JP2004139896A - カラー陰極線管 - Google Patents
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Abstract
【課題】突出部とスプリングとの間における摺動を可能にして、外部振動を吸収できるカラー陰極線管を提供する。
【解決手段】色選別電極構体は、スプリング19の孔20に突出部9が入り込んだ状態で、フェイスパネル2に取付けられており、スプリング19と突出部9とが、突出部9の軸方向に重なり合う接触部を有しており、かつ突出部9の外周と、孔20の内周との間に隙間が形成されており、孔20の径方向における隙間の寸法を変動させながら、接触部において、スプリング19と突出部9との間の摺動が可能である。このことにより、ピン9の振動は、ピン9とスプリング19との間で摺動しながらフレームへと伝わることになる。このため、フレームの振動エネルギーは、ピン9とスプリング19との間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレームの振動が速やかに減衰して抑えられる。
【選択図】 図3
【解決手段】色選別電極構体は、スプリング19の孔20に突出部9が入り込んだ状態で、フェイスパネル2に取付けられており、スプリング19と突出部9とが、突出部9の軸方向に重なり合う接触部を有しており、かつ突出部9の外周と、孔20の内周との間に隙間が形成されており、孔20の径方向における隙間の寸法を変動させながら、接触部において、スプリング19と突出部9との間の摺動が可能である。このことにより、ピン9の振動は、ピン9とスプリング19との間で摺動しながらフレームへと伝わることになる。このため、フレームの振動エネルギーは、ピン9とスプリング19との間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレームの振動が速やかに減衰して抑えられる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータモニタやテレビジョンセット等のディスプレイ装置に用いられるカラー陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー陰極線管においては、反射外光の範囲を小さくでき、画像の歪みも防止できるといった利点があることからパネルの平面化が進められている。カラー陰極線管では、電子銃から発射される3本の電子ビームに対して色選別の役割を果たし、複数の開孔を有する板状の色選別電極(シャドウマスク)が、フレームに固定されて色選別電極構体を形成している。色選別電極構体は、パネルと対向するように配置されており、パネルの平面化に伴ない、色選別電極も平面に近い状態で保持される必要がある。
【0003】
陰極線管動作時においては、電子ビームの射突による熱膨張によって、色選別電極の開孔が変位して、開孔を通過する電子ビームが所定の蛍光体に正しく当たらなくなり、色むらが発生するというドーミング現象が生じる。このため、色選別電極の温度上昇による熱膨張を吸収できるような引張力を予め加えて、色選別電極を支持体に架張保持することが行われている。このような、架張保持によれば、色選別電極の温度が上昇しても、色選別電極の開孔と蛍光体スクリーン面の蛍光体ストライプとの相互位置のずれを低減することができる。
【0004】
図7(a)は従来の色選別電極構体の一例の斜視図を示している。
【0005】
一対の長辺フレーム31の下面を、一対の短辺フレーム32の上面に溶接により接合して枠状フレーム30が形成されている。枠状フレーム30には、色選別電極36が接合されて色選別電極構体が形成されている。色選別電極36には、平板に電子ビーム通過孔である略スロット形の開孔37がエッチングにより形成されている。
【0006】
枠状フレーム30の4コーナには、短辺フーム32と一体の取り付け板33が設けられており、取り付け板33には、板状部材を折り曲げたスプリング34が溶接されている。また、一対の各長辺フレーム31の長手方向の中央部にも、取り付け板38a,38bを介して板状部材を折り曲げたスプリング39が取り付られている。
【0007】
また、色選別電極36両端の無孔部36aには、振動防止を目的としたダンパ41が取り付けられている。ダンパ41は、本図の例では、棒状体を折り曲げた枠状体であり、このダンパ41を色選別電極36の無孔部36aに形成した孔に差し込んで取り付けておくことにより、ダンパ41と色選別電極36との間の摺動により、色選別電極36の振動を吸収することができ、色ずれを防止できる。
【0008】
色選別電極構体の支持は、コーナサスペンション方式が用いられており、フェイスパネル内壁の4コーナに固定されたピンをスプリング34の孔35に差し込んで、色選別電極構体はフェイスパネルに支持される。コーナサスペンション方式によれば、温度変化によって、スプリング34が色選別電極構体を持ち上げる方向に弾性変形することにより、温度変化による色選別電極36の色ずれを単純かつ効果的に補正することができる。また、特にビーム位置の変化やばらつきの影響を受け易いコーナ部における色ずれを低減させることができる。
【0009】
一対の各長辺フレーム31に設けられたスプリング39は、落下特性を改善するためのものである。図7(b)に、色選別電極構体をフェイスパネル42に取り付けた状態のスプリング39付近の要部断面図を示している。スプリング39の孔40にピン43の先端部分が差し込まれている。スプリング39には、ピン43の位置決め用のセンタプレート39aが接合されており、ピン43の外周はセンタプレート39aの孔と嵌合している。このことにより、落下衝撃は、上下のスプリング39の弾性変形により吸収されることになる。このような衝撃吸収効果は、重量の大きい大型の陰極線管には特に有効である。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−260551号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような従来のカラー陰極線管には、以下のような問題があった。陰極線管をテレビジョン等に組み込んだ場合、陰極線管外部のスピーカ等からの振動の伝達経路は、フェイスパネル42とファンネル(図示せず)とが接合された外囲器(ガラス管バルブ)、フェイスパネル42に取り付けられたピン43,スプリング39,フレーム31,色選別電極36の順となる。従って、色選別電極36の振動を抑えるためには、色選別電極36に振動が伝わる前のフレーム31において振動を抑えることが効果的である。
