JP2004100532A - 内燃機関のパージ流量制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の運転状態が急変して目標パージ流量が大きく変化した場合であっても、制御パージ流量を目標パージ流量に迅速に追従させると共に、運転状態のわずかな変化によって制御パージ流量が大きく変動することを防止し、よって空燃比を安定させると共に、内燃機関の運転性を向上させることができるようにした内燃機関のパージ流量制御装置を提供する。
【解決手段】目標パージ流量QPGCMD(今回値)と前回の制御周期で算出されたパージ流量QPGC(k−1)との偏差に基づいて加算パージ流量(加減算値)DQPGCを算出し(S118)、算出した加算パージ流量DQPGCをパージ流量の前回値QPGC(k−1)に加算(加減算)することによってパージ流量QPGC(今回値)を算出する(S130からS132)。
【選択図】 図5
【解決手段】目標パージ流量QPGCMD(今回値)と前回の制御周期で算出されたパージ流量QPGC(k−1)との偏差に基づいて加算パージ流量(加減算値)DQPGCを算出し(S118)、算出した加算パージ流量DQPGCをパージ流量の前回値QPGC(k−1)に加算(加減算)することによってパージ流量QPGC(今回値)を算出する(S130からS132)。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関のパージ流量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の内燃機関には、燃料供給管および燃料タンクからインジェクタを介して燃料が供給される。また、燃料タンク内で発生した蒸発燃料はキャニスタに吸着され、キャニスタに吸着された蒸発燃料の一部は、パージ通路を介して内燃機関の吸気系にパージされる。パージ通路にはパージ制御バルブが設けられており、運転状態に従ってその開度を調節することにより、吸気系にパージされる蒸発燃料の流量が制御される。
【0003】
かかるパージが行なわれる場合、内燃機関に供給される燃料の総量は、インジェクタを介して供給される燃料量(以下「燃料噴射量」という)と、吸気系にパージされる蒸発燃料量の和となるため、空燃比制御を安定に精度良く行なうためには、内燃機関の運転状態に基づいてパージ流量を決定し、パージされる蒸発燃料量を最適に制御する必要がある。
【0004】
そのため、従来技術にあっては、内燃機関の運転状態(機関回転数および機関負荷)に基づいて設定される目標デューティ比(即ち、目標パージ流量)と設定デューティ比(電磁弁に供給される制御デューティ比。即ち、制御パージ流量)との偏差を算出し、設定デューティ比の方が小さいときは正の定数を設定デューティ比に加算し、設定デューティ比の方が大きいときは前記正の定数を設定デューティ比から減算することで、パージ流量を徐々に増加あるいは減少させて空燃比の変動を抑制するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−21744号公報(第3頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、設定デューティ比に加算あるいは減算される値が予め設定された定数であることから、内燃機関の運転状態が急変して目標パージ流量が大きく変化した場合、制御パージ流量の追従が遅れると共に、運転状態のわずかな変化によって制御パージ流量が大きく変動するおそれがあり、よって空燃比が不安定となると共に、所望の出力が得られず内燃機関の運転性が低下するおそれがあるという不具合があった。
【0007】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、内燃機関の運転状態が急変して目標パージ流量が大きく変化した場合であっても、制御パージ流量を目標パージ流量に迅速に追従させると共に、運転状態のわずかな変化によって制御パージ流量が大きく変動することを防止し、よって空燃比を安定させると共に、内燃機関の運転性を向上させることができるようにした内燃機関のパージ流量制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、請求項1項においては、燃料タンク内に発生した蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ手段、前記パージ手段を介して吸気系にパージするときの目標パージ流量を算出する目標パージ流量算出手段、および前記算出された目標パージ流量に基づいて制御パージ流量を算出する制御パージ流量算出手段、を備えた内燃機関のパージ流量制御装置において、前記算出された目標パージ流量と前記算出された制御パージ流量の前回値との偏差に基づいて前記制御パージ流量に加減算すべき加減算値を算出する加減算値算出手段、を備え、前記制御パージ流量算出手段は、前記制御パージ流量の前回値に前記算出された加減算値を加減算することにより、前記制御パージ流量を算出するように構成した。
【0009】
目標パージ流量(今回値)と制御パージ流量の前回値との偏差に基づいて前記制御パージ流量に加減算すべき加減算値、即ち、制御パージ流量の変動量を算出し、算出した加減算値を前記制御パージ流量の前回値に加減算することによって制御パージ流量(今回値)を算出するように構成したので、内燃機関の運転状態が急変して目標パージ流量が大きく変化した場合であっても、制御パージ流量を目標パージ流量に迅速に追従させることができる。また、運転状態のわずかな変化によって制御パージ流量が大きく変動することを防止でき、よって空燃比を安定させることができると共に、内燃機関の運転性を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の一つの実施の形態に係る内燃機関の空燃比制御装置を説明する。
【0011】
図1は、この実施の形態に係る内燃機関の空燃比制御装置の全体構成を示す概略図である。
【0012】
同図において符合10は内燃機関(以下「エンジン」という)を示し、エンジン10は、例えば直列4気筒のDOHCエンジンからなる。
【0013】
エンジン10の吸気管12にはスロットルバルブ14が配置される。スロットルバルブ14の付近にはスロットルバルブ開度センサ16が設けられ、スロットルバルブ14の開度(スロットル開度)θTHに応じた信号を出力する。
【0014】
スロットルバルブ14の下流のインテークマニホールド(図示せず)の直後の吸気ポート付近には、気筒(図示せず)ごとにインジェクタ(燃料噴射弁)20が設けられる。インジェクタ20は、燃料供給管22を介して燃料タンク24に接続され、燃料供給管22の途中に設けられた燃料ポンプ26によってガソリン燃料の圧送を受けて吸気ポートに噴射する。
【0015】
インジェクタ20と燃料ポンプ26の間には、図示しないレギュレータが設けられ、吸気管12から取り込まれる空気の圧力と燃料供給管22を介して供給される燃料の圧力との間の差圧を一定にするように動作し、燃料の圧力が高すぎるときは図示しないリターン管を通して余分な燃料を燃料タンク24に戻す。スロットルバルブ14を介して取り込まれた空気は、吸気管12を通り、インジェクタ20から噴射される燃料と混合してエンジン10の各気筒に供給される。
【0016】
吸気管12のスロットルバルブ14の下流側には、吸気管圧力センサ30および吸気温センサ32が装着され、それぞれ吸気管内圧力(エンジン負荷)PBAおよび吸気温TAを示す電気信号を出力する。また、エシジン10のシリンダブロックの冷却水通路(図示せず)には水温センサ34が取り付けられ、エンジン冷却水温TWに応じた信号を出力する。
【0017】
エンジン10のカム軸またはクランク軸(共に図示せず)の付近には気筒判別センサ36が取り付けられて特定の気筒が所定のクランク角度位置で気筒判別信号CYLを出力すると共に、TDCセンサ38およびクランク角センサ40が取り付けられ、各気筒のピストンのTDC位置に関連した所定のクランク角度位置でTDC信号と、TDC信号よりも周期の短いクランク角度(例えば30度)でCRK信号を出力する。
【0018】
エンジン10はエキゾーストマニホルド(図示せず)を介して排気管44に接続され、燃焼によって生じた排出ガスを排気管44の途中に設けられた触媒装置(三元触媒装置)46で浄化しつつ外部に排出する。排気管44の触媒装置46の上流位置には広域空燃比(LAF)センサ48が設けられ、リーンからリッチにわたる範囲において排出ガス中の酸素濃度に比例する出力を生じる。
【0019】
