JP2004155248A - 自動車用空調装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の小型化、設計上の自由度の向上の要請に対応しつつ、併せて組み付け作業効率、メンテナンス効率、リサイクル効率を向上できる自動車用空調装置およびその製造方法。
【解決手段】複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、温風路と冷風路との風量割合を調整するエアミックスダンパと、前記通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置を製造するに際し、前記エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する板状部材から形成するとともに、少なくとも板状部材を、前記通風ダクトを形成する、いずれか一つのサイドケースの一面に設けられた挿入口から通風ダクト内へ挿入することを特徴とする自動車用空調装置の製造方法、および自動車用空調装置。
【選択図】 図7
【解決手段】複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、温風路と冷風路との風量割合を調整するエアミックスダンパと、前記通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置を製造するに際し、前記エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する板状部材から形成するとともに、少なくとも板状部材を、前記通風ダクトを形成する、いずれか一つのサイドケースの一面に設けられた挿入口から通風ダクト内へ挿入することを特徴とする自動車用空調装置の製造方法、および自動車用空調装置。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、エアミックスダンパおよび吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、サイドケースを接合して形成された通風ダクト内に、温風路と冷風路の風量割合を調整するエアミックスダンパ、および通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを吹出口毎に設けた自動車用空調装置はよく知られている。このような自動車用空調装置においては、エアミックスダンパおよび吹出口開閉調整ダンパとして回動式ダンパを用い、温度調整や各吹出口開閉調整が行われるようになっている。
【0003】
しかし、近年自動車用空調装置の小型化の要請は益々高まっている。このため、近年装置の小型化を目的として、回動式ダンパの代わりに、たとえばフレキシブルなシャッタ構造のスライド式のダンパを設ける構造が提案されている(特許文献1)。また、横断面が略円弧状に形成された骨格に可撓性フィルムを固定したロータリー式のダンパを設ける構造も提案されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−103559号公報(第1図)
【特許文献2】
特開平9−99725号公報(第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スライド式のダンパを設ける提案においては、上下方向あるいは左右方向に延設スペースが必要となる。また、ロータリー式のダンパを設ける提案においては、必要十分な風量を確保するためにはダンパの開口を拡げる必要があるため、その分ダンパ自身が大型化するおそれがある。さらに、上記両提案においては、ダンパの移動形態、移動方向の設計の自由度も大きく制限されてしまうという問題がある。
【0006】
さらに、自動車用空調装置を組み立てる場合には、エバポレータやヒータおよび各ダンパの組み付けをケースの接合と併せて同時に行う必要があるため、高い組み付け精度が要求されるとともに、組み付け作業性が煩雑化し作業効率が低下するおそれがある。また、自動車用空調装置のメンテナンスにおいて、各ダンパを取り外す必要が生じた場合も、各ダンパのみを取り外すことができないためメンテナンス効率が低下するおそれがある。さらに、近年、自動車用空調装置に対してはリサイクル性の要求が高まっているが、リサイクルに際しては各部材を分別する必要があるため、上記従来の自動車用空調装置においてはリサイクル効率が低下するおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、装置の小型化、設計上の自由度の向上の要請に対応しつつ、併せて組み付け作業効率、メンテナンス効率、さらにはリサイクル効率を向上可能な自動車用空調装置およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る自動車用空調装置の製造方法は、複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、温風路と冷風路との風量割合を調整するエアミックスダンパと、前記通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置を製造するに際し、前記エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する板状部材から形成するとともに、少なくとも板状部材を、前記通風ダクトを形成する、いずれか一つのサイドケースの一面に設けられた挿入口から通風ダクト内へ挿入することを特徴とする方法からなる。
