JP2004165233A - ゼーベック係数測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】物質のゼーベック係数を測定するための装置であって、一対の熱電対、その一方を加熱するヒーター、個々の熱電対の温度と両熱電対間に生じる物質試料の熱起電力とを測定する計測器、および物質試料の熱起電力を両熱電対間の温度差で除することによりゼーベック係数を計算する演算回路を備えた装置。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質のゼーベック係数を短時間で精密に測定できる装置に関し、特に熱電変換材料のゼーベック計数測定に適した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
我が国では、一次供給エネルギーからの有効なエネルギーの得率は30%程度にとどまっており、約70%ものエネルギーが最終的には熱として大気中に廃棄されている。また、各種の工場、ごみ焼却場などにおいて、燃焼により生ずる熱も、殆ど有効に利用されることなく、大気中に廃棄されている。このように、我々人類は、非常に多くの熱エネルギーを無駄に廃棄しており、化石エネルギーの燃焼などの行為から僅かなエネルギーしか獲得していない。
【0003】
エネルギーの得率を向上させるためには、大気中に廃棄されている熱エネルギーを利用することが最も効果的であり、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する熱電変換は、極めて有効な手段である。
【0004】
この「熱電変換」は、ゼーベック効果を利用して、熱電変換材料の両端に温度差を生じさせることにより、電位差を生じさせ、発電を行うエネルギー変換法である。この熱電変換による発電では、熱電変換材料の一端を廃熱により生じた高温部に、他の一端を低温部(室温大気中)に配置し、それぞれの両端に外部抵抗を接続するだけで電気が得られるので、一般の発電において必須の構成要素であるモーター、タービンなど可動装置は、全く必要ない。そのため、設備コストと運転コストが低く、さらに燃焼などによるガスの排出も無く、熱電変換材料が劣化するまで継続的に発電を行うことができる。
従って、熱電発電は、今後予測されるエネルギー問題(化石燃料の枯渇、急速な地球温暖化など)の解決或いは軽減の一端を担うと期待されている。熱電発電を実現するためには、広範な材料を対象とする探索により、高い熱電変換効率を有する物質を見出す必要がある。
一般に、特定の物質の熱電変換効率を評価するためには、物質試料中の2点に温度差を生じさせたときに、2点間で生じる温度差1℃当たりの熱起電力(ゼーベック係数)と電気抵抗率および熱伝導度を測定しなければならない。物質試料の電気抵抗率は、四探針を用いる市販の抵抗率計測器により、短時間で容易に測定することができる。しかしながら、ゼーベック係数と熱伝導度とに関しては、簡便に数値化する技術が存在しないので、一試料の測定に数時間もかけているのが現状であり、このことが高性能熱電材料の開発における大きな阻害要因の一つとなっている。
以上の様な技術の現状を考慮すると、ゼーベック係数と熱伝導度とを短時間でかつ簡便に定量化できる装置を開発することにより、熱電変換材料の探索が促進され、ひいては熱電発電の実用化に大きく貢献するものと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、物質のゼーベック係数と熱伝導度とを短時間でかつ簡便に定量化できる技術を開発することを主な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の熱電特性評価における問題点に留意しつつ研究を重ねた結果、特定の構成要素を備えた装置を使用することにより、上記の目的を達成しうることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記に示す、物質のゼーベック係数評価装置(以下「ゼーベック係数テスター」ということがある)を提供する。
1.物質のゼーベック係数を測定するための装置であって、高温側接点と低温側接点とを有する一対の熱電対により形成される検出部、熱電対の一方を加熱するヒーター、個々の熱電対の温度と両熱電対間に生じる物質試料の熱起電力とをそれぞれ測定する計測部、および物質試料の熱起電力を両熱電対間の温度差で除することによりゼーベック係数を計算する演算部を備えた装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による物質のゼーベック係数テスターの概要を概略的に示す図面を参照しつつ、本発明をさらに詳細に説明する。
【0009】
本発明によるゼーベック係数テスターは、被測定試料の高温側測定用接点と低温側測定用接点を有する二つの熱電対、一方の熱電対を加熱するヒーター(例えば、ニクロム線からなっている)、両熱電対のそれぞれの温度および両熱電対間に生じる被測定試料の熱起電力を測定する計測部、および被測定試料の熱起電力を両熱電対間の温度差で除することによりゼーベック係数を算出する演算部(例えば、マイコン、パーソナルコンピュータ=PCなど)を主要な構成要素としている。PCを使用する場合には、測定に基づく演算結果をディスプレイ上にそのまま表示することができる。
【0010】
検出部を構成する熱電対の素材は、特に限定されず、計測温度域に適したものを使用すればよい。例えば、室温付近〜700℃程度の試料を測定する場合は、クロメル・アルメル線からなるK型熱電対(図1参照)を使用すればよい。また熱電対の線材径なども、特に限定されず、被測定試料に熱電対を接触させても変形しない強度があれば良い。例えば、K型熱電対においては、線径0.5〜2mm程度でよい。
【0011】
