒中に均一に分散した磁性塗料を得ることができなくなる。
【0008】
磁性粉末の溶媒中への効率の良い分散を行うためには、磁性粉末の微小化に合わせて分散に用いるビーズ径を小さくし、ベッセル内に存在するビーズの個数を増加することが考えられる。
【0009】
ベッセル内に存在するビーズ径が小さくなれば、各ビーズ間の間隔も小さくなり、磁性粉末の小さい凝集体に有効に剪断力を加えることができる。
【0010】
しかし、ベッセル内に存在するビーズ径が小さいと、個々のビーズの重量が軽量であるため、磁性粉末の凝集体に与える衝撃エネルギーが小さくなる。その結果、ビーズが凝集体に衝突しても大きな衝撃エネルギーを与えることができないため、大きな凝集体を粉砕することができない、特に、分散初期の磁性粉末の凝集体は、大きな凝集体であるため、微小化されたビーズにより粉砕することができない。
【0011】
粒子径の小さい磁性粉末は、溶媒中への分散が進んでいくと、一定単位の磁性塗料中に存在する粒子個数が増加していく。磁性粉末の分散が進み一定単位の磁性塗料中に含まれる磁性粉末の粒子個数が増加した磁性塗料は、ビーズミルから取り出された瞬間から、粒子間相互作用により再凝集が始まり、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布したときの表面性を劣化させてしまう。すなわち、再凝集した磁性粉末により磁気記録媒体の表面に大きな突起を発生させ、磁性層の表面粗さを劣化させてしまう。更に、再凝集した磁性粉末は、磁場中で配向しにくくなり、磁気記録媒体として形成したときの情報信号の記録再生特性を劣化させてしまう。
【0012】
また、微小粒子からなる磁性粉末を用いた磁性塗料は、磁性粉末の分散が進むほどネットワークの核となる磁性粉末の粒子個数が増加し、緻密なネットワーク構造を組むため、磁性塗料としての粘度が増加し、非磁性支持体の表面に薄く均一に塗布することが困難となってしまう。
【0013】
本発明の目的は、微小粒径の磁性粉末を均一に分散させた磁気記録媒体用磁性塗料を効率よく製造することができる磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に容易に塗布することができる磁気記録媒体用磁性塗料を得ることを可能とする磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の更に他の目的は、表面性の良好な磁気記録媒体を製造することが可能な磁気記録媒体用磁性塗料を容易にすることを可能とする磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述したような目的を達成するために提案される本発明は、磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、次いで、結合剤と磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら、磁性粉末と結合剤とを混練する混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、ここで得られたペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練して磁気記録媒体用磁性塗料を製造するものである。
【0017】
本発明は、磁性粉末と結合剤が混練された材料に溶剤を加えながら希釈混練して得られるペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練するので、微小な磁性粉末を溶媒中に均一に分散することができる。このとき、磁性粉末と結合剤を混練する混練機と溶剤を加えながら希釈混練する混練機を共通とすることにより、混練から希釈化の工程を一連に行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法は、磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、次いで、結合剤と磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら、磁性粉末と結合剤とを混練する混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、ここで得られたペースト状の混練材料を、径を異にするビーズを用いる複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理する。
【0019】
複数のビーズミルは、第1段及び第2段のビーズミルからなり、第1段のビーズミルには、直径を0.5mm以上とするジルコニアビーズが用いられ、第2段のビーズミルには、直径を0.3mm以下とするジルコニアビーズが用いられる。
【0020】
本発明は、溶剤に希釈された混練材料が、径を異にするビーズを用いる複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理されることにより、大きな凝集体から小さな凝集体へと順次粉砕して溶剤中への分散が図られる。
【0021】
更に、本発明方法に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法は、複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理された混練材料に振動若しくは衝撃を与えて再分散処理を行う。
【0022】
分散処理された混練材料に振動若しくは衝撃が与えられて再分散処理が図られることにより、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布される直前の磁性塗料に含有される磁性粉末を溶剤中に均一に分散でき、効率よく非磁性支持体上に塗布することができる磁気記録媒体用磁性塗料が得られる。
【0023】