車両のドライブシャフト(図示せず)の付近には車速センサ52が配置され、ドライブシャフトの所定回ごとに信号を出力を生じる。また、図示しない車載バッテリにはバッテリ電圧センサ54が接続され、バッテリ電圧VBに応じた信号を出力する。さらに、車両の適宜位置には大気圧センサ56が設けられ、車両が位置する場所の大気圧PAに応じた信号を出力する。
【0020】
次いで、パージ機構(パージ手段)60について説明する。パージ機構60は、燃料タンク24、チャージ通路62、キャニスタ64、パージ通路66および後述する複数の制御バルブを備え、燃料タンク24からの蒸発燃料の漏洩を制御する。
【0021】
燃料タンク24は、チャージ通路62を介してキャニスタ64に接続される。チャージ通路62は、第1の分岐路62aと第2の分岐路62bを備える。チャージ通路62の燃料タンク24側には内圧センサ68が取り付けられ、チャージ通路62内の内圧を示す信号を出力する。
【0022】
第1の分岐路62aには二方向バルブ70が設けられる。二方向バルブ70は、2つの機械式のバルブ70aおよび70bを備える。バルブ70aは、タンク内圧が大気圧より所定量高くなったときに開く正圧弁であり、これが開弁状態にあると蒸発燃料がキャニスタ64に流れ、そこで吸着される。バルブ70bは、タンク内圧がキャニスタ64側の圧力より所定量低くなったとき開く負圧弁であり、これが開弁状態にあるとキャニスタ64に吸着された蒸発燃料が燃料タンク24に戻る。第2の分岐路62bには電磁弁であるバイパスバルブ72が設けられる。バイパスバルブ72は、通常は閉弁状態とされる。
【0023】
キャニスタ64は、蒸発燃料を吸着する活性炭を内蔵し、通路74を介して大気に連通する吸気口(図示せず)を備える。通路74の途中には、電磁弁であるべントシャットバルブ76が設けられる。ベントシャットバルブ76は、通常は開弁状態とされる。
【0024】
キャニスタ64は、パージ通路66を介して吸気管12のスロットルバルブ14の下流側、即ち吸気系に接続される。パージ通路66の途中には、電磁弁であるパージ制御バルブ78が設けられ、キャニスタ64に吸着された燃料は、パージ制御バルブ78を介してエンジン10の吸気系にパージされる。
【0025】
上記した各種センサの出力は、ECU(電子制御ユニット)80に送られる。
【0026】
ECU80はマイクロコンピュータからなり、制御演算を行なうCPU80aと、制御演算プログラムと各種のデータ(テーブルなど)を格納するROM80bと、CPU80aの制御演算結果などを一時的に記憶するRAM80cと、入力回路80dと、出力回路80eと、カウンタ(図示せず)を備える。
【0027】
上記した各種センサ出力は、ECU80の入力回路80dに入力される。入力回路80dは、入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベルに修正すると共に、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する。CPU80aはクランク角センサ40が出力するCRK信号をカウンタでカウントしてエンジン回転数NEを検出すると共に、車速センサ52が出力する信号をカウンタでカウントして車速の走行速度を示す車速VPを検出する。
【0028】
CPU80aはROM80bに格納されたプログラムに従って制御演算を実行し、出力回路80e(および図示しない駆動回路)を介してパージ制御バルブ78の駆動信号(通電指令値)を送出してパージ制御バルブ78の開度を連続的に調節し、パージ流量を制御すると共に、同様にバイパスバルブ72とベントシャットバルブ76の開度を調節することで、燃料タンク24からの蒸発燃料の排出を制御する。また、CPU80は、同様にしてインジェクタ24、点火装置(図示せず)などに駆動信号を出力する。
【0029】
次いで図2以降を参照し、この実施の形態に係る装置の動作、具体的にはECU80の動作について説明する。図2は、ECU80の動作を示すブロック図である。
【0030】
同図に示すように、この実施の形態に係る装置は燃料供給量算出部100を備える。燃料供給量算出部100は、各種センサの出力などが入力され、インジェクタ20を介して実際に噴射される燃料噴射量TCYLを式(1)によって算出する。
TCYL=TIM×(KTOTAL×KCMD×KAF−KAFEVACT)・・・式(1)
【0031】
上式で、TIMは基本燃料噴射量であり、具体的には、エンジン回転数NEおよび吸気管内圧力PBAなどからマップ検索して決定される基本燃料噴射量(インジェクタ30の開弁時間で示される)である。KTOTALは、各種センサからの検出信号に基づいて算出される補正係数であり、運転状態に応じてエンジンの燃費特性および加速特性等が最適化されるように設定される。また、KCMDは目標空燃比係数と呼ばれ、空燃比の目標値を当量比で表したものである。目標空燃比係数KCMDは、空燃比A/Fの逆数、すなわち燃空比F/Aに比例し、理論空燃比のとき値1.0となる。
【0032】
KAFは空燃比補正係数を示し、エンジンに供給される混合気の空燃比が目標空燃比に一致するように空燃比フィードバック制御を実行するための係数である。空燃比補正係数KAFは、LAFセンサ48によって検出される実空燃比に基づき、空燃比制御部102で算出される。尚、KAFEVACTは、パージ補正係数であり、燃料噴射量TCYLを減少方向に補正するための補正項である。パージ補正係数KAFEVACTの算出については後述する。
【0033】
インジェクタ20は、以上のようにして算出された燃料噴射量TCYLを実現する時間だけ開弁され、燃料タンク24内のガソリン燃料をエンジン10の各気筒の吸気ポートに噴射する。
【0034】
燃料供給量算出部100は、上記のように燃料噴射量TCYLを算出する一方、以下の式(2)に基づいて吸入空気量QAIRを算出(推定)する。
QAIR=TIM×NE×2×KQAIR×KPA・・・式(2)
【0035】
ここで、前述したように基本燃料噴射量TIMは吸気管内圧力PBAなどから決定されるため、KQAIRは、それによって決定される燃料噴射量を空気流量に換算するための係数であり、固定値(例えば、0.45L(リットル)/mms)とされる。また、KPAは、吸気管圧力PBAに応じた流量の変動を補正するための係数である。
【0036】
燃料供給量算出部100は、さらに、吸入空気量QAIRに対する蒸発燃料の割合、即ち、基本パージ流量QPGCBASEを、以下の式(3)に基づいて算出する。
QPGCBASE=QAIR×KQPGB・・・式(3)
【0037】
ここで、KQPGBは目標パージ率であり、例えば0.04に設定される。この場合、吸入空気量QAIRの4%に蒸発燃料を含めることを意味する。
【0038】
図3は、この実施の形態に係る装置の動作、より具体的にはECU80による吸入空気量QAIRおよび基本パージ流量QPGCBASEの算出動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、例えばTDCセンサ38からTDC信号が出力されるたびに実行される。
【0039】
以下説明すると、先ず、S10において、前述した式(2)に従って吸入空気量QAIRを求める。次いでS12に進み、前述した式(3)に従って基本パージ流量QPGCBASEを求める。
【0040】
図2の説明に戻ると、パージ流量算出部104は、燃料供給量算出部100で算出された基本パージ量QPGCBASEに基づき、目標パージ流量QPGCMDを以下の式(4)に従って算出する。目標パージ流量QPGCMDは、今回の制御周期においてエンジンの吸気系にパージするパージ流量の目標値を表す。
QPGCMD=QPGCBASE×KPGT・・・式(4)
【0041】
ここで、KPGTはパージ流量係数であり、1以下の値に設定される。この係数KPGTを変えることにより、目標パージ流量QPGCMDを制御することができる。尚、係数KPGTは、運転状態に応じて算出される。
【0042】
さらに、パージ流量算出部104は、算出した目標パージ流量QPGCMDと前回の制御周期(図3フロー・チャートの実行時刻)でパージしたパージ流量QPGC(k−1)の偏差に基づき、今回の制御周期でパージするパージ流量QPGC(即ち、制御パージ流量)を、以下の式(5)に基づいて算出する。
QPGC(k)=QPGC(k−1)+(QPGCMD−QPGC(k−1))×KDQPGC・・・式(5)
【0043】
ここで、kは制御周期(離散系のサンプル時間)を示し、(k)は今回の制御周期(今回のプログラム実行時刻)を示し、(k−n)はn回前の制御周期を示す。KDQPGCは予め決められた固定値(例えば0.003)である。式(5)から明らかなように、パージ流量QPGCは、徐々に目標パージ流量QPGCMDに達するように制御される。