【0009】
上記板状部材と、該板状部材の駆動用ギヤとは仮組して一体的に挿入することができる。たとえば板状部材を駆動用ギヤに予め噛合させた状態で挿入することができる。また、上記板状部材と、サイドケースに設けられた板状部材の挿入口を閉塞するカバーとを仮組して一体的に挿入することもできる。さらに、板状部材と駆動用ギヤおよびカバーとを仮組して一体的に挿入することも可能である。このように、複数の部材を仮組して一体的に挿入すれば、一つの工程で複数の部材を同時に挿入することができるので、組み付け効率等を一層向上できる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る自動車用空調装置は、複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、温風路と冷風路との風量割合を調整するエアミックスダンパと、前記通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置において、前記エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する板状部材から構成するとともに、前記通風ダクトを形成するいずれか一つのサイドケースの一面に、少なくとも前記板状部材を挿入可能な挿入口を開設したことを特徴とするものからなる。
【0011】
上記のような自動車用空調装置およびその製造方法によるときは、エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを形成する板状部材は、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する部材から構成されている。このため、板状部材を移動方向に対して実質的に自由な形状に湾曲させることができるので、板状部材を所望形状に湾曲させたままサイドケースの挿入口を介して移動方向に交差する方向から容易に挿入でき、通風ダクト内に簡単に取り付けることができる。また、挿入口から板状部材を引き抜けば簡単に取り外すことができる。したがって、板状部材、すなわちダンパ(エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパ)のみの容易な取り付け、取り外しが可能となり、組み付け作業効率、メンテナンス効率等を向上できる。また、板状部材は、移動方向に実質的に自由な形状に湾曲されるので、挿入口の形状は任意に設定できるとともに、挿入口の開口面積を小さく設定できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の自動車用空調装置の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし図12は、本発明の一実施態様に係る自動車用空調装置を示している。図1において、通風ダクト1内には、図の下方からの通風方向に順に、冷却器としての冷媒の蒸発器2と加熱器としてのヒータ3が配置されている。蒸発器2とヒータ3との間には、蒸発器2を通過した空気をヒータ3に通過させる温風路4と、ヒータ3をバイパスさせて通過させる冷風路5とが形成されている。本実施態様においては、通風ダクト1は2つのサイドケース31、32を接合したものから形成されている。
【0013】
この蒸発器2とヒータ3との間に、2つの通風路、つまり温風路4と冷風路5の通過風量割合を調整するエアミックスダンパとして板状部材6が設けられている。該板状部材6は、後述の吹出口を開閉する板状部材17と同様に移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する構造になっている。
【0014】
通風ダクト1のヒータ3下流側には、各モード用の吹出口が形成されている。VENT吹出口9は、図2に示すように通風ダクト1の幅方向に配列された3つの吹出口からなっている。具体的には略中央に開設されたセンターVENT吹出口10とその両側に設けられたサイドVENT吹出口11、12とからなっている。また、通風ダクト1のVENT吹出口9が開設された同一の面16aにはDEF吹出口13が開設されている。さらに、VENT吹出口9、DEF吹出口13が開設される面16aとは別の面16bにはFOOT吹出口14、15が開設されている。
【0015】
上記吹出口は、吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材17により、各モードに応じて開閉されるようになっている。
【0016】
板状部材6、17は、図3に示すような形状に形成されており、移動方向Aに柔軟性を有し、移動方向と交差する方向に剛性を有する部材から構成されている。素材としては、たとえば可撓性を有する樹脂からなり、その可撓性により上記柔軟性が付与されるとともに、上記移動方向に交差する方向における剛性は表面凹凸により構造的に付与されている。
【0017】
