JP2004168529A - 構造物吊り上げ作業支援システム - Google Patents
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Abstract
【課題】非対称の重量物を吊り上げる際、吊り上げる紐に平等に張力が作用する作業支援システムを提供する。
【解決手段】非対称形のユニット(構造物)1を、4本の紐状体P,Q,R,Sを用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置10に対する紐状体上端の固定場所5を、構造物の重心6のほぼ垂直上方に集中配置する。紐状体上端の固定場所5の空間座標と、構造物を所望の姿勢に保持したときの、各紐状体の下端を構造物に結束する結束位置A,B,C,Dの空間座標とを取得して、各紐状体の長さを算出して出力する。
【効果】紐の長さを正確に選定できるから、吊り上げたときに、構造物の姿勢を水平に保持することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】非対称形のユニット(構造物)1を、4本の紐状体P,Q,R,Sを用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置10に対する紐状体上端の固定場所5を、構造物の重心6のほぼ垂直上方に集中配置する。紐状体上端の固定場所5の空間座標と、構造物を所望の姿勢に保持したときの、各紐状体の下端を構造物に結束する結束位置A,B,C,Dの空間座標とを取得して、各紐状体の長さを算出して出力する。
【効果】紐の長さを正確に選定できるから、吊り上げたときに、構造物の姿勢を水平に保持することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅ユニットのような、非対称形の構造物を、4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合の条件をコンピュータにより算出させることができる、構造物吊り上げ作業支援システムや、その処理を実行するコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅ユニットを順番に連結して住宅を組み立てる場合には、住宅ユニットをクレン等で吊り上げて、他のユニットの横や上に運び、ボルト等を用いて連結する。このとき、住宅ユニットを水平に安定に運搬する、いわゆる玉掛け作業が必要になる。物を一定の姿勢で吊り上げるときには3本以上の紐を物に結束して吊り上げる。3本の紐で吊り上げるときは、3本の紐と3本の紐の下端を互いに結んだ三角形とで、三角錐ができ上がる。吊り上げたとき、3本の紐はピンと伸びた状態になる。これで、物の姿勢を一定に保ったまま移動ができる。しかしながら、3本の紐で重量物を吊り上げると、1本の紐が切れたとき非常に危険である。また、紐の結束場所3カ所をバランスよく決めるのが容易でない。従って、重量物については、安全のために、4本以上の紐を用いて吊り上げるようにしている。こうした重機を用いた重量物の吊り上げ技術を保証するために、玉掛け作業には、一定の資格が与えられている。また、住宅ユニットのような重量物の吊り上げ位置を自動的に調整する技術も紹介されている(特許文献1)。
【特許文献1】
特開2002−276033号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
例えば、4本の紐を用いて物を吊り上げるときに、紐の長さを適切に選ばないと、いずれか1本の紐に張力がかからない状態になる。即ち、4本のうち1本だけ必要以上に長い紐を用いると、この紐に張力がかからず、残りの3本で物を吊り上げることになる。また、4本の紐の下端を結んだ4角形ABCDの対角線AC上に、ちょうど吊り上げる物の重心があるとき、B点やD点を吊り上げる残り2本の紐には張力がかからない状態が発生する。このときは、吊り上げる物が揺れて、姿勢を一定に保てないことがある。重量物の場合には最も危険な状態になる。全体として非対称な物については、重心位置が不明確なため、特にこうした問題が生じやすい。
本発明は以上の点に着目してなされたもので、4本以上の紐状体を用いて非対称形の構造物を吊り上げる際に、各紐の長さをコンピュータで計算して表示し、物の吊り上げ作業のための最適条件を指示する構造物吊り上げ作業支援システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、ユニット住宅の1ユニットのような非対称形構造物を、安全に吊り上げるための吊り上げ条件を、コンピュータにより演算処理して表示させる構造物吊り上げ作業支援システムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置に対する上記紐状体上端の固定場所を、上記構造物の重心のほぼ垂直上方に集中配置するものとし、上記紐状体上端の固定場所の空間座標と、上記構造物を所望の姿勢に保持したときの、各紐状体の下端を構造物に結束する結束位置の空間座標とを取得して、上記各紐状体の長さを算出して出力する手段を設けたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。
【0005】
この発明は、非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に利用する。非対称形というのは、外観上非対称である場合と内部構造上非対称である場合とがある。外観的にも内部構造上も明確に対称形の物は、等長の紐でそのまま吊り下げることができるから、紐の長さの算出は要らない。構造物とは、所定の構造を持つ物で、種類は問わない。紐状体の材料は任意である。金属ワイヤ、ナイロンロープ、チェン等がある。なんらかの方法で長さを調節できるものであれば、紐状体が剛性を持ち、折れ曲がり難いものでも構わない。吊り上げ装置は、例えば、クレンやホイストである。紐状体上端は、このクレン等のワイヤに吊り下げられた鈎に結束されて固定される。この鈎の位置を構造物の重心のほぼ垂直上方にする。構造物の重心のほぼ垂直上方としたのは、鈎のサイズ等から比較して見た程度の誤差は許容されるからである。構造物は、例えば、その底面が水平になるような姿勢に保持されながら吊り上げられる。この状態を想定して、紐状体の長さを算出する。算出は、座標値を求めて、幾何学的に計算すればよい。空間座標の原点位置は自由である。紐状体の長さを算出できればよい。紐状体は、補強の意味で、4本以上設けるようにして構わない。紐の長さを正確に選定できるから、吊り上げたときに、構造物の姿勢を水平に保持することができる。
【0006】
〈構成2〉
非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置の下端に上端を集中配置したほぼ等長の2本の紐状体と、この2本の紐状体の下端で、この2本の紐状体に2点を支持されて吊り下げられた1本の横棒と、この横棒に上端を固定されて、上記構造物に下端を結束する紐状体とがあるとき、上記構造物の重心のほぼ垂直上方に上記吊り上げ装置の下端を配置するものとし、上記吊り上げ装置の下端の空間座標と、上記構造物を所望の姿勢に保持したときの、当該構造物に対して各紐状体の下端を結束する結束位置の空間座標とを取得して、上記各紐状体の長さを算出して出力する手段を設けたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。
【0007】
吊り上げ装置の下端には鈎等が設けられている。ここに、2本の紐状体で2点を支持するように、1本の横棒を吊り下げる。2本の紐状体の下端は横棒のどの位置に固定されていてもよいが、ほぼ両端に近い2点に固定されるとよい。横棒に上端を固定されて、構造物に下端を結束する紐状体は、それぞれ、横棒のどの位置に上端を固定されてもよい。吊り上げ装置の下端が、構造物の重心のほぼ垂直上方に配置されるようにして、吊り上げを行う。
【0008】
〈構成3〉
構成1または2に記載の構造物吊り上げ作業支援システムにおいて、算出した紐状体の長さに応じて、各紐状体の下端の、不要部分の長さを算出して、各紐状体の構造物への結束位置と、上記不要部分の長さとを合わせて表示出力する手段を備えたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。
【0009】
