JP2004127620A - 燃料電池冷却システム - Google Patents
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Abstract
【課題】運転時に循環される冷却水の清浄さを保ち、長期停止時にも冷却水の腐食を防止する。
【解決手段】冷却水タンク22内の冷却水を循環させて燃料電池スタック1を冷却する。冷却水の循環経路21には活性炭フィルタ(プレフィルタ)25及びイオン交換樹脂フィルタ26をこの順に設置する。さらに、冷却水タンク22には、この冷却水タンク22に貯留された冷却水に薬品を添加するための薬品添加手段27を設ける。燃料電池の運転を長期間停止する場合には、冷却水タンク22に貯留された冷却水に積極的に薬品(防腐剤)を添加することで、その腐食が防止される。燃料電池の運転を再開したときには、冷却水に含まれる薬品は活性炭フィルタ25及びイオン交換樹脂フィルタ26の作用で速やかに除去される。
【選択図】 図1
【解決手段】冷却水タンク22内の冷却水を循環させて燃料電池スタック1を冷却する。冷却水の循環経路21には活性炭フィルタ(プレフィルタ)25及びイオン交換樹脂フィルタ26をこの順に設置する。さらに、冷却水タンク22には、この冷却水タンク22に貯留された冷却水に薬品を添加するための薬品添加手段27を設ける。燃料電池の運転を長期間停止する場合には、冷却水タンク22に貯留された冷却水に積極的に薬品(防腐剤)を添加することで、その腐食が防止される。燃料電池の運転を再開したときには、冷却水に含まれる薬品は活性炭フィルタ25及びイオン交換樹脂フィルタ26の作用で速やかに除去される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池を冷却水によって冷却する燃料電池冷却システムに関するものであり、特に、冷却水の腐食を防止する機能を備える燃料電池冷却システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、燃料極(水素極)に水素ガス、空気極に空気がそれぞれ供給されることで、これら水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池は、例えば自動車の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
燃料電池は、発電の際に発熱することから、これを冷却して適正な運転温度(80℃程度)に維持する必要があり、何らかの冷却機構を設ける必要がある。特に、燃料電池を自動車の動力源として用いた場合には、燃料電池に大きな発電量が要求されて発熱量も大きくなることから、冷却機構の重要性が高い。このような冷却機構としては、冷却水を循環させて燃料電池を冷却させる冷却システムが一般的であり、冷却水として水道水が広く用いられている。
【0004】
ところで、以上のような燃料電池冷却システムの冷却水として水道水を使用した場合、殺菌等の目的で添加されている薬品、例えば次亜塩素酸塩による影響が問題になる。次亜塩素酸塩は、水中でイオン化してClO−になるが、このClO−は酸化力が強く、冷却水の循環経路内等において金属の溶出や腐食等の悪影響を及ぼす虞れがある。また、このイオンによって冷却水の導電率が高くなり、漏電等の原因となる虞れもある。
【0005】
したがって、これらの薬品(ClO−)を冷却水から除去する必要があるが、単にClO−をイオン交換樹脂で除去するようなシステムでは、ClO−が有する酸化力によってイオン交換樹脂自体が劣化してしまい、性能の低下が著しいという問題がある。
【0006】
そこで、いわゆるプレフィルタをイオン交換樹脂フィルタと組み合わせることで、このような不都合を解消することが試みられている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1には、燃料電池を冷却する冷却水として、殺菌のための有機酸や次亜塩素酸が添加されている水道水を用い、これを活性炭フィルタとイオン交換樹脂フィルタで処理して、不純物を取り除いてから導入するという技術が開示されている。活性炭は、ClO−をCl−に変える触媒能を有しており、特許文献1に記載の技術では、ClO−を活性炭フィルタでCl−にした後、イオン交換樹脂フィルタでこれを除去している。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−338668号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の技術によれば、システム導入前に水道水が処理されて不純物が除去されるので、システム導入直後には冷却水が清浄さを保っている。また、燃料電池の運転時にも、冷却水が高温になるために殺菌され、やはり清浄さを保つことができる。
【0009】
しかしながら、燃料電池の運転を長期に亘って停止させておく場合には、システム内の冷却水が腐食する可能性があり、この冷却水の腐食に起因して、種々のトラブルが発生することが懸念される。
【0010】
本発明は、このような問題を解消することを目的に提案されたものである。すなわち、本発明は、運転時には循環される冷却水に含まれるClO−等の不純物を除去して清浄さを保つことができ、一方、長期運転停止時には冷却水の腐食を防止することができる燃料電池冷却システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、冷却水タンク内の冷却水を循環させて燃料電池を冷却する燃料電池冷却システムにおいて、冷却水の循環経路内にプレフィルタ及びイオン交換樹脂フィルタをこの順に設置し、さらに、冷却水タンクには、この冷却水タンク内に貯留された冷却水に対して薬品を添加するための薬品添加手段を設けたことを特徴としている。
【0012】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転時には、循環される冷却水中の防腐剤(例えば、酸化力の強い次亜塩素酸イオンClO−)が、先ず、プレフィルタ(例えば、活性炭フィルタ)によって酸化力の弱い塩素イオンCl−に分解され、次に、分解された塩素イオンCl−がイオン交換樹脂フィルタで吸着されて取り除かれる。
【0013】
一方、燃料電池の運転を長期間停止する場合には、冷却水に積極的に薬品(防腐剤)を添加することで、その腐食が防止される。また、循環経路内には上述した2つのフィルタが設置されることから、燃料電池の再起動時には、冷却水内に残存する薬品は速やかに除去される。
【0014】
【発明の効果】
