JP2004157355A - 光ファイバのモードフィールド径拡大装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】TECファイバを容易に量産する。
【解決手段】光ファイバ1は、被覆の一部が除去されて被覆除去部2が形成され、固定治具6,6によって軸線方向に伸長させた状態で固定されている。被覆除去部2が多孔バーナ3によって加熱されることにより、モードフィールド径が拡大する。多孔バーナ3は火炎噴射孔5を複数備え、互いに隣接する火炎噴射孔5間が等間隔に形成されている。同時に、火炎噴射孔5が形成された火炎噴射面3aが設けられ、この火炎噴射面3aは平坦状に形成されている。したがって、各火炎噴射孔5から噴射された燃焼炎の形状は線状または面状に拡げられる。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバ1は、被覆の一部が除去されて被覆除去部2が形成され、固定治具6,6によって軸線方向に伸長させた状態で固定されている。被覆除去部2が多孔バーナ3によって加熱されることにより、モードフィールド径が拡大する。多孔バーナ3は火炎噴射孔5を複数備え、互いに隣接する火炎噴射孔5間が等間隔に形成されている。同時に、火炎噴射孔5が形成された火炎噴射面3aが設けられ、この火炎噴射面3aは平坦状に形成されている。したがって、各火炎噴射孔5から噴射された燃焼炎の形状は線状または面状に拡げられる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバのコアまたはクラッドの添加剤を熱拡散させることによって、熱拡散コア拡大光ファイバ(Thermally diffused Expanded Coreファイバ:以下TECファイバと略す。)を製造するための光ファイバのモードフィールド径拡大装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エルビウムドープ光ファイバとして挙げられる異なるコア径どうしの光ファイバの接続や光ファイバと各種光部品との接続に、光ファイバのモードフィールド径を拡大する技術が適用されている。
【0003】
その技術の一つに、光ファイバを加熱し、光ファイバを構成するコアまたはクラッドの添加剤(例えばGe,F等)、すなわちコア中のゲルマニウムまたはクラッド中のフッ素を熱拡散させて、クラッドまたはコア中にしみ出させ、その結果として光ファイバ断面における屈折率分布になだらかな変化をもたせ光ファイバのモードフィールド径を拡大させる手法がある。これは見かけ上、コアの拡大ができることからThermally diffused Expanded Core、すなわちTECと呼ばれている。このTEC技術を用いれば、異なるコア径の光ファイバの接続において、モードフィールド径を整合させることができ、光の伝送損失を低減することができるばかりではなく、光ファイバと各種レンズを含む光部品との接続における光軸合わせを容易とし、また構成する部品の精度を低下させることができるため、製造コストを下げることができるものである。
【0004】
このTECファイバの製作としては、従来より酸水素ガスやプロパンガス等を用いたガスバーナによる加熱方法が行われている。(例えば、特許文献1参照。)。
この方法では、1本の光ファイバの被覆の一部をして、光ファイバのガラス部分を露呈させ、光ファイバの両端を固定治具にて保持したのち、マイクロバーナを光ファイバの軸方向に走査し、燃焼炎が光ファイバの被覆除去部を繰り返し加熱することにより行われる。この方法によってモードフィ−ルド径は10μmの通常のシングルモード光ファイバで最大約40μmほどにまでなる。
【0005】
ここで、マイクロバーナとは、小型でパイプ状の形状をなしており孔は単一のもので、これによって燃焼ガスを燃焼させた場合、LPGでは、見た目は直径5mmほどの略球状の大きさの燃焼炎になる。孔が大きくなると燃焼炎は大きくなるが、あまり大きすぎると炎の外と中で温度が異なってしまうため、光ファイバに与える熱が不均一となり製作上好ましくない。また、ガスの量を多くして、炎を大きくしたとしても、燃焼の風圧で光ファイバが曲げられてしまう。したがって、このようなマイクロバーナによって製作する場合には、マイクロバーナを走査することにより製作している。
【0006】
また、マイクロバーナに複数のガス噴射口を備えたものもある。(例えば、特許文献2参照。)。
すなわち、複数のガス噴射口を平面視において波状の長方形とするように連続形成したものや、マイクロトーチの先端形状を複数本の極細径のパイプを並べて配置したものである。
