JP2004147362A - 車両用発電システムおよびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィールド電流が流れ続ける励磁無制御状態でも、発電量を制限できる車両用発電システムを提供する。
【解決手段】本発明の車両用発電システムは、ロータとステータとをもつオルタネータ(A)と、ロータコイル(Rc)に流すフィールド電流を制御するボルテージレギュレータ(V)と、ロータを回転駆動するエンジンと、エンジンを制御するエンジンECUとを備える車両用発電システムであって、
このエンジンECUは、フィールド電流の調整が不能となりフィールド電流が流れ続ける励磁無制御状態のときに、エンジンの回転数を所定の制限回転数以下に制限して運転することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の車両用発電システムは、ロータとステータとをもつオルタネータ(A)と、ロータコイル(Rc)に流すフィールド電流を制御するボルテージレギュレータ(V)と、ロータを回転駆動するエンジンと、エンジンを制御するエンジンECUとを備える車両用発電システムであって、
このエンジンECUは、フィールド電流の調整が不能となりフィールド電流が流れ続ける励磁無制御状態のときに、エンジンの回転数を所定の制限回転数以下に制限して運転することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されるオルタネータや電動発電機(M/G)等の交流発電装置を備えた車両用発電システムおよびその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両には、電気負荷やバッテリに電力を供給するために、従来から発電装置が設けられている。エンジンで走行する通常の車両ならオルタネータ、シリーズ式ハイブリット車ならジェネレータ、パラレル式ハイブリット車ならモータ・ジェネレータ(M/G)が交流発電を行っている。これらの交流発電装置はいずれもエンジンで駆動され、通常はフィールド電流を制御することによりその発電量が制御されて、安定した電力供給がなされている。例えば、オルタネータの場合、前記フィールド電流の制御は、トランジスタ等の半導体スイッチング素子からなるボルテージレギュレータによりなさる。このレギュレータは、交流発電装置の発電量やバッテリ電圧に応じてフィールド電流を断続するデューティ制御を行っている。例えば、過充電気味でバッテリ電圧が高くなるとフィールド電流を遮断して発電量を抑制し、逆にそのバッテリ電圧が低下するとフィールド電流を流して発電量を増やしている。
【0003】
しかし、車両に搭載される交流発電装置は、温度、振動等、その使用環境が厳しいため、レギュレータ等に使用されるスイッチング素子が故障したり、その他の配線部分が天絡、地絡等する場合も考えられる。このような場合、レギュレータ等によるフィールド電流の制御がなされず(励磁無制御状態)、発電されなくなったり、逆に、発電量が過多となり電気負荷に過電圧が印加等されたりするおそれがある。
もっとも、フィールド電流が流れず発電されない状態となる故障の場合なら、運転席にある警告灯が点灯して運転者はその異常を容易に察知できる。また、発電されなくなっても、しばらくの間はバッテリから電力が供給されるため、車両の移動等が可能となり、安全な場所への退避走行等が可能である。
但し、フィールド電流が流れ放し状態となる故障の場合、発電量が増加し続けるため、バッテリが過充電状態となり、電気負荷に過電圧が印加等されることによって、二次的な故障に至るおそれもある。
そこで、後者のような故障が生じたときでも、例えば、レギュレータが故障して一定の条件が成立した場合に、フィールド電流をリレーを介して遮断するようにした発電制御装置が特開平5−344797号公報に開示されている。これにより故障時でも電気負荷への過電圧の印加等が防止される。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−344797号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報に開示された方法では、新たに専用リレー等を設けなければならずコスト高となる。また、故障時、退避走行はできるものの、長距離の走行は困難であり、故障発生場所から自宅や修理工場まで自走するようなことまではできない。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。つまり、フィールド電流が流れ続けるような故障が生じたときでも、交流発電装置による発電を確保し、十分な走行を可能とする車両用発電システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、フィールド電流が流れ続ける励磁無制御状態とき、交流発電装置による発電量がエンジン回転数に依存することに着目して、エンジン回転数の制御によって発電量の調整を行うことを思いつき、本発明を完成するに至った。
