JP2004174342A - 塗布装置および塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマディスプレイパネルのボックス型リブに蛍光体層を形成する装置と方法に関し、精度よく高速に均一量均一濃度蛍光体層を形成する方法。
【解決手段】装置構成としては、矢印X−X’にディスペンサー3を移動させる移動部5、矢印Y−Y’に基板4を移動させる搬送部6、矢印Z−Z’にディスペンサー3を移動させる移動部7、移動部5及び7と搬送部6を制御する制御ボックス8、蛍光体材料を供給するエアー圧制御部9からなる。基板4と吐出口のクリアランス、相対位置を決めて、ディスペンサー3により基板4に蛍光体ペーストを間欠に塗布する。
【選択図】 図2
【解決手段】装置構成としては、矢印X−X’にディスペンサー3を移動させる移動部5、矢印Y−Y’に基板4を移動させる搬送部6、矢印Z−Z’にディスペンサー3を移動させる移動部7、移動部5及び7と搬送部6を制御する制御ボックス8、蛍光体材料を供給するエアー圧制御部9からなる。基板4と吐出口のクリアランス、相対位置を決めて、ディスペンサー3により基板4に蛍光体ペーストを間欠に塗布する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と称す)の蛍光体層形成に関する塗布装置および塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネルの蛍光体層を形成する方法として、スクリーン印刷方式やディスペンサー方式,電解ジェット方式,インクジェット方式,フォトレジスト方式などがある。これらの方法を用いてR(赤),G(緑),B(青)の蛍光体層が背面板のリブ間に形成される。
【0003】
近年、プラズマディスプレイパネルの高精細化、高輝度化に対応するために様々なリブ形状が考案されている。そのなかでも、図11に示すようなボックス型リブは、クロストーク問題の解決や、発光面積の向上などの利点から注目されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2679036号公報
【特許文献2】
特開2002−021715号公報
【特許文献3】
特開2001−015021号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述する従来の方法では、精度良く高速にボックス型リブに蛍光体層を形成することは難しいと考える。その理由を以下に説明する。
【0006】
例えば、スクリーン印刷方式の場合、近年の画面サイズの大型化、高精細化により用意されるべきスクリーン版はかなり大型のもの、且つ、微細な構造を有する物になる。すると、スクリーン版の伸縮や位置決め誤差が生じやすく精度良く塗布することは必然的に難しくなる。
【0007】
また、インクジェット方式の場合、極微量を精度よく塗布することは可能であるが、1ショット当りの塗布量が少ないため、生産タクトの面から不利である。また、塗布材料をインクにするためには、固形分である蛍光体の濃度を下げなくてはならず、そのため、パネルの輝度がある一定量から上がらないという問題を有する。
【0008】
また、フォトレジスト方式の場合、感光性蛍光体フィルムをリブ間に埋め込み形成したい蛍光体層のみを露光し、露光しない部分は洗い流すため、ある程度精度は、よく蛍光体層を形成できる。しかしながら、R(赤)G(緑)B(青)の3色ごとに蛍光体フィルムの埋め込み、露光、洗浄作業という一連の作業が必要なまた、工程数が増えるうえに材料コストが高くなるという問題が生じる。
【0009】
また、ディスペンサー方式の場合、微量に間欠で塗布することは可能であるが、精度よく高速で塗布することは難しい。例えば、図11に示すような従来のエアパルス式のディスペンサーの場合、水頭差による吐出量のバラツキ、吐出圧脈動による吐出量のバラツキ、流体の粘度低下による吐出量のバラツキなどの問題が存在しており、精度よく塗布することが出来ない。これらの問題を解決するために、水頭差、温度変化などの影響を予めコンピュータにプログラミングしておき、エアパルスの制御を行うなどしているが、制御系が複雑化して根本的な解決策にはなっていない。
【0010】
また、エアパルス式のディスペンサーの場合、ノズル先端を塗布面に近接させた状態でノズルから材料を吐出し、その材料が基板に転写されることによって塗布が行われている。そこで、ボックス型リブに塗布する際、ノズル先端部をリブ高さより下げた場合、塗布後ノズル先端に材料が付着し、それが材料の糸引きやタレの要因となり精度よく塗布できない。逆に、リブ高さより上げて塗布する場合、リブ頂部に余分な材料がつかないよう塗布量を調整して塗布することは非常に困難である。