【0007】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0008】
【特許文献1】
特許第2693649号公報
【特許文献2】
特開2001−343549号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の光ファイバのモードフィールド径拡大装置のうち、前者の方法においては、ガス噴射口が1つであるマイクロバーナを用いているため、多数本の光ファイバを配置して量産化しようとしても、燃焼炎によって広範囲に拡げることは困難であり、また、他の方法としてバーナを前後左右に走査する方法では、製造時間がかかり過ぎてしまう。また、モードフィールド径拡大部を光ファイバの軸線方向に対して所定の長さだけ必要とする場合、ガスバーナを光ファイバの軸線方向に沿って繰返し走査して所定の長さのモードフィールド拡大部を得る必要があった。このため、光ファイバに与える熱量が不均一になり、光ファイバが局所的に軟化して曲がりを生じたり、光ファイバのクラッド外径が変化したりしてしまう。また、複数組のマイクロバーナを用いて複数のモードフィールド径を拡大させようとすると、マイクロバーナの端部の位置や、それぞれのガス流量によって、光ファイバに与えらる熱量も一定ではなく、加熱ムラが生じてしまい、かつ流量調節器も複数必要であることからコスト高になってしまういう問題があった。
【0010】
また、後者のように、複数の火炎噴射口を複数並べた方式は量産用の燃焼炎として検討はできるが、これら形状であると光ファイバ1本の幅を加熱するにはよいが、多数本加熱するには細すぎてしまい充分とはいえない。
これらの理由により、従来の方法ではTECファイバを容易に量産することは実用上不可能であった。
【0011】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、TECファイバを容易に量産するための光ファイバのモードフィールド径拡大装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、被覆の一部を除去して被覆除去部を形成した光ファイバと、この光ファイバの被覆除去部の両端側を保持して光ファイバを軸線方向に伸長させた状態で被覆除去部を燃焼炎によって加熱する加熱手段とを備え、この加熱手段によって光ファイバのコアまたはクラッドの少なくともいずれか一方の添加剤を熱拡散させてモードフィールド径を拡大させる光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、前記加熱手段のガス噴射口先端をバーナ先端が平板面に複数のガス噴射口を有する多孔バーナとし、互いに隣接するガス噴射口間を形成するとともに、このガス噴射口が形成された火炎噴射面を平坦状に形成することにより、各ガス噴射口から噴射された燃焼炎の形状を線状または面状に拡げる。
したがって、平板面にある複数のガス噴射口から出されたガスは平板上を拡がり、燃焼炎は空間的には平坦状で線状または面状に拡がるので、燃焼炎が光ファイバの被覆除去部を広く均一に加熱し、均一なTEC処理が可能になるばかりか、光ファイバが溶けて流れてしまうことによる外径変動を低減することができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記多孔バーナを光ファイバを挟んで少なくとも一対設けたものである。
したがって、光ファイバの上下または左右で加熱することにより均等に熱量を与えることができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記多孔バーナの燃焼炎を光ファイバの軸線方向に走査する。
したがって、所定の長さ燃焼炎を走査することにより、必要なTEC処理の長さを得ることが可能となり、光ファイバの軸線上の加熱ムラを防ぐこともできる。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記燃焼炎の長手方向と光ファイバの軸線方向を一致させたものである。
したがって、燃焼炎を走査させることなく、光ファイバの所定の長さのモードフィールドを拡大することができる。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、請求項1ないし3に係る発明において、前記光ファイバを少なくとも2本以上並列に配置するとともに、前記多孔バーナの燃焼炎を光ファイバの軸線方向と直交する方向に配置したものである。