更に、本発明に係る磁気記録媒体用塗料の製造方法は、磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、次いで、結合剤と上記磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら、磁性粉末と結合剤との混練に用いた混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、その後、ペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練して希釈混練材料を得、この希釈混練材料を径を異にするビーズを用いる複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理し、その後、分散処理された混練材料に振動若しくは衝撃を与えて再分散処理を行って磁気記録媒体用磁性塗料を製造するようにしたものである。
【0024】
本発明は、磁性粉末と結合剤を含むペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練し、この希釈混練した材料を複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理するので、磁性粉末を溶剤中に一層均一に分散でき、しかも、分散処理された混練材料を再分散処理を施しているので、効率よく非磁性支持体上に塗布することができる磁性塗料が得られ、この磁性塗料を用いることにより、記録再生特性の良好な高品質の磁性層を有する磁気記録媒体を得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法をさらに具体的に説明する。
【0026】
本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法は、まず、磁性粉末と結合剤と結合剤を用意する。ここで用いる磁性粉末としては、長軸長を100nm以下の微粒子が用いられ、更に好ましくは長軸長を数10nm以下とする微粒子粉が用いられる。長軸長を100nm以下とするものであれば、従来公知のものがいずれも使用可能であって、酸化物磁性粉末でもよく、金属磁性粉末であってもよい。酸化物磁性粉末としては、例えばγ−Fe2O3、Co含有γ−Fe2O3、Fe3O4、Co含有Fe3O4、Co被着γ−Fe2O3、Co被着Fe3O4、CrO2等が挙げられる。
【0027】
金属磁性粉末としては、例えば、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co−Ni、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等が挙げられ、さらにこれらの種々の特性を改善する目的でAl、Si、Ti、Cr、Mn、Cu、Zn等の金属成分やYを含む希土類元素が添加されたものであってもよい。さらに、Fe5C2等の炭化鉄、窒化鉄等も使用可能である。
【0028】
また、結合剤として塩化ビニールの粉体が用いられる。ここで用いられる塩化ビニールは、更に具体的に日本ゼオン社製の塩ビバインダーMR−110が用いられる。
【0029】
用意した磁性粉末A及び結合剤Bは、図1の工程図に示すように、混合機1に投入される。このとき、磁性粉末A及び結合剤Bとともに溶剤Cも混合機に投入される。ここで用いられる溶剤Cとしては、シクロヘキサノンが用いられる。
【0030】
磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cは、例えば、下記の割合で混合機1に投入される。
【0031】
磁性粉末A(長軸長100nm以下) 100重量部
結合剤B(塩ビバインダーMR−110) 17重量部
溶剤C(シクロヘキサノン) 29重量部
混合機1に投入された磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cは、混合機1によって混合撹拌され均一に分散混合された混合材料Dとなる。ここで、混合機1には、例えばプラネタリーミキサーが用いられる。
【0032】
混合機1によって磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cが分散混合された混合材料Dは、混練機2に投入され混練され、ペースト状の混練材料Eとされる。ここで、混練機2には、例えば2軸混練押し出し機が用いられる。
【0033】
磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cを上述した割合で混合され、その後混練して得られたペースト状の混練材料Eは、固形分が略80%となる。
【0034】
混練機2によって混練されたペースト状の混練材料Dには、更に希釈化するための溶剤Fが加えられて混練希釈化される。この混練希釈化は、混練材料Eを形成する混練機2に溶剤Fを連続して加えながら混練材料Dを段階希釈化することによって行われる。
【0035】
混練機2に加えられる溶剤Fとしては、シクロヘキサノン及びメチルエチルケトンが用いられる。シクロヘキサノンとメチルエチルケトンは、重量比で等しい割合で混合される。
【0036】
混練材料Eの更なる希釈化は、混練材料Eの固形分が略50%になるまで上述したシクロヘキサノンとメチルエチルケトンからなる溶剤Fを混練機2に連続的に加えながら行われる。
【0037】
固形分が略50%になるまで希釈された混練材料Eは、2軸混練押し出し機等の混練機を用いることなくプラネタリーミキサー等の混合機を用いて混合可能な柔らかさとされている。固形分が略50%になるまで希釈されたペースト状の混練材料Eは、混合機3に投入され再度の混練が行われ更なる希釈化が行われる。この希釈化は、混練材料Eが投入された混合機3に、上述した混練機2において加えられた溶剤Fと同様の溶剤Fを順次滴下することによって行われる。このとき、混練材料Eは、固形分が略30%になるまで希釈化される。
