JP2004148558A - 吹付け用木片コンクリートの製造方法 - Google Patents

吹付け用木片コンクリートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】混練時の作業性や分離抵抗性を高めるとともに品質を安定させる。
【構成】本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法においては、まず、多数の木片を開放型ミキサーとしてのソイルミキサーに先行投入し、これを空練りする(ステップ101)。このようにすると、多数の木片をソイルミキサー内に均等に分散させることができる。なお、木片は、該木片同士の絡み合いを未然に防止すべく、多角形平板状に形成しておく。大きさとしては、例えば5〜25mm程度のものを用いればよい。次に、水及びセメントをソイルミキサーに同時投入し、次いで、先行投入された木片とともに混練して吹付け用木片コンクリートとする(ステップ102)。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として緑化を目的として法面に吹き付ける吹付け用木片コンクリートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
造成地の盛土や切土、道路の盛土、河川堤防等に見られる傾斜地においては、適当な手段でこれを保護することにより、法面の侵食、剥離、落石等を未然に防止しなければならない。
【0003】
法面保護の手段としては、コンクリートやモルタルの吹付けがその典型的な方法として知られているが、最近では、環境面に配慮すべく、緑化による法面保護を採用することが多くなってきた。
【0004】
法面を緑化によって保護する方法としては、植物の種子、肥料、水、チップ材、粘着剤等を攪拌混合した水性スラリーからなる植生基材を法面に吹き付けるのが一般的であり、かかる方法によれば、法面への吹付け後、一定期間後に発芽した植物の根が傾斜地盤内に拡がって該傾斜地盤を安定させることが可能となる。
【0005】
ところが、かかる方法では、植物をしっかりと定着させるべく、植生基材を一定厚さ以上吹き付けねばならず、コストがかかる。
【0006】
そのため、最近では、植生基材の下地として木片コンクリートを吹き付ける技術が開発されている(非特許文献1参照)。
【0007】
【非特許文献1】
株式会社大林組、技術インデックス、[online]、[平成14年9月24日検索]、インターネット<URL : http://www.obayashi.co.jp/technology/index/index.html>
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
木片コンクリートとは、多数の木片を該木片同士に間隙が生じるようにセメント含有物質で相互に固結させてなるものであり、植物を定着させる点で植生基材の一部に代えることができる。また、一定の排水性を有するため、背面の土壌から酸性水が浸出したとしても、該酸性水は木片コンクリートを介して排水され、植生基材に悪影響を及ぼす懸念がなくなるとともに、土壌からの湧水のうち、一部を植生基材へと供給し、過剰分については排水することが可能となる。そして、植物は、木片の間隙を縫うようにその根を伸長させるため、成長が阻害される懸念もない。
【0009】
しかしながら、木片コンクリートの製造方法については、未だ確立されておらず、混練時の作業性が悪い、混練を良好に行えない結果、吹付け時に木片とセメント含有物質とが分離するなどのさまざまな問題を生じていた。
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、混練時の作業性や分離抵抗性を高めるとともに品質を安定させることが可能な吹付け用木片コンクリートの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法は請求項1に記載したように、多数の木片が該木片同士に間隙が生じるようにセメントで相互に固結される吹付け用木片コンクリートの製造方法であって、前記木片、水及び前記セメントを該水及びセメントが少なくとも同時投入されるように所定の開放型ミキサーに投入して混練するものである。
【0012】
また、本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法は請求項2に示したように、多数の木片が該木片同士に間隙が生じるようにセメントで相互に固結される吹付け用木片コンクリートの製造方法であって、木片、水及びセメントを該水及びセメントが少なくとも同時投入されるように所定の開放型ミキサーに投入し、これらを混練した後、該開放型ミキサーに増粘剤を添加して再混練するものである。
【0013】
