JP2004100575A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる吸入負圧を前提とする出力重視カムと燃費重視カムとの切換に伴うトルク段差を無くす。
【解決手段】出力重視カムから燃費重視カムへの切換の要求が生じたら、目標スロットル弁開度を、燃費重視カムで等トルクとなる吸入負圧を目標として、増加させる。この段階では、出力重視カムで運転されているので、目標吸入負圧を得るのに必要なスロットル弁開度は、燃費重視カムへの切換後よりも大きい。これにより、吸入負圧は、徐々に低下し、大気圧に近付く。この間は、空気量が過剰となるので、点火時期をリタードし、等トルクに維持する。目標吸入負圧に達するΔt経過後に、カム切換が実行される。この段階では、目標吸入負圧に達しているので、トルク段差は生じない。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、いわゆるカム切換型の可変動弁機構、特に、各々のカムの特性が、それぞれ異なる吸入負圧を前提として設定されている可変動弁機構を備えた内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の吸気弁側の可変動弁機構として、バルブリフト特性が異なる少なくとも2つのカムを有し、これらのカムを選択して吸気弁を駆動するようにした、いわゆるカム切換型の可変動弁機構が従来から知られている。しかし、実用されている内燃機関の多くは、機関低速域に適した低速用カムと機関高速域に適した高速用カムとを用いたもので、これらのカムによるトルク特性(トルクカーブ)が、同じ吸入負圧の下で、ある回転数で互いに交差する特性を有している。従って、この交差する回転数でカムの切換を行うことにより、基本的に切換に伴うトルク変化は小さいものとなる。
【0003】
これに対し、それぞれ異なる吸入負圧の下で用いることを前提として、低負荷域に適した作動角の小さな燃費重視カムと高負荷域に適した作動角の大きな出力重視カムとに切り換えるようにしたものがある。これは、コントロールユニットからの制御信号によって開度が制御可能ないわゆる電子制御スロットル弁と組み合わせて用いるものであり、燃費重視カムで運転するときには、出力重視カム選択時に比べて、相対的に吸入負圧が低くなる(大気圧に近付く)ようにスロットル弁開度が制御され、その結果、低負荷時のポンピングロスが大幅に低減する。この場合、同じ吸入負圧の下でのそれぞれのカムによるトルクカーブは、互いに交差することがない。つまり、それぞれのカムのカムプロフィールが大きく異なっている。
【0004】
従って、一方のカムから他方のカムへ切り換える際には、同時に吸入負圧を変化させないと、必ずトルク段差が発生してしまう。特に、スロットル弁開度を瞬時に変化させても、吸気系のスロットル弁下流の容積によって、吸入負圧はステップ的には変化し得ず、必然的に応答遅れを伴うので、カム切換に伴ってトルク段差が発生する。
【0005】
このようなトルク段差の問題に対し、本出願人が先に提案した特許第2722815号公報においては、切換後のカムに必要な吸入負圧に対応するスロットル弁開度に、さらに吸入負圧差に応じたオーバーシュート分を上乗せして、切換直後の目標スロットル弁開度を設定し、その後、徐々にオーバーシュート分を減じるようにして、吸入負圧の変化の応答性を高めるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
