JP2004140509A - 光送信器 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度補償が容易でかつ正確な光送信器を提供する。
【解決手段】光源1の光パワーを制御するバイアス手段2と光信号の振幅を制御する変調手段3とを備えた光送信器において、上記バイアス手段2及び変調手段3における制御量と雰囲気温度に比例した入力変数との関係を表した関数を計算する関数計算手段4と、雰囲気温度を計測してその温度検出電気量を入力変数として上記関数計算手段4に提供する温度センサ5とを設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】光源1の光パワーを制御するバイアス手段2と光信号の振幅を制御する変調手段3とを備えた光送信器において、上記バイアス手段2及び変調手段3における制御量と雰囲気温度に比例した入力変数との関係を表した関数を計算する関数計算手段4と、雰囲気温度を計測してその温度検出電気量を入力変数として上記関数計算手段4に提供する温度センサ5とを設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源の光パワーをバイアス電流と変調電流とで制御する光送信器に係り、特に、温度補償が容易でかつ正確な光送信器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の光送信器は、バイアス電流及び変調電流に応じた強度で光出力するレーザダイオード(以下、LDという)等の光源と、その光源の光パワー(平均レベル)を光源に印加するバイアス電流により制御するバイアス手段と、光信号の振幅を光源に印加する変調電流により制御する変調手段とを備えている。外部機器から与えられた送信信号を増幅すると共にバイアスを加え、そのバイアス付き増幅信号を光源であるLDに印加すると、光出力強度が平均レベルの上下に強弱変化する光信号が得られる。
【0003】
光送信器では、光通信の規格に従い光パワー及び消光比を一定に保つことが必要になる。しかし、光源の特性が温度依存性を持っているため、雰囲気温度変化により、光パワーや光信号の振幅が変化し、消光比も変ってしまう。
【0004】
そこで、従来は、サーミスタ等の温度センサを用いて雰囲気温度に比例する電圧信号を取り出し、バイアス電流及び変調電流を発生しているドライバに温度補償の制御電圧として印加している。
【0005】
図2に示されるように、従来の光送信器は、光源21とドライバ22と温度センサ23とを備え、温度センサ23の出力電圧がドライバ22のバイアス電流及び変調電流に変化を与えるように構成されている。
【0006】
図3に雰囲気温度が25°のときの光源のI−L特性(印加電流対光出力強度特性)を、図4には、雰囲気温度が70°のときの光源のI−L特性を示す。また、これらの図には、光源に供給される駆動信号Sd とI−L特性に従って光源が出力する光信号So が付記されている。
【0007】
図3、図4を比較すると、雰囲気温度が低い時、図3に示されるように、光源21のI−L特性31は、図4に比べて低い電流域で図4に比べて急峻に立ち上がっている。一方、雰囲気温度が高い時、図4に示されるように、光源21のI−L特性41は、図3に比べて高い電流域から図3に比べて緩やかに立ち上がっている。このため図3のように雰囲気温度が低い時は、バイアス電流Ibia を小さく、変調電流Imod も小さく制御した駆動信号Sd を入力することで、光パワーPavの上下に振幅P1 −P0 を有する光信号So を得ることができる。図4のように雰囲気温度が高い時は、バイアス電流Ibia を大きく、変調電流Imod も大きく制御した駆動信号Sd を入力することで、光パワーPavの上下に振幅P1 −P0 を有する光信号So を得ることができる。このようなバイアス電流及び変調電流の制御により、図3、図4の両者において光パワーPavは同じであり、消光比ER=P1 /P0 も同じである。
【0008】
先行技術文献としては、特許文献1がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−204022号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LDの温度依存特性は個体毎にばらつきがあり、同じ温度特性の温度センサを一律に使用しても良好な温度補償ができるとは限らない。従って、従来では、光送信器をいったん組み立てた後、温度特性の異なる温度センサを取り替えながら、光送信器を様々な温度環境でテストして光パワーPavや消光比ERを測定し、良好な温度補償ができているかどうかを確認するという試行錯誤工程を必要としていた。しかし、ひとつひとつの光送信器に対して温度センサを何度も取り替えるには手間がかかり、問題である。