また、本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法は、前記開放型ミキサーに前記木片を先行投入して空練りするものである。
【0014】
また、本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法は請求項4に示したように、多数の木片が該木片同士に間隙が生じるようにセメントで相互に固結される吹付け用木片コンクリートの製造方法であって、所定の開放型ミキサーに前記木片を先行投入して空練りし、次いで、該開放型ミキサーに増粘剤を添加して混練し、次いで、該開放型ミキサーに水及び前記セメントを同時投入して混練するものである。
【0015】
また、本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法は請求項5に示したように、多数の木片が該木片同士に間隙が生じるようにセメントで相互に固結される吹付け用木片コンクリートの製造方法であって、所定の開放型ミキサーに前記木片を先行投入して空練りする一方、増粘剤、水及び前記セメントを所定の混練ミキサーに投入して混練し、しかる後、前記混練ミキサー内の混練物を前記開放型ミキサー内に投入して混練するものである。
【0016】
また、本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法は、前記木片を多角形平板状に形成したものである。
【0017】
請求項1乃至請求項3の発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法においては、木片、水及びセメントを該水及びセメントが少なくとも同時投入されるように所定の開放型ミキサーに投入して混練する。
【0018】
従来、木片の周囲にセメントを均等に付着させるべく、木片とセメントを開放型ミキサー、例えばソイルミキサーに投入し、これらを攪拌していたが、この方法では、セメントが木片同士の摩擦を高めてしまい、その結果、攪拌中に木片が開放型ミキサーから飛び出してしまうという現象を生じていた。
【0019】
そのため、従来においては、開放型ミキサーから飛び出そうとする木片を作業員が上から押さえつけながら攪拌作業を行うことを余儀なくされていたが、上述した発明においては、水及びセメントを同時投入するため、木片とセメントとの混練中は、セメントのみならず水も存在することとなり、該水がセメントによる木片同士の摩擦抵抗を低減する役目を果たす。したがって、木片とセメントとを攪拌する際、従来のように木片が開放型ミキサーから飛び出す懸念がなくなる。
【0020】
投入順序については、水及びセメントを同時投入するのであれば、木片の投入をそれらの投入と同時に行うのか、その前後に行うのかは任意であるが、開放型ミキサーに木片を先行投入して空練りするようにすれば、木片を開放型ミキサー内に均等に分散させることが可能となり、開放型ミキサー内での木片の偏在を防止することができる。
【0021】
ここで、請求項2に係る発明においては、上述したように木片、水及びセメントを混練した後、開放型ミキサーに増粘剤を添加して再混練する。増粘剤添加後の再混練はできるだけ短時間とする、言い換えれば、全攪拌工程の終了直前に増粘剤を添加するのが望ましい。
【0022】
このように増粘剤を添加すると、製造された吹付け用木片コンクリートは、吹付け後、木片と材料分離せず、その結果として両者は材料分離しない状態で硬化することが可能となり、かくして、木片は、それらの間に間隙が形成されるようにして相互に固結されることとなる。
【0023】
また、従来であれば、木片及びセメント含有物質からなる吹付け物質を法面に吹き付けた後、セメント含有物質が硬化する前に木片から材料分離してしまうことに起因して、場所によって木片同士が固結しなかったり、逆に木片同士の間隙がセメント含有物質で完全に充填されることがあり、特に、材料分離したセメント含有物質が背面の土壌法面上で硬化し、コンクリート層(モルタル層、セメント層)を形成してしまうことがあった。
【0024】
かかる状況になると、木片コンクリート層の上に植生基材を吹き付けて緑化を図ろうとしても、背面土壌からの栄養分や水分の植生基材への供給がコンクリート層で遮断されることとなり、植物は、若齢段階でその生長が阻害されるとともに、ある程度成長できたとしても、コンクリート層のためにその根を背面土壌に伸張させることができないため、背面土壌から栄養分や水分を吸収することができず、その成長はやはり阻害されてしまう。
【0025】
しかし、本発明によれば、セメントミルク、フレッシュモルタル、フレッシュコンクリートといったセメント混合物が木片と分離することがなくなるため、従来のようにコンクリート層(モルタル層、セメント層)が背面の土壌法面上に形成される懸念はなくなる。