紐状体がチェンの場合、例えば、端から3個目のリングを構造物の所定箇所に結束するといった表示を全ての紐状体について行う。これにより、作業者は、誤り無く正確に紐状体の長さを調整して、構造物に結束できる。こうして、紐状体の長さを容易に最適化して、構造物の吊り上げができる。
【0010】
〈構成4〉
構成1または2に記載の構造物吊り上げ作業支援システムにおいて、構造物は、建物のユニットから成り、構造物中に、その構造物の任意の付属品を搭載して吊り上げるとき、上記付属品の搭載位置を指定して表示出力するとともに、上記構造物中に上記指定位置に上記付属品を搭載したときの重心を、構造物の重心とみなして、上記各紐状体の長さを算出する手段を備えたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。
【0011】
〈構成5〉
非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置に対する上記紐状体上端の固定場所を、上記構造物の重心のほぼ垂直上方に集中配置するものとし、上記紐状体上端の固定場所の空間座標と、上記構造物を所望の姿勢に保持したときの、各紐状体の下端を構造物に結束する結束位置の空間座標とを取得して、上記各紐状体の長さを算出して出力する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする構造物吊り上げ作業支援プログラム。
【0012】
〈構成6〉
非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置の下端に上端を集中配置したほぼ等長の2本の紐状体と、この2本の紐状体の下端で、この2本の紐状体に2点を支持されて吊り下げられた1本の横棒と、この横棒に上端を固定されて、上記構造物に下端を結束する紐状体とがあるとき、上記構造物の重心のほぼ垂直上方に上記吊り上げ装置の下端を配置するものとし、上記吊り上げ装置の下端の空間座標と、上記構造物を所望の姿勢に保持したときの、当該構造物に対して各紐状体の下端を結束する結束位置の空間座標とを取得して、上記各紐状体の長さを算出して出力する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする構造物吊り上げ作業支援プログラム。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、具体例を用いて説明する。
図1は、本発明のシステムの原理を示す説明図である。
図の(a)は、ユニット住宅のユニットを4本のチェンで吊り上げる場合の斜視図を示す。この発明では、ユニット1のことを構造物1と呼んでいる。また、チェンP、Q、R、Sのことを紐状体と呼んでいる。一般に、ユニット住宅の各ユニットは、隣接ユニットとの境界で、壁や柱が重複しないような非対称構造になっている。従って、ユニット1には、例えば、西側と北側の2枚の壁11、12が設けられ、他の部分は開放状態になっている。これを吊り上げて、他のユニット(図示しない)やこのユニットの床部分や天井部分と連結するときは、ユニット1の姿勢を正確に水平に保ったまま、吊り上げて移動させる。
【0014】
吊り上げ装置10の詳細な構造は図示していないが、よく知られた巻上げ式の電動ホイストなどからなる。垂直に設けられたワイヤ3に、4本のチェンP、Q、R、Sの上端が束ねられ固定されている。この4本のチェンP、Q、R、Sの下端をユニット1に結び付けて吊り上げるために、後で説明するように、ユニット1上のA、B、C、D点に、フックなどを予め取り付けておく。
【0015】
経験上、この図に示すような状態で、ユニット1を吊り上げるときには、4本のチェンP、Q、R、Sの上端の固定場所5を、ユニット1の重心の垂直上方に配置するとよい。図の(b)に示したのは、ユニット1の平面図である。その重心6のほぼ真上に、上記の固定場所5が位置するようにチェンの長さを調節して吊り上げる。この図を見てわかるように、こうした最適な条件でユニット1を吊り上げるには、各チェンP、Q、R、Sの長さを高い精度で調整しなければならない。この図に示すように3次元座標軸X軸とY軸とを、壁11と壁12に沿った方向に設定する。X,Y,Z軸はB点を原点とする。吊り上げ中のユニット1のZ−X面から見た状態を(c)に示す。また、Z−Y面から見た状態を(d)に示す。これらの図に示すような状態で、ユニット1を吊り上げると、ユニット1を水平に保持した吊り上げと安全な移動ができる。以下の説明するシステムは、こうした各チェンP、Q、R、Sの長さを正確に計算し、作業者に伝える。
【0016】
図2は、上記の原理に基づく、基本的な吊り上げ装置の具体例を示す図面である。
図2(a)は、吊り上げ装置の原理図である。図に示すように、吊り上げ装置の本体部15には、図の(b)に示すような4本のワイヤ伸縮部材20が組み込まれている。このワイヤ伸縮部材20は、図の(c)に示すように、巻き尺のケースのようなケース21と、巻き尺部分に相当するワイヤ22を備えている。ワイヤ22の先端には、クランプ24を介してリング23が固定されている。ワイヤ22は、ちょうど伸縮可能なステンレス製のメジャのように、ケース21の中に巻き込まれている。ケース21の中には、例えば、自転車のチェン機構と同様にして、ワイヤ22をケース21から引き出す方向には、ロックがかかり、ケース21へ巻き込む方向には、自由に巻き込みができる機構が組み込まれている。
【0017】
リリースボタン26を押しながら、ワイヤ22を引くと、自由にワイヤ22を矢印29方向に引き出せる構成になっている。軸25は、ワイヤ22の巻取り用回転軸である。このようなワイヤ22の先端に設けられたリング23は、例えば、図の(c)に示したように、ユニットに固定されたボルト31とフック32を備えた鈎30に引っ掛けることにより、連結される。なお、ワイヤ22には、図の(e)に示すように、ワイヤの長さを示すマーク27が印刷されている。従って、後で説明するようにして、各ワイヤ22の長さが算出されて指定されたとき、その長さ分だけワイヤ22を引き出して、4本のワイヤ22の長さをそれぞれ図1で説明をした条件に合うように選定することができる。
【0018】
従来、このようなワイヤ22の長さを決めるのは、いわゆる玉掛け技術の熟練者によってのみ行われていたが、後で説明するようにして、コンピュータを用いて自動的にワイヤの長さを計算することにより、だれでも正確に最適な長さの選定が可能になる。なお、作業が終了した後は、リリースボタン26を押してワイヤ22を矢印29と反対方向にケース21の内部に巻き込んでおけば、その後の作業の邪魔にならない。なお、このワイヤは、ロープでもチェンでもよく、任意の紐状体にすることができる。また、ワイヤ伸縮部材20は、単に、チェンを巻き取るドラム等であっても構わない。
【0019】
図3は、より実際的なユニット吊り上げ装置の具体例を示す説明図である。
図3(a)に示すように、上記の例では、4本のチェンP、Q、R、Sでユニットを吊り上げるようにした。4本のチェンP、Q、R、Sの上端は、固定場所5において垂直に垂れ下がったワイヤ3の下端と連結するように一点で固定されている。しかしながら、このような状態で図1(a)に示すユニットを吊り上げると、ワイヤ3に図の矢印90に示すような捻れ力が加わり、ユニットが吊り上げ中に回転しやすい、という問題があった。
【0020】
そこで、図の(b)に示すような吊り上げ方法が採用されていた。図の横棒91は、吊り上げ装置のワイヤ3の下端95に上端を集中配置した、ほぼ等しい長さの2本の紐状体92、93によって吊り下げられている。横棒91の両端に紐状体92と93の下端をそれぞれ接続しているが、横棒91のどの部分にこれらの紐状体92、93を固定しても構わない。横棒91には、ユニットを吊り下げるためのチェンP、Q、R、Sの上端が固定されている。これらのチェンP、Q、R、Sの下端部分にユニットを結束する。
【0021】
図の(c)は、既に説明したようなユニット1を、(b)に示したような吊り上げ装置で吊り上げた状態を示す。なお、チェンP、Q、R、Sの長さの差が著しく大きくならないように、この例では、ユニット1の壁が無い隅に、補助棒13を仮固定している。この補助棒13は、壁11や12と並行に、ほぼ同じ高さに選定されている。その上端にチェンSを結束するようにしている。もちろん、図の(d)に示すように、こうした補助棒なしにユニット1を吊り上げることも可能である。また、図の(d)に示すように、ユニット1には、そのユニットを他のユニットに連結したり固定したりする場合に必要な付属品96を搭載し、ユニット1と同時に運搬しようとしている。さもなければ、付属品96だけを結束して運搬する作業が再度必要になるから、この方法は非常に効率がよい。しかしながら、搭載方法を誤ると、ユニット1が傾斜して、付属品96が落下することもある。そこで、その旨の計算も含めて行う。