本実施態様では、板状部材6、17の片面18が実質的に平面形状とされ(図3、図5の下面側)、他面が移動方向Aと交差する方向(本実施態様では移動方向と直交する方向)に延び移動方向Aに山部19と谷部20が交互に連接された凹凸形状21に形成されている。この凹凸形状21は、山部19と谷部20が交互に規則的に連接されており、この面にて、歯車あるいは歯車様部材と噛合可能に形成されている。また、本実施態様では、山部19が中空構造(中空部22)に構成されており、板状部材6、17の軽量化がはかられている。板状部材6、17の移動方向Aに交差する方向の両端の凹凸形状21には、図6に示すように、シャフト30a、30bに固定されたギヤ7、23が噛合されている。板状部材6、17はギヤ7、23の回転に伴い図6の矢印方向に移動可能に設けられており、溝状の案内路8、24に沿って案内されるようになっている。案内路8、24は本実施態様では、板状部材6、17の移動方向Aと交差する方向の両側に設けられている。
【0018】
板状部材6、17の移動方向の端縁28、29には、図5に示すように丸みが設けられている。該丸みを設けることにより、案内路8、24における板状部材6、17の円滑な摺動が確保されるようになっている。
【0019】
さらに、吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材17には、図4に示すように、各吹出口を開閉する複数の開口が設けられている。本実施態様においては板状部材17には、3つの開口が開設されている。開口25、26、27は、図4に示すように板状部材17の幅方向に部分的に開設されている。また、本実施態様においては、開口25、26、27は板状部材17の移動方向の位置について重複するように開設されている。図8ないし図12に各モード毎の各開口による各吹出口の開閉状態を示す。
【0020】
通風ダクト1を形成するサイドケース31の面39には、板状部材6の挿入口33と、板状部材17の挿入口34とが開口されている。挿入口33、34はカバー35、36により開閉可能になっている。なお、カバー35、36にはシャフト30a、30bの挿通孔37、38が設けられている。なお、サイドケース32に挿入口33、34を設けてもよいことは当然である。
【0021】
次に、図7を用いて本実施態様における自動車用空調装置の製造方法について説明する。まず、エバポレータ2、ヒータ3等をサイドケース31、32に取り付けるとともにサイドケース31、32を互いに接合する。この状態においては、通風ダクト1が形成され、該ダクト1内にエバポレータ2、ヒータ3が収容され、板状部材6を含む風量割合調整手段の構成部材以外、および板状部材17を含む吹出口開閉調整手段の構成部材以外の各部材は既に通風ダクト1内の所定の位置に設置されている。
【0022】
つづいて、サイドケース31の挿入口33から板状部材6を挿入するとともに、挿入口34から板状部材17を挿入する。板状部材6、17は移動方向Aとは交差する方向から挿入口33、34内へ挿入される。板状部材6を挿入する際には、該板状部材6の凹凸形状21をギヤ7に予め仮組して一体化し、該仮組された複数の部材を挿入口33から同時に挿入してもよい。さらに、板状部材6とギヤ7およびカバー35を予め仮組して一体化し、該仮組された複数の部材を挿入口33から同時に挿入するようにしてもよい。一方、板状部材17の挿入に際しても、板状部材17を図7に示すように略円筒状に丸め、凹凸形状21とギヤ23を噛合させ、これらにシャフト30bを仮組して一体化し、該仮組された複数の部材を挿入口34から同時に挿入することができる。さらに、板状部材17とギヤ23、シャフト30bおよびカバー36を仮組して一体化し、該一体化された複数の部材を挿入口34から同時に挿入することもできる。
【0023】
本実施態様のような自動車用空調装置およびその製造方法によるときは、エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを形成する板状部材6、17は、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する部材から構成されている。このため、板状部材6、17を移動方向に対して実質的に自由な形状に湾曲させることができるので、所望形状に湾曲させたままサイドケース31の挿入口33、34を介して、通風ダクト1内に簡単に取り付けることができる。また、挿入口33、34から板状部材6、17を引き抜けば簡単に取り外すことができる。したがって、板状部材6、17、すなわちダンパ(エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパ)のみの容易な取り付け、取り外しが可能となり、組み付け作業効率、メンテナンス効率等を向上できる。また、板状部材6、17は、移動方向に実質的に自由な形状に湾曲されるので、挿入口33、34の形状は任意に設定できるとともに、挿入口33、34の開口面積を小さく設定できる。
【0024】
