JP2004131002A - 鉄道用車輪 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リム部15がボス部11に対して、外輪側に偏心しているA形車輪1Aの場合、ボス部フィレット12、板部13及びリム部フィレット14の径方向の断面形状を規定する2つの曲線ab、cdのうち、内輪側の曲線abの接線Lと、軸心Zに対する法線hとのなす角αを計測し、その最大値αmaxをとる内輪側の曲線ab上の点が、ボス側線分ab及びリム側線分cdから等距離の位置に形成される補助線分が内輪側の曲線abと交差する点よりもボス11側に位置するよう決定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
内側から外側にかけてボス部、ボス部フィレット、板部、リム部フィレット、リム部及びフランジからなり、前記リム部が前記ボス部に対して、外輪側または内輪側に偏心しているA形またはB形の鉄道用車輪に関し、特にボス部フィレットとリム部フィレットとの間の板部の形状を最適化した鉄道用車輪に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両の高速化、省エネルギーの観点から鉄道用車輪(以下、車輪という)の軽量化が望まれている。車輪の軽量化は、板部の板厚を減少させることによって可能となるが、板厚の減少により耐割損性が低下する。従って、耐割損性を維持しつつ車輪の軽量化を図ることが必要となる。
【0003】
従来の鉄道用車輪は、例えば日本工業規格JIS E5402−1989等に従い設計されている。かかる規格においては、鉄道用車輪はA形、B形、及びC形の3種が規定されている。図5はA形車輪の径方向の断面形状を示す断面図、図6はB形車輪の径方向の断面形状を示す断面図、図7はC形車輪の径方向の断面形状を示す断面図である。図示しない車軸が嵌挿されるボス部11Aから、順に外側へかけてボス部フィレット12A、板部13A、リム部フィレット14A、リム部15A、及び車輪内輪側に突設されるフランジ16Aから、A形車輪10Aが形成される。A形車輪10Aはリム部15Aがボス部11Aに対して外輪側に偏心している形状と定義され、また、JIS規格5402−1989によれば、各部位の長さは下記の表1に示す如く規定されている。
【0004】
【表1】
【0005】
図6に示すように、B形車輪10Bも同様に、図示しない車軸が嵌挿されるボス部11Bから、順に外側へかけてボス部フィレット12B、板部13B、リム部フィレット14B、リム部15B、及び車輪内輪側に突設されるフランジ16Bから、B形車輪10Bが形成される。B形車輪10Bは、A形車輪10Aとは逆に、リム部15Bがボス部11Bに対して内輪側に偏心している形状と定義され、また、JIS規格5402−1989によれば、各部位の長さは下記の表2に示す如く規定されている。
【0006】
【表2】
【0007】
新幹線等に用いられるC形車輪10Cの径方向の断面形状も、図7に示すように他の車輪と同じく図示しない車軸が嵌挿されるボス部11Cから、順に外側へかけてボス部フィレット12C、板部13C、リム部フィレット14C、リム部15C、及び車輪内輪側に突設されるフランジ16Cから、C形車輪10Cが形成される。C形車輪10Cは、A形車輪10A及びB形車輪10Bとは異なり、リム部15Cがボス部11Cに対して内輪側及び外輪側いずれにも偏心していない形状と定義され、また、JIS規格5402−1989によれば、各部位の長さは下記の表3に示す如く規定されている。
【0008】
【表3】
【0009】
【特許文献1】
特開平10−29401号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、表1に示すように従来の車輪は板部の板厚がリム側でt1=18mm、ボス側でt2=22mm〜26mmと厚いため、車輪の軽量化による鉄道の高速化及び省エネルギー化を達成することは困難であった。また、軽量化を図るべく、板厚を薄くした場合、耐割損性が増加し安全率が低下するという問題があった。レールからの反力により発生する応力(機械的応力)が増加した場合、耐割損性が増加し、安全率が低下する。本願出願人は安全率を維持または向上させつつ、板部の板厚を薄くし、軽量化を図ることが可能な車輪を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、A形車輪の場合、板部の径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、内輪側の曲線形状を特定の形状とすることにより、板部の板厚を薄くしつつも、安全率を向上することが可能であることを知見した。
【0011】
一方、B形車輪の場合、板部の径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、外輪側の曲線形状を特定の形状とすることにより、A形車輪と同様に板部の板厚を薄くしつつも、安全率を向上することが可能であることをも知見した。
【0012】
