JP2004137151A - 脳腫瘍の治療・診断薬 - Google Patents
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Abstract
【課題】腫瘍、特に脳腫瘍の治療薬や診断薬、脳腫瘍の検出・診断用プローブ、脳腫瘍の診断キット、腫瘍、特に脳腫瘍の治療方法、抗脳腫瘍剤のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】ヒト脳腫瘍患者の約11,000遺伝子の中から、ヒト脳腫瘍において非癌部脳組織と比較し顕著に発現が亢進している16個の遺伝子をGene Chip解析により選び出し、その中からESTデーターベースを用いたESTスクリーニングにより絞り込み、RT−PCRやリアルタイム定量PCRを用いた解析により、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体関連タンパク質(uPARAP)が腫瘍、特に脳腫瘍特異的に発現していることを見い出した。uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体等のuPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質等の化合物を脳腫瘍の治療・診断薬とする。
【解決手段】ヒト脳腫瘍患者の約11,000遺伝子の中から、ヒト脳腫瘍において非癌部脳組織と比較し顕著に発現が亢進している16個の遺伝子をGene Chip解析により選び出し、その中からESTデーターベースを用いたESTスクリーニングにより絞り込み、RT−PCRやリアルタイム定量PCRを用いた解析により、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体関連タンパク質(uPARAP)が腫瘍、特に脳腫瘍特異的に発現していることを見い出した。uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体等のuPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質等の化合物を脳腫瘍の治療・診断薬とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体関連タンパク質(uPARAP)の細胞外ドメインを認識する抗体等のuPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有する脳腫瘍の診断・治療薬やuPARAPをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖を有効成分として含有する脳腫瘍の診断・治療薬、それらを用いた脳腫瘍の治療方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年マイクロアレイの技術が発達し、一度に多くの遺伝子及びタンパク質の発現を解析することを可能にした。特にDNAマイクロアレイによる癌組織における遺伝子発現の解析によって癌の進行や薬剤の感受性の面で新たな知見が得られている。最近、遺伝子発見モニタリング、シークエンス解析及びジェノタイピングなどの広範な核酸解析に利用可能なジーンチップ(Gene Chip)が、米国アフィメトリクス(Affymetrix)社から販売されている。
【0003】
他方、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体関連タンパク質(uPARAP)は、KIAA0709あるいはEndo180としても報告され、また、uPARAPを特異的に認識する抗体も知られている。KIAA0709は、50kDa以上の分子量を持つタンパク質をコードするヒト脳から得られた100個の新規なcDNAクローン(KIAA0611〜KIAA0710遺伝子と名付けられた)のうちのKIAA0709遺伝子(アクセッションナンバーAB014609)がコードするタンパク質として報告されている(非特許文献1)。また、抗Endo180モノクローナル抗体とポリクローナル抗血清を用いて、Endo180の完全cDNAをクローニングし、マクロファージのマンノース受容体と関連するエンドサイト−シスリサイクリングタンパク質であるEndo180が、繊維芽細胞、内皮細胞、マクロファージで発現し、レクチン受容体として機能することも報告されている(非特許文献2)。uPARAPは、マクロファージ・マンノース受容体タンパク質の一種で、8Cタイプ炭水化物認識領域に加えて、コラーゲン結合型(フィブロネクチンタイプII)領域を含み、コラーゲン及びコラーゲンVと強く結合することが報告されている(非特許文献3)。
【0004】
また、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)及びuPA受容体(uPAR)は、プラスミノーゲン活性化システムにおいて重要な要素であり、組織の再構築及び癌浸潤を促進する働きをし、かかるuPAとuPARとの複合体のクリアランスに関与する内在性受容体としてのuPARAPや、uPARAPを特異的に認識する抗uPARAPポリクロナール抗体についての報告もなされている(非特許文献4)。この報告によると、良性胸部障害及び悪性胸部障害においてuPARAPの発現を調べたところ、健常な胸部組織では陰性であったものの、すべての良性障害及び非浸潤乳管癌では障害に関連する繊維芽様細胞及び筋上皮細胞中で免疫反応性を示し、浸潤癌では、uPARAPの免疫反応性は腫瘍に関連する間葉系細胞に限定され、uPARAPが筋線維芽細胞及びマクロファージ中に局在化しているとされている。
【0005】
【非特許文献1】
DNA Res., 5(3), 169−176, 1998
【非特許文献2】
J. Cell Sci., 113, 6, 1021−1032, 2000
【非特許文献3】
J. Biol. Chem., 275(3), 1993−2002, 2000 Jan 21
【非特許文献4】
Int. J. Cancer, 1, 98, 656−64, 2002
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、腫瘍、特に脳腫瘍の治療薬や診断薬、脳腫瘍の検出・診断用プローブ、脳腫瘍の診断キット、腫瘍、特に脳腫瘍の治療方法、抗脳腫瘍剤のスクリーニング方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヒト脳腫瘍患者の約11,000遺伝子の中から、ヒト脳腫瘍において非癌部脳組織と比較し顕著に発現が亢進している16個の遺伝子をGeneChip解析により選び出し、その中からESTデーターベースを用いたスクリーニングにより絞り込み、RT−PCRやリアルタイム定量PCRを用いた解析により、uPARAPが腫瘍、特に脳腫瘍で高発現していることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の治療薬(請求項1)や、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物が、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍の治療薬(請求項2)や、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の治療薬(請求項3)や、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の治療薬(請求項4)や、腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の腫瘍の治療薬(請求項5)に関する。
【0009】
また本発明は、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を腫瘍患者に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法(請求項6)や、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物が、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項6記載の腫瘍の治療方法(請求項7)や、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を腫瘍患者に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法(請求項8)や、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を腫瘍患者に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法(請求項9)や、腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか記載の腫瘍の治療方法(請求項10)に関する。
【0010】
さらに本発明は、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有することを特徴とする腫瘍の診断薬(請求項11)や、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物が、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項11記載の腫瘍の診断薬(請求項12)や、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有することを特徴とする腫瘍の診断薬(請求項13)や、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有することを特徴とする腫瘍の診断薬(請求項14)や、腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか記載の腫瘍の診断薬(請求項15)や、RNA抽出液、cDNA及びcRNA合成酵素、DNAチップ若しくはオリゴヌクレオチドチップ又はタンパク質チップ、プローブ及びuPARAP増幅用プライマー、抗uPARAP抗体を備えたことを特徴とする脳腫瘍の診断キット(請求項16)や、腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項16記載の腫瘍の診断キット(請求項17)や、uPARAP遺伝子を含む発現ベクターを導入した細胞を被検物質の存在下で培養し、uPARAPの発現及び/又は機能低下の程度を測定評価することを特徴とする抗腫瘍剤のスクリーニング方法(請求項18)や、uPARAPとuPARを膜表面に共発現した細胞に、被検物質の存在下、Pro−uPAを接触せしめ、Pro−uPAとuPARの結合の程度を測定評価することを特徴とする抗腫瘍剤のスクリーニング方法(請求項19)や、uPARAP又はその一部分を披検物質と接触させ、披検物質のuPARAPに対する結合の強さの程度を測定評価することを特徴とする抗腫瘍剤のスクリーニング方法(請求項20)や、抗腫瘍剤が抗脳腫瘍剤であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか記載の抗腫瘍剤のスクリーニング方法(請求項21)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