本発明装置を用いて所定の測定を行う場合には、先ずヒーターを介して加熱用電源により一方の熱電対を加熱した後、両熱電対を試料に接触させる。加熱された熱電対が接触した高温側接点では、試料の温度が上昇する。この状態で、両熱電対間に生じる試料の起電力を両熱電対の一方の素線を用いて測定する。この場合には、双方の熱電対において同じ素線を用いる必要がある。異なる素線を用いる場合には、素線の起電力が試料の起電力に上乗せされるので、正確なゼーベック係数を測定することができない。また、起電力測定の素線としては、熱起電力の小さい素線を用いることが好ましい。例えば、K型熱電対の場合には、アルメル線を、また白金・13%ロジウム(白金)熱電対(R型熱電対)の場合には、白金線を用いることが好ましい。
【0012】
熱電対を加熱するヒーターは、特に限定されないが、装置を小型化するためには、ニクロム線などの加熱線を熱電対に巻く構成が望ましい。ヒーターの加熱力は、特に限定しないが、両熱電対を試料に接触させた後、10秒以下の短時間以内に両熱電対と試料との間で、温度平衡が実現する様にすればよい。両熱電対間の温度差は、特に限定されないが、試料のゼーベック係数の温度依存性を考慮すると、精度良くゼーベック係数を得るためには50℃以下とすることが好ましく、さらには10℃以下とすることがより好ましい。この温度差の制御は、ヒーターに通電する電力を調整することにより、行うことができる。
【0013】
計測部は、熱電対からの電位を温度に換算する。また、試料の起電力を計測するために、電圧計を必要とする。電圧計と熱電対の接続方法により熱起電力の極性が反転するため、電圧計の接続端子を固定する必要がある。例えば、高温側の素線を電圧計の低電位側(マイナス側)に接続した場合に、正のゼーベック係数が得られれば、その試料はp型の熱電特性を有しており、負のゼーベック係数が得られれば、その試料はn型の熱電特性を有することになる。二つの熱電対により温度および試料の熱起電力を計測し、温度差を計算した後、熱起電力を温度差で除することにより、ゼーベック係数を算出する。この計算は、任意の演算素子或いは演算装置(マイコン、PCなど)を用いて行うことができる。用いる計測機器の大きさに応じて、据え置き型(図2)或いは可動型(図3)とすることができる。
【0014】
図3に示す可動型においてPCを使用する場合には、加熱、計測、計算および数値表示を単一の機器で行うことができる。
【0015】
【実施例】
実施例1
図1〜2に示す形式のゼーベック係数テスターを用いて、種々の材料のゼーベック係数を測定した。
【0016】
本実施例装置では、熱電対として0.7mm径のK型熱電対を用いた。また、ヒーターとしては0.4mm径、長さ450mmのニクロム線を高温側熱電対に50巻きした。この際、熱電対をセラミックスの保護管(鞘)の中に入れ、管の外側にニクロム線を巻き付けて、電気的に絶縁した。
【0017】
図4〜6は、金属および金属酸化物の試料につき、ゼーベック係数を測定した場合の温度差と起電力の時間変化を示す。
【0018】
これらの図に示す結果から、ニクロム線に3Vの直流電流を通電することにより、室温において二つの熱電対間に5〜15℃の温度差を数秒以内の短時間で安定的に生じさせることができ、起電力も約10秒で測定可能となることが分かった。
【0019】
表1は、本発明装置を用いる方法と長時間を要する従来方法とにより、種々の試料のゼーベック計数を測定した結果を対比して示す。全ての試料において、どちらの測定法においても、ほぼ同じ値が得られている。
【0020】
このことから、本発明のゼーベック係数テスターは、試料のゼーベック係数を短時間で正確に測定できていることが明らかである。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明装置によれば、10秒以下という短い時間で、試料のゼーベック係数を正確に測定することが可能である。従って、従来長時間を必要としていたゼーベック係数の測定を迅速かつ簡便に行うことが可能となった。
本発明は、広範囲の熱電材料の探索を促進することにより、高性能材料の早期開発に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるゼーベック係数測定装置の検出部の概要を示す模式的断面図である。
【図2】本発明による据え置き型ゼーベック係数測定装置の概要を示す図面である。
【図3】本発明による可動型ゼーベック係数測定装置の概要を示す図面である。
【図4】金試料について、本発明によるゼーベック係数測定装置を用いて測定した二個の熱電対間の温度差および試料の起電力の時間変化を示す。ここで“0秒”は、二個の熱電対を試料に接触した時点に相当する。
【図5】コンスタンタン試料について、本発明によるゼーベック係数測定装置を用いて測定した二個の熱電対間の温度差および試料の起電力の時間変化を示す。
【図6】Bi2Sr2Co2O9焼結体試料について、本発明によるゼーベック係数測定装置を用いて測定した二個の熱電対間の温度差および試料の起電力の時間変化を示す。
Claims (3)
- 物質のゼーベック係数を測定するための装置であって、高温側接点と低温側接点とを有する一対の熱電対により形成される検出部、熱電対の一方を加熱するヒーター、個々の熱電対の温度と両熱電対間に生じる物質試料の熱起電力とをそれぞれ測定する計測部、および物質試料の熱起電力を両熱電対間の温度差で除することによりゼーベック係数を計算する演算部を備えた装置。
- 据え置き型である請求項1に記載のゼーベック係数測定装置。
- 可動型である請求項1に記載のゼーベック係数測定装置。
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| JP2002326267A JP2004165233A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | ゼーベック係数測定装置 |
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