さらに、板状部材6、17とギヤ7、23等を仮組して一体化し、該仮組された部材を挿入口33、34から一体的に挿入すれば、複数の部材を同時に挿入し組み付けることができる。また、カバー35、36を取り外せば、板状部材6、17とギヤ7、23を同時に取り外すこともできる。したがって、組み付け作業効率、メンテナンス効率、リサイクル効率をより一層向上できる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動車用空調装置およびその製造方法によるときは、一方のサイドケースの両側から、エアミックスダンパとしての板状部材および/または吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材のみを取り付け、取り外すことができる。また、少なくとも上記板状部材と他の部材を同時に取り付けし、同時に取り外すことも可能である。したがって、組み付け作業効率、メンテナンス効率、リサイクル効率を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る自動車用空調装置の概略断面図である。
【図2】図1の自動車用空調装置の吹出口の開設部の斜視図である。
【図3】図1の自動車用空調装置の板状部材の斜視図である。
【図4】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材の平面図である。
【図5】図1の自動車用空調装置の板状部材の側面図である。
【図6】図1の自動車用空調装置の板状部材とギヤとの噛合状態を示す斜視図である。
【図7】図1の自動車用空調装置の分解斜視図である。
【図8】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(VENTモード)。
【図9】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(バイレベルモード)。
【図10】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(FOOTモード)。
【図11】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(DEF−FOOTモード)。
【図12】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(DEFモード)。
【符号の説明】
1 通風ダクト
2 蒸発器
3 ヒータ
4 温風路
5 冷風路
6 風量割合調整用板状部材
7 ギヤ
8 案内路
9 VENT吹出口
10 センターVENT吹出口
11、12 サイドベント吹出口
13 DEF吹出口
14、15、 FOOT吹出口
16a、16b 面
17 板状部材
18 片面
19 山部
20 谷部
21 凹凸形状
22 中空部
23 ギヤ
24 案内路
25、26、27 開口
28、29 端縁
30a、30b シャフト
31、32 サイドケース
33、34 挿入口
35、36 カバー
37、38 挿通孔
39 面
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、エアミックスダンパおよび吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、サイドケースを接合して形成された通風ダクト内に、温風路と冷風路の風量割合を調整するエアミックスダンパ、および通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを吹出口毎に設けた自動車用空調装置はよく知られている。このような自動車用空調装置においては、エアミックスダンパおよび吹出口開閉調整ダンパとして回動式ダンパを用い、温度調整や各吹出口開閉調整が行われるようになっている。
【0003】
しかし、近年自動車用空調装置の小型化の要請は益々高まっている。このため、近年装置の小型化を目的として、回動式ダンパの代わりに、たとえばフレキシブルなシャッタ構造のスライド式のダンパを設ける構造が提案されている(特許文献1)。また、横断面が略円弧状に形成された骨格に可撓性フィルムを固定したロータリー式のダンパを設ける構造も提案されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−103559号公報(第1図)
【特許文献2】
特開平9−99725号公報(第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スライド式のダンパを設ける提案においては、上下方向あるいは左右方向に延設スペースが必要となる。また、ロータリー式のダンパを設ける提案においては、必要十分な風量を確保するためにはダンパの開口を拡げる必要があるため、その分ダンパ自身が大型化するおそれがある。さらに、上記両提案においては、ダンパの移動形態、移動方向の設計の自由度も大きく制限されてしまうという問題がある。
【0006】
さらに、自動車用空調装置を組み立てる場合には、エバポレータやヒータおよび各ダンパの組み付けをケースの接合と併せて同時に行う必要があるため、高い組み付け精度が要求されるとともに、組み付け作業性が煩雑化し作業効率が低下するおそれがある。また、自動車用空調装置のメンテナンスにおいて、各ダンパを取り外す必要が生じた場合も、各ダンパのみを取り外すことができないためメンテナンス効率が低下するおそれがある。