JP2004169694A - タービン翼及びガスタービン - Google Patents

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Abstract

【課題】 タービン翼の頂部に形成された冷却用の各吹き出し孔をラビング等で塞ぐことなく、的確にタービン翼を冷却して安定した運転を行うことが可能なタービン翼及びガスタービンを提供すること。
【解決手段】 動翼を冷却するための各吹き出し孔38,39は、上流側開口部38b,39bよりも下流側開口部38a,39aの方が大きい断面積を有して動翼の頂部TPに形成される。そしてこれらの形状は、テーパ形状T1,T2または段付き形状とされ、より好ましくは下流側開口部38a,39aが上流側開口部38b,39bよりも移動方向に偏心している構成とした。さらに、チップスキーラー37が形成されている場合、この側面をくり抜くように各吹き出し孔38を形成する構成とした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、発電プラント等に用いられて好適なガスタービンに関し、特に冷却構造を備えたタービン翼に関する。
発電プラント等に用いられる産業用ガスタービン(industrial gas turbine)の熱効率を向上させるためには、タービン入口における作動用の燃焼ガス(流体)の温度を高くすることが効果的である。一方、タービンの動翼(moving blade)や静翼(stationary blade)のタービン翼(turbine blade)を始めとする燃焼ガスにさらされる各部材の耐熱性能は、その材料の物質的特性によって制限されているため、単純にタービン入口温度を高めることはできない。
そこで、上述したタービン翼を冷却空気等の冷却媒体によって冷却しつつ、タービン入口を高温化することによって、タービン翼の耐熱性能を確保して熱効率を高めることが行われている。
このようなタービン翼の冷却方法としては、該タービン翼の内部に冷却媒体を流す対流冷却(convection cooling)やインピンジ冷却(impingement cooling)があり、また、この冷却媒体をタービン翼の外表面に吹き出して冷却媒体の膜を形成させるフィルム冷却(film cooling)等がある。
さらに、図4を用いて従来の動翼(タービン翼)の構造について説明する。
図4(a)は動翼部品50の一構成例を説明する斜視図、図4(b)は(a)のC−C断面における動翼51の先端部である頂部TP(tip)の断面図である。図において、符号51は動翼、54a,54bは頂部TPに形成された各チップスキーラー(squealer)(突出部)を示している。
図4(a)に示すように、動翼51は、図示しない回転軸(turbine rotor)に固定される嵌め込み部56上のプラットフォーム55上に立設されている。そして、動翼51の両側面には、動翼51の回転によって比較的高圧な燃焼ガスが流れる高圧側翼面53(外表面)と、それに比べて低圧な燃焼ガスが流れる低圧側翼面52(外表面)とが形成されている。
図4(b)に示すように、動翼51の先端である頂部TPには、チップスキーラー54a,54bと称する突部が、高さh2を有して動翼51の両翼面52,53に沿って形成されている。これら両チップスキーラー54a,54bは、ガスタービン起動時において頂部TPが対向する壁面に接触する際の削りしろの役目を担っている。
動翼51は燃焼器(図示せず)(combustor)から吹き出される燃焼ガスの流路内に配列されており、該流路はプラットフォーム55の壁面と、タービンの外観をなすケーシング(casing)の内壁面(図示せず)とによって形成されている。なお、ケーシングは分割環として構成されているものである。