【0038】
ここで、混合機3には、プラネタリーミキサーを用いた。
【0039】
固形分が30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eは、粉砕機4に投入され、撹拌処理が施される。この粉砕機4を用いた撹拌処理は、混練材料E中に含まされる粒子の凝集やかたまりを粉砕し、混練材料Eの更なる均一化を図るものである。粉砕機4による撹拌処理は、概ね2時間程度行われる。
【0040】
固形分が30%になるまで希釈化された混練材料Eを撹拌処理する粉砕機4には、混練材料E中に含まされる粒子の凝集やかたまりの粉砕処理を行い得るものが用いられ、例えばディスパーションミル、プラネタリミキサー、ダブルプラネタリミキサー、ストーンミル、ディゾルバー等従来公知の装置が使用される。
【0041】
粉砕機4によって粒子の凝集やかたまりの粉砕処理が施され、溶剤C、F中に金属磁性粉末A、結合剤Bが均一に分散された混練材料Eは、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布される磁気記録媒体用磁性塗料として用いられる。
【0042】
ここで得られる磁気記録媒体用磁性塗料は、上述したような混練希釈化の工程を経て形成されることにより、長軸長を100nm以下とするような微粒子粉の磁性粉末を用いながら、この磁性粉末を結合剤ととともに溶剤中に均一に分散したものとすることができる。
【0043】
上述した磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法では、混合機1によって混合する過程で磁性粉末A及び結合剤Bに溶剤Cを加えているが、磁性粉末A及び結合剤Bを混合機1により混合した混合材料Dを製造し、この混合材料Dを混練機2により混練してペースト状の混練材料Eを製造するようにしてもよい。
【0044】
この場合にも、磁性粉末Aには、長軸長を100nm以下とする磁性粉末が用いられ、結合剤Bとして塩ビバインダーMR−110が用いられる。磁性粉末Aと結合剤Bは、磁性粉末A100重量部に対し結合剤B17重量部の割合で混合される。
【0045】
混練機2によって混練された磁性粉末Aと結合剤Bとからなるペースト状の混合材料Dには、前述した方法と同様に、更に希釈化するための溶剤Fが加えられて混練希釈化される。この混練希釈化も、混練材料Eを形成する混練機2に溶剤Fを連続して加えながら混合材料Dを段階希釈化することによって行われる。
【0046】
ここで用いる溶剤Fも、上述したようにシクロヘキサノン及びメチルエチルケトンを重量比で等しい割合で含むものが用いられる。
【0047】
混練機2によって混練される混練材料Eは、混練機2によって混練される過程で、溶剤Fが加えられて固形分が略50%になるまで希釈化される。固形分が略50%になるまで希釈されたペースト状の混練材料Eは、混合機3に投入され再度の混練が行われ更なる希釈化が行われる。この希釈化は、混練材料Eが投入された混合機3に、上述した混練機2において加えられた溶剤Fと同様の溶剤Fを順次滴下することによって行われる。このとき、混練材料Eは、固形分が略30%になるまで希釈化される。
【0048】
固形分が30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eは、粉砕機4に投入され撹拌処理が施されることにより、溶剤F中に磁性粉末A、結合剤Bが均一に分散された磁気記録媒体用磁性塗料として用いられる。
【0049】
ここで得られる磁気記録媒体用磁性塗料も、上述したような混練希釈化の工程を経て形成されることにより、長軸長を100nm以下とするような微粒子粉の磁性粉末を用いながら、この磁性粉末を結合剤ととともに溶剤中に均一に分散したものとされる。
【0050】
上述した磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cの混合割合は一例であって適宜の混合割合が選択される。
【0051】
また、希釈されたペースト状の混練材料Eを更に希釈化するために加えられる溶剤F中には、結合剤を加えるようにしてもよい。
【0052】
本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法においては、粉砕機4を用いた撹拌処理を終了した段階で溶剤中の固形分の割合が概ね27%〜30%となるように希釈化が図られることが望ましい。これは、磁気記録媒体用磁性塗料の粘性を考慮したものであり、具体的には、磁気記録媒体を構成する非磁性支持体上に塗布するときの塗布能率やダイヘッド装置を用いた塗布を行うときの塗布効率を考慮したものである。
【0053】
ところで、上述したように混合、混練の工程を経て、更に混練の途中で希釈化され、更なる希釈化が施され、その後撹拌処理が施されて金属磁性粉末を結合剤とともに溶媒中に混合分散させた磁気記録媒体用磁性塗料であっても、溶媒中に分散される磁性粉末として、長軸長を100nm以下とするような微粒子粉のものを用いているので、磁性塗料中に存在する磁性粉末の粒子数の密度が極めて高くなり、溶媒中に十分に均一に分散し得ないおそれがある。
【0054】
そこで、本発明は、上述した製造工程で得られた固形分が例えば27%〜30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eをビーズミルを用いた分散処理を行う。
【0055】
ビーズミルを用いた分散処理が施されるペースト状の混練材料として、粉砕機4により撹拌処理が施される前のプラネタリーミキサー用いた混合機3によって混合されたものが用いられる。
【0056】
なお、粉砕機4により撹拌処理が施された後の混練材料であってもよい。
【0057】
