JP2004140232A - 波長安定化装置及びその調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】波長検出S/Nを改善し、波長安定化する精度を向上させる。
【解決手段】Zカット面に光反射膜層、Xカット面に電極層を設けた水晶エタロン142を、Xカット面電極層の中央部分で線材148,149により挟持するように軸支し、ディザ信号を与えて共振させる。この状態でレーザ光をエタロン142の中央部を透過させ、その受光出力とディザ信号とを同期検波し、検波出力による誤差信号に基づいて半導体レーザ11の波長を制御する。この場合、最も低い機械的振動周波数の共振モードでは、エタロン142の中央部が節となっており、節で軸支されているため、機械的損失は少なく、共振時のQは著しく大きくなり、同期検波出力は従来の100倍程度まで大きくすることが可能となる。この結果、光検出器143から得られる信号のS/Nが飛躍的に改善されるようになり、波長精度が著しく向上するようになる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザに対してレーザ光の波長を安定化する波長安定化装置と、その安定化する波長を調整する調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長多重伝送の光源には、一般に半導体レーザが用いられる。ところが、この半導体レーザは比較的温度安定性が悪く、放射光の波長が環境変化によりずれやすい。このような波長のずれは隣接波長との干渉を招くため、波長多重伝送システムでは、従来から半導体レーザに対してレーザ光の波長を安定化する波長安定化装置が用いられる。
【0003】
この波長安定化装置の一例として、水晶エタロンによる共振子を利用したものがある(例えば、特許文献1参照)。この種の波長安定化装置は、水晶エタロンのZカット面に光反射膜の層を形成し、Xカット面に電極を設けてディザ信号を与え、このディザ信号により水晶エタロンを共振振動させる。この状態で、水晶エタロンにレーザ光を透過させて、エタロンの共振振動により光変調されたレーザ光を光検出器により受光して電気信号に変換する。そして、検出された電気信号をディザ信号により同期検波することで誤差信号を生成し、この誤差信号に基づいて半導体レーザの注入電流もしくは温度を制御することにより、半導体レーザで発生される光の波長を水晶エタロンの光透過率の極値に安定化させるようにしたものである。
【0004】
ところで、従来の波長安定化装置では、水晶エタロンを接着剤などでベースに固定している。このため、機械的損失が多く、機械的共振現象のQ値が小さくなり、エタロンを透過するレーザ光の光変調度も大きく取れないという問題があった。したがって、光検出器から得られる電気信号のS/Nが悪く、その結果、波長検出精度が低下してしまうという問題があった。
【0005】
また、水晶エタロンに加えるディザ信号の周波数は、エタロン自体が持つ機械的共振周波数と同一にする必要があり、周波数の精密な調整を要する。さらに、水晶エタロンの波長特性、すなわち光透過率が極値を持つように、光軸に対する角度(あおり角)の調整(一般的に、極値ではあおり角を0度とする)を行う必要がある。
【0006】
しかしながら、水晶エタロンの角度を正確に調整したとしても、その後に水晶エタロンの端面を接着剤でベースに固定するため、接着剤の硬化収縮などによって調整した角度に狂いが生じ、安定化すべき波長と極値との間に誤差が生じる問題があった。また、接着剤が硬化するまでは、水晶エタロンに結線してディザ信号を印加することはできないので、波長を正確に決めることが困難で、波長の設定の作業性が悪く、波長の設定精度も著しく低下していたのが実情であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−136691号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の波長安定化装置では、水晶エタロンの機械的損失が多く、光変調度を上げることが困難で、光検出器から得られる信号のS/Nが小さく、波長検出精度が悪いという問題があった。また、水晶エタロンに加えるディザ信号の周波数を機械的共振周波数と同一にする必要があり、周波数の調整を要していた。さらに、水晶エタロンの波長特性を調整するために角度調整を行ったのち接着剤で固定するが、接着剤の硬化収縮などのために調整した角度に狂いが生じる問題があった。しかも、波長の設定のための作業性が悪く、波長の設定精度も著しく低下していた。