ガスタービンの起動時には、この動翼51に高温なガスが衝突して動翼51の熱膨張が生じる。無論、静翼においても同様に熱膨張が生じる。しかし、ケーシングは直接高温ガスに接触しないので、これら各翼に比べて比較的ゆっくりと熱膨張する。従って、ケーシングの熱膨張は各翼の熱膨張に対応することができない。この状態で動翼51等が回転軸とともにケーシング内を回転するので、動翼51の頂部TPがケーシングの内壁面に接触して削られる場合がある。この現象はラビング(tip rub)と呼ばれ、動翼51の頂部TPとケーシングの内壁面との隙間にて圧力漏れがないように近接して形成されているために生じるものである。ラビングが発生した場合の削りしろ、また圧力保持などの役目を担って形成されたチップスキーラー54a,54bは、十分な高さh2を有して形成されているので、ラビングが生じた場合に必要とされる削りしろに十分対応している。
しかし、高温となる動翼51の頂部TPに、このような比較的大きな凹形状を有することは多くの面で不利である。これは、例えば冷却面からの距離が長く、冷却されにくいことによる頂部TPの焼損、さらにはクラック等が発生してタービンの運転に対して耐久性の低下が懸念されるからである。
これを解決すべく、図5に示すような動翼51の頂部TPの構成がある。図5は動翼51の頂部TPを示した断面図であって、図5(a)はラビング発生前の状態、図5(b)はラビング発生後の状態を示している。
図において、符号54は高圧側翼面53に沿って形成されたチップスキーラー(突出部)、56,57は頂部端面に複数形成された各吹き出し孔(hole)を示している。各吹き出し孔56,57は、2方向に分かれて形成されており、一方は図4で示したチップスキーラー(54a)よりも低い高さh3を有する段付き形状のチップスキーラー54に貫通するように形成され、他方は図4で示したチップスキーラー(54b)が除去された頂部TPの端面に形成されている。
各吹き出し孔56,57は、動翼51内の空洞部Rと連通しており、動翼51内に流入した冷却媒体を、各吹き出し孔56,57の各上流側開口部56b,57bから取り込んで、各下流側開口部56a,57aから吹き出す。これによって、これら開口部から吹き出された冷却媒体が、頂部TP、各翼面52,53、及び相対するケーシングの内壁面等を冷却することとなる。
各上流側開口部56b,57b、及び各下流側開口部56a,57aは同一な断面積を有して直径1mm程の孔として形成されており、放電加工、またはレーザ加工等によって形成されることが一般的である。
以上の構成により、これら各吹き出し孔56,57から吹き出される冷却媒体が用いられて頂部TP等の冷却がなされるので、チップスキーラー54の熱応力は緩和され、焼損及びクラックの発生が抑制されることになる。また、チップスキーラー54の高さが図4に示したものより低く、さらに片方のみに形成されているので、熱応力の集中が大幅に回避されて焼損及びクラックの発生が抑制されることとなった。
特開平07−063002号公報
しかしながら、上記従来のタービン翼である動翼51において、頂部TPにラビングが生じた場合、冷却媒体の各吹き出し孔56,57の周囲が削られて、これら吹き出し孔56,57が塞がれるという問題が生じていた。これは、削られた頂部TPの部材が変形して、各吹き出し孔56,57の周囲に例えばバリ(burr)として残存してしまうことによるものである。
図5(b)を参照しながらラビング発生後の状態を説明する。動翼51の頂部TPが、熱膨張によってケーシングの内壁面等に接触すると、頂部TPは次第に削られて高さαが除去される。すると、今まで頂部TPの端面にまで形成されていた吹き出し孔56,57も同時に削りとられて、先端の位置が下方に変化した下流側開口部56a’,57a’が形成される。それとともに、これら下流側開口部56a’,57a’の周囲が削られることによってバリが発生し、下流側開口部56a’,57a’の断面積はバリに阻まれて減少し、各吹き出し孔56’,57’の目詰まりが引き起こされる。以上により、頂部TPから冷却媒体を吹き出すことが困難となっていた。
つまり、動翼51の空洞部Rの冷却媒体は、各吹き出し孔56’,57’の上流側開口部56b,57bから流入しようとしても、下流側開口部56a’,57a’が塞がっていることで冷却に必要となる十分な冷却媒体を頂部TP等に吹き出すことができない。頂部TP等の冷却が正常に行われない場合、頂部TPの焼損、クラック等が発生し、タービンの耐久性が低下するという問題が再び生じてくることになる。