本発明の燃料電池冷却システムによれば、燃料電池の運転時には、防腐剤(例えば、酸化力の強い次亜塩素酸イオンClO−)を効率的に取り除くことができ、循環される冷却水の清浄さを保つことができる。また、このときイオン交換樹脂フィルタの性能が低下することもない。一方、燃料電池の運転停止時には、冷却水タンク内に防腐剤を積極的に添加することで、冷却水の腐食を確実に防止することができる。このように、本発明によれば、燃料電池の運転時と停止時の何れにおいても冷却水を良好な状態に維持することができ、冷却水の腐食に起因する種々のトラブルを未然に回避することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池冷却システムの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の燃料電池冷却システム全体の構成を概略的に示すものである。この燃料電池冷却システムは、例えば電気自動車の動力源として利用される燃料電池スタック1を、冷却機構2によって冷却させる構成となっている。
【0017】
燃料電池スタック1は、水素が供給される燃料極と酸素(空気)が供給される空気極とが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わされた発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。燃料極では、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と上記水素イオン及び電子が反応して水が生成し、外部に排出される。
【0018】
燃料電池スタック1は、発電の際には化学反応に伴って発熱するが、適正な作動温度が60℃〜100℃程度と比較的低いことから、これを冷却することが必要である。そこで、この燃料電池冷却システムでは、冷却機構2によって燃料電池スタック1を冷却し、燃料電池スタック1を適正温度に維持するようにしている。
【0019】
冷却機構2は、冷却水を燃料電池スタック1に循環させるための循環経路21と、この冷却水を貯水する冷却水タンク22とを有し、ポンプ23によって冷却水タンク22内の冷却水を循環経路21に送り込み、これを循環させることによって燃料電池スタック1を冷却し、これを適正温度に維持させるようになっている。冷却手段2の循環経路21内には、熱交換器(ラジエータ)24が設けられており、燃料電池スタック1の冷却により加熱された冷却水は、ここで熱交換されて冷却される。
【0020】
本実施形態において、冷却機構2は、以上の構成に加えてプレフィルタである活性炭フィルタ25及びイオン交換樹脂フィルタ26を備え、これらが循環経路21に組み込まれている。プレフィルタとしては、冷却水に含まれる薬品の種類に応じて適切なものを使用すればよいが、ここでは薬品が次亜塩素酸塩であることに対応して活性炭フィルタ25を使用した。活性炭フィルタ25は、次亜塩素酸イオンClO−を塩素イオンCl−に分解する触媒能を有する。
【0021】
活性炭フィルタ25とイオン交換樹脂フィルタ26は、循環経路21において、冷却水タンク22とポンプ23の間にこの順に配されており、冷却水タンク22内の水は、先ず活性炭フィルタ25を通り、続いてイオン交換樹脂フィルタ26を通って燃料電池スタック1の冷却に供される。
【0022】
また、冷却水タンク22には、防腐剤等の薬品を冷却水に積極的に添加するための薬品添加手段27が設けられている。添加する薬品としては、任意のものを使用することができるが、ここでは冷却水の殺菌を目的として次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩を用いている。この薬品添加手段27は、薬品添加スイッチがオンされることにより、任意のタイミングで所定量の薬品を冷却水に添加することが可能となっている。なお、冷却水タンク22には、以上のような薬品を含む冷却水が貯留されることになるので、耐食性を有する材質により冷却水タンク22を形成することが好ましい。
【0023】
次に、以上のように構成される燃料電池冷却システムの処理シーケンスについて図2を参照して説明する。図2は、この燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0024】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が停止されると(ステップS1)、先ず、循環経路21内の冷却水を全て冷却水タンク22に回収する(ステップS2)。そして、冷却水タンク22内の冷却水に薬品添加手段27により防腐剤(次亜塩素酸塩)を添加する(ステップS3)。この防腐剤の添加により、燃料電池の運転停止中にも冷却水が腐食することなく冷却水タンク22内に貯留される。
【0025】
燃料電池の運転が再開されたとき(ステップS4)には、冷却水タンク22内の防腐剤を含んだ冷却水は、先ず、活性炭フィルタ25を通過する(ステップS5)。これにより、下記式に示す反応が起こり、イオン交換樹脂フィルタ26を劣化させる可能性がある次亜塩素酸イオンClO−が塩素イオンCl−に分解される。
【0026】
2ClO− → 2Cl−+O2
次いで、活性炭フィルタ25を通過した冷却水は、イオン交換樹脂フィルタ26を通過する(ステップS6)。活性炭フィルタ25を通過した冷却水には、次亜塩素酸イオンClO−の分解により生じた塩素イオンCl−が含まれるが、これはイオン交換樹脂フィルタ26を通過するときに吸着されて除去される。
【0027】
以上により、冷却水に添加された防腐剤が完全に除去された上で、この冷却水の循環経路21への循環が開始され、燃料電池スタック1による発電が開始される(ステップS7)。
【0028】
以上のように、本実施形態の燃料電池冷却システムでは、冷却水タンク22の後段に活性炭フィルタ25が設置され、さらにその後段にイオン交換樹脂フィルタ26が設置されていることで、冷却水タンク22に備え付けられた薬品添加手段27から添加された防腐剤である酸化性の高い次亜塩素酸イオンClO−を活性炭フィルタ25にて酸化性の低い塩素イオンCl−に分解し、さらにこのCl−をイオン交換樹脂フィルタ26で吸着することができ、不純物を完全に取り除くことができる。このとき、イオン交換樹脂フィルタ26が劣化することもない。
【0029】
また、燃料電池の運転停止時には、循環経路21内の全ての冷却水を冷却水タンク22に集め、冷却水タンク22に備えられた薬品添加手段27から薬品を添加することで、系内全ての冷却水の腐食を防止することができる。一方、燃料電池の運転を開始したときには、添加した防腐剤は、活性炭フィルタ25及びイオン交換樹脂フィルタ26によって完全に除去される。なお、燃料電池の運転中は、冷却水には防腐剤が含まれないことになるが、この冷却水によって燃料電池スタック1を冷却する際に、この冷却水が加熱殺菌されることになるので、冷却水が腐食することはない。