脳腫瘍患者から摘出した脳腫瘍組織において非癌部と発現レベルが異なる遺伝子やタンパク質は、脳腫瘍組織と脳非癌部組織との比較から得ることができる。まず複数の患者より提供された脳非癌部組織における各遺伝子やタンパク質発現レベルの平均を得る。次に、各遺伝子やタンパク質発現レベルの平均をそれぞれの患者の脳腫瘍組織中の各伝子又はタンパク質の発現レベルと比較し、多くの患者で非癌部の平均よりも発現が亢進している遺伝子又はタンパク質を選択する。また、正常組織との発現の違いの程度によって、脳腫瘍組織において発現が亢進している遺伝子をランク付けすることもできる。脳腫瘍組織及び非癌部組織における遺伝子の発現は、RNAの発現レベル又はタンパク質の発現レベルで解析することができ、多くの場合、RNAやタンパク質の発現レベルは、DNAマイクロアレイ、RT−PCR、ノーザンブロッティング、RNase プロテクションアッセイ、ウエスタンブロッティング、ELISA法、タンパク質アレイといった一般によく知られた方法で測定することができ、フルオロセインやロダミン、ルミノールによる化学蛍光又は3H、14C、35S、33P、32P、125Iといった放射性同位体による放射線、光学的密度を測定することにより行われる。かかる方法により得られた脳腫瘍組織で特に発現が亢進した遺伝子やタンパク質に関する知見から、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療・診断薬は導かれる。
【0012】
本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬としては、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではなく、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物としては、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体の他、コラーゲンV、レクチン、N−アセチルグルコサミン、グリコプロテイン、マトリックスメタロプロテアーゼ、放線菌やカビの生産する天然物化合物、合成化合物、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。また、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬としては、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではなく、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物としては、uPARやPro−uPAを特異的に認識する抗体を挙げることができる。さらに、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬としては、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではなく、これらアンチセンス鎖の全部又は一部はベクター等に組み込んだ形態で用いることもできる。
【0013】
上記uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体や、uPARやPro−uPAを特異的に認識する抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、2つのエピトープを同時に認識することができる二機能性抗体等を例示することができる。これら抗体は、慣用のプロトコールを用いて、動物(好ましくはヒト以外)にuPARAP等のタンパク質又はエピトープを含む断片、類似体若しくはuPARAP等を膜表面に発現している細胞を投与することにより産生され、例えばモノクローナル抗体の調製には、連続細胞系の培養物により産生される抗体をもたらす、ハイブリドーマ法(Nature 256, 495−497, 1975)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Immunology Today, 4, 72, 1983)及びEBV−ハイブリドーマ法(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, 77−96, Alan R.Liss, Inc.,1985)など任意の方法を用いることができる。
【0014】
また、一本鎖抗体をつくるために、一本鎖抗体の調製法(米国特許第4,946,778 号、米国特許第5,260,203号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,455,030号)を用いることができ、ヒト化抗体をつくるために、ヒト化抗体の調製法(米国特許第5,585,089号、Nature, 321, 522−525, 1986、Protein Engineering, 4,773−783, 1991)を用いることができ、キメラ抗体をつくるために、キメラ抗体の調製法(米国特許第4,816,567号、Science, 229,1202−1207, 1985、BioTechniques, 4, 214, 1986、Nature, 312, 643−646, 1984、Nature, 314, 268.270, 1985)を用いることができる。二機能性抗体は、2つの関連した抗体を産生する2つのモノクローナル細胞系同士のハイブリッド、又は2つの抗体の断片の化学結合によって産生することができ、例えば、uPARAPとuPARとに同時に結合しうる二機能性抗体を挙げることができる。
【0015】
また、上記抗体のFab断片やF(ab’)2断片等も、上記抗体と同様に、uPARAP等に特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物として例示することができる。例えば、Fab断片は抗体をパパイン等で処理することにより、またF(ab’)2断片はペプシン等で処理することにより調製することができる。
【0016】
本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療方法としては、上述のuPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を脳腫瘍患者に投与する方法であれば特に制限されるものではなく、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物としては、上述のuPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体を好適に例示することができる。また、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療方法としては、上述のuPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を脳腫瘍患者に投与する方法であれば特に制限されない。さらに、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬としては、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではなく、これらアンチセンス鎖の全部又は一部はそのまま投与してもよいが、ベクター等に組み込んだ形態で投与することもできる。
【0017】
上記本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬や、後述する本発明のスクリーニング方法により得られる抗脳腫瘍剤等の抗腫瘍剤を医薬品として用いる場合は、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができる。またこれら治療薬や抗脳腫瘍剤は、経口的又は非経口的に投与することができる。すなわち通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、例えば溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口投与することができる他、スプレー剤の型で鼻孔内投与することもできる。
【0018】
