JP2004105244A - 徐放性消臭コート剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】消臭効果を簡便に効果的に発揮でき、且つ、経済的であり、人体や環境への影響が更に軽減できる徐放性消臭コート剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂若しくは合成ワックスのエマルジョンと、天然樹脂若しくは天然ワックスのエマルジョンとに、融合剤及び可塑剤を含有させてなるエマルジョンコート基剤に、草木抽出物若しくは樹木抽出精油を担持させた徐放性マイクロカプセルを、0.5〜5.0重量%含有させたものとする。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光沢、耐久性、乾燥性、その他諸性能に優れ、簡便な施工で行うことが可能で、その優れた被膜が長期間、基材の保護を行いながら、建物や車両等の内部で発生する悪臭、生活臭やシックハウス/スクール/ビル症候群の原因とされている化学物質がもたらしている、臭気/物質の消臭/分解を同時に行う機能を兼ね備えた、人の健康への影響や環境への影響を軽減することができる徐放性消臭コート剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来のコート剤といわれているものは市場で様々なものが提供されている。例えば、家庭用や業務用として、塗料、床用ワックス、家具用ワックス、ニス等が挙げられ、また、水性タイプや油性タイプなどその種類も多数ある。しかしながら、これらは、施工対象基材の艶出しや保護機能としては優れているが、消臭や抗菌、防虫(忌避)と言う機能は有しておらず、これらの機能は別の方法に頼るしかなかった。
【0003】
一方、消臭や抗菌、防虫(忌避)と言った性能面では、様々なものが市場に提供されている。例えば、消臭剤、芳香剤、空気清浄機、抗菌加工、防虫剤、忌避剤と言った物が挙げられる。しかしながら、芳香剤においては、悪臭より強い臭気を放散させ、悪臭をマスキングするだけで、悪臭の原因物質を分解等することはなく、そのため原因物質は存在し続ける結果になる。
【0004】
また、消臭剤においては、製品の形態上、小容積の場所や部分的な消臭には効果はあるものの、大容積の場所では多量に消臭剤を設置しなければならず、不経済であった。しかも、即効性は有するが持続性に劣る為、交換等に手間を要すると言う問題があった。
【0005】
また、消臭剤や芳香剤をスプレー缶に入れ、悪臭発生源へ直接噴霧し消臭を行うものもあるが、即効性は有するものの持続性に問題を残す。更に、消臭剤を洗浄剤に含有させる方法も提供されているが、悪臭発生部分の限られた部分でしか使用ができない為使い勝手が良くない。
【0006】
尚、これらの消臭剤としては、酸化や還元反応を利用し悪臭原因物質を分解させるようにしたものも周知である。しかしながら、例えば、次亜塩素酸ナトリウムや二酸化塩素のような成分を含有するものの場合、消臭効果は優れるものの、素材の色を脱色したり、腐食させたり、また、これら成分が人体に吸入されると健康を害することは良く知られている。
【0007】
一方、空気清浄機は、空気中の埃や限られた悪臭の除去に関してはその効果を有するが、それ以外の臭気に関しては効果は期待できるものではない。更に、フィルターの交換に手間を要し、高価であるため不経済で空気清浄機自体の設置に経済的負担を強いられる。
【0008】
その他に、活性炭を用いて吸着させ消臭する方法も試みられたが、吸着するだけで悪臭原因物質を分解するまでには至らなく、時間がたてば、また空気中に放散(リリース)されることになるなど、どの方法も満足する結果は得られない状況である。
【0009】
その他の方法として、例えば、特開平4−194153号公報に記載された方法が試みられている。この方法は、芳香消臭成分をマイクロカプセルに担持させ、そのカプセルを更に床用ワックスに含有せしめ、予め、床基材に塗布施工した床材を提供するものである。この方法の原理は、ワックス被膜中に存在しているカプセルが歩行等による衝撃で割れ、含浸してある芳香消臭成分が放出し、悪臭の消臭やマスキングに寄与するものである。しかしながら、歩行等が盛んに行なわれる場合には効果が期待できるが、そうでない場合には芳香消臭成分が被膜中に閉じ込められたままとなり、カプセル自体から有効成分の放出がなく、上記のような悪臭の消臭やマスキング機能が発揮されないものである。
【0010】