【0044】
パージ制御バルブ駆動量算出部106は、パージ流量算出部104で算出されたパージ流量QPGCが吸気系にパージされるように、パージ制御バルブ78を駆動するデューティ比PGCMDを、以下の式(6)に従って算出する。デューティ比は、パージ制御バルブを開弁している比率を表す。
PGCMD=PGCMD0+DPGCVBX+DPGC0PGCMD0=QPGC×KDUTY/KDPBG・・・式(6)
【0045】
ここで、KDUTYは、パージ流量をデューティ比に換算するための係数であり、固定値(例えば3.8%・min/L)とされる。KDPBGは、パージ制御バルブ78の前後の差圧に応じて開度が変化するので、それを補正するための係数である。PGCMD0は、パージ流量QPGCに対応するデューティ比を表し、以下「目標デューティ比」と呼ぶ。DPGCVBXおよびDPGC0は、それぞれ、バッテリ電圧VBおよび吸気管圧力PBAの如何によってパージ制御バルブ78が開き始めるまでに遅れが生ずるので、この遅れ(無効時間)を補正する係数である。
【0046】
パージ制御バルブ駆動量算出部106は、算出したデューティ比PGCMDに対し、所定の上限値および下限値でリミット処理を行い、最終デューティ比DOUTPGCを出力する。パージ制御バルブ78は、この最終デューティ比DOUTPGCに従って開閉が制御される。
【0047】
また、レート算出部108は、算出した最終デューティ比DOUTPGCに基づき、以下の式(7)に従ってデューティレートPGRATEを算出する。
PGRATE=(DOUTPGC−DPGCVBX−DPGC0)/PGCMD0・・・式(7)
【0048】
ここで、デューティレートPGRATEは、パージ流量QPGCの目標デューティ比PGCMD0に対する、実際のデューティ比(無効時間を差し引いたもの)の割合を示す。従って、QPGCにPGRATEを乗じた値が、今回の制御周期においてパージ制御バルブ78によってパージされる実際のパージ流量を示す。
【0049】
図4は、最終デューティ比DOUTPGCの算出動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、例えば80msecごとに実行される。
【0050】
以下説明すると、先ず、S20においてパージ流量QPGCを求める。
【0051】
図5は、パージ流量QPGCの算出動作を示すサブルーチン・フロー・チャートである。以下同図を参照してパージ流量QPGCの算出動作について説明すると、先ず、S100において、パージ流量係数KPGTを求める。パージ流量係数KPGTは、前記したように運転状態に応じて算出される。
【0052】
次いでS102に進み、前述した式(4)に従って基本パージ流量QPGCBASEに係数KPGTを乗算した値を一時変数qpgcmdとし、S104に進んで一時変数qpgcmdが予め設定された上限値QPGMAX(例えば30L/min)よりも大きいか否か判断する。S104で肯定されるときは、S105に進んで上限値QPGMAXを目標パージ流量QPGCMDとする一方、S104で否定されるときは、次いでS106に進み、一時変数qpgcmdが予め設定された下限値QPGMIN(例えば1L/min)よりも小さいか否か判断する。
【0053】
S106で肯定されるときはS108に進んで下限値QPGMINを目標パージ流量QPGCMDとすると共に、S106で否定されるとき、即ち、一時変数qpgcmdが上限値QPGMAXと下限値QPGMINの間にあるときは、S110に進み、一時変数qpgcmdを目標パージ流量QPGCMDとする。
【0054】
次いで、S112に進み、パージ許可フラグF.NEPGACTのビットが1にセットされているか否か判断する。パージ許可フラグF.NEPGACT(初期値0)は、そのビットが1にセットされているとき、パージの実行が許可されていることを示す。S112で肯定されるときは、次いでS114に進み、パージカット要求フラグF.PGREQのビットが1にセットされているか否か判断する。パージカット要求フラグF.PGREQ(初期値0)は、そのビットが1にセットされているとき、パージカットの要求がなされていることを示す。
【0055】
S114で肯定されるときは、次いでS116に進み、前回の制御周期(プログラム実行時刻)で算出されたパージ流量QPGC(k−1)から所定値DQPGCOBD(例えば2L/min)を減算して得た値を一時変数qpgcとする。尚、一時変数qpgcとは、後述するステップでパージ流量QPGC(今回値)とされる値である。即ち、パージカットの要求がなされているときは、パージ流量QPGCを所定値DQPGCOBDずつ減少させることで、パージをスムーズに終了させるようにする。
【0056】
他方、S114で否定されるときはS118に進み、目標パージ流量QPGCMDから前回の制御周期で算出されたパージ流量QPGC(k−1)を減算した値(偏差)にパージ加算係数KDQPGCを乗じて得た値を一時変数dqpgcとする。ここで、パージ加算係数KDQPGCとは、前記した偏差に対してどれくらいをパージ流量として加算すべきかを定める係数(例えば0.003)である。
【0057】
次いでS120に進み、一時変数dqpgcの値が、予め決められた上限値DQPGCMAX(例えば2L/min)以上か否か判断する。S120で肯定されるときはS122に進み、上限値DQPGCMAXを加算パージ流量DQPGCとする。他方、S120で否定されるときはS124に進み、一時変数dqpgcの値が、予め決められた下限値DQPGCMIN(例えば0.2L/min)以下か否か判断する。
【0058】
S124で肯定されるときはS126に進み、下限値DQPGCMINを加算パージ流量DQPGCとする。他方、S124で否定されるときはS128に進み、一時変数dqpgcを加算パージ流量DQPGCとする。
【0059】
次いでS130に進み、前回の制御周期で算出されたパージ流量QPGC(k−1)に加算パージ流量DQPGCを加算した値を一時変数qpgcとし、S132で一時変数qpgcを今回の制御周期でパージすべきパージ流量QPGCとする。尚、S112において、パージ許可フラグF.NEPGACTのビットが1ではないと判断されるときは、S134に進んでパージ流量QPGCを零とする。
【0060】
このように、目標パージ流量QPGCMD(今回値)と前回の制御周期で算出されたパージ流量QPGC(k−1)との偏差に基づいて加算パージ流量DQPGCを算出し、算出した加算パージ流量DQPGCをパージ流量の前回値QPGC(k−1)に加算することによってパージ流量QPGC(今回値)を算出するようにした、換言すれば、前記した偏差が大きくなるにつれてパージ流量QPGCの変動量である加算パージ流量DQPGCを大きく設定するようにしたので、エンジン10の運転状態が急変して目標パージ流量QPGCMDが大きく変化した場合であっても、加算パージ流量DQPGCが大きな値に設定されることから、パージ流量QPGCを目標パージ流量QPGCMDに迅速に追従させることができる。
【0061】
また、エンジン10の運転状態の変化がわずかな場合は、加算パージ流量DQPGCが小さな値に設定されることから、パージ流量QPGCが大きく変動することがなく、よって空燃比を安定させることができると共に、エンジン10の運転性を向上させることができる。
【0062】
尚、目標パージ流量QPGCMDとパージ流量の前回値QPGC(k−1)との偏差が正値(即ち、目標パージ流量QPGCMDの方が大きい)ならば、加算パージ流量DQPGCも正値となるため、パージ流量QPGCは増加する。他方、目標パージ流量QPGCMDとパージ流量の前回値QPGC(k−1)との偏差が負値(即ち、目標パージ流量QPGCMDの方が小さい)ならば、加算パージ流量DQPGCも負値となるため、パージ流量QPGCは減少する。従って、加算パージ流量DQPGCとは、加算値のみならず、減算値の意味を含むものとして使用する。
【0063】
また、その意味から、S120とS124において加算パージ流量DQPGC(具体的にはその一時変数dqpgc)の上下限のリミットチェックを行ない、パージ流量QPGCの変動量(増加量および減少量)が極端に大きくなることを防止している。
【0064】
図4フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS22に進み、S20で算出したパージ流量QPGCが零か否か判断する。S22で肯定されるとき、即ち、蒸発燃料をパージしないときは、次いでS24に進んでデューティ比PGCMDを零とする。他方、S22で否定されるときは、S26に進んでパージ制御バルブ78を駆動する周期を、例えば0.80msecに設定する。