【0026】
増粘剤は例えば、セルロース系や、水溶性の合成樹脂エマルジョンを使用することが可能であり、該合成樹脂はさらに、ポリアクリル酸、アクリル酸エステル、スチレン・アクリル酸エステル、シリコーン・アクリル酸エステル、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)などを使用することができる。
【0027】
ここで、かかる増粘剤をエチレン酢酸ビニル系エマルジョンとした場合においては、セメント含有物質と木片との不分離性に優れるのみならず、エマルジョン化のプロセスにおいて、環境ホルモンに影響を及ぼす懸念があるフタル酸などの物質を添加物として用いないため、環境面でも優れる。また、セメント含有物質の水和反応を遅延させるタンニンが木片内に多く含まれていたとしても、エチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)エマルジョンは、木片とセメント含有物質とを長時間分離させないため、木片同士は、それらの間に間隙が形成されるようにセメント含有物質を介して確実に固結される。
【0028】
請求項4に係る発明においては、所定の開放型ミキサーに木片を先行投入して空練りし、次いで、該開放型ミキサーに増粘剤を添加して混練し、次いで、該開放型ミキサーに水及びセメントを同時投入して混練する。
【0029】
このようにすると、請求項1乃至請求項3と同様の作用効果を奏するほか、多数の木片に対して増粘剤を均等かつ確実に付着させることができるという顕著な作用効果も奏する。
【0030】
なお、水及びセメントを投入する前に増粘剤を添加混練しても、該増粘剤を液状増粘剤あるいはエマルジョンとして使用すれば、セメントのような粉体とは異なり、木片同士の摩擦抵抗は大きくならず、上述した木片飛び出しの問題は生じない。
【0031】
木片を先行投入する点及びその後で水及びセメントを同時投入する点については、請求項1乃至請求項3に係る発明の記載欄で既に述べたので、ここでは省略し、増粘剤の添加に関しても請求項3の説明で既に述べたので、やはりここでは省略する。
【0032】
請求項5に係る発明においては、所定の開放型ミキサーに木片を先行投入して空練りする一方、増粘剤、水及びセメントを所定の混練ミキサーに投入して混練し、しかる後、前記混練ミキサー内の混練物を前記開放型ミキサー内に投入して混練する。
【0033】
このようにすると、請求項1乃至請求項3と同様の作用効果を奏するほか、増粘剤、水及びセメントは、木片の空練り工程とは異なる工程で別途混練して混練物とし、しかる後、かかる混練物を木片と混練するようにしたので、混練物、特に増粘剤を、多数の木片に対して均等に付着させることができるという顕著な作用効果も奏する。
【0034】
木片を先行投入する点及びその後で水及びセメントを同時投入する点については、請求項1乃至請求項3に係る発明の記載欄で既に述べたので、ここでは省略し、増粘剤の添加に関しても請求項3の説明で既に述べたので、やはりここでは省略する。
【0035】
上述した各発明において、吹付け用木片コンクリートの製造が終了したならば、これをコンクリート吹付機に移送した後、該コンクリート吹付機で吹付け用木片コンクリートを法面に吹き付けることにより、木片をそれらの間に所定の間隙が形成されるように相互に固結してなる木片コンクリート層を法面上に形成して植生基材の下地とすればよい。
【0036】
本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法は、フレッシュコンクリートのみならず、セメントミルクやフレッシュモルタルを使用した場合についても便宜上、包括的に吹付け用木片コンクリートと呼ぶこととする。
【0037】
すなわち、木片、水及びセメントを混練することに関し、本発明は、これら以外の混練材料を排除することを意図するものではなく、木片、水及びセメントを混練材料とする場合のほか、これらに加えて細骨材を混練材料として加える場合、あるいはさらに粗骨材を混練材料として加える場合も含まれる。具体的には、木片、水及びセメントを混練材料とする場合には、木片はセメントミルク(セメントペースト)と混練され、細骨材を混練材料として追加する場合には、木片はフレッシュモルタルと混練され、粗骨材を混練材料として追加する場合には、木片はフレッシュコンクリートと混練されることになる。
【0038】
なお、セメントの凝結硬化を促進すべく、例えばリグニンスルホン酸及びロダン化合物を主成分とする無塩化形の混和剤を添加することも任意である。
【0039】
上述した各発明において、木片は、その樹種や形状あるいはその大きさは問わないが、前記木片を多角形平板状に形成したならば、例えば針状の木片を使用したときのように混練時に互いに絡み合って木片が分散しなくなるといった事態を未然に回避することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