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、タービン翼の頂部に形成された冷却用の各吹き出し孔をラビング等で塞ぐことなく、的確にタービン翼を冷却して安定した運転を行うことが可能なタービン翼及びガスタービンを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、流路内に配列されるとともに、外表面に冷却媒体を吹き出すための複数の吹き出し孔が頂部に形成されたタービン翼において、
前記各吹き出し孔が、上流側開口部よりも下流側開口部の方が大きい断面積を有していることを特徴とする。
タービン翼の外表面を冷却するために設けられた各吹き出し孔は、タービン翼の先端である頂部に複数形成される。そして、冷却媒体がタービン翼の内部から頂部の外側に向かって各吹き出し孔から吹き出される。
各吹き出し孔の断面の大きさは、冷却媒体の上流側と下流側とで異なっており、タービン翼の外側に吹き出される側の下流側開口部の方が、各吹き出し孔に流入する側の上流側開口部よりも大きい断面積とされる。
従って、冷却媒体は、比較的小さな形状の上流側開口部から流入して、最終的には比較的大きな形状の下流側開口部から吹き出されることとなる。
また、ラビングが生じた場合においても、下流側開口部が塞がれることなく、ここから常に冷却媒体が頂部の外側に向けて吹き出されることにとなる。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のタービン翼において、
前記各吹き出し孔が、テーパ形状とされていることを特徴とする。
各吹き出し孔は、冷却媒体の流れにおける上流側開口部よりも下流側開口部の方が大きな断面積で形成される。この断面の差をテーパ形状でつなぐことによって、上流側開口部から下流側開口部までの断面を緩やかに拡大させた形状の各吹き出し孔が形成されることとなる。そして、テーパ形状とされた各吹き出し孔から冷却媒体が吹き出され、タービン翼等の冷却がなされる。
テーパ形状で吹き出し孔を形成した場合、例えば、頂部が削られて吹き出し孔がバリ等で部分的に塞がれてしまうことがあっても、上流側開口部よりも大きな断面積を有しているので、上流側開口部よりも小さな断面積になることはバリ等の生成状態から推測して考えにくい。
また、テーパ形状の角度を大きくすることで、このテーパ形状の壁面と頂部端面とのなす角がなだらかになり、バリ等の発生を抑えることも可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2記載のタービン翼において、
前記各吹き出し孔が、断面積の異なる少なくとも2段以上の段付き形状とされていることを特徴とする。
各吹き出し孔は、冷却媒体の流れにおける上流側開口部よりも下流側開口部の方が大きな断面積で形成される。この断面の差を2段以上の段付き形状でつなぐことによって、下流側開口部の断面積が上流側開口部の断面積よりも大きいとされた各吹き出し孔が形成されることとなる。そして、段付き形状とされた各吹き出し孔から冷却媒体が吹き出され、タービン翼等の冷却がなされる。
例えば、タービン翼の頂部が削られて、各吹き出し孔がバリ等で部分的に塞がれてしまう場合、予想される削りしろの高さ分だけ大きな断面積の下流側開口部を形成しておくことが望ましい。つまり、下流側開口部が序々に削られても、断面積の大きい下流側開口部を確保することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のタービン翼において、
前記各吹き出し孔の前記下流側開口部が、前記頂部に相対する壁面の相対的な移動方向に広がるように形成されていることを特徴とする。
タービン翼の頂部は、これに対向する相対的に移動する壁面と近接している。この相対的に移動する壁面と頂部とが相対的に移動しながら接触した場合、各吹き出し孔が形成されている頂部は次第に削られる。頂部が削られると、各吹き出し孔には相対的な移動方向に従ったバリ等が発生する。しかし、各吹き出し孔の上流側開口部よりも大きく形成された下流側開口部が、壁面の相対的な移動方向側に広がるように形成されているので、バリ等が下流側開口部に直接覆い被さることが回避される。つまり、各吹き出し孔から吹き出される冷却媒体は、バリ等が発生した状況下でもこれに阻害されないで吹き出されることになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のタービン翼において、