従って、歩行等が常にあるか、もしくは、歩行に代わる衝撃や物理力を与えることが必須となり、その効果を発揮させるためには消費者にこれらを強いることになり、施工できる場所が限定されることになる。更に、これに用いられる消臭芳香成分は、一般的住居で発生する悪臭原因物質の一部に対しては効果は期待できるが、その殆どには効果はないと言う結果が得られている。
【0011】
一方、尿素等の吸着性質を利用し、例えば、シックハウス症候群の原因物質の代表でもあるホルムアルデヒドを消臭する目的で、壁紙やカーテン等の備品に、予め吸着剤を練りこみ消臭する方法も知られているが、この場合も、上記同様に悪臭の原因物質を取り込むだけで、分解させるまでには至らない為、原因物質のリリースを引き起こし、これも満足する結果が得られないという状況である。
【0012】
これらどの方法をとっても、性能面や経済性、作業の簡便性等、満足する物は得られていないのが実情である。また、現状の消臭剤を取って見ても、その殆ど全てが、化学合成品を用いており、逆に、人体の健康や環境への影響が懸念される。このように、性能面に優れ、且つ、人体や環境へ影響が少ない消臭抗菌防虫効果が得られる方法及び組成物は得られていない。即ち、消臭抗菌防虫効果を簡便に効果的に発揮でき、且つ、経済的であり、人体や環境への影響が更に軽減できる消臭抗菌防虫効果を有する組成物の開発が望まれるものである。
【0013】
しかしながら、上述した通り、床用等のコート材は、例えば、基材の艶出しや保護のみの性能は十分満足できるものであるが、消臭や抗菌、防虫性能を有しないものばかりで、一度の施工等で双方の機能を有する物がないのが実情である。一方、消臭等の機能をこれに求めようとすると、経済的負担や労務的負担を強いられるのが現状である。
【0014】
しかしながら、今日の科学技術の発展により、この豊かで快適な生活が出来ているといっても過言ではない状況にあるにも拘わらず、昨今、非常に注目されている現象がある。例えば、新築の家やリフォーム後の住居において、「目がチカチカする」、「頭が痛い」、「吐き気がする」などの健康被害を訴える人たちが急増していることである。これらは、ホルムアルデヒドに代表される化学物質を原因とするアレルギー症状や、アトピー症状であると言われており、多くの化学物質を用いて製品化された設備や備品に含まれている揮発性化合物の拡散により、呼吸や皮膚より体内に取り込まれて発症すると言われている。
【0015】
これらの症状は、シックハウス症候群やシックスクール症候群、シックビル症候群と呼ばれ、上記化学物質はこのように健康への影響が大きく被害を与える原因となっている。これらは、住宅や建築物、室内、屋内などすべての場所において今後の影響の拡大が懸念されている。そして、快適な室内を創り出すために、住宅等の気密性が高まり、換気や通気が減り、それ故に、これらの室内空気を汚染する化学物質の存在が長期間に渡り健康を脅かすことにもなっている。
【0016】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、消臭効果を簡便に効果的に発揮でき、且つ、経済的であり、人体や環境への影響が更に軽減できる徐放性消臭コート剤を提供するものである。
【0017】
【特許文献1】
特開平2002−193721号公報
【0018】
【課題を解決する為の手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る徐放性消臭コート剤は、合成樹脂若しくは合成ワックスのエマルジョンと、天然樹脂若しくは天然ワックスのエマルジョンとに、融合剤及び可塑剤を含有させてなるエマルジョンコート基剤に、草木抽出物若しくは樹木抽出精油を担持させた徐放性マイクロカプセルを、0.5〜5.0重量%含有させたことを特徴とする。
【0019】
本発明者は、コート剤組成物の成分と被膜物性の関係と合わせて効率的に悪臭等の健康影響を及ぼす原因物質の除去分解に関する消臭抗菌防虫成分の関係等、安全性を含む関係に関し鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。即ち、従来から周知のコート剤の必須性能を有しながら、悪臭の原因物質の除去分解を効率的に、しかも、経済的にも安全性の面でも優れた徐放性消臭コート剤組成物を提供するものである。
【0020】
ここで用いることができるコート剤としては、被膜形成成分を含有し、艶出しや基材の保護等の性能を有する物であれば特別限定はしないが、例えば、塗料、床用ワックス、家具用ワックス、その他什器備品や設備に使用されるものが挙げられるが、好ましくは、塗料や床用ワックス、家具用ワックスが挙げられる。更に、好ましくは、床用ワックスが挙げられる。その理由としては、床面は水平で、作業しやすく、しかも、室内においては、表面積が大きいことが挙げられる。更に、具体的に説明すると、室内に存在している悪臭は空気中に極微細な大きさで存在しており、コート剤に含有させる徐放性消臭剤の放散や拡散からの観点より、原因物質の接触効率が良い事より、より効率的に効果的に消臭等の目的を果たすことが可能であるからである。合わせて、コート剤被膜が汚れたり、痛んできたり、消臭効果が失活した場合には、その被膜を除去し、再度施工を行うと言う観点より作業性等を考慮すると床面が適している。