本発明の脳腫瘍等の腫瘍の診断薬としては、上述のuPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体などのuPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有するものを挙げることができ、また、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の診断薬としては、上述のuPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有するものや、上述のuPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有するものであれば特に制限されるものではなく、かかるアンチセンス鎖は脳腫瘍等の腫瘍の検出・診断用プローブとして有利に用いることができる。上記抗体などの化合物やアンチセンス鎖は、通常標識されているものを用いることが好ましい。標識物質としては、単独で又は他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる物質、例えば、酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジンあるいは放射性同位体等を挙げることができる。具体的には、ペルオキシダーゼ(例えば、horseradish peroxidase)、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコ−ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ若しくはアセチルコリンエステラーゼ等の酵素、フルオレスセインイソチオシアネート、フィコビリタンパク、希土類金属キレート、ダンシルクロライド若しくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート等の蛍光物質、3H 、14C、125I若しくは131I等の放射性同位体、ビオチン、アビジン、又は化学発光物質を挙げることができる。上記の放射性同位体及び蛍光物質は、単独で検出可能なシグナルをもたらすことができる。一方、酵素、化学発光物質、ビオチン及びアビジンは、単独では検出可能なシグナルをもたらすことができないため、さらに1種以上の他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる。例えば、酵素の場合には少なくとも基質が必要であり、酵素活性を測定する方法(比色法、蛍光法、生物発光法あるいは化学発光法等)に依存して種々の基質が用いられる。また、ビオチンの場合には少なくともアビジンあるいは酵素修飾アビジン(例えば、ストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼ(Streptoavidin−β−galactosidase))を基質として反応させるのが一般的である。
【0019】
本発明の脳腫瘍等の腫瘍の診断キットとしては、ノーザン・ブロット、in situ ハイブリダイゼーション、RNaseプロテクションアッセイ、ウエスタンブロッティング、ELISA法、RT−PCRといった選択した遺伝子やタンパク質の発現を評価するのに必要な、RNA抽出液、cDNA及びcRNA合成酵素、DNAチップ若しくはオリゴヌクレオチドチップ又はタンパク質チップ、プローブ及びuPARAP増幅用プライマー、抗uPARAP抗体を備えたものであれば特に制限されないが、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ)遺伝子等のコントロール遺伝子増幅用プライマー、GAPDH等に対する抗体などをも有するものが好ましい。かかる本発明の脳腫瘍の診断キットを用いて、脳組織、血液あるいは他の組織おいてuPARAP遺伝子やuPARAPの発現レベルを調べることによって脳腫瘍の診断を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の抗脳腫瘍剤のスクリーニング方法としては、uPARAP遺伝子を含む発現ベクターを導入した細胞を被検物質の存在下で培養し、uPARAPの発現及び/又は機能低下の程度、例えば、プラスミノーゲンアクチベーター等のuPARAP活性化シグナルにより増幅される遺伝子を測定評価する方法や、uPARAPとuPARを膜表面に共発現した細胞に、被検物質の存在下、Pro−uPAを接触せしめ、Pro−uPAとuPARの結合の程度、例えば、プラスミノーゲンアクチベーター等のuPARAP活性化シグナルにより増幅される遺伝子を測定評価する方法や、uPARAP又はuPARAPの細胞外ドメイン等その一部分を披検物質と接触させ、披検物質のuPARAPに対する結合の強さの程度、例えば、披検物質のuPARAPに対する結合の強さを測定評価するであれば特に制限されるものではなく、上記細胞としては、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギルス等の真核細胞や、ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞や、L細胞、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、BALB/c3T3細胞(ジヒドロ葉酸レダクターゼやチミジンキナーゼなどを欠損した変異株を含む)、BHK21細胞、HEK293細胞、Bowesメラノーマ細胞、卵母細胞等の動植物細胞などを挙げることができ、上記uPARAP等を発現することができる発現ベクターの細胞への導入は、Davisら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及びSambrookら(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載される方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング (scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)、感染等を例示することができる。
【0021】
上記uPARAP活性化シグナルにより増幅される遺伝子は、定量的PCRにより測定することができる。定量的PCRは、標的遺伝子及びコントロール遺伝子の増幅産物の量に基づいて、生物集団中の異種個体の存在割合を定量的に測定することを可能にするPCRである。例えば、定量的な測定を可能にするような反応条件下でPCRを行い、増幅産物を電気泳動にかけ、増幅産物に対応するバンドの強度に基づいて定量的測定を達成することができる。より簡便かつ正確に定量的測定を実施するためには、増幅産物の経時的定量的な測定を可能にするPCR用装置(リアルタイム(Real Time)PCR装置)を使用することが好ましい。このようなPCR装置として、LightCycler(ロシュ社製)、ABI Sequence Detector PRISM 7700(パーキンエルマーバイオシステムズ社製)などが市販されている。リアルタイムPCRを行う方法としては、TaqMan法(特許第2825976号)、ハイブリダイゼーション法あるいはサイバーグリーンIなどのインターカレーターを用いる方法等を挙げることができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1(ヒト脳腫瘍検体の調整)
慶應義塾大学病院において外科的治療を受けた11人の患者からヒト脳腫瘍組織、及び隣接正常部を採取した。手術前にすべての患者からインフォームドコンセントを書面により得た。研究プロトコールは慶應義塾大学医学部のIRBHUにより承認された。すべての患者に対する脳腫瘍の組織学的診断は術後に行われ、グリオーマの診断を得たものをヒト脳腫瘍検体とした。採取したヒト非癌部脳組織と脳腫瘍組織は液体窒素中又はドライアイスを入れたアセトン中で凍結し、必要に応じてO.C.T.コンパウンドに埋胞し、−70℃から−80℃の間で保存し、ヒト脳腫瘍において非癌部脳組織と比較し顕著に発現が亢進している遺伝子又はタンパク質を同定するために用いた。
【0023】
実施例2(組織からのRNA抽出)
組織片(約125m3)はTRIZOL又はSepasol−RNAI中でポリトロンにより破砕された(最高速度で5秒間×2回)。クロロホルムを添加後、15,000×gで10分間遠心し、RNAを含んだ水層を採取した。イソプロピルアルコールを用いトータルRNAを沈殿させ、70%エタノールで1度洗浄し、それをDEPC処理H2Oに溶解した。トータルRNAは1.5ユニットのDnase Iで処理し、再度、TRIZOL/クロロホルム抽出を行った後に、エタノール沈殿し、DEPC処理H2Oに懸濁した。その後、Rneasy Mini Kitを使い、低分子の核酸を除去した。トータルRNAの質はアガロースゲルから28Sと18SリボソームRNAの比で確認した。精製したトータルRNAは70%エタノール中で−80℃に使用まで保存した。
【0024】
実施例3(cDNAの合成と標識したcRNAの合成)
cDNAの合成はSuperScript Choice Systemを用いて行った。5マイクログラムの精製したトータルRNAとT7プロモーター配列を有するオリゴdTプライマーを用いて、200ユニットの SuperScriptII 逆転写酵素で42℃1時間反応させ(1st strandのcDNAを合成した後に2nd strandのcDNAを合成し)、フェノール/クロロホルムで抽出し、Phase Lock Gelにて精製した。合成したcDNAをテンプレートにし、MEGAscript T7キットを用いてcRNAを合成した。2マイクロリットルのT7ポリメラーゼを含む酵素ミックスと7.5mMのATP、GTPと5.625mMのCTP、UTP及び1.875mMのBio−11−CTP、Bio−16−UTPとcDNAを37℃、6時間反応させた。未反応や短いオリゴヌクレオチドはCHROMASPINを用いて除去した。得られたcRNAはエタノール沈殿により回収した。cRNAの性質は電気泳導により確認した。精製したcRNAは使用まで70%エタノール中で−80℃で保存した。
【0025】
実施例4(脳腫瘍患者の癌、非癌部における遺伝子発現解析)
脳腫瘍患者の原発癌の遺伝子発現は高密度オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いて試験した。チップへハイブリダイゼーションするにあたり、cRNAを40mMトリス−酢酸緩衝液(pH8.1)、100mM酢酸カリウム、30mM酢酸マグネシウム中で95℃、35分間反応させ、断片化を行った。ハイブリダイゼーションは200μl中、0.1M MES pH6.7(2−(N−Morpholino)ethanesulfonic acid)、1M NaCl、0.01% Polyoxylene(10)octylphenyl ether、20μg herring Sperm DNA、100μg アセチル化bovine serum albumin、10μg断片化したcRNA、ビオチン化したコントロールオリゴヌクレオチド(biotin−5’−CTGAACGGTAGCATCTTGAC−3’)を含むサンプルで45℃、12時間行った。チップを0.1M MES pH6.7、0.1M NaCl、0.01% Polyoxylene(10) octylphenyl ether緩衝液で洗浄後、ビオチン化した抗ストレプトアビジン抗体とチップを反応させた後に、streptavidin R−phycoerythrinによりシグナルを増幅させるように処理した。各ピクセルの蛍光強度はHP社製レーザースキャナー(GeneArray Scanner G2500A)にて測定し、発現強度と信頼度(Present/Absent Call)をAffymetrixのソフトウエアMicroarray Suite ver.4.0により算出した。この実験により、ヒト脳腫瘍患者の約11,000遺伝子の発現を測定した。