前記頂部の少なくとも一方の縁には、一方が前記外表面に沿って延在し、他方が前記頂部からさらに突出するように形成された突出部が形成され、
前記吹き出し孔が、前記突出部の他方側の壁面に沿って形成されていることを特徴とする。
タービン翼の頂部には、外表面に延在した突出部が形成され、その外表面に延在している反対側の突出部の壁面に沿って、冷却媒体が吹き出される各吹き出し孔が形成される。この突出部が、例えばラビング等によって削られて、その際にバリ等が発生しても、突出部の壁面に対してほぼ垂直方向に空けられた各吹き出し孔が常に確保されることになる。
つまり、これら各吹き出し孔は、頂部端面に向かって形成されるが、バリ等の発生による各吹き出し孔の上方が塞がれることによって、突出部の壁面に吹き出し孔が形成されたような構成、換言すると、タービン翼の長手方向に対して横方向に向いた孔形状ともなりうる。
請求項6に記載の発明は、空気を圧縮する圧縮機と、高温高圧の流体を生成する燃焼器と、前記流体のエネルギーを翼で機械仕事に変換して軸トルクを発生させるタービンとを備えたガスタービンにおいて、
前記タービンが、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のタービン翼を備えていることを特徴とする。
タービン翼には、冷却媒体を吹き出すための複数の各吹き出し孔が設けられ、それら各吹き出し孔の下流側開口部が上流側開口部よりも大きな断面積を有して形成される。そして、このタービン翼がガスタービンのタービンに取り付けられることになる。
従って、タービン翼の頂部に形成された各吹き出し孔は、ラビング等によるバリの発生があっても塞がることはなく、ここからタービン翼を冷却する冷却媒体が吹き出される。そして、外表面及び頂部を含めた冷却がなされるタービン翼の採用によって、タービン入口を高温化しながらタービン翼の耐熱性能を確保してガスタービンの運転が行われることになる。
請求項1記載の発明は、各吹き出し孔が、上流側開口部よりも下流側開口部の方が大きい断面積を有して頂部に開口して形成されているので、ラビング等が生じても各吹き出し孔が塞がれることがなく、的確なタービン翼の冷却を行うことができる。従って、頂部の焼損、クラック等の不具合を未然に回避して耐久性の高いタービン翼を提供することができる。
請求項2記載の発明は、各吹き出し孔がテーパ形状とされているので、冷却媒体をスムーズに頂部に導くことができ、バリ等の発生箇所がなだらかになるのでバリ等の発生が抑えられ、各吹き出し孔の目詰まりを防止して的確なタービン翼の冷却を行うことが可能となる。
請求項3記載の発明は、各吹き出し孔が、断面積の異なる少なくとも2段以上の段付き形状とされているので、ラビングによるバリ等の発生によって生じる各吹き出し孔の目詰まりを防止して、これら各吹き出し孔を容易に形成することができる。
請求項4記載の発明は、各吹き出し孔の下流側開口部が、頂部に相対する壁面の相対的な移動方向に広がるように形成されているので、ラビング等によるバリの発生によって各吹き出し孔が塞がれることがより的確に回避され、さらに冷却性能の信頼性が高いタービン翼を提供することができる。また、テーパ形状に形成した場合、バリ等が発生する箇所がなだらかに形成されるので、バリ等の影響を格段に低下させることが可能となる。
請求項5記載の発明は、頂部の少なくとも一方の縁には、一方が外表面に沿って延在し、他方が頂部からさらに突出するように形成された突出部が形成され、吹き出し孔がこの突出部の他方側の壁面に沿って形成されているので、バリ等が発生した場合でも各吹き出し孔を確保できるとともに、頂部に対して的確に冷却媒体を吹き付けることが可能となる。また、突出部の冷却を効果的に行うことができ、頂部の焼損、クラックの発生等を抑えて耐久性が向上したタービン翼を提供することができる。