(車両用発電システム)
すなわち、本発明の車両用発電システムは、主軸と共に回転して界磁を形成する界磁コイルを有するロータと該ロータの外周囲に配設され少なくとも3相分の電機子コイルを有するステータとからなり、該ロータが駆動回転されて該電機子コイルで交流発電される交流発電装置と、該界磁コイルに流すフィールド電流を制御して該交流発電装置の発電量を調整できる発電制御装置と、該交流発電装置で発電された交流電力を直流電力に変換する整流装置と、変換された該直流電力を蓄える蓄電池と、該交流発電装置の該ロータを回転駆動するエンジンと、該エンジンを制御するエンジン制御装置と、を備える車両用発電システムであって、前記エンジン制御装置は、前記発電制御装置によるフィールド電流の調整が不能となり該フィールド電流が流れ続ける励磁無制御状態のときに、前記エンジンの回転数を所定の制限回転数以下に制限して運転する回転数制限手段を備えることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
本発明は、上記励磁無制御状態となったとき、回転数制限手段でエンジン回転数を制限する。エンジン回転数さえ所定範囲に制限して車両を運転すれば、フィールド電流が流れ続けていても、交流発電装置の発電量が過多とならず、電気負荷への過電圧の印加やバッテリの過充電等も抑制、防止される。
また、回転数制限手段でエンジン回転数が制限されたとしても、通常の退避走行程度であれば十分に走行可能である。加えて、その場合でも、交流発電装置からも設定次第で十分な発電量を得ることができる。
このように、発電量を調整する発電制御装置等が故障して励磁無制御状態となった場合でも、車両の継続的な走行が可能となり、故障発生場所から自宅や修理工場等へ自走して行くことも可能となる。
また、このような制御を行う車両用発電システムは、例えば、エンジン制御装置のプログラムの変更等により容易に達成可能である。このため、保護回路等を設ける場合に比べて、いわゆるフェイルセーフの低コスト化が可能となる。
【0008】
(車両用発電システムの制御方法等)
本発明は、上記車両用発電システムとしてのみならず、上述のような制御を行う制御方法としても把握できるし、さらには、その制御方法を前提とした交流発電装置、発電制御装置またはエンジン制御装置と把握することもできる。
【0009】
ところで、本発明でいう励磁無制御状態は、バッテリ電圧、界磁コイル(フィールドコイル)の両端電圧、界磁コイルの電流量等により容易に検出できる。このような検出を行うために、シャント抵抗や電流センサ等からなる検出手段を別途組込んでも良いが、発電制御装置のIC等に予め検出回路または監視回路を組込んでおき、それを励磁無制御状態の検出手段とすれば事足りる。
【0010】
なお、エンジン制御装置による励磁無制御状態の認識は、例えば、発電制御装置が励磁無制御状態を検出したときにその検出信号をエンジン制御装置に送信し、エンジン制御装置がその故障検出信号を受信することで行える。勿論、励磁無制御状態の検出方法次第では、そのエンジン制御装置が発電制御装置を介さずに、その励磁無制御状態を認識しても良い。
【0011】
本発明の交流発電装置は、通常のオルタネータの他、スタータを兼用したオルタネータ、ハイブリット車に搭載されるジェネレータやジェネレータ・モータ(電動発電機:M/G)等でも良い。この交流発電装置は、フィールド電流を制御して発電量を調整可能なものである限り、同期機に限らず誘導機であっても良い。
上記励磁無制御状態が生じる場合として、フィールド電流を制御するスイッチング素子のオープン故障(絶縁故障)やクローズ故障(短絡破壊)、フィールド電流回路の天絡、地絡等がある。いずれの場合に励磁無制御状態となるかは、回路構成による。
【0012】