したがって、燃焼炎に拡がりをもたせることによって、加熱できる光ファイバの本数を増加させて一括して処理できるので、生産量が飛躍的に増大し製造コストが低減する。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、請求項1ないし5に係る発明において、光ファイバを多芯のテープファイバとしたものである。
したがって、燃焼炎が拡がりをもつことにより、今までは不可能であった8芯または12芯の光ファイバを有する多芯のテープファイバのTEC処理が1本のみならず同時に複数本の処理が可能になる。
【0018】
また、請求項7に係る発明は、請求項1ないし6に係る発明において、前記多孔バーナのガス噴射口を光ファイバの軸線方向と軸線方向と直交する方向に設けたものである。
したがって、燃焼炎を走査することなく、多数の光ファイバを一度に処理できる。
【0019】
また、請求項8に係る発明は、請求項1ないし7に係る発明において、前記多孔バーナの材質をステンレスまたは石英ガラスとしたものである。
したがって、バーナ材が飛散して、光ファイバに付着することを防ぎ、クリーンにTEC処理が可能となるため安定した品質のTEC化したファイバが得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は、請求項1に記載した発明に係るもので、本発明の第1の実施形態を斜め上方から視たモデル図である。
同図において、1は単芯の光ファイバであって、被覆が所定の長さ除去された被覆除去部2、すなわちクラッド部2が露呈している。この光ファイバ1は、4本同時に軸線方向に伸長させた状態で、クラッド部2の両端側を左右一対の固定治具6,6によって固定されている。3は光ファイバ1のクラッド部2を加熱する加熱手段としての多孔バーナであって、平面視長方形の箱状を呈している。この多孔バーナ3は、酸素とプロパンガスを多孔バーナ3の直前で混合させ、混合ガスを一度多孔バーナの空洞で溜めて、平板面に複数あるガス噴射口5から同じ圧力によって噴射し、この多孔バーナ3の平面上に広範囲で平坦な燃焼炎4を形成する。
【0021】
この多孔バーナ3においては、4つのガス噴射口5が形成された上面3aが平坦状に形成されて火炎噴射面3aを構成しているとともに、各ガス噴射口5間の間隔Pが同一に形成されている。この多孔バーナ3は、同図に示すように、光ファイバ1のクラッド部2の下方に、その長手方向が光ファイバ1の軸線方向と直交(図中Y方向)するように設けられている。
【0022】
このように構成されていることにより、多孔バーナ3の各ガス噴射口5から噴射された燃焼炎4は、平坦状に形成された火炎噴射面3aに沿って図中X軸方向とY軸方向、すなわち面状に拡がり、4本の光ファイバ1の各クラッド部2を均一に加熱する。したがって、加熱ムラがなくなるので、光ファイバ1が局所的に軟化して曲がりを生じたり、光ファイバ1のクラッド部2の外径が変化したりするようなことがない。また、加熱ムラがなくなることにより、多数の光ファイバ1を一度に処理できるばかりではなく、加熱中に光ファイバ1をX軸方向またはY軸方向に移動させる必要がないから処理時間を短縮することができ、TECファイバの量産化が可能になる。
【0023】
ここで使用した多孔バーナ3の外形寸法は、幅が5mm、奥行きが10mmであって、形成された燃焼炎4の形状は、幅が略5mm、長さが略8mm、高さが略4mmの均整のとれた略直方体状を呈していることが目視によって確認できた。
なお、この実施の形態においては、単芯の光ファイバ1を並列に多数配置して加熱したが、この光ファイバ1は多芯のテープファイバであってもよい。すなわち、燃焼炎4が拡がりをもつことにより、今までは不可能であった8芯または12芯の光ファイバを有する多芯のテープファイバのTEC処理が1本のみならず同時に複数本の処理が可能になる。
【0024】
この第1の実施の形態に基づき、5本の光ファイバを並列に配置して同時に30分加熱し、加熱したクラッド部の中央を切断し、切断面のモードフィールド径を測定して加熱前と比較した。なお、加熱した5本の光ファイバはいずれもクラッド外径が125μmで、比屈折率差が0.3%のシングルモード光ファイバを使用した。
【0025】
波長1.55μmでモードフィールド径を計測し、表1に示すような結果が得られた。加熱した全ての光ファイバにおいて、モードフィールド径は10.4μmから20.1μmというように略2倍に拡大していることが明らかとなり、各ファイバのモードフィールド径に不均一性もなくきわめて良好な加熱状態が得られることがわかった。また外径変動についても122μm〜125μmであり、単数のガス噴射口を有するマイクロバーナでは120μm〜125μmであるのに対して2μm改善することができた。
なお、掲載は省くが、第1の実施の形態に基づいて多芯のテープファイバを加熱した結果、表1と同様にモードフィールドの拡大が得られることが明らかとなった。
