JP2004123858A - 等速ジョイント用グリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記の成分を含む等速ジョイント用グリース組成物。
(a) 基油、(b)下記式で表されるジウレア化合物:
R1NH−CO−NH−C6H4−p−CH2−C6C4−p−NH−CO−NHR2
(式中、R1 及びR2 は、同一もしくは異なる炭素原子数6又は7のアリール基もしくはシクロヘキシル基である)、(c) メラミンシアヌレート、(d) 二硫化モリブデン、(e) リン分を含まない硫黄系極圧添加剤、及び(f) アルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩;さらに、(g) モリブデンジチオカーバメートを含有する、上記等速ジョイント用グリース組成物。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、等速ジョイント用グリース組成物、特にプランジング型等速ボールジョイント用又は固定型等速ボールジョイント用グリース組成物に関するものである。等速ジョイントの潤滑条件は、極めて高面圧であり、その結果、異常摩耗や金属疲労の発生による、剥離現象、すなわち、ジョイントのフレーキングが発生し易い。本発明は、このような等速ジョイントを潤滑し、ジョイントの摩耗を効果的に低減し、潤滑部分のフレーキングの発生を効果的に防止することのできる等速ジョイント用グリース組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような等速ジョイントに用いられている潤滑グリースとしては、二硫化モリブデンを含有するリチウム系極圧グリースや、二硫化モリブデンと硫黄−リン系極圧剤やナフテン酸の鉛塩を含有するリチウム系極圧グリースが挙げられる。しかし、これらの等速ジョイント用グリースは、近年の高性能自動車において発生する厳しい作用条件の下では、必ずしも満足なものとはいえない。プランジング型等速ボールジョイントとして用いられているダブルオフセット型等速ジョイントやクロスグルーブ型等速ジョイント等、また固定型等速ボールジョイントとして用いられているバーフィールドジョイント等は、いずれも6個のボールでトルクを伝達する構造を持つ。これらの等速ジョイントでは、回転時高面圧下で複雑なころがりすべりの往復運動により、ボール及びボールと接触する金属表面に繰り返し応力が加わり、金属疲労によるフレーキング現象が発生し易い。近年のエンジンの高出力化、また燃費向上のための自動車の軽量化により、ジョイントのサイズも小さくなるため、相対的に高面圧となり、従来のグリースではフレーキング現象を充分に防止することができない。また、グリースの耐熱性向上も必要になってきている。
上記要求を満足するグリース組成物として、特許文献1には、基油、下記式で表されるジウレア化合物:
R1NH−CO−NH−C6H4−p−CH2−C6C4−p−NH−CO−NHR2
(式中、R1 及びR2 は、同一もしくは異なる炭素原子数6又は7のアリール基もしくはシクロヘキシル基である)、メラミンシアヌレート、二硫化モリブデン、及びリン分を含まない硫黄系極圧添加剤を含む等速ジョイント用グリース組成物が記載されている。このグリース組成物は高速四球試験機にて高い極圧性能を示すが、この高い極圧性能を維持しつつ、低摩擦力性に優れたグリース組成物が望まれている。
【特許文献1】
特開平9−255983号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、フレーキング防止性能及び耐熱性能に優れ、かつ摩擦係数の低い、等速ジョイント用の新規なグリース組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は等速ジョイントの摩耗を最適化し、異常な摩耗や金属疲労によるジョイントのフレーキングを防止し、かつ耐熱性能に優れたグリース組成物を開発するため種々の研究を行った。上記のような高面圧下での複雑なころがりすべり往復運動を伴う潤滑条件で使用するグリースの性能評価を、特にすべり運動に着目し、高速四球試験機として知られる、潤滑性能試験機を用いて行い、各種極圧添加剤、固体潤滑剤又は各種添加剤の組合せによる極圧性能について検討した。その結果本発明者等は、前記特許文献1記載のグリース組成物を開発した。本発明者等はさらにこの組成物の高い極圧性能を維持しつつ、低摩擦力性に優れたグリース組成物について、復動摩擦磨耗試験機(SRV試験機)を用いて検討し、上記グリース組成物にさらにアルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩を添加したグリース組成物、あるいはさらにモリブデンジチオカーバメートを添加したグリース組成物が、高い極圧性能及び低摩擦性を示すことを見出し、さらに、実際の等速ジョイントを用いた耐久性能試験においても、従来の等速ジョイント用グリースとは異なり、フレーキング現象の発生を効果的に防止し得ることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明は、下記の成分を含む等速ジョイント用グリース組成物である。
(a) 基油、
(b) 下記式で表されるジウレア化合物:
R1NH−CO−NH−C6H4−p−CH2−C6C4−p−NH−CO−NHR2