【0030】
(第2の実施形態)
本実施形態は、薬品の添加を運転者の判断に基づいて手動操作によって行うものである。なお、燃料電池冷却システムの構成は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0031】
本実施形態の処理シーケンスについて図3を参照して説明する。図3は、本実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が停止されると(ステップS11)、先ず、ステップ12において、運転者が燃料電池の運転停止期間が長期に亘るか否か、すなわち、しばらくの間は燃料電池の運転を停止させたままにしておくかどうかを判断する。そして、燃料電池の運転停止期間が短期間の場合、すなわち、燃料電池の運転をまもなく再開させる予定がある場合には、冷却水に防腐剤を添加することなく、燃料電池の運転再開(ステップS16)の待機状態に移行する。
【0033】
一方、燃料電池の運転停止期間が長期間の場合、すなわち、しばらくの間は燃料電池の運転を停止させたままにしておく場合には、運転者によって薬品添加ボタンが操作されることによって(ステップS13)、全ての冷却水が冷却水タンク22に集められ(ステップS14)、薬品添加手段27から防腐剤が冷却水タンク22内の冷却水に添加される(ステップS15)。この防腐剤の添加により、燃料電池の運転停止中にも冷却水が腐食することなく冷却水タンク22内に貯留される。
【0034】
燃料電池の運転が再開されたとき(ステップS16)には、冷却水タンク22内の冷却水は、先ず、活性炭フィルタ25を通過する(ステップS17)。これにより、冷却水中に次亜塩素酸イオンClO−が含まれている場合にも、活性炭フィルタ25の作用によって、この次亜塩素酸イオンClO−が塩素イオンCl−に分解される。
【0035】
次いで、活性炭フィルタ25を通過した冷却水は、イオン交換樹脂フィルタ26を通過する(ステップS18)。これにより、活性炭フィルタ25を通過した冷却水に、次亜塩素酸イオンClO−の分解により生じた塩素イオンCl−が含まれている場合にも、この塩素イオンCl−がイオン交換樹脂フィルタ26を通過するときに吸着されて除去される。
【0036】
以上により、冷却水に添加された防腐剤が完全に除去された上で、この冷却水の循環経路21への循環が開始され、燃料電池スタック1による発電が開始される(ステップS19)。なお、この場合「長期間」というのは、当然季節にもよるが、1週間(長くても1ヶ月位)程度の期間を想定したものであり、これらの選択、設定の仕方は運転者が適宜選択するか、あるいは車両に搭載されたカレンダ機能等を基に、季節や曜日などに応じた学習制御のロジック等により半ば自動的に設定する方法を適用しても同様に目的は達せられる。
【0037】
以上のように、本実施形態の燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転停止期間に応じて、防腐剤を添加するか否かを運転者が選択することができ、停止期間が短いときには防腐剤が添加されないので、余計な防腐剤を消費することがない。しかも、この場合には、イオン交換樹脂フィルタ26にイオンを吸着させる必要もないので、その寿命を延ばすことができる。また、燃料電池の運転を再開させたときに防腐剤の混合した冷却水を処理する必要がないので、起動時間が短くて済む。
【0038】
(第3の実施形態)
本実施形態は、薬品添加手段27が燃料電池の運転停止期間をモニタリングして、運転停止期間が予め設定された所定期間を超えた場合に、自動的に薬品の添加を行うものである。なお、燃料電池冷却システムの構成は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0039】
本実施形態の処理シーケンスについて図4を参照して説明する。図4は、本実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が停止されると(ステップS21)、薬品添加手段27により燃料電池の運転停止期間がモニタリングされ、燃料電池の運転停止期間が予め設定された期間を越えたかどうかが判断される(ステップS22)。そして、燃料電池の運転停止期間が予め設定された期間を越えた場合、すなわち、燃料電池の運転停止期間が長期間に亘った場合には、全ての冷却水が冷却水タンク22に集められ(ステップS23)、薬品添加手段27から防腐剤が冷却水タンク22内の冷却水に自動的に添加される(ステップS24)。この防腐剤の添加により、燃料電池の運転停止中にも冷却水が腐食することなく冷却水タンク22内に貯留される。
【0041】
一方、燃料電池の運転停止期間が予め設定された期間を越えないうちに、燃料電池の運転が再開されたときには、以上のような冷却水に対する防腐剤の添加は行われない。
【0042】
燃料電池の運転が再開されたとき(ステップS25)には、冷却水タンク22内の冷却水は、先ず、活性炭フィルタ25を通過する(ステップS26)。これにより、冷却水中に次亜塩素酸イオンClO−が含まれている場合にも、活性炭フィルタ25の作用によって、この次亜塩素酸イオンClO−が塩素イオンCl−に分解される。
【0043】
次いで、活性炭フィルタ25を通過した冷却水は、イオン交換樹脂フィルタ26を通過する(ステップS27)。これにより、活性炭フィルタ25を通過した冷却水に、次亜塩素酸イオンClO−の分解により生じた塩素イオンCl−が含まれている場合にも、この塩素イオンCl−がイオン交換樹脂フィルタ26を通過するときに吸着されて除去される。
【0044】
以上により、冷却水に添加された防腐剤が完全に除去された上で、この冷却水の循環経路21への循環が開始され、燃料電池スタック1による発電が開始される(ステップS28)。
【0045】
以上のように、本実施形態の燃料電池冷却システムにおいても、燃料電池の運転停止期間が短いときには防腐剤が添加されないので、余計な防腐剤を消費することがない。しかも、この場合には、燃料電池の運転停止期間がモニタリングされて、燃料電池の運転定期期間が長いときに防腐剤の添加が自動的に行われるので、運転者に煩雑な操作を強いることなく、必要なときに確実に防腐剤の添加を行うことができる。
【0046】
(第4の実施形態)
本実施形態は、薬品添加手段27が設けられた冷却水タンク22を、燃料電池の運転時に循環経路21から切り離すことができるように構成したものである。
【0047】