さらに、近年、自動車用空調装置に対してはリサイクル性の要求が高まっているが、リサイクルに際しては各部材を分別する必要があるため、上記従来の自動車用空調装置においてはリサイクル効率が低下するおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、装置の小型化、設計上の自由度の向上の要請に対応しつつ、併せて組み付け作業効率、メンテナンス効率、さらにはリサイクル効率を向上可能な自動車用空調装置およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る自動車用空調装置の製造方法は、複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、温風路と冷風路との風量割合を調整するエアミックスダンパと、前記通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置を製造するに際し、前記エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する板状部材から形成するとともに、少なくとも板状部材を、前記通風ダクトを形成する、いずれか一つのサイドケースの一面に設けられた挿入口から通風ダクト内へ挿入することを特徴とする方法からなる。
【0009】
上記板状部材と、該板状部材の駆動用ギヤとは仮組して一体的に挿入することができる。たとえば板状部材を駆動用ギヤに予め噛合させた状態で挿入することができる。また、上記板状部材と、サイドケースに設けられた板状部材の挿入口を閉塞するカバーとを仮組して一体的に挿入することもできる。さらに、板状部材と駆動用ギヤおよびカバーとを仮組して一体的に挿入することも可能である。このように、複数の部材を仮組して一体的に挿入すれば、一つの工程で複数の部材を同時に挿入することができるので、組み付け効率等を一層向上できる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る自動車用空調装置は、複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、温風路と冷風路との風量割合を調整するエアミックスダンパと、前記通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置において、前記エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する板状部材から構成するとともに、前記通風ダクトを形成するいずれか一つのサイドケースの一面に、少なくとも前記板状部材を挿入可能な挿入口を開設したことを特徴とするものからなる。
【0011】
上記のような自動車用空調装置およびその製造方法によるときは、エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを形成する板状部材は、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する部材から構成されている。このため、板状部材を移動方向に対して実質的に自由な形状に湾曲させることができるので、板状部材を所望形状に湾曲させたままサイドケースの挿入口を介して移動方向に交差する方向から容易に挿入でき、通風ダクト内に簡単に取り付けることができる。また、挿入口から板状部材を引き抜けば簡単に取り外すことができる。したがって、板状部材、すなわちダンパ(エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパ)のみの容易な取り付け、取り外しが可能となり、組み付け作業効率、メンテナンス効率等を向上できる。また、板状部材は、移動方向に実質的に自由な形状に湾曲されるので、挿入口の形状は任意に設定できるとともに、挿入口の開口面積を小さく設定できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の自動車用空調装置の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし図12は、本発明の一実施態様に係る自動車用空調装置を示している。図1において、通風ダクト1内には、図の下方からの通風方向に順に、冷却器としての冷媒の蒸発器2と加熱器としてのヒータ3が配置されている。蒸発器2とヒータ3との間には、蒸発器2を通過した空気をヒータ3に通過させる温風路4と、ヒータ3をバイパスさせて通過させる冷風路5とが形成されている。本実施態様においては、通風ダクト1は2つのサイドケース31、32を接合したものから形成されている。
【0013】
この蒸発器2とヒータ3との間に、2つの通風路、つまり温風路4と冷風路5の通過風量割合を調整するエアミックスダンパとして板状部材6が設けられている。該板状部材6は、後述の吹出口を開閉する板状部材17と同様に移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する構造になっている。
【0014】
通風ダクト1のヒータ3下流側には、各モード用の吹出口が形成されている。VENT吹出口9は、図2に示すように通風ダクト1の幅方向に配列された3つの吹出口からなっている。具体的には略中央に開設されたセンターVENT吹出口10とその両側に設けられたサイドVENT吹出口11、12とからなっている。また、通風ダクト1のVENT吹出口9が開設された同一の面16aにはDEF吹出口13が開設されている。さらに、VENT吹出口9、DEF吹出口13が開設される面16aとは別の面16bにはFOOT吹出口14、15が開設されている。
【0015】