【0026】
【表1】
【0027】
図2は請求項2に記載した発明に係るもので、本発明の第2の実施形態を示す正面から視たモデル図である。
この第2の実施形態においては、一対の多孔バーナ3を、並列に配置した複数の光ファイバ1のクラッド部2を挟むように上下に対向するように配設したものである。このように構成することにより、光ファイバ1のクラッド部2を対称軸として上下から均一に加熱することができるので、多孔バーナ3を一方向のみに配設して加熱した場合と比較して、より均一にモードフィールド径を拡大することができる。また、第1および第2の実施形態において、多孔バーナ3を光ファイバ1の軸線方向(図中X軸方向)に沿って繰返し走査することで、広範囲なモードフィールド径拡大部が得られる。なお、7は基台であって、一対の固定治具6,6はこの基台7上に立設するように固定されている。
【0028】
図3は請求項4に記載した発明に係るもので、本発明の第3の実施形態を正面から視たモデル図である。この第3の実施形態においては、多孔バーナ3を、その長手方向が光ファイバ1の軸線方向に沿うように配置し、この多孔バーナ3によって形成された線状の燃焼炎4によって、多孔バーナ3を光ファイバ1の軸線方向に走査させることなく、光ファイバ1のクラッド部2を均一に加熱するようにしたものである。したがって、光ファイバ1の局所的な軟化に伴う曲がりやクラッド部2の外径の変化を防ぐことができ、また、多孔バーナ3を走査させることなく光ファイバ1のクラッド部2を均一に加熱することができるので、同図に示すように、コア部8が光ファイバ1の軸線方向に沿って、均一に拡大された長さLなるモードフィールド径拡大部9を形成することができる。
【0029】
図4は請求項7に記載した発明に係るもので、本発明の第4の実施形態を斜め上方から見たモデル図である。この第4の実施形態においては、多孔バーナ3のガス噴射口5を光ファイバ1の軸線方向と軸線方向と直交する方向にマトリックス状に多数設けたものである。このような構成とすることにより、多孔バーナ3のガス噴射口5から噴射された燃焼炎4が、X軸方向とY軸方向の広範囲にわたって面状に形成されるので、多数の光ファイバ1を一度に、かつ光ファイバ1の軸線方向にわたって広範囲に加熱することができる。
【0030】
なお、本発明の実施において燃焼炎4の熱による多孔バーナ3の材質劣化や、または多孔バーナ3より発生する酸化物や飛散物等を防ぐために多孔バーナ3の材質はステンレスまたは石英ガラスとすることにより耐久性が向上する。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバのモードフィールド径拡大装置によれば、多孔バーナのガス噴射口から噴射された燃焼炎が広範囲に面状に拡がることにより、同時に多数の光ファイバを加熱することでTECファイバを量産することができ、TECファイバの製作コストが大幅に低減し、それによってTECファイバを用いた光ファイバ接続や光部品モジュール等のコストも低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を斜め上方から見たモデル図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を正面から見たモデル図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を正面から見たモデル図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態を斜め上方から見たモデル図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ、2…クラッド部(被覆除去部)、3…多孔バーナ、3a…火炎噴射面、4…燃焼炎、5…ガス噴射口、6…固定治具、8…コア部、9…モードフィールド径拡大部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバのコアまたはクラッドの添加剤を熱拡散させることによって、熱拡散コア拡大光ファイバ(Thermally diffused Expanded Coreファイバ:以下TECファイバと略す。)を製造するための光ファイバのモードフィールド径拡大装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エルビウムドープ光ファイバとして挙げられる異なるコア径どうしの光ファイバの接続や光ファイバと各種光部品との接続に、光ファイバのモードフィールド径を拡大する技術が適用されている。
【0003】