【0026】
実施例5(Gene Chip解析)
腫瘍組織と隣接正常組織において異なる(発現をする)遺伝子群を同定するため、Gene Chip解析を行った。(オリゴ)DNAチップの感受性を考慮し、average difference (発現レベルに相当)が20以下のものは20に繰り上げた。遺伝子毎に3検体のヒト正常脳組織のaverage difference の平均を求め、求めた平均の値と各々11検体のヒト脳腫瘍組織のaverage differenceを比較した。脳腫瘍組織の11検体の全てにおいて、正常脳組織の平均と比較して3倍以上の発現量(average differenceの比)を示した遺伝子を選び出した。その結果、図1に示すように、glutamate pyruvate transamidase(GPT)、Homo Sapiens Clone23933(Human Clone 23933)、Gタンパク質結合型レセプター(EDG4)、Nucleoplasmin−3(NPM3)、vascular cell adhesion molecule−1(VCAM1)、KIAA0197(NUP160)、DKFZp586E0518(BAZ1A)、SWI/SNF 複合体155Kda サブユニット(BAF155)(SMARC C1)、BAC クローンRG158O17(CAPRI)、Inter−alpha−trypsin inhibitor heavy chain H1(ITIH1)、GM2 activator(GM2A)、KIAA0709(uPARAP)、wild−type p53 activated fragment−1(WAF1)、NFKB human nuclear factor kappa−B DNA結合サブユニット(NF−kappa−B)、death adaptor molecule RAIDD(RAIDD)、Tenascin Cの16個の遺伝子を選び出した。
【0027】
実施例6(ESTスクリーニング)
次に、ESTデーターベースを用いて、実施例5のGene Chip解析で得られたEDG4、GM2A、SMARC C1、WAF1、uPARAP、Human Clone 23933、NF−kappa−B、NPM3、CAPRI、RAIDD、NUP160、GPT、ITIH1、VCAM1、BAZ1A、Tenascin Cの16個の遺伝子の各配列情報に基づいてホモロジー検索を行い、相同なESTが存在する組織・細胞を集計したスクリーニングの結果の一部を図2に示す。図2中、「未分化組織」は腫瘍細胞とみなすことができるから、「未分化組織/total」が大きいほど、腫瘍細胞において高発現する遺伝子ということができ、「未分化組織/Normal brain」が大きいほど、脳腫瘍において高発現する遺伝子ということができる。表1に、上記16個の遺伝子を「未分化組織/total」と「未分化組織/Normal brain」の大きさ別に表した。
【0028】
【表1】
【0029】
実施例7(uPARAPの発現を検出するためのRT−PCR)
次にuPARAP(Endo180)遺伝子の各正常組織、各種細胞株、グリオーマ細胞株及び組織並びに他の腫瘍細胞株における発現特異性をRT−PCR法により調べてみた。脳、心臓、肺、胃、小腸、結腸、肝臓、脾臓、腎臓、精巣、胎盤、筋肉の各正常組織由来のRNA(全てクローンテック社製より購入)、線維芽細胞、1088EBV−B(ヒトB細胞)、1362TIL(ヒト腫瘍浸潤T細胞)、293UT(ヒト腎細胞)の4種の細胞株由来のRNA、4種のグリオーマ細胞株(U87MG、T98G、GI1、U251)及び4種のグリオーマ組織(GB13、GB17、GB16、GB4)由来のRNA、並びに、悪性黒色腫細胞株(SKmel23、624mel)、腎細胞癌細胞株(RCC7、Saito)、肺癌細胞株(LU99、EBC1)、膵癌細胞株(KU7)、前立腺癌細胞株(PC3)及び白血病細胞株(HL60、Molt4)の各細胞株由来から、トータルRNAをTrizol(Gibco BRL社製)を使用して単離した。このトータルRNAを、各10μgづつ使用し、トリ骨髄芽球ウイルス逆転写酵素XL(TAKARA社製)と、プライマーとしてオリゴ(dT)を用いて、全反応量100μl、42℃でRT−PCRの鋳型となるcDNAのパネルを作製した。
【0030】
uPARAP検出用には、センスプライマーとして(5’−GAGCAACAGCGGGCTATGG−3’;配列番号1)を、アンチセンスプライマーとして(5’−TCTGGCGCCTCCGGTAAA−3’;配列番号2)を、コントロールとしてのGAPDH検出用には、センスプライマーとして(5’−TGAACGGGAAGCTCACTGG−3’;配列番号3)とアンチセンスプライマー(5’−TCCACCACCCTGTTGCTGTA−3’;配列番号4)を用いた。0.5μlのcDNAテンプレートを、2.5μlのPCR緩衝液を10倍希釈した25μlの反応液中で、2μlのdNTP(デオキシリボヌクレオチド3リン酸)混合物、0.15μlのEXTaq(TAKARA社製)、及び0.5μlの各プライマーを用いて増幅した。PCRは、サーマルサイクラー(Perkin−Elmer社製)を用いて、uPARAPについては、最初94.0℃で4分間熱変性させ、以後94.0℃で1分間熱変性させて、62.2℃で1分間アニーリングし、72.0℃で1分間伸張反応させるというサイクルで、30サイクル繰り返し行い、GAPDHについては、最初94.0℃で4分間熱変性させ、以後94.0℃で1分間熱変性させて、58.0℃で1分間アニーリングし、72.0℃で1分間伸張反応させるというサイクルで、25サイクル繰り返し行った。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動(2.0%)にかけ、エチジウムブロマイド(EtBr)で染色し、紫外線照射によりバンドを検出した。RT−PCRの結果を図3に示す。図3に示すように、uPARAPは、U87MG、T98G(ヒトグリオーマ細胞株)、GB13、GB17、GB4(グリオーマ組織)、腎細胞癌細胞株(RCC7)、肺癌細胞株(LU99)、白血病細胞株(HL60)、1362TIL(ヒト腫瘍浸潤T細胞)及び精巣、線維芽細胞、小腸及び肺において発現が認められた。なお、小腸及び肺における発現は、混在した線維芽細胞やマクロファージによるものと考えられる。これらの結果から、uPARAP遺伝子は、腫瘍、特に脳腫瘍の遺伝子診断薬として有用であると考えられる。
【0031】
実施例8(uPARAPの定量的PCR解析)
リアルタイム定量PCRを用いた解析は、標的mRNA量とPCRプロダクト量との間に比例関係が成立する指数関数的増幅領域での速度論的解析に基づいた定量法である。RNA調整時に生じるサンプル間での質的差、逆転写効率の差はリアルタイム定量PCRにおける変動要因の1つなので、これらの変動を標的mRNA相対量に対して標準化する方法として常に一定レベルで発現しているGAPDHをスタンダードとした。合成したcDNA1μlをテンプレートにし、5μlのSYBR Green(2本鎖DNAに特異的に結合し発光する色素)、4μlのdNTP混合物、3μlのMgCl2、0.5μlのAmp Erase、0.25μlのAmpli Taq Gold、各0.5μlのプライマーを含んだ50μlの反応系でPCRを行った。uPARAP及びGAPDH増幅用のプライマーとしては、RT−PCRにおけると同様なプライマーを用いた。PCRは、50℃2分、95℃10分、そして95℃15秒と60℃1分を45サイクルの条件で行った。SYBR Greenの蛍光の増大はDNA濃度に比例することからPCRプロダクト量を測定して、サイクル数に対する増幅曲線を作成した。
【0032】
uPARAPの正常脳に対する各組織及び細胞の相対的発現量を図4及び5に示す。uPARAPの相対的発現量(図4及び5のuPARAP Rel.)は、2−△△ CTで求めることができる。△△CT=△CTA−△CTB 、A:比較サンプル;B:基準サンプル;△CT=(threshold cycle for uPARAP amplification,図4及び5のuPARAPの値)−(threshold cycle for GAPDH amplification,図4及び5のGAPDHの値)。また、例えば図4におけるtestisの脳に対するuPARAP Rel.は次の計算により求めることができる。△CT.testis=38.29−20.85=17.44,△CT.brain=41.56−18.61=22.95,△△CT=△CT.testis−△CT.brain=17.44−22.95=−5.51,2−△△ CT=25.51=45.58
【0033】
【発明の効果】
本発明によると、非癌部脳組織と脳腫瘍組織の遺伝子発現を比較し、癌部において発現が著しく変化している遺伝子群を選択することができ、これらの遺伝子群を利用して脳腫瘍に対する新規治療薬剤の探索及び診断薬の創製を行うことが可能となる。
【0034】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト脳腫瘍に発現する遺伝子群のGene Chip解析の結果を示す図である。
【図2】ヒト脳腫瘍に高発現する16個の遺伝子のESTスクリーニングの結果を示す図である。
【図3】uPARAPの発現を検出するためのRT−PCRの結果を示す図である。
【図4】uPARAPの定量的PCR解析の結果を示す図である。
【図5】uPARAPの定量的PCR解析の結果を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体関連タンパク質(uPARAP)の細胞外ドメインを認識する抗体等のuPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有する脳腫瘍の診断・治療薬やuPARAPをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖を有効成分として含有する脳腫瘍の診断・治療薬、それらを用いた脳腫瘍の治療方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年マイクロアレイの技術が発達し、一度に多くの遺伝子及びタンパク質の発現を解析することを可能にした。特にDNAマイクロアレイによる癌組織における遺伝子発現の解析によって癌の進行や薬剤の感受性の面で新たな知見が得られている。最近、遺伝子発見モニタリング、シークエンス解析及びジェノタイピングなどの広範な核酸解析に利用可能なジーンチップ(Gene Chip)が、米国アフィメトリクス(Affymetrix)社から販売されている。