【0011】
また、LDの温度依存特性が温度センサの温度対抵抗値特性とまったく一致するわけでないので、全温度範囲に亘って光パワーPavや消光比ERを完全に一定にするのは困難である。しかし、光通信速度を上げるために変調速度を高速にさせるにつれて消光比ERを厳密に一定にする必要があり、温度センサによる補償では正確さに限界があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、温度補償が容易でかつ正確な光送信器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、光源の光パワーを制御するバイアス手段と光信号の振幅を制御する変調手段とを備えた光送信器において、上記バイアス手段及び変調手段における制御量と雰囲気温度に比例した入力変数との関係を表した関数を計算する関数計算手段と、雰囲気温度を計測してその温度検出電気量を入力変数として上記関数計算手段に提供する温度センサとを設けたものである。
【0014】
上記関数を入力変数のn次関数としてもよい。
【0015】
上記関数の入力変数項にかかる係数及び定数項の定数をを記憶する記憶手段を設けてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
図1に示されるように、本発明に係る光送信器は、バイアス電流及び変調電流に応じた強度で光出力するレーザダイオード(以下、LDという)等の光源1と、その光源1の光パワー(平均レベル)を光源1に印加するバイアス電流により制御するバイアス手段2と、光信号の振幅を光源に印加する変調電流により制御する変調手段3と、上記バイアス手段及び変調手段における制御量と雰囲気温度に比例した入力変数との関係を表した関数を計算する関数計算手段4と、雰囲気温度を計測してその温度検出電気量を入力変数として上記関数計算手段4に提供する温度センサ5とを有する。温度センサ5としてサーミスタを用いる場合は、温度検出電気量は電圧である。
【0018】
この実施形態では、バイアス手段2、変調手段3、関数計算手段4は、マイクロプロセッサ(CPU)6に制御・演算プログラムを組み込んで構成されている。マイクロプロセッサ6とアナログ要素とのインタフェースとしてD/A変換器7、A/D変換器8が設けられている。また、この実施形態では、バイアス電流の制御値と変調電流の制御値とはマイクロプロセッサ6において重畳され、その重畳された制御値がアナログ変換により、例えば、電流としてドライバ9に入力されるようになっている。ドライバ9は、図示しない送信信号発生部からの送信信号Siを上記制御電流に応じて増幅してバイアス電流Ibia 及び変調電流Imod からなる駆動信号Sdを光源1に与えるものである。
【0019】
関数計算に用いる係数や定数を記憶する記憶手段10がマイクロプロセッサ6に内蔵又は外付けで設けられている。記憶手段10は、ROM、不揮発性RAMなどの無電源で記憶が保持できる半導体メモリ素子で構成されている。
【0020】
図1の光送信器における温度補償の動作を説明する。
【0021】
ここでは、関数計算手段4が計算する関数は、
f(x)=An xn +An−1 xn−1 +…+A1 x+A0
とする。xは、温度センサ5の温度検出電気量からなる入力変数である。An 〜A1 は係数、A0 は定数であり、記憶手段10に記憶されている。関数f(x)は、入力変数xのn次式で表され、その計算結果はバイアス電流と変調電流とを重畳した制御値である。即ち、関数f(x)は温度に応じた制御値を求める関数である。この制御値をD/A変換器7に与えることで、ドライバ9からは温度補償されたバイアス電流及び変調電流が出力される。
【0022】
図3のように雰囲気温度が低い時、マイクロプロセッサ6は、温度センサ5の出力電圧をA/D変換器8でA/D変換して得た入力変数xにより、関数f(x)を計算する。その関数f(x)の計算結果をD/A変換器7に与えると、バイアス電流Ibia が小さく、変調電流Imod も小さく制御され、光パワーPavの上下に振幅P1 −P0 を有する光信号が得られる。
【0023】
図4のように雰囲気温度が高い時、マイクロプロセッサ6は、温度センサ5の出力電圧をA/D変換器8でA/D変換して得た入力変数xにより、関数f(x)を計算する。その関数f(x)の計算結果をD/A変換器7に与えると、バイアス電流Ibia が大きく、変調電流Imod も大きく制御され、光パワーPavの上下に振幅P1 −P0 を有する光信号が得られる。