図5は、本実施形態の燃料電池冷却システム全体の構成を概略的に示すものである。この燃料電池冷却システムも、上述した第1の実施形態の燃料電池冷却システムと同様、燃料電池スタック1を冷却機構2によって冷却させる構成となっており、冷却機構2として循環経路21や冷却水タンク22、ポンプ23、熱交換器24、活性炭フィルタ25、イオン交換樹脂フィルタ26を備え、冷却水タンク22に薬品添加手段27が設けられている。
【0048】
これらに加えて、本実施形態の燃料電池冷却システムでは、冷却水タンク22をバイパスする配管28、及びイオン交換樹脂フィルタ26や燃料電池1をバイパスする配管29を備えており、これらの分岐点には、それぞれ三方弁A,Bや三方弁C,Dが設けられている。また、循環経路21には、薬品添加手段27が設けられた冷却水タンク22とは別の第2の冷却水タンク30が設けられており、活性炭フィルタ25は、この第2の冷却水タンク30内に設置されている。
【0049】
以上のように構成される本実施形態の燃料電池冷却システムでは、三方弁A,Bや三方弁C,Dの開閉状態を操作することで、冷却水の経路を切り換えることが可能である。例えば、通常の循環経路21を選択したときには、冷却水は冷却水タンク22に戻され、配管28を通る経路を選択したときには、冷却水は第2の冷却水タンク30に戻されることになる。
【0050】
次に、本実施形態の燃料電池冷却システムの処理シーケンスについて図6を参照して説明する。図6は、本実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が停止されると(ステップS31)、先ず、循環経路21内の冷却水を全て冷却水タンク22に回収する(ステップS32)。そして、冷却水タンク22内の冷却水に薬品添加手段27により防腐剤(次亜塩素酸塩)を添加する(ステップS33)。この防腐剤の添加により、燃料電池の運転停止中にも冷却水が腐食することなく冷却水タンク22内に貯留される。このとき、三方弁A,Bは、A3−A2連通、B3−B1連通とされ、冷却水タンク22は循環経路21から切り離される。したがって、防腐剤を含んだ冷却水が循環されることはない。
【0052】
次に、長時間経過後に燃料電池の運転が再開されると(ステップS34)、先ず三方弁BをB1−B2連通とし、冷却水タンク22内の冷却水を第2の冷却水タンク30内へと移行させる。そして、三方弁A,BをA1−A3連通、B3−B2連通とし、三方弁C,DをC1−C3連通、D3−D2連通として、第2の冷却タンク30のみを他とは切り離し、閉じた経路内に置く。この状態で、所定時間、冷却水を循環させて(ステップS35)、第2の冷却水タンク30に設置された活性炭フィルタ25の作用で、冷却水に含まれる次亜塩素酸イオンClO−を塩素イオンCl−に分解させる(ステップS36)。
【0053】
活性炭が次亜塩素酸イオンClO−を塩素イオンCl−に分解する反応は非可逆な触媒反応であり、冷却水と活性炭が接触する時間が長いほどその効果が大きい。したがって、以上のように冷却水を活性炭フィルタ25が設置された第2の冷却水タンク30にのみ循環させることにより、単に活性炭フィルタ25を通すだけの場合よりも長時間の触媒反応を行うことができ、効率的に次亜塩素酸イオンClO−を塩素イオンCl−に分解させることができる。
【0054】
活性炭フィルタ25による処理が終了したら、三方弁C,DをC1−C2連通、D1−D2連通とし、冷却水を循環経路21に循環させる。このとき、塩素イオンCl−を含んだ冷却水は、先ずイオン交換樹脂フィルタ26を通過することになり(ステップS37)、冷却水に含まれる塩素イオンCl−は全てこのイオン交換樹脂フィルタ26で除去される。
【0055】
その後、冷却水による燃料電池1の冷却が開始され、燃料電池スタック1による発電が開始される。このとき、三方弁A,BをA1−A3連通、B3−B2連通、三方弁C,DをC1−C2連通、D1−D2連通とし、冷却水タンク22をバイパスする循環経路で冷却水を循環してもよいし、三方弁A,BをA1−A2連通、B1−B2連通、三方弁C,DをC1−C2連通、D1−D2連通とし、冷却水タンク22を経路内に含む循環経路で冷却水を循環してもよい。
【0056】
以上のように、本実施形態の燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が始動されたときに、しばらくの間は冷却水を第2の冷却水タンク30にのみ循環させて、活性炭フィルタ25による触媒作用を長時間行わせるようにしているので、上述した第1の実施形態で得られる効果に加えて、次亜塩素酸イオンClO−の分解を効率的に行えるといった効果が得るられる。また、配管28、29を適宜切り換えながら使用することにより、その時々に応じて最適な経路で冷却水を循環させることができ、それぞれの機能を最大限に生かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態の燃料電池冷却システムを示す概略構成図である。
【図2】前記第1の実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明を適用した第2の実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明を適用した第3の実施形態の燃料電池システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した第4の実施形態の燃料電池冷却システムを示す概略構成図である。
【図6】前記第4の実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 冷却機構
21 循環経路
22 冷却水タンク
25 活性炭フィルタ(プレフィルタ)
26 イオン交換樹脂フィルタ
27 薬品添加手段
28,29 配管
30 第2の冷却水タンク
A,B,C,D 三方弁(切換手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池を冷却水によって冷却する燃料電池冷却システムに関するものであり、特に、冷却水の腐食を防止する機能を備える燃料電池冷却システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、燃料極(水素極)に水素ガス、空気極に空気がそれぞれ供給されることで、これら水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池は、例えば自動車の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