【0022】
この付属品96をユニット1の指定された場所に搭載し、ユニット1と付属品96とを同時に目的とする場所に運搬する。こうした場合でも、ユニット1を水平に保ったまま運搬できるように、チェンP、Q、R、Sの長さをコンピュータで正確に計算し、表示する。さらに、付属品96をユニット1のどの部分に乗せればよいか、といった指示も出力し、安全な運搬を可能になる。なお、ユニット1に付属品96を乗せた場合には、付属品96を乗せたユニット1の全体から見た重心の真上に、紐状体92と93の上端95を一致させる。従って、付属品96とユニット1の集合体としての重心位置を、予め計算する。こうした計算に基づいて、紐状体の最適な長さを計算し、表示することもできる。
【0023】
図4は、上記のような紐状体の長さの計算を可能にするシステムの具体例を示すブロック図である。
図において、ネットワーク40は、ローカルエリアネットワークあるいは、イントラネットなどのネットワークである。このネットワーク40に紐状体の長さを計算する処理を実行するコンピュータ41が接続されている。さらに、ユニットなどの設計データを取得するために、設計部門のコンピュータ42が接続されている。設計部門のコンピュータ42の記憶装置45には、CADデータ46が記憶されている。このCADデータ46に含まれるユニットの設計図面を用いて、ユニットの重心の計算などを行うことができる。
【0024】
コンピュータ41の記憶装置50には、ユニットデータベース51が記憶されている。このユニットデータベース51は、どのユニットを吊り上げるかを指定した場合に、そのユニット名から具体的にそのユニットごとの吊り上げ方法などを示す情報を直ちに表示するために用意されたデータである。ユニットデータベース51は、ユニットの製品コードなどで表したユニット名52とユニットの縦横サイズ53、重心位置54、必要な付属品のリスト55、及び、ユニット吊り上げ方法を示すために必要な表示画像56などを含んでいる。即ち、予め後で説明するコンピュータプログラムを用いて、全てのユニットについてそのサイズや重心位置やそのユニットに乗せて同時に運搬する付属品全体のリストや重心位置やワイヤの長さを説明するための表示画像などを用意してしまう。
【0025】
演算処理装置60は、コンピュータ41に所定の演算処理を実行させるコンピュータプログラムを含む部分である。ここには、構造物指定手段61、構造物データベース検索手段62、吊り上げ案内画面編集手段63、重心位置計算手段64、チェンサイズ算出手段65、付属品重量計算手段66を含んでいる。構造物指定手段61は、どのユニットを吊り上げるかを指定する際に、その指定画面などを表示するコンピュータプログラムである。構造物データベース検索手段62は、指定されたユニットに関する情報をユニットデータベース51から検索して抽出する機能を持つプログラムである。
【0026】
吊り上げ案内画面編集手段63は、構造物データベース検索手段62が検索したユニットの重心位置や、その説明のための表示画像を、ディスプレイやプリンタに出力するための画面を編集する機能を持つ。重心位置計算手段64は、CADデータ46から全てのユニットの設計図面を取り出し、X軸に沿う方向に見た重量分布からX軸上の重心座標を求め、Y軸に沿う方向に見た重量分布からY軸上の重心座標を求める計算をする機能を持つ。即ち、重心位置計算手段64は、例えば、次のようにして重心位置を計算する。
【0027】
まず、ユニットの北側と南側の壁の重さを取得する。そして、ユニットの北から南に向かう直線上でその重心位置を決める。これがY座標軸上にあれば、重心のY座標が決まる。同様にして、東側と西側の壁の重量を計算する。そして、東側から西側に向かう直線上で重心を計算する。これが、X軸上にあれば、重心のX座標が決まる。図1の例では、例えば、北側の壁12の重さがW1とする。床の重量分布は全体に均一で、重心は床の中心にある。床の重さをWFとし、重心のY座標は、床の中心と北側の壁12の間にあって、W1とWFの比により求められる場所になる。ユニット1に他の部品が取り付けられていたり、後で説明するように、付属品が搭載される場合には、その重量分布も計算に含める。
【0028】
チェンサイズ計算手段65は、例えば、図1の例で、各チェンの上端の固定場所5の空間座標(x,y,z)と、各チェンの下端の結束場所A、B、C、Dの点の空間座標(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)、(x4,y4,z4)を取得して、幾何学的にその長さを正確に計算する機能を持つプログラムである。付属品重量計算手段66は、付属品の重量の合計を求める機能を持つ。なお、付属品は原則としてユニットのほぼ重心に近い位置に搭載することとする。付属品の長さがユニットの全長に比べて長いような場合には、重心位置が大幅に変化することもある。
【0029】
以上の計算を、ユニットの吊り上げ時にそのつど行うこともできるが、例えば、ユニットの縦横サイズ、重心位置、付属品等は、CADデータ46から、予め計算をすることができる。故に、その結果をユニットデータベース51に記録しておくことで、チェンの長さの計算を要求されたときの、計算処理を簡略化できる。
【0030】
図5は、上記のシステムによって具体的に各チェンの長さを出力させた例を示す説明図である。
まず、画面70を用いて条件を入力する。画面70には、ドロップダウンリスト71が設けられ、ここにユニット名を選択できるようにユニット名のリストが表示される。自由にユニット名を入力して構わない。ユニット名は、製品コードでもよい。ユニット名を指定して、計算、と表示されたボタン72をクリックすることにより、構造物指定手段61が構造物DB検索手段62にユニット名を渡し、ユニットデータベース51が検索される。
【0031】
該当するユニットのデータが取得されると、画面80が表示される。この画面80には、まず、ユニットを4本のワイヤで吊り上げた状態の斜視図81が示される。ユニットデータベース51の表示画像56に含まれたデータである。ここには、ユニットのワイヤ結束位置やチェンを識別するための記号などが表示される。また、その右側には、ユニットの平面図82が表示され、ここに重心位置が表示されている。これで、作業者は、ユニットの重心位置を確認できる。さらに、この平面図82にワイヤの位置関係を書き込んだ画面83が表示されている。この画面83を見れば、ユニットのどの部分にどのワイヤを接続するかが一目瞭然になっている。
【0032】
その右側の平面図84には、付属品を搭載する場所が破線の長方形で表示されている。この部分に付属品を搭載すれば、計算通りの重心位置でユニット1を吊り上げることができる、という意味である。付属品のメニューは、ユニットデータベース51に含まれており、ユニットと付属品の合計の重量や重心位置の計算も容易にできる。さらに、リスト85には、各ワイヤの長さがそれぞれ実長で示されている。図2を用いて説明した吊り上げ装置では、各ワイヤ22の長さを、それぞれ目盛り27を見ながら調整し、最適長さに固定した上で、各ユニットにそのワイヤ22の先端のリング23を結束すればよい。
【0033】
図6は、図3に示すような吊り上げ装置を用いた場合のチェン結束方法の説明図である。図6の(a)には、吊り上げ装置をユニットに結束する場合の各チェンの状態と、ユニットの各チェン接続部分との関係の例が示されている。チェンP、Q、R、Sは、その上端を横棒91に固定している。その固定場所は、図のように、横棒91上のどこでも構わない。できるだけ、チェンをユニットに固定する場所に近いところを選定すればよい。
【0034】
図の(b)には、チェンの長さを計算した結果の出力画面例を示した。この画面88に示すように、チェンの下端から数えていくつ目の環にフック30を接続すればよいか、を計算している。この例では、余りの環の数を余長と表現している。チェンPは、余長が13個である。チェンQ、R、Sは、余長がそれぞれ、15個、3個、0個となっている。例えば、チェンRの場合には、図の(c)に示すように、チェンの右端(下端のこと)から数えて3個を余らせるようにして、環69をフック30に結束する。これによって作業者は、容易に正確にチェンの長さを調整して、ユニットの吊り上げができる。