【0003】
他方、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体関連タンパク質(uPARAP)は、KIAA0709あるいはEndo180としても報告され、また、uPARAPを特異的に認識する抗体も知られている。KIAA0709は、50kDa以上の分子量を持つタンパク質をコードするヒト脳から得られた100個の新規なcDNAクローン(KIAA0611〜KIAA0710遺伝子と名付けられた)のうちのKIAA0709遺伝子(アクセッションナンバーAB014609)がコードするタンパク質として報告されている(非特許文献1)。また、抗Endo180モノクローナル抗体とポリクローナル抗血清を用いて、Endo180の完全cDNAをクローニングし、マクロファージのマンノース受容体と関連するエンドサイト−シスリサイクリングタンパク質であるEndo180が、繊維芽細胞、内皮細胞、マクロファージで発現し、レクチン受容体として機能することも報告されている(非特許文献2)。uPARAPは、マクロファージ・マンノース受容体タンパク質の一種で、8Cタイプ炭水化物認識領域に加えて、コラーゲン結合型(フィブロネクチンタイプII)領域を含み、コラーゲン及びコラーゲンVと強く結合することが報告されている(非特許文献3)。
【0004】
また、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)及びuPA受容体(uPAR)は、プラスミノーゲン活性化システムにおいて重要な要素であり、組織の再構築及び癌浸潤を促進する働きをし、かかるuPAとuPARとの複合体のクリアランスに関与する内在性受容体としてのuPARAPや、uPARAPを特異的に認識する抗uPARAPポリクロナール抗体についての報告もなされている(非特許文献4)。この報告によると、良性胸部障害及び悪性胸部障害においてuPARAPの発現を調べたところ、健常な胸部組織では陰性であったものの、すべての良性障害及び非浸潤乳管癌では障害に関連する繊維芽様細胞及び筋上皮細胞中で免疫反応性を示し、浸潤癌では、uPARAPの免疫反応性は腫瘍に関連する間葉系細胞に限定され、uPARAPが筋線維芽細胞及びマクロファージ中に局在化しているとされている。
【0005】
【非特許文献1】
DNA Res., 5(3), 169−176, 1998
【非特許文献2】
J. Cell Sci., 113, 6, 1021−1032, 2000
【非特許文献3】
J. Biol. Chem., 275(3), 1993−2002, 2000 Jan 21
【非特許文献4】
Int. J. Cancer, 1, 98, 656−64, 2002
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、腫瘍、特に脳腫瘍の治療薬や診断薬、脳腫瘍の検出・診断用プローブ、脳腫瘍の診断キット、腫瘍、特に脳腫瘍の治療方法、抗脳腫瘍剤のスクリーニング方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヒト脳腫瘍患者の約11,000遺伝子の中から、ヒト脳腫瘍において非癌部脳組織と比較し顕著に発現が亢進している16個の遺伝子をGeneChip解析により選び出し、その中からESTデーターベースを用いたスクリーニングにより絞り込み、RT−PCRやリアルタイム定量PCRを用いた解析により、uPARAPが腫瘍、特に脳腫瘍で高発現していることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の治療薬(請求項1)や、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物が、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍の治療薬(請求項2)や、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の治療薬(請求項3)や、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の治療薬(請求項4)や、腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の腫瘍の治療薬(請求項5)に関する。
【0009】
また本発明は、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を腫瘍患者に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法(請求項6)や、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物が、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項6記載の腫瘍の治療方法(請求項7)や、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を腫瘍患者に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法(請求項8)や、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を腫瘍患者に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法(請求項9)や、腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか記載の腫瘍の治療方法(請求項10)に関する。
【0010】
さらに本発明は、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有することを特徴とする腫瘍の診断薬(請求項11)や、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物が、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項11記載の腫瘍の診断薬(請求項12)や、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有することを特徴とする腫瘍の診断薬(請求項13)や、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有することを特徴とする腫瘍の診断薬(請求項14)や、腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか記載の腫瘍の診断薬(請求項15)や、RNA抽出液、cDNA及びcRNA合成酵素、DNAチップ若しくはオリゴヌクレオチドチップ又はタンパク質チップ、プローブ及びuPARAP増幅用プライマー、抗uPARAP抗体を備えたことを特徴とする脳腫瘍の診断キット(請求項16)や、腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項16記載の腫瘍の診断キット(請求項17)や、uPARAP遺伝子を含む発現ベクターを導入した細胞を被検物質の存在下で培養し、uPARAPの発現及び/又は機能低下の程度を測定評価することを特徴とする抗腫瘍剤のスクリーニング方法(請求項18)や、uPARAPとuPARを膜表面に共発現した細胞に、被検物質の存在下、Pro−uPAを接触せしめ、Pro−uPAとuPARの結合の程度を測定評価することを特徴とする抗腫瘍剤のスクリーニング方法(請求項19)や、uPARAP又はその一部分を披検物質と接触させ、披検物質のuPARAPに対する結合の強さの程度を測定評価することを特徴とする抗腫瘍剤のスクリーニング方法(請求項20)や、抗腫瘍剤が抗脳腫瘍剤であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか記載の抗腫瘍剤のスクリーニング方法(請求項21)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
脳腫瘍患者から摘出した脳腫瘍組織において非癌部と発現レベルが異なる遺伝子やタンパク質は、脳腫瘍組織と脳非癌部組織との比較から得ることができる。まず複数の患者より提供された脳非癌部組織における各遺伝子やタンパク質発現レベルの平均を得る。次に、各遺伝子やタンパク質発現レベルの平均をそれぞれの患者の脳腫瘍組織中の各伝子又はタンパク質の発現レベルと比較し、多くの患者で非癌部の平均よりも発現が亢進している遺伝子又はタンパク質を選択する。また、正常組織との発現の違いの程度によって、脳腫瘍組織において発現が亢進している遺伝子をランク付けすることもできる。脳腫瘍組織及び非癌部組織における遺伝子の発現は、RNAの発現レベル又はタンパク質の発現レベルで解析することができ、多くの場合、RNAやタンパク質の発現レベルは、DNAマイクロアレイ、RT−PCR、ノーザンブロッティング、RNase プロテクションアッセイ、ウエスタンブロッティング、ELISA法、タンパク質アレイといった一般によく知られた方法で測定することができ、フルオロセインやロダミン、ルミノールによる化学蛍光又は3H、14C、35S、33P、32P、125Iといった放射性同位体による放射線、光学的密度を測定することにより行われる。かかる方法により得られた脳腫瘍組織で特に発現が亢進した遺伝子やタンパク質に関する知見から、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療・診断薬は導かれる。
【0012】
本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬としては、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではなく、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物としては、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体の他、コラーゲンV、レクチン、N−アセチルグルコサミン、グリコプロテイン、マトリックスメタロプロテアーゼ、放線菌やカビの生産する天然物化合物、合成化合物、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。また、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬としては、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではなく、uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物としては、uPARやPro−uPAを特異的に認識する抗体を挙げることができる。さらに、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬としては、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではなく、これらアンチセンス鎖の全部又は一部はベクター等に組み込んだ形態で用いることもできる。