その技術の一つに、光ファイバを加熱し、光ファイバを構成するコアまたはクラッドの添加剤(例えばGe,F等)、すなわちコア中のゲルマニウムまたはクラッド中のフッ素を熱拡散させて、クラッドまたはコア中にしみ出させ、その結果として光ファイバ断面における屈折率分布になだらかな変化をもたせ光ファイバのモードフィールド径を拡大させる手法がある。これは見かけ上、コアの拡大ができることからThermally diffused Expanded Core、すなわちTECと呼ばれている。このTEC技術を用いれば、異なるコア径の光ファイバの接続において、モードフィールド径を整合させることができ、光の伝送損失を低減することができるばかりではなく、光ファイバと各種レンズを含む光部品との接続における光軸合わせを容易とし、また構成する部品の精度を低下させることができるため、製造コストを下げることができるものである。
【0004】
このTECファイバの製作としては、従来より酸水素ガスやプロパンガス等を用いたガスバーナによる加熱方法が行われている。(例えば、特許文献1参照。)。
この方法では、1本の光ファイバの被覆の一部をして、光ファイバのガラス部分を露呈させ、光ファイバの両端を固定治具にて保持したのち、マイクロバーナを光ファイバの軸方向に走査し、燃焼炎が光ファイバの被覆除去部を繰り返し加熱することにより行われる。この方法によってモードフィ−ルド径は10μmの通常のシングルモード光ファイバで最大約40μmほどにまでなる。
【0005】
ここで、マイクロバーナとは、小型でパイプ状の形状をなしており孔は単一のもので、これによって燃焼ガスを燃焼させた場合、LPGでは、見た目は直径5mmほどの略球状の大きさの燃焼炎になる。孔が大きくなると燃焼炎は大きくなるが、あまり大きすぎると炎の外と中で温度が異なってしまうため、光ファイバに与える熱が不均一となり製作上好ましくない。また、ガスの量を多くして、炎を大きくしたとしても、燃焼の風圧で光ファイバが曲げられてしまう。したがって、このようなマイクロバーナによって製作する場合には、マイクロバーナを走査することにより製作している。
【0006】
また、マイクロバーナに複数のガス噴射口を備えたものもある。(例えば、特許文献2参照。)。
すなわち、複数のガス噴射口を平面視において波状の長方形とするように連続形成したものや、マイクロトーチの先端形状を複数本の極細径のパイプを並べて配置したものである。
【0007】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0008】
【特許文献1】
特許第2693649号公報
【特許文献2】
特開2001−343549号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の光ファイバのモードフィールド径拡大装置のうち、前者の方法においては、ガス噴射口が1つであるマイクロバーナを用いているため、多数本の光ファイバを配置して量産化しようとしても、燃焼炎によって広範囲に拡げることは困難であり、また、他の方法としてバーナを前後左右に走査する方法では、製造時間がかかり過ぎてしまう。また、モードフィールド径拡大部を光ファイバの軸線方向に対して所定の長さだけ必要とする場合、ガスバーナを光ファイバの軸線方向に沿って繰返し走査して所定の長さのモードフィールド拡大部を得る必要があった。このため、光ファイバに与える熱量が不均一になり、光ファイバが局所的に軟化して曲がりを生じたり、光ファイバのクラッド外径が変化したりしてしまう。また、複数組のマイクロバーナを用いて複数のモードフィールド径を拡大させようとすると、マイクロバーナの端部の位置や、それぞれのガス流量によって、光ファイバに与えらる熱量も一定ではなく、加熱ムラが生じてしまい、かつ流量調節器も複数必要であることからコスト高になってしまういう問題があった。
【0010】
また、後者のように、複数の火炎噴射口を複数並べた方式は量産用の燃焼炎として検討はできるが、これら形状であると光ファイバ1本の幅を加熱するにはよいが、多数本加熱するには細すぎてしまい充分とはいえない。
これらの理由により、従来の方法ではTECファイバを容易に量産することは実用上不可能であった。