【0035】
図7と図8は、図3に示したような吊り上げ装置の、各チェンP、Q、R、Sの長さを計算するモデルの説明図である。
図2に示したような吊り上げ装置の場合、4本のワイヤの上端を集中配置した点5から、ユニットに各ワイヤの下端を結束する点までの長さを、立体座標の上で幾何学的に計算すればよかった。しかしながら、図3に示した例では、横棒91を吊る紐状体92、93の長さも問題になり、さらに、横棒91の傾斜も問題になる。
【0036】
そこで、その計算モデルを図7を用いて紹介する。まず、図7(a)に示すように、横棒91は、2本の等長の上紐92、93に吊り下げられている。横棒91は、この横棒91と2本の上紐92、93が作る二等辺三角形の底辺に横棒91があるように吊り下げられる。上紐92、93の長さは調節しないで、固定とする。そして、横棒91に上端を固定した下紐の長さを調節してユニット1を水平に吊り上げるようにする。下紐の位置には、それぞれP、Q、R、Sという符号を付した。
【0037】
まず、図(a)に示すように、ちょうど横棒91がユニット1の上面に平行になり、左右対称の状態に位置するときには、2本の下紐とユニットのなす角θが左右等しくなるようにすれば、ユニットは水平に吊り上げられる。ユニットをどの方角からみても、このような状態になる。これは、図が対称形であることからも、よく理解できるはずである。ここで、ユニット1の重心6がその中央よりも左にあるとする。このとき、上紐92と93を結束した点95が重心6の真上にくるように2等辺三角形を傾斜させる。この場合には、横棒91を傾斜させて、図の(b)に示すような状態にすると、ユニット1が安定に吊り下げられる。
【0038】
この例では、ユニットを左方向から見たときには、重心が中心にあるものと仮定する。ここで、横棒91と4本の下紐との関係をみた場合、4本の下紐は、(a)の場合と同様に、ユニット1を底辺とする2と右辺三角形の左右の2辺になるように、左右対称に同じ角度θ1で傾斜するように吊られる。これで、各下紐にほぼ等しい吊り上げ張力が加わる。従って、ユニット1を水平に持ち上げることが可能になる。図の(c)には、吊り上げた状態の斜視図を示した。図1で説明をしたように、重心位置がX軸方向に見てもY軸方向に見ても中心からシフトしていると、横棒をX軸方向にもY軸方向にも傾斜させた吊り方が必要になる。その説明を次の図で行う。
【0039】
図8は、ユニットの正面から見た横棒とユニットの左側面から見た横棒の状態を示す。図の(a)に示すようにユニット1を下紐で持ち上げる場合に、正面から見たときには左右対称の傾斜角θ2で吊り上げる。Pと付した下紐とQと付した下紐は共に傾斜角θ2で傾く。Rと付した下紐とSと付した下紐も共に傾斜角θ2で傾く。これは、図7の説明と同様である。一方、左側面から見たときは、Qと付した下紐とSと付した下紐の外側の2本が共に傾斜角θ3で傾くようにする。これで、Qと付した下紐とSと付した下紐を延長した延長線上に、横棒91の端がくる。横棒91は2本の等長の上紐92に吊り下げられた状態になる。
【0040】
水平にパランスよく吊り上げるには、横棒91と上紐92、93の形成する二等辺三角形の頂点が重心6の真上にきて、横棒91の両端に近い部分が4本の下紐の上端にくるようにすればよい。なお、横棒91は、もっと長くても構わない。このように横棒を位置決めした状態で、横棒の両端の三次元座標を計算する。その三次元座標と各下紐とユニットの結束点の三次元座標を求め、幾何学的に全ての下紐の長さを計算すればよい。以上は、計算モデルの一例であるが、ユニットと上紐や横棒の長さを固定して、この計算を予め済ましておいて、ユニットデータベースに記録しておけば、計算処理が簡略化できる。
【0041】
図9は、システムのコンピュータプログラム動作フローチャートである。
図4の構成を参照しながら説明する。始めに、構造物指定手段61は、ステップS1で、図5に示したようなユニット指定のための画面で指定されたユニット名を、計算ボタン72のクリックのタイミングで取得する。ステップS2で、構造物データベース検索手段62が、ユニットデータベース51を検索する。もし、ヒットするデータがあれば、ステップS3からステップS13へジャンプして、直ちに、図5に示すような画像と紐状体の長さ表示をする。一方、ヒットしない場合は、ステップS4で、ネットワーク40を通じて、CADデータ46を取得する。続くステップS5で、重心位置計算手段64が、ユニットの部品位置と重量を取得する。ステップS6では付属品の重量を取得する。
【0042】
その後、ステップS7で、重心位置の計算をする。今度はチェンサイズ算出手段65が、ステップS8で、ユニットと紐状体の固定位置座標を取得し、ステップS9て、紐状体の上端固定場所の座標を取得する。ステップS10では、紐状体の長さの計算をする。その結果は、図5に示したような表にする。吊り上げ案内画面編集手段63は、ステップS11で、図5に示したような表示画像を生成する。この表示画面は、CADデータ等を利用して生成する。算出した結果や表示画面は、次回に同じユニット用として使用できるから、ステップS13で、ユニットデータベースに追記して、その内容の更新をする。以上の処理が終了した後は、ステップS13で、図5に示したような画像と紐状体の長さ表示をする。ユニットデータベース51か充実すれば、計算処理は簡単になる。また、もし、チェンや横帽の長さを変更したいときは、その条件を重心位置計算手段64やチェンサイズ算出手段65のパラメータを変更すればよい。
【0043】
なお、上記の演算処理装置にインストールされたコンピュータプログラムは、それぞれ独立したプログラムモジュールを組み合わせて構成してもよいし、全体を一体化したプログラムにより構成してもよい。コンピュータプログラムにより制御される処理の全部または一部を同等の機能を備えるハードウエアで構成しても構わない。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。上記のような本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。また、ネットワークを通じて任意のコンピュータのメモリ中にダウンロードして利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステムの原理を示す説明図である。
【図2】上記の原理に基づく、基本的な吊り上げ装置の具体例を示す図面である。
【図3】ユニット吊り上げ装置の具体例を示す説明図である。
【図4】紐状体の長さの計算を可能にするシステムの具体例を示すブロック図である。
【図5】具体的に各チェンの長さを出力させた例を示す説明図である。
【図6】図3に示すような吊り上げ装置を用いた場合のチェン結束方法の説明図である。
【図7】図3に示したような吊り上げ装置の、各チェンP、Q、R、Sの長さを計算するモデルの説明図である。
【図8】ユニットの正面から見た横棒とユニットの左側面から見た横棒の状態である。
【図9】システムのコンピュータプログラム動作フローチャートである。
【符号の説明】
1 ユニット(構造物)
3 吊り上げ装置のワイヤ
5 紐状体上端の固定場所
6 構造体の重心
11 壁
12 壁
P,Q,R,S 紐状体
A,B,C,D 紐状体の下端結束位置
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅ユニットのような、非対称形の構造物を、4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合の条件をコンピュータにより算出させることができる、構造物吊り上げ作業支援システムや、その処理を実行するコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅ユニットを順番に連結して住宅を組み立てる場合には、住宅ユニットをクレン等で吊り上げて、他のユニットの横や上に運び、ボルト等を用いて連結する。このとき、住宅ユニットを水平に安定に運搬する、いわゆる玉掛け作業が必要になる。物を一定の姿勢で吊り上げるときには3本以上の紐を物に結束して吊り上げる。3本の紐で吊り上げるときは、3本の紐と3本の紐の下端を互いに結んだ三角形とで、三角錐ができ上がる。吊り上げたとき、3本の紐はピンと伸びた状態になる。これで、物の姿勢を一定に保ったまま移動ができる。しかしながら、3本の紐で重量物を吊り上げると、1本の紐が切れたとき非常に危険である。また、紐の結束場所3カ所をバランスよく決めるのが容易でない。従って、重量物については、安全のために、4本以上の紐を用いて吊り上げるようにしている。こうした重機を用いた重量物の吊り上げ技術を保証するために、玉掛け作業には、一定の資格が与えられている。また、住宅ユニットのような重量物の吊り上げ位置を自動的に調整する技術も紹介されている(特許文献1)。