作動角の大きな出力重視カムから作動角の小さな燃費重視カムへ切り換えたときに、吸入負圧がそのままであると、シリンダ内に吸入される空気量が急激に減少し、トルクが減少する。特に、それぞれのカムプロフィールが大きく異なる場合には、空気量の過度の減少によって燃焼が不安定となる。上記従来のように、オーバーシュート分を付加する方法では、切換直後に、スロットル弁開度がオーバーシュート分だけ大きく開かれることになるが、やはり吸気系容積による応答遅れは存在するので、一時的なトルクの低下や燃焼不安定化を完全には回避することはできず、なお改善の余地がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る内燃機関の制御装置は、バルブリフト特性が異なる少なくとも2つのカムを有し、これらのカムを選択して吸気弁を駆動する可変動弁機構を備えている。また、アクセル操作部材、例えばアクセルペダルの操作量を検出するセンサと、制御信号により開度が制御可能なスロットル弁と、を備えており、アクセル操作部材の操作量から定まる目標トルクが得られるように、スロットル弁開度を制御する。特に、それぞれのカムのプロフィールは、それぞれ異なる吸入負圧を前提としており、それぞれに対応した吸入負圧とすべくスロットル弁開度を制御する。
【0008】
そして、本発明では、作動角が相対的に大きなカムから相対的に小さなカムへの切換の要求時に、切換後のカムで等トルクとなる吸入負圧を目標としてスロットル弁開度を制御し、かつ実際の吸入負圧が目標に達するまでカムの切換実行を遅らせるとともに、このカムの切換までの間のトルク増加を相殺するように点火時期のリタードを行う。
【0009】
すなわち、カム切換の要求があったときに、まずスロットル弁開度が増加し、これによって吸入負圧が徐々に低下する。そして、切換後のカムで等トルクとなる吸入負圧に達したときに、実際のカムの切換が実行される。この切換までは、作動角が相対的に大きなカムで運転されているので、吸入負圧の低下によってシリンダ内に吸入される空気量が増加するが、同時に点火時期のリタードを行うことで、トルク増加が相殺される。カム切換が行われる時点では、吸入負圧が切換後のカムに対応しているので、トルク低下を伴わずに作動角の小さなカムへの切換が可能である。
【0010】
【発明の効果】
この発明に係る内燃機関の制御装置によれば、作動角が相対的に大きなカムから相対的に小さなカムへの切換の際に、一時的なトルクの低下や燃焼の悪化を確実に回避することができ、トルク段差のない切換を実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、この発明をV型6気筒のガソリン機関1に適用した実施例を示しており、左右バンクの吸気弁3側に、後述するカム切換型の可変動弁機構2がそれぞれ設けられている。排気弁4側の動弁機構は、排気カムシャフト5により排気弁4を駆動する直動型のものであり、そのバルブリフト特性は、常に一定である。
【0013】
左右バンクの排気マニホルド6は、触媒コンバータ7に接続され、かつこの触媒コンバータ7の上流位置に、排気空燃比を検出する空燃比センサ8が設けられている。左右バンクの排気通路9は、触媒コンバータ7の下流側で合流し、さらに下流に、第2の触媒コンバータ10および消音器11を備えている。
【0014】
各気筒の吸気ポートにはブランチ通路15が接続され、かつこの6本のブランチ通路15の上流端が、コレクタ16にそれぞれ接続されている。上記コレクタ16の一端には、吸気入口通路17が接続されており、この吸気入口通路17に、電子制御スロットル弁18が設けられている。この電子制御スロットル弁18は、電気モータからなるアクチュエータを備え、エンジンコントロールユニット19から与えられる制御信号によって、その開度が制御される。なお、スロットル弁18の実際の開度を検出する図示せぬセンサを一体に備えており、その検出信号に基づいて、スロットル弁開度が目標開度にクローズドループ制御される。また、スロットル弁18の上流に、吸入空気流量を検出するエアフロメータ25が配置され、さらに上流にエアクリーナ20が設けられている。
【0015】
また、機関回転速度およびクランク角位置を検出するために、クランクシャフトに対してクランク角センサ21が設けられており、さらに、運転者により操作されるアクセルペダル開度(踏込量)を検出するアクセル開度センサ22を備えている。これらの検出信号は、上記のエアフロメータ25や空燃比センサ8の検出信号とともに、エンジンコントロールユニット19に入力されている。エンジンコントロールユニット19では、これらの検出信号に基づいて、燃料噴射弁23の噴射量や噴射時期、点火プラグ24による点火時期、可変動弁機構2によるバルブリフト特性、スロットル弁18の開度、などを制御する。
