JP2004157014A - 微量成分の定量分析方法 - Google Patents

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Akimichi Kira
昭道 吉良
Takeshi Uemura
健 植村
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Abstract

【課題】捕集体の捕集効率の変動影響を受けることがないとともに、面倒な前処理を必要とすることがない微量成分の定量分析方法を提供すること。
【解決手段】液体または気体4に含まれる微量成分6を捕集体3によって捕集し、当該捕集体3を表面分析装置10によって測定することにより、前記微量成分を定量分析する方法において、前記捕集体3を複数枚重ねたものに対して微量成分6を含む液体または気体4を通過させて前記微量成分を前記捕集体にそれぞれ捕集し、これら捕集体3をそれぞれ表面分析装置10で測定したときに得られる複数の測定結果に基づいて連立方程式を作成し、この連立方程式を解くことによって前記微量成分6の濃度を求めるようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、排水中や大気中などに微量に含まれる金属や有機物などの物質を定量分析する微量成分の定量分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】「X線分析の進歩18」(X線工業分析第22集)第149〜155頁(株式会社アグネ技術センター、昭和62年3月31日発行)
排水中に微量に含まれる微量成分(例えば金属)を定量分析する方法の一つとして、上記非特許文献1に記載される「キレート試薬を含むPVC膜を用いた濃縮法による排水試料中の金属イオンの蛍光X線分析方法」がある。この微量成分の定量分析方法においては、7−(1−ethenyl−3,3,5,5−tetramethylhexyl)−8−quinolinol(Kelex100)をキレート試薬として含むポリ塩化ビニル(PVC)膜体を、適宜pHに調整した試料溶液10mL中に入れて、150分間振とう(シェイキング)して前記膜体に微量成分を捕集し、その後、蒸留水で洗浄して乾燥した後に、蛍光X線分析装置を用いて定量を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記微量成分の定量分析方法においては、試料溶液のpH値やシェイキング時間によって定量対象である微量成分の捕集効率が変動するため、捕集効率が安定な条件を調査して確認した上で、その条件で微量成分を捕集した膜体を蛍光X線分析に供している。このように、上記従来の方法は、膜体による微量成分の捕集効率が安定しているか否かの確認が必要であり、一般に未知試料全てについて確認するのが困難である。また、上記従来の微量成分の定量分析方法は、前記安定な条件を調査して確認する作業に時間がかかるとともに、シェイキングをかなり長時間にわたって行う必要があるなど前処理が非常に面倒であるため、現在のところそれほど普及していない。
【0004】この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、捕集体の捕集効率の変動影響を受けることがないとともに、面倒な前処理を必要とすることがない微量成分の定量分析方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、液体または気体に含まれる微量成分を捕集体によって捕集し、当該捕集体を表面分析装置によって測定することにより、前記微量成分を定量分析する方法において、前記捕集体を複数枚重ねたものに対して微量成分を含む液体または気体を通過させて前記微量成分を前記捕集体にそれぞれ捕集し、これら捕集体をそれぞれ表面分析装置で測定したときに得られる複数の測定結果に基づいて連立方程式を作成し、この連立方程式を解くことによって前記微量成分の濃度を求めるようにしている(請求項1)。
【0006】前記微量成分の定量分析方法においては、例えば測定試料としての溶液を、膜状の捕集体を複数枚重ねた状態のものを通過させると、前記溶液中に含まれる微量成分が前記捕集体の捕集効率にしたがって捕集される。そして、各捕集体を、例えば蛍光X線分析装置などの表面分析装置を用いて測定することにより、同一の微量成分に対して複数の測定強度が得られる。この測定強度は、前記微量成分の濃度と捕集体の微量成分の捕集効率の関数であるから、複数の測定強度に基づいて連立方程式を作成し、この連立方程式を解くことによって、捕集効率の変動影響を受けることなく、微量成分の濃度を高精度に求めることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。以下の実施の形態においては、試料としての液体中に含まれる微量成分の定量分析を行う場合について説明する。
【0008】この発明の微量成分の定量分析方法(以下、単に定量分析方法という)においては、まず、図1に示すように、捕集用カートリッジ1を用いて、試料としての溶液(図示していない)中に含まれる微量成分としての金属元素を捕集する。前記カートリッジ1は、例えばステンレス鋼やフッ素樹脂よりなり、上下両端が開放された円筒2内に、複数(図示例では3枚)の捕集体3を着脱自在に積層してなるものである。前記捕集体3は、溶液中の液体を通過させ、溶液中の微量成分を所定の捕集効率で捕集することのできるフィルタとしての性能を備えてなるもので、例えばキレート樹脂よりなり、適宜の厚さおよび外径を有する例えば薄い円板状の膜体に形成されている。上記カートリッジ1としては、例えば、3M社のエムポアキレートディスクカートリッジがある。なお、エムポアは3M社の登録商標である。また、図中の矢印4は試料としての溶液を示し、5はカートリッジ1通過後の溶液4Aを収容する廃液槽である。
【0009】上記図1に示すようにして、溶液4を、複数の捕集体3を積層した多層構造のカートリッジ1を通過させることにより、捕集体3における捕集効率にしたがって、各捕集体3に微量成分6が捕集される。