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、波長検出精度を著しく向上させることができ、ディザ信号周波数の無調整化を実現し、さらに水晶エタロンの波長特性を調整するための角度調整、作業性、波長設定精度の向上を実現することのできる波長安定化装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために本発明は、水晶バルクに互いに対向する一対の反射膜層を形成してなる水晶エタロンの光透過特性を用いて、半導体レーザから放射されるレーザ光の波長を安定化する波長安定化装置において、前記水晶エタロンを共振させるためのディザ信号を生成するディザ信号生成手段と、前記水晶エタロンの中央部を挟持するように軸支し、かつ前記ディザ信号を前記水晶エタロンの軸支部分に印加する一対の導電性線材と、前記レーザ光が前記一対の反射膜層を介して前記水晶エタロンの中央部を透過するように、前記一対の導電性線材を支持する支持手段と、前記水晶エタロンを透過したレーザ光を受光して電気信号に変換する光検出器と、この光検出器からの電気信号を前記ディザ信号によって同期検波して誤差信号を生成する誤差信号生成手段と、前記レーザ光の波長を前記水晶エタロンが持つ光透過特性の極値に引き込むために、前記誤差信号に基づいて前記半導体レーザの駆動状態を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、水晶エタロンを一対の導電性線材により中央部で挟持するように軸支し、線材にディザ信号を印加して、共振モードで節となるエタロン中央にレーザ光を透過させるようにしたことにより、線材による機械的損失が少なく、共振時のQは著しく大きくなる。また、最も光変調度が大きくなる節である中央部分でレーザ光を透過させることから、同期検波出力が飛躍的に大きくなり、光検出信号のS/Nが飛躍的に改善され、波長精度が著しく向上するようになる。
【0012】
また、上記構成において、前記ディザ信号生成手段は、前記水晶エタロンを振動子として発振回路内に組み込み、前記発振回路の発振信号をディザ信号として出力することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、発振回路の発振周波数が水晶エタロンの機械的共振周波数とほぼ同一となるように作用するため、ディザ信号の周波数調整を行う必要がなくなる。
【0014】
また、上記構成において、前記一対の導電性線材は弾性を有し、前記水晶エタロンを質点と見なした時の前記ディザ信号による機械的共振周波数を10kHz以上に設定したことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、床衝撃音の周波数成分が300Hz以上で周波数と逆比例し、高い周波数成分は著しく小さくなり、低周波領域と比較して10kHz以上では数10分の1のエネルギーに低減していることから、共振周波数を10kHz以上に設定することにより、外部からの振動衝撃の影響を十分に低減することが可能となる。
【0016】
また、上記構成において、前記制御手段は、前記誤差信号に基づいて前記半導体レーザの注入電流もしくは温度を制御することで、前記レーザ光の波長を前記水晶エタロンの光透過特性の極値に引き込むことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、半導体レーザの駆動状態が誤差信号に応じて制御されるため、レーザ光の波長が水晶エタロンの光透過特性の極値に安定化されるようになる。
【0018】
また、上記構成において、前記光反射膜層の反射率は17±5%とし、前記レーザ光の波長が前記水晶エタロンの光透過率の極大値と極小値の両方に安定化するようにしたことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、反射率を17±5%とすることで、光透過率のボトムの波長検出感度がほぼ最大となり、レーザ光の波長を水晶エタロンの光透過率の極大値のみならず、極小値にも安定化することが可能となる。
【0020】
