JP2004160833A - 加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体 - Google Patents

加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ガスバリア性に優れており、かつ他のフィルムと貼り合わせて包装材料とした場合、そこが高温に曝されたとしてもその一部を構成するガスバリア性被膜層にクラックや剥離等が発生せず、本来のガスバリア性が低下しないようにした、加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の提供を目的とする。
【解決手段】プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、アクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマー層と無機酸化物からなる蒸着薄膜層と水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤かなるガスバリア性被膜層及び二液硬化型ポリウレタン系接着剤からなる接着層とを順次積層してなる被膜層を少なくとも設ける。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や非食品及び医薬品等の包装に使用される包装材料に適用される加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体、特にボイル殺菌、レトルト殺菌等において高温加熱処理がなされてもそのガスバリア性が低下しないようにしたことを特徴とする加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品や非食品及び医薬品等の包装に使用される包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するため、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められている。そのため従来から、温度、湿度等の影響が少ないアルミ等からなる金属箔をガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
【0003】
ところが、アルミ等からなる金属箔層をその一部に具備する包装材料は、温度、湿度等の影響が少なく高度なガスバリア性を有するが、これを介して内容物を確認することができず、また使用後の廃棄の際には不燃物として処理しなければならず、更には検査の際に金属探知器が使用できないなどの欠点を有しており問題があった。
【0004】
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成したフィルムが開発されている(例えば、特許文献1や特許文献2)。これらの蒸着フィルムは、透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有していることが知られ、金属箔等を有する包装材料では得ることのできない透明性とガスバリア性とを共に有するものとして好適に使用されている。
【0005】
更に、上記のような蒸着フィルムに後加工適正を更に付与させたガスバリア性フィルムとして、無機酸化物蒸着膜の上に、第2層として、水酸基を有する水溶性高分子と1種類以上の金属アルコキシド或いは金属アルコキシド加水分解物又は、塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層を積層したガスバリアフィルムも提案されている(特許文献3)。
【0006】
このガスバリアフィルムの第2層であるガスバリア性被膜層は、金属アルコキシド加水分解物と水溶性高分子からなるために、硬い被膜となっている。しかし、このようなフィルムを包装材料として用いて包装袋を作製した場合、その包装袋に対してボイル殺菌やレトルト殺菌のような加熱処理を施すと、その際の圧力の影響により包装袋(包装材料)が膨張し変形するが、ガスバリアフィルムの硬いガスバリア性被膜層は包装袋(包装材料)のこの変形に追随し難いためにクラック等が発生し、ガスバリア性が低下する原因になっていた。
【0007】
ガスバリアフィルムを包装材料の一部として用いる場合、接着剤を用いてこのガスバリアフィルムと他の層と貼り合わせるドライラミネーションにより積層構造とすることがよく行われている。この場合、上記のような硬い被膜層を形成させたガスバリアフィルムを使用した包装材料はその使用過程においてボイル殺菌や加熱殺菌などの加熱処理が施されると膨張、変形し、クラック等が生じる。このような場合、加熱による包装材料の変形に対応できるような柔軟性のある接着剤を使用すると、硬い被膜層は接着剤に追随して変形できるため、加熱後のガスバリア性の低下を防ぐことが可能である。しかし、このようなガスバリア性積層体や包装材料は現在までに見出されていない。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第3442686号明細書
【特許文献2】
特公昭63−28017号公報
【特許文献3】
特開平7−164591号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、ガスバリア性に優れており、かつ他のフィルムと貼り合わせて包装材料として使用される時に加熱処理がされて高温に曝されたとしても、その一部のガスバリア性被膜層にクラック等が発生せず、本来のガスバリア性が低下しないようにした、加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされ、請求項1記載の発明は、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に以下の4つの層を順次積層してなる被覆層が少なくとも設けてあることを特徴とする加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体である。
(1)アクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマー層。
(2)無機酸化物からなる蒸着薄膜層。
(3)水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤からなるガスバリア性被膜層。
(4)ニ液硬化型ポリウレタン系接着剤からなる接着層。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、前記二液硬化型ポリウレタン系接着剤からなる接着層の硬化皮膜のガラス転移温度が5〜20℃の範囲であることを特徴とする。
【0012】
さらにまた、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、前記シランカップリング剤が、アクリルポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基の少なくとも一方と反応する有機官能基を持つことを特徴とする。
【0013】
さらにまた、請求項4記載の発明は、請求項3記載の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、前記シランカップリング剤に含まれる有機官能基が、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基であることを特徴とする。
【0014】
さらにまた、請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素或いはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0015】