【0010】その後、前記各捕集体3のそれぞれを、例えば図2に示す表面分析装置10を用いて測定する。この図2は、表面分析装置10としての蛍光X線分析装置で、この図において、11はX線12を発生するX線源、13は試料、14は試料13に対するX線12の照射により試料13において発生する蛍光X線15を検出するX線検出器、16はアンプ、17はマルチチャンネルアナライザ、18はコンピュータである。このように構成された装置10においては、X線源11から発せられたX線12が試料13に照射され、試料13から発せられる蛍光X線15をX線検出器14で検出し、その出力である電気信号をアンプ16を経てマルチチャンネルアナライザ17に入力し、エネルギースペクトルを得る。このエネルギースペクトルをコンピュータ18が螢光X線エネルギーのスペクトルデータとして読み取ることにより、蛍光X線強度がデータとして得られる。
【0011】すなわち、前記図2に示した蛍光X線分析装置10の試料13に代えて、微量成分をそれぞれ捕集した捕集体3を一つずつ載置して、X線照射を行い、そのときの蛍光X線強度を求めるのである。
【0012】次に、前記蛍光X線強度から一つの微量成分の濃度を定量する手法について説明する。
今、捕集体3の捕集効率をそれぞれα(未知)とし、試料溶液S(既知)リットル中に微量成分としての金属元素Aが濃度X(未知)で存在するものとすると、捕集体3がn枚積層されている場合、各捕集体3における金属元素Aの捕集量および透過量は、下記のようになる。
Figure 2004157014
したがって、n枚目の捕集体3における捕集量は、
α・(1−α)n−1 ・S・X
となる。
【0013】そして、n枚目の捕集体3の蛍光X線強度Iが下記(1)式で表されるものとする(極低濃度の場合は成立する)。
=k・α・(1−α)n−1 ・S・X+B ……(1)
ここで、kは比例係数、Bはバックグラウンドである。
【0014】上記(1)式においては、未知数が濃度X、捕集効率α、比例係数k、バックグラウンドBの4つであり、4枚の捕集体3のデータに基づいて連立方程式を立ててこれを解こうとしても、濃度Xと比例係数kに独立性がないので、目的とする濃度Xの値を求めることができない。なお、捕集効率αが高すぎても低すぎても解を求めることができないと考えられる。
【0015】そこで、内標準法を用いて、以下の手順で比例係数kを求めておくことが考えられる。
今、濃度xが既知である内標準元素iについて、n枚目の捕集体3の蛍光X線強度I は下記(2)式で表される。
=h・k・α・(1−αn−1 ・S・X+B ……(2)
ここで、hは内標準元素iの相対感度比(装置定数、既知)、kは比例係数である。
【0016】上記(2)式においては、未知数が比例係数k、捕集効率α、バックグラウンドBの3つであるので、3枚の捕集体3のデータに基づいて連立方程式を立ててこれを解くことにより、解を求めることができ、比例係数kを求めることができる。
【0017】上述のようにして、比例係数kを予め求めておけば、未知試料測定時の元素jについて、n枚目の捕集体3の蛍光X線強度I は下記(3)式で表される。
=h・k・α・(1−αn−1 ・S・X+B ……(3)
ここで、hは元素jの相対感度比(装置定数、既知)である。
【0018】上記(3)式においては、未知数が捕集効率α、濃度X、バックグラウンドBの3つであるので、3枚の捕集体3のデータに基づいて連立方程式を立ててこれを解くことにより、解を求めることができ、元素jの濃度Xを求めることができる。
【0019】上述した方法は、測定試料のpHによって捕集効率αが変動しても、求める微量成分濃度Xは、前記変動影響を受けることがない。したがって、捕集効率が事前に不明であってもまた不安定であっても、微量成分の濃度を高精度に求めることができる。また、冒頭に挙げた従来技術と異なり、煩わしい前処理を行う必要がなく、所望の定量分析を簡単に行うことができる。
【0020】上述の実施の形態においては、比例係数kを求めるのに内標準法を用いていたが、この発明はこれに限られるものではなく、例えば濃度が既知の標準試料をカートリッジ1に流すことにより、比例係数kを求めるようにしてもよい。
【0021】また、上述の実施の形態では、積層される複数の捕集体3の捕集効率αが未知でかつ同一であったが、複数の捕集体3の捕集効率αがそれぞれ異なっていてもそれぞれの捕集効率の比が予め分かっていればよい。例えば、1枚目、2枚目、3枚目の捕集効率を、それぞれα,α,αとするとき、
α=1.1α
α=1.2α
と言うような関係が成り立つような場合である。
【0022】そして、上記実施の形態においては、カートリッジ1に供給される試料が液体であったが、この発明はこれに限られるものではなく、試料がガスであっても、上述の手法で、微量成分を複数の捕集体3に捕集し、これらの捕集体3を蛍光X線分析装置10によって測定を行って蛍光X線強度を求めるようにしてもよい。
【0023】また、微量成分をそれぞれ捕集した複数の捕集体3を測定する表面分析装置10として、前記蛍光X線分析装置のほかに、FTIR(フーリエ変換赤外分光計)や、MS(質量分析計)を用いてもよい。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の定量分析方法によれば、捕集体の捕集効率の変動影響を受けることがないので、微量成分の定量分析を高精度で行うことができる。そして、分析に供する試料に対してなんら前処理を行う必要がなく、きわめて簡単に所望の定量分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の微量成分の定量分析方法の前段階に用いる装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】前記定量分析方法の後段階に用いる装置の構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
3…捕集体、4…液体または気体、6…微量成分、10…表面分析装置。

Claims (2)

  1. 液体または気体に含まれる微量成分を捕集体によって捕集し、当該捕集体を表面分析装置によって測定することにより、前記微量成分を定量分析する方法において、前記捕集体を複数枚重ねたものに対して微量成分を含む液体または気体を通過させて前記微量成分を前記捕集体にそれぞれ捕集し、これら捕集体をそれぞれ表面分析装置で測定したときに得られる複数の測定結果に基づいて連立方程式を作成し、この連立方程式を解くことによって前記微量成分の濃度を求めるようにしたことを特徴とする微量成分の定量分析方法。
  2. 連立方程式における比例係数を、標準試料を内標準法を用いて求めるようにしてなる請求項1に記載の微量成分の定量分析方法。
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