また、上記構成において、前記一対の導電性線材は塑性を有し、前記水晶エタロンを支軸回りに回動させて前記レーザ光の光軸に対するあおり角を調整した際に、その状態を保持することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、線材が塑性を有するので、あおり角を容易に修正可能となり、安定化する波長を容易に設定することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係る波長安定化装置の第1の実施形態の構成を示す斜視図である。図1において、11は半導体レーザ(LD)である。この半導体レーザ11は、レーザ駆動装置12からの注入電流によって発振し、前方、後方に向けて所定波長の信号光が出射される。この半導体レーザ11の前方から出射される信号光は図示しない光学系によって光ファイバ伝送路13に入射され、後方から出射される信号は本実施形態の波長安定化装置14に入射される。
【0024】
波長安定化装置14において、半導体レーザ11からの信号光(以下、レーザ光)は、光軸上に配置されるコリメータ141により平行光に変換され、水晶エタロン142の中央部を透過して、光検出器(PD)143で電気信号に変換される。
【0025】
ここで、水晶エタロン142は、水晶バルクを直方体形状に削り出し、一対のZカット面(光軸に垂直な面)に光反射膜層A1,A2を形成し、一対のXカット面(光軸に平行な面)に電極層B1,B2を形成したものである。電極層B1,B2はディザ信号を生成する発振器144に接続される。これによって、水晶エタロン142の電極層B1,B2間にディザ信号が印加され、共振周波数で振動する。水晶エタロン142に入射されたレーザ光は、当該エタロン142の共振振動により光変調を受けて透過される。
【0026】
上記光検出器143は、水晶エタロン142で光変調を受けたレーザ光を受光して、その光強度変化に対応した電気信号を発生するもので、この電気信号(以下、光検出信号)は発振器144から出力されるディザ信号と共に同期検波器145に供給される。この同期検波器145は、光検出信号とディザ信号との同期検波を行い、その位相誤差信号を生成する。この位相誤差信号は半導体レーザ11の波長制御器146に供給される。
【0027】
この波長制御器146は、上記位相誤差信号に基づいて半導体レーザ11を駆動している注入電流を制御する、もしくはペルチェ素子等によって温度を制御することにより、半導体レーザ11の光の波長が上記水晶エタロン142の光透過率の極値に安定化する。或いは波長可変レーザのように波長制御電極を有するものであれば、波長制御電極を制御すればよい。
【0028】
以上の構成は、基本構成であり、本発明の特徴とする構成は、水晶エタロン142を、ベース147に直接固定するのではなく、Xカット面中央部で軸支するようにした点にある。具体的には、水晶エタロン142のXカット面電極層上それぞれの中央部に導電性の線材148,149の一端部を接合し、当該線材148,149をXカット面から垂直方向に突出させる。そして、水晶エタロン142がベース147から離れ、かつ水晶エタロン142の中央部分にレーザ光の光軸が位置するように、線材148,149をベース147上に設けられる一対の支柱14a,14bに固定する。線材148,149の他端部は発振器144に接続し、発振器144で発生されるディザ信号が線材148,149を介して水晶エタロン142の電極層に印加されるようにする。
【0029】
上記構成による波長安定化装置において、以下にその動作を、図2を参照して説明する。
【0030】
図2において、波形Aは水晶エタロン142の光透過率がディザ信号によって変化する様子を表している。
【0031】
ところで、ディザ信号がXカット面の電極層に印加されると、水晶エタロン142はピエゾ効果により伸び縮みの運動を行う。したがって、光透過特性もディザ信号によって微小量だが左右に動くことになる。その結果、水晶エタロン142の透過光強度も変化することとなる。上記光透過特性の極小値Abから極大値Apまでの波長領域W1と極大値Apから極小値Abまでの波長領域W2とでは光透過特性の傾きの符号が異なるため、水晶エタロン142によって変調された透過光強度の位相が波長領域W1,W2で180度異なる。
【0032】
そこで、水晶エタロン142の透過光を光電変換した信号とディザ信号とで同期検波を行い、誤差信号として波形Bの信号を得る。この誤差信号Bを波長制御器146に入力し、半導体レーザ11の注入電流もしくは温度を制御して、半導体レーザ11の発振波長を誤差信号Bのゼロクロス点B1,B2に引き込む。B1,B2の波長はそれぞれ水晶エタロン142の光透過率の極大値Ap、極小値Abである。したがって、フィードバック制御の極性を変えることにより、水晶エタロン142における光透過率の極大値、極小値を与える波長に選択的に安定化させることができる。このようにディザ信号を用いる方法は、アンプのDCドリフトや光検出器の暗電流変化などの影響を受けることがないため、高精度な波長安定化が行える。