【0012】
しかしながら、図7(a)に示したような色選別電極36にダンパ41を設けた構成では、色選別電極36自体の振動吸収には効果的ではあるが、フレーム31の振動を直接抑えるものではなかった。
【0013】
更に、落下特性を向上させるための上下のスプリング39は、センタプレート39aを介して、フェイスパネル42に固定されたピン43に俵合している。この構成によれば、落下衝撃は、スプリング39の弾性変形により吸収できるので、落下特性向上を図ることができる。しかしながら、ピン43とスプリング39との間の相対的な位置移動が拘束されているので、外部振動の伝達防止という点からみると、外部振動はピン43からスプリング39、さらにフレーム31へと直接伝わってしまい、色ずれや輝度むらなどが発生するという問題があった。
【0014】
また、このようにフレームが振動した場合、特にフレーム振動の共振点と、色選別電極の振動の共振点とが一致すると、振動が大きくなるという問題もあった。
【0015】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するためのものであり、突出部とスプリングとの間における摺動を可能にして、外部振動を吸収できるカラー陰極線管を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のカラー陰極線管は、フェイスパネルと、フレームに色選別電極が接合された色選別電極構体と、前記フレームの上下の少なくとも一方に設けられ、孔を有するスプリングと、前記フェイスパネルに設けられた突出部とを備え、前記色選別電極構体は、前記スプリングの孔に前記突出部の少なくとも一部が入り込んだ状態で、前記フェイスパネルに取り付けられており、前記スプリングと前記突出部とが接触する接触部を有しており、かつ前記突出部のうち、前記スプリングの孔に入り込んだ部分は、前記突出部の外周の少なくとも一部と、前記スプリングの孔の内周との間に隙間が形成されており、前記スプリングの孔の径方向に、前記隙間の寸法が変動しながら、前記接触部において、前記スプリングと前記突出部との間の摺動が可能であることを特徴とする。
【0017】
前記のようなカラー陰極線管によれば、外部振動は突出部からスプリングを介してフレームへと直接は伝達されず、突出部の振動は、突出部とスプリングとの間で摺動しながらフレームへと伝わることになる。このため、フレームの振動エネルギーは、突出部とスプリングとの間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレームの振動が速やかに減衰して抑えられることになる。
【0018】
また、前記カラー陰極線管においては、前記接触部は、前記スプリングと前記突出部とが、前記突出部の軸方向に重なり合う部分であることが好ましい。
【0019】
また、前記接触部は、前記突出部の外周と前記スプリングの内周とが接触する部分であることが好ましい。
【0020】
また、前記スプリングの前記突出部に対する圧着力が、30N以上であることが好ましい。前記のような圧着力であれば、振動吸収効果が大きく、突出部とスプリングとの間の位置変動を拘束したものと比べ、振動の振幅を半分以下に抑えることができる。
【0021】
また、前記隙間の寸法が0.02〜0.5mmの範囲であることが好ましい。
【0022】
前記のような範囲であれば、振動吸収に必要な摺動量を確保しつつ、落下衝撃も吸収することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係るカラー陰極線管の断面図を示している。本図に示したカラー陰極線管1は、内面に蛍光体スクリーン面2aが形成された実質的に長方形状のフェイスパネル2と、フェイスパネル2の後方に接続されたファンネル3とで外囲器が形成されている。ファンネル3のネック部3aには、3本の電子ビームを射出する電子銃4が内蔵されており、電子銃4から射出した電子ビームは、ファンネル3の外周面上に配置された偏向ヨーク5によって、偏向されてスクリーン面2aに到達する。
【0025】
フェイスパネル2の内部には、蛍光体スクリーン面2aに対向して設けられた色選別電極(シャドウマスク)6が配置されている。色選別電極6は、電子銃4から発射される3本の電子ビームに対して色選別の役割を果たすものである。Aは、電子ビーム軌跡を示している。本実施形態に係る色選別電極6には、平板に電子ビーム通過孔である略スロット形の開孔がエッチングにより多数形成されている。また、支持体であるフレーム7には、色選別電極6が接合されており、色選別電極6及びフレーム7により、色選別電極構体が形成されている。
【0026】
この色選別電極構体は、後に詳細を説明するように、上下部分がフレーム7に設けられたスプリング8によってフェイスパネル2のピン9に掛止されている。本図の断面では、図示されていないが、フレーム7の4コーナ部にもスプリングが取り付けられており、これらスプリングがフェイスパネル2の4コーナのピンに掛止されている。
【0027】
図2(a)は、本発明の一実施形態に係るフレームの斜視図を示している。
【0028】
一対の長辺フレーム11の下面を、一対の短辺フレーム12の上面に溶接により接合して枠状フレーム10(図1のフレーム7に相当)を形成している。長辺フレーム11、短辺フレーム12の長手方向は、それぞれ画面水平方向、画面垂直方向に相当する。