固形分が例えば27%〜30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eを分散処理するために用いられるビーズミル装置11は、図2に示すように、上述したように希釈化されたペースト状の混練材料Eが供給される供給槽12と、供給槽12から供給される混練材料Eを分散処理する第1及び第2のビーズミル13,14と、供給槽12に貯留された混練材料Eを第1又は第2のビーズミル13,14に供給するポンプ15と、供給槽12から供給される混練材料Eを第1のビーズミル13又は第2のビーズミル14に供給するように切り換える切換弁16とを備える。
【0058】
第1及び第2のビーズミル13,14は、それぞれベッセル内にビーズを収納している。第1及び第2のビーズミル13,14には、それぞれ大きさ、すなわち直径を異にするビーズが収納される。第1のビーズミル13には、第2のビーズミル14に収納されるものより大きなビーズが収納される。例えば、第1のビーズミル13には、直径を0.5mm以上とするビーズ13aが収納され、第2のビーズミル14には、直径を0.3mm以下とするビーズ14aが収納される。具体的には、第1のビーズミル13には、直径を0.5mmとするジルコニアビーズが収納され、第2のビーズミル14には、直径を0.1mmとするジルコニアビーズが収納されている。
【0059】
上述したような構成を備えたビーズミル装置11を用いて、固形分が例えば27%〜30%になるまで希釈化されたペースト状の混練材料Eを分散処理する工程を説明する。
【0060】
ペースト状の混練材料Eを分散処理するには、上述した工程を経て得られたペースト状の混練材料Eを供給槽12に投入する。次いで、供給槽12に投入された混練材料Eを、第2のビーズミル14に用いられるビーズより径の大きな直径を0.5mmとするビーズを収納した第1のビーズミル13に供給する。第1のビーズミル13のベッセルには、直径を0.5mmとするビーズが略80%まで充填されている。
【0061】
供給槽12に収納された混練材料Eを第1のビーズミル13に供給するには、切換弁16を操作し、供給槽12からの流路が第1のビーズミル13に至るように制御する。次いで、ポンプ15を駆動し、供給槽12に収納された混練材料Eを第1のビーズミル13に供給する。
【0062】
第1のビーズミル13に混練材料Eが供給されると、ベッセル内に配設された分散用ディスクが周速度を12m/秒で回転され、このビーズミル13に供給された混練材料Eの分散処理が行われる。第1のビーズミル13を用いた混練材料Eの分散処理は、5分〜15分程度行われる。
【0063】
第1のビーズミル13を用いて分散処理された混練材料Eは、再び供給槽12に戻され、第1のビーズミル13に用いられるビーズより小径の直径を0.1mmとするビーズを収納した第2のビーズミル14に供給する。第2のビーズミル14のベッセルにも、直径を0.1mmとするビーズが略80%まで充填されている。
【0064】
このとき、ビーズミル装置11の切換弁16は、供給槽12からの混練材料Eの供給流路が第2のビーズミル14に至るように切り換えられる。次いで、ポンプ15を駆動し、供給槽12に収納された混練材料Eを第2のビーズミル14に供給する。第2のビーズミル14に混練材料Eが供給されると、ベッセル内に配設された分散用ディスクが周速度を12m/秒で回転され、このビーズミル14に供給された混練材料Eの分散処理が行われる。第2のビーズミル14を用いた混練材料Eの分散処理は、3分〜10分程度行われる。
【0065】
本発明においては、ビーズミルを用いることにより、予め固形分が27%〜30%になるまで希釈化されペースト状の混練材料Eに対し有効な剪断力を加えることができ、混練材料E中に含まれる磁性粉末の凝集体を確実に分散することができる。特に、ペースト状の混練材料Eの分散処理を、それぞれ大きさを異にするビーズを収納した第1及び第2のビーズミル13,14を用いて、多段階で分散処理を行っているので、例えば長軸長を100nm以下とするような微小粒子からなる磁性粉末の凝集を解消し均一に分散させた混練材料Eを得ることができる。
【0066】
特に、第1段の分散処理を大きな径のビーズを用いた大きさ剪断力を発揮し得る第1のビーズミル13により分散処理を行い、第2段の分散処理を第1段の分散に用いるビーズより小径のビーズを用いて行うようにしているので、微小粒子からなる磁性粉末を含み凝集を発生しやすい混練材料E中の凝集体を確実に分散させ、この凝集体を分散させた混練材料E中に含まれる微小粒子からなる磁性粉末を一層均一に溶媒中に分散させることができる。
【0067】
次に、上述したようなビーズミル装置11を用いて製造される上述した実施例の磁気記録媒体用磁性塗料中に含まれる磁性粉末Aの分散度をみる。
【0068】
磁気記録媒体用磁性塗料中に分散される磁性粉末Aの分散度は、ビーズミル装置11により分散処理される時間により変化することが見出された。以下に、ビーズミル装置11による分散処理時間と分散度を評価した結果を以下に示す。
【0069】
上述した工程を経て得られる磁気記録媒体用磁性塗料との対比するため、比較例を用意した。この比較例は、磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cを混合した混合材料を混練し、固形分が略50%になるまで希釈された混練材料を、固形分が30%になるように予め溶剤が投入されているタンクに投入し、2時間ディスパー撹拌したものである。即ち、比較例に用いられる磁気記録媒体用磁性塗料は、固形分を略50%とした混練材料に溶剤Fを順次滴下することによって希釈化された上述した混練材料Eとは製造の手法を異にするものである。
【0070】
実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料とも、まず、ビーズミル装置11の第1のビーズミル13に投入し、第1のビーズミル13を用いて15分間分散処理を行い、その後第2のビーズミル14を用いて9分間分散処理を行った。
【0071】