請求項6記載の発明は、ガスタービンのタービンに、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のタービン翼が備えられているので、タービン翼の冷却性能が初期運転時から継続的に維持することができ、信頼性、耐久性、さらに整備の簡略化がなされたガスタービンを提供することができる。
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本実施形態におけるガスタービン1の概略構成を説明する断面図である。図において、符号10は圧縮機(compressor)、20は燃焼器、30はタービンである。そして、圧縮機10とタービン30とが回転軸2によって接続された配置をなしており、圧縮機10とタービン30との間に燃焼器20が設けられている。
圧縮機20は、多量の空気をその内部にとり入れて圧縮するものである。通常のガスタービン1では、回転軸2で得られるタービン30の動力の一部が、圧縮機10の動力(compressor input)として利用されている。
燃焼器20は、圧縮機10で圧縮された空気に燃料を混合して燃焼させ、タービン30につながる流路32に燃焼ガス(流体)を送っている。
そして、タービン30は、外観をなすケーシング31内に少なくとも圧縮機10からつながる回転軸2と、複数の動翼34及び静翼33(共にタービン翼をいう)とを備えている。
動翼34は、回転軸2の周囲に固定されており、回転軸2の軸方向に流れる燃焼ガスの圧力を受けて回転軸2を回転させる役目を担っている。
また、静翼33はケーシング31の内壁を構成する分割環に固定されており、ケーシング内の流れの方向,圧力,速度を変化させる目的で使用されている。そして、これら静翼33の頂部には回転軸2との隙間を塞ぐ軸シール機構33aが備えられている。
これら動翼34と静翼33とは、回転軸2とケーシング31の内壁面との間に形成される燃焼ガスの流路に交互に取り付けられ、燃焼器20で発生した燃焼ガスをその内部の流路32に導入して膨張させ、これらに吹き付けることで燃焼ガスの熱エネルギーを機械仕事の回転エネルギーに変換して動力を発生させている。この動力は上述したように圧縮機10の動力としても利用され、一般的には発電プラントの発電機(generator)等の動力として利用されている。
さて、図1の符号Aに示される、動翼34の先端である頂部の構造について図2を用いて説明する。図2(a)は頂部に形成された各吹き出し孔を説明する断面を含む斜視図、図2(b)はラビング発生後の状態を示した頂部の断面図である。
図2に示される符号38、39は、冷却媒体を吹き出す頂部TPに形成された各吹き出し孔を示している。これら複数の各吹き出し孔38,39は、低圧側翼面35(外表面)側と高圧側翼面36(外表面)側との2方向に分かれてそれぞれ形成されている。また、低圧側翼面35に延在するようにチップスキーラー37(突出部)が頂部TPに突出して設けられており、ここに低圧側翼面35側に向けられた各吹き出し孔38がチップスキーラー37の側壁面をくり抜くように形成されている。
2方向に形成された各吹き出し孔38,39は、動翼34の内部にある空洞部Rと頂部端面とを連通させる方向性を有して形成されている。そして、空洞部Rを流動する冷却媒体は、各吹き出し孔38,39の上流側開口部38b,39bから取り込まれてテーパ形状T1,T2とされた通路を通り、これに連通する上流側開口部38b,39bよりも大きな断面積とされた下流側開口部38a,39aに導かれて、動翼34の外側に吹き出される。
なお、本実施形態では、上流側開口部38b,39bの直径を0.8〜1.0mm程度とし、下流側開口部38a,39aの直径を2〜3mm程度として形成している。また、図2(a)及び図2(b)では吹き出し孔38及び39は円筒形状であるが、特にこれに限定されるものではない。例えば、楕円形や、三角形、多角形等という形であってもよい。
動翼34が回転方向(direction of rotation)に従って紙面左から右に回転すると、動翼34の頂部TPはケーシング31(図1参照)の内壁面と接触する場合がある。これは、動翼34に燃焼ガスの高熱が作用することで熱膨張が引き起こされるためであり、動翼34の高さが増すことによってケーシング31の内壁と接触するものである。