【0029】
長辺フレーム11は、板厚1.4〜1.8mm程度のプレス打ち抜き材料を曲げ加工したものである。また、剛性を高めて所定強度を確保するため、断面形状が三角状となるような曲げ加工部分11aを有している。更に、曲げ加工部の終端部11bは長手方向に沿って溶接されている。短辺フレーム12は、長辺フレーム11と同様に、板厚1.4〜1.8mm程度のプレス打ち抜き材料を曲げ加工したものである。13はスプリング14(図2(b))の取り付け板である。
【0030】
図2(b)は、本発明の一実施形態に係る色選別電極構体の斜視図を示している。図2(a)に示した枠状フレーム10のうち、長辺フレーム11の上面11cには、色選別電極16が溶接により接合されている。色選別電極16には、電子ビーム通過孔である開孔17がエッチングにより形成されている。色選別電極16の長辺フレーム11への接合は、架張工程において行なわれ、色選別電極16が、枠状フレーム10に、引張力(矢印a方向)が印加された状態で接合される。
【0031】
ここで、色選別電極に印加する引張力は中央の張力に対して、周辺の張力を小さくすることが好ましい。例えば、中央の張力が100%に対して、周辺の張力が90%〜65%の範囲である。このような張力分布と合わせて、色選別電極の無孔部16aに振動防止を目的としたダンパ21が取り付けられている。ダンパ21は、本図の例では、棒状体を折り曲げた枠状体であり、このダンパ21を色選別電極16の両端の無孔部16aに形成した孔に差し込んで取り付けられている。
【0032】
このような構成としたことにより、色選別電極16に生じる振動で端部がより大きく揺れるようにして、その振動をダンパ21と色選別電極16との間の摺動により減衰させることができ、色選別電極16に振動が生じても、その振動を速やかに減衰させることができ、色ずれや輝度むらなどを防止できる。
【0033】
また、枠状フレーム10の4コーナの取付坂には、板状部材を折り曲げたスプリング14が溶接されている。各長辺フレーム11の長手方向の中央部にも取付板18a,18bが溶接されており、各取付板18bには、板状部材を折り曲げたスプリング19(図1のスプリング8に相当)が溶接されている。
【0034】
4コーナのスプリング14は、色選別電極構体を、コーナサスペンション方式で支持するためのものである。すなわち、フェイスパネル内壁の4コーナに固定されたピンをスプリング14の孔15に差し込んで、色選別電極構体はフェイスパネルに支持される。また、各長辺フレーム11に設けられたスプリング19は、主に落下特性を改善するためのものである。本実施形態では、外部振動の吸収の役割も有している。
【0035】
図3(a)は、色選別電極構体をフェイスパネル2に取り付けた状態における要部断面図を示している。突出部であるピン9の先端部は、スプリング19の孔20を挿通している。ピン9の外周と、孔20の内周との間には、隙間がある。また、ピン9とスプリング19とは、ピン9の軸方向に重なり合う接触部を有しており、スプリング19の上面にピン9の平面部が接触している。図3(b)は、図3(a)の状態におけるスプリング19の平面図である。ピン9の先端部の外周と孔20との間の隙間の寸法A,Bは、例えばそれぞれ0.02〜0.5mmの範囲である。後に説明する図4(a)に示したように、孔形状が長孔の場合は、長軸側の隙間寸法は、0.5mm以上としてもよい。また、スプリング19のピン9への圧接力はスプリングの板厚やスプリングの高さを変えることにより、調節できる。
【0036】
仮にピン9の位置が固定されている場合についてみると、色選別電極構体が位置変動した場合、スプリング19は、ピン9の外周と孔20の内周との間の隙間分だけ、孔20の径方向に移動可能となり、この移動の間に、スプリング19は、ピン9との接触部分を摺動することになる。
【0037】
また、スプリング19が固定された場合についてみると、ピン9は、ピン9の外周と孔20の内周との間の隙間分だけ、孔20の径方向に移動可能となり、この移動の間に、ピン9はスプリング19上を摺動することになる。すなわち、ピン9の外周と孔20の内周との間の隙間を設け、かつスプリング19の上面にピン9の接触部を設けたことにより、スプリング19とピン9との間で摺動を伴いながら、孔20の径方向において、接触ピン9とスプリング19との間の相対的な位置移動が可能になる。
【0038】
このことにより、外部振動はピン9からスプリング19を介してフレーム11へと直接は伝達されず、ピン9の振動は、スプリング19上を摺動しながらフレーム11へと伝わることになる。このため、フレーム11の振動エネルギーは、ピン9の平面部とスプリング19上面との間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレーム11の振動が速やかに減衰して抑えられることになる。
【0039】
図4は、スプリングの孔形状の別の実施形態を示している。スプリングの孔形状は、円形に限るものではなく、図4(a)に示したスプリング22のように長穴23でもよく、図4(b)に示したスプリング24のように角穴25でもよい。
【0040】
図5(a)は、ピンのスプリングへの取付け構造の別の実施形態に係る斜視図を示している。本図では、上側がフェイスパネル側、下側が長辺フレーム側である。図示は省略しているが、ピン9aの上側は、フェイスパネルに取付けられている。ピン9aの外周面は、下側に行くにつれて、径が小さくなるように傾斜している。
【0041】
本図の例では、ピン9aの外周面は、円錐形状の外周面であり、ピン9aの外径が孔20aの短軸径dと略一致する部分で、ピン9aの外周と、孔20aの内周とがb部で接触している。ピン9aは、スプリング19aに対して、これ以上は、下側に移動することはできず、本図の状態で、色選別電極構体は、フェイスパネルに取付けられていることになる。
【0042】