【特許文献1】
特開2002−276033号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
例えば、4本の紐を用いて物を吊り上げるときに、紐の長さを適切に選ばないと、いずれか1本の紐に張力がかからない状態になる。即ち、4本のうち1本だけ必要以上に長い紐を用いると、この紐に張力がかからず、残りの3本で物を吊り上げることになる。また、4本の紐の下端を結んだ4角形ABCDの対角線AC上に、ちょうど吊り上げる物の重心があるとき、B点やD点を吊り上げる残り2本の紐には張力がかからない状態が発生する。このときは、吊り上げる物が揺れて、姿勢を一定に保てないことがある。重量物の場合には最も危険な状態になる。全体として非対称な物については、重心位置が不明確なため、特にこうした問題が生じやすい。
本発明は以上の点に着目してなされたもので、4本以上の紐状体を用いて非対称形の構造物を吊り上げる際に、各紐の長さをコンピュータで計算して表示し、物の吊り上げ作業のための最適条件を指示する構造物吊り上げ作業支援システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、ユニット住宅の1ユニットのような非対称形構造物を、安全に吊り上げるための吊り上げ条件を、コンピュータにより演算処理して表示させる構造物吊り上げ作業支援システムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置に対する上記紐状体上端の固定場所を、上記構造物の重心のほぼ垂直上方に集中配置するものとし、上記紐状体上端の固定場所の空間座標と、上記構造物を所望の姿勢に保持したときの、各紐状体の下端を構造物に結束する結束位置の空間座標とを取得して、上記各紐状体の長さを算出して出力する手段を設けたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。
【0005】
この発明は、非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に利用する。非対称形というのは、外観上非対称である場合と内部構造上非対称である場合とがある。外観的にも内部構造上も明確に対称形の物は、等長の紐でそのまま吊り下げることができるから、紐の長さの算出は要らない。構造物とは、所定の構造を持つ物で、種類は問わない。紐状体の材料は任意である。金属ワイヤ、ナイロンロープ、チェン等がある。なんらかの方法で長さを調節できるものであれば、紐状体が剛性を持ち、折れ曲がり難いものでも構わない。吊り上げ装置は、例えば、クレンやホイストである。紐状体上端は、このクレン等のワイヤに吊り下げられた鈎に結束されて固定される。この鈎の位置を構造物の重心のほぼ垂直上方にする。構造物の重心のほぼ垂直上方としたのは、鈎のサイズ等から比較して見た程度の誤差は許容されるからである。構造物は、例えば、その底面が水平になるような姿勢に保持されながら吊り上げられる。この状態を想定して、紐状体の長さを算出する。算出は、座標値を求めて、幾何学的に計算すればよい。空間座標の原点位置は自由である。紐状体の長さを算出できればよい。紐状体は、補強の意味で、4本以上設けるようにして構わない。紐の長さを正確に選定できるから、吊り上げたときに、構造物の姿勢を水平に保持することができる。
【0006】
〈構成2〉
非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置の下端に上端を集中配置したほぼ等長の2本の紐状体と、この2本の紐状体の下端で、この2本の紐状体に2点を支持されて吊り下げられた1本の横棒と、この横棒に上端を固定されて、上記構造物に下端を結束する紐状体とがあるとき、上記構造物の重心のほぼ垂直上方に上記吊り上げ装置の下端を配置するものとし、上記吊り上げ装置の下端の空間座標と、上記構造物を所望の姿勢に保持したときの、当該構造物に対して各紐状体の下端を結束する結束位置の空間座標とを取得して、上記各紐状体の長さを算出して出力する手段を設けたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。
【0007】
吊り上げ装置の下端には鈎等が設けられている。ここに、2本の紐状体で2点を支持するように、1本の横棒を吊り下げる。2本の紐状体の下端は横棒のどの位置に固定されていてもよいが、ほぼ両端に近い2点に固定されるとよい。横棒に上端を固定されて、構造物に下端を結束する紐状体は、それぞれ、横棒のどの位置に上端を固定されてもよい。吊り上げ装置の下端が、構造物の重心のほぼ垂直上方に配置されるようにして、吊り上げを行う。
【0008】
〈構成3〉
構成1または2に記載の構造物吊り上げ作業支援システムにおいて、算出した紐状体の長さに応じて、各紐状体の下端の、不要部分の長さを算出して、各紐状体の構造物への結束位置と、上記不要部分の長さとを合わせて表示出力する手段を備えたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。
【0009】
紐状体がチェンの場合、例えば、端から3個目のリングを構造物の所定箇所に結束するといった表示を全ての紐状体について行う。これにより、作業者は、誤り無く正確に紐状体の長さを調整して、構造物に結束できる。こうして、紐状体の長さを容易に最適化して、構造物の吊り上げができる。
【0010】
〈構成4〉
構成1または2に記載の構造物吊り上げ作業支援システムにおいて、構造物は、建物のユニットから成り、構造物中に、その構造物の任意の付属品を搭載して吊り上げるとき、上記付属品の搭載位置を指定して表示出力するとともに、上記構造物中に上記指定位置に上記付属品を搭載したときの重心を、構造物の重心とみなして、上記各紐状体の長さを算出する手段を備えたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。
【0011】
〈構成5〉
非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置に対する上記紐状体上端の固定場所を、上記構造物の重心のほぼ垂直上方に集中配置するものとし、上記紐状体上端の固定場所の空間座標と、上記構造物を所望の姿勢に保持したときの、各紐状体の下端を構造物に結束する結束位置の空間座標とを取得して、上記各紐状体の長さを算出して出力する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする構造物吊り上げ作業支援プログラム。
【0012】
〈構成6〉
非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置の下端に上端を集中配置したほぼ等長の2本の紐状体と、この2本の紐状体の下端で、この2本の紐状体に2点を支持されて吊り下げられた1本の横棒と、この横棒に上端を固定されて、上記構造物に下端を結束する紐状体とがあるとき、上記構造物の重心のほぼ垂直上方に上記吊り上げ装置の下端を配置するものとし、上記吊り上げ装置の下端の空間座標と、上記構造物を所望の姿勢に保持したときの、当該構造物に対して各紐状体の下端を結束する結束位置の空間座標とを取得して、上記各紐状体の長さを算出して出力する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする構造物吊り上げ作業支援プログラム。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、具体例を用いて説明する。
図1は、本発明のシステムの原理を示す説明図である。
図の(a)は、ユニット住宅のユニットを4本のチェンで吊り上げる場合の斜視図を示す。この発明では、ユニット1のことを構造物1と呼んでいる。また、チェンP、Q、R、Sのことを紐状体と呼んでいる。一般に、ユニット住宅の各ユニットは、隣接ユニットとの境界で、壁や柱が重複しないような非対称構造になっている。従って、ユニット1には、例えば、西側と北側の2枚の壁11、12が設けられ、他の部分は開放状態になっている。これを吊り上げて、他のユニット(図示しない)やこのユニットの床部分や天井部分と連結するときは、ユニット1の姿勢を正確に水平に保ったまま、吊り上げて移動させる。