【0024】
なお、入力変数xの1〜n次の項にかかる係数An 〜A1 及び定数項の定数A0 は、予め図3や図4の温度を含む広い温度範囲で光パワーPavも一定、消光比ER=P1 /P0 も一定となるように、複数の温度においての実験から求めて記憶手段10に登録しておくとよい。
【0025】
このようなバイアス電流及び変調電流の制御により、図3、図4の両者において光パワーPavは一定であり、消光比ER=P1 /P0 も一定である。
【0026】
従来では、温度センサ23の出力電圧をそのままアナログ的にドライバ22に与えるだけだったので、光源21の特性の温度依存性と温度センサ23の温度特性とが広い温度範囲で厳密に一致しないことに起因して温度補償の正確さに限界があった。本発明では、温度センサ5の出力電圧をデジタル処理により関数計算して制御値を求め、その制御値でドライバ9を制御するので、関数の係数や定数が適切に決定されてさえいれば、広い温度範囲に亘り温度補償を正確に行うことができる。
【0027】
次に、光源1の個体毎のばらつきに対応する係数An 〜A1 及び定数A0 の求め方(登録方法)について説明する。
【0028】
光送信器を組み立てた後、光送信器を恒温槽等の温度が一定かつ任意に制御できる環境に置き、テスト用の送信信号Si を入力する。係数An 〜A1 及び定数A0 は適宜に決めた初期値(例えば、平均的な光源1について知られている値)とする。この状態で光信号So を測定器で受信し、その受信波形から光パワーPavや消光比ERを測定する。この測定を広い温度範囲に亘り、適宜な温度刻みごとに行う。
【0029】
所望する光パワーPav及び消光比ERと各温度での測定値との比較から各温度での望ましいバイアス電流Ibia 及び変調電流Imod を推定する。その推定されたバイアス電流Ibia 及び変調電流Imod から各温度でドライバ9に与えるべき制御値を逆算し、各温度について制御値(関数f(x)の値)と温度(入力変数x)とを関数に当てはめることにより、係数An 〜A1 及び定数A0 を初期値からどれだけ変更すればよいかを求めることができる。
【0030】
こうして求めた係数An 〜A1 及び定数A0 を記憶手段10に書き込めば、光送信器は、光源1の個体毎のばらつきによらず、広い温度範囲に亘り光パワーPav一定かつ消光比ER一定な光送信器として出荷が可能になる。
【0031】
従来では、適切な温度センサ23が見付かるまで、ひとつひとつの光送信器に対して温度センサ23を何度も取り替える試行錯誤工程を必要としていた。本発明では、温度センサ5は最初に取り付けたままで一度も取り替える必要がなく、記憶手段10への書き込みさえ行えばよいので、温度補償のための作業が容易となる。
【0032】
本実施形態では、関数f(x)は、n次関数としたが他の関数であってもよく、結果的に光源の温度特性が補償できればよい。また、n次関数の次数に制限はなく、例えば、3次関数とすることができる。
【0033】
次に、関数f(x)として3次関数を用いた具体的な実施形態を説明する。
【0034】
ここでは、係数A3 〜A1 及び定数A0 の異なる3つの関数f(x)▲1▼〜▲3▼を予め用意しておく。関数f(x)の値をyとすると、
▲1▼ y=0.00166x3 −0.0642x2 +3.45x+703
▲2▼ y=0.00175x3 −0.0534x2 +4.42x+678
▲3▼ y=0.00131x3 −0.041x2 +1.505x+745
である。
【0035】
図5に、各関数▲1▼〜▲3▼についての雰囲気温度(横軸)とD/A変換器7の出力(縦軸)との関係(入力変数xと関数値yとの関係)を示す。特性曲線▲1▼〜▲3▼は、それぞれ関数▲1▼〜▲3▼に対応している。光源1の複数個のサンプルについて、例えば、特性曲線▲1▼が平均的な温度依存性を補償するのに適した関数値yを得るものとすると、これに比べて特性曲線▲2▼は関数値yが高温域で大きく低温域で小さくなっており、逆に特性曲線▲3▼は関数値yが高温域で小さく低温域で大きくなっている。平均的なサンプルには特性曲線▲1▼を適用し、平均から外れているサンプルには特性曲線▲2▼又は▲3▼を適用することで全てのサンプルの温度補償を可及的に正確に行うことができる。
【0036】