回転数制限手段は、エンジン回転数を制限回転数以下にするが、この制限回転数は、交流発電装置の出力、減速比、電気負荷量等により適宜決定されるものである。制限回転数は、車両の通常走行が可能となる範囲であれば好ましく、一例を挙げれば、アイドル回転が700〜800rpmのエンジンで、制限回転数を2000rpm等に設定する。
励磁無制御状態でエンジン回転数が制限回転数以下に制限されているときでも、車両の走行性を通常の状態に近づけるために、車両がトルクコンバータ付き自動変速機やベルト式やトロイダル式等の無断自動変速機を備えると好適である。
この場合、制限回転数を比較的低回転に設定しておいても、低速域で十分なトルクが得られると共に一般的な速度内の走行も可能となる。
【0013】
上述のことを踏まえて、本発明の車両用発電システムおよびその制御方法は、次にようにしても好適である。
前記励磁無制御状態は、前記蓄電池の電圧(バッテリ電圧)または前記交流発電装置の出力電圧が所定値以上となったときに検出されるものとしても良い(請求項3)。
また、前記励磁無制御状態は、前記フィールド電流が所定値以上となったときに検出されるものであっても良い(請求項4)。この場合、フィールド電流の所定値は、前記交流発電装置の回転数に関連付けられたマップ情報として記憶されていると好適である(請求項5)。
そして、前記エンジンは、前記バッテリ電圧、交流発電装置の出力電圧またはフィールド電流値が所定値を超えない範囲に回転数を制限して運転されるものであると好適である(請求項6)。
【0014】
さらに、前記エンジンをアイドル状態で停止すると共に発進時に再始動するアイドルストップ制御装置を備え、前記交流発電装置はその再始動をも行う交流電動発電装置であり、前記励磁無制御状態が検出されたときは、前記アイドルストップ制御装置によるアイドル状態でのエンジンの停止および再始動を禁止して前記蓄電池の放電を抑制すると、一層好適である(請求項7)。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
本発明に係る実施形態である車両用発電システムSの全体を示すブロック図を図1に示す。
この車両用発電システムSは、エンジンと、エンジンを制御するエンジン制御装置と、このエンジンによって駆動される交流発電装置と、交流発電装置の発電量を調整する発電制御装置と、交流発電装置で発電された交流電力を直流電力に変換する整流装置と、その直流電力によって充電される蓄電池とからなる。
【0016】
より具体的にいうなら、本実施形態でいうエンジンはレシプロガソリンエンジンであり、交流発電装置はオルタネータAのロータおよびステータからなり、エンジン制御装置はエンジンECUであり、発電制御装置はボルテージレギュレータVであり、整流装置はレクティファイヤRであり、蓄電池はバッテリBである。なお、エンジンのクランクシャフトに取付けられたクランクプーリとオルタネータAの主軸に取付けられたプーリとの間にはドライブベルトが懸架されており、このドライブベルトによりオルタネータAがエンジンによって駆動される。また、ボルテージレギュレータVとエンジンECUとは通信可能になっており、ボルテージレギュレータVが後述の励磁無制御状態を検出すると、その故障検出信号がエンジンECUに送信され、エンジンECUはその検出信号を受信して、励磁無制御状態を認識する。
【0017】
次に、ロータおよびステータに加えて、レクティファイヤRおよびボルテージレギュレータVが組込まれたオルタネータAの全体回路図を図2に示す。
オルタネータAのロータにはロータコイル(界磁コイル)Rcが巻回されており、そのロータの外周囲を囲繞するステータに3相分のステータコイル(電機子コイル)Scが巻回されている。そして、スリップリングを介してフィールド電流の供給されるロータコイルRcがステータコイルSc内を回転すると、ステータコイルScで交流発電がなされる。この発電された交流電力は、中性点ダイオードを伴うレクティファイヤRで全波整流され、バッテリBおよび各種電気負荷へ直流電力が供給される。
【0018】
ところで、車両の運転状況に応じて必要となる電力量が異なるため、それに応じた発電量の調整が必要となる。この調整は、ボルテージレギュレータVがロータコイルRcに流すフィールド電流の制御により行う。具体的には、ボルテージレギュレータVのICがB端子の電圧(バッテリ電圧)を監視しており、その電圧が所定範囲内になるように、トランジスタTr1をON/OFFし、ロータコイルRcに流れるフィールド電流を断続制御する。