【0014】
吊り上げ装置10の詳細な構造は図示していないが、よく知られた巻上げ式の電動ホイストなどからなる。垂直に設けられたワイヤ3に、4本のチェンP、Q、R、Sの上端が束ねられ固定されている。この4本のチェンP、Q、R、Sの下端をユニット1に結び付けて吊り上げるために、後で説明するように、ユニット1上のA、B、C、D点に、フックなどを予め取り付けておく。
【0015】
経験上、この図に示すような状態で、ユニット1を吊り上げるときには、4本のチェンP、Q、R、Sの上端の固定場所5を、ユニット1の重心の垂直上方に配置するとよい。図の(b)に示したのは、ユニット1の平面図である。その重心6のほぼ真上に、上記の固定場所5が位置するようにチェンの長さを調節して吊り上げる。この図を見てわかるように、こうした最適な条件でユニット1を吊り上げるには、各チェンP、Q、R、Sの長さを高い精度で調整しなければならない。この図に示すように3次元座標軸X軸とY軸とを、壁11と壁12に沿った方向に設定する。X,Y,Z軸はB点を原点とする。吊り上げ中のユニット1のZ−X面から見た状態を(c)に示す。また、Z−Y面から見た状態を(d)に示す。これらの図に示すような状態で、ユニット1を吊り上げると、ユニット1を水平に保持した吊り上げと安全な移動ができる。以下の説明するシステムは、こうした各チェンP、Q、R、Sの長さを正確に計算し、作業者に伝える。
【0016】
図2は、上記の原理に基づく、基本的な吊り上げ装置の具体例を示す図面である。
図2(a)は、吊り上げ装置の原理図である。図に示すように、吊り上げ装置の本体部15には、図の(b)に示すような4本のワイヤ伸縮部材20が組み込まれている。このワイヤ伸縮部材20は、図の(c)に示すように、巻き尺のケースのようなケース21と、巻き尺部分に相当するワイヤ22を備えている。ワイヤ22の先端には、クランプ24を介してリング23が固定されている。ワイヤ22は、ちょうど伸縮可能なステンレス製のメジャのように、ケース21の中に巻き込まれている。ケース21の中には、例えば、自転車のチェン機構と同様にして、ワイヤ22をケース21から引き出す方向には、ロックがかかり、ケース21へ巻き込む方向には、自由に巻き込みができる機構が組み込まれている。
【0017】
リリースボタン26を押しながら、ワイヤ22を引くと、自由にワイヤ22を矢印29方向に引き出せる構成になっている。軸25は、ワイヤ22の巻取り用回転軸である。このようなワイヤ22の先端に設けられたリング23は、例えば、図の(c)に示したように、ユニットに固定されたボルト31とフック32を備えた鈎30に引っ掛けることにより、連結される。なお、ワイヤ22には、図の(e)に示すように、ワイヤの長さを示すマーク27が印刷されている。従って、後で説明するようにして、各ワイヤ22の長さが算出されて指定されたとき、その長さ分だけワイヤ22を引き出して、4本のワイヤ22の長さをそれぞれ図1で説明をした条件に合うように選定することができる。
【0018】
従来、このようなワイヤ22の長さを決めるのは、いわゆる玉掛け技術の熟練者によってのみ行われていたが、後で説明するようにして、コンピュータを用いて自動的にワイヤの長さを計算することにより、だれでも正確に最適な長さの選定が可能になる。なお、作業が終了した後は、リリースボタン26を押してワイヤ22を矢印29と反対方向にケース21の内部に巻き込んでおけば、その後の作業の邪魔にならない。なお、このワイヤは、ロープでもチェンでもよく、任意の紐状体にすることができる。また、ワイヤ伸縮部材20は、単に、チェンを巻き取るドラム等であっても構わない。
【0019】
図3は、より実際的なユニット吊り上げ装置の具体例を示す説明図である。
図3(a)に示すように、上記の例では、4本のチェンP、Q、R、Sでユニットを吊り上げるようにした。4本のチェンP、Q、R、Sの上端は、固定場所5において垂直に垂れ下がったワイヤ3の下端と連結するように一点で固定されている。しかしながら、このような状態で図1(a)に示すユニットを吊り上げると、ワイヤ3に図の矢印90に示すような捻れ力が加わり、ユニットが吊り上げ中に回転しやすい、という問題があった。
【0020】
そこで、図の(b)に示すような吊り上げ方法が採用されていた。図の横棒91は、吊り上げ装置のワイヤ3の下端95に上端を集中配置した、ほぼ等しい長さの2本の紐状体92、93によって吊り下げられている。横棒91の両端に紐状体92と93の下端をそれぞれ接続しているが、横棒91のどの部分にこれらの紐状体92、93を固定しても構わない。横棒91には、ユニットを吊り下げるためのチェンP、Q、R、Sの上端が固定されている。これらのチェンP、Q、R、Sの下端部分にユニットを結束する。
【0021】
図の(c)は、既に説明したようなユニット1を、(b)に示したような吊り上げ装置で吊り上げた状態を示す。なお、チェンP、Q、R、Sの長さの差が著しく大きくならないように、この例では、ユニット1の壁が無い隅に、補助棒13を仮固定している。この補助棒13は、壁11や12と並行に、ほぼ同じ高さに選定されている。その上端にチェンSを結束するようにしている。もちろん、図の(d)に示すように、こうした補助棒なしにユニット1を吊り上げることも可能である。また、図の(d)に示すように、ユニット1には、そのユニットを他のユニットに連結したり固定したりする場合に必要な付属品96を搭載し、ユニット1と同時に運搬しようとしている。さもなければ、付属品96だけを結束して運搬する作業が再度必要になるから、この方法は非常に効率がよい。しかしながら、搭載方法を誤ると、ユニット1が傾斜して、付属品96が落下することもある。そこで、その旨の計算も含めて行う。
【0022】
この付属品96をユニット1の指定された場所に搭載し、ユニット1と付属品96とを同時に目的とする場所に運搬する。こうした場合でも、ユニット1を水平に保ったまま運搬できるように、チェンP、Q、R、Sの長さをコンピュータで正確に計算し、表示する。さらに、付属品96をユニット1のどの部分に乗せればよいか、といった指示も出力し、安全な運搬を可能になる。なお、ユニット1に付属品96を乗せた場合には、付属品96を乗せたユニット1の全体から見た重心の真上に、紐状体92と93の上端95を一致させる。従って、付属品96とユニット1の集合体としての重心位置を、予め計算する。こうした計算に基づいて、紐状体の最適な長さを計算し、表示することもできる。
【0023】
図4は、上記のような紐状体の長さの計算を可能にするシステムの具体例を示すブロック図である。
図において、ネットワーク40は、ローカルエリアネットワークあるいは、イントラネットなどのネットワークである。このネットワーク40に紐状体の長さを計算する処理を実行するコンピュータ41が接続されている。さらに、ユニットなどの設計データを取得するために、設計部門のコンピュータ42が接続されている。設計部門のコンピュータ42の記憶装置45には、CADデータ46が記憶されている。このCADデータ46に含まれるユニットの設計図面を用いて、ユニットの重心の計算などを行うことができる。
【0024】
コンピュータ41の記憶装置50には、ユニットデータベース51が記憶されている。このユニットデータベース51は、どのユニットを吊り上げるかを指定した場合に、そのユニット名から具体的にそのユニットごとの吊り上げ方法などを示す情報を直ちに表示するために用意されたデータである。ユニットデータベース51は、ユニットの製品コードなどで表したユニット名52とユニットの縦横サイズ53、重心位置54、必要な付属品のリスト55、及び、ユニット吊り上げ方法を示すために必要な表示画像56などを含んでいる。即ち、予め後で説明するコンピュータプログラムを用いて、全てのユニットについてそのサイズや重心位置やそのユニットに乗せて同時に運搬する付属品全体のリストや重心位置やワイヤの長さを説明するための表示画像などを用意してしまう。
【0025】