このように、サンプルのひとつひとつについて係数An 〜A1 及び定数A0 を個別に設定しなくとも、代表的な有限個の係数An 〜A1 及び定数A0 を予め設定しておいて、その中から選んで適用するだけでも、全てのサンプルの温度補償を可及的に正確に行うことができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0038】
(1)光源と温度センサの間の温度特性の不一致が関数の介在により解消できるので、広い温度範囲に亘り温度補償を正確に行うことができる。
【0039】
(2)温度センサの取り替えを行わずともよいので、温度補償が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す光送信器の回路図である。
【図2】従来の光送信器の回路図である。
【図3】雰囲気温度が25°のときの光源のI−L特性の図である。
【図4】雰囲気温度が70°のときの光源のI−L特性の図である。
【図5】本発明における関数の入出力関係を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 バイアス手段
3 変調手段
4 関数計算手段
5 温度センサ
6 マイクロプロセッサ
9 ドライバ
10 記憶手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源の光パワーをバイアス電流と変調電流とで制御する光送信器に係り、特に、温度補償が容易でかつ正確な光送信器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の光送信器は、バイアス電流及び変調電流に応じた強度で光出力するレーザダイオード(以下、LDという)等の光源と、その光源の光パワー(平均レベル)を光源に印加するバイアス電流により制御するバイアス手段と、光信号の振幅を光源に印加する変調電流により制御する変調手段とを備えている。外部機器から与えられた送信信号を増幅すると共にバイアスを加え、そのバイアス付き増幅信号を光源であるLDに印加すると、光出力強度が平均レベルの上下に強弱変化する光信号が得られる。
【0003】
光送信器では、光通信の規格に従い光パワー及び消光比を一定に保つことが必要になる。しかし、光源の特性が温度依存性を持っているため、雰囲気温度変化により、光パワーや光信号の振幅が変化し、消光比も変ってしまう。
【0004】
そこで、従来は、サーミスタ等の温度センサを用いて雰囲気温度に比例する電圧信号を取り出し、バイアス電流及び変調電流を発生しているドライバに温度補償の制御電圧として印加している。
【0005】
図2に示されるように、従来の光送信器は、光源21とドライバ22と温度センサ23とを備え、温度センサ23の出力電圧がドライバ22のバイアス電流及び変調電流に変化を与えるように構成されている。
【0006】
図3に雰囲気温度が25°のときの光源のI−L特性(印加電流対光出力強度特性)を、図4には、雰囲気温度が70°のときの光源のI−L特性を示す。また、これらの図には、光源に供給される駆動信号Sd とI−L特性に従って光源が出力する光信号So が付記されている。
【0007】
図3、図4を比較すると、雰囲気温度が低い時、図3に示されるように、光源21のI−L特性31は、図4に比べて低い電流域で図4に比べて急峻に立ち上がっている。一方、雰囲気温度が高い時、図4に示されるように、光源21のI−L特性41は、図3に比べて高い電流域から図3に比べて緩やかに立ち上がっている。このため図3のように雰囲気温度が低い時は、バイアス電流Ibia を小さく、変調電流Imod も小さく制御した駆動信号Sd を入力することで、光パワーPavの上下に振幅P1 −P0 を有する光信号So を得ることができる。図4のように雰囲気温度が高い時は、バイアス電流Ibia を大きく、変調電流Imod も大きく制御した駆動信号Sd を入力することで、光パワーPavの上下に振幅P1 −P0 を有する光信号So を得ることができる。このようなバイアス電流及び変調電流の制御により、図3、図4の両者において光パワーPavは同じであり、消光比ER=P1 /P0 も同じである。
【0008】
先行技術文献としては、特許文献1がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−204022号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LDの温度依存特性は個体毎にばらつきがあり、同じ温度特性の温度センサを一律に使用しても良好な温度補償ができるとは限らない。従って、従来では、光送信器をいったん組み立てた後、温度特性の異なる温度センサを取り替えながら、光送信器を様々な温度環境でテストして光パワーPavや消光比ERを測定し、良好な温度補償ができているかどうかを確認するという試行錯誤工程を必要としていた。しかし、ひとつひとつの光送信器に対して温度センサを何度も取り替えるには手間がかかり、問題である。