【0065】
次いでS28に進み、バッテリ電圧VBに応じたパージ制御バルブ78の無効時間を補正するため、DPGCVBXテーブル(図示せず)をバッテリ電圧VBに基づいて検索し、無効時間DPGCVBXを求める。DPGCVBXテーブルは、バッテリ電圧が大きくなるほど無効時間DPGCVBXが小さくなるように設定される。
【0066】
次いでS30に進み、パージ制御バルブ78の前後の差圧に起因するデューティ比変動を補正するため、KDPBGテーブル(図示せず)を吸気管圧力PBAと大気圧PAとの偏差に基づいて検索し、差圧補正値KDPBGを求める。KDPBGテーブルは、吸気管圧力PBAと大気圧PAとの偏差が大きくなるほど、差圧補正値KDPBGが大きくなるように設定される。
【0067】
次いでS32に進み、吸気管圧力PBAと大気圧PAとの偏差に応じたパージ制御バルブ78の無効時間を補正するため、DPGC0テーブル(図示せず)を吸気管圧力PBAと大気圧PAとの偏差に基づいて検索し、無効時間DPGC0を求める。DPGC0テーブルは、偏差が大きくなるほど無効時間DPGC0が大きくなるようにその特性が設定される。次いでS34およびS36に進み、前述した式(6)に従い、デューティ比PGCMDを求める。
【0068】
次いでS38において、デューティ比PGCMDが予め決められた上限値DOUTPGH(例えば95%)以上か否か判断する。S38で肯定されるときは次いでS40に進み、最終デューティ比DOUTPGCを上限値DOUTPGHとする。他方、S38で否定されるときは、S42に進み、デューティ比PGCMDが予め決められた下限値DOUTPGL(例えば5%)以下か否か判断する。S42で肯定されるときは、S44で最終デューティ比DOUTPGCを零とする。さらに、S46において、デューティレートPGRATEおよびパージ流量レートQRATE(後述)の値を零とすると共に、高濃度補正係数KKEVG(後述)の値を1.0とする。
【0069】
一方、S42で否定されるとき、即ち、最終デューティ比DOUTPGCが上限値DOUTPGHと下限値DOUTPGLの間にあるときは、S48で最終デューティ比DOUTPGCをデューティ比PGCMDとし、次いでS50で前述した式(7)に従ってデューティレートPGRATEを求める。尚、S38で肯定されてS40を通過した後も、S50に進んでデューティレートPGRATEを算出する。
【0070】
図2の説明に戻ると、輸送遅れ期間算出部110は、エンジン回転数NEに基づいて輸送遅れ期間CPGDLYRXを算出する。輸送遅れ期間CPGDLYRXとは、蒸発燃料がパージ通路にパージされてからエンジン10の吸気系に送られるまでの時間的な遅れを示す。輸送遅れ期間CPGDLYRXは整数nで表され、nが大きくなるにつれて輸送遅れが大きいことを示す。尚、代替的に、輸送遅れ期間を、エンジン回転数NEの代わりに吸入空気量QAIRに基づいて算出するようにしても良い。
【0071】
ベーパ濃度算出手段112は、空燃比制御部102で算出された空燃比係数KAFや目標空燃比KCMD、および検出された実空燃比KACTなどに基づき、べーパ濃度係数KAFEVを算出する。
【0072】
また、高濃度補正係数算出部114は、パージ係数算出手段112で算出されたべーパ濃度係数KAFEVなどに基づき、高濃度補正係数KKEVGを算出する。蒸発燃料の濃度が高いほど空燃比に対する影響度が大きいので、高濃度補正係数KKEVGは、これを補正するための係数である。
【0073】
パージ補正係数算出部116は、上記のようにして算出された各種の値に基づき、以下の式(8)に従って目標パージ補正係数KAFEVACZを算出する。
KAFEVACZ=KAFEV×PGRATE×QRATE・・・式(8)
【0074】
ここで、QRATEはパージ流量レートであり、以下の式(9)に従って算出される。
QRATE=QPGC/QPGCBASE・・・式(9)
【0075】
式(7)および式(9)から明らかなように、デューティレートPGRATEにパージ流量レートQRATEを乗じた値「PGRATE×QRATE」は、今回の制御周期において吸気系にパージされるパージ流量の割合を表す。また、蒸発燃料の空燃比に対する影響度はべーパ濃度係数KAFEVに依存して表されるので、「PGRATE×QRATE」にべーパ濃度係数KAFEVを乗算することにより、目標とすべきパージ補正係数を正確に求めることができる。
【0076】
パージ補正係数算出部116は、算出した目標パージ補正係数KAFEVACZに基づき、以下の式(10)に従ってパージ補正係数KAFEVACTを算出する。
KAFEVACT=KAFEVACZ×KKEVG・・・式(10)
【0077】
ここで、パージ補正係数KAFEVACTは、要求燃料に対するパージ流量QPGCが寄与する燃料量の割合を示す。パージ流量QPGCが寄与する燃料量の割合は、上記のように先ず目標パージ補正係数KAFEVACZとして算出され、これに高濃度補正係数KKEVGを乗算して補正した値が、最終的なパージ補正係数KAFEVACTとして設定される。
【0078】
燃料供給量算出部100は、このようにして算出されたパージ補正係数KAFEVACTに基づき、前述の式(1)に従って燃料噴射量TCYL(インジェクタ20を介して供給すべき燃料量)を減少方向に補正する。これにより、エンジン10に供給される燃料の総量が適正となり、実空燃比KACTが目標空燃比に正確に追従制御される。
【0079】
以上のように、この実施の形態にあっては、燃料タンク24内に発生した蒸発燃料を内燃機関(エンジン)10の吸気系(吸気管12)にパージするパージ手段(パージ機構60)、前記パージ手段を介して吸気系にパージするときの目標パージ流量QPGCMDを算出する目標パージ流量算出手段(ECU80、パージ流量算出部104、S100からS110)、および前記算出された目標パージ流量QPGCMDに基づいて制御パージ流量(パージ流量)QPGCを算出する制御パージ流量算出手段(ECU80、パージ流量算出部104、S20,S112からS134)、を備えた内燃機関のパージ流量制御装置において、前記算出された目標パージ流量QPGCMDと前記算出された制御パージ流量の前回値QPGC(k−1)との偏差に基づいて前記制御パージ流量QPGCに加減算すべき加減算値(加算パージ流量)DQPGCを算出する加減算値算出手段(ECU80、パージ流量算出部104、S20,S118からS128)、を備え、前記制御パージ流量算出手段は、前記制御パージ流量の前回値QPGC(k−1)に前記算出された加減算値DQPGCを加減算することにより、前記制御パージ流量QPGCを算出する(S130,S132)ように構成した。
【0080】
尚、上記において、空燃比センサとして広域空燃比センサを用いたが、その他のセンサ、例えばO2 センサであっても良い。
【0081】
また、この発明は、エンジンの出力軸を鉛直方向とした、船外機などの船舶推進用エンジンの空燃比制御装置にも適用することができる。
【0082】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、目標パージ流量(今回値)と制御パージ流量の前回値との偏差に基づいて前記制御パージ流量に加減算すべき加減算値、即ち、制御パージ流量の変動量を算出し、算出した加減算値を前記制御パージ流量の前回値に加減算することによって制御パージ流量(今回値)を算出するように構成したので、内燃機関の運転状態が急変して目標パージ流量が大きく変化した場合であっても、制御パージ流量を目標パージ流量に迅速に追従させることができる。また、運転状態のわずかな変化によって制御パージ流量が大きく変動することを防止することができ、よって空燃比を安定させることができると共に、内燃機関の運転性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る内燃機関のパージ流量制御装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す装置のECUの動作を示すブロック図である。
【図3】図1に示す装置のECUの動作のうち、吸入空気量の算出動作を示すフロー・チャートである。
【図4】図1に示す装置のECUの動作のうち、最終デューティ比の算出動作を示すフロー・チャートである。
【図5】図4に示すフロー・チャートにおける、パージ流量の算出動作を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関(エンジン)