(第1実施形態)
【0042】
図1は、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法の手順を示したフローチャートである。同図に示すように、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法においては、まず、多数の木片を開放型ミキサーとしてのソイルミキサーに先行投入し、これを空練りする(ステップ101)。
【0043】
このようにすると、多数の木片をソイルミキサー内に均等に分散させることができる。なお、木片は、該木片同士の絡み合いを未然に防止すべく、多角形平板状に形成しておく。大きさとしては、例えば5〜25mm程度のものを用いればよい。
【0044】
次に、水及びセメントをソイルミキサーに同時投入し、次いで、先行投入された木片とともに混練して吹付け用木片コンクリートとする(ステップ102)。
【0045】
水及びセメントは、それぞれ必要な量だけ計量槽で計量し、これらを例えばセメントミルクの形で投入すればよい。
【0046】
吹付け用木片コンクリートを製造するにあたっては、該吹付け用木片コンクリートを吹き付けた後、セメントミルクが硬化した状態で木片同士の間に間隙が形成されている必要があるため、セメントミルクを木片の量に対して貧配合とし、ソイルミキサー内で木片の周囲にセメントミルクを付着させるように攪拌混合するのが望ましい。すなわち、セメントミルクが多すぎると、木片同士の間隙が少なくなり、セメントミルクが少なすぎると、木片同士を固結させる強度が不足するため、木片とセメントミルクとの配合割合は、かかる観点を考慮して適宜決定する。
【0047】
製造された吹付け用木片コンクリートは、以下の手順で法面緑化に使用することができる。
【0048】
すなわち、まず、製造された吹付け用木片コンクリートをベルトコンベヤでコンクリート吹付機まで搬送し、該吹付機の密閉型コンプレッサーに投入する。
【0049】
次に、図2に示すように、吹付け用木片コンクリート10をコンクリート吹付機のノズルから噴出して法面21に吹き付ける。
【0050】
このようにすると、木片9同士の間に間隙23が形成されてなる木片コンクリート層22が法面21の上に形成される。
【0051】
次に、吹付け用木片コンクリート10内のセメントミルク24の硬化を待ち、しかる後、木片コンクリート層22の上に植生基材25を吹き付ければ、法面21の緑化を図ることができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、木片、水及びセメントを該水及びセメントが少なくとも同時投入されるように開放型ミキサーとしてのソイルミキサーに投入して混練するようにしたので、木片とセメントとの混練中は、セメントのみならず、水も存在することとなり、該水がセメントによる木片同士の摩擦抵抗を低減する役目を果たす。
【0053】
そのため、木片とセメントとを攪拌する際、従来のように木片がソイルミキサーから飛び出す懸念がなくなり、かくして、従来のように木片の飛び出しを押さえる作業員が不要になるとともに、それに伴って攪拌作業の効率も向上し、ひいては、吹付け作業の全体工期を短縮することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、ソイルミキサーに木片を先行投入して空練りするようにしたので、木片をソイルミキサー内に均等に分散させることが可能となり、ソイルミキサー内での木片の偏在を防止することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、木片を多角形平板状に形成したので、例えば針状の木片を使用したときのように混練時に互いに絡み合って木片が分散しなくなるといった事態を未然に回避することが可能となる。
【0056】
本実施形態では、木片を先行投入し、しかる後、水及びセメントとしてのセメントミルクを投入して木片と攪拌混合するようにしたが、木片がソイルミキサー内で偏在する懸念がないのであれば、これらをすべて同時に投入してもかまわない。
【0057】
また、本実施形態では、多角形平板状に形成した木片を用いるようにしたが、混練中に木片同士が絡み合う懸念がないのであれば、かかる形状に限定されるものではなく、例えば針状の木片を使用してもかまわない。
【0058】
(第2実施形態)
【0059】
次に、第2実施形態について説明する。
【0060】
図3は、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法の手順を示したフローチャートである。同図に示すように、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法においては、第1実施形態と同様、まず、多数の木片を開放型ミキサーとしてのソイルミキサーに先行投入し、これを空練りする(ステップ101)。