【0011】
これらの観点からも、従来のエアパルス式のディスペンサーでボックス型リブに塗布することは困難であった。すなわち、ディスペンサー方式でボックス型リブに高速に塗布するためには、ノズル先端とその対向面を十分に離した状態で、材料をノズル先端から吐出飛翔させる技術が必要であると言える。
【0012】
これら従来のディスペンサーの欠点を克服するために、特許文献1に開示されるディスペンサーを用いれば、高速で塗布することが可能であると考えられる。しかしながら、このディスペンサーにおいて、ペースト材料をボックス型リブに間欠に、始点から終点まで精度よく均一量、均一濃度で塗布する方法、且つ、吐出口と対向面である基板との距離を広い間隔に保持し、塗布材料を飛翔させて塗布する方法については、開示されていない。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、プラズマディスプレイパネルのボックス型リブに精度良く、均一量且つ均一濃度の蛍光体をディスペンサー方式により高速塗布する塗布装置および塗布方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本願第1の発明の塗布装置は、ピストンとハウジングを相対的に移動させる第一のアクチュエーターと、前記ピストンの少なくとも一部を収納し軸方向に貫通した空間を有するスリーブと、前記スリーブと前記ハウジングを相対的に移動させる第二のアクチュエーターと、前記ピストン、前記スリーブ及び前記ハウジングで形成されるポンプ室と外部とを連絡する流体の吸入口と吐出口より構成される塗布装置であって、前記ピストンと前記スリーブを相対的に逆方向に動作させる時間をT1、前記ピストンを下降させる時間をT2、スリーブを上昇させる時間をT3としたとき、T1>T2、T3>T2であることを特徴とする。
【0015】
このとき、T1,T2,T3の時間関係が、T1>T3>T2であると好適である。
【0016】
また、本願第1の発明の塗布装置において、流体吐出時間T2がT2<5msecであると好適である。
【0017】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ボックス型リブのガラス基板面から前記吐出口までの距離δが、δ>100μmであると好適である。
【0018】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ボックス型リブにおいて1つのボックスの縦方向を縦リブ、横方向を横リブと定義し、その縦リブ横リブのうち、短い方の長さをLと、1滴の吐出量をVとした時に、ボックス型リブのガラス基板面から前記吐出口までの距離δが、δ>1.5V/πL2であると好適である。
【0019】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ピストンとスリーブの相対的な変位量を変えることでポンプ室の容量を制御し、ノズルから流体を間欠に吐出飛翔させることで基板のリブ形状に依存しない塗布を可能にすると好適である。
【0020】
また、本願第1の発明の塗布装置において、基板に塗布する際、始点や終点付近においてはピストンとスリーブの相対変位量を漸次変化させると好適である。
【0021】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ピストンとスリーブの変位からなる変位波形において、その波形に微小な振動を加えると好適である。
【0022】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ピストンとスリーブの変位波形の一区間に超音波発振子による振動を加えると好適である。
【0023】
更に、本願第1の発明の塗布装置において、流体を塗布する際、塗布装置のZ軸方向の変位はゼロであると好適である。
【0024】
一方、本願第1の発明の塗布方法は、ピストンとハウジングを相対的に移動させながら、前記ピストンの少なくとも一部を収納し軸方向に貫通した空間を有するスリーブと前記ハウジングを相対的に移動させることで、流体が前記ピストン、前記スリーブ及び前記ハウジングで形成されるポンプ室から吐出口を経て吐出される塗布方法であって、
前記ピストンと前記スリーブを相対的に逆方向に動作させる時間をT1、前記ピストンを下降させる時間をT2、スリーブを上昇させる時間をT3としたとき、T1>T2、T3>T2であることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について説明する。