【0011】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、TECファイバを容易に量産するための光ファイバのモードフィールド径拡大装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、被覆の一部を除去して被覆除去部を形成した光ファイバと、この光ファイバの被覆除去部の両端側を保持して光ファイバを軸線方向に伸長させた状態で被覆除去部を燃焼炎によって加熱する加熱手段とを備え、この加熱手段によって光ファイバのコアまたはクラッドの少なくともいずれか一方の添加剤を熱拡散させてモードフィールド径を拡大させる光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、前記加熱手段のガス噴射口先端をバーナ先端が平板面に複数のガス噴射口を有する多孔バーナとし、互いに隣接するガス噴射口間を形成するとともに、このガス噴射口が形成された火炎噴射面を平坦状に形成することにより、各ガス噴射口から噴射された燃焼炎の形状を線状または面状に拡げる。
したがって、平板面にある複数のガス噴射口から出されたガスは平板上を拡がり、燃焼炎は空間的には平坦状で線状または面状に拡がるので、燃焼炎が光ファイバの被覆除去部を広く均一に加熱し、均一なTEC処理が可能になるばかりか、光ファイバが溶けて流れてしまうことによる外径変動を低減することができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記多孔バーナを光ファイバを挟んで少なくとも一対設けたものである。
したがって、光ファイバの上下または左右で加熱することにより均等に熱量を与えることができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記多孔バーナの燃焼炎を光ファイバの軸線方向に走査する。
したがって、所定の長さ燃焼炎を走査することにより、必要なTEC処理の長さを得ることが可能となり、光ファイバの軸線上の加熱ムラを防ぐこともできる。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記燃焼炎の長手方向と光ファイバの軸線方向を一致させたものである。
したがって、燃焼炎を走査させることなく、光ファイバの所定の長さのモードフィールドを拡大することができる。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、請求項1ないし3に係る発明において、前記光ファイバを少なくとも2本以上並列に配置するとともに、前記多孔バーナの燃焼炎を光ファイバの軸線方向と直交する方向に配置したものである。
したがって、燃焼炎に拡がりをもたせることによって、加熱できる光ファイバの本数を増加させて一括して処理できるので、生産量が飛躍的に増大し製造コストが低減する。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、請求項1ないし5に係る発明において、光ファイバを多芯のテープファイバとしたものである。
したがって、燃焼炎が拡がりをもつことにより、今までは不可能であった8芯または12芯の光ファイバを有する多芯のテープファイバのTEC処理が1本のみならず同時に複数本の処理が可能になる。
【0018】
また、請求項7に係る発明は、請求項1ないし6に係る発明において、前記多孔バーナのガス噴射口を光ファイバの軸線方向と軸線方向と直交する方向に設けたものである。
したがって、燃焼炎を走査することなく、多数の光ファイバを一度に処理できる。
【0019】
また、請求項8に係る発明は、請求項1ないし7に係る発明において、前記多孔バーナの材質をステンレスまたは石英ガラスとしたものである。
したがって、バーナ材が飛散して、光ファイバに付着することを防ぎ、クリーンにTEC処理が可能となるため安定した品質のTEC化したファイバが得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は、請求項1に記載した発明に係るもので、本発明の第1の実施形態を斜め上方から視たモデル図である。
同図において、1は単芯の光ファイバであって、被覆が所定の長さ除去された被覆除去部2、すなわちクラッド部2が露呈している。この光ファイバ1は、4本同時に軸線方向に伸長させた状態で、クラッド部2の両端側を左右一対の固定治具6,6によって固定されている。3は光ファイバ1のクラッド部2を加熱する加熱手段としての多孔バーナであって、平面視長方形の箱状を呈している。この多孔バーナ3は、酸素とプロパンガスを多孔バーナ3の直前で混合させ、混合ガスを一度多孔バーナの空洞で溜めて、平板面に複数あるガス噴射口5から同じ圧力によって噴射し、この多孔バーナ3の平面上に広範囲で平坦な燃焼炎4を形成する。
【0021】
この多孔バーナ3においては、4つのガス噴射口5が形成された上面3aが平坦状に形成されて火炎噴射面3aを構成しているとともに、各ガス噴射口5間の間隔Pが同一に形成されている。この多孔バーナ3は、同図に示すように、光ファイバ1のクラッド部2の下方に、その長手方向が光ファイバ1の軸線方向と直交(図中Y方向)するように設けられている。