【0011】
また、LDの温度依存特性が温度センサの温度対抵抗値特性とまったく一致するわけでないので、全温度範囲に亘って光パワーPavや消光比ERを完全に一定にするのは困難である。しかし、光通信速度を上げるために変調速度を高速にさせるにつれて消光比ERを厳密に一定にする必要があり、温度センサによる補償では正確さに限界があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、温度補償が容易でかつ正確な光送信器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、光源の光パワーを制御するバイアス手段と光信号の振幅を制御する変調手段とを備えた光送信器において、上記バイアス手段及び変調手段における制御量と雰囲気温度に比例した入力変数との関係を表した関数を計算する関数計算手段と、雰囲気温度を計測してその温度検出電気量を入力変数として上記関数計算手段に提供する温度センサとを設けたものである。
【0014】
上記関数を入力変数のn次関数としてもよい。
【0015】
上記関数の入力変数項にかかる係数及び定数項の定数をを記憶する記憶手段を設けてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
図1に示されるように、本発明に係る光送信器は、バイアス電流及び変調電流に応じた強度で光出力するレーザダイオード(以下、LDという)等の光源1と、その光源1の光パワー(平均レベル)を光源1に印加するバイアス電流により制御するバイアス手段2と、光信号の振幅を光源に印加する変調電流により制御する変調手段3と、上記バイアス手段及び変調手段における制御量と雰囲気温度に比例した入力変数との関係を表した関数を計算する関数計算手段4と、雰囲気温度を計測してその温度検出電気量を入力変数として上記関数計算手段4に提供する温度センサ5とを有する。温度センサ5としてサーミスタを用いる場合は、温度検出電気量は電圧である。
【0018】
この実施形態では、バイアス手段2、変調手段3、関数計算手段4は、マイクロプロセッサ(CPU)6に制御・演算プログラムを組み込んで構成されている。マイクロプロセッサ6とアナログ要素とのインタフェースとしてD/A変換器7、A/D変換器8が設けられている。また、この実施形態では、バイアス電流の制御値と変調電流の制御値とはマイクロプロセッサ6において重畳され、その重畳された制御値がアナログ変換により、例えば、電流としてドライバ9に入力されるようになっている。ドライバ9は、図示しない送信信号発生部からの送信信号Siを上記制御電流に応じて増幅してバイアス電流Ibia 及び変調電流Imod からなる駆動信号Sdを光源1に与えるものである。
【0019】
関数計算に用いる係数や定数を記憶する記憶手段10がマイクロプロセッサ6に内蔵又は外付けで設けられている。記憶手段10は、ROM、不揮発性RAMなどの無電源で記憶が保持できる半導体メモリ素子で構成されている。
【0020】
図1の光送信器における温度補償の動作を説明する。
【0021】
ここでは、関数計算手段4が計算する関数は、
f(x)=An xn +An−1 xn−1 +…+A1 x+A0
とする。xは、温度センサ5の温度検出電気量からなる入力変数である。An 〜A1 は係数、A0 は定数であり、記憶手段10に記憶されている。関数f(x)は、入力変数xのn次式で表され、その計算結果はバイアス電流と変調電流とを重畳した制御値である。即ち、関数f(x)は温度に応じた制御値を求める関数である。この制御値をD/A変換器7に与えることで、ドライバ9からは温度補償されたバイアス電流及び変調電流が出力される。
【0022】
図3のように雰囲気温度が低い時、マイクロプロセッサ6は、温度センサ5の出力電圧をA/D変換器8でA/D変換して得た入力変数xにより、関数f(x)を計算する。その関数f(x)の計算結果をD/A変換器7に与えると、バイアス電流Ibia が小さく、変調電流Imod も小さく制御され、光パワーPavの上下に振幅P1 −P0 を有する光信号が得られる。
【0023】
図4のように雰囲気温度が高い時、マイクロプロセッサ6は、温度センサ5の出力電圧をA/D変換器8でA/D変換して得た入力変数xにより、関数f(x)を計算する。その関数f(x)の計算結果をD/A変換器7に与えると、バイアス電流Ibia が大きく、変調電流Imod も大きく制御され、光パワーPavの上下に振幅P1 −P0 を有する光信号が得られる。