さらにまた、請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0016】
さらにまた、請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、前記被膜層側に、印刷層、介在フィルム、シーラント層のいずれかの層が1つ以上設けてあることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその一実施形態を参照して説明する。
図1は本発明の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体の一実施形態を示す断面模式図である。図1における基材(1)はプラスチック材料からなるフィルム基材であり、その少なくとも片面上に、アクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤とを含んでなる複合物からなるプライマー層(2)、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)、ガスバリア性被膜層(4)、さらに二液硬化型ポリウレタン系接着剤からなる接着層(5)を順次積層してなる被膜層が少なくとも設けてある。
【0019】
上述した基材(1)はプラスチック材料からなるフィルム基材であり、後述する蒸着薄膜層(3)の透明性を生かすために可能であれば透明なフィルム基材であることが好ましい。基材(1)の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等からなるポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等からなるポリオレフィンフィルム、更にはポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。基材(1)は、機械的強度や寸法安定性を有するものが良く、また延伸、未延伸のどちらでも良いが、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。またこの基材(1)の蒸着薄膜層(3)が設けられる面とは反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等からなる薄膜を塗布しておいても良い。また、この薄膜との密着性を良くするために、基材の薄膜形成面側をコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理等のいずれかの方法で処理しておいても良い。
【0020】
基材(1)の厚さは特に制限を受けるものではなく、また包装材料としての適性を考慮して単層構成のみならず、他の異なる性質のフィルムを積層した多層構成のものであっても良い。尚、プライマー層(2)、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)、ガスバリア性被膜層(4)を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmとすることがより好ましい。
【0021】
またこの基材(1)の表面には、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤等を用いて薄膜を形成しておいても良く、またこの薄膜の密着性を良くするために、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、更には薬品処理、溶剤処理を施しておいても良い。これらの処理の中で、特にプラズマ処理は基材(1)表面と次に積層させる無機化合物からなる蒸着薄膜層(3)との密着を強固にするために好ましい。
【0022】
一方、プライマー層(2)は、プラスチック材料からなる基材(1)上に設けられ、基材(1)と無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)との間の密着性を高め、例えばボイル殺菌やレトルト殺菌等の各種加熱処理がなされた時に蒸着薄膜層(3)が剥離しないように設ける層である。
【0023】
このプライマー層(2)は、アクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤との複合物からなっている。
【0024】
アクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物もしくは、アクリル酸誘導体モノマー及びその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基を持つもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等のアクリル酸誘導体モノマーを単独で重合させたものや、スチレン等のその他のモノマーを加えて共重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。またイソシアネート化合物との反応性を考慮するとヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間にあることが好ましい。
【0025】
また、イソシアネート化合物は、上記アクリルポリオールと反応してできるウレタン結合により基材(1)や無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)との密着性を高めるために添加されるもので、主として架橋剤もしくは硬化剤として作用する。このような作用をなすイソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等のモノマー類と、これらの重合体、誘導体が挙げられる。これらは単独でまたは混合して用いられる。
【0026】
アクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると被膜の硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生して加工上問題がでてくる。そこでアクリルポリオールとインソシアネート化合物の配合比としては、イソシアネート化合物由来のイソシアネート基がアクリルポリオール由来の水酸基の50倍以下であることが好ましくい。特に好ましいのはイソシアネート基と水酸基が等量で配合される場合である。混合方法は、周知の方法が使用可能で特に限定しない。
【0027】
また、プライマー層(2)を構成する混合物の一つであるシランカップリング剤は、アクリルポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を持つものが好ましい。例えばγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N―β―(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むもの、更にγ―グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ―(3、4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むもの等である。これらは単独または2種以上の混合物として用いることができる。これらのシランカップリング剤は、一端に存在する有機官能基がアクリルポリオールとイソシアネート化合物からなる複合物中で相互作用を示し、強固なプライマー層を形成する。また、アクリルポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を含むシランカップリング剤を用いることで、共有結合に由来する強固なプライマー層が形成でき、しかも他端のアルコキシ基等の加水分解によって生成したシラノール基が蒸着薄膜層(3)の無機酸化物中の金属や、薄膜の表面の活性の高い水酸基等との強い相互作用により蒸着薄膜層(3)との高い密着性を発現させることができる。また上記シランカップリング剤を金属アルコキシドと共に加水分解反応させたものを用いても構わない。更に上記シランカップリング剤のアルコキシ基がクロロ基、アセトキシ基等になっていても何ら問題はなく、これらのアルコキシ基、クロロ基、アセトキシ基等が加水分解し、シラノール基を形成するものであればプライマー層の複合物の一つとして用いることができる。