図5(b)は、図5(a)の状態におけるスプリング19aの平面図である。ピン9aの外周は、2箇所のb部において、孔20aの内周に接触している。また、ピン9aの外周と孔20aの内周との間には、隙間が形成されている。このため、本図の例では、ピン9aの外周と、スプリング19の内周との間で摺動を伴いながら、孔20aの径のうち、長軸方向(矢印c方向)に、ピン9aと孔20aとの間の相対的な位置移動が可能になる。
【0043】
すなわち、本図の実施形態においても、図3の実施形態と同様に、外部振動はピン9aからスプリング19aを介してフレーム11へと直接は伝達されず、ピン9aの振動は、ピン9aがスプリング19aの孔20aの内周上を摺動しながらフレーム11へと伝わることになる。このため、フレーム11の振動エネルギーは、ピン9a外周とスプリング19aの内周との間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレーム11の振動が速やかに減衰して抑えられることになる。
【0044】
以下、本発明の効果について、実験結果を用いながら具体的に説明する。
【0045】
図6(a)は、周波数と色選別電極の振幅との関係を示している。実験は、図2(b)と同じ構成の色選別電極をフェイスパネルに取付けた状態で、フェイスパネル内を陰極線管の完成品と同様に、真空状態にして行なった。
【0046】
本実験では、スプリング材料に、SUS304を用いた。また、フェイスパネル前面に振動発生手段を押し当てて振動を印加した。振動は、サイン波形のものとし、周波数を変化させながら、フレームの振幅を測定した。振幅の測定は、例えばフェイスパネルの外側に色選別電極と対向するように設置したレーザ変位計を用いて測定する。
【0047】
図6(a)において、線26(サンプル1)は、比較サンプルであり、図7(b)に示したように、ピンとスプリングとの間の位置移動を拘束させた場合の測定結果である。線27,28は、図3に示したような、スプリング19とピン9との間の摺動を可能とした場合の測定結果であり、線27(サンプル2)はスプリングのピンに対する圧着力が10Nの測定結果であり、線28(サンプル3)は圧着力が30Nの測定結果である。
【0048】
比較サンプル1は、周波数148Hzにおいて最大振幅22μmであるのに対して、サンプル2は、周波数146Hzにおいて18μm、サンプル3は周波数152Hzにおいて8μmであり、いずれも比較サンプル1の値を下回っていた。
【0049】
図6(b)は、スプリング圧着力とフレームの振幅との関係を示している。
【0050】
この実験は、スプリングとピンとの間の摺動を可能とした場合において、スプリング圧着力を変化させた場合の最大振幅を測定したものである。本図の結果から分かるように、圧着力が10〜30Nの範囲では、圧着力が大きくなるにつれて、振幅は小さくなり、庄着力が30N以上の範囲では、比較サンプルの最大振幅22μmに対して50%を下回り、ほぼ安定している。
【0051】
また、図3に示した実施形態の落下特性についてみると、落下衝撃を受けた場合、図3において、孔20とピン19との間の隙間より大きい色選別電極の変動は、孔20の内周面にピン9の外周面が当接することにより、抑えられるので、落下衝撃によるコーナ部のスプリング14の変形による色選別電極の位置ずれも防止できる。
【0052】
このことは、図5に示した実施形態でも、同様であり、孔20aとピン19aとの間の隙間より大きい色選別電極の変動は、孔20aの内周にピン9aの外周が当接することにより抑えられる。また、色選別電極の変動のうち、孔20aの短軸方向(矢印d方向)の変動は、ピン19aの外周と、孔20aの内周とが接触していることにより、抑えられる。
【0053】
更に、前記各実施形態によれば、正規位置において、ピン9又は9aの側面の全周と孔20の内周とが当接して俵合する構成ではないので、図7に示したセンタプレート39aのようなピン位置決め用の部材を別途設ける必要はない。
【0054】
なお、前記実施形態においては、一対の長辺フレーム11の双方にスプリング19又は19aを取り付けた例で説明したが、一対の長辺フレーム11の一方だけにスプリング19又は19aを取り付けた構成でもよい。この構成は、重量の比較的軽い小型の陰極線管に有効である。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、突出部であるピンとスプリングとの接触部を有し、かつピンの外周とスプリングの孔の内周との間に隙間が形成されているので、外部振動はピンからスプリングを介してフレームへと直接は伝達されず、ピンの振動は、ピンとスプリングとの間で摺動しながらフレームへと伝わることになる。このため、フレームの振動エネルギーは、ピンとスプリングとの間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレームの振動が速やかに減衰して抑えられることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラー陰極線管の全体断面図
【図2】(a)本発明の一実施形態に係る枠状フレームの斜視図
(b)本発明の一実施形態に係る色選別電極の斜視図
【図3】(a)本発明の一実施形態に係る色選別電極構体をフェイスパネルに取付けた状態における要部断面図
(b)図3(a)の状態におけるスプリングの平面図
【図4】本発明の別の実施形態に係るスプリングの要部斜視図
【図5】(a)本発明の別の実施形態に係るピンとスプリングとの構成を示す斜視図
(b)図3(a)の状態におけるスプリングの平面図
【図6】(a)本発明の一実施形態に係る周波数とフレーム振幅との関係を示す図
(b)本発明の一実施形態に係るスプリング圧着力とフレーム振幅との関係を示す図
【図7】(a)従来の色選別電極構体の一例の斜視図
(b)従来の色選別電極構体をフェイスパネルに取付けた状態における要部断面図
【符号の説明】
1 カラー陰極線管
2 フェイスパネル
3 ファンネル
6,16 色選別電極
7,10 枠状フレーム
9,9a ピン