次に、ビーズミル装置11に滞留する所定時間毎に磁気記録媒体用磁性塗料を採取し、この採取した磁気記録媒体用磁性塗料をドクターブレードを用いて、磁気記録媒体を構成するシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に塗布し、その後乾燥させることにより磁気記録媒体を作製した。
【0072】
なお、実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料とも、非磁性支持体上に塗布する前に超音波を照射し、磁性粉末の更なる分散処理を行った。ここで、磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射する装置として日本精機社製の超音波ホモジナイザーUS−150Tを用いた。
【0073】
なお、非磁性支持体上に塗布するために、超音波を照射することにより得られる磁性粉末の分散度の評価については後述する。
【0074】
上述したように、超音波が照射された磁気記録媒体用磁性塗料を非磁性支持体上に塗布されて形成された磁気記録媒体は、2000ガウス(Guss)以上の磁場がかけられた磁界中で乾燥した。
【0075】
ここで得られた磁気記録媒体の表面粗さRa(算術平均粗さ)、磁気特性である磁性粉末の配向度Rsを測定し、磁性粉末の分散度を評価した。
【0076】
得られた磁気記録媒体の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、三次元測定計を用いて測定し、配向度Rsは、残留磁束密度(Br)と飽和磁束密度(Bs)との比、即ちBr/Bsとして求めた。
【0077】
ビーズミル装置11に滞留する所定時間毎に採取された実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料の表面粗さRa(算術平均粗さ)及び磁性粉末の配向度Rsを測定した結果を下記の表1、図3及び図4に示す。図3及び図4中、Gが実施例を示し、Hが比較例を示す。
【0078】
【表1】
【0079】
実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料は、ビーズミル装置11に、5分、10分、15分間滞留する毎に採取した。この15分までの滞留時間は、第1のビーズミル13に滞留されている時間である。更に、ビーズミル装置11に18分、21分、24分間滞留する毎に採取した。18分以降の滞留時間は、第1のビーズミル13に滞留した時間に加えて第2のビーズミル14に滞留した時間を加えたものである。ビーズミル装置11に18分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により3分間分散処理されたものである。同様に、21分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により6分間分散処理されたものであり、24分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により6分間分散処理されたものである。
【0080】
実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料とも、表1、図3及び図4からも明らかなように、ビーズミル装置11による分散処理時間が長くなるほど表面粗さRa(算術平均粗さ)が小さくなり、配向度Rsは大きくなる。実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料とも、第1のビーズミル13による分散処理時間に加えて第2のビーズミル14による分散処理時間を加えた全体の分散処理時間であるビーズミル装置11内の滞留時間が18分を超えると、表面粗さRa(算術平均粗さ)及び配向度Rsほぼ一定の状態になる。
【0081】
従って、本発明において、磁気記録媒体用磁性塗料として望ましい磁性粉末の分散度を得るためには、大径のビーズを用いた第1のビーズミル13により15分間の分散処理を行い、小径のビーズを用いた第2のビーズミル14による分散処理を3分以上行うことが望ましい。
【0082】
なお、本発明に係る大径のビーズを用いた第1のビーズミル13により分散処理と、小径のビーズを用いた第2のビーズミル14による分散処理とを多段に行う方法においては、磁性粉末A、結合剤B及び溶剤Cを混合した混合材料を混練し、固形分が略50%になるまで希釈された混練材料を、固形分が30%になるように予め溶剤が投入されているタンクに投入して希釈化した比較例の磁気記録媒体用磁性塗料をも十分に磁性粉末Aの分散を図ることが可能となる。
【0083】
次に、非磁性支持体上に塗布する前に超音波を照射し、磁性粉末の更なる分散処理を行った磁気記録媒体用磁性塗料と、超音波の照射を行わなかった磁気記録媒体用磁性塗料の磁性粉末の分散度の評価を行った。
【0084】
ここでの分散度の評価は、実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料を、それぞれドクターブレードを用いて磁気記録媒体を構成するシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に塗布し、その後乾燥させることにより磁気記録媒体を作製し、得られた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsを測定することによって行った。
【0085】
ここでの磁気記録媒体用磁性塗料への超音波の照射は、上述した一連の工程を経て製造された磁気記録媒体用磁性塗料中に含まれる再凝集した磁性粉末を再分散することを目的とするものである。
【0086】
磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)の測定は、磁気記録媒体の磁気記録媒体用磁性塗料が塗布された表面に入射角、反射角が45度となるようにして測定用の光を照射し、磁気記録媒体の表面から反射された光が入射される標準反射板の光沢度を測定することによって行われる。そして、標準反射板の光沢度を84%とするとき、この標準反射板に磁気記録媒体の表面から反射された光が入射されたときの光沢度をもって磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)として測定したものである。
【0087】
実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsの測定は、ビーズミル装置11に滞留する所定時間毎に採取された実施例及び比較例の磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと、照射しないものとを比較した。
【0088】
ここでは、前述した表面粗さRa(算術平均粗さ)及び磁性粉末の配向度Rsを測定したときと同様に、評価に用いる磁気記録媒体用磁性塗料は、ビーズミル装置11に、5分、10分、15分間滞留する毎に採取した。この15分までの滞留時間は、第1のビーズミル13に滞留されている時間である。更に、ビーズミル装置11に18分、21分、24分間滞留する毎に採取した。18分以降の滞留時間は、第1のビーズミル13に滞留した時間に加えて第2のビーズミル14に滞留した時間を加えたものである。ビーズミル装置11に18分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により3分間分散処理されたものである。同様に、21分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により6分間分散処理されたものであり、24分滞留された磁気記録媒体用磁性塗料は、第1のビーズミル13により15分間分散処理され、その後第2のビーズミル14により6分間分散処理されたものである。
【0089】
それぞれの採取時間に応じて採取された磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと超音波を照射しないもののをそれぞれ非磁性支持体上に塗布して形成した記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsの測定の結果を以下の表2、図5及び図6に示す。
【0090】
図5及び図6中、UがGが超音波を照射した磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体の特性を示し、Nが超音波を照射しないものの特性を示す。
【0091】
【表2】
【0092】
超音波を照射した磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体は、表2、図5及び図6からも明らかなように、ビーズミル装置11による分散処理時間が長くなるほど、表面光沢(Gloss)が上がり、配向度Rsが大きくなり、第1のビーズミル13による分散処理時間に加えて第2のビーズミル14による分散処理時間を加えた全体の分散処理時間であるビーズミル装置11内の滞留時間が18分を超えると、表面光沢(Gloss)及び配向度Rsがほぼ一定の状態になる。
【0093】
これに対し、超音波を照射しない磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体にあっては、ビーズミル装置11内の滞留時間が18分を超えると、即ち、小径のビーズを用いた第2のビーズミル14による分散処理を行ったとき、表面光沢(Gloss)及び配向度Rsが劣化してしまう。これは、磁気記録媒体用磁性塗料中に含まれる微小な磁性粉末Aの凝集体が十分に粉砕されない状態にあり、微小化されたビーズによる撹拌により過分散され、再び再凝集が発生するためと考えられる。
【0094】
表2、図5及び図6の結果から、非磁性支持体上に塗布する前に超音波を照射し、磁性粉末の更なる分散処理を行うこことにより、微小粒径の磁性粉末を均一に分散させた磁気記録媒体用磁性塗料を製造することができ、表面性の良好な磁気記録媒体を製造することができる。
【0095】
ところで、本発明は、上述したように、大径のビーズを用いた第1のビーズミル13により分散処理と、小径のビーズを用いた第2のビーズミル14による分散処理とを施した混練材料Eに超音波を照射することにより、磁気記録媒体用磁性塗料中に含まれる磁性粉末の分散特性の改善を図るようにしているが、超音波照射前のビーズミル装置11による分散処理を行う際に用いるビーズの大きさによって超音波照射の有無における磁気記録媒体用磁性塗料の分散特性が変化する。この状態をいくつかの実施例とともに比較例を用意し、表面光沢(Gloss)及び配向度Rsを測定してその特性を評価した。
【0096】
以下に、いくつかの実施例と比較例とともに、これら実施例及び比較例において得られる磁気記録媒体用磁性塗料を用いた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び配向度Rsを示す。
【0097】
なお、各実施例及び比較例とも、固形分が27%〜30%になるまで希釈化されペースト状の混練材料Eを用いる。ここに混練される磁性粉末には、長軸長を100nm以下とする磁性粉末が用いられる。得られた磁気記録媒体用磁性塗料は、ドクターブレードを用いて磁気記録媒体を構成するシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に塗布され、その後乾燥されることにより磁気記録媒体を作製した、ここで、得られた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsを測定した。
【0098】
実施例1
実施例1は、上述したように、最初に分散処理を行う第1のビーズミル13に直径を0.5mmとするビーズを収納し、その後分散処理を行う第2のビーズミル14に直径を0.1mmとするビーズを収納し、ビーズミル装置11内の全体の滞留時間を24分、即ち、第1のビーズミル13による分散処理を15分間行い、第2のビーズミル14による分散処理を9分間行った。