【0033】
ここまでは、ディザ信号を用いる波長安定化装置の基本的な動作原理であり、従来と同様であるが、上記実施形態の構成によれば、従来の装置に比して同期検波出力を著しく大きくとれる効果がある。以下、その理由を説明する。
【0034】
水晶エタロン142は、ベース147から離れた状態で、その中央部分が線材148,149により軸支されている。このような状態における最も低い機械的振動周波数の共振モードでは、水晶エタロン142の中央部が節となり両端部が腹となる。したがって、節に線材148,149が接合されているため、線材148,149による機械的損失は少なく、共振時のQは著しく大きくなる。実験によると、従来のようにベースに固定した場合の水晶エタロンのQ値が数〜数10であるのに対し、本発明のように中央部で軸した場合の水晶エタロンでは数100から数1000のQ値が得られる。
【0035】
ところで、水晶エタロン透過光の変調度を解析的に求めると、節部分、すなわち中央部の変調度が最大であり、自由端部では0となる。従来では、水晶エタロンの端部をベースに固定していたため、その節はベースに固定されている端部であった。ここにレーザ光を透過させることは困難なため、従来では少し上方にレーザ光を通すようにしていた。このような原因も重なって、水晶エタロンによる透過光の光変調度はますます小さくなっていた。
【0036】
これに対し、本実施形態の構成では、最も光変調度が大きくなる節である中央部分にレーザ光を透過させることが可能である。このことから、同期検波器145からの出力は従来の100倍程度まで大きくすることが可能となる。この結果、光検出器143から得られる信号のS/Nが飛躍的に改善されるようになり、波長精度が著しく向上するようになる。
【0037】
(第2の実施形態)
ところで、従来のようにベースに水晶エタロンを固定した場合には、Q値が低いため、発振回路を形成することが困難である。しかし、第1の実施形態の場合には、水晶エタロン142の機械的共振のQが著しく大きくなるので、振動子として発振回路内に組み込むことが可能となる。
【0038】
図3は、本発明に係る第2の実施形態として、水晶エタロン142を発振回路の共振子として組み込んだ波長安定化装置の構成を示す概念図である。尚、図3において、図1と同一部分には同一符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0039】
図3に示す装置では、トランジスタQ1のベース、コレクタ間に水晶エタロン142による振動子V1を介在させ、ベース、エミッタ間とコレクタ、エミッタ間にそれぞれ容量C1、C2を接続して、全体でコルピッツ形発振回路を構成している。発振信号は当然、水晶エタロン142にも加わっている。
【0040】
上記構成による発振回路では、発振周波数が水晶エタロン142の機械的共振周波数より0.1%程度高い周波数となるため、機械的共振周波数とほぼ同一と見なすことができる。このことから、本実施形態によれば、ディザ信号の周波数調整を行うことなく、水晶エタロン142の機械的共振周波数に自動的に一致させることが可能となる。そして、トランジスタQ1のコレクタから発振出力信号を抽出し、同期検波器145に加えることで、同期検波を行えるようになる。
【0041】
尚、図3はコルピッツ形発振回路の例であったが、ハートレー形や他の形式によるものであってもよいことは言うまでもないことである。
【0042】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、外部からの振動・衝撃に対する耐力を向上する手法について説明する。
【0043】
図4は、図1または図3に示した波長安定化装置14において、ベース147上で水晶エタロン142を軸支した部分を光軸に対して正面から見た構造を示している。図4において、支柱14a,14b間の距離をLcmとし、水晶エタロン142は支柱14a,14b間の中央に位置するものとする。線材148,149を弾性体と見なし、水晶エタロン142を重さWkgの質点と見なした時の共振周波数をFとすると、
【数1】
Figure 2004140232
となる。ここで、Eはヤング率kgf/cm、gは重力加速度980cm/s、Iは断面二次モーメントである。線材148,149が円柱状であり、その直径がdcmであるとすれば、
【数2】
Figure 2004140232
となる。
【0044】