燃料電池は、発電の際に発熱することから、これを冷却して適正な運転温度(80℃程度)に維持する必要があり、何らかの冷却機構を設ける必要がある。特に、燃料電池を自動車の動力源として用いた場合には、燃料電池に大きな発電量が要求されて発熱量も大きくなることから、冷却機構の重要性が高い。このような冷却機構としては、冷却水を循環させて燃料電池を冷却させる冷却システムが一般的であり、冷却水として水道水が広く用いられている。
【0004】
ところで、以上のような燃料電池冷却システムの冷却水として水道水を使用した場合、殺菌等の目的で添加されている薬品、例えば次亜塩素酸塩による影響が問題になる。次亜塩素酸塩は、水中でイオン化してClO−になるが、このClO−は酸化力が強く、冷却水の循環経路内等において金属の溶出や腐食等の悪影響を及ぼす虞れがある。また、このイオンによって冷却水の導電率が高くなり、漏電等の原因となる虞れもある。
【0005】
したがって、これらの薬品(ClO−)を冷却水から除去する必要があるが、単にClO−をイオン交換樹脂で除去するようなシステムでは、ClO−が有する酸化力によってイオン交換樹脂自体が劣化してしまい、性能の低下が著しいという問題がある。
【0006】
そこで、いわゆるプレフィルタをイオン交換樹脂フィルタと組み合わせることで、このような不都合を解消することが試みられている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1には、燃料電池を冷却する冷却水として、殺菌のための有機酸や次亜塩素酸が添加されている水道水を用い、これを活性炭フィルタとイオン交換樹脂フィルタで処理して、不純物を取り除いてから導入するという技術が開示されている。活性炭は、ClO−をCl−に変える触媒能を有しており、特許文献1に記載の技術では、ClO−を活性炭フィルタでCl−にした後、イオン交換樹脂フィルタでこれを除去している。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−338668号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の技術によれば、システム導入前に水道水が処理されて不純物が除去されるので、システム導入直後には冷却水が清浄さを保っている。また、燃料電池の運転時にも、冷却水が高温になるために殺菌され、やはり清浄さを保つことができる。
【0009】
しかしながら、燃料電池の運転を長期に亘って停止させておく場合には、システム内の冷却水が腐食する可能性があり、この冷却水の腐食に起因して、種々のトラブルが発生することが懸念される。
【0010】
本発明は、このような問題を解消することを目的に提案されたものである。すなわち、本発明は、運転時には循環される冷却水に含まれるClO−等の不純物を除去して清浄さを保つことができ、一方、長期運転停止時には冷却水の腐食を防止することができる燃料電池冷却システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、冷却水タンク内の冷却水を循環させて燃料電池を冷却する燃料電池冷却システムにおいて、冷却水の循環経路内にプレフィルタ及びイオン交換樹脂フィルタをこの順に設置し、さらに、冷却水タンクには、この冷却水タンク内に貯留された冷却水に対して薬品を添加するための薬品添加手段を設けたことを特徴としている。
【0012】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転時には、循環される冷却水中の防腐剤(例えば、酸化力の強い次亜塩素酸イオンClO−)が、先ず、プレフィルタ(例えば、活性炭フィルタ)によって酸化力の弱い塩素イオンCl−に分解され、次に、分解された塩素イオンCl−がイオン交換樹脂フィルタで吸着されて取り除かれる。
【0013】
一方、燃料電池の運転を長期間停止する場合には、冷却水に積極的に薬品(防腐剤)を添加することで、その腐食が防止される。また、循環経路内には上述した2つのフィルタが設置されることから、燃料電池の再起動時には、冷却水内に残存する薬品は速やかに除去される。
【0014】
【発明の効果】
本発明の燃料電池冷却システムによれば、燃料電池の運転時には、防腐剤(例えば、酸化力の強い次亜塩素酸イオンClO−)を効率的に取り除くことができ、循環される冷却水の清浄さを保つことができる。また、このときイオン交換樹脂フィルタの性能が低下することもない。一方、燃料電池の運転停止時には、冷却水タンク内に防腐剤を積極的に添加することで、冷却水の腐食を確実に防止することができる。このように、本発明によれば、燃料電池の運転時と停止時の何れにおいても冷却水を良好な状態に維持することができ、冷却水の腐食に起因する種々のトラブルを未然に回避することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池冷却システムの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の燃料電池冷却システム全体の構成を概略的に示すものである。この燃料電池冷却システムは、例えば電気自動車の動力源として利用される燃料電池スタック1を、冷却機構2によって冷却させる構成となっている。
【0017】
燃料電池スタック1は、水素が供給される燃料極と酸素(空気)が供給される空気極とが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わされた発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。燃料極では、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と上記水素イオン及び電子が反応して水が生成し、外部に排出される。
【0018】
燃料電池スタック1は、発電の際には化学反応に伴って発熱するが、適正な作動温度が60℃〜100℃程度と比較的低いことから、これを冷却することが必要である。そこで、この燃料電池冷却システムでは、冷却機構2によって燃料電池スタック1を冷却し、燃料電池スタック1を適正温度に維持するようにしている。
【0019】
冷却機構2は、冷却水を燃料電池スタック1に循環させるための循環経路21と、この冷却水を貯水する冷却水タンク22とを有し、ポンプ23によって冷却水タンク22内の冷却水を循環経路21に送り込み、これを循環させることによって燃料電池スタック1を冷却し、これを適正温度に維持させるようになっている。冷却手段2の循環経路21内には、熱交換器(ラジエータ)24が設けられており、燃料電池スタック1の冷却により加熱された冷却水は、ここで熱交換されて冷却される。