【0026】
図1は、ボックス型リブの基板例の概要を示すものである。この様なリブ形状の形成方法としては、厚膜印刷やサンドブラスト法などがある。例えば、サンドブラスト法の場合、ガラスペーストをガラス基板1にスクリーン印刷などにより塗布した後、この上に、感光性レジストを塗布、露光、現像した後に、レジスト膜が形成されていない箇所をサンドブラストにより除去することで、ボックス型リブ2が形成される。42インチパネルの場合、例えばボックス型リブの幅は、縦0.63mm,横0.26mm程度の大きさである。
【0027】
このような、ボックス型リブ2に蛍光体ペーストを塗布する際、図2に示す塗布装置を使用する。主な装置構成としては、矢印X−X’にディスペンサー3を移動させる移動部5、矢印Y−Y’に基板4を移動させる搬送部6、矢印Z−Z’にディスペンサー3を移動させる移動部7、移動部5及び7と搬送部6を制御する制御ボックス8、蛍光体材料を供給するエアー圧制御部9からなる。そして、基板4と吐出口のクリアランス、相対位置を決めて、ディスペンサー3により基板4に蛍光体ペーストを間欠に塗布する。
【0028】
図2に示すディスペンサー3は、ピストンとハウジングを相対的に移動させる第一のアクチュエーターと、このピストンの少なくとも一部を収納し軸方向に貫通した空間を有するスリーブと、このスリーブとハウジングを相対的に移動させる第二のアクチュエーターと、前記ピストン、前記スリーブ、前記ハウジングで形成されるポンプ室と外部とを連絡する流体の吸入口と吐出口より構成される。
【0029】
第一及び第二のアクチュエーターは、超磁歪素子や圧電素子等の電磁歪素子から構成されており、Z軸方向に高速、微小変位することが出来る。図3にディスペンサー先端部の断面図を示す。
【0030】
図3をもとに、ペースト材料の流れを説明すると蛍光体ペーストは、材料供給部10から外枠11とスリーブ12の間を通りノズル先端部に供給される。そして、スリーブ12とピストン13の連動した動作により蛍光体ペーストがノズル14より間欠に吐出される。このスリーブ12とピストン13の動作の一例を図4、変位波形を図5に示す。
【0031】
これら図4、図5をもとに吐出メカニズムについて説明する。
【0032】
まず、スリーブ12とピストン13が上下逆方向に動作する第1区間T1では、スリーブ12が下降することにより外枠11、スリーブ12、ピストン13で囲まれた擬閉空間すなわちポンプ室15が形成される(交換行程)。次に、ピストン13が下降する第2区間T2では、擬閉空間に閉じ込められた一定量の蛍光体ペーストがポンプ室15より吐出口14を経て吐出される(吐出行程)。更に、第3区間T3では、ピストン13は一定高さのままで、スリーブ12が上昇することにより再び蛍光体ペーストがポンプ室15に供給される(吸入行程)。そして、第3区間T3から又第1区間T1へと移り、このサイクルすなわち塗布周期Tcを繰り返すことによって蛍光体ペーストの連続吐出が可能となる。
【0033】
本塗布装置における第1区間T1は、材料交換行程であり、第2区間T2は材料吐出行程、第3区間T3は材料吸入行程である。各行程T1,T2,T3のそれぞれ必要な時間は、次の通りである。
【0034】
まず、吸入行程T3は、他の行程より長い時間が必要である。その理由は、ポンプ室15には圧力差で材料が充填するが、仮に充填時間が短ければ、充填量が不足し空打ちとなる。このため、最低限の充填時間が必要であるためである。吐出行程T2は、短いほど大きなピーク圧力を発生でき、流体を飛翔させやすく出来る。圧電素子などのアクチュエーターを用いれば、T2<1msecは可能である。交換行程T1も、スリーブ12の下降により強制的に流体をポンプ室15に流入できるので十分に小さくできる。
【0035】
これらのことから、T1,T2,T3の時間関係はT1>T2、T3>T2であり、より望ましい関係は、T1>T3>T2である。また、生産タクトから考えて吐出時間T2は、T2<5msecであることが望ましい。更に、応答性の高い素子や電源を用いれば塗布周期Tcは短縮可能である。
【0036】
また、本発明の塗布装置で間欠塗布を可能にしているのは、図5に示す様な、スリーブ12とピストン13の変位波形により、ノズル先端部に負圧と正圧が交互に生じるためである。ディスペンサー3のノズル先端部での発生圧力を図6に示す。
【0037】