床衝撃音(振動エネルギー)の周波数成分は、図5に示すように、300Hz以上では周波数と逆比例している。すなわち、高い周波数成分は著しく小さくなり、低周波領域と比較して10kHz以上では数10分の1のエネルギーに低減している。したがって、共振周波数Fを10kHz以上に設定すれば、外部からの振動衝撃の影響を十分に低減することができる。そのためには、式(1)から考えて、Lを小さくすることが効果的である。
【0045】
図6はLに対する共振周波数Fを計算した例を示す特性図である。水晶エタロン142の幅があるため、Lを水晶エタロン142の幅以下にすることはできないが、Lを4mmにしたときの共振周波数Fは10kHz以上となり、十分に高い共振周波数に設定することが可能である。
【0046】
(第4の実施形態)
次に、光透過率のボトムの波長検出感度を最大にする手法について詳細に説明する。
【0047】
水晶エタロンを用いたファブリペロ共振器の光透過率Tは、よく知られているように、
【数3】
Figure 2004140232
と表される。ここで、Rは光反射膜B1,B2の反射率であり、nは水晶エタロン142の屈折率、Lは水晶エタロン142の光軸方向の長さである。
【0048】
この光透過率Tの特性は図2の波形Aのようになっている。同期検波器145の出力は図2の波形Bのようになっており、これは式(3)の1次微分dT/dLの形である。dT/dLの傾きは波長の検出感度を表し、通常、光透過率がピークの時の|dT/dL|は極小値の時のものより大きい。そこで、光透過率が極小値の時の|dT/dL|を最大にすることが望ましく、その条件はdT/dL=0から求められる。
【0049】
式(3)を変形し、
【数4】
Figure 2004140232
を得る。この2次方程式を解いて、R=3−2√2=0.172となる。すなわち、反射率は17%の時に光透過率のボトムの波長検出感度が最大となる。実際には17±5%程度の範囲に入っていれば、著しく検出感度が劣化することはない。
【0050】
(第5の実施形態)
最後に、本発明に係る第4の実施形態として、水晶エタロン142の光軸に対するあおり角の調整により、安定化する波長を水晶エタロン142の光透過率の極値に合わせる調整方法について説明する。
【0051】
水晶エタロン142を光軸に垂直な面から微小角度αだけ傾けると、光透過率Tは
【数5】
Figure 2004140232
となる。従って、αを変化させることにより、波長特性を自在にシフトできる。実際の調整では、線材148,149に塑性を有するものを使用し、図7に示すように、水晶エタロン142の上部もしくは下部に力F1,F2を加えてあおり角を調整するとよい。線材148,149が塑性を有するので、上部に力を加えすぎた場合は下部に力を加えることで修正できる。
【0052】
この方法では、半導体レーザ11を発光させ、ディザ信号を加え、同期検波器145の出力を電圧計14cに接続し、光ファイバ伝送路13の伝送光を波長計14dに入射し、その波長を測定しながら調整を行う。このようにすれば、設定すべき波長で同期検波出力が0になるように角度調整をすればよいことになり、極めて作業性が良好となるだけでなく、波長精度も格段に向上させることができる。
【0053】
以上のことから、本発明に係る波長安定化装置を用いることにより、波長検出系から得られる信号のS/Nが大幅に改善され、安定化する波長精度を著しく向上させることができる。また、ディザ信号の周波数は無調整化も可能となり、調整時間を短縮することができる。さらに、水晶エタロン142の波長特性を調整するための角度調整はエタロン固定後に行えるので、同期検波系を動作させながら作業性良く調整が行え、波長の設定精度も格段に向上するようになる。
【0054】
尚、上記実施形態では、半導体レーザ11の後方から出射されるレーザ光を波長安定化装置14に入射するようにしたが、前方レーザ光も後方レーザ光も波長は同一であるので、前方から出射されるレーザ光を分岐して波長安定化装置14に入射するようにしても、同様な効果が得られる。
【0055】
また、上記実施形態では、水晶エタロン142の形状が直方体形状であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、互いに対向する反射膜層が形成された水晶エタロンならば、どのような形状であってもかまわない。要は、水晶エタロンの中央部でディザ信号により共振させ、その共振によって節となる部分にレーザ光が透過するようにすれば、本発明の効果が得られる。
【0056】