【0024】
なお、入力変数xの1〜n次の項にかかる係数An 〜A1 及び定数項の定数A0 は、予め図3や図4の温度を含む広い温度範囲で光パワーPavも一定、消光比ER=P1 /P0 も一定となるように、複数の温度においての実験から求めて記憶手段10に登録しておくとよい。
【0025】
このようなバイアス電流及び変調電流の制御により、図3、図4の両者において光パワーPavは一定であり、消光比ER=P1 /P0 も一定である。
【0026】
従来では、温度センサ23の出力電圧をそのままアナログ的にドライバ22に与えるだけだったので、光源21の特性の温度依存性と温度センサ23の温度特性とが広い温度範囲で厳密に一致しないことに起因して温度補償の正確さに限界があった。本発明では、温度センサ5の出力電圧をデジタル処理により関数計算して制御値を求め、その制御値でドライバ9を制御するので、関数の係数や定数が適切に決定されてさえいれば、広い温度範囲に亘り温度補償を正確に行うことができる。
【0027】
次に、光源1の個体毎のばらつきに対応する係数An 〜A1 及び定数A0 の求め方(登録方法)について説明する。
【0028】
光送信器を組み立てた後、光送信器を恒温槽等の温度が一定かつ任意に制御できる環境に置き、テスト用の送信信号Si を入力する。係数An 〜A1 及び定数A0 は適宜に決めた初期値(例えば、平均的な光源1について知られている値)とする。この状態で光信号So を測定器で受信し、その受信波形から光パワーPavや消光比ERを測定する。この測定を広い温度範囲に亘り、適宜な温度刻みごとに行う。
【0029】
所望する光パワーPav及び消光比ERと各温度での測定値との比較から各温度での望ましいバイアス電流Ibia 及び変調電流Imod を推定する。その推定されたバイアス電流Ibia 及び変調電流Imod から各温度でドライバ9に与えるべき制御値を逆算し、各温度について制御値(関数f(x)の値)と温度(入力変数x)とを関数に当てはめることにより、係数An 〜A1 及び定数A0 を初期値からどれだけ変更すればよいかを求めることができる。
【0030】
こうして求めた係数An 〜A1 及び定数A0 を記憶手段10に書き込めば、光送信器は、光源1の個体毎のばらつきによらず、広い温度範囲に亘り光パワーPav一定かつ消光比ER一定な光送信器として出荷が可能になる。
【0031】
従来では、適切な温度センサ23が見付かるまで、ひとつひとつの光送信器に対して温度センサ23を何度も取り替える試行錯誤工程を必要としていた。本発明では、温度センサ5は最初に取り付けたままで一度も取り替える必要がなく、記憶手段10への書き込みさえ行えばよいので、温度補償のための作業が容易となる。
【0032】
本実施形態では、関数f(x)は、n次関数としたが他の関数であってもよく、結果的に光源の温度特性が補償できればよい。また、n次関数の次数に制限はなく、例えば、3次関数とすることができる。
【0033】
次に、関数f(x)として3次関数を用いた具体的な実施形態を説明する。
【0034】
ここでは、係数A3 〜A1 及び定数A0 の異なる3つの関数f(x)▲1▼〜▲3▼を予め用意しておく。関数f(x)の値をyとすると、
▲1▼ y=0.00166x3 −0.0642x2 +3.45x+703
▲2▼ y=0.00175x3 −0.0534x2 +4.42x+678
▲3▼ y=0.00131x3 −0.041x2 +1.505x+745
である。
【0035】
図5に、各関数▲1▼〜▲3▼についての雰囲気温度(横軸)とD/A変換器7の出力(縦軸)との関係(入力変数xと関数値yとの関係)を示す。特性曲線▲1▼〜▲3▼は、それぞれ関数▲1▼〜▲3▼に対応している。光源1の複数個のサンプルについて、例えば、特性曲線▲1▼が平均的な温度依存性を補償するのに適した関数値yを得るものとすると、これに比べて特性曲線▲2▼は関数値yが高温域で大きく低温域で小さくなっており、逆に特性曲線▲3▼は関数値yが高温域で小さく低温域で大きくなっている。平均的なサンプルには特性曲線▲1▼を適用し、平均から外れているサンプルには特性曲線▲2▼又は▲3▼を適用することで全てのサンプルの温度補償を可及的に正確に行うことができる。
【0036】