8,14,19,19a スプリング
11 長辺フレーム
12 短辺フレーム
13,18a,18b 取り付け板
15,20,20a 孔
17 電子ビーム通過孔
21 ダンパ
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータモニタやテレビジョンセット等のディスプレイ装置に用いられるカラー陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー陰極線管においては、反射外光の範囲を小さくでき、画像の歪みも防止できるといった利点があることからパネルの平面化が進められている。カラー陰極線管では、電子銃から発射される3本の電子ビームに対して色選別の役割を果たし、複数の開孔を有する板状の色選別電極(シャドウマスク)が、フレームに固定されて色選別電極構体を形成している。色選別電極構体は、パネルと対向するように配置されており、パネルの平面化に伴ない、色選別電極も平面に近い状態で保持される必要がある。
【0003】
陰極線管動作時においては、電子ビームの射突による熱膨張によって、色選別電極の開孔が変位して、開孔を通過する電子ビームが所定の蛍光体に正しく当たらなくなり、色むらが発生するというドーミング現象が生じる。このため、色選別電極の温度上昇による熱膨張を吸収できるような引張力を予め加えて、色選別電極を支持体に架張保持することが行われている。このような、架張保持によれば、色選別電極の温度が上昇しても、色選別電極の開孔と蛍光体スクリーン面の蛍光体ストライプとの相互位置のずれを低減することができる。
【0004】
図7(a)は従来の色選別電極構体の一例の斜視図を示している。
【0005】
一対の長辺フレーム31の下面を、一対の短辺フレーム32の上面に溶接により接合して枠状フレーム30が形成されている。枠状フレーム30には、色選別電極36が接合されて色選別電極構体が形成されている。色選別電極36には、平板に電子ビーム通過孔である略スロット形の開孔37がエッチングにより形成されている。
【0006】
枠状フレーム30の4コーナには、短辺フーム32と一体の取り付け板33が設けられており、取り付け板33には、板状部材を折り曲げたスプリング34が溶接されている。また、一対の各長辺フレーム31の長手方向の中央部にも、取り付け板38a,38bを介して板状部材を折り曲げたスプリング39が取り付られている。
【0007】
また、色選別電極36両端の無孔部36aには、振動防止を目的としたダンパ41が取り付けられている。ダンパ41は、本図の例では、棒状体を折り曲げた枠状体であり、このダンパ41を色選別電極36の無孔部36aに形成した孔に差し込んで取り付けておくことにより、ダンパ41と色選別電極36との間の摺動により、色選別電極36の振動を吸収することができ、色ずれを防止できる。
【0008】
色選別電極構体の支持は、コーナサスペンション方式が用いられており、フェイスパネル内壁の4コーナに固定されたピンをスプリング34の孔35に差し込んで、色選別電極構体はフェイスパネルに支持される。コーナサスペンション方式によれば、温度変化によって、スプリング34が色選別電極構体を持ち上げる方向に弾性変形することにより、温度変化による色選別電極36の色ずれを単純かつ効果的に補正することができる。また、特にビーム位置の変化やばらつきの影響を受け易いコーナ部における色ずれを低減させることができる。
【0009】
一対の各長辺フレーム31に設けられたスプリング39は、落下特性を改善するためのものである。図7(b)に、色選別電極構体をフェイスパネル42に取り付けた状態のスプリング39付近の要部断面図を示している。スプリング39の孔40にピン43の先端部分が差し込まれている。スプリング39には、ピン43の位置決め用のセンタプレート39aが接合されており、ピン43の外周はセンタプレート39aの孔と嵌合している。このことにより、落下衝撃は、上下のスプリング39の弾性変形により吸収されることになる。このような衝撃吸収効果は、重量の大きい大型の陰極線管には特に有効である。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−260551号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような従来のカラー陰極線管には、以下のような問題があった。陰極線管をテレビジョン等に組み込んだ場合、陰極線管外部のスピーカ等からの振動の伝達経路は、フェイスパネル42とファンネル(図示せず)とが接合された外囲器(ガラス管バルブ)、フェイスパネル42に取り付けられたピン43,スプリング39,フレーム31,色選別電極36の順となる。従って、色選別電極36の振動を抑えるためには、色選別電極36に振動が伝わる前のフレーム31において振動を抑えることが効果的である。
【0012】
しかしながら、図7(a)に示したような色選別電極36にダンパ41を設けた構成では、色選別電極36自体の振動吸収には効果的ではあるが、フレーム31の振動を直接抑えるものではなかった。
【0013】
更に、落下特性を向上させるための上下のスプリング39は、センタプレート39aを介して、フェイスパネル42に固定されたピン43に俵合している。この構成によれば、落下衝撃は、スプリング39の弾性変形により吸収できるので、落下特性向上を図ることができる。しかしながら、ピン43とスプリング39との間の相対的な位置移動が拘束されているので、外部振動の伝達防止という点からみると、外部振動はピン43からスプリング39、さらにフレーム31へと直接伝わってしまい、色ずれや輝度むらなどが発生するという問題があった。
【0014】
また、このようにフレームが振動した場合、特にフレーム振動の共振点と、色選別電極の振動の共振点とが一致すると、振動が大きくなるという問題もあった。