【0022】
このように構成されていることにより、多孔バーナ3の各ガス噴射口5から噴射された燃焼炎4は、平坦状に形成された火炎噴射面3aに沿って図中X軸方向とY軸方向、すなわち面状に拡がり、4本の光ファイバ1の各クラッド部2を均一に加熱する。したがって、加熱ムラがなくなるので、光ファイバ1が局所的に軟化して曲がりを生じたり、光ファイバ1のクラッド部2の外径が変化したりするようなことがない。また、加熱ムラがなくなることにより、多数の光ファイバ1を一度に処理できるばかりではなく、加熱中に光ファイバ1をX軸方向またはY軸方向に移動させる必要がないから処理時間を短縮することができ、TECファイバの量産化が可能になる。
【0023】
ここで使用した多孔バーナ3の外形寸法は、幅が5mm、奥行きが10mmであって、形成された燃焼炎4の形状は、幅が略5mm、長さが略8mm、高さが略4mmの均整のとれた略直方体状を呈していることが目視によって確認できた。
なお、この実施の形態においては、単芯の光ファイバ1を並列に多数配置して加熱したが、この光ファイバ1は多芯のテープファイバであってもよい。すなわち、燃焼炎4が拡がりをもつことにより、今までは不可能であった8芯または12芯の光ファイバを有する多芯のテープファイバのTEC処理が1本のみならず同時に複数本の処理が可能になる。
【0024】
この第1の実施の形態に基づき、5本の光ファイバを並列に配置して同時に30分加熱し、加熱したクラッド部の中央を切断し、切断面のモードフィールド径を測定して加熱前と比較した。なお、加熱した5本の光ファイバはいずれもクラッド外径が125μmで、比屈折率差が0.3%のシングルモード光ファイバを使用した。
【0025】
波長1.55μmでモードフィールド径を計測し、表1に示すような結果が得られた。加熱した全ての光ファイバにおいて、モードフィールド径は10.4μmから20.1μmというように略2倍に拡大していることが明らかとなり、各ファイバのモードフィールド径に不均一性もなくきわめて良好な加熱状態が得られることがわかった。また外径変動についても122μm〜125μmであり、単数のガス噴射口を有するマイクロバーナでは120μm〜125μmであるのに対して2μm改善することができた。
なお、掲載は省くが、第1の実施の形態に基づいて多芯のテープファイバを加熱した結果、表1と同様にモードフィールドの拡大が得られることが明らかとなった。
【0026】
【表1】
【0027】
図2は請求項2に記載した発明に係るもので、本発明の第2の実施形態を示す正面から視たモデル図である。
この第2の実施形態においては、一対の多孔バーナ3を、並列に配置した複数の光ファイバ1のクラッド部2を挟むように上下に対向するように配設したものである。このように構成することにより、光ファイバ1のクラッド部2を対称軸として上下から均一に加熱することができるので、多孔バーナ3を一方向のみに配設して加熱した場合と比較して、より均一にモードフィールド径を拡大することができる。また、第1および第2の実施形態において、多孔バーナ3を光ファイバ1の軸線方向(図中X軸方向)に沿って繰返し走査することで、広範囲なモードフィールド径拡大部が得られる。なお、7は基台であって、一対の固定治具6,6はこの基台7上に立設するように固定されている。
【0028】
図3は請求項4に記載した発明に係るもので、本発明の第3の実施形態を正面から視たモデル図である。この第3の実施形態においては、多孔バーナ3を、その長手方向が光ファイバ1の軸線方向に沿うように配置し、この多孔バーナ3によって形成された線状の燃焼炎4によって、多孔バーナ3を光ファイバ1の軸線方向に走査させることなく、光ファイバ1のクラッド部2を均一に加熱するようにしたものである。したがって、光ファイバ1の局所的な軟化に伴う曲がりやクラッド部2の外径の変化を防ぐことができ、また、多孔バーナ3を走査させることなく光ファイバ1のクラッド部2を均一に加熱することができるので、同図に示すように、コア部8が光ファイバ1の軸線方向に沿って、均一に拡大された長さLなるモードフィールド径拡大部9を形成することができる。
【0029】
図4は請求項7に記載した発明に係るもので、本発明の第4の実施形態を斜め上方から見たモデル図である。この第4の実施形態においては、多孔バーナ3のガス噴射口5を光ファイバ1の軸線方向と軸線方向と直交する方向にマトリックス状に多数設けたものである。このような構成とすることにより、多孔バーナ3のガス噴射口5から噴射された燃焼炎4が、X軸方向とY軸方向の広範囲にわたって面状に形成されるので、多数の光ファイバ1を一度に、かつ光ファイバ1の軸線方向にわたって広範囲に加熱することができる。