【0020】
本実施形態において、冷却機構2は、以上の構成に加えてプレフィルタである活性炭フィルタ25及びイオン交換樹脂フィルタ26を備え、これらが循環経路21に組み込まれている。プレフィルタとしては、冷却水に含まれる薬品の種類に応じて適切なものを使用すればよいが、ここでは薬品が次亜塩素酸塩であることに対応して活性炭フィルタ25を使用した。活性炭フィルタ25は、次亜塩素酸イオンClO−を塩素イオンCl−に分解する触媒能を有する。
【0021】
活性炭フィルタ25とイオン交換樹脂フィルタ26は、循環経路21において、冷却水タンク22とポンプ23の間にこの順に配されており、冷却水タンク22内の水は、先ず活性炭フィルタ25を通り、続いてイオン交換樹脂フィルタ26を通って燃料電池スタック1の冷却に供される。
【0022】
また、冷却水タンク22には、防腐剤等の薬品を冷却水に積極的に添加するための薬品添加手段27が設けられている。添加する薬品としては、任意のものを使用することができるが、ここでは冷却水の殺菌を目的として次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩を用いている。この薬品添加手段27は、薬品添加スイッチがオンされることにより、任意のタイミングで所定量の薬品を冷却水に添加することが可能となっている。なお、冷却水タンク22には、以上のような薬品を含む冷却水が貯留されることになるので、耐食性を有する材質により冷却水タンク22を形成することが好ましい。
【0023】
次に、以上のように構成される燃料電池冷却システムの処理シーケンスについて図2を参照して説明する。図2は、この燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0024】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が停止されると(ステップS1)、先ず、循環経路21内の冷却水を全て冷却水タンク22に回収する(ステップS2)。そして、冷却水タンク22内の冷却水に薬品添加手段27により防腐剤(次亜塩素酸塩)を添加する(ステップS3)。この防腐剤の添加により、燃料電池の運転停止中にも冷却水が腐食することなく冷却水タンク22内に貯留される。
【0025】
燃料電池の運転が再開されたとき(ステップS4)には、冷却水タンク22内の防腐剤を含んだ冷却水は、先ず、活性炭フィルタ25を通過する(ステップS5)。これにより、下記式に示す反応が起こり、イオン交換樹脂フィルタ26を劣化させる可能性がある次亜塩素酸イオンClO−が塩素イオンCl−に分解される。
【0026】
2ClO− → 2Cl−+O2
次いで、活性炭フィルタ25を通過した冷却水は、イオン交換樹脂フィルタ26を通過する(ステップS6)。活性炭フィルタ25を通過した冷却水には、次亜塩素酸イオンClO−の分解により生じた塩素イオンCl−が含まれるが、これはイオン交換樹脂フィルタ26を通過するときに吸着されて除去される。
【0027】
以上により、冷却水に添加された防腐剤が完全に除去された上で、この冷却水の循環経路21への循環が開始され、燃料電池スタック1による発電が開始される(ステップS7)。
【0028】
以上のように、本実施形態の燃料電池冷却システムでは、冷却水タンク22の後段に活性炭フィルタ25が設置され、さらにその後段にイオン交換樹脂フィルタ26が設置されていることで、冷却水タンク22に備え付けられた薬品添加手段27から添加された防腐剤である酸化性の高い次亜塩素酸イオンClO−を活性炭フィルタ25にて酸化性の低い塩素イオンCl−に分解し、さらにこのCl−をイオン交換樹脂フィルタ26で吸着することができ、不純物を完全に取り除くことができる。このとき、イオン交換樹脂フィルタ26が劣化することもない。
【0029】
また、燃料電池の運転停止時には、循環経路21内の全ての冷却水を冷却水タンク22に集め、冷却水タンク22に備えられた薬品添加手段27から薬品を添加することで、系内全ての冷却水の腐食を防止することができる。一方、燃料電池の運転を開始したときには、添加した防腐剤は、活性炭フィルタ25及びイオン交換樹脂フィルタ26によって完全に除去される。なお、燃料電池の運転中は、冷却水には防腐剤が含まれないことになるが、この冷却水によって燃料電池スタック1を冷却する際に、この冷却水が加熱殺菌されることになるので、冷却水が腐食することはない。
【0030】
(第2の実施形態)
本実施形態は、薬品の添加を運転者の判断に基づいて手動操作によって行うものである。なお、燃料電池冷却システムの構成は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0031】
本実施形態の処理シーケンスについて図3を参照して説明する。図3は、本実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が停止されると(ステップS11)、先ず、ステップ12において、運転者が燃料電池の運転停止期間が長期に亘るか否か、すなわち、しばらくの間は燃料電池の運転を停止させたままにしておくかどうかを判断する。そして、燃料電池の運転停止期間が短期間の場合、すなわち、燃料電池の運転をまもなく再開させる予定がある場合には、冷却水に防腐剤を添加することなく、燃料電池の運転再開(ステップS16)の待機状態に移行する。
【0033】
一方、燃料電池の運転停止期間が長期間の場合、すなわち、しばらくの間は燃料電池の運転を停止させたままにしておく場合には、運転者によって薬品添加ボタンが操作されることによって(ステップS13)、全ての冷却水が冷却水タンク22に集められ(ステップS14)、薬品添加手段27から防腐剤が冷却水タンク22内の冷却水に添加される(ステップS15)。この防腐剤の添加により、燃料電池の運転停止中にも冷却水が腐食することなく冷却水タンク22内に貯留される。
【0034】
燃料電池の運転が再開されたとき(ステップS16)には、冷却水タンク22内の冷却水は、先ず、活性炭フィルタ25を通過する(ステップS17)。これにより、冷却水中に次亜塩素酸イオンClO−が含まれている場合にも、活性炭フィルタ25の作用によって、この次亜塩素酸イオンClO−が塩素イオンCl−に分解される。
【0035】
次いで、活性炭フィルタ25を通過した冷却水は、イオン交換樹脂フィルタ26を通過する(ステップS18)。これにより、活性炭フィルタ25を通過した冷却水に、次亜塩素酸イオンClO−の分解により生じた塩素イオンCl−が含まれている場合にも、この塩素イオンCl−がイオン交換樹脂フィルタ26を通過するときに吸着されて除去される。