上記吹出口は、吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材17により、各モードに応じて開閉されるようになっている。
【0016】
板状部材6、17は、図3に示すような形状に形成されており、移動方向Aに柔軟性を有し、移動方向と交差する方向に剛性を有する部材から構成されている。素材としては、たとえば可撓性を有する樹脂からなり、その可撓性により上記柔軟性が付与されるとともに、上記移動方向に交差する方向における剛性は表面凹凸により構造的に付与されている。
【0017】
本実施態様では、板状部材6、17の片面18が実質的に平面形状とされ(図3、図5の下面側)、他面が移動方向Aと交差する方向(本実施態様では移動方向と直交する方向)に延び移動方向Aに山部19と谷部20が交互に連接された凹凸形状21に形成されている。この凹凸形状21は、山部19と谷部20が交互に規則的に連接されており、この面にて、歯車あるいは歯車様部材と噛合可能に形成されている。また、本実施態様では、山部19が中空構造(中空部22)に構成されており、板状部材6、17の軽量化がはかられている。板状部材6、17の移動方向Aに交差する方向の両端の凹凸形状21には、図6に示すように、シャフト30a、30bに固定されたギヤ7、23が噛合されている。板状部材6、17はギヤ7、23の回転に伴い図6の矢印方向に移動可能に設けられており、溝状の案内路8、24に沿って案内されるようになっている。案内路8、24は本実施態様では、板状部材6、17の移動方向Aと交差する方向の両側に設けられている。
【0018】
板状部材6、17の移動方向の端縁28、29には、図5に示すように丸みが設けられている。該丸みを設けることにより、案内路8、24における板状部材6、17の円滑な摺動が確保されるようになっている。
【0019】
さらに、吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材17には、図4に示すように、各吹出口を開閉する複数の開口が設けられている。本実施態様においては板状部材17には、3つの開口が開設されている。開口25、26、27は、図4に示すように板状部材17の幅方向に部分的に開設されている。また、本実施態様においては、開口25、26、27は板状部材17の移動方向の位置について重複するように開設されている。図8ないし図12に各モード毎の各開口による各吹出口の開閉状態を示す。
【0020】
通風ダクト1を形成するサイドケース31の面39には、板状部材6の挿入口33と、板状部材17の挿入口34とが開口されている。挿入口33、34はカバー35、36により開閉可能になっている。なお、カバー35、36にはシャフト30a、30bの挿通孔37、38が設けられている。なお、サイドケース32に挿入口33、34を設けてもよいことは当然である。
【0021】
次に、図7を用いて本実施態様における自動車用空調装置の製造方法について説明する。まず、エバポレータ2、ヒータ3等をサイドケース31、32に取り付けるとともにサイドケース31、32を互いに接合する。この状態においては、通風ダクト1が形成され、該ダクト1内にエバポレータ2、ヒータ3が収容され、板状部材6を含む風量割合調整手段の構成部材以外、および板状部材17を含む吹出口開閉調整手段の構成部材以外の各部材は既に通風ダクト1内の所定の位置に設置されている。
【0022】
つづいて、サイドケース31の挿入口33から板状部材6を挿入するとともに、挿入口34から板状部材17を挿入する。板状部材6、17は移動方向Aとは交差する方向から挿入口33、34内へ挿入される。板状部材6を挿入する際には、該板状部材6の凹凸形状21をギヤ7に予め仮組して一体化し、該仮組された複数の部材を挿入口33から同時に挿入してもよい。さらに、板状部材6とギヤ7およびカバー35を予め仮組して一体化し、該仮組された複数の部材を挿入口33から同時に挿入するようにしてもよい。一方、板状部材17の挿入に際しても、板状部材17を図7に示すように略円筒状に丸め、凹凸形状21とギヤ23を噛合させ、これらにシャフト30bを仮組して一体化し、該仮組された複数の部材を挿入口34から同時に挿入することができる。さらに、板状部材17とギヤ23、シャフト30bおよびカバー36を仮組して一体化し、該一体化された複数の部材を挿入口34から同時に挿入することもできる。
【0023】
本実施態様のような自動車用空調装置およびその製造方法によるときは、エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを形成する板状部材6、17は、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する部材から構成されている。このため、板状部材6、17を移動方向に対して実質的に自由な形状に湾曲させることができるので、所望形状に湾曲させたままサイドケース31の挿入口33、34を介して、通風ダクト1内に簡単に取り付けることができる。また、挿入口33、34から板状部材6、17を引き抜けば簡単に取り外すことができる。したがって、板状部材6、17、すなわちダンパ(エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパ)のみの容易な取り付け、取り外しが可能となり、組み付け作業効率、メンテナンス効率等を向上できる。また、板状部材6、17は、移動方向に実質的に自由な形状に湾曲されるので、挿入口33、34の形状は任意に設定できるとともに、挿入口33、34の開口面積を小さく設定できる。