ところで、そのトランジスタTr1が故障した場合を考えると、ロータコイルRcのフィールド電流制御(励磁電流制御)が不能状態となる。ここで、トランジスタTr1がオープン故障(絶縁故障)した場合を考えると、ロータコイルRcにはフィールド電流が流れなくなるため、無発電状態となる。ボルテージレギュレータVのICがこの状態をF端子電圧の上昇等により検出すると、トランジスタTr2をONにして、チャージランプCを点灯させる。これにより、運転者は、オルタネータAの故障および無発電状態であることを認識する。そして、その運転者は、適宜、バッテリBを電源とした退避走行を行う。
【0019】
これに対し、トランジスタTr1が短絡故障した場合、ロータコイルRcにはフィールド電流が流れ続け、電気負荷への印加電圧が上昇したり、バッテリが過充電状態になったりする。ボルテージレギュレータVのICがこの状態(励磁無制御状態)をB端子電圧の上昇やF端子電圧の低下から検出すると(検出ステップ)、エンジンECUにその故障検出信号を送信する(送信ステップ)。この故障検出信号を受信したエンジンECUは、回転数制限手段により、予め設定しておいた制限回転数を上限としてエンジンを運転する(回転数制限ステップ)。
なお、この回転数制限手段は、例えば、エンジン回転数がその制限回転数に到達したときに、燃料噴射信号を変更して燃料噴射量をゼロにしたり、点火信号を変更して無着火状態とするものである。また、回転数制限手段は、通常のエンジンに設けられるリミッタの作動回転数を前記制限回転数に一時的に再設定するものでも良い。
【0020】
このように、本実施形態の車両用発電システムSによれば、オルタネータAのフェイルセーフが容易に行える。また、従来のボルテージレギュレータ等をほとんど変更することなく使用することもできる。さらに、このフェイルセーフを設けることで、従来設けていたフェイルセーフ用の保護回路を簡素化または省略することもでき、その分、低コスト化を図ることも可能である。
上記実施形態では、本発明をオルタネータに適用した場合を説明したが、それに限らず、ハイブリット車等に搭載される電動発電機や回生発電機等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である車両用発電システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】その実施形態のオルタネータの回路図である。
【符号の説明】
S 車両用発電システム
A オルタネータ
V ボルテージレギュレータ(発電制御装置)
R レクティファイヤ(整流装置)
B バッテリ(蓄電池)
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されるオルタネータや電動発電機(M/G)等の交流発電装置を備えた車両用発電システムおよびその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両には、電気負荷やバッテリに電力を供給するために、従来から発電装置が設けられている。エンジンで走行する通常の車両ならオルタネータ、シリーズ式ハイブリット車ならジェネレータ、パラレル式ハイブリット車ならモータ・ジェネレータ(M/G)が交流発電を行っている。これらの交流発電装置はいずれもエンジンで駆動され、通常はフィールド電流を制御することによりその発電量が制御されて、安定した電力供給がなされている。例えば、オルタネータの場合、前記フィールド電流の制御は、トランジスタ等の半導体スイッチング素子からなるボルテージレギュレータによりなさる。このレギュレータは、交流発電装置の発電量やバッテリ電圧に応じてフィールド電流を断続するデューティ制御を行っている。例えば、過充電気味でバッテリ電圧が高くなるとフィールド電流を遮断して発電量を抑制し、逆にそのバッテリ電圧が低下するとフィールド電流を流して発電量を増やしている。
【0003】
しかし、車両に搭載される交流発電装置は、温度、振動等、その使用環境が厳しいため、レギュレータ等に使用されるスイッチング素子が故障したり、その他の配線部分が天絡、地絡等する場合も考えられる。このような場合、レギュレータ等によるフィールド電流の制御がなされず(励磁無制御状態)、発電されなくなったり、逆に、発電量が過多となり電気負荷に過電圧が印加等されたりするおそれがある。
もっとも、フィールド電流が流れず発電されない状態となる故障の場合なら、運転席にある警告灯が点灯して運転者はその異常を容易に察知できる。また、発電されなくなっても、しばらくの間はバッテリから電力が供給されるため、車両の移動等が可能となり、安全な場所への退避走行等が可能である。