【0099】
実施例2
実施例2は、第1のビーズミル13に直径を0.5mmとするビーズを収納し、その後分散処理を行う第2のビーズミル14に直径を0.3mmとするビーズを収納し、ビーズミル装置11内の全体の滞留時間を実施例と同様に24分として分散処理を行った。
【0100】
実施例3
実施例3は、第1のビーズミル13に直径を0.7mmとするビーズを収納し、その他は実施例1と同様に混練材料Eの分散処理を行った。
【0101】
比較例1
比較例1は、複数のビーズミルを用いて多段の分散処理を行うことなく、直径を0.7mmとするビーズを収納した第1のビーズミル13のみを用いて滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0102】
比較例2
比較例2も多段処理を行うことなく直径を0.5mmとするビーズを収納した第1のビーズミル13のみを用いて滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0103】
比較例3
比較例3も多段処理を行うことなく直径を0.1mmとするビーズを収納した第1のビーズミル13のみを用いて滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0104】
比較例4
比較例4は、最初に分散処理を行う第1のビーズミル13に直径を0.5mmとするビーズを収納し、その後分散処理を行う第2のビーズミル14に直径を0.4mmとするビーズを収納し、ビーズミル装置11内の全体の滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0105】
比較例5
比較例5は、第1及び第2のビーズミル13,14のそれぞれに直径を0.4mmとするビーズをを収納し、ビーズミル装置11内の全体の滞留時間を24分として混練材料Eの分散処理を行った。
【0106】
上述した各実施例及び比較例に用いるビーズには、ジルコニアビーズが用いられる。
【0107】
上述した実施例及び比較例に示すような条件で混練材料Eに分散処理を施して得られた各磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと照射しないものを用意し、それぞれをドクターブレードを用いて磁気記録媒体を構成するシート状の合成樹脂製の非磁性支持体上に塗布し、その後乾燥させることにより磁気記録媒体を作製し、得られた磁気記録媒体の表面光沢(Gloss)及び磁性粉末の配向度Rsを測定した。その結果を、以下の表3に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
表3に示す結果から明らかなように、固形分が27%〜30%になるまで希釈化されペースト状の混練材料Eを、直径を0.5mm〜0.7mmのビーズを収納した第1のビーズミル13と、直径を0.3mm〜0.1mmのビーズを収納した第2のビーズミル14を用いて多段に分散処理し、この分散処理して得られた混練材料Eに超音波を照射して得られる磁気記録媒体用磁性塗料は、この塗料中に混練された金属磁性粉末の分散特性を向上することができる。
【0110】
【発明の効果】
上述したように、本発明は、磁性粉末と結合剤が混練された材料に溶剤を加えながら希釈混練して得られるペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練するので、長軸長を100nm以下の微小な磁性粉末を用いた場合でも溶媒中に均一に分散することができ、しかも、磁性粉末と結合剤を混練する混練機と溶剤を加えながら希釈混練する混練機を共通とすることにより、混練から希釈化の工程を一連に行うことができ、磁気記録媒体用磁性塗料の製造が容易となる。
【0111】
また、本発明は、磁性粉末と結合剤を含むペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練し、この希釈混練した材料を複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理するので、磁性粉末を溶剤中に一層均一に分散できる。
【0112】
更に、本発明は、分散処理された混練材料に超音波を照射して再分散処理を施しているので、効率よく非磁性支持体上に塗布することができる磁性塗料が得られ、この磁性塗料を用いることにより、記録再生特性の良好な高品質の磁性層を有する磁気記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、ペースト状の混練材料を製造し、これを更に分散処理して磁気記録媒体用磁性塗料を製造する工程を示す工程図である。
【図2】第1及び第2のビーズミルを備えたビーズミル装置を模式的に示す図である。
【図3】本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料と比較例の磁気記録媒体用磁性塗料をビーズミル装置により分散処理する時間と表面粗さRa(算術平均粗さ)との関係を示す特性図である。
【図4】本発明に係る磁気記録媒体用磁性塗料と比較例の磁気記録媒体用磁性塗料をビーズミル装置により分散処理する時間と配向度(Rs)との関係を示す特性図である。
【図5】ビーズミル装置による分散処理時間毎に採取した磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと超音波を照射しないものを用いた記録媒体の表面光沢(Gloss)を測定した結果を示す図である。
【図6】ビーズミル装置による分散処理時間毎に採取した磁気記録媒体用磁性塗料に超音波を照射したものと超音波を照射しないものを用いた記録媒体の配向度Rsを測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