【0028】
アクリルポリオールとシランカップリング剤の配合比は、重量比で1/1から100/1の範囲であることが好ましく、より好ましくは2/1から50/1の範囲にあることである。
【0029】
プライマー層(2)の厚さは、均一に塗膜が形成することができる範囲であれば特に限定しない。しかし、乾燥塗膜は一般的に0.01〜2μmの範囲であることが好ましい。厚さが0.01μmより薄いと均一な塗膜が得られにくく密着性が低下する場合がある。また厚さが2μmを越える場合は塗膜にフレキシビリティを保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。従って、プライマー層(2)の厚さとしては、0.05〜0.5μmの範囲内にあることが好ましい。
【0030】
プライマー層(2)の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。乾燥条件については、一般的に使用される条件が採用される。
【0031】
次に無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)について、詳しく説明する。
この無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)は本発明の高温処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体におけるガスバリア層を構成する第1の層である。この蒸着薄膜層(3)は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着薄膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を有する層であれば良い。包装材料として使用している際に行われるボイル殺菌、レトルト殺菌等の各種加熱処理耐性を配慮するとこれらの中では、酸化アルミニウムや酸化珪素を用いることがより好ましい。ただし、蒸着薄膜層(3)の構成材料は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば他の無機酸化物も用いることが可能である。
【0032】
蒸着薄膜層(3)の厚さは、用いられる無機酸化物の種類、構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は種々の使用形態を考慮し、この範囲内で適宜選択すれば良い。ただし膜厚が5nm未満であると均一な薄膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合には薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に加わる折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。蒸着薄膜層(3)の厚さは10〜150nmの範囲内にあることがより好ましい。
【0033】
この無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)を形成する方法としては種々在るが、通常の真空蒸着法や、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることが可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いても良いが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着薄膜層(3)と基材(1)の密着性及び蒸着薄膜層(3)の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて形成することも可能である。また、蒸着薄膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガス等を吹き込む反応蒸着法を用いても一向に構わない。
【0034】
続いて、ガスバリア層を構成する第2の層であるガスバリア性被膜層(4)を説明する。ガスバリア性被膜層(4)は、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させる等の処理を行ったものを混合したものをコーティング剤とする。このコーティング剤を無機化酸化物からなる蒸着薄膜層(3)上にコーティング後、加熱乾燥してこのガスバリア性被膜層(4)は形成される。
【0035】
次にコーティング剤に含まれる各成分について以下に詳細に説明する。
このコーティング剤に用いられる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)はコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAや酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等を用いることができるが、これ以外のものを用いても一向に構わない。
【0036】
また金属アルコキシドとしては、一般式、M(OR)n (M:Si、Ti、Al、Zr等の金属、R:CH、C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C〕等が挙げられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0037】
この溶液中にガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤等の公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
【0038】
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法等の従来公知の方法を用いることが可能である。
【0039】
ガスバリア性被膜層(4)の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって最適条件が異なり特に限定されるものではない。但し、乾燥後の厚さが0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られなく、十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は塗膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。従って、その厚さは0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
【0040】