【0016】
上記の吸気弁3側の可変動弁機構2は、この実施例では、吸気弁3のリフト・作動角を大小2段階に切り換えるカム切換型のリフト・作動角可変機構と、そのリフトの中心角の位相(図示せぬクランクシャフトに対する位相)を連続的に進角もしくは遅角させる位相可変機構と、が組み合わされて構成されている。
【0017】
上記リフト・作動角可変機構は、例えば前述した特許第2722815号公報や特開平7−224746号公報等に記載されているように、吸気カムシャフト27に、リフトおよび作動角の大きな出力重視カム(Highカム)とリフトおよび作動角の小さな燃費重視カム(Lowカム)とが設けられ、かつロッカアームとして、上記燃費重視カムに従動する主ロッカアームと上記出力重視カムに従動する副ロッカアームとを備え、吸気弁3を押圧する主ロッカアームと副ロッカアームとを油圧により係合もしくは離脱する構成となっている。つまり、両者を係合した状態では、出力重視カムによって大作動角・大リフトの特性となり、両者を離脱した状態では、副ロッカアームは自由に揺動することから、燃費重視カムによって小作動角・小リフトの特性となる。
【0018】
また、上記位相可変機構は、いわゆるVTCと呼ばれる機構であり、特開2001−280167号公報や特開2002−89303号公報等に記載されているように、吸気カムシャフト27の前端部に、クランクシャフトにタイミングチェーンもしくはタイミングベルトを介して連動するスプロケットが設けられ、このスプロケットと吸気カムシャフト27とを、所定の角度範囲内において位相制御用アクチュエータが相対回転させる構成となっている。上記位相制御用アクチュエータは、例えば油圧式、電磁式などの回転型アクチュエータからなり、エンジンコントロールユニット19からの制御信号によって制御される。この位相可変機構では、リフト特性の曲線自体は変わらずに、全体が進角もしくは遅角する。そして、この変化は、連続的に得ることができる。この位相可変機構の制御状態は、吸気カムシャフト27の回転位置に応答するカム角度センサ26によって検出される。
【0019】
図2は、上記リフト・作動角可変機構によるカムの切換の特性を示しており、図示するように、低速低負荷側の領域で、小リフト・小作動角の燃費重視カムとなり、高負荷域および高速域で、大リフト・大作動角の出力重視カムとなる。なお、それぞれの切換には適宜なヒステリシスが与えられており、出力重視カムから燃費重視カムへの切換は図の境界線aで、燃費重視カムから出力重視カムへの切換は境界線bで、それぞれ行われる。
【0020】
図3は、出力重視カムから燃費重視カムへの切換の際の作用を示すタイミングチャートである。これは、例えば要求トルクの低下により上記の境界線aを横切ったときの切換に相当するが、理解を容易にするために、このタイミングチャートでは切換の前後で要求トルクが変化しないものとして示している。
【0021】
上記の境界線aを横切ったときに、スロットル切換タイミング信号が出力され、カムに対応したスロットル弁開度の変更が実行される。具体的には、切換後の燃費重視カムで等トルクとなる吸入負圧を目標吸入負圧として、この目標吸入負圧に必要な目標スロットル弁開度が決定される。電子制御スロットル弁18の実際の開度は、この目標スロットル弁開度に沿って増加する。ここで、実際のカムの切換前は、出力重視カムで運転されているので、この時点では、上記の目標吸入負圧に対し必要な目標スロットル弁開度は、出力重視カムを基準として設定される。つまり、同じ圧力差であれば出力重視カムの方が燃費重視カムよりもシリンダに流入する空気量が大となるので、同じ目標吸入負圧に維持するには、燃費重視カムでの運転時よりも出力重視カムでの運転時の方が、より大きなスロットル弁開度が必要となる。
【0022】