演算処理装置60は、コンピュータ41に所定の演算処理を実行させるコンピュータプログラムを含む部分である。ここには、構造物指定手段61、構造物データベース検索手段62、吊り上げ案内画面編集手段63、重心位置計算手段64、チェンサイズ算出手段65、付属品重量計算手段66を含んでいる。構造物指定手段61は、どのユニットを吊り上げるかを指定する際に、その指定画面などを表示するコンピュータプログラムである。構造物データベース検索手段62は、指定されたユニットに関する情報をユニットデータベース51から検索して抽出する機能を持つプログラムである。
【0026】
吊り上げ案内画面編集手段63は、構造物データベース検索手段62が検索したユニットの重心位置や、その説明のための表示画像を、ディスプレイやプリンタに出力するための画面を編集する機能を持つ。重心位置計算手段64は、CADデータ46から全てのユニットの設計図面を取り出し、X軸に沿う方向に見た重量分布からX軸上の重心座標を求め、Y軸に沿う方向に見た重量分布からY軸上の重心座標を求める計算をする機能を持つ。即ち、重心位置計算手段64は、例えば、次のようにして重心位置を計算する。
【0027】
まず、ユニットの北側と南側の壁の重さを取得する。そして、ユニットの北から南に向かう直線上でその重心位置を決める。これがY座標軸上にあれば、重心のY座標が決まる。同様にして、東側と西側の壁の重量を計算する。そして、東側から西側に向かう直線上で重心を計算する。これが、X軸上にあれば、重心のX座標が決まる。図1の例では、例えば、北側の壁12の重さがW1とする。床の重量分布は全体に均一で、重心は床の中心にある。床の重さをWFとし、重心のY座標は、床の中心と北側の壁12の間にあって、W1とWFの比により求められる場所になる。ユニット1に他の部品が取り付けられていたり、後で説明するように、付属品が搭載される場合には、その重量分布も計算に含める。
【0028】
チェンサイズ計算手段65は、例えば、図1の例で、各チェンの上端の固定場所5の空間座標(x,y,z)と、各チェンの下端の結束場所A、B、C、Dの点の空間座標(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)、(x4,y4,z4)を取得して、幾何学的にその長さを正確に計算する機能を持つプログラムである。付属品重量計算手段66は、付属品の重量の合計を求める機能を持つ。なお、付属品は原則としてユニットのほぼ重心に近い位置に搭載することとする。付属品の長さがユニットの全長に比べて長いような場合には、重心位置が大幅に変化することもある。
【0029】
以上の計算を、ユニットの吊り上げ時にそのつど行うこともできるが、例えば、ユニットの縦横サイズ、重心位置、付属品等は、CADデータ46から、予め計算をすることができる。故に、その結果をユニットデータベース51に記録しておくことで、チェンの長さの計算を要求されたときの、計算処理を簡略化できる。
【0030】
図5は、上記のシステムによって具体的に各チェンの長さを出力させた例を示す説明図である。
まず、画面70を用いて条件を入力する。画面70には、ドロップダウンリスト71が設けられ、ここにユニット名を選択できるようにユニット名のリストが表示される。自由にユニット名を入力して構わない。ユニット名は、製品コードでもよい。ユニット名を指定して、計算、と表示されたボタン72をクリックすることにより、構造物指定手段61が構造物DB検索手段62にユニット名を渡し、ユニットデータベース51が検索される。
【0031】
該当するユニットのデータが取得されると、画面80が表示される。この画面80には、まず、ユニットを4本のワイヤで吊り上げた状態の斜視図81が示される。ユニットデータベース51の表示画像56に含まれたデータである。ここには、ユニットのワイヤ結束位置やチェンを識別するための記号などが表示される。また、その右側には、ユニットの平面図82が表示され、ここに重心位置が表示されている。これで、作業者は、ユニットの重心位置を確認できる。さらに、この平面図82にワイヤの位置関係を書き込んだ画面83が表示されている。この画面83を見れば、ユニットのどの部分にどのワイヤを接続するかが一目瞭然になっている。
【0032】
その右側の平面図84には、付属品を搭載する場所が破線の長方形で表示されている。この部分に付属品を搭載すれば、計算通りの重心位置でユニット1を吊り上げることができる、という意味である。付属品のメニューは、ユニットデータベース51に含まれており、ユニットと付属品の合計の重量や重心位置の計算も容易にできる。さらに、リスト85には、各ワイヤの長さがそれぞれ実長で示されている。図2を用いて説明した吊り上げ装置では、各ワイヤ22の長さを、それぞれ目盛り27を見ながら調整し、最適長さに固定した上で、各ユニットにそのワイヤ22の先端のリング23を結束すればよい。
【0033】
図6は、図3に示すような吊り上げ装置を用いた場合のチェン結束方法の説明図である。図6の(a)には、吊り上げ装置をユニットに結束する場合の各チェンの状態と、ユニットの各チェン接続部分との関係の例が示されている。チェンP、Q、R、Sは、その上端を横棒91に固定している。その固定場所は、図のように、横棒91上のどこでも構わない。できるだけ、チェンをユニットに固定する場所に近いところを選定すればよい。
【0034】
図の(b)には、チェンの長さを計算した結果の出力画面例を示した。この画面88に示すように、チェンの下端から数えていくつ目の環にフック30を接続すればよいか、を計算している。この例では、余りの環の数を余長と表現している。チェンPは、余長が13個である。チェンQ、R、Sは、余長がそれぞれ、15個、3個、0個となっている。例えば、チェンRの場合には、図の(c)に示すように、チェンの右端(下端のこと)から数えて3個を余らせるようにして、環69をフック30に結束する。これによって作業者は、容易に正確にチェンの長さを調整して、ユニットの吊り上げができる。
【0035】
図7と図8は、図3に示したような吊り上げ装置の、各チェンP、Q、R、Sの長さを計算するモデルの説明図である。
図2に示したような吊り上げ装置の場合、4本のワイヤの上端を集中配置した点5から、ユニットに各ワイヤの下端を結束する点までの長さを、立体座標の上で幾何学的に計算すればよかった。しかしながら、図3に示した例では、横棒91を吊る紐状体92、93の長さも問題になり、さらに、横棒91の傾斜も問題になる。
【0036】
そこで、その計算モデルを図7を用いて紹介する。まず、図7(a)に示すように、横棒91は、2本の等長の上紐92、93に吊り下げられている。横棒91は、この横棒91と2本の上紐92、93が作る二等辺三角形の底辺に横棒91があるように吊り下げられる。上紐92、93の長さは調節しないで、固定とする。そして、横棒91に上端を固定した下紐の長さを調節してユニット1を水平に吊り上げるようにする。下紐の位置には、それぞれP、Q、R、Sという符号を付した。
【0037】
まず、図(a)に示すように、ちょうど横棒91がユニット1の上面に平行になり、左右対称の状態に位置するときには、2本の下紐とユニットのなす角θが左右等しくなるようにすれば、ユニットは水平に吊り上げられる。ユニットをどの方角からみても、このような状態になる。これは、図が対称形であることからも、よく理解できるはずである。ここで、ユニット1の重心6がその中央よりも左にあるとする。このとき、上紐92と93を結束した点95が重心6の真上にくるように2等辺三角形を傾斜させる。この場合には、横棒91を傾斜させて、図の(b)に示すような状態にすると、ユニット1が安定に吊り下げられる。
【0038】
この例では、ユニットを左方向から見たときには、重心が中心にあるものと仮定する。ここで、横棒91と4本の下紐との関係をみた場合、4本の下紐は、(a)の場合と同様に、ユニット1を底辺とする2と右辺三角形の左右の2辺になるように、左右対称に同じ角度θ1で傾斜するように吊られる。これで、各下紐にほぼ等しい吊り上げ張力が加わる。従って、ユニット1を水平に持ち上げることが可能になる。図の(c)には、吊り上げた状態の斜視図を示した。図1で説明をしたように、重心位置がX軸方向に見てもY軸方向に見ても中心からシフトしていると、横棒をX軸方向にもY軸方向にも傾斜させた吊り方が必要になる。その説明を次の図で行う。
【0039】
図8は、ユニットの正面から見た横棒とユニットの左側面から見た横棒の状態を示す。図の(a)に示すようにユニット1を下紐で持ち上げる場合に、正面から見たときには左右対称の傾斜角θ2で吊り上げる。Pと付した下紐とQと付した下紐は共に傾斜角θ2で傾く。Rと付した下紐とSと付した下紐も共に傾斜角θ2で傾く。これは、図7の説明と同様である。一方、左側面から見たときは、Qと付した下紐とSと付した下紐の外側の2本が共に傾斜角θ3で傾くようにする。これで、Qと付した下紐とSと付した下紐を延長した延長線上に、横棒91の端がくる。横棒91は2本の等長の上紐92に吊り下げられた状態になる。