次に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤からなる接着層(5)について詳しく説明する。この接着層(5)は、前記のような硬いガスバリア性被膜層(4)を持ったガスバリアフィルムと任意のフィルムとを貼り合わせて包装材料として使用する際、そこに加熱殺菌処理等により高温が加わった場合、そのガスバリア性被膜層(4)にクラック等が発生するのを防ぐ目的で、柔軟性のあるものを用いることが好ましい。
【0041】
接着剤に柔軟性を持たせるための方法としては、接着剤として二液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用し、かつ硬化被膜におけるガラス転移温度を5〜20℃の範囲にすることがより好ましい。ガラス転移温度をこの範囲にすることで、通常使用する室温領域では硬化後の接着剤の被膜はゴム状態をなし、柔軟性を保つことができ、加熱処理がなされて包装材料が膨張、変形した場合においてもこの被膜はこのような動きに容易に追随でき、延いてはガスバリア性被膜(4)にクラック等を生じさせることがなくなる。ガラス転移温度が20℃以上になると、通常使用する室温領域では接着剤の硬化膜は硬いガラス状態となっているために、加熱処理時に硬いガスバリア性被膜層と同様にクラックを発生する原因になるため好ましくない。また、5℃以下のガラス転移温度では、接着層の耐熱性が劣るため、好ましくない。
【0042】
上記のような観点から、本発明においては二液硬化型ポリウレタン系接着剤として、高分子末端に水酸基を有する主剤(ポリオール)と、イソシアネート基を有する硬化剤(ポリイソシアネート)からなり、水酸基とイソシアネート基の反応によりウレタン結合を形成して硬化するものがより好適に使用される。
【0043】
高分子末端に水酸基を有する主剤としては、ポリオールとジカルボン酸からなる末端水酸基のポリエステルポリオール、ポリエステルポリオールとジイソシアネートより得られるポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオールとジイソシアネートから得られるポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの混合物とジイソシアネートから得られるポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオール等が挙げられる。これらは何れも2官能または3官能のポリオールである。これらの中でも、加熱殺菌耐性のある主剤としてはポリエステル系のものを用いるのが好ましい。また、これらは酸無水物変性されていても構わない。
【0044】
また、イソシアネート硬化剤としては、トリメメチロールプロパンにジイソシアネートを付加して得られるアダクト体、ジイソシアネートに水を反応させて得られるビュレット体、ジイソシアネートの重合体で得られるイソシアヌレート等の結合形成を有する多官能ポリイソシアネートを、単独もしくは2種類以上混合して使用できる。また、ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートのような脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0045】
上記した主剤と硬化剤の配合比率は接着剤の組成により異なるが、主剤の水酸基/硬化剤のイソシアネート基の当量比が1/1〜1/3の割合であれば良い。
【0046】
また、二液硬化型ポリウレタン系接着剤中にはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、リン酸類及びその誘導体化合物、多塩基酸無水物等の添加剤を加えることも可能である。
【0047】
二液硬化型ポリウレタン系接着剤の塗布量は、機能、用途等によりその最適条件が異なるが、0.5〜6.0g/mの範囲が好ましく、更に好ましくは1.0〜4.0g/mの範囲である。塗布量が0.5g/mより少ないと均一に塗布することが困難であり、また6.0g/mより多いと接着剤を完全に硬化させるために時間がかかり作業効率が低下する。
【0048】
以上、本発明の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の基本的な構成につき説明したが、包装材料として使用する場合には、二液硬化型接着剤からなる接着層(5)の上に印刷層、介在フィルム層、シーラント層等を必要に応じて適宜積層させて用いれば良い。図2には、図1に示す高温処理耐性を有するガスバリア積層体の接着層(5)の上にシーラント層(6)を更に設けてなる包装材料の一例が示してある。
【0049】
上述した介在フィルム層は、破袋強度や突き刺し強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが好適に使用される。厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的には10〜30μmの範囲である。
【0050】
更にシーラント層は、上記した高温処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の接着層の上に設け、袋状包装体形成用の包装材料としての接着層の役割を担わせるために設けるものである。このようなシーラント層の構成材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。
【0051】
また、基材(1)の反対面にも、必要に応じて印刷層、介在フィルム層、シーラント層等を積層させることも可能である。
【0052】
【実施例】
次に、本発明の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、二液硬化型ポリウレタン系接着剤として、下記に示す接着剤ADH−1、ADH−2、ADH−3、ADH−4を調合した。
【0053】
(ADH−1の調合)
主剤としてポリエステルポリオール、硬化剤としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)のアダクト体をそれぞれの官能基比で1/1となるように混合し、更にそれが固形分率で30wt%となるように酢酸エチルで希釈し、接着剤(ADH−1)を作成した。この接着剤の硬化膜のガラス転移温度は13℃であった。
【0054】
(ADH−2の調合)
主剤としてポリエステルポリウレタンポリオール、硬化剤としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)のアダクト体をそれぞれの官能基比で1/1となるように混合し、更にそれが固形分率で30wt%となるように酢酸エチルで希釈し、接着剤(ADH−2)を作成した。この接着剤の硬化膜のガラス転移温度は14℃であった。
【0055】
(ADH−3の調合)
主剤としてポリエステルポリウレタンポリオール、硬化剤としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)のアダクト体とキシリレンジイソシアネート(XDI)のアダクト体を混合したものを、それぞれの官能基比で1/2となるように混合し、更にそれが固形分率で30wt%となるように酢酸エチルで希釈し、接着剤(ADH−3)を作成した。この接着剤の硬化膜のガラス転移温度は17℃であった。
【0056】
(ADH−4の調合)
主剤としてポリエステルポリオール、硬化剤としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)のアダクト体とキシリレンジイソシアネート(XDI)のアダクト体を混合したものを、それぞれの官能基比で1/1となるように混合し、更にそれが固形分率で30wt%となるように酢酸エチルで希釈し、接着剤(ADH−4)を作成した。この接着剤の硬化膜のガラス転移温度は23℃であった。