【0021】
尚、本発明の徐放性消臭コート剤の用途としては、床用コート剤として好適であるが、天井や壁、家具、什器備品、設備などにも使用でき、その他、電車、バス、飛行機、船舶、遊戯施設、などのあらゆる室内環境のもとでも使用でき、床用と同様の効果が期待できるものである。
【0022】
一般的な、床材の材質は、例えば、コンポジションタイル、ホモジニアスタイル、リノリューム、表面塗装を施した木質系床材(以下、フローリングと言う)、石質材、樹脂塗り床材、コルク材、無垢の木床材等が挙げられる。本発明のコート剤はこのような床材に容易且つ簡便に施工ができるものである。
【0023】
本発明に用いることができる合成樹脂としては、例えば、ポリオレフイン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンーアクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、更に、アクリルーエチレン複合樹脂、アクリルーウレタン複合樹脂、コロイダルシリカーアクリル複合樹脂、コロイダルシリカーウレタン複合樹脂、シリコンーアクリル複合樹脂、シリコンーウレタン複合樹脂、エチレン系アイオノマー樹脂、ポリオレフイン系アイオノマー樹脂等々が挙げられる。
【0024】
更に、これらの樹脂類に、架橋システムが取り入れられ、具体的には、多価金属架橋、イオン架橋、自己架橋、が組み込まれた水分散液及び/又は乳濁液(エマルジョン)が使用できる。合成樹脂類で好ましくは、アクリル樹脂、スチレンーアクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルーウレタン複合樹脂、ポリオレフイン系樹脂等の1種又は/及び2種以上が挙げられる。更に、好ましくは、アクリル樹脂やポリウレタン系樹脂、ポリオレフイン系樹脂であって、その残留モノマー量が少ないこと、臭気が少ないこと、架橋構造であること、安定性に優れる、色相が淡色である、その他諸性能が優れていることなど挙げられ、これらの要素を満足できる物であれば特に制限なく適宜選択使用できるものである。
【0025】
尚、特にポリウレタン系樹脂の選定は慎重に行わなければならない。ポリウレタン系樹脂は、組成によっては黄変タイプと無黄変タイプがある。詳しくは、ポリオールとイソシアネートより得られる化合物であって、そのイソシアネートの種類により、芳香族と脂肪族及び脂環式に大きく分けられ、芳香族系のイソシアネートを用いた場合光や温度の影響で得られる被膜が黄変していき、美観を損なうので好ましくない。長期間被膜が変色しない事が望ましいので、無黄変タイプの脂肪族及び脂環式のイソシアネートを用いたポリウレタン樹脂を使用する事である。更に、好ましくは、ポリウレタン系樹脂の水分散液及び/又は乳濁液の製造において、有機溶剤を含有する場合があるが、その際に用いられる、メチルエチルケトンやトルエン、アセトンのような有機溶剤は安全性や臭気の点に問題があるので好ましくない。好ましい有機溶剤としては、NMP(ノルマルメチル2ピロリドン)やカルビトール系の溶剤等が挙げられる。
【0026】
その他、エマルジョンコート基剤に用いることができる合成成分の好ましい条件としては、最低被膜形成温度(以下、MFT°と言う)が、0℃〜90℃であることが挙げられる。更に、好ましくは、10℃〜80℃である。ここで、MFT°とは、その樹脂被膜が形成される最低温度を言い、MFT°以下では成膜せずに粉状になり、保護膜にならず、MFT°以上の温度を加えると成膜することを意味するものである。MFT°が90℃を超えると、被膜形成の際の融合剤や可塑剤の必要含有量が多くなり、これらが臭いの成分としてコート基剤から発散し易くなる。また、0℃未満の場合、乾燥性や耐久性の面で劣るものとなる。
【0027】
更に、エマルジョンコート基剤を構成する天然系成分としては、キャンデリアワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、シェラック樹脂、コーパル樹脂、ダンマル樹脂、蜜蝋、ラノリン、鯨ロウ、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム、及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらの成分を水分散液及び/又は乳濁液(エマルジョン)に分散せしめた物が挙げられる。