このスロットル弁開度の増加によって、コレクタ16内の吸入負圧は、図示するように徐々に低下する。つまり、徐々に大気圧に近付く。本発明では、このとき、まだ実際のカム切換は行われておらず、出力重視カム(Highカム)によって運転されている。従って、そのままでは吸入負圧の低下に伴ってトルクが上昇してしまうので、上記のスロットル切換タイミング信号に基づいて、点火時期のリタードを開始し、トルク増加を相殺する。この点火時期リタードのリタード量は、適宜な時定数の一次遅れに沿うように徐々に増加する。これにより、コレクタ16内の実際の吸入負圧の変化に対応したものとなり、最終的に発生するトルクを等トルクに抑制できる。なお、図の目標点火時期およびトルクの欄の細実線は、点火時期リタードを行わなかった場合の特性を示す。
【0023】
上記のスロットル切換タイミング信号の出力から時間Δtが経過したら、カム切換信号(VVLソレノイド信号)が出力され、上述したリフト・作動角可変機構のカムの切換が実行される。上記の時間Δtは、コレクタ16内の実際の吸入負圧が目標吸入負圧に達するまでの遅れ時間に相当するものであり、機関回転速度と、両カムで等トルクとなる吸入負圧の差とに基づいて設定される。なお、タイミングチャート中では、このΔtを、Boost補正時間と表記してある。また、このカム切換と同時に、点火時期リタードが終了する。従って、実際の吸入負圧が目標吸入負圧に達した状態で、出力重視カムから燃費重視カムへ切り換えられることになり、カム切換によるトルク段差を生じることがない。なお、カム切換信号の出力から実際にカム切換が完了するまでは僅かな遅れ(VVL切換遅れ時間)が存在するので、この遅れを考慮して上記の時間Δtおよび点火時期リタード終了時期を定めることが望ましい。
【0024】
一方、目標スロットル弁開度は、カム切換に伴って、図示のように僅かに小さくなる。つまり、前述したように、燃費重視カムで切換前と等トルクとなる吸入負圧を目標吸入負圧として、この目標吸入負圧に必要な目標スロットル弁開度が決定されるのであるが、ここでは、既に燃費重視カムにより運転されているので、出力重視カムで運転されているΔtの期間に比べて、必要な目標スロットル弁開度が小さくなるのである。
【0025】
なお、図中の破線の特性は、このように燃費重視カムに切り換えた後に必要なスロットル弁開度に、当初つまりスロットル切換タイミング信号の出力時点から保った場合のものを示している。この破線に示すように、単に、切換後に必要なスロットル弁開度を切換実行に先行して与えたとしても、前述したように、この段階では未だ出力重視カムで運転されているので、吸入負圧はあるレベルまでしか低下し得ない。従って、カム切換実行時に僅かではあるが、トルク低下が生じてしまう。
【0026】
次に、図4は、燃費重視カムから出力重視カムへの切換の際の作用を示すタイミングチャートである。これは、例えば要求トルクの増加により上記の境界線bを横切ったときの切換に相当するが、やはりタイミングチャート中では切換の前後で要求トルクが変化しないものとして示している。
【0027】
上記の境界線bを横切ったときに、スロットル切換タイミング信号が出力され、カムに対応したスロットル弁開度の変更が実行される。具体的には、切換後の出力重視カムで等トルクとなる吸入負圧を目標吸入負圧として、この目標吸入負圧に必要な目標スロットル弁開度が決定される。電子制御スロットル弁18の実際の開度は、この目標スロットル弁開度に沿って減少する。そして、同時に、カム切換信号(VVLソレノイド信号)が出力され、上述したリフト・作動角可変機構のカムの切換が実行される。
【0028】
スロットル弁開度の減少によって、コレクタ16内の吸入負圧は、図示するように徐々に増大する。これに対し、カムは、僅かな応答遅れの後にリフト・作動角の大きな出力重視カムに切り換えられるので、当初は、吸入負圧が目標より弱い状態で出力重視カムにより運転される。そのため、そのままではトルクが上昇してしまうので、カム切換に併せて、点火時期のリタードを行い、トルク増加を相殺する。この点火時期リタードのリタード量は、切換前後の目標吸入負圧の差によるトルク差に対応した大きさで初期に与えられ、その後、適宜な時定数の一次遅れに沿うように徐々に減少する。これにより、コレクタ16内の実際の吸入負圧の変化に対応したものとなり、最終的に発生するトルクを等トルクに抑制できる。なお、図の破線は、点火時期リタードを行わなかった場合の特性を示す。