【0057】
<実施例1>
希釈溶媒(酢酸エチル)中に、γ−イソシアネートプロピルトリメチルシラン1重量部に対し、アクリルポリオール10重量部を混合し攪拌した。ついでイソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートの7対3混合物をアクリルポリオールの水酸基に対しこのイソシアネート化合物のイソシアネート基が等量となるように加えた。そしてこの混合溶液を添加化合物の総濃度として2重量%となるように希釈し、プライマー溶液とした。
【0058】
次に、下記に示す▲1▼液と▲2▼液を配合比(wt%)で6/4に混合し、ガスバリア性被膜溶液とした。
▲1▼液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2 換算)の加水分解溶液。
▲2▼液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコールは重量比で90:10)。
【0059】
続いて、基材(1)として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、この基材(1)の片面に、上記したプライマー溶液をグラビアコートにより塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのプライマー層(2)を形成した。次いで、電子線加熱方式による真空蒸着装置を用い、そこに金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを導入し、厚さ15nmの酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層(3)を前記工程で設けたプライマー層(2)上に形成した。
続いて、蒸着薄膜層(3)上に上記ガスバリア性被膜溶液をグラビアコート法により塗布し、乾燥させ、厚さ0.4μmのガスバリア性被膜層(4)を形成した。更にガスバリア性被膜層(4)上には上記二液硬化型ポリウレタン系接着剤(ADH−1)を固形分量が3g/mとなるように蒸着薄膜層(3)上に塗布、乾燥させて接着層(5)設け、高温処理耐性を有するガスバリア積層体を得た。
この積層体の接着層(5)の上には厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフィルムをシーラント層としてラミネートし、包装材料を作製した。
【0060】
<実施例2>
二液硬化型ポリウレタン系接着剤として上記ADH−2を用いた他は実施例1と同様の条件にてガスバリアフィルム積層体と包装材料を作成した。
【0061】
<実施例3>
二液硬化型ポリウレタン系接着剤として上記ADH−3を用いた他は実施例1と同様の条件にてガスバリアフィルム積層体と包装材料を作成した。
【0062】
<比較例1>
二液硬化型ポリウレタン系接着剤として上記ADH−4を用いてた他は実施例1と同様の条件にてガスバリアフィルム積層体と包装材料を作成した。
【0063】
<評価方法>
実施例及び比較例で作成した、高温処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体を一部に有するシート状の包装材料用いて4辺をシール部とするパウチを作製し、内容物として水200gを充填した。その後、121℃−30分間のレトルト殺菌を行った。
以下、レトルト殺菌処理前後の酸素透過率(測定条件:30℃−70%RH、単位:cm/m/day)の評価結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 2004160833
【0065】
【発明の効果】
本発明の高温処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体は、以上のような構成であるので、優れたガスバリア性を発現する。また、この積層体はガスバリア性が高く、かつ硬い被膜を有しているが、ガラス転移温度が低く柔軟性に優れた二液硬化型ポリウレタン系接着剤からなる接着層が介在しているため、他のフィルムと貼り合わせて包装材料を設計する場合において、接着剤の柔軟性に追随してガスバリア性被膜層が変形できるために、クラック等が起こりにくく、加熱殺菌等の加熱処理が行われた後も良好なガスバリア性を維持することが可能である。
従って、この高温処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体は、食品及びレトルト食品、医薬品や電子部材等の非食品等の包装においてその実用上の効果がおおいに期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の断面模式図である。
【図2】本発明の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体を用いた包装材料の断面模式図である。
【符号の説明】
1…基材
2…プライマー層
3…無機酸化物からなる蒸着薄膜層
4…ガスバリア性被膜層
5…二液硬化型ポリウレタン系接着剤からなる接着層
6…シーラント層

Claims (8)

  1. プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に以下の4つの層を順次積層してなる被膜層が少なくとも設けてあることを特徴とする加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
    (1)アクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマー層。
    (2)無機酸化物からなる蒸着薄膜層。
    (3)水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤からなるガスバリア性被膜層。
    (4)二液硬化型ポリウレタン系接着剤からなる接着層。
  2. 前記二液硬化型ポリウレタン系接着剤からなる接着層の硬化被膜のガラス転移温度が5〜20℃の範囲であることを特徴とする請求項1記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  3. 前記シランカップリング剤が、アクリルポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基の少なくとも一方と反応する有機官能基を持つことを特徴とする請求項1または2記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  4. 前記シランカップリング剤に含まれる有機官能基が、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基の何れかであることを特徴とする請求項3記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  5. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  6. 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  7. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  8. 前記被覆層側に、印刷層、介在フィルム層、シーラント層のいずれかの層が1つ以上設けてあることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
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