【0040】
水平にパランスよく吊り上げるには、横棒91と上紐92、93の形成する二等辺三角形の頂点が重心6の真上にきて、横棒91の両端に近い部分が4本の下紐の上端にくるようにすればよい。なお、横棒91は、もっと長くても構わない。このように横棒を位置決めした状態で、横棒の両端の三次元座標を計算する。その三次元座標と各下紐とユニットの結束点の三次元座標を求め、幾何学的に全ての下紐の長さを計算すればよい。以上は、計算モデルの一例であるが、ユニットと上紐や横棒の長さを固定して、この計算を予め済ましておいて、ユニットデータベースに記録しておけば、計算処理が簡略化できる。
【0041】
図9は、システムのコンピュータプログラム動作フローチャートである。
図4の構成を参照しながら説明する。始めに、構造物指定手段61は、ステップS1で、図5に示したようなユニット指定のための画面で指定されたユニット名を、計算ボタン72のクリックのタイミングで取得する。ステップS2で、構造物データベース検索手段62が、ユニットデータベース51を検索する。もし、ヒットするデータがあれば、ステップS3からステップS13へジャンプして、直ちに、図5に示すような画像と紐状体の長さ表示をする。一方、ヒットしない場合は、ステップS4で、ネットワーク40を通じて、CADデータ46を取得する。続くステップS5で、重心位置計算手段64が、ユニットの部品位置と重量を取得する。ステップS6では付属品の重量を取得する。
【0042】
その後、ステップS7で、重心位置の計算をする。今度はチェンサイズ算出手段65が、ステップS8で、ユニットと紐状体の固定位置座標を取得し、ステップS9て、紐状体の上端固定場所の座標を取得する。ステップS10では、紐状体の長さの計算をする。その結果は、図5に示したような表にする。吊り上げ案内画面編集手段63は、ステップS11で、図5に示したような表示画像を生成する。この表示画面は、CADデータ等を利用して生成する。算出した結果や表示画面は、次回に同じユニット用として使用できるから、ステップS13で、ユニットデータベースに追記して、その内容の更新をする。以上の処理が終了した後は、ステップS13で、図5に示したような画像と紐状体の長さ表示をする。ユニットデータベース51か充実すれば、計算処理は簡単になる。また、もし、チェンや横帽の長さを変更したいときは、その条件を重心位置計算手段64やチェンサイズ算出手段65のパラメータを変更すればよい。
【0043】
なお、上記の演算処理装置にインストールされたコンピュータプログラムは、それぞれ独立したプログラムモジュールを組み合わせて構成してもよいし、全体を一体化したプログラムにより構成してもよい。コンピュータプログラムにより制御される処理の全部または一部を同等の機能を備えるハードウエアで構成しても構わない。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。上記のような本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。また、ネットワークを通じて任意のコンピュータのメモリ中にダウンロードして利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステムの原理を示す説明図である。
【図2】上記の原理に基づく、基本的な吊り上げ装置の具体例を示す図面である。
【図3】ユニット吊り上げ装置の具体例を示す説明図である。
【図4】紐状体の長さの計算を可能にするシステムの具体例を示すブロック図である。
【図5】具体的に各チェンの長さを出力させた例を示す説明図である。
【図6】図3に示すような吊り上げ装置を用いた場合のチェン結束方法の説明図である。
【図7】図3に示したような吊り上げ装置の、各チェンP、Q、R、Sの長さを計算するモデルの説明図である。
【図8】ユニットの正面から見た横棒とユニットの左側面から見た横棒の状態である。
【図9】システムのコンピュータプログラム動作フローチャートである。
【符号の説明】
1 ユニット(構造物)
3 吊り上げ装置のワイヤ
5 紐状体上端の固定場所
6 構造体の重心
11 壁
12 壁
P,Q,R,S 紐状体
A,B,C,D 紐状体の下端結束位置
Claims (6)
- 非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置に対する前記紐状体上端の固定場所を、前記構造物の重心のほぼ垂直上方に集中配置するものとし、前記紐状体上端の固定場所の空間座標と、前記構造物を所望の姿勢に保持したときの、各紐状体の下端を構造物に結束する結束位置の空間座標とを取得して、前記各紐状体の長さを算出して出力する手段を設けたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。
- 非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、
吊り上げ装置の下端に上端を集中配置したほぼ等長の2本の紐状体と、この2本の紐状体の下端で、この2本の紐状体に2点を支持されて吊り下げられた1本の横棒と、この横棒に上端を固定されて、前記構造物に下端を結束する紐状体とがあるとき、前記構造物の重心のほぼ垂直上方に前記吊り上げ装置の下端を配置するものとし、前記吊り上げ装置の下端の空間座標と、前記構造物を所望の姿勢に保持したときの、当該構造物に対して各紐状体の下端を結束する結束位置の空間座標とを取得して、前記各紐状体の長さを算出して出力する手段を設けたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。 - 請求項1または2に記載の構造物吊り上げ作業支援システムにおいて、
算出した紐状体の長さに応じて、各紐状体の下端の、不要部分の長さを算出して、各紐状体の構造物への結束位置と、前記不要部分の長さとを合わせて表示出力する手段を備えたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。 - 請求項1または2に記載の構造物吊り上げ作業支援システムにおいて、
構造物は、建物のユニットから成り、
構造物中に、その構造物の任意の付属品を搭載して吊り上げるとき、
前記付属品の搭載位置を指定して表示出力するとともに、
前記構造物中に前記指定位置に前記付属品を搭載したときの重心を、構造物の重心とみなして、前記各紐状体の長さを算出する手段を備えたことを特徴とする構造物吊り上げ作業支援システム。 - 非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、吊り上げ装置に対する前記紐状体上端の固定場所を、前記構造物の重心のほぼ垂直上方に集中配置するものとし、前記紐状体上端の固定場所の空間座標と、前記構造物を所望の姿勢に保持したときの、各紐状体の下端を構造物に結束する結束位置の空間座標とを取得して、前記各紐状体の長さを算出して出力する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする構造物吊り上げ作業支援プログラム。
- 非対称形の構造物を4本以上の紐状体を用いて吊り上げる場合に、
吊り上げ装置の下端に上端を集中配置したほぼ等長の2本の紐状体と、この2本の紐状体の下端で、この2本の紐状体に2点を支持されて吊り下げられた1本の横棒と、この横棒に上端を固定されて、前記構造物に下端を結束する紐状体とがあるとき、前記構造物の重心のほぼ垂直上方に前記吊り上げ装置の下端を配置するものとし、前記吊り上げ装置の下端の空間座標と、前記構造物を所望の姿勢に保持したときの、当該構造物に対して各紐状体の下端を結束する結束位置の空間座標とを取得して、前記各紐状体の長さを算出して出力する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする構造物吊り上げ作業支援プログラム。
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-
2002
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