【0028】
好ましくは、カルナバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、シェラック樹脂、セレシン、パラフィンワックス、ライスワックス、シェラックロウなどが採用される。これらの好ましいワックス類は、従来周知の乳化剤を用いて、エマルジョン化ができる。すなわち、アニオン系・ノニオン系・カチオン系の乳化剤(界面活性剤)を用いることで、水にこれらのワックス類(ロウ類)を均一分散せしめることが出来、上記エマルジョンコート基剤に用いることができる、好ましくは、アニオン系もしくはノニオン系のタイプが挙げられる。
【0029】
更に詳しくは、これらの天然成分は、そのコート剤の性能目的に応じて任意の割合で使用でき、例えば、光沢や硬度を得るには、カルナバワックス、ライスワックス、シェラックロウ、モンタンワックスやシェラック樹脂の配合量を多くする。逆に、柔らかくするには、セレシン、パラフィンワックス等の配合量を多くする。消臭効果は、シェラック樹脂、シェラックロウ、セレシン、パラフィンワックスの配合量を多くすると増大する。
【0030】
又、シェラック樹脂に関しては、上記乳化物としての使用以外に、適した水分散液としては、ソーダ灰、重炭酸ナトリウム、アミン類、アンモニア水、クエン酸ナトリウム、モルフォリン、ホウシャ、等のアルカリ成分を用いて水可溶化を行ったものを用いることが出来る。好ましくは、ソーダ灰、アンモニア水、モルフォリン、ホウシャが挙げられ、更に好ましくは、アンモニア水、モルフォリンが用いられる。その溶解は、シェラック樹脂を攪拌しながら水中に分散させ、アルカリ成分を投入し、温度を60℃〜70℃に保ち攪拌を続ければよく、これにより簡易に水可溶性物が得られる。
【0031】
尚、上記水可溶化を行う場合には、用いるアルカリ成分の量には充分な注意が必要である。例えば、アンモニア水の量が多くなると、臭気が強くなりすぎ、消臭効果に支障をきたし、また、pHが高くなり過ぎ本発明のコート剤の安定性にも影響を及ぼす。また、本発明におけるエマルジョンとは、界面活性剤で乳化された状態の乳濁液だけではなく、界面活性剤を含有しない水分散液や水可溶性液も含む趣旨である。
【0032】
上記エマルジョンコート基剤における合成成分と天然成分との固形分比率は、重量比で、95:5〜10:90の範囲であることが好ましく、更に、好ましくは、80:20〜20:80である。合成成分の量が多過ぎると、その分子間結合の強さや分子量の大きさにより、被膜中に含有させている徐放性カプセルから放出される有効成分が効率的に放散されず、消臭効果等に影響を及ぼす。また、逆に、合成成分が少ないと被膜物性が劣り耐久性等コート剤としての性能に問題を生じさせる。
【0033】
また、天然成分が多いと、色相が悪くなり、被膜物性が劣る。反面、汚れた被膜の除去性はよくなる。一方、少ない場合は、汚れた被膜の除去性が劣り、或いは消臭効果が低減することになる。
【0034】
本発明に用いることが出来る天然成分は、本発明者の研究によると悪臭原因物質を吸着する機能も有しており、それ故、消臭効果の向上に大きく寄与していることも判明している。加えて、この天然成分の機能により本発明のコート剤は悪臭成分の放散防御効果も期待できるものである。
【0035】
エマルジョンコート基剤には、融合剤と可塑剤を含有させるが、この融合剤としては、公知の物を用いることが出来る。詳しくは、高沸点水溶性溶剤が用いられ、例えば、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルメチルカルビトール、NMP、等の溶剤が使われ、好ましくは、適度に融合し、乾燥性の優れた、臭気や毒性の少ない物が採用される。又、塗布対象素材に悪影響がない物が望まれる。
【0036】
また、融合剤だけでは、得られた被膜は単に硬質であって、柔軟性に欠ける為に、衝撃や摩耗に弱く、且つ、低温での柔軟性に欠ける為、コート剤としての性能が不充分である。そこで、被膜形成助剤として、可塑剤が一般的に融合剤と併用して用いられる。例えば、特開2000−234078号公報に開示されている、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類やトリブトキエチルフォスフェートのような有機燐酸エステル類やクエン酸エステル類、イソラク酸エステル類等、がある。これらを単独若しくは併用して被膜形成の助剤として用いることができる。好ましくは、トリブトキエチルフォスフェート、クエン酸エステル類、イソラク酸エステル類等が採用される。