【0024】
さらに、板状部材6、17とギヤ7、23等を仮組して一体化し、該仮組された部材を挿入口33、34から一体的に挿入すれば、複数の部材を同時に挿入し組み付けることができる。また、カバー35、36を取り外せば、板状部材6、17とギヤ7、23を同時に取り外すこともできる。したがって、組み付け作業効率、メンテナンス効率、リサイクル効率をより一層向上できる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動車用空調装置およびその製造方法によるときは、一方のサイドケースの両側から、エアミックスダンパとしての板状部材および/または吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材のみを取り付け、取り外すことができる。また、少なくとも上記板状部材と他の部材を同時に取り付けし、同時に取り外すことも可能である。したがって、組み付け作業効率、メンテナンス効率、リサイクル効率を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る自動車用空調装置の概略断面図である。
【図2】図1の自動車用空調装置の吹出口の開設部の斜視図である。
【図3】図1の自動車用空調装置の板状部材の斜視図である。
【図4】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材の平面図である。
【図5】図1の自動車用空調装置の板状部材の側面図である。
【図6】図1の自動車用空調装置の板状部材とギヤとの噛合状態を示す斜視図である。
【図7】図1の自動車用空調装置の分解斜視図である。
【図8】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(VENTモード)。
【図9】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(バイレベルモード)。
【図10】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(FOOTモード)。
【図11】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(DEF−FOOTモード)。
【図12】図1の自動車用空調装置の吹出口開閉調整ダンパとしての板状部材による吹出口の開閉状態を展開して示した状態図である(DEFモード)。
【符号の説明】
1 通風ダクト
2 蒸発器
3 ヒータ
4 温風路
5 冷風路
6 風量割合調整用板状部材
7 ギヤ
8 案内路
9 VENT吹出口
10 センターVENT吹出口
11、12 サイドベント吹出口
13 DEF吹出口
14、15、 FOOT吹出口
16a、16b 面
17 板状部材
18 片面
19 山部
20 谷部
21 凹凸形状
22 中空部
23 ギヤ
24 案内路
25、26、27 開口
28、29 端縁
30a、30b シャフト
31、32 サイドケース
33、34 挿入口
35、36 カバー
37、38 挿通孔
39 面
Claims (6)
- 複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、温風路と冷風路との風量割合を調整するエアミックスダンパと、前記通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置を製造するに際し、前記エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する板状部材から形成するとともに、少なくとも板状部材を、前記通風ダクトを形成する、いずれか一つのサイドケースの一面に設けられた挿入口から通風ダクト内へ挿入することを特徴とする自動車用空調装置の製造方法。
- 前記板状部材と、該板状部材の駆動用ギヤを仮組して一体的に挿入する、請求項1の自動車用空調装置の製造方法。
- 前記板状部材と、サイドケースに設けられた板状部材の挿入口を塞ぐカバーとを仮組して一体的に挿入する、請求項1または2の自動車用空調装置の製造方法。
- 複数のサイドケースを接合して形成される通風ダクト内に、温風路と冷風路との風量割合を調整するエアミックスダンパと、前記通風ダクトに形成された複数の吹出口を各モードに応じて開閉する吹出口開閉調整ダンパを有する自動車用空調装置において、前記エアミックスダンパおよび/または吹出口開閉調整ダンパを、移動方向に柔軟性を有しそれと交差する方向に剛性を有する板状部材から構成するとともに、前記通風ダクトを形成するいずれか一つのサイドケースの一面に、少なくとも前記板状部材を挿入可能な挿入口を開設したことを特徴とする自動車用空調装置。
- 前記板状部材と、該板状部材の駆動用ギヤとが一体的に挿入可能に構成されている、請求項4の自動車用空調装置。
- 前記板状部材と、挿入口を塞ぐカバーとが一体的に挿入可能に構成されている、請求項4または5の自動車用空調装置。
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