まず、スリーブ12を上昇させる第3区間T3では大きな負圧が発生し、スリーブ12とピストン13が上下逆方向に動作する第1区間T1では徐徐に圧力が回復し、ピストン13が下降する第2区間T2では大きな正圧が発生する。このように、スリーブ12とピストン13の動作のみで負圧が発生するので、従来のディスペンサーのように液切れをさせるために、塗布直後Z軸方向にディスペンサー自身を持ち上げなくともよい。このため、Z軸方向の変位はゼロとなるので、蛍光体ペーストを間欠に高速で塗布することが可能となる。
【0038】
このノズル先端部に起こる正圧と負圧のサイクルにより、蛍光体ペーストに対して適切なノズル径とノズル長を選択すれば、蛍光体ペーストをノズル14から飛翔させることが出来る。その結果、ディスペンサー3では、インクジェットのように塗布材料を飛翔させることが出来るので、ボックス型リブ2はもちろん基板面のリブ形状に依存しない塗布が可能となる。ボックス型リブのリブ高さは通常100μm以上あるが、本塗布装置の吐出口(ノズル14)とガラス基板面との距離δをδ>100μm上げて塗布すればよい。
【0039】
また、ノズルから材料を飛翔させて塗布する際、液滴を完全な球体と考えるとボックス型リブに一回で入れる球体の直径は、リブ幅より大きくなってしまう。しかしながら、実際には液滴の自重があるので、液滴は回転楕円体の形で塗布されると考えられる。このことから、最低でもノズルと基板間の距離は楕円体長軸の2倍以上、リブ幅が楕円体短軸の2倍以上の長さを有していれば、リブ頂部にペーストが付着することなく塗布することが出来る。
【0040】
この状態を図7に示す。1滴当りの体積をV(mm3)、リブ幅をL(mm)とし、回転楕円体の長軸をa、短軸をbとすると、その体積Vは、V=4πab2/3である。ガラス基板からノズルまでの高さδは、δ>2a必要でありL=2bとすると、δ>2a=2×(3V/4πb2)=1.5V/πL2と言う関係式が導かれる。少なくともこの関係式を満たすようにノズル14とガラス基板との距離を離して塗布する必要がある。
【0041】
図8は、ペースト材料の飛翔性を改善するために、ピストンとスリーブの変位波形を改善したものである。
【0042】
ペースト材料を吐出する第2区間T2では、スリーブ12とピストン13両方を下降させる。これにより、図5の変位波形より吐出圧力を上げることが出来る。そして、第2区間T2の直後スリーブ12とピストン13を同時に上昇することにより、図5の変位波形よりポンプ室15には大きな負圧が発生する。このように、スリーブ12とピストン13を同時に動作させることで正圧と負圧をよりポンプ室15に発生させて、更に高粘度の材料でも間欠にノズルから飛翔させて吐出することが出来る。本発明における塗布装置は変位波形を変えることにより、吐出性を自在に変化させることが出来るので、幅広い粘度の塗布材料に対応できると言える。
【0043】
一方、このディスペンサーにおけるスリーブ12とピストン13の変位波形の変位量を変えることで、従来のディスペンサー方式や電解ジェット方式などが不得意であった始点での塗布量の均一性を向上させることが出来る。
【0044】
塗布の始点で起こる問題として、塗布量が中間点のものに対して少ないという問題が存在する。その一因として材料特性の問題が考えられる。蛍光体ペーストは、往々にしてチクソ性を有するものであり、高いせん断力をかけた場合、粘度が低下するという性質を有している。そのために、このようなペースト材料を用いた場合、吐出開始から定常状態に入るまでの間、塗布量が一定になりにくい。この解決方法として従来のディスペンサー方式等では、エアー圧制御部を設けて吐出量の安定化を図ってきた。しかしながらこの方法では、装置が大掛かりになりマルチヘッド化が困難である、制御系が複雑になるなど問題点が存在する。
【0045】
この課題を解決する方法として、本発明では、ディスペンサー3のスリーブ12とピストン13の変位量を漸次変化させて吐出量を制御する。それぞれの変位量の関係を、図9に示す。
【0046】
図9に示すように塗布開始直後は、ピストン13の変位量を多く取り、1ショット当りの塗布量を増やし、定常状態に入った後では、ピストン13の変位量を一定に保つ。すなわち、一時的に1ショット当りの塗布量を増やすことにより、チクソ性の影響による塗布量不足を解決する。このことによって塗布の始点から終点まで一定量の塗布を可能にしている。
【0047】
なお、ピストン13の変位量を一定に保ち、スリーブ12の変位量を漸次変化させることによっても1ショット当りの吐出量を変化させることが出来るので、この方法によっても始点での塗布量不均一性を解決することが出来る。
【0048】
このように、スリーブ12とピストン13の変位波形や変位量を変えることによりリブ形状に依存しなく、様々なサイズのパネルに塗布することが可能となる。この点はスクリーン印刷のようにサイズごとのスクリーン版を用意しなくとも良く、優れた利点であると言える。