その他、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形するようにしても同様に実施可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、波長検出精度を著しく向上させることができ、ディザ信号周波数の無調整化を実現し、さらに水晶エタロンの波長特性を調整するための角度調整、作業性、波長設定精度の向上を実現することのできる波長安定化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の波長安定化装置の構成を示す斜視図。
【図2】上記第1の実施形態の光透過特性及び同期検波出力特性を示す波形図。
【図3】本発明に係る第2の実施形態として水晶エタロンを発振回路の共振子として組み込んだ波長安定化装置の構成を示す斜視図。
【図4】本発明に係る第3の実施形態とする波長検出感度を最大する手法を説明するための構成図。
【図5】床衝撃音(振動エネルギー)の周波数特性を示す特性図。
【図6】上記第3の実施形態において、支柱間距離に対する水晶エタロン共振周波数の計算例を示す特性図。
【図7】本発明に係る第4の実施形態として、水晶エタロンの光軸に対するあおり角の調整方法を説明するための構成図。
【符号の説明】
11…半導体レーザ
12…レーザ駆動装置
13…光ファイバ伝送路
14…波長安定化装置
141…コリメータ
142…水晶エタロン
143…光検出器(PD)
A1,A2…光反射膜層
B1,B2…電極層
144…発振器
145…同期検波器
146…波長制御器
147…ベース
148,149…線材
14a,14b…支柱
14c…電圧計
14d…波長計

Claims (7)

  1. 水晶バルクに互いに対向する一対の反射膜層を形成してなる水晶エタロンの光透過特性を用いて、半導体レーザから放射されるレーザ光の波長を安定化する波長安定化装置において、
    前記水晶エタロンを振動させるためのディザ信号を生成するディザ信号生成手段と、
    前記水晶エタロンの中央部を挟持するように軸支し、かつ前記ディザ信号を前記水晶エタロンの軸支部分に印加する一対の導電性線材と、
    前記レーザ光が前記一対の反射膜層を介して前記水晶エタロンの中央部を透過するように、前記一対の導電性線材を支持する支持手段と、
    前記水晶エタロンを透過したレーザ光を受光して電気信号に変換する光検出器と、
    この光検出器からの電気信号を前記ディザ信号によって同期検波して誤差信号を生成する誤差信号生成手段と、
    前記誤差信号に基づいて前記半導体レーザの駆動状態を制御する制御手段と、を具備することを特徴とする波長安定化装置。
  2. 前記ディザ信号生成手段は、前記水晶エタロンを振動子として発振回路内に組み込み、前記発振回路の発振信号をディザ信号として出力することを特徴とする請求項1記載の波長安定化装置。
  3. 前記一対の導電性線材は弾性を有し、前記水晶エタロンを質点と見なした時の前記ディザ信号による機械的共振周波数を10kHz以上に設定したことを特徴とする請求項1または2記載の波長安定化装置。
  4. 前記制御手段は、前記誤差信号に基づいて前記半導体レーザの注入電流もしくは温度を制御することで、前記レーザ光の波長を前記水晶エタロンの光透過特性の極値に引き込むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の波長安定化装置。
  5. 前記光反射膜層の反射率は17±5%とし、前記レーザ光の波長が前記水晶エタロンの光透過率の極大値と極小値の両方に安定化するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の波長安定化装置。
  6. 前記一対の導電性線材は塑性を有し、前記水晶エタロンを支軸回りに回動させて前記レーザ光の光軸に対するあおり角を調整した際に、その状態を保持することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の波長安定化装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか記載の波長安定化装置に用いられ、前記水晶エタロンを支軸回りに回動させて前記レーザ光の光軸に対するあおり角を調整することにより、安定化する波長を調整することを特徴とする波長安定化装置の調整方法。
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