【0015】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するためのものであり、突出部とスプリングとの間における摺動を可能にして、外部振動を吸収できるカラー陰極線管を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のカラー陰極線管は、フェイスパネルと、フレームに色選別電極が接合された色選別電極構体と、前記フレームの上下の少なくとも一方に設けられ、孔を有するスプリングと、前記フェイスパネルに設けられた突出部とを備え、前記色選別電極構体は、前記スプリングの孔に前記突出部の少なくとも一部が入り込んだ状態で、前記フェイスパネルに取り付けられており、前記スプリングと前記突出部とが接触する接触部を有しており、かつ前記突出部のうち、前記スプリングの孔に入り込んだ部分は、前記突出部の外周の少なくとも一部と、前記スプリングの孔の内周との間に隙間が形成されており、前記スプリングの孔の径方向に、前記隙間の寸法が変動しながら、前記接触部において、前記スプリングと前記突出部との間の摺動が可能であることを特徴とする。
【0017】
前記のようなカラー陰極線管によれば、外部振動は突出部からスプリングを介してフレームへと直接は伝達されず、突出部の振動は、突出部とスプリングとの間で摺動しながらフレームへと伝わることになる。このため、フレームの振動エネルギーは、突出部とスプリングとの間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレームの振動が速やかに減衰して抑えられることになる。
【0018】
また、前記カラー陰極線管においては、前記接触部は、前記スプリングと前記突出部とが、前記突出部の軸方向に重なり合う部分であることが好ましい。
【0019】
また、前記接触部は、前記突出部の外周と前記スプリングの内周とが接触する部分であることが好ましい。
【0020】
また、前記スプリングの前記突出部に対する圧着力が、30N以上であることが好ましい。前記のような圧着力であれば、振動吸収効果が大きく、突出部とスプリングとの間の位置変動を拘束したものと比べ、振動の振幅を半分以下に抑えることができる。
【0021】
また、前記隙間の寸法が0.02〜0.5mmの範囲であることが好ましい。
【0022】
前記のような範囲であれば、振動吸収に必要な摺動量を確保しつつ、落下衝撃も吸収することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係るカラー陰極線管の断面図を示している。本図に示したカラー陰極線管1は、内面に蛍光体スクリーン面2aが形成された実質的に長方形状のフェイスパネル2と、フェイスパネル2の後方に接続されたファンネル3とで外囲器が形成されている。ファンネル3のネック部3aには、3本の電子ビームを射出する電子銃4が内蔵されており、電子銃4から射出した電子ビームは、ファンネル3の外周面上に配置された偏向ヨーク5によって、偏向されてスクリーン面2aに到達する。
【0025】
フェイスパネル2の内部には、蛍光体スクリーン面2aに対向して設けられた色選別電極(シャドウマスク)6が配置されている。色選別電極6は、電子銃4から発射される3本の電子ビームに対して色選別の役割を果たすものである。Aは、電子ビーム軌跡を示している。本実施形態に係る色選別電極6には、平板に電子ビーム通過孔である略スロット形の開孔がエッチングにより多数形成されている。また、支持体であるフレーム7には、色選別電極6が接合されており、色選別電極6及びフレーム7により、色選別電極構体が形成されている。
【0026】
この色選別電極構体は、後に詳細を説明するように、上下部分がフレーム7に設けられたスプリング8によってフェイスパネル2のピン9に掛止されている。本図の断面では、図示されていないが、フレーム7の4コーナ部にもスプリングが取り付けられており、これらスプリングがフェイスパネル2の4コーナのピンに掛止されている。
【0027】
図2(a)は、本発明の一実施形態に係るフレームの斜視図を示している。
【0028】
一対の長辺フレーム11の下面を、一対の短辺フレーム12の上面に溶接により接合して枠状フレーム10(図1のフレーム7に相当)を形成している。長辺フレーム11、短辺フレーム12の長手方向は、それぞれ画面水平方向、画面垂直方向に相当する。
【0029】
長辺フレーム11は、板厚1.4〜1.8mm程度のプレス打ち抜き材料を曲げ加工したものである。また、剛性を高めて所定強度を確保するため、断面形状が三角状となるような曲げ加工部分11aを有している。更に、曲げ加工部の終端部11bは長手方向に沿って溶接されている。短辺フレーム12は、長辺フレーム11と同様に、板厚1.4〜1.8mm程度のプレス打ち抜き材料を曲げ加工したものである。13はスプリング14(図2(b))の取り付け板である。
【0030】
図2(b)は、本発明の一実施形態に係る色選別電極構体の斜視図を示している。図2(a)に示した枠状フレーム10のうち、長辺フレーム11の上面11cには、色選別電極16が溶接により接合されている。色選別電極16には、電子ビーム通過孔である開孔17がエッチングにより形成されている。色選別電極16の長辺フレーム11への接合は、架張工程において行なわれ、色選別電極16が、枠状フレーム10に、引張力(矢印a方向)が印加された状態で接合される。
【0031】
ここで、色選別電極に印加する引張力は中央の張力に対して、周辺の張力を小さくすることが好ましい。例えば、中央の張力が100%に対して、周辺の張力が90%〜65%の範囲である。このような張力分布と合わせて、色選別電極の無孔部16aに振動防止を目的としたダンパ21が取り付けられている。ダンパ21は、本図の例では、棒状体を折り曲げた枠状体であり、このダンパ21を色選別電極16の両端の無孔部16aに形成した孔に差し込んで取り付けられている。
【0032】
このような構成としたことにより、色選別電極16に生じる振動で端部がより大きく揺れるようにして、その振動をダンパ21と色選別電極16との間の摺動により減衰させることができ、色選別電極16に振動が生じても、その振動を速やかに減衰させることができ、色ずれや輝度むらなどを防止できる。