【0029】
以上のような処理により、出力重視カムから燃費重視カムへの切換ならびに燃費重視カムから出力重視カムへの切換の双方において、トルク段差を確実に回避することができる。
【0030】
次に、図5は、上記のような制御を実現するコントロールユニット19の一部の機能を機能ブロック図として示したものであり、シリンダ内目標吸入空気量演算部51が、機関回転速度とアクセルペダル開度(APO)とから目標吸入空気量を決定する。カム切換判定部52は、目標吸入空気量と機関回転速度とから、図2に示したように、カム切換の要否を判定する。そして、カム切換時制御タイミング指令部53から、カム切換信号(VVLソレノイド切換操作指令)、スロットル切換タイミング信号(スロットル切換操作指令)、点火時期切換信号(ADV切換操作指令)が、それぞれ適宜なタイミングで出力される。また、Boost合わせ制御時シリンダ内目標吸入空気補正量演算部54は、図3のΔtの期間における目標スロットル弁開度を定めるために必要な目標吸入空気補正量を求めるもので、詳細は後述する。この目標吸入空気補正量は、加算点55として示すように、目標吸入空気量に加算される。目標スロットル開口面積演算部56は、このBoost合わせ制御のための補正を加えた目標吸入空気量が得られるように、目標スロットル開口面積つまり目標スロットル弁開度を決定する。また、上記の目標吸入空気補正量は、カム切換制御時ADV制御補正量演算部57に入力され、後述するように、点火時期補正量(ADV切換時補正量)が出力される。
【0031】
図6は、上記のBoost合わせ制御時シリンダ内目標吸入空気補正量演算部54の詳細を示す。図のブロック61では、機関回転速度と位相可変機構のそのときの位相(VTC角度)とから、出力重視カムと燃費重視カムとで、等吸入負圧の下でシリンダに流入し得る新気の比率を示すVcyl変換係数を求める。このVcyl変換係数は、出力重視カムを1としたときの燃費重視カムの値として与えられるので、ブロック62において、目標吸入空気量をVcyl変換係数で除すことにより、燃費重視カムで必要な目標吸入空気量に相当する値が得られる。また、Boost合わせトリミングマップ63では、目標吸入空気量および機関回転速度から、残留ガス等の影響に相当する補正量を求め、加算点64で加算する。そして、求めた値から減算点65で目標吸入空気量を減算することにより、Δtの期間における必要な目標吸入空気補正量が求まる。OR機能67にスロットル切換タイミング信号(H→L切換TVOフラグ)が入力されると、この目標吸入空気補正量が出力され、またカム切換信号(VVLソレノイドスイッチ信号)が入力されると、出力値が0となる。
【0032】
図7は、上記のカム切換制御時ADV制御補正量演算部57の詳細を示す。図のブロック71は、上記のブロック61と同様であり、機関回転速度と位相可変機構のそのときの位相(VTC角度)とから、出力重視カムと燃費重視カムとで、等吸入負圧の下でシリンダに流入し得る新気の比率を示すVcyl変換係数を求める。このVcyl変換係数は、出力重視カムを1としたときの燃費重視カムの値として与えられるものであり、ブロック72において、1との差を求めることで、トルク余剰分に相当する値が得られる。さらに、ADVトリミングマップ73において、機関回転速度およびBoost合わせ制御時シリンダ内目標吸入空気補正量から、所要の補正量を求め、加算点74で加算する。スロットル切換タイミング信号から僅かに遅れて出力される点火時期切換信号(ADV切換フラグ)に基づいて、コレクタ16の容積に対応した時定数の変化が得られるようにブロック75で示す一次遅れ処理を行い、かつPI−ADV変換テーブル76によって、余剰トルクの相殺に必要な点火時期リタード量を決定する。
【0033】