【0013】
上記uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体や、uPARやPro−uPAを特異的に認識する抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、2つのエピトープを同時に認識することができる二機能性抗体等を例示することができる。これら抗体は、慣用のプロトコールを用いて、動物(好ましくはヒト以外)にuPARAP等のタンパク質又はエピトープを含む断片、類似体若しくはuPARAP等を膜表面に発現している細胞を投与することにより産生され、例えばモノクローナル抗体の調製には、連続細胞系の培養物により産生される抗体をもたらす、ハイブリドーマ法(Nature 256, 495−497, 1975)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Immunology Today, 4, 72, 1983)及びEBV−ハイブリドーマ法(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, 77−96, Alan R.Liss, Inc.,1985)など任意の方法を用いることができる。
【0014】
また、一本鎖抗体をつくるために、一本鎖抗体の調製法(米国特許第4,946,778 号、米国特許第5,260,203号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,455,030号)を用いることができ、ヒト化抗体をつくるために、ヒト化抗体の調製法(米国特許第5,585,089号、Nature, 321, 522−525, 1986、Protein Engineering, 4,773−783, 1991)を用いることができ、キメラ抗体をつくるために、キメラ抗体の調製法(米国特許第4,816,567号、Science, 229,1202−1207, 1985、BioTechniques, 4, 214, 1986、Nature, 312, 643−646, 1984、Nature, 314, 268.270, 1985)を用いることができる。二機能性抗体は、2つの関連した抗体を産生する2つのモノクローナル細胞系同士のハイブリッド、又は2つの抗体の断片の化学結合によって産生することができ、例えば、uPARAPとuPARとに同時に結合しうる二機能性抗体を挙げることができる。
【0015】
また、上記抗体のFab断片やF(ab’)2断片等も、上記抗体と同様に、uPARAP等に特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物として例示することができる。例えば、Fab断片は抗体をパパイン等で処理することにより、またF(ab’)2断片はペプシン等で処理することにより調製することができる。
【0016】
本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療方法としては、上述のuPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を脳腫瘍患者に投与する方法であれば特に制限されるものではなく、uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物としては、上述のuPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体を好適に例示することができる。また、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療方法としては、上述のuPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を脳腫瘍患者に投与する方法であれば特に制限されない。さらに、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬としては、uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではなく、これらアンチセンス鎖の全部又は一部はそのまま投与してもよいが、ベクター等に組み込んだ形態で投与することもできる。
【0017】
上記本発明の脳腫瘍等の腫瘍の治療薬や、後述する本発明のスクリーニング方法により得られる抗脳腫瘍剤等の抗腫瘍剤を医薬品として用いる場合は、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができる。またこれら治療薬や抗脳腫瘍剤は、経口的又は非経口的に投与することができる。すなわち通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、例えば溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口投与することができる他、スプレー剤の型で鼻孔内投与することもできる。
【0018】
本発明の脳腫瘍等の腫瘍の診断薬としては、上述のuPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体などのuPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有するものを挙げることができ、また、本発明の脳腫瘍等の腫瘍の診断薬としては、上述のuPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有するものや、上述のuPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有するものであれば特に制限されるものではなく、かかるアンチセンス鎖は脳腫瘍等の腫瘍の検出・診断用プローブとして有利に用いることができる。上記抗体などの化合物やアンチセンス鎖は、通常標識されているものを用いることが好ましい。標識物質としては、単独で又は他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる物質、例えば、酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジンあるいは放射性同位体等を挙げることができる。具体的には、ペルオキシダーゼ(例えば、horseradish peroxidase)、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコ−ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ若しくはアセチルコリンエステラーゼ等の酵素、フルオレスセインイソチオシアネート、フィコビリタンパク、希土類金属キレート、ダンシルクロライド若しくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート等の蛍光物質、3H 、14C、125I若しくは131I等の放射性同位体、ビオチン、アビジン、又は化学発光物質を挙げることができる。上記の放射性同位体及び蛍光物質は、単独で検出可能なシグナルをもたらすことができる。一方、酵素、化学発光物質、ビオチン及びアビジンは、単独では検出可能なシグナルをもたらすことができないため、さらに1種以上の他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる。例えば、酵素の場合には少なくとも基質が必要であり、酵素活性を測定する方法(比色法、蛍光法、生物発光法あるいは化学発光法等)に依存して種々の基質が用いられる。また、ビオチンの場合には少なくともアビジンあるいは酵素修飾アビジン(例えば、ストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼ(Streptoavidin−β−galactosidase))を基質として反応させるのが一般的である。
【0019】
本発明の脳腫瘍等の腫瘍の診断キットとしては、ノーザン・ブロット、in situ ハイブリダイゼーション、RNaseプロテクションアッセイ、ウエスタンブロッティング、ELISA法、RT−PCRといった選択した遺伝子やタンパク質の発現を評価するのに必要な、RNA抽出液、cDNA及びcRNA合成酵素、DNAチップ若しくはオリゴヌクレオチドチップ又はタンパク質チップ、プローブ及びuPARAP増幅用プライマー、抗uPARAP抗体を備えたものであれば特に制限されないが、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ)遺伝子等のコントロール遺伝子増幅用プライマー、GAPDH等に対する抗体などをも有するものが好ましい。かかる本発明の脳腫瘍の診断キットを用いて、脳組織、血液あるいは他の組織おいてuPARAP遺伝子やuPARAPの発現レベルを調べることによって脳腫瘍の診断を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の抗脳腫瘍剤のスクリーニング方法としては、uPARAP遺伝子を含む発現ベクターを導入した細胞を被検物質の存在下で培養し、uPARAPの発現及び/又は機能低下の程度、例えば、プラスミノーゲンアクチベーター等のuPARAP活性化シグナルにより増幅される遺伝子を測定評価する方法や、uPARAPとuPARを膜表面に共発現した細胞に、被検物質の存在下、Pro−uPAを接触せしめ、Pro−uPAとuPARの結合の程度、例えば、プラスミノーゲンアクチベーター等のuPARAP活性化シグナルにより増幅される遺伝子を測定評価する方法や、uPARAP又はuPARAPの細胞外ドメイン等その一部分を披検物質と接触させ、披検物質のuPARAPに対する結合の強さの程度、例えば、披検物質のuPARAPに対する結合の強さを測定評価するであれば特に制限されるものではなく、上記細胞としては、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギルス等の真核細胞や、ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞や、L細胞、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、BALB/c3T3細胞(ジヒドロ葉酸レダクターゼやチミジンキナーゼなどを欠損した変異株を含む)、BHK21細胞、HEK293細胞、Bowesメラノーマ細胞、卵母細胞等の動植物細胞などを挙げることができ、上記uPARAP等を発現することができる発現ベクターの細胞への導入は、Davisら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及びSambrookら(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載される方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング (scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)、感染等を例示することができる。