【0033】
また、枠状フレーム10の4コーナの取付坂には、板状部材を折り曲げたスプリング14が溶接されている。各長辺フレーム11の長手方向の中央部にも取付板18a,18bが溶接されており、各取付板18bには、板状部材を折り曲げたスプリング19(図1のスプリング8に相当)が溶接されている。
【0034】
4コーナのスプリング14は、色選別電極構体を、コーナサスペンション方式で支持するためのものである。すなわち、フェイスパネル内壁の4コーナに固定されたピンをスプリング14の孔15に差し込んで、色選別電極構体はフェイスパネルに支持される。また、各長辺フレーム11に設けられたスプリング19は、主に落下特性を改善するためのものである。本実施形態では、外部振動の吸収の役割も有している。
【0035】
図3(a)は、色選別電極構体をフェイスパネル2に取り付けた状態における要部断面図を示している。突出部であるピン9の先端部は、スプリング19の孔20を挿通している。ピン9の外周と、孔20の内周との間には、隙間がある。また、ピン9とスプリング19とは、ピン9の軸方向に重なり合う接触部を有しており、スプリング19の上面にピン9の平面部が接触している。図3(b)は、図3(a)の状態におけるスプリング19の平面図である。ピン9の先端部の外周と孔20との間の隙間の寸法A,Bは、例えばそれぞれ0.02〜0.5mmの範囲である。後に説明する図4(a)に示したように、孔形状が長孔の場合は、長軸側の隙間寸法は、0.5mm以上としてもよい。また、スプリング19のピン9への圧接力はスプリングの板厚やスプリングの高さを変えることにより、調節できる。
【0036】
仮にピン9の位置が固定されている場合についてみると、色選別電極構体が位置変動した場合、スプリング19は、ピン9の外周と孔20の内周との間の隙間分だけ、孔20の径方向に移動可能となり、この移動の間に、スプリング19は、ピン9との接触部分を摺動することになる。
【0037】
また、スプリング19が固定された場合についてみると、ピン9は、ピン9の外周と孔20の内周との間の隙間分だけ、孔20の径方向に移動可能となり、この移動の間に、ピン9はスプリング19上を摺動することになる。すなわち、ピン9の外周と孔20の内周との間の隙間を設け、かつスプリング19の上面にピン9の接触部を設けたことにより、スプリング19とピン9との間で摺動を伴いながら、孔20の径方向において、接触ピン9とスプリング19との間の相対的な位置移動が可能になる。
【0038】
このことにより、外部振動はピン9からスプリング19を介してフレーム11へと直接は伝達されず、ピン9の振動は、スプリング19上を摺動しながらフレーム11へと伝わることになる。このため、フレーム11の振動エネルギーは、ピン9の平面部とスプリング19上面との間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレーム11の振動が速やかに減衰して抑えられることになる。
【0039】
図4は、スプリングの孔形状の別の実施形態を示している。スプリングの孔形状は、円形に限るものではなく、図4(a)に示したスプリング22のように長穴23でもよく、図4(b)に示したスプリング24のように角穴25でもよい。
【0040】
図5(a)は、ピンのスプリングへの取付け構造の別の実施形態に係る斜視図を示している。本図では、上側がフェイスパネル側、下側が長辺フレーム側である。図示は省略しているが、ピン9aの上側は、フェイスパネルに取付けられている。ピン9aの外周面は、下側に行くにつれて、径が小さくなるように傾斜している。
【0041】
本図の例では、ピン9aの外周面は、円錐形状の外周面であり、ピン9aの外径が孔20aの短軸径dと略一致する部分で、ピン9aの外周と、孔20aの内周とがb部で接触している。ピン9aは、スプリング19aに対して、これ以上は、下側に移動することはできず、本図の状態で、色選別電極構体は、フェイスパネルに取付けられていることになる。
【0042】
図5(b)は、図5(a)の状態におけるスプリング19aの平面図である。ピン9aの外周は、2箇所のb部において、孔20aの内周に接触している。また、ピン9aの外周と孔20aの内周との間には、隙間が形成されている。このため、本図の例では、ピン9aの外周と、スプリング19の内周との間で摺動を伴いながら、孔20aの径のうち、長軸方向(矢印c方向)に、ピン9aと孔20aとの間の相対的な位置移動が可能になる。
【0043】
すなわち、本図の実施形態においても、図3の実施形態と同様に、外部振動はピン9aからスプリング19aを介してフレーム11へと直接は伝達されず、ピン9aの振動は、ピン9aがスプリング19aの孔20aの内周上を摺動しながらフレーム11へと伝わることになる。このため、フレーム11の振動エネルギーは、ピン9a外周とスプリング19aの内周との間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレーム11の振動が速やかに減衰して抑えられることになる。
【0044】
以下、本発明の効果について、実験結果を用いながら具体的に説明する。
【0045】
図6(a)は、周波数と色選別電極の振幅との関係を示している。実験は、図2(b)と同じ構成の色選別電極をフェイスパネルに取付けた状態で、フェイスパネル内を陰極線管の完成品と同様に、真空状態にして行なった。
【0046】
本実験では、スプリング材料に、SUS304を用いた。また、フェイスパネル前面に振動発生手段を押し当てて振動を印加した。振動は、サイン波形のものとし、周波数を変化させながら、フレームの振幅を測定した。振幅の測定は、例えばフェイスパネルの外側に色選別電極と対向するように設置したレーザ変位計を用いて測定する。
【0047】