【0061】
このようにすると、多数の木片をソイルミキサー内に均等に分散させることができる。なお、木片は、該木片同士の絡み合いを未然に防止すべく、多角形平板状に形成しておく。大きさとしては、例えば5〜25mm程度のものを用いればよい。
【0062】
次に、水及びセメントをソイルミキサーに同時投入し、次いで、先行投入された木片とともに混練する(ステップ112)。
【0063】
水及びセメントは、それぞれ必要な量だけ計量槽で計量し、これらを例えばセメントミルクの形で投入すればよい。
【0064】
次に、ソイルミキサーに増粘剤を添加して再混練し、吹付け用木片コンクリートとする(ステップ113)。増粘剤添加後の再混練については、コンクリート吹付機内での閉塞を防止すべく、できるだけ短時間とする、言い換えれば、全攪拌工程の終了直前に増粘剤を添加するのが望ましい。
【0065】
増粘剤は、エチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)エマルジョンを使用するのが望ましい。増粘剤の添加割合については、木片の含水比やセメントミルクの水セメント比を考慮して適宜定める。すなわち、木片の乾燥状態あるいは含水状態によっては、当初の水セメント比が吹付け前に変動する可能性があるので、この点を見込んで増粘剤の添加量を定めるのが望ましい。
【0066】
具体的には、昭和高分子株式会社から市販されているエチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)エマルジョンを用いることができる。
【0067】
吹付け用木片コンクリートを製造するにあたっての配合や、製造された吹付け用木片コンクリートを用いた法面緑化方法については、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略するが、上述したように吹付け用木片コンクリートに増粘剤としてエチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)エマルジョンを添加すると、材料分離抵抗性が発揮され、セメントミルクと木片とは、セメントミルクが硬化するまで材料分離することはない。
【0068】
特に、セメントミルクの水和反応を遅延させるタンニンが木片内に多く含まれていた場合であっても、エチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)エマルジョンは、木片とセメントミルクとを長時間分離させないため、木片同士は、それらの間に間隙が形成されるようにセメントミルクを介して確実に固結される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、木片、水及びセメントを該水及びセメントが少なくとも同時投入されるように開放型ミキサーとしてのソイルミキサーに投入して混練するようにしたので、木片とセメントとの混練中は、セメントのみならず、水も存在することとなり、該水がセメントによる木片同士の摩擦抵抗を低減する役目を果たす。
【0070】
そのため、木片とセメントとを攪拌する際、従来のように木片がソイルミキサーから飛び出す懸念がなくなり、かくして、従来のように木片の飛び出しを押さえる作業員が不要になるとともに、それに伴って攪拌作業の効率も向上し、ひいては、吹付け作業の全体工期を短縮することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、ソイルミキサーに木片を先行投入して空練りするようにしたので、木片をソイルミキサー内に均等に分散させることが可能となり、ソイルミキサー内での木片の偏在を防止することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、木片を多角形平板状に形成したので、例えば針状の木片を使用したときのように混練時に互いに絡み合って木片が分散しなくなるといった事態を未然に回避することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、吹付け用木片コンクリートに増粘剤を添加するようにしたので、木片とセメントミルクとは分離せず、木片をそれらの間に間隙が形成されるようにセメントミルクを介して固結させることが可能となる。
【0074】
そのため、木片コンクリート層を工期通りにかつ良好に形成することができるとともに、それによって、後工程である植生基材の吹付けを工期通り、確実に行うことが可能となる。
【0075】