【0049】
また、変位波形を変えることにより、塗布量を一定に保つだけでなく、一定濃度の材料を塗布することも可能となる。例えば、蛍光体ペーストに含まれる粒子の沈降を防ぐために、第1区間T1などで微小な振動を与える波形をスリーブ12、ピストン13の変位波形(図5や図8)に加える。このことで、ペースト材料の流動性があがり沈降を防ぐことができるので均一濃度の塗布が可能となる。
【0050】
また、微小な振動により材料にせん断力が掛かり、粘度を一時的に下げるので、吐出性を高めると言う効果も期待できる。なお、吐出に影響がないほどの振動をT1だけでなく、T2,T3区間においても加える方法も有効であると考えられる。
【0051】
また、材料の吐出性を上げるために、スリーブ12とピストン13の変位波形に微小な振動を加える方法だけでなく、超音波発振子を利用した方法も考えられる。これは図10のように、ディスペンサーの材料供給口またはディスペンサー内に超音波発振子16を取り付ける。このような装置を利用した例は、特許文献3のようなものがあるが、この場合は粒子の沈降を防ぐという至極当然の装置であると考える。
【0052】
この装置での使用される超音波発振子16の役割はこれだけでない。すなわち、スリーブ12とピストン13の動きと同期させることで、材料供給をスムーズにすることができ、吐出性を上げることが出来る。例えば、ピストン13が持ち上がる第3区間T3において超音波発振子16で振動を与え、材料にせん断力を掛けることにより、材料の粘度を一時的に下げる。これにより、第3区間T3や第1区間T1での、ポンプ室15への材料供給がスムーズに行え、ピストン13でその直後に吐出する。当然、粒子の沈降も防止するので均一濃度の材料を塗布することが出来る。
【0053】
一方、ボックス型リブに蛍光体ペーストを間欠に飛翔させて精度よく塗布するためにはノズル径もリブ幅より小さくしなくてはならない。このことにより、ノズルの目詰まりが発生しやすいという問題が生じる。しかしながら、スリーブ12とピストン13の変位波形に微小な振動を加える方法や、超音波発振子による振動を加えることにより、ペーストの流動性を高める事が出来るのでノズルでの目詰まりが起こらないようになると言う効果も期待できる。
【0054】
この点からも、変位波形に微小な振動を加えることや変位波形に同期して超音波発振子で振動を与えることは非常に有用な手段であると考えられる。
【0055】
この蛍光体塗布装置は、シングルヘッドでもよいが、生産タクトを考えるのならマルチヘッドのディスペンサーが望ましいと考えられる。その場合も、このスリーブ12とピストン13からなる2重ピストン構造を使うことは出来る。すなわち、ノズル部を多穴にしても良いし、スリーブとピストンをペンシルサイズに小型化し複数本並べてもよい。
【0056】
また、リブ間の適切な位置に塗布する為に、リブを認識するCCDカメラ等の認識部を備えた機構にすることで各リブ間により、正確に均一量塗布することが出来ると考えられる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の塗布装置および塗布方法によれば、ディスペンサーの構造をスリーブとピストンと言う2重ピストン構造とし、そのスリーブとピストンの変位波形に工夫を施すことで、スクリーン印刷やインクジェット法より、精度良く均一量、且つ、均一濃度のペースト材料を高速で塗布することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るボックス型リブの基板例を示す概要図
【図2】本発明の実施形態に係る主な塗布装置の構成を示す概略図
【図3】本発明の実施形態に係るディスペンサーのノズル部の断面図
【図4】本発明の実施形態に係るディスペンサーのスリーブとピストンの動きを示す図
【図5】本発明の実施形態に係るディスペンサーのスリーブとピストンの変位波形図
【図6】本発明の実施形態に係るディスペンサーのノズル先端部で生じる圧力を示す図
【図7】本発明の実施形態に係るリブに塗布する際の液滴の形状を示す概念図
【図8】本発明の実施形態に係るディスペンサーのスリーブとピストンの変位波形図
【図9】本発明の実施形態に係るスリーブとピストンの変位量を漸次変化させる例を示す図
【図10】本発明の実施形態に係る超音波発振子の取り付け例を説明する図
【図11】従来のエアパルス式ディスペンサーを示す図
【符号の説明】
1,4 ガラス基板
2 ボックス型リブ
3 ディスペンサー
5,7 移動部
6 搬送部
8 制御ボックス
9 エアー圧供給部
10 材料供給部
11 外枠
12 スリーブ