11 ビーズミル装置、 12 供給槽、 13 第1のビーズミル、 14第2のビーズミル
Claims (7)
- 磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、
次いで、上記結合剤と上記磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら上記混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、
その後、上記ペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練して磁気記録媒体用磁性塗料を製造する
ことを特徴とする磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法。 - 磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、
次いで、上記結合剤が混練された磁性粉末に溶剤を加えながら上記混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、
その後、上記得られた混練材料を径を異にするビーズを用いる複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理して磁気記録媒体用磁性塗料を製造する
ことを特徴とする磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法。 - 上記複数のビーズミルは、第1段及び第2段のビーズミルからなり、第1段のビーズミルには、直径を0.5mm以上とするジルコニアビーズが用いられ、第2段のビーズミルには、直径を0.3mm以下とするジルコニアビーズが用いられることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法。
- 磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、
次いで、上記結合剤が混練された磁性粉末に溶剤を加えながら上記混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、
その後、上記得られた混練材料を径を異にするビーズを用いる複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理し、
その後、上記分散処理された混練材料に振動若しくは衝撃を与えて再分散処理を行って磁気記録媒体用磁性塗料を製造する
ことを特徴とする磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法。 - 上記複数のビーズミルは、第1段及び第2段のビーズミルからなり、第1段のビーズミルには、直径を0.5mm以上とするジルコニアビーズが用いられ、第2段のビーズミルには、直径を0.3mm以下とするジルコニアビーズが用いられることを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法。
- 磁性粉末と結合剤とを混練機を用いて混練し、
次いで、上記結合剤と上記磁性粉末が混練された混練材料に溶剤を加えながら上記混練機を用いて希釈混練してペースト状の混練材料を得、
その後、上記ペースト状の混練材料に溶剤を段階的に滴下して希釈混練して希釈混練材料を得、
上記希釈混練材料を径を異にするビーズを用いる複数のビーズミルを用いて多段階に分散処理し、
その後、上記分散処理された混練材料に振動若しくは衝撃を与えて再分散処理を行って磁気記録媒体用磁性塗料を製造する
ことを特徴とする磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法。 - 上記複数のビーズミルは、第1段及び第2段のビーズミルからなり、第1段のビーズミルには、直径を0.5mm以上とするジルコニアビーズが用いられ、第2段のビーズミルには、直径を0.3mm以下とするジルコニアビーズが用いられることを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法。
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| JP2002180412A JP2004022158A (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | 磁気記録媒体用磁性塗料の製造方法 |
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| JP (1) | JP2004022158A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008200601A (ja) * | 2007-02-20 | 2008-09-04 | National Institute For Materials Science | 分散または粉砕装置及びビーズミル並びにこれらを用いた分散または粉砕方法 |
| JP2009142779A (ja) * | 2007-12-17 | 2009-07-02 | National Institute For Materials Science | ナノ粒子スラリーの分散・凝集制御方法 |
| JP2010046630A (ja) * | 2008-08-22 | 2010-03-04 | Asahi Kasei Corp | ナノ粒子分散体の製造方法 |
-
2002
- 2002-06-20 JP JP2002180412A patent/JP2004022158A/ja not_active Withdrawn
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