なぜなら、ケーシング31は動翼34に比べて比較的熱膨張が遅く、動翼34が先に熱膨張すると、変化が遅いケーシング31に接触するからである。この現象は、ガスタービン1の初期運転時や、運転開始時に特に顕著に発生する。なお、頂部TPに相対する壁面は、ここでいうケーシングの内壁面をいうものであり、実際の動翼34の動きに対して相対的に移動している。
頂部TPがケーシング31の内壁に接触すると、頂部TPは次第に削られることになる。このことは、一般的にラビングと呼ばれている。
頂部TPにラビングが発生すると、図2(b)に示すようにチップスキーラー37は削られて、ここに形成された各吹き出し孔38、及び頂部端面に形成された各吹き出し孔39にそれぞれバリBが発生する。これらバリBは、回転方向に従って各吹き出し孔38,39に覆い被さるように生成される。
しかし、本実施形態における頂部TPに形成された各吹き出し孔38,39は、上流側開口部38b,39bに比べて直径が2〜3倍の断面積を有するようにテーパ形状に形成されているため、バリBが生じても各吹き出し孔38,39が塞がれることはない。従って、空洞部R内の冷却媒体はそれぞれの各吹き出し孔38,39から問題なく吹き出され、吹き出された冷却媒体は矢印に示すように高圧側から低圧側へと流れることで動翼34の頂部TP、チップスキーラー37、各翼面35,36、及び頂部TPに相対するケーシング31の内壁面等を冷却することになる。
以上説明した動翼34の構成によれば、ラビングが生じても冷却媒体を吹き出す各吹き出し孔38,39が塞がれることはなく、動翼34の冷却を的確に且つ継続的に行うことができる。これとともに、チップスキーラー37及び頂部TPの熱負荷が低減されるので、焼損、クラック等の不具合を回避して、安定したガスタービン1の運転を行うことができる。
なお、本実施形態の変形例として、以下の構成としてもよい。
図3は、本実施形態の変形例を示す動翼34の頂部TPの断面図である。なお、図に示される符号は、上述した実施形態と同じ符号であるので、その説明を省略する。
まず、図3(a)を用いて説明する。図3(a)は、各吹き出し孔38,39のそれぞれ各下流側開口部38a,39aの中心が、各々に対応する各上流側開口部38b、39bの中心と比較して偏心したテーパ形状T1,T2の吹き出し孔38,39を備えた頂部TPの断面を示している。
動翼34の空洞部Rから頂部端面に向かって形成された各吹き出し孔38,39は、直径が1mmほどの狭い上流側開口部38b,39bから次第にテーパ形状T1,T2に合わせて断面積が拡大する。そして、この断面積が拡大する方向は、動翼34を静止状態として見た場合、この動翼34に対する相対的なケーシング2の内壁面の移動方向に向かって紙面右側にずれている。つまり、上流側開口部38b,39bの中心に比べて、下流側開口部38a,39aの中心がケーシング2の内壁面の相対的な移動方向の逆方向に広がるように偏心している。
また、このような下流側開口部38a,39aの偏心にともなって、頂部端面とテーパ形状T1,T2の壁面とのなす角がなだらかになる。
これらのことによって、バリ等が発生しても、各吹き出し孔38,39が塞がれることはさらに減少する。また、バリ等が発生する箇所がなだらかとされているので、バリの発生が減少する効果が得られる。
次に、図3(b),(c)を用いて段付き形状の各吹き出し孔38,39について説明する。図3(b)、(c)は図3(a)と同様に動翼34の頂部TPの断面を示した断面図である。
図3(b)を用いて段付き形状S1,S2の各吹き出し孔38,39を説明する。各吹き出し孔38,39は、直径1mm程度の上流側開口部38b,39bと、直径2〜3mm程の下流側開口部38a,39aとを有しており、これらを段付き形状S1,S2でつなげている。
これによって、各下流側開口部38a,39aを各上流側開口部38b,39bよりも2〜3倍の断面積を有して形成することができ、バリ等による各吹き出し孔38,39の目詰まりが回避される。また、段付き形状S1,S2とされているため、これらを放電加工あるいは機械加工等で容易に形成することができる。
さらに、図3(c)を用いて上記説明した段付き形状S1,S2が偏心した場合の各吹き出し孔38,39を説明する。