【0021】
上記uPARAP活性化シグナルにより増幅される遺伝子は、定量的PCRにより測定することができる。定量的PCRは、標的遺伝子及びコントロール遺伝子の増幅産物の量に基づいて、生物集団中の異種個体の存在割合を定量的に測定することを可能にするPCRである。例えば、定量的な測定を可能にするような反応条件下でPCRを行い、増幅産物を電気泳動にかけ、増幅産物に対応するバンドの強度に基づいて定量的測定を達成することができる。より簡便かつ正確に定量的測定を実施するためには、増幅産物の経時的定量的な測定を可能にするPCR用装置(リアルタイム(Real Time)PCR装置)を使用することが好ましい。このようなPCR装置として、LightCycler(ロシュ社製)、ABI Sequence Detector PRISM 7700(パーキンエルマーバイオシステムズ社製)などが市販されている。リアルタイムPCRを行う方法としては、TaqMan法(特許第2825976号)、ハイブリダイゼーション法あるいはサイバーグリーンIなどのインターカレーターを用いる方法等を挙げることができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1(ヒト脳腫瘍検体の調整)
慶應義塾大学病院において外科的治療を受けた11人の患者からヒト脳腫瘍組織、及び隣接正常部を採取した。手術前にすべての患者からインフォームドコンセントを書面により得た。研究プロトコールは慶應義塾大学医学部のIRBHUにより承認された。すべての患者に対する脳腫瘍の組織学的診断は術後に行われ、グリオーマの診断を得たものをヒト脳腫瘍検体とした。採取したヒト非癌部脳組織と脳腫瘍組織は液体窒素中又はドライアイスを入れたアセトン中で凍結し、必要に応じてO.C.T.コンパウンドに埋胞し、−70℃から−80℃の間で保存し、ヒト脳腫瘍において非癌部脳組織と比較し顕著に発現が亢進している遺伝子又はタンパク質を同定するために用いた。
【0023】
実施例2(組織からのRNA抽出)
組織片(約125m3)はTRIZOL又はSepasol−RNAI中でポリトロンにより破砕された(最高速度で5秒間×2回)。クロロホルムを添加後、15,000×gで10分間遠心し、RNAを含んだ水層を採取した。イソプロピルアルコールを用いトータルRNAを沈殿させ、70%エタノールで1度洗浄し、それをDEPC処理H2Oに溶解した。トータルRNAは1.5ユニットのDnase Iで処理し、再度、TRIZOL/クロロホルム抽出を行った後に、エタノール沈殿し、DEPC処理H2Oに懸濁した。その後、Rneasy Mini Kitを使い、低分子の核酸を除去した。トータルRNAの質はアガロースゲルから28Sと18SリボソームRNAの比で確認した。精製したトータルRNAは70%エタノール中で−80℃に使用まで保存した。
【0024】
実施例3(cDNAの合成と標識したcRNAの合成)
cDNAの合成はSuperScript Choice Systemを用いて行った。5マイクログラムの精製したトータルRNAとT7プロモーター配列を有するオリゴdTプライマーを用いて、200ユニットの SuperScriptII 逆転写酵素で42℃1時間反応させ(1st strandのcDNAを合成した後に2nd strandのcDNAを合成し)、フェノール/クロロホルムで抽出し、Phase Lock Gelにて精製した。合成したcDNAをテンプレートにし、MEGAscript T7キットを用いてcRNAを合成した。2マイクロリットルのT7ポリメラーゼを含む酵素ミックスと7.5mMのATP、GTPと5.625mMのCTP、UTP及び1.875mMのBio−11−CTP、Bio−16−UTPとcDNAを37℃、6時間反応させた。未反応や短いオリゴヌクレオチドはCHROMASPINを用いて除去した。得られたcRNAはエタノール沈殿により回収した。cRNAの性質は電気泳導により確認した。精製したcRNAは使用まで70%エタノール中で−80℃で保存した。
【0025】
実施例4(脳腫瘍患者の癌、非癌部における遺伝子発現解析)
脳腫瘍患者の原発癌の遺伝子発現は高密度オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いて試験した。チップへハイブリダイゼーションするにあたり、cRNAを40mMトリス−酢酸緩衝液(pH8.1)、100mM酢酸カリウム、30mM酢酸マグネシウム中で95℃、35分間反応させ、断片化を行った。ハイブリダイゼーションは200μl中、0.1M MES pH6.7(2−(N−Morpholino)ethanesulfonic acid)、1M NaCl、0.01% Polyoxylene(10)octylphenyl ether、20μg herring Sperm DNA、100μg アセチル化bovine serum albumin、10μg断片化したcRNA、ビオチン化したコントロールオリゴヌクレオチド(biotin−5’−CTGAACGGTAGCATCTTGAC−3’)を含むサンプルで45℃、12時間行った。チップを0.1M MES pH6.7、0.1M NaCl、0.01% Polyoxylene(10) octylphenyl ether緩衝液で洗浄後、ビオチン化した抗ストレプトアビジン抗体とチップを反応させた後に、streptavidin R−phycoerythrinによりシグナルを増幅させるように処理した。各ピクセルの蛍光強度はHP社製レーザースキャナー(GeneArray Scanner G2500A)にて測定し、発現強度と信頼度(Present/Absent Call)をAffymetrixのソフトウエアMicroarray Suite ver.4.0により算出した。この実験により、ヒト脳腫瘍患者の約11,000遺伝子の発現を測定した。
【0026】
実施例5(Gene Chip解析)
腫瘍組織と隣接正常組織において異なる(発現をする)遺伝子群を同定するため、Gene Chip解析を行った。(オリゴ)DNAチップの感受性を考慮し、average difference (発現レベルに相当)が20以下のものは20に繰り上げた。遺伝子毎に3検体のヒト正常脳組織のaverage difference の平均を求め、求めた平均の値と各々11検体のヒト脳腫瘍組織のaverage differenceを比較した。脳腫瘍組織の11検体の全てにおいて、正常脳組織の平均と比較して3倍以上の発現量(average differenceの比)を示した遺伝子を選び出した。その結果、図1に示すように、glutamate pyruvate transamidase(GPT)、Homo Sapiens Clone23933(Human Clone 23933)、Gタンパク質結合型レセプター(EDG4)、Nucleoplasmin−3(NPM3)、vascular cell adhesion molecule−1(VCAM1)、KIAA0197(NUP160)、DKFZp586E0518(BAZ1A)、SWI/SNF 複合体155Kda サブユニット(BAF155)(SMARC C1)、BAC クローンRG158O17(CAPRI)、Inter−alpha−trypsin inhibitor heavy chain H1(ITIH1)、GM2 activator(GM2A)、KIAA0709(uPARAP)、wild−type p53 activated fragment−1(WAF1)、NFKB human nuclear factor kappa−B DNA結合サブユニット(NF−kappa−B)、death adaptor molecule RAIDD(RAIDD)、Tenascin Cの16個の遺伝子を選び出した。
【0027】
実施例6(ESTスクリーニング)
次に、ESTデーターベースを用いて、実施例5のGene Chip解析で得られたEDG4、GM2A、SMARC C1、WAF1、uPARAP、Human Clone 23933、NF−kappa−B、NPM3、CAPRI、RAIDD、NUP160、GPT、ITIH1、VCAM1、BAZ1A、Tenascin Cの16個の遺伝子の各配列情報に基づいてホモロジー検索を行い、相同なESTが存在する組織・細胞を集計したスクリーニングの結果の一部を図2に示す。図2中、「未分化組織」は腫瘍細胞とみなすことができるから、「未分化組織/total」が大きいほど、腫瘍細胞において高発現する遺伝子ということができ、「未分化組織/Normal brain」が大きいほど、脳腫瘍において高発現する遺伝子ということができる。表1に、上記16個の遺伝子を「未分化組織/total」と「未分化組織/Normal brain」の大きさ別に表した。
【0028】
【表1】
【0029】
実施例7(uPARAPの発現を検出するためのRT−PCR)