【0036】
以上により、冷却水に添加された防腐剤が完全に除去された上で、この冷却水の循環経路21への循環が開始され、燃料電池スタック1による発電が開始される(ステップS19)。なお、この場合「長期間」というのは、当然季節にもよるが、1週間(長くても1ヶ月位)程度の期間を想定したものであり、これらの選択、設定の仕方は運転者が適宜選択するか、あるいは車両に搭載されたカレンダ機能等を基に、季節や曜日などに応じた学習制御のロジック等により半ば自動的に設定する方法を適用しても同様に目的は達せられる。
【0037】
以上のように、本実施形態の燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転停止期間に応じて、防腐剤を添加するか否かを運転者が選択することができ、停止期間が短いときには防腐剤が添加されないので、余計な防腐剤を消費することがない。しかも、この場合には、イオン交換樹脂フィルタ26にイオンを吸着させる必要もないので、その寿命を延ばすことができる。また、燃料電池の運転を再開させたときに防腐剤の混合した冷却水を処理する必要がないので、起動時間が短くて済む。
【0038】
(第3の実施形態)
本実施形態は、薬品添加手段27が燃料電池の運転停止期間をモニタリングして、運転停止期間が予め設定された所定期間を超えた場合に、自動的に薬品の添加を行うものである。なお、燃料電池冷却システムの構成は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0039】
本実施形態の処理シーケンスについて図4を参照して説明する。図4は、本実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が停止されると(ステップS21)、薬品添加手段27により燃料電池の運転停止期間がモニタリングされ、燃料電池の運転停止期間が予め設定された期間を越えたかどうかが判断される(ステップS22)。そして、燃料電池の運転停止期間が予め設定された期間を越えた場合、すなわち、燃料電池の運転停止期間が長期間に亘った場合には、全ての冷却水が冷却水タンク22に集められ(ステップS23)、薬品添加手段27から防腐剤が冷却水タンク22内の冷却水に自動的に添加される(ステップS24)。この防腐剤の添加により、燃料電池の運転停止中にも冷却水が腐食することなく冷却水タンク22内に貯留される。
【0041】
一方、燃料電池の運転停止期間が予め設定された期間を越えないうちに、燃料電池の運転が再開されたときには、以上のような冷却水に対する防腐剤の添加は行われない。
【0042】
燃料電池の運転が再開されたとき(ステップS25)には、冷却水タンク22内の冷却水は、先ず、活性炭フィルタ25を通過する(ステップS26)。これにより、冷却水中に次亜塩素酸イオンClO−が含まれている場合にも、活性炭フィルタ25の作用によって、この次亜塩素酸イオンClO−が塩素イオンCl−に分解される。
【0043】
次いで、活性炭フィルタ25を通過した冷却水は、イオン交換樹脂フィルタ26を通過する(ステップS27)。これにより、活性炭フィルタ25を通過した冷却水に、次亜塩素酸イオンClO−の分解により生じた塩素イオンCl−が含まれている場合にも、この塩素イオンCl−がイオン交換樹脂フィルタ26を通過するときに吸着されて除去される。
【0044】
以上により、冷却水に添加された防腐剤が完全に除去された上で、この冷却水の循環経路21への循環が開始され、燃料電池スタック1による発電が開始される(ステップS28)。
【0045】
以上のように、本実施形態の燃料電池冷却システムにおいても、燃料電池の運転停止期間が短いときには防腐剤が添加されないので、余計な防腐剤を消費することがない。しかも、この場合には、燃料電池の運転停止期間がモニタリングされて、燃料電池の運転定期期間が長いときに防腐剤の添加が自動的に行われるので、運転者に煩雑な操作を強いることなく、必要なときに確実に防腐剤の添加を行うことができる。
【0046】
(第4の実施形態)
本実施形態は、薬品添加手段27が設けられた冷却水タンク22を、燃料電池の運転時に循環経路21から切り離すことができるように構成したものである。
【0047】
図5は、本実施形態の燃料電池冷却システム全体の構成を概略的に示すものである。この燃料電池冷却システムも、上述した第1の実施形態の燃料電池冷却システムと同様、燃料電池スタック1を冷却機構2によって冷却させる構成となっており、冷却機構2として循環経路21や冷却水タンク22、ポンプ23、熱交換器24、活性炭フィルタ25、イオン交換樹脂フィルタ26を備え、冷却水タンク22に薬品添加手段27が設けられている。
【0048】
これらに加えて、本実施形態の燃料電池冷却システムでは、冷却水タンク22をバイパスする配管28、及びイオン交換樹脂フィルタ26や燃料電池1をバイパスする配管29を備えており、これらの分岐点には、それぞれ三方弁A,Bや三方弁C,Dが設けられている。また、循環経路21には、薬品添加手段27が設けられた冷却水タンク22とは別の第2の冷却水タンク30が設けられており、活性炭フィルタ25は、この第2の冷却水タンク30内に設置されている。
【0049】
以上のように構成される本実施形態の燃料電池冷却システムでは、三方弁A,Bや三方弁C,Dの開閉状態を操作することで、冷却水の経路を切り換えることが可能である。例えば、通常の循環経路21を選択したときには、冷却水は冷却水タンク22に戻され、配管28を通る経路を選択したときには、冷却水は第2の冷却水タンク30に戻されることになる。
【0050】
次に、本実施形態の燃料電池冷却システムの処理シーケンスについて図6を参照して説明する。図6は、本実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
この燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が停止されると(ステップS31)、先ず、循環経路21内の冷却水を全て冷却水タンク22に回収する(ステップS32)。そして、冷却水タンク22内の冷却水に薬品添加手段27により防腐剤(次亜塩素酸塩)を添加する(ステップS33)。この防腐剤の添加により、燃料電池の運転停止中にも冷却水が腐食することなく冷却水タンク22内に貯留される。このとき、三方弁A,Bは、A3−A2連通、B3−B1連通とされ、冷却水タンク22は循環経路21から切り離される。したがって、防腐剤を含んだ冷却水が循環されることはない。
【0052】