【0037】
更に、上記エマルジョンコート基剤には、特に限定はしないが、周知の添加剤を用いることが出来る。例えば、フッ素系界面活性剤のような低表面張力を利用したレベリング剤やシリコン系界面活性剤、その他、界面活性剤、分散剤、中和剤、安定剤、増粘剤、香料、消泡剤、アルカリ可溶性樹脂、消泡剤、濡れ剤、着色剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、充填剤等、従来のコート剤に用いられている補助的成分も特に制限なく使用できるものである。
【0038】
次に、本発明に用いられる草木抽出物若しくは樹木抽出精油(以下、消臭剤と言う)を担持させたマイクロカプセル(以下、徐放性マイクロカプセルと言う)について説明を行う。この消臭剤としては、具体的には、草木もしくは樹木の花、葉、果皮、樹皮、根などより、その草木もしくは樹木が本来有している消臭抗菌防虫効果を有する有効成分を周知の方法を用いて抽出した成分が挙げられる。
【0039】
例えば、草木としては、ササ、フキ、ヨモギ、タンポポ、ゲンノショウコウ、カモミール、ローズ、ネロイ、イランオラン、ローズマリー、ペパーミント、ティートリー、クリセール、ラベンダー、ベルガモット、ベンゾイン、フランキンセンス、ジュニパー、などが挙げられ、これらの花、葉、果皮、樹皮、根を用いて、周知の水蒸気抽出法や溶剤抽出法で有効成分を取り出すことが出来る。尚、この消臭剤の長期安定化のために、炭水化物、有機酸若しくはその塩類、界面活性剤、溶剤類、アルコール類、防腐剤など適宜選択配合する事で安定化を計ることが好ましい。
【0040】
上記消臭剤には、好ましくは、ササ、フキ、ヨモギ、タンポポ、ゲンノショウコウ、ティートリーなどの抽出物が挙げられる。更に好ましくは、ササ、フキ、ヨモギ、タンポポ、ゲンノショウコウ等の抽出物である。
【0041】
次に、樹木としては、好ましくは、ヒノキ、ヒバ、カエデ、ユーカリ、ポプラ、レモン、ティートリーなどが挙げられ、更に好ましくは、ヒノキ、ヒバ、カエデ、ユーカリが挙げられる。尚、消臭目的の臭気の種類によってはこれらに限定される物ではなく、周知の効果を有する消臭成分を配合する事に特に制限はない。例えば、硫化水素系悪臭が多い場合には、アビエス油、ビターアーモンド油、ライム油、ラベンダー油、ゲラニウム油、オリナガナム油、ペパーミント油等追加配合するか増量する事で対処可能である。また、メチルメルカプタンなどの悪臭が多い場合には、ペパーミント油、スイトオレンジ油、ペチグレイン油などの追加配合若しくは増量が有効である。
【0042】
これらの草木抽出物もしくは樹木抽出精油の1種及び2種以上を、ほぼ等量ずつ含有させる事で、消臭効果や抗菌、防虫効果が得られる。そして、上記消臭剤は、消臭対象物質に応じて、適宜選択使用される。
【0043】
上記消臭剤を本発明のコート剤に含有せしめることができ、好ましくは、必要に応じてそれぞれの成分を配合した消臭剤を0.5〜15重量%含有させることが可能である。更に、好ましくは、1〜10重量%である。この場合は、消臭効果は即効性を有するものの持続性に劣るものであるが、即効性という観点より悪臭が多い場合や、その種類が特定できている場合には有効である。
【0044】
そこで、本発明者は、その持続性という問題点を克服する手段として、マイクロカプセルに消臭剤を担持させることで、効果の持続性を向上させる技術を見出した。すなわち、上記消臭剤をある特定のマイクロカプセルに担持させる事で、有効成分(消臭剤)を徐々に放散させ、消臭効果などの長期持続性を可能とした。
【0045】
次に、本発明で採用される徐放性マイクロカプセルについて説明を行う。本発明者は、最適な徐放性マイクロカプセルについて鋭意研究をした結果、以下のような結論に到達した。マイクロカプセルの素材としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属類、シリカ、酸化ニッケルなどの金属酸化類や金属炭酸類などを用いることが出来、好ましくは、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、等が挙げられ、更に、耐水性、耐熱性、強度などを優れた、しかも、エマルジョンコート基剤との相溶性にも優れたシリカが最も好ましく採用される。
【0046】