本発明は斯かる知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、板部の径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、A形車輪の場合は、内輪側の曲線形状を特定の形状とすることにより、またB形車輪の場合は、外輪側の曲線形状を特定の形状とすることにより、板厚を薄くした場合であっても、従来と同等の安全率を維持することが可能な鉄道用車輪を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る鉄道用車輪は、内側から外側にかけてボス部、ボス部フィレット、板部、リム部フィレット、リム部、及び、フランジを有し、前記リム部が前記ボス部に対して外輪側に偏心している鉄道用車輪において、前記ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、内輪側の曲線の接線と、前記ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角の最大値をとる前記内輪側板部の曲線上の点が、前記2つの曲線と前記ボス部との交点により規定されるボス側線分、及び、前記2つの曲線と前記リム部との交点により規定されるリム側線分から等距離の位置に形成される補助線分が前記内輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置することを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る鉄道用車輪は、内側から外側にかけてボス部、ボス部フィレット、板部、リム部フィレット、リム部、及び、フランジを有し、前記リム部が前記ボス部に対して内輪側に偏心している鉄道用車輪において、前記ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、外輪側の曲線の接線と、前記ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角の最大値をとる前記外輪側板部の曲線上の点が、前記2つの曲線と前記ボス部との交点により規定されるボス側線分、及び、前記2つの曲線と前記リム部との交点により規定されるリム側線分から等距離の位置に形成される補助線分が前記外輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置することを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る鉄道用車輪は、内側から外側にかけてボス部、ボス部フィレット、板部、リム部フィレット、リム部、及び、フランジを有し、前記リム部が前記ボス部に対して外輪側に偏心している鉄道用車輪において、前記ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、内輪側の曲線の接線と、前記ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角の最大値をとる前記内輪側板部の曲線上の点が、前記2つの曲線と前記ボス部との交点により規定されるボス側線分からと、前記2つの曲線と前記リム部との交点により規定されるリム側線分からとの距離比が0.55対0.45の位置に形成される補助線分が前記内輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置することを特徴とする。
【0016】
第4発明にかかる鉄道用車輪は、内側から外側にかけてボス部、ボス部フィレット、板部、リム部フィレット、リム部、及び、フランジを有し、前記リム部が前記ボス部に対して内輪側に偏心している鉄道用車輪において、前記ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、外輪側の曲線の接線と、前記ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角の最大値をとる前記外輪側板部の曲線上の点が、前記2つの曲線と前記ボス部との交点により規定されるボス側線分からと、前記2つの曲線と前記リム部との交点により規定されるリム側線分からとの距離比が0.55対0.45の位置に形成される補助線分が前記外輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置することを特徴とする。
【0017】
第1及び第3発明にあっては、リム部がボス部に対して、外輪側に偏心しているA形車輪の場合、ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、内輪側の曲線について着目する。曲線は、2つの曲線とボス部との交点により規定されるボス側線分から、2つの曲線とリム部との交点により規定されるリム側線分に至る。内輪側の曲線の接線と、ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角を計測し、その最大値をとる内輪側板部の曲線上の点が、ボス側線分及びリム側線分から等距離の位置に形成される補助線分が内輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置するよう決定する。また、安全率を従来の車輪以上とするためには、後述する実験により、内輪側の曲線の接線と、ボス側線分の法線とのなす角の最大値をとる内輪側板部の曲線上の点が、ボス側線分からと、リム側線分からとの距離比が0.55対0.45の位置に形成される補助線分が内輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置するようにすれば良い。鉄道用車輪の板部形状をかかる構成とすることで、安全率のさらなる向上、ひいては板部の板厚を薄くし、軽量化を図りつつも従来と同様またはそれ以上の安全率を確保することが可能となる。
【0018】