また、従来のように、木片同士の間隙がセメントミルクで完全に充填された状態で硬化したり、材料分離したセメントミルクだけが法面の上で硬化することでコンクリート層(モルタル層、セメント層)が法面を覆ってしまったりといった事態を未然に回避することが可能となり、かくして、背面土壌の栄養分や水分は、植生基材へとスムーズに供給されるとともに、ある程度成長した段階においては、植物は、その根を背面土壌に伸張させることにより、背面土壌から栄養分や水分を吸収し、順調に生育することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、増粘剤としてエチレン酢酸ビニル系エマルジョンを使用したので、セメントミルクと木片との分離抵抗性、ひいてはそれに起因する上述の効果がさらに顕著となるのみならず、エマルジョン化のプロセスにおいて、環境ホルモンに影響を及ぼす懸念があるフタル酸などの物質を添加物として用いないため、環境面でも優れる。また、セメントミルクの水和反応を遅延させるタンニンが木片内に多く含まれていたとしても、木片とセメントミルクとを長時間分離させないため、木片同士をそれらの間に間隙が形成されるようにセメントミルクを介して確実に固結させることが可能となる。
【0077】
本実施形態では、増粘剤としてエチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)エマルジョンを用いたが、材料分離抵抗性を有する限り、かかる増粘剤に限定されるものではなく、他の合成樹脂系増粘剤との併用あるいは単体使用はもちろん、セルロース系増粘剤との併用あるいは単体使用も可能である。
【0078】
また、本実施形態では、木片を先行投入し、しかる後、水及びセメントとしてのセメントミルクを投入して木片と攪拌混合するようにしたが、木片がソイルミキサー内で偏在する懸念がないのであれば、これらをすべて同時に投入してもかまわない。
【0079】
また、本実施形態では、多角形平板状に形成した木片を用いるようにしたが、混練中に木片同士が絡み合う懸念がないのであれば、かかる形状に限定されるものではなく、例えば針状の木片を使用してもかまわない。
【0080】
(第3実施形態)
【0081】
次に、第3実施形態について説明する。
【0082】
図4は、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法の手順を示したフローチャートである。同図に示すように、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法においては、第1実施形態と同様、まず、多数の木片を開放型ミキサーとしてのソイルミキサーに先行投入し、これを空練りする(ステップ101)。
【0083】
このようにすると、多数の木片をソイルミキサー内に均等に分散させることができる。なお、木片は、該木片同士の絡み合いを未然に防止すべく、多角形平板状に形成しておく。大きさとしては、例えば5〜25mm程度のものを用いればよい。
【0084】
次に、ソイルミキサーに増粘剤を添加して再混練する(ステップ122)。ここで、増粘剤は第2実施形態と同様であり、その説明についてはここでは省略する。
【0085】
次に、水及びセメントをソイルミキサーに同時投入し、次いで、先行投入された木片及び増粘剤とともに再混練し、吹付け用木片コンクリートとする(ステップ123)。
【0086】
水及びセメントは、それぞれ必要な量だけ計量槽で計量し、これらを例えばセメントミルクの形で投入すればよい。
【0087】
吹付け用木片コンクリートを製造するにあたっての配合や、製造された吹付け用木片コンクリートを用いた法面緑化方法については、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0088】
また、吹付け用木片コンクリートに添加した増粘剤に関する作用については、第2実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、開放型ミキサーとしてのソイルミキサーに木片が先行投入された状態で水及びセメントを同時投入し混練するようにしたので、木片とセメントとの混練中は、セメントのみならず、水も存在することとなり、該水がセメントによる木片同士の摩擦抵抗を低減する役目を果たす。
【0090】
そのため、木片とセメントとを攪拌する際、従来のように木片がソイルミキサーから飛び出す懸念がなくなり、かくして、従来のように木片の飛び出しを押さえる作業員が不要になるとともに、それに伴って攪拌作業の効率も向上し、ひいては、吹付け作業の全体工期を短縮することが可能となる。
【0091】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、ソイルミキサーに木片を先行投入して空練りするようにしたので、木片をソイルミキサー内に均等に分散させることが可能となり、ソイルミキサー内での木片の偏在を防止することができる。