次に図8は、カム切換時のスロットル弁開度の制御の流れをフローチャートとして示したものである。まず、機関回転速度とアクセルペダル開度(APO)を読み込み(ステップ1,2)、目標吸入空気量を演算する(ステップ3)。ステップ4では、カム切換の判定演算を行い、ステップ5でカム切換の要求があるか判別する。カムを切り換える必要がないと判断したら、ステップ6へ進み、現在のカムが出力重視カムであるか燃費重視カムであるか判別する。出力重視カムであればステップ14で出力重視カム用の目標スロットル開口面積の演算を行い、また燃費重視カムであればステップ15で燃費重視カム用の目標スロットル開口面積の演算を行って、ステップ16でこの目標スロットル開口面積を出力する。
【0034】
一方、ステップ5でカム切換の必要があると判断したら、ステップ7で、その切換の方向を判断し、燃費重視カムから出力重視カムへの切換であれば、直ちにステップ14へ進んで、出力重視カム用の目標スロットル開口面積の演算を行い、かつステップ16で出力する。これに対し、出力重視カムから燃費重視カムへの切換であれば、ステップ8へ進み、カム切換を実行するソレノイド弁へ与えられているVVLソレノイド指令値が燃費重視カムであるか判別する。前述したように、Δtの期間は出力重視カムのままであるので、ステップ9側へ進む。ステップ9で位相可変機構の位相つまりVTC角度を読み込み、ステップ10でVcyl変換係数を算出する。さらにステップ11でBoostトリミング補正を加え、ステップ12で目標吸入空気補正量を演算する。この補正量を加えて、ステップ13で、切換時の目標吸入空気量を求め、これに対応する目標スロットル開口面積の演算をステップ14で行う。やがてΔtの期間が経過してVVLソレノイド指令値が燃費重視カムとなったら、ステップ8からステップ15へ進んで、燃費重視カム用の目標スロットル開口面積の演算を行う。
【0035】
図9は、カム切換時の点火時期リタード量を求める制御の流れを示すフローチャートである。まず、機関回転速度とアクセルペダル開度(APO)を読み込み(ステップ21,22)、目標吸入空気量を演算する(ステップ23)。ステップ24で、カム切換の判定演算を行い、ステップ25でカム切換の要求があるか判別する。カムを切り換える必要がないと判断したら、このルーチンを終了する。
【0036】
ステップ25でカム切換の必要があると判断したら、ステップ26で、その切換の方向を判断し、燃費重視カムから出力重視カムへの切換であれば、ステップ27以降へ進む。ステップ27でVTC角度を読み込み、ステップ28でVcyl変換係数を算出する。さらにステップ29でL→H切換時目標吸入空気補正量を読み込み、ステップ30で切換時点火時期補正量を算出する。なお、これは点火時期補正で低下させるべき余剰のトルクに相当する値である。ステップ31で一次遅れ処理を加え、ステップ32で、トルク相当値から点火時期リタード量に変換する。この点火時期リタード量(切換時トルク補正ADV)を、ステップ33で出力する。
【0037】
出力重視カムから燃費重視カムへの切換であれば、ステップ34へ進み、カム切換を実行するソレノイド弁へ与えられているVVLソレノイド指令値が燃費重視カムであるか判別する。前述したように、Δtの期間は出力重視カムのままであるので、ステップ35側へ進む。ステップ35でVTC角度を読み込み、ステップ36でVcyl変換係数を算出する。さらにステップ37でH→L切換時目標吸入空気補正量を読み込み、ステップ38で切換時点火時期補正量を算出する。これは点火時期補正で低下させるべき余剰のトルクに相当する値である。ステップ39で一次遅れ処理を加え、ステップ40で、トルク相当値から点火時期リタード量に変換する。この点火時期リタード量(切換時トルク補正ADV)を、ステップ33で出力する。
【0038】
次に、図10は、最終的に点火時期を決定する制御の流れを示すフローチャートである。まず、機関回転速度、VTC角度および吸入空気量を読み込むとともに、カム切換判定値を読み込み(ステップ51,52,53,54)、これらのパラメータに基づいて、燃費重視カム用の点火時期ならびに出力重視カム用の点火時期をそれぞれ算出する(ステップ55,56)。ステップ57では、カム切換の制御中であるか判別し、カム切換のタイミングでなければ、ステップ58へ進み、現在のカムが出力重視カムであるか燃費重視カムであるか判別する。出力重視カムであれば、ステップ59で出力重視カム用点火時期を読み込み、かつステップ61で出力する。燃費重視カムであれば、ステップ60で燃費重視カム用点火時期を読み込み、かつステップ61で出力する。