13 ピストン
14 ノズル
15 ポンプ室
16 超音波発振子
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と称す)の蛍光体層形成に関する塗布装置および塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネルの蛍光体層を形成する方法として、スクリーン印刷方式やディスペンサー方式,電解ジェット方式,インクジェット方式,フォトレジスト方式などがある。これらの方法を用いてR(赤),G(緑),B(青)の蛍光体層が背面板のリブ間に形成される。
【0003】
近年、プラズマディスプレイパネルの高精細化、高輝度化に対応するために様々なリブ形状が考案されている。そのなかでも、図11に示すようなボックス型リブは、クロストーク問題の解決や、発光面積の向上などの利点から注目されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2679036号公報
【特許文献2】
特開2002−021715号公報
【特許文献3】
特開2001−015021号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述する従来の方法では、精度良く高速にボックス型リブに蛍光体層を形成することは難しいと考える。その理由を以下に説明する。
【0006】
例えば、スクリーン印刷方式の場合、近年の画面サイズの大型化、高精細化により用意されるべきスクリーン版はかなり大型のもの、且つ、微細な構造を有する物になる。すると、スクリーン版の伸縮や位置決め誤差が生じやすく精度良く塗布することは必然的に難しくなる。
【0007】
また、インクジェット方式の場合、極微量を精度よく塗布することは可能であるが、1ショット当りの塗布量が少ないため、生産タクトの面から不利である。また、塗布材料をインクにするためには、固形分である蛍光体の濃度を下げなくてはならず、そのため、パネルの輝度がある一定量から上がらないという問題を有する。
【0008】
また、フォトレジスト方式の場合、感光性蛍光体フィルムをリブ間に埋め込み形成したい蛍光体層のみを露光し、露光しない部分は洗い流すため、ある程度精度は、よく蛍光体層を形成できる。しかしながら、R(赤)G(緑)B(青)の3色ごとに蛍光体フィルムの埋め込み、露光、洗浄作業という一連の作業が必要なまた、工程数が増えるうえに材料コストが高くなるという問題が生じる。
【0009】
また、ディスペンサー方式の場合、微量に間欠で塗布することは可能であるが、精度よく高速で塗布することは難しい。例えば、図11に示すような従来のエアパルス式のディスペンサーの場合、水頭差による吐出量のバラツキ、吐出圧脈動による吐出量のバラツキ、流体の粘度低下による吐出量のバラツキなどの問題が存在しており、精度よく塗布することが出来ない。これらの問題を解決するために、水頭差、温度変化などの影響を予めコンピュータにプログラミングしておき、エアパルスの制御を行うなどしているが、制御系が複雑化して根本的な解決策にはなっていない。
【0010】
また、エアパルス式のディスペンサーの場合、ノズル先端を塗布面に近接させた状態でノズルから材料を吐出し、その材料が基板に転写されることによって塗布が行われている。そこで、ボックス型リブに塗布する際、ノズル先端部をリブ高さより下げた場合、塗布後ノズル先端に材料が付着し、それが材料の糸引きやタレの要因となり精度よく塗布できない。逆に、リブ高さより上げて塗布する場合、リブ頂部に余分な材料がつかないよう塗布量を調整して塗布することは非常に困難である。
【0011】
これらの観点からも、従来のエアパルス式のディスペンサーでボックス型リブに塗布することは困難であった。すなわち、ディスペンサー方式でボックス型リブに高速に塗布するためには、ノズル先端とその対向面を十分に離した状態で、材料をノズル先端から吐出飛翔させる技術が必要であると言える。
【0012】