但し、フィールド電流が流れ放し状態となる故障の場合、発電量が増加し続けるため、バッテリが過充電状態となり、電気負荷に過電圧が印加等されることによって、二次的な故障に至るおそれもある。
そこで、後者のような故障が生じたときでも、例えば、レギュレータが故障して一定の条件が成立した場合に、フィールド電流をリレーを介して遮断するようにした発電制御装置が特開平5−344797号公報に開示されている。これにより故障時でも電気負荷への過電圧の印加等が防止される。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−344797号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報に開示された方法では、新たに専用リレー等を設けなければならずコスト高となる。また、故障時、退避走行はできるものの、長距離の走行は困難であり、故障発生場所から自宅や修理工場まで自走するようなことまではできない。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。つまり、フィールド電流が流れ続けるような故障が生じたときでも、交流発電装置による発電を確保し、十分な走行を可能とする車両用発電システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、フィールド電流が流れ続ける励磁無制御状態とき、交流発電装置による発電量がエンジン回転数に依存することに着目して、エンジン回転数の制御によって発電量の調整を行うことを思いつき、本発明を完成するに至った。
(車両用発電システム)
すなわち、本発明の車両用発電システムは、主軸と共に回転して界磁を形成する界磁コイルを有するロータと該ロータの外周囲に配設され少なくとも3相分の電機子コイルを有するステータとからなり、該ロータが駆動回転されて該電機子コイルで交流発電される交流発電装置と、該界磁コイルに流すフィールド電流を制御して該交流発電装置の発電量を調整できる発電制御装置と、該交流発電装置で発電された交流電力を直流電力に変換する整流装置と、変換された該直流電力を蓄える蓄電池と、該交流発電装置の該ロータを回転駆動するエンジンと、該エンジンを制御するエンジン制御装置と、を備える車両用発電システムであって、前記エンジン制御装置は、前記発電制御装置によるフィールド電流の調整が不能となり該フィールド電流が流れ続ける励磁無制御状態のときに、前記エンジンの回転数を所定の制限回転数以下に制限して運転する回転数制限手段を備えることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
本発明は、上記励磁無制御状態となったとき、回転数制限手段でエンジン回転数を制限する。エンジン回転数さえ所定範囲に制限して車両を運転すれば、フィールド電流が流れ続けていても、交流発電装置の発電量が過多とならず、電気負荷への過電圧の印加やバッテリの過充電等も抑制、防止される。
また、回転数制限手段でエンジン回転数が制限されたとしても、通常の退避走行程度であれば十分に走行可能である。加えて、その場合でも、交流発電装置からも設定次第で十分な発電量を得ることができる。
このように、発電量を調整する発電制御装置等が故障して励磁無制御状態となった場合でも、車両の継続的な走行が可能となり、故障発生場所から自宅や修理工場等へ自走して行くことも可能となる。
また、このような制御を行う車両用発電システムは、例えば、エンジン制御装置のプログラムの変更等により容易に達成可能である。このため、保護回路等を設ける場合に比べて、いわゆるフェイルセーフの低コスト化が可能となる。
【0008】
(車両用発電システムの制御方法等)
本発明は、上記車両用発電システムとしてのみならず、上述のような制御を行う制御方法としても把握できるし、さらには、その制御方法を前提とした交流発電装置、発電制御装置またはエンジン制御装置と把握することもできる。
【0009】
ところで、本発明でいう励磁無制御状態は、バッテリ電圧、界磁コイル(フィールドコイル)の両端電圧、界磁コイルの電流量等により容易に検出できる。このような検出を行うために、シャント抵抗や電流センサ等からなる検出手段を別途組込んでも良いが、発電制御装置のIC等に予め検出回路または監視回路を組込んでおき、それを励磁無制御状態の検出手段とすれば事足りる。