次にuPARAP(Endo180)遺伝子の各正常組織、各種細胞株、グリオーマ細胞株及び組織並びに他の腫瘍細胞株における発現特異性をRT−PCR法により調べてみた。脳、心臓、肺、胃、小腸、結腸、肝臓、脾臓、腎臓、精巣、胎盤、筋肉の各正常組織由来のRNA(全てクローンテック社製より購入)、線維芽細胞、1088EBV−B(ヒトB細胞)、1362TIL(ヒト腫瘍浸潤T細胞)、293UT(ヒト腎細胞)の4種の細胞株由来のRNA、4種のグリオーマ細胞株(U87MG、T98G、GI1、U251)及び4種のグリオーマ組織(GB13、GB17、GB16、GB4)由来のRNA、並びに、悪性黒色腫細胞株(SKmel23、624mel)、腎細胞癌細胞株(RCC7、Saito)、肺癌細胞株(LU99、EBC1)、膵癌細胞株(KU7)、前立腺癌細胞株(PC3)及び白血病細胞株(HL60、Molt4)の各細胞株由来から、トータルRNAをTrizol(Gibco BRL社製)を使用して単離した。このトータルRNAを、各10μgづつ使用し、トリ骨髄芽球ウイルス逆転写酵素XL(TAKARA社製)と、プライマーとしてオリゴ(dT)を用いて、全反応量100μl、42℃でRT−PCRの鋳型となるcDNAのパネルを作製した。
【0030】
uPARAP検出用には、センスプライマーとして(5’−GAGCAACAGCGGGCTATGG−3’;配列番号1)を、アンチセンスプライマーとして(5’−TCTGGCGCCTCCGGTAAA−3’;配列番号2)を、コントロールとしてのGAPDH検出用には、センスプライマーとして(5’−TGAACGGGAAGCTCACTGG−3’;配列番号3)とアンチセンスプライマー(5’−TCCACCACCCTGTTGCTGTA−3’;配列番号4)を用いた。0.5μlのcDNAテンプレートを、2.5μlのPCR緩衝液を10倍希釈した25μlの反応液中で、2μlのdNTP(デオキシリボヌクレオチド3リン酸)混合物、0.15μlのEXTaq(TAKARA社製)、及び0.5μlの各プライマーを用いて増幅した。PCRは、サーマルサイクラー(Perkin−Elmer社製)を用いて、uPARAPについては、最初94.0℃で4分間熱変性させ、以後94.0℃で1分間熱変性させて、62.2℃で1分間アニーリングし、72.0℃で1分間伸張反応させるというサイクルで、30サイクル繰り返し行い、GAPDHについては、最初94.0℃で4分間熱変性させ、以後94.0℃で1分間熱変性させて、58.0℃で1分間アニーリングし、72.0℃で1分間伸張反応させるというサイクルで、25サイクル繰り返し行った。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動(2.0%)にかけ、エチジウムブロマイド(EtBr)で染色し、紫外線照射によりバンドを検出した。RT−PCRの結果を図3に示す。図3に示すように、uPARAPは、U87MG、T98G(ヒトグリオーマ細胞株)、GB13、GB17、GB4(グリオーマ組織)、腎細胞癌細胞株(RCC7)、肺癌細胞株(LU99)、白血病細胞株(HL60)、1362TIL(ヒト腫瘍浸潤T細胞)及び精巣、線維芽細胞、小腸及び肺において発現が認められた。なお、小腸及び肺における発現は、混在した線維芽細胞やマクロファージによるものと考えられる。これらの結果から、uPARAP遺伝子は、腫瘍、特に脳腫瘍の遺伝子診断薬として有用であると考えられる。
【0031】
実施例8(uPARAPの定量的PCR解析)
リアルタイム定量PCRを用いた解析は、標的mRNA量とPCRプロダクト量との間に比例関係が成立する指数関数的増幅領域での速度論的解析に基づいた定量法である。RNA調整時に生じるサンプル間での質的差、逆転写効率の差はリアルタイム定量PCRにおける変動要因の1つなので、これらの変動を標的mRNA相対量に対して標準化する方法として常に一定レベルで発現しているGAPDHをスタンダードとした。合成したcDNA1μlをテンプレートにし、5μlのSYBR Green(2本鎖DNAに特異的に結合し発光する色素)、4μlのdNTP混合物、3μlのMgCl2、0.5μlのAmp Erase、0.25μlのAmpli Taq Gold、各0.5μlのプライマーを含んだ50μlの反応系でPCRを行った。uPARAP及びGAPDH増幅用のプライマーとしては、RT−PCRにおけると同様なプライマーを用いた。PCRは、50℃2分、95℃10分、そして95℃15秒と60℃1分を45サイクルの条件で行った。SYBR Greenの蛍光の増大はDNA濃度に比例することからPCRプロダクト量を測定して、サイクル数に対する増幅曲線を作成した。
【0032】
uPARAPの正常脳に対する各組織及び細胞の相対的発現量を図4及び5に示す。uPARAPの相対的発現量(図4及び5のuPARAP Rel.)は、2−△△ CTで求めることができる。△△CT=△CTA−△CTB 、A:比較サンプル;B:基準サンプル;△CT=(threshold cycle for uPARAP amplification,図4及び5のuPARAPの値)−(threshold cycle for GAPDH amplification,図4及び5のGAPDHの値)。また、例えば図4におけるtestisの脳に対するuPARAP Rel.は次の計算により求めることができる。△CT.testis=38.29−20.85=17.44,△CT.brain=41.56−18.61=22.95,△△CT=△CT.testis−△CT.brain=17.44−22.95=−5.51,2−△△ CT=25.51=45.58
【0033】
【発明の効果】
本発明によると、非癌部脳組織と脳腫瘍組織の遺伝子発現を比較し、癌部において発現が著しく変化している遺伝子群を選択することができ、これらの遺伝子群を利用して脳腫瘍に対する新規治療薬剤の探索及び診断薬の創製を行うことが可能となる。
【0034】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト脳腫瘍に発現する遺伝子群のGene Chip解析の結果を示す図である。
【図2】ヒト脳腫瘍に高発現する16個の遺伝子のESTスクリーニングの結果を示す図である。
【図3】uPARAPの発現を検出するためのRT−PCRの結果を示す図である。
【図4】uPARAPの定量的PCR解析の結果を示す図である。
【図5】uPARAPの定量的PCR解析の結果を示す図である。
Claims (21)
- uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の治療薬。
- uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物が、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍の治療薬。
- uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の治療薬。
- uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍の治療薬。
- 腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の腫瘍の治療薬。
- uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を腫瘍患者に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法。
- uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物が、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項6記載の腫瘍の治療方法。
- uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を腫瘍患者に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法。
- uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を腫瘍患者に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法。
- 腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか記載の腫瘍の治療方法。
- uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有することを特徴とする腫瘍の診断薬。
- uPARAPに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物が、uPARAPの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項11記載の腫瘍の診断薬。
- uPAR及び/又はPro−uPAに特異的に結合するペプチド・タンパク質、低分子化合物等の化合物を有することを特徴とする腫瘍の診断薬。
- uPARAP、uPAR及び/又はPro−uPAをコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部を有することを特徴とする腫瘍の診断薬。
- 腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか記載の腫瘍の診断薬。
- RNA抽出液、cDNA及びcRNA合成酵素、DNAチップ若しくはオリゴヌクレオチドチップ又はタンパク質チップ、プローブ及びuPARAP増幅用プライマー、抗uPARAP抗体を備えたことを特徴とする脳腫瘍の診断キット。
- 腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求項16記載の腫瘍の診断キット。
- uPARAP遺伝子を含む発現ベクターを導入した細胞を被検物質の存在下で培養し、uPARAPの発現及び/又は機能低下の程度を測定評価することを特徴とする抗腫瘍剤のスクリーニング方法。
- uPARAPとuPARを膜表面に共発現した細胞に、被検物質の存在下、Pro−uPAを接触せしめ、Pro−uPAとuPARの結合の程度を測定評価することを特徴とする抗腫瘍剤のスクリーニング方法。
- uPARAP又はその一部分を披検物質と接触させ、披検物質のuPARAPに対する結合の強さの程度を測定評価することを特徴とする抗腫瘍剤のスクリーニング方法。
- 抗腫瘍剤が抗脳腫瘍剤であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか記載の抗腫瘍剤のスクリーニング方法。
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