12 吸気管
20 インジェクタ(燃料噴射弁)
24 燃料タンク
60 パージ機構
80 ECU(電子制御ユニット)
104 パージ流量算出部
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関のパージ流量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の内燃機関には、燃料供給管および燃料タンクからインジェクタを介して燃料が供給される。また、燃料タンク内で発生した蒸発燃料はキャニスタに吸着され、キャニスタに吸着された蒸発燃料の一部は、パージ通路を介して内燃機関の吸気系にパージされる。パージ通路にはパージ制御バルブが設けられており、運転状態に従ってその開度を調節することにより、吸気系にパージされる蒸発燃料の流量が制御される。
【0003】
かかるパージが行なわれる場合、内燃機関に供給される燃料の総量は、インジェクタを介して供給される燃料量(以下「燃料噴射量」という)と、吸気系にパージされる蒸発燃料量の和となるため、空燃比制御を安定に精度良く行なうためには、内燃機関の運転状態に基づいてパージ流量を決定し、パージされる蒸発燃料量を最適に制御する必要がある。
【0004】
そのため、従来技術にあっては、内燃機関の運転状態(機関回転数および機関負荷)に基づいて設定される目標デューティ比(即ち、目標パージ流量)と設定デューティ比(電磁弁に供給される制御デューティ比。即ち、制御パージ流量)との偏差を算出し、設定デューティ比の方が小さいときは正の定数を設定デューティ比に加算し、設定デューティ比の方が大きいときは前記正の定数を設定デューティ比から減算することで、パージ流量を徐々に増加あるいは減少させて空燃比の変動を抑制するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−21744号公報(第3頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、設定デューティ比に加算あるいは減算される値が予め設定された定数であることから、内燃機関の運転状態が急変して目標パージ流量が大きく変化した場合、制御パージ流量の追従が遅れると共に、運転状態のわずかな変化によって制御パージ流量が大きく変動するおそれがあり、よって空燃比が不安定となると共に、所望の出力が得られず内燃機関の運転性が低下するおそれがあるという不具合があった。
【0007】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、内燃機関の運転状態が急変して目標パージ流量が大きく変化した場合であっても、制御パージ流量を目標パージ流量に迅速に追従させると共に、運転状態のわずかな変化によって制御パージ流量が大きく変動することを防止し、よって空燃比を安定させると共に、内燃機関の運転性を向上させることができるようにした内燃機関のパージ流量制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、請求項1項においては、燃料タンク内に発生した蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ手段、前記パージ手段を介して吸気系にパージするときの目標パージ流量を算出する目標パージ流量算出手段、および前記算出された目標パージ流量に基づいて制御パージ流量を算出する制御パージ流量算出手段、を備えた内燃機関のパージ流量制御装置において、前記算出された目標パージ流量と前記算出された制御パージ流量の前回値との偏差に基づいて前記制御パージ流量に加減算すべき加減算値を算出する加減算値算出手段、を備え、前記制御パージ流量算出手段は、前記制御パージ流量の前回値に前記算出された加減算値を加減算することにより、前記制御パージ流量を算出するように構成した。
【0009】
目標パージ流量(今回値)と制御パージ流量の前回値との偏差に基づいて前記制御パージ流量に加減算すべき加減算値、即ち、制御パージ流量の変動量を算出し、算出した加減算値を前記制御パージ流量の前回値に加減算することによって制御パージ流量(今回値)を算出するように構成したので、内燃機関の運転状態が急変して目標パージ流量が大きく変化した場合であっても、制御パージ流量を目標パージ流量に迅速に追従させることができる。また、運転状態のわずかな変化によって制御パージ流量が大きく変動することを防止でき、よって空燃比を安定させることができると共に、内燃機関の運転性を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の一つの実施の形態に係る内燃機関の空燃比制御装置を説明する。
【0011】
図1は、この実施の形態に係る内燃機関の空燃比制御装置の全体構成を示す概略図である。
【0012】
同図において符合10は内燃機関(以下「エンジン」という)を示し、エンジン10は、例えば直列4気筒のDOHCエンジンからなる。
【0013】
エンジン10の吸気管12にはスロットルバルブ14が配置される。スロットルバルブ14の付近にはスロットルバルブ開度センサ16が設けられ、スロットルバルブ14の開度(スロットル開度)θTHに応じた信号を出力する。
【0014】
スロットルバルブ14の下流のインテークマニホールド(図示せず)の直後の吸気ポート付近には、気筒(図示せず)ごとにインジェクタ(燃料噴射弁)20が設けられる。インジェクタ20は、燃料供給管22を介して燃料タンク24に接続され、燃料供給管22の途中に設けられた燃料ポンプ26によってガソリン燃料の圧送を受けて吸気ポートに噴射する。
【0015】
インジェクタ20と燃料ポンプ26の間には、図示しないレギュレータが設けられ、吸気管12から取り込まれる空気の圧力と燃料供給管22を介して供給される燃料の圧力との間の差圧を一定にするように動作し、燃料の圧力が高すぎるときは図示しないリターン管を通して余分な燃料を燃料タンク24に戻す。スロットルバルブ14を介して取り込まれた空気は、吸気管12を通り、インジェクタ20から噴射される燃料と混合してエンジン10の各気筒に供給される。
【0016】
吸気管12のスロットルバルブ14の下流側には、吸気管圧力センサ30および吸気温センサ32が装着され、それぞれ吸気管内圧力(エンジン負荷)PBAおよび吸気温TAを示す電気信号を出力する。また、エシジン10のシリンダブロックの冷却水通路(図示せず)には水温センサ34が取り付けられ、エンジン冷却水温TWに応じた信号を出力する。
【0017】
エンジン10のカム軸またはクランク軸(共に図示せず)の付近には気筒判別センサ36が取り付けられて特定の気筒が所定のクランク角度位置で気筒判別信号CYLを出力すると共に、TDCセンサ38およびクランク角センサ40が取り付けられ、各気筒のピストンのTDC位置に関連した所定のクランク角度位置でTDC信号と、TDC信号よりも周期の短いクランク角度(例えば30度)でCRK信号を出力する。
【0018】
エンジン10はエキゾーストマニホルド(図示せず)を介して排気管44に接続され、燃焼によって生じた排出ガスを排気管44の途中に設けられた触媒装置(三元触媒装置)46で浄化しつつ外部に排出する。排気管44の触媒装置46の上流位置には広域空燃比(LAF)センサ48が設けられ、リーンからリッチにわたる範囲において排出ガス中の酸素濃度に比例する出力を生じる。
【0019】
車両のドライブシャフト(図示せず)の付近には車速センサ52が配置され、ドライブシャフトの所定回ごとに信号を出力を生じる。また、図示しない車載バッテリにはバッテリ電圧センサ54が接続され、バッテリ電圧VBに応じた信号を出力する。さらに、車両の適宜位置には大気圧センサ56が設けられ、車両が位置する場所の大気圧PAに応じた信号を出力する。
【0020】
次いで、パージ機構(パージ手段)60について説明する。パージ機構60は、燃料タンク24、チャージ通路62、キャニスタ64、パージ通路66および後述する複数の制御バルブを備え、燃料タンク24からの蒸発燃料の漏洩を制御する。
【0021】
燃料タンク24は、チャージ通路62を介してキャニスタ64に接続される。チャージ通路62は、第1の分岐路62aと第2の分岐路62bを備える。チャージ通路62の燃料タンク24側には内圧センサ68が取り付けられ、チャージ通路62内の内圧を示す信号を出力する。
【0022】