第2及び第4発明にあっては、リム部がボス部に対して、内輪側に偏心しているB形車輪の場合、ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、外輪側の曲線について着目する。同様に、外輪側の曲線の接線と、ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角を計測し、その最大値をとる外輪側の曲線上の点が、ボス側線分及びリム側線分から等距離の位置に形成される補助線分が外輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置するよう決定する。または、安全率を従来の車輪以上とするためには、後述する実験により、外輪側の曲線の接線と、ボス側線分の法線とのなす角の最大値をとる外輪側板部の曲線上の点が、ボス側線分からと、リム側線分からとの距離比が0.55対0.45の位置に形成される補助線分が外輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置すれば良い。このように、リム部の偏心方向と逆方向の板部曲線の形状をかかる形状とすることで、板部の板厚を薄くし、軽量化を図りつつも従来と同様またはそれ以上の安全率を確保でき、さらに鉄道車両の高速化及び省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1はA形車輪1A(場合により、車輪1で代表する)の径方向の断面形状を示す断面図である。A形車輪1Aは、内側から外側にかけてボス部11,ボス部フィレット12,板部13,リム部フィレット14,リム部15,及びフランジ16からなり、リム部15がボス部11に対して外輪側に偏心している。図示しない車軸が径方向に対して垂直に嵌挿されるボス部11には、板部13に至るボス部フィレット12が形成されており、車輪厚はボス部フィレット12を経由して、ボス部11のボス高さHから板部13の板厚t2(ボス側)にまで変化する。なお、各部位の長さは表1に示すとおりである。
【0020】
板部13の一端は上述したボス部フィレット12と接合しており、一方板部13の他端はリム部フィレット14と接合している。板部13の径方向の断面形状は曲線st、及び曲線uw、並びに曲線st・曲線uwとボス部フィレット12とのそれぞれの交点s、uにより規定される線分su、及び、曲線st・曲線uwとリム部フィレット14とのそれぞれの交点t、wにより規定される線分twにより構成される。また、ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線は図1に示すように曲線ab及び曲線cdからなる。点aは内輪側の曲線abとボス部11との交点であり、点cは外輪側の曲線cdとボス部11との交点である。以下では、線分acをボス側線分という。同様に、点bは内輪側の曲線abとリム部15との交点であり、点dは外輪側の曲線cdとリム部15との交点である。以下では、線分bdをリム側線分という。板部13はリム部フィレット14を介してリム部15に接合されており、車輪厚はリム部フィレット14を経由している間に板部13の板厚t1(リム側)からリム幅Bにまで拡大する。また、リム部15の内輪側先端にはフランジが突設されている。
【0021】
A形車輪1Aにおいては、ボス部フィレット12,板部13及びリム部フィレット14の断面形状を規定する2つの曲線ab及び曲線cdのうち、内輪側の曲線ab、特に曲線stについて着目する。曲線ab上の任意の点における接線Lと、ボス部に挿嵌される図示しない車軸の軸心Zに対する法線hとのなす角をαと定義する。本発明に係る車輪は、好ましくはαの最大角αmaxをとる内輪側板部の曲線st上の点が、ボス側線分ac及びリム側線分bdから等距離の位置に形成され、ボス側線分ac及びリム側線分bdに平行な補助線分が、内輪側の曲線abと交差する点eよりもボス側に位置するようにすれば良い。つまり、点sから補助線分と曲線abとの交点である点eとの間のいずれかの位置に、最大角αmaxが形成されるよう板部13の形状を設計する。若しくは、αの最大角αmaxをとる内輪側板部の曲線st上の点が、ボス側線分acからと、リム側線分bdからとの距離比が0.55対0.45となる位置に形成され、ボス側線分ac及びリム側線分bdに平行な補助線分が、内輪側の曲線abと交差する点e’よりもボス側に位置するようにすれば良い。つまり、点sから補助線分と曲線abとの交点である点e’との間のいずれかの位置に、最大角αmaxが形成されるよう板部13の形状を設計する。すなわち、外輪側に偏心しているA形車輪1Aにおいては、対向する内輪側の曲線stのうち、ボス部11側の接線Lと法線hとのなす角度αが最大となるよう、板部13を設計することで、安全率を向上させることが可能となる。
【0022】
図2はB形車輪1Bの径方向の断面形状を示す断面図である。B形車輪1Bも同様に、内側から外側にかけてボス部11,ボス部フィレット12,板部13,リム部フィレット14,リム部15,及びフランジ16からなり、リム部15がボス部11に対して内輪側に偏心している。
【0023】