(式中、R1 及びR2 は、同一もしくは異なる炭素原子数6又は7のアリール基もしくはシクロヘキシル基である)、
(c) メラミンシアヌレート、
(d) 二硫化モリブデン、
(e) リン分を含まない硫黄系極圧添加剤、及び
(f) アルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施態様は、上記(a) 〜(f) 成分に加えて、(g) モリブデンジチオカーバメートを含有する等速ジョイント用グリース組成物である。
本発明に使用する(a) 成分の基油としては、鉱物油、エステル系合成油、エーテル系合成油、炭化水素系合成油等の普通に使用されている潤滑油又はそれらの混合油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に使用する(b) 成分のジウレア化合物は、アニリン、p−トルイジン等の芳香族系アミン、シクロヘキシルアミン、又はこれらの混合物と、ジイソシアネート化合物との反応によって得られる、ジウレア化合物であり、ジウレア化合物中のアリール基は6又は7個の炭素原子を有するものが好ましく、ジウレア化合物中のアリール基の割合は、100ないし0%である。
【0007】
本発明に使用する(c) 成分のメラミンシアヌレートは、メラミンとシアヌル酸の付加物である。シアヌル酸は、イソシアヌル酸と互変異性の関係にあり、通常市販されているメラミンシアヌレートは、メラミン1モルとシアヌル酸1モルの付加物であり、メラミンイソシアヌレートの形態にある。この明細書において、メラミンシアヌレートは、メラミンとシアヌル酸又はイソシアヌル酸の付加物を示すものとする。メラミンシアヌレートは、例えば、メラミン水溶液とシアヌル酸又はイソシアヌル酸水溶液を混合すると容易に白色の沈殿として析出してくる。メラミンシアヌレートは、通常平均粒径1〜2μmの白色微粉末として市販されており、6員環構造のメラミン分子とシアヌル酸分子が水素結合で強力に結合して平面状に配列し、その平面が互いに弱い結合力で層状に重なりあって、二硫化モリブデンと同様にへき開性を有すると推定され、優れた潤滑性を与えるものと考えられる。
【0008】
本発明に使用する(d) 成分の二硫化モリブデンは、一般に極圧添加剤として広く用いられている。その潤滑機構としては、層状格子構造を持ち、すべり運動により薄層状に容易にせん断し、摩擦係数を低下させることが知られている。また、ジョイントの焼け付き防止にも効果がある。
本発明に使用する(e) 成分である、リン分を含まない、硫黄極圧添加剤として好ましいものは、硫黄分35〜50質量%のものである。
本発明に使用する(f) 成分である、アルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩は、エンジン油等の潤滑油に用いられる金属系清浄分散剤や防錆剤として知られているジノニルナフタレンスルホン酸やアルキルベンゼンスルホン酸のようなアルキル芳香族スルホン酸などの合成スルホン酸のカルシウム塩である。
【0009】
本発明に使用する(g)成分である、モリブデンジチオカーバメートの好ましい例としては下記の式で表されるものが挙げられる。
〔R4R3N−CS−S〕2−Mo2OmSn(式中、R3 及びR4 は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜24、好ましくは3〜18のアルキル基を表し、mは0〜3、nは4〜1、m+n=4である。)
本発明の等速ジョイント用グリース組成物には、上記成分に加えて、酸化防止剤、防錆剤、防食剤等を含有させることができる。
【0010】
本発明の等速ジョイント用グリース組成物は、好ましくはグリース組成物の全質量に対して、(a) 成分の基油:60.0〜98.3質量%、(b) 成分のジウレア化合物:1〜25質量%、(c) 成分のメラミンシアヌレート:0.1〜5.0質量%、(d) 成分の二硫化モリブデン:0.5〜5.0質量%、(e) 成分のアルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩:0.1〜5質量%、及び(f) 成分のリン分を含まない硫系極圧添加剤:0.1〜5.0質量%を含んでいる。
本発明の他の等速ジョイント用グリース組成物は、好ましくは、グリース組成物の全質量に対して、(a) 成分の基油:55.0〜98.2質量%、(b) 成分のジウレア化合物:1〜25質量%、(c) 成分のメラミンシアヌレート:0.1〜5.0質量%、(d) 成分の二硫化モリブデン:0.5〜5.0質量%、(e) 成分のアルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩:0.1〜5質量%、(f) 成分のリン分を含まない硫黄系極圧添加剤:0.1〜5.0質量%、(g) 成分のモリブデンジチオカーバメート:0.1〜5.0質量%を含んでいる。
【0011】
(b) 成分のジウレア化合物の含有量が1質量%未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化しにくくなり、25質量%より多いと、得られた組成物が硬くなり過ぎ、所期の効果が得られにくくなる。