【0010】
なお、エンジン制御装置による励磁無制御状態の認識は、例えば、発電制御装置が励磁無制御状態を検出したときにその検出信号をエンジン制御装置に送信し、エンジン制御装置がその故障検出信号を受信することで行える。勿論、励磁無制御状態の検出方法次第では、そのエンジン制御装置が発電制御装置を介さずに、その励磁無制御状態を認識しても良い。
【0011】
本発明の交流発電装置は、通常のオルタネータの他、スタータを兼用したオルタネータ、ハイブリット車に搭載されるジェネレータやジェネレータ・モータ(電動発電機:M/G)等でも良い。この交流発電装置は、フィールド電流を制御して発電量を調整可能なものである限り、同期機に限らず誘導機であっても良い。
上記励磁無制御状態が生じる場合として、フィールド電流を制御するスイッチング素子のオープン故障(絶縁故障)やクローズ故障(短絡破壊)、フィールド電流回路の天絡、地絡等がある。いずれの場合に励磁無制御状態となるかは、回路構成による。
【0012】
回転数制限手段は、エンジン回転数を制限回転数以下にするが、この制限回転数は、交流発電装置の出力、減速比、電気負荷量等により適宜決定されるものである。制限回転数は、車両の通常走行が可能となる範囲であれば好ましく、一例を挙げれば、アイドル回転が700〜800rpmのエンジンで、制限回転数を2000rpm等に設定する。
励磁無制御状態でエンジン回転数が制限回転数以下に制限されているときでも、車両の走行性を通常の状態に近づけるために、車両がトルクコンバータ付き自動変速機やベルト式やトロイダル式等の無断自動変速機を備えると好適である。
この場合、制限回転数を比較的低回転に設定しておいても、低速域で十分なトルクが得られると共に一般的な速度内の走行も可能となる。
【0013】
上述のことを踏まえて、本発明の車両用発電システムおよびその制御方法は、次にようにしても好適である。
前記励磁無制御状態は、前記蓄電池の電圧(バッテリ電圧)または前記交流発電装置の出力電圧が所定値以上となったときに検出されるものとしても良い(請求項3)。
また、前記励磁無制御状態は、前記フィールド電流が所定値以上となったときに検出されるものであっても良い(請求項4)。この場合、フィールド電流の所定値は、前記交流発電装置の回転数に関連付けられたマップ情報として記憶されていると好適である(請求項5)。
そして、前記エンジンは、前記バッテリ電圧、交流発電装置の出力電圧またはフィールド電流値が所定値を超えない範囲に回転数を制限して運転されるものであると好適である(請求項6)。
【0014】
さらに、前記エンジンをアイドル状態で停止すると共に発進時に再始動するアイドルストップ制御装置を備え、前記交流発電装置はその再始動をも行う交流電動発電装置であり、前記励磁無制御状態が検出されたときは、前記アイドルストップ制御装置によるアイドル状態でのエンジンの停止および再始動を禁止して前記蓄電池の放電を抑制すると、一層好適である(請求項7)。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
本発明に係る実施形態である車両用発電システムSの全体を示すブロック図を図1に示す。
この車両用発電システムSは、エンジンと、エンジンを制御するエンジン制御装置と、このエンジンによって駆動される交流発電装置と、交流発電装置の発電量を調整する発電制御装置と、交流発電装置で発電された交流電力を直流電力に変換する整流装置と、その直流電力によって充電される蓄電池とからなる。
【0016】
より具体的にいうなら、本実施形態でいうエンジンはレシプロガソリンエンジンであり、交流発電装置はオルタネータAのロータおよびステータからなり、エンジン制御装置はエンジンECUであり、発電制御装置はボルテージレギュレータVであり、整流装置はレクティファイヤRであり、蓄電池はバッテリBである。なお、エンジンのクランクシャフトに取付けられたクランクプーリとオルタネータAの主軸に取付けられたプーリとの間にはドライブベルトが懸架されており、このドライブベルトによりオルタネータAがエンジンによって駆動される。また、ボルテージレギュレータVとエンジンECUとは通信可能になっており、ボルテージレギュレータVが後述の励磁無制御状態を検出すると、その故障検出信号がエンジンECUに送信され、エンジンECUはその検出信号を受信して、励磁無制御状態を認識する。
【0017】
次に、ロータおよびステータに加えて、レクティファイヤRおよびボルテージレギュレータVが組込まれたオルタネータAの全体回路図を図2に示す。