B形車輪1Bにおいては、ボス部フィレット12,板部13、及びリム部フィレット14の断面形状を規定する2つの曲線ab及び曲線cdのうち、外輪側の曲線cd、特に曲線uwについて着目する。曲線cd上の任意の点における接線Lと、軸心Zに対する法線hとのなす角をαと定義する。本発明に係る車輪は、好ましくはαの最大角αmaxをとる外輪側板部の曲線uw上の点が、ボス側線分ac及びリム側線分bdから等距離の位置に形成され、ボス側線分ac及びリム側線分bdに平行な補助線分が、外輪側の曲線cdと交差する点fよりもボス側に位置するようにすれば良い。つまり、点uから補助線分と曲線cdとの交点である点fとの間のいずれかの位置に、最大角αmaxが形成されるよう板部13の形状を設計する。若しくは、αの最大角αmaxをとる外部側板部の曲線cd上の点が、ボス側線分acからと、リム側線分bdからとの距離比が0.55対0.45となる位置に形成され、ボス側線分ac及びリム側線分bdに平行な補助線分が、外輪側の曲線cdと交差する点f’よりもボス側に位置するようにすれば良い。つまり、点sから補助線分と曲線cdとの交点である点f’との間のいずれかの位置に、最大角αmaxが形成されるよう板部13の形状を設計する。すなわち、内輪側に偏心しているB形車輪1Bにおいては、対向する外輪側の曲線uwのうち、ボス部11側の接線Lと法線hとのなす角度αが最大となるよう、板部13を設計することで、安全率を向上させることが可能となる。
【0024】
続いて、最大角αmaxをとる曲線上の位置を変化させて安全率がどのように変化するか実験を行った。なお、実験に当たってはA形車輪1Aのうち表1に示すA86Eを用い、板部13の形状をそれぞれ変化させた車輪1を対象にFEM(Finite Element Method)解析を実施し、垂直圧及び横圧が負荷された場合の板部13の発生応力と、垂直圧及び背圧が負荷された場合の発生応力を求め、各板部形状の耐割損性(安全率)について評価した。
【0025】
なお以下に、垂直圧、横圧、及び背圧について説明しておく。図3は機械的応力の概念を説明する模式図である。機械的応力には図3(a)及び(b)に示すように、垂直圧P1、横圧P2、及び背圧P3が存在する。直線通過時においては、輪重により、リム部15とレールRとの接合面である車輪踏面QにはレールRから垂直圧P1が負荷される。曲線通過時においては、レールRからフランジ16に軌道内側から横圧P2が負荷される。さらに、脱線防止用のガイドレールP又は図示しないポイントにより、フランジ16に軌道外側から背圧P3が負荷される。
【0026】
図4は最大角αmaxをとる点の位置を変化させた場合の、当該車輪の安全率の推移を示す特性図ある。縦軸は安全率を示し、従来の車輪の安全率を1.0として評価している。横軸は補助線分の位置を示し、0をボス側線分acと同じ位置、0.5をボス側線分及びリム側線分bdから等距離の位置、1をリム側線分bdと同じ位置としている。ここで、曲線ab上の内曲線st上の点における接線Lと法線hとがなす角αが最大値αmaxとなるとなる点を、位置を変えつつその各車輪における最小の安全率を車輪板部全体のFEM解析により求めた。解析にあっては試料1乃至5を用意した。試料1は従来の車輪であり、試料1及び2を除く試料3乃至5は本発明に係るA形車輪1Aである。なお、各試料の最大角αmaxは、αmax1=39.9°(試料1)、αmax2=40.7°(試料2)、αmax3=33.4°(試料3)、αmax4=35.5°(試料4)、αmax5=36.0°(試料5)とした。
【0027】
解析した結果、試料3乃至5に示すように0から0.55までの間で、最大値αmaxをとる場合、安全率が高いことが理解できる。特に0.55から0.5にかけて安全率の増加傾向が強まり、また0.5以下ではボスの内径、輪重等の諸条件が変わった場合でも高い安全率を確保できることが確認できた。一方で、試料2の如く0.55を超える場合、従来の試料1に係る車輪と安全率はそれほど相違しないことが理解できる。このように最大値αmaxをとる点を特定の位置(点s〜点eまたは点e’)に決定することで、安全率の向上を図ることが可能となる。なお、B形車輪についても同様の結果が得られたので詳細な説明は省略する。また、上述した試料1乃至5は全て板部13の板厚t1(リム側)を18mm、板厚t2(ボス側)を22mmとして、安全率の変化を検討したが、安全率が1.0以上となるように板厚を適宜変化させるようにしても良い。この場合、リム外径Dに対して、板部13の板厚が1.2%〜2.4%の範囲内にある場合、安全率1.0以上となることが確認できた。例えば、リム外径Dが860mmの車輪の場合、板厚は10.32mm〜20.64mmの範囲内であれば、安全率1.0以上を確保できる。これにより、安全率を確保しつつも、板部13の薄型化を図ることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述した如く、第1及び第3発明にあっては、リム部がボス部に対して、外輪側に偏心しているA形車輪の場合、ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、内輪側の曲線の接線と、ボス側線分の法線とのなす角を計測し、その最大値をとる内輪側板部の曲線上の点が、ボス側線分及びリム側線分から等距離の位置に形成される補助線分が内輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置するように設計する。または、ボス側線分からと、リム側線分からとの距離比が0.55対0.45の位置に形成される補助線分が内輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置するよう設計する。このように鉄道用車輪の板部形状をかかる構成とすることで、安全率のさらなる向上、ひいては板部の板厚を薄くし、軽量化を図りつつも従来と同様またはそれ以上の安全率を確保することが可能となる。
【0029】