また、上記シリカとしては、球状多孔質シリカが好ましく、更に、その粒子径が0.1ミクロン〜25ミクロンの海綿体状またはスポンジ状で、しかも、細孔の大きさが50Å〜150Åであるものが好ましく採用される。この場合、粒子径が大き過ぎると、コート剤の被膜性能に影響を及ぼし、逆に小さ過ぎると、消臭剤を担持させにくくなる。また、細孔が小さ過ぎると、消臭剤の徐放性が少なく持続性に劣り、逆に大き過ぎると徐放量が多過ぎて持続性に劣る。また、そのシリカの形状が不定形だと乾燥塗膜の仕上がり感を損なう事になる。
【0047】
この徐放性マイクロカプセルは、上記消臭剤と上記球状多孔質シリカを真空状態下で、マイクロカプセル化して製せられる。このようにして得られた徐放性マイクロカプセルを上記エマルジョンコート基剤に含有せしめることにより、被膜中に存在させ、徐々に消臭効果などを有する有効成分を長期間放出する事で、その効果の持続性を可能とする。
【0048】
上記で得られた徐放性マイクロカプセルをエマルジョンコート基剤に含有させて本発明の徐放性消臭コート剤が構成されるが、その含有量は0.5〜5.0重量%が望ましいことが本発明者の研究により判明した。即ち、この含有量であれば、コート剤としての性能を維持しながら、消臭等の機能を付与する両方の性能向上に貢献することになる。
【0049】
この徐放性マイクロカプセルは、常温及び常圧下において、エマルジョンコート基剤に一般的な攪拌装置を用いて分散せしめることが可能である。その場合は床等の施工直前に混合することが好ましい。
【0050】
尚、本発明に用いる徐放性カプセルや消臭剤は水性タイプのものに限らず油性タイプのものも採用可能である。又、併せて、本発明に用いる徐放性カプセルや消臭剤はコート剤に留まらず、次のような用途にも有用である。例えば、皮革、繊維、紙、プラスチック等に練り込んだり、含浸させたりする加工によりその効果も期待できるものである。その他には、空気清浄機やエアコンのフィルターに直接噴霧またはフィルターに固着させることが出来、加湿器内に添加し、空気中に放散させる場合でも効果は有効である。更に、直接噴霧したり、放散させることで土壌や大気、水質の改質用の使用も可能である。
【0051】
上記エマルジョンコート基剤における不揮発分は、12〜40重量%が好ましく、更に好ましくは、15〜30重量%である。その理由としては、不揮発分が少ないと、含有せしめる上記徐放性マイクロカプセルが被膜より突出し、歩行等により削られ易く、効果の持続性に問題を起こす。また、逆に、不揮発分が多いと、被膜中に存在している徐放性マイクロカプセルより有効成分が放散されにくくなり、消臭効果等に影響を及ぼす。
【0052】
また、上記エマルジョンコート基剤の水素イオン濃度指数は、pH5.0〜9.0の範囲にあることが望ましい。pHが9.0を超えると粘度が上がるため、混練や床施工等における作業性が劣り、施工時の延びが悪い為不経済となる。逆に、pHが5.0未満の場合、コート剤の安定性が劣り長期保存に向かなくなる。
【0053】
このように本発明の徐放性消臭コート剤は、その組成中に天然成分を使用しているので、従来のコート剤に比して、格段にその安全性が向上する。更に、従来のコート剤では強アルカリ性で有機溶剤を多量に含有する専用の剥離剤を使用して、古く汚れた被膜を除去していたが、本発明の徐放性消臭コート剤は、比較的容易に除去できる利点も兼ね備えている。そして、コート剤としての性能も優れ、且つ、昨今社会問題になっているシックハウス症候群などのような有害物質より快適な住環境を実現させる利便性、経済性、環境調和性を兼ね備えた、まさに、人体と環境に優しいコート剤である。
【0054】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態について説明する。
【0055】
表1は、エマルジョンコート基剤を構成する天然成分のエマルジョンの処方例で、予め、ワックス類と乳化剤成分を120℃程度の温度に加温して溶解後、攪拌しながら、沸騰水中に滴下し、均一に攪拌しながら、室温まで冷却後、防腐剤、消泡剤を加えて、不揮発分、30%の天然成分のエマルジョンを得た。
【0056】
【表1】
Figure 2004105244
【0057】
表2は天然成分の一部でもあるシェラック樹脂の水可溶性液の処方例を示す。水とシェラック樹脂を攪拌しながら、60℃〜70℃で加温し、アンモニア水を滴下し、攪拌を続け溶解した時点で室温まで冷却し、不揮発分、25%液を得た。
【0058】
【表2】
Figure 2004105244
【0059】
次に、エマルジョンコート基剤の処方例を表3に示す。
【0060】
【表3】
Figure 2004105244
【0061】
尚、表3中の成分の詳細は次のとおりである。
▲1▼アンチフォーム92:ダウコーニイングアジア(株)製シリコン系消泡剤。