オルタネータAのロータにはロータコイル(界磁コイル)Rcが巻回されており、そのロータの外周囲を囲繞するステータに3相分のステータコイル(電機子コイル)Scが巻回されている。そして、スリップリングを介してフィールド電流の供給されるロータコイルRcがステータコイルSc内を回転すると、ステータコイルScで交流発電がなされる。この発電された交流電力は、中性点ダイオードを伴うレクティファイヤRで全波整流され、バッテリBおよび各種電気負荷へ直流電力が供給される。
【0018】
ところで、車両の運転状況に応じて必要となる電力量が異なるため、それに応じた発電量の調整が必要となる。この調整は、ボルテージレギュレータVがロータコイルRcに流すフィールド電流の制御により行う。具体的には、ボルテージレギュレータVのICがB端子の電圧(バッテリ電圧)を監視しており、その電圧が所定範囲内になるように、トランジスタTr1をON/OFFし、ロータコイルRcに流れるフィールド電流を断続制御する。
ところで、そのトランジスタTr1が故障した場合を考えると、ロータコイルRcのフィールド電流制御(励磁電流制御)が不能状態となる。ここで、トランジスタTr1がオープン故障(絶縁故障)した場合を考えると、ロータコイルRcにはフィールド電流が流れなくなるため、無発電状態となる。ボルテージレギュレータVのICがこの状態をF端子電圧の上昇等により検出すると、トランジスタTr2をONにして、チャージランプCを点灯させる。これにより、運転者は、オルタネータAの故障および無発電状態であることを認識する。そして、その運転者は、適宜、バッテリBを電源とした退避走行を行う。
【0019】
これに対し、トランジスタTr1が短絡故障した場合、ロータコイルRcにはフィールド電流が流れ続け、電気負荷への印加電圧が上昇したり、バッテリが過充電状態になったりする。ボルテージレギュレータVのICがこの状態(励磁無制御状態)をB端子電圧の上昇やF端子電圧の低下から検出すると(検出ステップ)、エンジンECUにその故障検出信号を送信する(送信ステップ)。この故障検出信号を受信したエンジンECUは、回転数制限手段により、予め設定しておいた制限回転数を上限としてエンジンを運転する(回転数制限ステップ)。
なお、この回転数制限手段は、例えば、エンジン回転数がその制限回転数に到達したときに、燃料噴射信号を変更して燃料噴射量をゼロにしたり、点火信号を変更して無着火状態とするものである。また、回転数制限手段は、通常のエンジンに設けられるリミッタの作動回転数を前記制限回転数に一時的に再設定するものでも良い。
【0020】
このように、本実施形態の車両用発電システムSによれば、オルタネータAのフェイルセーフが容易に行える。また、従来のボルテージレギュレータ等をほとんど変更することなく使用することもできる。さらに、このフェイルセーフを設けることで、従来設けていたフェイルセーフ用の保護回路を簡素化または省略することもでき、その分、低コスト化を図ることも可能である。
上記実施形態では、本発明をオルタネータに適用した場合を説明したが、それに限らず、ハイブリット車等に搭載される電動発電機や回生発電機等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である車両用発電システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】その実施形態のオルタネータの回路図である。
【符号の説明】
S 車両用発電システム
A オルタネータ
V ボルテージレギュレータ(発電制御装置)
R レクティファイヤ(整流装置)
B バッテリ(蓄電池)
Claims (7)
- 主軸と共に回転して界磁を形成する界磁コイルを有するロータと該ロータの外周囲に配設され少なくとも3相分の電機子コイルを有するステータとからなり、該ロータが駆動回転されて該電機子コイルで交流発電される交流発電装置と、
該界磁コイルに流すフィールド電流を制御して該交流発電装置の発電量を調整できる発電制御装置と、
該交流発電装置で発電された交流電力を直流電力に変換する整流装置と、
変換された該直流電力を蓄える蓄電池と、
該交流発電装置の該ロータを回転駆動するエンジンと、
該エンジンを制御するエンジン制御装置と、
を備える車両用発電システムであって、