これら従来のディスペンサーの欠点を克服するために、特許文献1に開示されるディスペンサーを用いれば、高速で塗布することが可能であると考えられる。しかしながら、このディスペンサーにおいて、ペースト材料をボックス型リブに間欠に、始点から終点まで精度よく均一量、均一濃度で塗布する方法、且つ、吐出口と対向面である基板との距離を広い間隔に保持し、塗布材料を飛翔させて塗布する方法については、開示されていない。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、プラズマディスプレイパネルのボックス型リブに精度良く、均一量且つ均一濃度の蛍光体をディスペンサー方式により高速塗布する塗布装置および塗布方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本願第1の発明の塗布装置は、ピストンとハウジングを相対的に移動させる第一のアクチュエーターと、前記ピストンの少なくとも一部を収納し軸方向に貫通した空間を有するスリーブと、前記スリーブと前記ハウジングを相対的に移動させる第二のアクチュエーターと、前記ピストン、前記スリーブ及び前記ハウジングで形成されるポンプ室と外部とを連絡する流体の吸入口と吐出口より構成される塗布装置であって、前記ピストンと前記スリーブを相対的に逆方向に動作させる時間をT1、前記ピストンを下降させる時間をT2、スリーブを上昇させる時間をT3としたとき、T1>T2、T3>T2であることを特徴とする。
【0015】
このとき、T1,T2,T3の時間関係が、T1>T3>T2であると好適である。
【0016】
また、本願第1の発明の塗布装置において、流体吐出時間T2がT2<5msecであると好適である。
【0017】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ボックス型リブのガラス基板面から前記吐出口までの距離δが、δ>100μmであると好適である。
【0018】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ボックス型リブにおいて1つのボックスの縦方向を縦リブ、横方向を横リブと定義し、その縦リブ横リブのうち、短い方の長さをLと、1滴の吐出量をVとした時に、ボックス型リブのガラス基板面から前記吐出口までの距離δが、δ>1.5V/πL2であると好適である。
【0019】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ピストンとスリーブの相対的な変位量を変えることでポンプ室の容量を制御し、ノズルから流体を間欠に吐出飛翔させることで基板のリブ形状に依存しない塗布を可能にすると好適である。
【0020】
また、本願第1の発明の塗布装置において、基板に塗布する際、始点や終点付近においてはピストンとスリーブの相対変位量を漸次変化させると好適である。
【0021】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ピストンとスリーブの変位からなる変位波形において、その波形に微小な振動を加えると好適である。
【0022】
また、本願第1の発明の塗布装置において、ピストンとスリーブの変位波形の一区間に超音波発振子による振動を加えると好適である。
【0023】
更に、本願第1の発明の塗布装置において、流体を塗布する際、塗布装置のZ軸方向の変位はゼロであると好適である。
【0024】
一方、本願第1の発明の塗布方法は、ピストンとハウジングを相対的に移動させながら、前記ピストンの少なくとも一部を収納し軸方向に貫通した空間を有するスリーブと前記ハウジングを相対的に移動させることで、流体が前記ピストン、前記スリーブ及び前記ハウジングで形成されるポンプ室から吐出口を経て吐出される塗布方法であって、
前記ピストンと前記スリーブを相対的に逆方向に動作させる時間をT1、前記ピストンを下降させる時間をT2、スリーブを上昇させる時間をT3としたとき、T1>T2、T3>T2であることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について説明する。
【0026】
図1は、ボックス型リブの基板例の概要を示すものである。この様なリブ形状の形成方法としては、厚膜印刷やサンドブラスト法などがある。例えば、サンドブラスト法の場合、ガラスペーストをガラス基板1にスクリーン印刷などにより塗布した後、この上に、感光性レジストを塗布、露光、現像した後に、レジスト膜が形成されていない箇所をサンドブラストにより除去することで、ボックス型リブ2が形成される。42インチパネルの場合、例えばボックス型リブの幅は、縦0.63mm,横0.26mm程度の大きさである。
【0027】
このような、ボックス型リブ2に蛍光体ペーストを塗布する際、図2に示す塗布装置を使用する。主な装置構成としては、矢印X−X’にディスペンサー3を移動させる移動部5、矢印Y−Y’に基板4を移動させる搬送部6、矢印Z−Z’にディスペンサー3を移動させる移動部7、移動部5及び7と搬送部6を制御する制御ボックス8、蛍光体材料を供給するエアー圧制御部9からなる。そして、基板4と吐出口のクリアランス、相対位置を決めて、ディスペンサー3により基板4に蛍光体ペーストを間欠に塗布する。
【0028】