▲2▼キョーワノールM:協和醗酵(株)製、イソ酪酸モノエステル類(2.2.4−トリメチル−1.3−ペンタンジオールモノイソブチレート)。
▲3▼エチルカルビトール:ダイセル化学工業(株)。
▲4▼ポリエチレンワックスエマルジョン:東邦化学工業(株)製、ハイテックE−▲4▼B、不揮発分=40%。
▲5▼フッソ系界面活性剤:旭硝子(株)製、サーフロンS−113、アニオン系。▲6▼アクリル系樹脂エマルジョン:(株)日本触媒製、アクリセットFB−277(アクリル系、不揮発分=40%、MFT°=70℃以上、Tg=57℃)。
▲7▼ポリウレタン系樹脂エマルジョン:SOLUOL・CHEMICAL、INC、Solucote・17−36C(軟化点=210℃、不揮発分=35%、無黄変タイプポリエステル系)。
【0062】
表4に示す処方で計量し、攪拌を行い、消臭剤を得た。
【0063】
【表4】
Figure 2004105244
【0064】
表5に示す処方で、球状多孔質シリカと上記で得た消臭剤を周知の減圧法で担持させて徐放性マイクロカプセルを得た。
【0065】
【表5】
Figure 2004105244
【0066】
表6に示す処方で徐放性消臭コート剤を調合した。
【0067】
【表6】
Figure 2004105244
【0068】
表7、表8に示す処方で市販のコート基剤に上記徐放性マイクロカプセルを調合して比較例とした。
【0069】
【表7】
Figure 2004105244
【0070】
【表8】
Figure 2004105244
【0071】
表9及び表10は、表6で得た本発明の実施例に係る徐放性消臭コート剤及び表7、8の比較例のコート剤を床面に塗付しその性能評価をした結果を示す。
【0072】
それぞれの試験方法は、次の通りである。
▲1▼仕上がり感:コート剤を東リ製、MSプレーン(黒色)に1回当り20ml/m3で2回塗布し、目視にて仕上がり感を判定。
▲2▼耐ブラックヒールマーク性:JIS K3920(フロアーポリシュ試験方法)15、耐ヒールマーク性に準拠。
▲3▼耐水性:JIS K3920(フロアーポリシュ試験方法)17、耐水性に準拠。
▲4▼剥離性:JIS K3920(フロアーポリシュ試験方法)19、除去性に準拠。
▲5▼臭気:10名により臭気判定を行う。
判定は、特に記載のない場合は、次の通りである。
◎=非常に優秀。○=優秀。△=普通。×=劣る。
【0073】
【表9】
Figure 2004105244
【0074】
【表10】
Figure 2004105244
【0075】
表11に、表4で得た消臭剤の消臭性能試験結果を示す。
消臭性能評価実験の方法;各悪臭成分を表に示す初期濃度となるようテドラーバック(5リットル)に注入し、消臭剤1gを1gのエステル綿にしみ込ませたものをこのバック内に設置し、3時間後のそれぞれのガス濃度を検知管を用いて測定をした。
【0076】
【表11】
Figure 2004105244
【0077】
表12に、表6で得た本発明の実施例に係る徐放性消臭コート剤の消臭性能評価結果を示す。
消臭性能評価実験の方法;悪臭成分をそれぞれ、300ppm計量後にテドラーバック(5リットル)に注入し、更に、徐放性消臭コート剤の被膜2.0gを同様にバック内に入れ、3時間後のそれぞれのガス濃度を、検知管を用いて測定した。表内の数値は3時間後の検出濃度(ppm)を示す。
【0078】
【表12】
Figure 2004105244
【0079】
表13に、表7,8で得た比較例に係るコート剤の消臭性能評価結果を示す。消臭性能評価実験の方法;悪臭成分をそれぞれ、300ppm計量後にテドラーバック(5リットル)に注入し、更に、コート剤の被膜2.0gを同様にバック内に入れ、3時間後のそれぞれのガス濃度を、検知管を用いて測定した。表内の数値は3時間後の検出濃度(ppm)を示す。
【0080】
【表13】
Figure 2004105244
【0081】
表14〜16は、本発明の実施例である徐放性消臭コート剤Bを用いて、実際に使用している幼稚園や新築一戸建て住宅のVOC成分等を採取し、施工前、施工24時間後のVOC成分(悪臭成分)の定性定量試験を行った試験結果である。
【0082】
尚、コート剤の施工は、徐放性消臭コート剤Bを用いて、床面2回塗布を行った。
【0083】
【表14】
Figure 2004105244
【0084】
【表15】
Figure 2004105244
【0085】
【表16】
Figure 2004105244
【0086】
上記におけるVOC採集方法は、「室内空気中化学物質の室内指針値及び標準的測定方法」生衛発1093号(平成12年6月30日)に準拠した。即ち、ホルムアルデヒドは、DNPH誘導体固相吸着/溶媒抽出−高速液体クロマト法による。また、その他の揮発性有機化合物は、固相吸着/溶媒抽出法、固相吸着/加熱脱着法又は容器採取法とガスクロマトグラフ/質量分析法の組合せによるものとする。