前記エンジン制御装置は、前記発電制御装置によるフィールド電流の調整が不能となり該フィールド電流が流れ続ける励磁無制御状態のときに、前記エンジンの回転数を所定の制限回転数以下に制限して運転する回転数制限手段を備えることを特徴とする車両用発電システム。 - 主軸と共に回転して界磁を形成する界磁コイルを有するロータと該ロータの外周囲に配設され少なくとも3相分の電機子コイルを有するステータとからなり、該ロータが駆動回転されて該電機子コイルで交流発電される交流発電装置と、
該界磁コイルに流すフィールド電流を制御して該交流発電装置の発電量を調整できる発電制御装置と、
該交流発電装置で発電された交流電力を直流電力に変換する整流装置と、
該直流電力を蓄える蓄電池と、
該交流発電装置の該ロータを回転駆動するエンジンと、
該エンジンを制御するエンジン制御装置と、
を備える車両用発電システムの制御方法であって、
前記エンジン制御装置は、前記発電制御装置によるフィールド電流の調整が不能となり該フィールド電流が流れ続ける励磁無制御状態のときに、前記エンジンの回転数を所定の制限回転数以下に制限して運転することを特徴とする車両用発電システムの制御方法。 - 前記励磁無制御状態は、前記蓄電池の電圧または前記交流発電装置の出力電圧が所定値以上となったときに検出される請求項1または2に記載の車両用発電システムまたはその制御方法。
- 前記励磁無制御状態は、前記フィールド電流が所定値以上となったときに検出される請求項1または2に記載の車両用発電システムまたはその制御方法。
- 前記フィールド電流の所定値は、前記交流発電装置の回転数に関連付けられたマップ情報として記憶されている請求項4に記載の車両用発電システムまたはその制御方法。
- 前記エンジンは、前記蓄電池の電圧が所定値を超えない範囲に回転数を制限して運転される請求項1または2に記載の車両用発電システムまたはその制御方法。
- さらに、前記エンジンをアイドル状態で停止すると共に発進時に再始動するアイドルストップ制御装置を備え、
前記交流発電装置は該再始動をも行う交流電動発電装置であり、
前記励磁無制御状態が検出されたときは、前記アイドルストップ制御装置によるアイドル状態での該エンジンの停止および再始動を禁止して前記蓄電池の放電を抑制する請求項1または2に記載の車両用発電システムまたはその制御方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002306228A JP2004147362A (ja) | 2002-10-21 | 2002-10-21 | 車両用発電システムおよびその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002306228A JP2004147362A (ja) | 2002-10-21 | 2002-10-21 | 車両用発電システムおよびその制御方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004147362A true JP2004147362A (ja) | 2004-05-20 |
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ID=32453079
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP2002306228A Pending JP2004147362A (ja) | 2002-10-21 | 2002-10-21 | 車両用発電システムおよびその制御方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004147362A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009177948A (ja) * | 2008-01-24 | 2009-08-06 | Nissan Motor Co Ltd | ジェネレータ故障検出装置およびジェネレータ故障検出方法 |
| JP2014050147A (ja) * | 2012-08-29 | 2014-03-17 | Suzuki Motor Corp | 車両用発電機の故障診断装置 |
-
2002
- 2002-10-21 JP JP2002306228A patent/JP2004147362A/ja active Pending
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