【0039】
一方、カム切換の制御中であれば、ステップ62で前述の点火時期リタード量(切換時トルク補正ADV)を読み込み、ステップ63で出力重視カム用点火時期を読み込み、ステップ64で両者の和として、補正後の点火時期を求める。
【0040】
以上、この発明を、出力重視カムと燃費重視カムとの2つのカムを備えた実施例について説明したが、この発明は、3つ以上のカムを切り換える可変動弁機構についても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す内燃機関全体の構成説明図。
【図2】カムの切換領域を示す特性図。
【図3】出力重視カムから燃費重視カムへの切換の際のタイミングチャート。
【図4】燃費重視カムから出力重視カムへの切換の際のタイミングチャート。
【図5】制御装置の要部を示す機能ブロック図。
【図6】Boost合わせ制御時シリンダ内目標吸入空気補正量演算部の機能ブロック図。
【図7】カム切換制御時ADV制御補正量演算部の機能ブロック図。
【図8】カム切換時のスロットル弁開度の制御の流れを示すフローチャート。
【図9】点火時期リタード量を求める制御の流れを示すフローチャート。
【図10】最終的な点火時期を決定する制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
2…可変動弁機構
19…エンジンコントロールユニット

Claims (5)

  1. バルブリフト特性が異なる少なくとも2つのカムを有し、これらのカムを選択して吸気弁を駆動する可変動弁機構と、アクセル操作部材の操作量を検出するセンサと、制御信号により開度が制御可能なスロットル弁と、を備え、上記アクセル操作部材の操作量から定まる目標トルクが得られるように、それぞれのカムにより異なる吸入負圧とすべく上記スロットル弁の開度を制御する内燃機関の制御装置において、
    作動角が相対的に大きなカムから相対的に小さなカムへの切換の要求時に、切換後のカムで等トルクとなる吸入負圧を目標としてスロットル弁開度を制御し、かつ実際の吸入負圧が目標に達するまでカムの切換実行を遅らせるとともに、このカムの切換までの間のトルク増加を相殺するように点火時期のリタードを行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. カム切換までの間は、切換前のカムで上記の目標の吸入負圧となるようにスロットル弁開度を制御し、切換後は、切換後のカムで上記の目標の吸入負圧となるようにスロットル弁開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 実際の吸入負圧の低下に対応するように、点火時期のリタード量を徐々に増加させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 作動角が相対的に小さなカムから相対的に大きなカムへの切換の要求時に、カムの切換を直ちに実行すると同時に、切換後のカムで等トルクとなる吸入負圧を目標としてスロットル弁開度を制御し、かつ実際の吸入負圧が目標に達するまでの間のトルク増加を相殺するように点火時期のリタードを行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  5. カム切換時に、目標とする吸入負圧までの吸入負圧差に対応する大きさの点火時期のリタード量を与え、その後、実際の吸入負圧の上昇に対応するように、リタード量を徐々に減少させることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
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