「ND」は定量限界値を示す。
ホルムアルデヒド・・・10μg/m3未満
トルエン〜ノナナール・・・20μg/m3未満
【0087】
上記、各種性能評価から明らかのように、本発明に係る徐放性消臭コート剤は、比較例に比べて、極めて良好な性能を示すことが解る。
【0088】
【発明の効果】
本発明の、徐放性消臭コート剤は、悪臭原因物質に有効である天然草木抽出物や樹木抽出製油(消臭剤)を特定の組成、構造、性質から厳選されたマイクロカプセルに担持させ、このマイクロカプセルを合成樹脂類もしくは天然樹脂類等から構成されたエマルジョンコート基剤に含有せしめて構成したものであり、この徐放性消臭コート剤を床面等に塗布し、被膜を形成させると、含有しているマイクロカプセル内より上記消臭剤が徐々に室内空気中に放出して空気中に混在する悪臭原因物質と接触し、その悪臭原因物質の消臭分解を行うから、空気の清浄化が行なわれ、その結果、室内空気汚染を改善もしくは予防できる効果が奏せられる。
【0089】
一方、床材より低い場所より悪臭が発生している場合は、本発明の徐放性消臭コート剤の被膜がフィルターの役割若しくは吸着効果を奏し、そのプロテクト効果により悪臭を低減させる効果も期待できるものである。これらの相乗効果で室内中の悪臭を除去し、より快適な空間を提供出来るようになっている。
【0090】
更に、詳しくは、昨今、非常に注目されている、シックハウス症候群やシックスクール症候群、シックビル症候群と呼ばれる健康への被害がある。その原因は化学物質であると言われ、例えば、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)が原因とされ、特に、室内空気汚染の原因を引き起こしているとまで言われている。これらは、住宅や建築物、また、これらに留まらず室内や屋内などあらゆる場所において今後の影響の拡大が懸念されている。
【0091】
本発明の徐放性消臭コート剤は上記の原因を持続的に除去し、合わせて被塗布基材の保護機能により、その基材の延命効果を奏し、買い替え需要の延長による廃棄物の軽減に寄与し、更に、従来品のコート剤と比べて痛んだり、汚れたりした際に古い被膜を除去するための剥離剤も強力なものを使用する必要がなく、容易に除去できる特性も兼ね備えているので、従来品より環境に配慮できている。しかも、天然成分を含有するので、廃棄された場合でも、微生物等による生分解性の向上が図れるものでもある。
【0092】
このように本発明の徐放性消臭コート剤は、従来品にない様々な利点を兼ね備え、しかも、人体を始めとする生物類、大気、土壌、水質等の自然環境にも優しい画期的な徐放性消臭コート剤であると言える。また、その製造も極めて簡易であり、安価に供給することができる。

Claims (5)

  1. 合成樹脂若しくは合成ワックスのエマルジョンと、天然樹脂若しくは天然ワックスのエマルジョンとに、融合剤及び可塑剤を含有させてなるエマルジョンコート基剤に、草木抽出物若しくは樹木抽出精油を担持させた徐放性マイクロカプセルを、0.5〜5.0重量%含有させたことを特徴とする徐放性消臭コート剤。
  2. 請求項1において、
    上記エマルジョンコート基剤中の合成成分と天然成分との固形分の比率が、重量比で95:5〜10:90であることを特徴とする徐放性消臭コート剤。
  3. 請求項1または2において、
    上記天然樹脂若しくは天然ワックスが、シェラック樹脂、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、ライスワックス、シェラックロウの1種若しくは2種以上含有することを特徴とする徐放性消臭コート剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    上記草木抽出物若しくは樹木抽出精油が、消臭性能を有するササ、フキ、ヨモギ、タンポポ、ゲンノショウコウ、ヒノキ、ヒバ、カエデ、ユーカリの抽出物若しくは抽出精油を1種若しくは2種以上含有することを特徴とする徐放性消臭コート剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    上記エマルジョンコート基剤中の不揮発分が、12〜40重量%であり、その水素イオン濃度指数がpH5.0〜9.0であることを特徴とする徐放性消臭コート剤。
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