次に、長時間経過後に燃料電池の運転が再開されると(ステップS34)、先ず三方弁BをB1−B2連通とし、冷却水タンク22内の冷却水を第2の冷却水タンク30内へと移行させる。そして、三方弁A,BをA1−A3連通、B3−B2連通とし、三方弁C,DをC1−C3連通、D3−D2連通として、第2の冷却タンク30のみを他とは切り離し、閉じた経路内に置く。この状態で、所定時間、冷却水を循環させて(ステップS35)、第2の冷却水タンク30に設置された活性炭フィルタ25の作用で、冷却水に含まれる次亜塩素酸イオンClO−を塩素イオンCl−に分解させる(ステップS36)。
【0053】
活性炭が次亜塩素酸イオンClO−を塩素イオンCl−に分解する反応は非可逆な触媒反応であり、冷却水と活性炭が接触する時間が長いほどその効果が大きい。したがって、以上のように冷却水を活性炭フィルタ25が設置された第2の冷却水タンク30にのみ循環させることにより、単に活性炭フィルタ25を通すだけの場合よりも長時間の触媒反応を行うことができ、効率的に次亜塩素酸イオンClO−を塩素イオンCl−に分解させることができる。
【0054】
活性炭フィルタ25による処理が終了したら、三方弁C,DをC1−C2連通、D1−D2連通とし、冷却水を循環経路21に循環させる。このとき、塩素イオンCl−を含んだ冷却水は、先ずイオン交換樹脂フィルタ26を通過することになり(ステップS37)、冷却水に含まれる塩素イオンCl−は全てこのイオン交換樹脂フィルタ26で除去される。
【0055】
その後、冷却水による燃料電池1の冷却が開始され、燃料電池スタック1による発電が開始される。このとき、三方弁A,BをA1−A3連通、B3−B2連通、三方弁C,DをC1−C2連通、D1−D2連通とし、冷却水タンク22をバイパスする循環経路で冷却水を循環してもよいし、三方弁A,BをA1−A2連通、B1−B2連通、三方弁C,DをC1−C2連通、D1−D2連通とし、冷却水タンク22を経路内に含む循環経路で冷却水を循環してもよい。
【0056】
以上のように、本実施形態の燃料電池冷却システムでは、燃料電池の運転が始動されたときに、しばらくの間は冷却水を第2の冷却水タンク30にのみ循環させて、活性炭フィルタ25による触媒作用を長時間行わせるようにしているので、上述した第1の実施形態で得られる効果に加えて、次亜塩素酸イオンClO−の分解を効率的に行えるといった効果が得るられる。また、配管28、29を適宜切り換えながら使用することにより、その時々に応じて最適な経路で冷却水を循環させることができ、それぞれの機能を最大限に生かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態の燃料電池冷却システムを示す概略構成図である。
【図2】前記第1の実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明を適用した第2の実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明を適用した第3の実施形態の燃料電池システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した第4の実施形態の燃料電池冷却システムを示す概略構成図である。
【図6】前記第4の実施形態の燃料電池冷却システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 冷却機構
21 循環経路
22 冷却水タンク
25 活性炭フィルタ(プレフィルタ)
26 イオン交換樹脂フィルタ
27 薬品添加手段
28,29 配管
30 第2の冷却水タンク
A,B,C,D 三方弁(切換手段)
Claims (10)
- 冷却水タンク内の冷却水を循環させて燃料電池を冷却する燃料電池冷却システムにおいて、
前記冷却水の循環経路内にプレフィルタ及びイオン交換樹脂フィルタをこの順に設置すると共に、前記冷却水タンクに、この冷却水タンク内に貯留された冷却水に対して薬品を添加する薬品添加手段を設けたことを特徴とする燃料電池冷却システム。 - 前記薬品として次亜塩素酸塩を用いることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池冷却システム。
- 前記プレフィルタとして活性炭フィルタを用いることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池冷却システム。
- 前記燃料電池の運転停止時に、前記冷却水を前記冷却水タンク内に回収して前記薬品添加手段により薬品を添加することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の燃料電池冷却システム。
- 前記薬品の添加は、運転者の手動操作により行われることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃料電池冷却システム。
- 前記薬品の添加は、前記燃料電池の運転停止期間が設定期間を越えた時に自動的に行われることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃料電池冷却システム。
- 前記冷却水の循環経路内に第2の冷却水タンクが設けられ、この第2の冷却水タンク内に前記プレフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の燃料電池冷却システム。
- 前記燃料電池を冷却した後の冷却水を前記薬品添加手段が設けられた冷却水タンクに回収させる経路と、前記プレフィルタが設けられた第2の冷却水タンクに回収させる経路と、これらの経路を切り換える切換手段とを有することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池冷却システム。
- 前記燃料電池の長期運転停止時には前記冷却水を前記薬品添加手段が設けられた冷却水タンク内に回収して薬品を添加し、
前記燃料電池の運転時には前記薬品添加手段が設けられた冷却水タンク内の冷却水を前記第2の冷却水タンクに移行させて、前記プレフィルタ及びイオン交換樹脂フィルタを介して前記燃料電池に循環させることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池冷却システム。 - 前記冷却水を前記第2の冷却水タンクに移行させた後、この冷却水を所定期間前記プレフィルタにのみ循環させ、その後、前記イオン交換樹脂フィルタを介して前記燃料電池に循環させることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池冷却システム。
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