第1の分岐路62aには二方向バルブ70が設けられる。二方向バルブ70は、2つの機械式のバルブ70aおよび70bを備える。バルブ70aは、タンク内圧が大気圧より所定量高くなったときに開く正圧弁であり、これが開弁状態にあると蒸発燃料がキャニスタ64に流れ、そこで吸着される。バルブ70bは、タンク内圧がキャニスタ64側の圧力より所定量低くなったとき開く負圧弁であり、これが開弁状態にあるとキャニスタ64に吸着された蒸発燃料が燃料タンク24に戻る。第2の分岐路62bには電磁弁であるバイパスバルブ72が設けられる。バイパスバルブ72は、通常は閉弁状態とされる。
【0023】
キャニスタ64は、蒸発燃料を吸着する活性炭を内蔵し、通路74を介して大気に連通する吸気口(図示せず)を備える。通路74の途中には、電磁弁であるべントシャットバルブ76が設けられる。ベントシャットバルブ76は、通常は開弁状態とされる。
【0024】
キャニスタ64は、パージ通路66を介して吸気管12のスロットルバルブ14の下流側、即ち吸気系に接続される。パージ通路66の途中には、電磁弁であるパージ制御バルブ78が設けられ、キャニスタ64に吸着された燃料は、パージ制御バルブ78を介してエンジン10の吸気系にパージされる。
【0025】
上記した各種センサの出力は、ECU(電子制御ユニット)80に送られる。
【0026】
ECU80はマイクロコンピュータからなり、制御演算を行なうCPU80aと、制御演算プログラムと各種のデータ(テーブルなど)を格納するROM80bと、CPU80aの制御演算結果などを一時的に記憶するRAM80cと、入力回路80dと、出力回路80eと、カウンタ(図示せず)を備える。
【0027】
上記した各種センサ出力は、ECU80の入力回路80dに入力される。入力回路80dは、入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベルに修正すると共に、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する。CPU80aはクランク角センサ40が出力するCRK信号をカウンタでカウントしてエンジン回転数NEを検出すると共に、車速センサ52が出力する信号をカウンタでカウントして車速の走行速度を示す車速VPを検出する。
【0028】
CPU80aはROM80bに格納されたプログラムに従って制御演算を実行し、出力回路80e(および図示しない駆動回路)を介してパージ制御バルブ78の駆動信号(通電指令値)を送出してパージ制御バルブ78の開度を連続的に調節し、パージ流量を制御すると共に、同様にバイパスバルブ72とベントシャットバルブ76の開度を調節することで、燃料タンク24からの蒸発燃料の排出を制御する。また、CPU80は、同様にしてインジェクタ24、点火装置(図示せず)などに駆動信号を出力する。
【0029】
次いで図2以降を参照し、この実施の形態に係る装置の動作、具体的にはECU80の動作について説明する。図2は、ECU80の動作を示すブロック図である。
【0030】
同図に示すように、この実施の形態に係る装置は燃料供給量算出部100を備える。燃料供給量算出部100は、各種センサの出力などが入力され、インジェクタ20を介して実際に噴射される燃料噴射量TCYLを式(1)によって算出する。
TCYL=TIM×(KTOTAL×KCMD×KAF−KAFEVACT)・・・式(1)
【0031】
上式で、TIMは基本燃料噴射量であり、具体的には、エンジン回転数NEおよび吸気管内圧力PBAなどからマップ検索して決定される基本燃料噴射量(インジェクタ30の開弁時間で示される)である。KTOTALは、各種センサからの検出信号に基づいて算出される補正係数であり、運転状態に応じてエンジンの燃費特性および加速特性等が最適化されるように設定される。また、KCMDは目標空燃比係数と呼ばれ、空燃比の目標値を当量比で表したものである。目標空燃比係数KCMDは、空燃比A/Fの逆数、すなわち燃空比F/Aに比例し、理論空燃比のとき値1.0となる。
【0032】
KAFは空燃比補正係数を示し、エンジンに供給される混合気の空燃比が目標空燃比に一致するように空燃比フィードバック制御を実行するための係数である。空燃比補正係数KAFは、LAFセンサ48によって検出される実空燃比に基づき、空燃比制御部102で算出される。尚、KAFEVACTは、パージ補正係数であり、燃料噴射量TCYLを減少方向に補正するための補正項である。パージ補正係数KAFEVACTの算出については後述する。
【0033】
インジェクタ20は、以上のようにして算出された燃料噴射量TCYLを実現する時間だけ開弁され、燃料タンク24内のガソリン燃料をエンジン10の各気筒の吸気ポートに噴射する。
【0034】
燃料供給量算出部100は、上記のように燃料噴射量TCYLを算出する一方、以下の式(2)に基づいて吸入空気量QAIRを算出(推定)する。
QAIR=TIM×NE×2×KQAIR×KPA・・・式(2)
【0035】
ここで、前述したように基本燃料噴射量TIMは吸気管内圧力PBAなどから決定されるため、KQAIRは、それによって決定される燃料噴射量を空気流量に換算するための係数であり、固定値(例えば、0.45L(リットル)/mms)とされる。また、KPAは、吸気管圧力PBAに応じた流量の変動を補正するための係数である。
【0036】
燃料供給量算出部100は、さらに、吸入空気量QAIRに対する蒸発燃料の割合、即ち、基本パージ流量QPGCBASEを、以下の式(3)に基づいて算出する。
QPGCBASE=QAIR×KQPGB・・・式(3)
【0037】
ここで、KQPGBは目標パージ率であり、例えば0.04に設定される。この場合、吸入空気量QAIRの4%に蒸発燃料を含めることを意味する。
【0038】
図3は、この実施の形態に係る装置の動作、より具体的にはECU80による吸入空気量QAIRおよび基本パージ流量QPGCBASEの算出動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、例えばTDCセンサ38からTDC信号が出力されるたびに実行される。
【0039】
以下説明すると、先ず、S10において、前述した式(2)に従って吸入空気量QAIRを求める。次いでS12に進み、前述した式(3)に従って基本パージ流量QPGCBASEを求める。
【0040】
図2の説明に戻ると、パージ流量算出部104は、燃料供給量算出部100で算出された基本パージ量QPGCBASEに基づき、目標パージ流量QPGCMDを以下の式(4)に従って算出する。目標パージ流量QPGCMDは、今回の制御周期においてエンジンの吸気系にパージするパージ流量の目標値を表す。
QPGCMD=QPGCBASE×KPGT・・・式(4)
【0041】
ここで、KPGTはパージ流量係数であり、1以下の値に設定される。この係数KPGTを変えることにより、目標パージ流量QPGCMDを制御することができる。尚、係数KPGTは、運転状態に応じて算出される。
【0042】
さらに、パージ流量算出部104は、算出した目標パージ流量QPGCMDと前回の制御周期(図3フロー・チャートの実行時刻)でパージしたパージ流量QPGC(k−1)の偏差に基づき、今回の制御周期でパージするパージ流量QPGC(即ち、制御パージ流量)を、以下の式(5)に基づいて算出する。
QPGC(k)=QPGC(k−1)+(QPGCMD−QPGC(k−1))×KDQPGC・・・式(5)
【0043】
ここで、kは制御周期(離散系のサンプル時間)を示し、(k)は今回の制御周期(今回のプログラム実行時刻)を示し、(k−n)はn回前の制御周期を示す。KDQPGCは予め決められた固定値(例えば0.003)である。式(5)から明らかなように、パージ流量QPGCは、徐々に目標パージ流量QPGCMDに達するように制御される。
【0044】
パージ制御バルブ駆動量算出部106は、パージ流量算出部104で算出されたパージ流量QPGCが吸気系にパージされるように、パージ制御バルブ78を駆動するデューティ比PGCMDを、以下の式(6)に従って算出する。デューティ比は、パージ制御バルブを開弁している比率を表す。
PGCMD=PGCMD0+DPGCVBX+DPGC0PGCMD0=QPGC×KDUTY/KDPBG・・・式(6)
【0045】
ここで、KDUTYは、パージ流量をデューティ比に換算するための係数であり、固定値(例えば3.8%・min/L)とされる。KDPBGは、パージ制御バルブ78の前後の差圧に応じて開度が変化するので、それを補正するための係数である。PGCMD0は、パージ流量QPGCに対応するデューティ比を表し、以下「目標デューティ比」と呼ぶ。DPGCVBXおよびDPGC0は、それぞれ、バッテリ電圧VBおよび吸気管圧力PBAの如何によってパージ制御バルブ78が開き始めるまでに遅れが生ずるので、この遅れ(無効時間)を補正する係数である。