【0092】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、木片を多角形平板状に形成したので、例えば針状の木片を使用したときのように混練時に互いに絡み合って木片が分散しなくなるといった事態を未然に回避することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、吹付け用木片コンクリートに増粘剤を添加するにあたり、ソイルミキサーに木片を先行投入して空練りした後で増粘剤を添加するようにしたので、多数の木片に対し、増粘剤を均等かつ確実に付着させることが可能となる。
【0094】
なお、吹付け用木片コンクリートに増粘剤を添加したことによる効果、あるいはその増粘剤としてエチレン酢酸ビニル系エマルジョンを使用したことによる効果については、第2実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0095】
本実施形態では、増粘剤としてエチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)エマルジョンを用いたが、材料分離抵抗性を有する限り、かかる増粘剤に限定されるものではなく、他の合成樹脂系増粘剤との併用あるいは単体使用はもちろん、セルロース系増粘剤との併用あるいは単体使用も可能である。
【0096】
また、本実施形態では、多角形平板状に形成した木片を用いるようにしたが、混練中に木片同士が絡み合う懸念がないのであれば、かかる形状に限定されるものではなく、例えば針状の木片を使用してもかまわない。
【0097】
(第4実施形態)
【0098】
次に、第4実施形態について説明する。
【0099】
図5は、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法の手順を示したフローチャートである。同図に示すように、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法においては、まず、多数の木片を開放型ミキサーとしてのソイルミキサーに先行投入し、これを空練りする(ステップ131)。
【0100】
このようにすると、多数の木片をソイルミキサー内に均等に分散させることができる。なお、木片は、該木片同士の絡み合いを未然に防止すべく、多角形平板状に形成しておく。大きさとしては、例えば5〜25mm程度のものを用いればよい。
【0101】
一方、開放型ミキサーとは別の混練ミキサーに増粘剤、水及びセメントを投入して混練する(ステップ132)。ここで、増粘剤は第2実施形態と同様であり、その説明についてはここでは省略する。
【0102】
水及びセメントは、それぞれ必要な量だけ計量槽で計量し、これらを例えばセメントミルクの形で投入すればよい。
【0103】
次に、混練ミキサー内の混練物をソイルミキサーに投入して再混練し、吹付け用木片コンクリートとする(ステップ133)。
【0104】
吹付け用木片コンクリートを製造するにあたっての配合や、製造された吹付け用木片コンクリートを用いた法面緑化方法については、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0105】
また、吹付け用木片コンクリートに添加した増粘剤に関する作用については、第2実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、開放型ミキサーとしてのソイルミキサーに木片が先行投入された状態で、混練ミキサーで混練された混和剤、水及びセメントからなる混練物を投入して木片と混練するようにしたので、木片とセメントとの混練中は、セメントのみならず、水も存在することとなり、該水がセメントによる木片同士の摩擦抵抗を低減する役目を果たす。
【0107】
そのため、木片とセメントとを攪拌する際、従来のように木片がソイルミキサーから飛び出す懸念がなくなり、かくして、従来のように木片の飛び出しを押さえる作業員が不要になるとともに、それに伴って攪拌作業の効率も向上し、ひいては、吹付け作業の全体工期を短縮することが可能となる。
【0108】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、ソイルミキサーに木片を先行投入して空練りするようにしたので、木片をソイルミキサー内に均等に分散させることが可能となり、ソイルミキサー内での木片の偏在を防止することができる。
【0109】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、木片を多角形平板状に形成したので、例えば針状の木片を使用したときのように混練時に互いに絡み合って木片が分散しなくなるといった事態を未然に回避することが可能となる。