動翼34の空洞部Rから頂部端面に向かって形成された各吹き出し孔38,39は、直径が1mmほどの狭い上流側開口部38b,39bから段付き形状Sa1,Sa2によって通路の断面積が拡大する。そして、この断面積が拡大する方向は、動翼34を静止状態として見た場合、この動翼34に対する相対的なケーシング2の内壁面の移動方向に向かって紙面右側にずれている。つまり、上流側開口部38b,39bの中心に比べて、下流側開口部38a,39aの中心がケーシング2の内壁面の相対的な移動方向に広がるように偏心して形成されている。
これによって、各下流側開口部38a,39aを各上流側開口部38b,39bよりも大きな断面積を有して形成することができるとともに、バリ等が発生しても各吹き出し孔38,39が塞がれることがより効果的に回避される。また、段付き形状Sa1,Sa2とされているため、これらを放電加工あるいは機械加工等で容易に形成することも可能となる。
本発明の一実施形態におけるガスタービンの概略構成を説明する断面図である。 本発明の一実施形態における図1の符号Aにおける動翼の頂部を説明する図であって、(a)はラビング発生前の頂部の構成を説明する断面を含む斜視図、(b)はラビング発生後の頂部を示した断面図である。 本発明の一実施形態における変形例を示した動翼の頂部の断面図であって、(a)は偏心したテーパ形状の各吹き出し孔を備えた頂部の断面図、(b)は段付き形状の各吹き出し孔を備えた頂部の断面図、(c)は偏心した段付き形状の各吹き出し孔を備えた頂部の断面図である。 従来の動翼の構成を説明する図であって、図4(a)は動翼部品の一構成例を示した斜視図、図4(b)は(a)のC−C断面における頂部の断面図である。 従来の動翼の頂部を説明する図であって、(a)はラビング発生前の頂部の断面図、(b)はラビング発生後の頂部の断面図である。
符号の説明
30 ガスタービン
31 ケーシング
32 流路
33 静翼(タービン翼)
34 動翼(タービン翼)
37 チップスキーラー(突出部)
38,39 各吹き出し孔
38a,39a 下流側開口部
38b,39b 上流側開口部
TP 頂部
B バリ
R 空洞部
T1,T2 テーパ形状
S1,S2 段付き形状
Sa1,Sa2 段付き形状

Claims (6)

  1. 流路内に配列されるとともに、外表面に冷却媒体を吹き出すための複数の吹き出し孔が頂部に形成されたタービン翼において、
    前記各吹き出し孔は、上流側開口部よりも下流側開口部の方が大きい断面積を有していることを特徴とするタービン翼。
  2. 請求項1記載のタービン翼において、
    前記各吹き出し孔は、テーパ形状とされていることを特徴とするタービン翼。
  3. 請求項1または請求項2記載のタービン翼において、
    前記各吹き出し孔は、断面積が異なる少なくとも2段以上の段付き形状とされていることを特徴とするタービン翼。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のタービン翼において、
    前記各吹き出し孔の前記下流側開口部は、前記頂部に相対する壁面の相対的な移動方向に広がるように形成されていることを特徴とするタービン翼。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のタービン翼において、
    前記頂部の少なくとも一方の縁には、一方が前記外表面に沿って延在し、他方が前記頂部からさらに突出するように形成された突出部が形成され、
    前記吹き出し孔は、前記突出部の他方側の壁面に沿って形成されていることを特徴とするタービン翼。
  6. 空気を圧縮する圧縮機と、高温高圧の流体を生成する燃焼器と、前記流体のエネルギーを翼で機械仕事に変換して軸トルクを発生させるタービンとを備えたガスタービンにおいて、
    前記タービンは、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のタービン翼を備えていることを特徴とするガスタービン。
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