【0046】
パージ制御バルブ駆動量算出部106は、算出したデューティ比PGCMDに対し、所定の上限値および下限値でリミット処理を行い、最終デューティ比DOUTPGCを出力する。パージ制御バルブ78は、この最終デューティ比DOUTPGCに従って開閉が制御される。
【0047】
また、レート算出部108は、算出した最終デューティ比DOUTPGCに基づき、以下の式(7)に従ってデューティレートPGRATEを算出する。
PGRATE=(DOUTPGC−DPGCVBX−DPGC0)/PGCMD0・・・式(7)
【0048】
ここで、デューティレートPGRATEは、パージ流量QPGCの目標デューティ比PGCMD0に対する、実際のデューティ比(無効時間を差し引いたもの)の割合を示す。従って、QPGCにPGRATEを乗じた値が、今回の制御周期においてパージ制御バルブ78によってパージされる実際のパージ流量を示す。
【0049】
図4は、最終デューティ比DOUTPGCの算出動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、例えば80msecごとに実行される。
【0050】
以下説明すると、先ず、S20においてパージ流量QPGCを求める。
【0051】
図5は、パージ流量QPGCの算出動作を示すサブルーチン・フロー・チャートである。以下同図を参照してパージ流量QPGCの算出動作について説明すると、先ず、S100において、パージ流量係数KPGTを求める。パージ流量係数KPGTは、前記したように運転状態に応じて算出される。
【0052】
次いでS102に進み、前述した式(4)に従って基本パージ流量QPGCBASEに係数KPGTを乗算した値を一時変数qpgcmdとし、S104に進んで一時変数qpgcmdが予め設定された上限値QPGMAX(例えば30L/min)よりも大きいか否か判断する。S104で肯定されるときは、S105に進んで上限値QPGMAXを目標パージ流量QPGCMDとする一方、S104で否定されるときは、次いでS106に進み、一時変数qpgcmdが予め設定された下限値QPGMIN(例えば1L/min)よりも小さいか否か判断する。
【0053】
S106で肯定されるときはS108に進んで下限値QPGMINを目標パージ流量QPGCMDとすると共に、S106で否定されるとき、即ち、一時変数qpgcmdが上限値QPGMAXと下限値QPGMINの間にあるときは、S110に進み、一時変数qpgcmdを目標パージ流量QPGCMDとする。
【0054】
次いで、S112に進み、パージ許可フラグF.NEPGACTのビットが1にセットされているか否か判断する。パージ許可フラグF.NEPGACT(初期値0)は、そのビットが1にセットされているとき、パージの実行が許可されていることを示す。S112で肯定されるときは、次いでS114に進み、パージカット要求フラグF.PGREQのビットが1にセットされているか否か判断する。パージカット要求フラグF.PGREQ(初期値0)は、そのビットが1にセットされているとき、パージカットの要求がなされていることを示す。
【0055】
S114で肯定されるときは、次いでS116に進み、前回の制御周期(プログラム実行時刻)で算出されたパージ流量QPGC(k−1)から所定値DQPGCOBD(例えば2L/min)を減算して得た値を一時変数qpgcとする。尚、一時変数qpgcとは、後述するステップでパージ流量QPGC(今回値)とされる値である。即ち、パージカットの要求がなされているときは、パージ流量QPGCを所定値DQPGCOBDずつ減少させることで、パージをスムーズに終了させるようにする。
【0056】
他方、S114で否定されるときはS118に進み、目標パージ流量QPGCMDから前回の制御周期で算出されたパージ流量QPGC(k−1)を減算した値(偏差)にパージ加算係数KDQPGCを乗じて得た値を一時変数dqpgcとする。ここで、パージ加算係数KDQPGCとは、前記した偏差に対してどれくらいをパージ流量として加算すべきかを定める係数(例えば0.003)である。
【0057】
次いでS120に進み、一時変数dqpgcの値が、予め決められた上限値DQPGCMAX(例えば2L/min)以上か否か判断する。S120で肯定されるときはS122に進み、上限値DQPGCMAXを加算パージ流量DQPGCとする。他方、S120で否定されるときはS124に進み、一時変数dqpgcの値が、予め決められた下限値DQPGCMIN(例えば0.2L/min)以下か否か判断する。
【0058】
S124で肯定されるときはS126に進み、下限値DQPGCMINを加算パージ流量DQPGCとする。他方、S124で否定されるときはS128に進み、一時変数dqpgcを加算パージ流量DQPGCとする。
【0059】
次いでS130に進み、前回の制御周期で算出されたパージ流量QPGC(k−1)に加算パージ流量DQPGCを加算した値を一時変数qpgcとし、S132で一時変数qpgcを今回の制御周期でパージすべきパージ流量QPGCとする。尚、S112において、パージ許可フラグF.NEPGACTのビットが1ではないと判断されるときは、S134に進んでパージ流量QPGCを零とする。
【0060】
このように、目標パージ流量QPGCMD(今回値)と前回の制御周期で算出されたパージ流量QPGC(k−1)との偏差に基づいて加算パージ流量DQPGCを算出し、算出した加算パージ流量DQPGCをパージ流量の前回値QPGC(k−1)に加算することによってパージ流量QPGC(今回値)を算出するようにした、換言すれば、前記した偏差が大きくなるにつれてパージ流量QPGCの変動量である加算パージ流量DQPGCを大きく設定するようにしたので、エンジン10の運転状態が急変して目標パージ流量QPGCMDが大きく変化した場合であっても、加算パージ流量DQPGCが大きな値に設定されることから、パージ流量QPGCを目標パージ流量QPGCMDに迅速に追従させることができる。
【0061】
また、エンジン10の運転状態の変化がわずかな場合は、加算パージ流量DQPGCが小さな値に設定されることから、パージ流量QPGCが大きく変動することがなく、よって空燃比を安定させることができると共に、エンジン10の運転性を向上させることができる。
【0062】
尚、目標パージ流量QPGCMDとパージ流量の前回値QPGC(k−1)との偏差が正値(即ち、目標パージ流量QPGCMDの方が大きい)ならば、加算パージ流量DQPGCも正値となるため、パージ流量QPGCは増加する。他方、目標パージ流量QPGCMDとパージ流量の前回値QPGC(k−1)との偏差が負値(即ち、目標パージ流量QPGCMDの方が小さい)ならば、加算パージ流量DQPGCも負値となるため、パージ流量QPGCは減少する。従って、加算パージ流量DQPGCとは、加算値のみならず、減算値の意味を含むものとして使用する。
【0063】
また、その意味から、S120とS124において加算パージ流量DQPGC(具体的にはその一時変数dqpgc)の上下限のリミットチェックを行ない、パージ流量QPGCの変動量(増加量および減少量)が極端に大きくなることを防止している。
【0064】
図4フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS22に進み、S20で算出したパージ流量QPGCが零か否か判断する。S22で肯定されるとき、即ち、蒸発燃料をパージしないときは、次いでS24に進んでデューティ比PGCMDを零とする。他方、S22で否定されるときは、S26に進んでパージ制御バルブ78を駆動する周期を、例えば0.80msecに設定する。
【0065】
次いでS28に進み、バッテリ電圧VBに応じたパージ制御バルブ78の無効時間を補正するため、DPGCVBXテーブル(図示せず)をバッテリ電圧VBに基づいて検索し、無効時間DPGCVBXを求める。DPGCVBXテーブルは、バッテリ電圧が大きくなるほど無効時間DPGCVBXが小さくなるように設定される。
【0066】
次いでS30に進み、パージ制御バルブ78の前後の差圧に起因するデューティ比変動を補正するため、KDPBGテーブル(図示せず)を吸気管圧力PBAと大気圧PAとの偏差に基づいて検索し、差圧補正値KDPBGを求める。KDPBGテーブルは、吸気管圧力PBAと大気圧PAとの偏差が大きくなるほど、差圧補正値KDPBGが大きくなるように設定される。
【0067】