このように、サンプルのひとつひとつについて係数An 〜A1 及び定数A0 を個別に設定しなくとも、代表的な有限個の係数An 〜A1 及び定数A0 を予め設定しておいて、その中から選んで適用するだけでも、全てのサンプルの温度補償を可及的に正確に行うことができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0038】
(1)光源と温度センサの間の温度特性の不一致が関数の介在により解消できるので、広い温度範囲に亘り温度補償を正確に行うことができる。
【0039】
(2)温度センサの取り替えを行わずともよいので、温度補償が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す光送信器の回路図である。
【図2】従来の光送信器の回路図である。
【図3】雰囲気温度が25°のときの光源のI−L特性の図である。
【図4】雰囲気温度が70°のときの光源のI−L特性の図である。
【図5】本発明における関数の入出力関係を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 バイアス手段
3 変調手段
4 関数計算手段
5 温度センサ
6 マイクロプロセッサ
9 ドライバ
10 記憶手段
Claims (3)
- 光源の光パワーを制御するバイアス手段と光信号の振幅を制御する変調手段とを備えた光送信器において、上記バイアス手段及び変調手段における制御量と雰囲気温度に比例した入力変数との関係を表した関数を計算する関数計算手段と、雰囲気温度を計測してその温度検出電気量を入力変数として上記関数計算手段に提供する温度センサとを設けたことを特徴とする光送信器。
- 上記関数を入力変数のn次関数としたことを特徴とする請求項1記載の光送信器。
- 上記関数の入力変数項にかかる係数及び定数項の定数を記憶する記憶手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の光送信器。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP2002301889A JP2004140509A (ja) | 2002-10-16 | 2002-10-16 | 光送信器 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2002301889A JP2004140509A (ja) | 2002-10-16 | 2002-10-16 | 光送信器 |
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|---|---|
| JP2004140509A true JP2004140509A (ja) | 2004-05-13 |
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| JP2002301889A Pending JP2004140509A (ja) | 2002-10-16 | 2002-10-16 | 光送信器 |
Country Status (1)
| Country | Link |
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| JP (1) | JP2004140509A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2015233083A (ja) * | 2014-06-10 | 2015-12-24 | 日本オクラロ株式会社 | 半導体光装置、及び制御方法 |
| JP2017183391A (ja) * | 2016-03-29 | 2017-10-05 | 沖電気工業株式会社 | 光回線終端装置及びプログラム |
| JP2022133879A (ja) * | 2021-03-02 | 2022-09-14 | ウシオ電機株式会社 | 光源装置及びキャリブレーション装置 |
-
2002
- 2002-10-16 JP JP2002301889A patent/JP2004140509A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JP2022133879A (ja) * | 2021-03-02 | 2022-09-14 | ウシオ電機株式会社 | 光源装置及びキャリブレーション装置 |
| JP7545115B2 (ja) | 2021-03-02 | 2024-09-04 | ウシオ電機株式会社 | 光源装置及びキャリブレーション装置 |
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