図6(a)において、線26(サンプル1)は、比較サンプルであり、図7(b)に示したように、ピンとスプリングとの間の位置移動を拘束させた場合の測定結果である。線27,28は、図3に示したような、スプリング19とピン9との間の摺動を可能とした場合の測定結果であり、線27(サンプル2)はスプリングのピンに対する圧着力が10Nの測定結果であり、線28(サンプル3)は圧着力が30Nの測定結果である。
【0048】
比較サンプル1は、周波数148Hzにおいて最大振幅22μmであるのに対して、サンプル2は、周波数146Hzにおいて18μm、サンプル3は周波数152Hzにおいて8μmであり、いずれも比較サンプル1の値を下回っていた。
【0049】
図6(b)は、スプリング圧着力とフレームの振幅との関係を示している。
【0050】
この実験は、スプリングとピンとの間の摺動を可能とした場合において、スプリング圧着力を変化させた場合の最大振幅を測定したものである。本図の結果から分かるように、圧着力が10〜30Nの範囲では、圧着力が大きくなるにつれて、振幅は小さくなり、庄着力が30N以上の範囲では、比較サンプルの最大振幅22μmに対して50%を下回り、ほぼ安定している。
【0051】
また、図3に示した実施形態の落下特性についてみると、落下衝撃を受けた場合、図3において、孔20とピン19との間の隙間より大きい色選別電極の変動は、孔20の内周面にピン9の外周面が当接することにより、抑えられるので、落下衝撃によるコーナ部のスプリング14の変形による色選別電極の位置ずれも防止できる。
【0052】
このことは、図5に示した実施形態でも、同様であり、孔20aとピン19aとの間の隙間より大きい色選別電極の変動は、孔20aの内周にピン9aの外周が当接することにより抑えられる。また、色選別電極の変動のうち、孔20aの短軸方向(矢印d方向)の変動は、ピン19aの外周と、孔20aの内周とが接触していることにより、抑えられる。
【0053】
更に、前記各実施形態によれば、正規位置において、ピン9又は9aの側面の全周と孔20の内周とが当接して俵合する構成ではないので、図7に示したセンタプレート39aのようなピン位置決め用の部材を別途設ける必要はない。
【0054】
なお、前記実施形態においては、一対の長辺フレーム11の双方にスプリング19又は19aを取り付けた例で説明したが、一対の長辺フレーム11の一方だけにスプリング19又は19aを取り付けた構成でもよい。この構成は、重量の比較的軽い小型の陰極線管に有効である。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、突出部であるピンとスプリングとの接触部を有し、かつピンの外周とスプリングの孔の内周との間に隙間が形成されているので、外部振動はピンからスプリングを介してフレームへと直接は伝達されず、ピンの振動は、ピンとスプリングとの間で摺動しながらフレームへと伝わることになる。このため、フレームの振動エネルギーは、ピンとスプリングとの間の摩擦エネルギーに変換されて消費されるので、フレームの振動が速やかに減衰して抑えられることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラー陰極線管の全体断面図
【図2】(a)本発明の一実施形態に係る枠状フレームの斜視図
(b)本発明の一実施形態に係る色選別電極の斜視図
【図3】(a)本発明の一実施形態に係る色選別電極構体をフェイスパネルに取付けた状態における要部断面図
(b)図3(a)の状態におけるスプリングの平面図
【図4】本発明の別の実施形態に係るスプリングの要部斜視図
【図5】(a)本発明の別の実施形態に係るピンとスプリングとの構成を示す斜視図
(b)図3(a)の状態におけるスプリングの平面図
【図6】(a)本発明の一実施形態に係る周波数とフレーム振幅との関係を示す図
(b)本発明の一実施形態に係るスプリング圧着力とフレーム振幅との関係を示す図
【図7】(a)従来の色選別電極構体の一例の斜視図
(b)従来の色選別電極構体をフェイスパネルに取付けた状態における要部断面図
【符号の説明】
1 カラー陰極線管
2 フェイスパネル
3 ファンネル
6,16 色選別電極
7,10 枠状フレーム
9,9a ピン
8,14,19,19a スプリング
11 長辺フレーム
12 短辺フレーム
13,18a,18b 取り付け板
15,20,20a 孔
17 電子ビーム通過孔
21 ダンパ
Claims (5)
- フェイスパネルと、フレームに色選別電極が接合された色選別電極構体と、前記フレームの上下の少なくとも一方に設けられ、孔を有するスプリングと、前記フェイスパネルに設けられた突出部とを備え、前記色選別電極構体は、前記スプリングの孔に前記突出部の少なくとも一部が入り込んだ状態で、前記フェイスパネルに取り付けられており、
前記スプリングと前記突出部とが接触する接触部を有しており、かつ前記突出部のうち、前記スプリングの孔に入り込んだ部分は、前記突出部の外周の少なくとも一部と、前記スプリングの孔の内周との間に隙間が形成されており、
前記スプリングの孔の径方向に、前記隙間の寸法が変動しながら、前記接触部において、前記スプリングと前記突出部との間の摺動が可能であること
を特徴とするカラー陰極線管。 - 前記接触部は、前記スプリングと前記突出部とが前記突出部の軸方向に重なり合う部分であること
を特徴とする請求項1のカラー陰極線管。 - 前記接触部は、前記突出部の外周と前記スプリングの内周とが接触する部分であること
を特徴とする請求項1記載のカラー陰極線管。 - 前記スプリングの前記突出部に対する圧着力が、30N以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラー陰極線管。
- 前記隙間の寸法が、0.02〜0.5mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラー陰極線管。
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