(c) 成分のメラミンシアヌレートの含有量が0.1質量%未満、(d) 成分の二硫化モリブデンの含有量が0.5 質量%未満、(e) 成分のアルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩の含有量が0.1質量%未満、(f) 成分のリン分を含まない硫黄系極圧添加剤の含有量が0.1質量%未満では、所期の効果を十分に得ることが困難な場合があり、一方(c) 成分の含有量が5質量%より多く、(d) 成分の含有量が5質量%より多く、(e) 成分の含有量が5質量%より多く、(f) 成分の含有量が5質量%より多い場合にも、効果の増大はなく、フレーキング防止効果においては、むしろ逆効果である。
また、(g) 成分のモリブデンジチオカーバメートの含有量が0.1質量%未満であるか、5質量%より多い場合には、添加効果が顕著でなくなる。
【0012】
【実施例】
次に本発明を実施例及び比較例により説明する。
〔実施例1〜4、比較例1〜5〕
容器に基油4100gとジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート1012gをとり、混合物を70〜80℃に加熱した。別容器に基油4100gとシクロヘキシルアミン563g、アニリン225gをとり、70〜80℃に加熱後、先の容器に加えた。混合物をよく攪拌しながら、30分間反応させ、その後攪拌しながら、160℃まで昇温し、放冷し、ベースウレアグリースを得た。
このベースグリースに、表1及び表2に示す配合で、添加剤を添加し、適宜基油を加え、得られる混合物を、三段ロールミルにて、ちょう度No. 1 グレードに調整した。上記実施例及び比較例において、いずれもグリースの基油としては以下の特性を有するP系鉱油を使用した。
粘度100℃ 16.5mm2/s
【0013】
これらのグリース組成物につき以下に示す試験方法で物性の評価を行い、得られた結果を表1及び表2に併記した。
【0014】
<実ジョイント台上耐久試験>
下記条件にて、実ジョイントでの台上耐久試験を行い、フレーキング等の発生の時間を評価した。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
1) モノアミンとして、シクロヘキシルアミンとアニリンを混合使用したジウレア化合物を用いたジウレアグリース
2) メラミンシアヌレート(商品名:MCA 三菱化学株式会社製)
3) 二硫化モリブデン(スーパーファイン グレード)(商品名:Molysulfide CLIMAX MOLYBDENUM COMPANY 製平均粒径0.45μm)
4) 硫黄系極圧剤(商品名:Anglamol 33 日本ルーブリゾール(Lubrizol)社製)
5) モリブデンジチオカーバメート(商品名:Molyvan A R.T.Vanderbilt社製)
6) カルシウムスルホネート(商品名:NASUL 729 KING INDUSTRIES社製)
【0018】
表1及び表2から、以下のことが分かる。
成分(a) ̄(f)を含む実施例1及び2のグリース組成物は、高い極圧性能を有するとともに、摩擦係数が低く、剥離寿命が長い。成分(a) ̄(f)及び成分(g)を含む実施例3及び4のグリース組成物は、高い極圧性能を維持するとともに、摩擦係数がさらに低く、剥離寿命がさらに長い。
成分(c)及び成分(g)を含まない比較例1のグリース組成物は、極圧性能が低く、摩擦係数が高く、剥離寿命が短い。成分(d)及び成分(g)を含まない比較例2のグリース組成物は、極圧性能が低く、摩擦係数が高く、剥離寿命が短い。成分(e)を含まない比較例3のグリース組成物は、極圧性能が低く、摩擦係数が高く、剥離寿命が短い。成分(f)を含まない比較例4及び5のグリース組成物は、極圧性能は高いが、摩擦係数が高く、剥離寿命が短い。
Claims (4)
- 下記の成分を含む等速ジョイント用グリース組成物。
(a) 基油、
(b)下記式で表されるジウレア化合物:
R1NH−CO−NH−C6H4−p−CH2−C6C4−p−NH−CO−NHR2
(式中、R1 及びR2 は、同一もしくは異なる炭素原子数6又は7のアリール基もしくはシクロヘキシル基である)、
(c) メラミンシアヌレート、
(d) 二硫化モリブデン、
(e) リン分を含まない硫黄系極圧添加剤、及び
(f) アルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩。 - さらに、(g) モリブデンジチオカーバメートを含有する、請求項1記載の等速ジョイント用グリース組成物。
- 全組成物中、ジウレア化合物の含有量が、1〜25質量%、メラミンシアヌレートの含有量が0.1〜5質量%、二硫化モリブデンの含有量が0.5〜5質量%、リン分を含まない硫黄系極圧添加剤の添加量が0.1〜3質量%、アルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩の添加量が0.1〜5質量%である、請求項1記載の等速ジョイント用グリース組成物。
- 全組成物中、ジウレア化合物の含有量が1〜25質量%、メラミンシアヌレートの含有量が0.1〜5質量%、二硫化モリブデンの含有量が0.5〜5質量%、リン分を含まない硫黄系極圧添加剤の添加量が0.1〜3質量%、アルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩の添加量が0.1〜5質量%、モリブデンジチオカーバメートの添加量が0.1〜5質量%である、請求項2記載の等速ジョイント用グリース組成物。
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