【0030】
なお、本発明の実施において燃焼炎4の熱による多孔バーナ3の材質劣化や、または多孔バーナ3より発生する酸化物や飛散物等を防ぐために多孔バーナ3の材質はステンレスまたは石英ガラスとすることにより耐久性が向上する。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバのモードフィールド径拡大装置によれば、多孔バーナのガス噴射口から噴射された燃焼炎が広範囲に面状に拡がることにより、同時に多数の光ファイバを加熱することでTECファイバを量産することができ、TECファイバの製作コストが大幅に低減し、それによってTECファイバを用いた光ファイバ接続や光部品モジュール等のコストも低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を斜め上方から見たモデル図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を正面から見たモデル図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を正面から見たモデル図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態を斜め上方から見たモデル図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ、2…クラッド部(被覆除去部)、3…多孔バーナ、3a…火炎噴射面、4…燃焼炎、5…ガス噴射口、6…固定治具、8…コア部、9…モードフィールド径拡大部。
Claims (8)
- 被覆の一部を除去して被覆除去部を形成した光ファイバと、この光ファイバの被覆除去部の両端側を保持して光ファイバを軸線方向に伸長させた状態で被覆除去部を燃焼炎によって加熱する加熱手段とを備え、この加熱手段によって光ファイバのコアまたはクラッドの少なくともいずれか一方の添加剤を熱拡散させてモードフィールド径を拡大させる光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、前記加熱手段のガス噴射口先端をバーナ先端が平板面に複数のガス噴射口を有する多孔バーナとし、互いに隣接するガス噴射口間を形成するとともに、このガス噴射口が形成された火炎噴射面を平坦状に形成することにより、各ガス噴射口から噴射された燃焼炎の形状を線状または面状に拡げることを特徴とする光ファイバのモードフィールド径拡大装置。
- 請求項1記載の光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、前記多孔バーナを光ファイバを挟んで少なくとも一対設けたことを特徴とする光ファイバのモードフィールド径拡大装置。
- 請求項1または2記載の光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、前記多孔バーナの燃焼炎を光ファイバの軸線方向に走査することを特徴とする光ファイバのモードフィールド径拡大装置。
- 請求項1または2記載の光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、前記燃焼炎の長手方向と光ファイバの軸線方向を一致させたことを特徴とする光ファイバのモードフィールド径拡大装置。
- 請求項1ないし3記載の光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、前記光ファイバを少なくとも2本以上並列に配置するとともに、前記多孔バーナの燃焼炎を光ファイバの軸線方向と直交する方向に配置したことを特徴とする光ファイバのモードフィールド径拡大装置。
- 請求項1ないし5記載の光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、光ファイバを多芯のテープファイバとしたことを特徴とする光ファイバモードフィールド径拡大装置。
- 請求項1ないし6記載の光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、前記多孔バーナのガス噴射口を光ファイバの軸線方向と軸線方向と直交する方向に設けたことを特徴とする光ファイバモードフィールド径拡大装置。
- 請求項1ないし7記載の光ファイバのモードフィールド径拡大装置において、前記多孔バーナの材質をステンレスまたは石英ガラスとしたことを特徴とする光ファイバのモードフィールド径拡大装置。
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