【0110】
また、本実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、吹付け用木片コンクリートに増粘剤を添加するにあたり、該増粘剤を水及びセメントとともに混練ミキサーに投入して混練し、しかる後、その混練物を木片と混練するようにしたので、多数の木片に対し、増粘剤を均等かつ確実に付着させることが可能となる。
【0111】
なお、吹付け用木片コンクリートに増粘剤を添加したことによる効果、あるいはその増粘剤としてエチレン酢酸ビニル系エマルジョンを使用したことによる効果については、第2実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0112】
本実施形態では、増粘剤としてエチレン酢酸ビニル系樹脂(EVA)エマルジョンを用いたが、材料分離抵抗性を有する限り、かかる増粘剤に限定されるものではなく、他の合成樹脂系増粘剤との併用あるいは単体使用はもちろん、セルロース系増粘剤との併用あるいは単体使用も可能である。
【0113】
また、本実施形態では、多角形平板状に形成した木片を用いるようにしたが、混練中に木片同士が絡み合う懸念がないのであれば、かかる形状に限定されるものではなく、例えば針状の木片を使用してもかまわない。
【0114】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法によれば、木片とセメントとの混練中は、セメントのみならず、水も存在することとなり、該水がセメントによる木片同士の摩擦抵抗を低減する役目を果たす。そのため、木片とセメントとを攪拌する際、従来のように木片がソイルミキサーから飛び出す懸念がなくなり、かくして、従来のように木片の飛び出しを押さえる作業員が不要になるとともに、それに伴って攪拌作業の効率も向上し、ひいては、吹付け作業の全体工期を短縮することが可能となる。
【0115】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法の製造手順を示したフローチャート。
【図2】第1実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法を用いて法面緑化を行っている様子を示した図。
【図3】第2実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法の製造手順を示したフローチャート。
【図4】第3実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法の製造手順を示したフローチャート。
【図5】第4実施形態に係る吹付け用木片コンクリートの製造方法の製造手順を示したフローチャート。

Claims (6)

  1. 多数の木片が該木片同士に間隙が生じるようにセメントで相互に固結される吹付け用木片コンクリートの製造方法であって、前記木片、水及び前記セメントを該水及びセメントが少なくとも同時投入されるように所定の開放型ミキサーに投入して混練することを特徴とする吹付け用木片コンクリートの製造方法。
  2. 多数の木片が該木片同士に間隙が生じるようにセメントで相互に固結される吹付け用木片コンクリートの製造方法であって、木片、水及びセメントを該水及びセメントが少なくとも同時投入されるように所定の開放型ミキサーに投入し、これらを混練した後、該開放型ミキサーに増粘剤を添加して再混練することを特徴とする吹付け用木片コンクリートの製造方法。
  3. 前記開放型ミキサーに前記木片を先行投入して空練りする請求項1又は請求項2記載の吹付け用木片コンクリートの製造方法。
  4. 多数の木片が該木片同士に間隙が生じるようにセメントで相互に固結される吹付け用木片コンクリートの製造方法であって、所定の開放型ミキサーに前記木片を先行投入して空練りし、次いで、該開放型ミキサーに増粘剤を添加して混練し、次いで、該開放型ミキサーに水及び前記セメントを同時投入して混練することを特徴とする吹付け用木片コンクリートの製造方法。
  5. 多数の木片が該木片同士に間隙が生じるようにセメントで相互に固結される吹付け用木片コンクリートの製造方法であって、所定の開放型ミキサーに前記木片を先行投入して空練りする一方、増粘剤、水及び前記セメントを所定の混練ミキサーに投入して混練し、しかる後、前記混練ミキサー内の混練物を前記開放型ミキサー内に投入して混練することを特徴とする吹付け用木片コンクリートの製造方法。
  6. 前記木片を多角形平板状に形成した請求項1乃至請求項5のいずれか一記載の吹付け用木片コンクリートの製造方法。
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