第2及び第4発明にあっては、リム部がボス部に対して、内輪側に偏心しているB形車輪の場合、ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、外輪側の曲線の接線と、ボス側線分の法線とのなす角を計測し、その最大値をとる外輪側の曲線上の点が、ボス側線分及びリム側線分から等距離の位置に形成される補助線分が外輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置するよう設計する。または、ボス側線分からと、リム側線分からとの距離比が0.55対0.45の位置に形成される補助線分が内輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置するよう設計する。このように、リム部の偏心方向と逆方向の板部曲線の形状をかかる形状とすることで、板部の板厚を薄くし、軽量化を図りつつも従来と同様またはそれ以上の安全率を確保でき、さらに鉄道車両の高速化及び省エネルギー化を図ることが可能となる等、本発明は優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】A形車輪の径方向の断面形状を示す断面図である。
【図2】B形車輪の径方向の断面形状を示す断面図である。
【図3】機械的応力の概念を説明する模式図である。
【図4】最大角αmaxをとる点の位置を変化させた場合の、当該車輪の安全率の推移を示す特性図ある。
【図5】A形車輪の径方向の断面形状を示す断面図である。
【図6】B形車輪の径方向の断面形状を示す断面図である。
【図7】C形車輪の径方向の断面形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 車輪
1A A形車輪
1B B形車輪
11 ボス部
12 ボス部フィレット
13 板部
14 リム部フィレット
15 リム部
16 フランジ
ab 曲線
cd 曲線
ac ボス側線分
bd リム側線分
Claims (4)
- 内側から外側にかけてボス部、ボス部フィレット、板部、リム部フィレット、リム部、及び、フランジを有し、前記リム部が前記ボス部に対して外輪側に偏心している鉄道用車輪において、
前記ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、内輪側の曲線の接線と、前記ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角の最大値をとる前記内輪側板部の曲線上の点が、
前記2つの曲線と前記ボス部との交点により規定されるボス側線分、及び、前記2つの曲線と前記リム部との交点により規定されるリム側線分から等距離の位置に形成される補助線分が前記内輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置する
ことを特徴とする鉄道用車輪。 - 内側から外側にかけてボス部、ボス部フィレット、板部、リム部フィレット、リム部、及び、フランジを有し、前記リム部が前記ボス部に対して内輪側に偏心している鉄道用車輪において、
前記ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、外輪側の曲線の接線と、前記ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角の最大値をとる前記外輪側板部の曲線上の点が、
前記2つの曲線と前記ボス部との交点により規定されるボス側線分、及び、前記2つの曲線と前記リム部との交点により規定されるリム側線分から等距離の位置に形成される補助線分が前記外輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置する
ことを特徴とする鉄道用車輪。 - 内側から外側にかけてボス部、ボス部フィレット、板部、リム部フィレット、リム部、及び、フランジを有し、前記リム部が前記ボス部に対して外輪側に偏心している鉄道用車輪において、
前記ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、内輪側の曲線の接線と、前記ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角の最大値をとる前記内輪側板部の曲線上の点が、
前記2つの曲線と前記ボス部との交点により規定されるボス側線分からと、前記2つの曲線と前記リム部との交点により規定されるリム側線分からとの距離比が0.55対0.45の位置に形成される補助線分が前記内輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置する
ことを特徴とする鉄道用車輪。 - 内側から外側にかけてボス部、ボス部フィレット、板部、リム部フィレット、リム部、及び、フランジを有し、前記リム部が前記ボス部に対して内輪側に偏心している鉄道用車輪において、
前記ボス部フィレット、板部及びリム部フィレットの径方向の断面形状を規定する2つの曲線のうち、外輪側の曲線の接線と、前記ボス部に挿嵌される車軸の軸心に対する法線とのなす角の最大値をとる前記外輪側板部の曲線上の点が、
前記2つの曲線と前記ボス部との交点により規定されるボス側線分からと、前記2つの曲線と前記リム部との交点により規定されるリム側線分からとの距離比が0.55対0.45の位置に形成される補助線分が前記外輪側の曲線と交差する点よりもボス側に位置する
ことを特徴とする鉄道用車輪。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP2002299235A JP2004131002A (ja) | 2002-10-11 | 2002-10-11 | 鉄道用車輪 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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