次いでS32に進み、吸気管圧力PBAと大気圧PAとの偏差に応じたパージ制御バルブ78の無効時間を補正するため、DPGC0テーブル(図示せず)を吸気管圧力PBAと大気圧PAとの偏差に基づいて検索し、無効時間DPGC0を求める。DPGC0テーブルは、偏差が大きくなるほど無効時間DPGC0が大きくなるようにその特性が設定される。次いでS34およびS36に進み、前述した式(6)に従い、デューティ比PGCMDを求める。
【0068】
次いでS38において、デューティ比PGCMDが予め決められた上限値DOUTPGH(例えば95%)以上か否か判断する。S38で肯定されるときは次いでS40に進み、最終デューティ比DOUTPGCを上限値DOUTPGHとする。他方、S38で否定されるときは、S42に進み、デューティ比PGCMDが予め決められた下限値DOUTPGL(例えば5%)以下か否か判断する。S42で肯定されるときは、S44で最終デューティ比DOUTPGCを零とする。さらに、S46において、デューティレートPGRATEおよびパージ流量レートQRATE(後述)の値を零とすると共に、高濃度補正係数KKEVG(後述)の値を1.0とする。
【0069】
一方、S42で否定されるとき、即ち、最終デューティ比DOUTPGCが上限値DOUTPGHと下限値DOUTPGLの間にあるときは、S48で最終デューティ比DOUTPGCをデューティ比PGCMDとし、次いでS50で前述した式(7)に従ってデューティレートPGRATEを求める。尚、S38で肯定されてS40を通過した後も、S50に進んでデューティレートPGRATEを算出する。
【0070】
図2の説明に戻ると、輸送遅れ期間算出部110は、エンジン回転数NEに基づいて輸送遅れ期間CPGDLYRXを算出する。輸送遅れ期間CPGDLYRXとは、蒸発燃料がパージ通路にパージされてからエンジン10の吸気系に送られるまでの時間的な遅れを示す。輸送遅れ期間CPGDLYRXは整数nで表され、nが大きくなるにつれて輸送遅れが大きいことを示す。尚、代替的に、輸送遅れ期間を、エンジン回転数NEの代わりに吸入空気量QAIRに基づいて算出するようにしても良い。
【0071】
ベーパ濃度算出手段112は、空燃比制御部102で算出された空燃比係数KAFや目標空燃比KCMD、および検出された実空燃比KACTなどに基づき、べーパ濃度係数KAFEVを算出する。
【0072】
また、高濃度補正係数算出部114は、パージ係数算出手段112で算出されたべーパ濃度係数KAFEVなどに基づき、高濃度補正係数KKEVGを算出する。蒸発燃料の濃度が高いほど空燃比に対する影響度が大きいので、高濃度補正係数KKEVGは、これを補正するための係数である。
【0073】
パージ補正係数算出部116は、上記のようにして算出された各種の値に基づき、以下の式(8)に従って目標パージ補正係数KAFEVACZを算出する。
KAFEVACZ=KAFEV×PGRATE×QRATE・・・式(8)
【0074】
ここで、QRATEはパージ流量レートであり、以下の式(9)に従って算出される。
QRATE=QPGC/QPGCBASE・・・式(9)
【0075】
式(7)および式(9)から明らかなように、デューティレートPGRATEにパージ流量レートQRATEを乗じた値「PGRATE×QRATE」は、今回の制御周期において吸気系にパージされるパージ流量の割合を表す。また、蒸発燃料の空燃比に対する影響度はべーパ濃度係数KAFEVに依存して表されるので、「PGRATE×QRATE」にべーパ濃度係数KAFEVを乗算することにより、目標とすべきパージ補正係数を正確に求めることができる。
【0076】
パージ補正係数算出部116は、算出した目標パージ補正係数KAFEVACZに基づき、以下の式(10)に従ってパージ補正係数KAFEVACTを算出する。
KAFEVACT=KAFEVACZ×KKEVG・・・式(10)
【0077】
ここで、パージ補正係数KAFEVACTは、要求燃料に対するパージ流量QPGCが寄与する燃料量の割合を示す。パージ流量QPGCが寄与する燃料量の割合は、上記のように先ず目標パージ補正係数KAFEVACZとして算出され、これに高濃度補正係数KKEVGを乗算して補正した値が、最終的なパージ補正係数KAFEVACTとして設定される。
【0078】
燃料供給量算出部100は、このようにして算出されたパージ補正係数KAFEVACTに基づき、前述の式(1)に従って燃料噴射量TCYL(インジェクタ20を介して供給すべき燃料量)を減少方向に補正する。これにより、エンジン10に供給される燃料の総量が適正となり、実空燃比KACTが目標空燃比に正確に追従制御される。
【0079】
以上のように、この実施の形態にあっては、燃料タンク24内に発生した蒸発燃料を内燃機関(エンジン)10の吸気系(吸気管12)にパージするパージ手段(パージ機構60)、前記パージ手段を介して吸気系にパージするときの目標パージ流量QPGCMDを算出する目標パージ流量算出手段(ECU80、パージ流量算出部104、S100からS110)、および前記算出された目標パージ流量QPGCMDに基づいて制御パージ流量(パージ流量)QPGCを算出する制御パージ流量算出手段(ECU80、パージ流量算出部104、S20,S112からS134)、を備えた内燃機関のパージ流量制御装置において、前記算出された目標パージ流量QPGCMDと前記算出された制御パージ流量の前回値QPGC(k−1)との偏差に基づいて前記制御パージ流量QPGCに加減算すべき加減算値(加算パージ流量)DQPGCを算出する加減算値算出手段(ECU80、パージ流量算出部104、S20,S118からS128)、を備え、前記制御パージ流量算出手段は、前記制御パージ流量の前回値QPGC(k−1)に前記算出された加減算値DQPGCを加減算することにより、前記制御パージ流量QPGCを算出する(S130,S132)ように構成した。
【0080】
尚、上記において、空燃比センサとして広域空燃比センサを用いたが、その他のセンサ、例えばO2 センサであっても良い。
【0081】
また、この発明は、エンジンの出力軸を鉛直方向とした、船外機などの船舶推進用エンジンの空燃比制御装置にも適用することができる。
【0082】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、目標パージ流量(今回値)と制御パージ流量の前回値との偏差に基づいて前記制御パージ流量に加減算すべき加減算値、即ち、制御パージ流量の変動量を算出し、算出した加減算値を前記制御パージ流量の前回値に加減算することによって制御パージ流量(今回値)を算出するように構成したので、内燃機関の運転状態が急変して目標パージ流量が大きく変化した場合であっても、制御パージ流量を目標パージ流量に迅速に追従させることができる。また、運転状態のわずかな変化によって制御パージ流量が大きく変動することを防止することができ、よって空燃比を安定させることができると共に、内燃機関の運転性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る内燃機関のパージ流量制御装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す装置のECUの動作を示すブロック図である。
【図3】図1に示す装置のECUの動作のうち、吸入空気量の算出動作を示すフロー・チャートである。
【図4】図1に示す装置のECUの動作のうち、最終デューティ比の算出動作を示すフロー・チャートである。
【図5】図4に示すフロー・チャートにおける、パージ流量の算出動作を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関(エンジン)
12 吸気管
20 インジェクタ(燃料噴射弁)
24 燃料タンク
60 パージ機構
80 ECU(電子制御ユニット)
104 パージ流量算出部
Claims (1)
- a.燃料タンク内に発生した蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ手段、
b.前記パージ手段を介して吸気系にパージするときの目標パージ流量を算出する目標パージ流量算出手段、
および
c.前記算出された目標パージ流量に基づいて制御パージ流量を算出する制御パージ流量算出手段、
を備えた内燃機関のパージ流量制御装置において、
d.前記算出された目標パージ流量と前記算出された制御パージ流量の前回値との偏差に基づいて前記制御パージ流量に加減算すべき加減算値を算出する加減算値算出手段、
を備え、前記制御パージ流量算出手段は、前記制御パージ流量の前回値に前記算出された加減算値を加減算することにより、前記制御パージ流量を算出することを特徴とする内燃機関のパージ流量制御装置。
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