図2に示すディスペンサー3は、ピストンとハウジングを相対的に移動させる第一のアクチュエーターと、このピストンの少なくとも一部を収納し軸方向に貫通した空間を有するスリーブと、このスリーブとハウジングを相対的に移動させる第二のアクチュエーターと、前記ピストン、前記スリーブ、前記ハウジングで形成されるポンプ室と外部とを連絡する流体の吸入口と吐出口より構成される。
【0029】
第一及び第二のアクチュエーターは、超磁歪素子や圧電素子等の電磁歪素子から構成されており、Z軸方向に高速、微小変位することが出来る。図3にディスペンサー先端部の断面図を示す。
【0030】
図3をもとに、ペースト材料の流れを説明すると蛍光体ペーストは、材料供給部10から外枠11とスリーブ12の間を通りノズル先端部に供給される。そして、スリーブ12とピストン13の連動した動作により蛍光体ペーストがノズル14より間欠に吐出される。このスリーブ12とピストン13の動作の一例を図4、変位波形を図5に示す。
【0031】
これら図4、図5をもとに吐出メカニズムについて説明する。
【0032】
まず、スリーブ12とピストン13が上下逆方向に動作する第1区間T1では、スリーブ12が下降することにより外枠11、スリーブ12、ピストン13で囲まれた擬閉空間すなわちポンプ室15が形成される(交換行程)。次に、ピストン13が下降する第2区間T2では、擬閉空間に閉じ込められた一定量の蛍光体ペーストがポンプ室15より吐出口14を経て吐出される(吐出行程)。更に、第3区間T3では、ピストン13は一定高さのままで、スリーブ12が上昇することにより再び蛍光体ペーストがポンプ室15に供給される(吸入行程)。そして、第3区間T3から又第1区間T1へと移り、このサイクルすなわち塗布周期Tcを繰り返すことによって蛍光体ペーストの連続吐出が可能となる。
【0033】
本塗布装置における第1区間T1は、材料交換行程であり、第2区間T2は材料吐出行程、第3区間T3は材料吸入行程である。各行程T1,T2,T3のそれぞれ必要な時間は、次の通りである。
【0034】
まず、吸入行程T3は、他の行程より長い時間が必要である。その理由は、ポンプ室15には圧力差で材料が充填するが、仮に充填時間が短ければ、充填量が不足し空打ちとなる。このため、最低限の充填時間が必要であるためである。吐出行程T2は、短いほど大きなピーク圧力を発生でき、流体を飛翔させやすく出来る。圧電素子などのアクチュエーターを用いれば、T2<1msecは可能である。交換行程T1も、スリーブ12の下降により強制的に流体をポンプ室15に流入できるので十分に小さくできる。
【0035】
これらのことから、T1,T2,T3の時間関係はT1>T2、T3>T2であり、より望ましい関係は、T1>T3>T2である。また、生産タクトから考えて吐出時間T2は、T2<5msecであることが望ましい。更に、応答性の高い素子や電源を用いれば塗布周期Tcは短縮可能である。
【0036】
また、本発明の塗布装置で間欠塗布を可能にしているのは、図5に示す様な、スリーブ12とピストン13の変位波形により、ノズル先端部に負圧と正圧が交互に生じるためである。ディスペンサー3のノズル先端部での発生圧力を図6に示す。
【0037】
まず、スリーブ12を上昇させる第3区間T3では大きな負圧が発生し、スリーブ12とピストン13が上下逆方向に動作する第1区間T1では徐徐に圧力が回復し、ピストン13が下降する第2区間T2では大きな正圧が発生する。このように、スリーブ12とピストン13の動作のみで負圧が発生するので、従来のディスペンサーのように液切れをさせるために、塗布直後Z軸方向にディスペンサー自身を持ち上げなくともよい。このため、Z軸方向の変位はゼロとなるので、蛍光体ペーストを間欠に高速で塗布することが可能となる。
【0038】
このノズル先端部に起こる正圧と負圧のサイクルにより、蛍光体ペーストに対して適切なノズル径とノズル長を選択すれば、蛍光体ペーストをノズル14から飛翔させることが出来る。その結果、ディスペンサー3では、インクジェットのように塗布材料を飛翔させることが出来るので、ボックス型リブ2はもちろん基板面のリブ形状に依存しない塗布が可能となる。ボックス型リブのリブ高さは通常100μm以上あるが、本塗布装置の吐出口(ノズル14)とガラス基板面との距離δをδ>100μm上げて塗布すればよい。
【0039】
また、ノズルから材料を飛翔させて塗布する際、液滴を完全な球体と考えるとボックス型リブに一回で入れる球体の直径は、リブ幅より大きくなってしまう。しかしながら、実際には液滴の自重があるので、液滴は回転楕円体の形で塗布されると考えられる。このことから、最低でもノズルと基板間の距離は楕円体長軸の2倍以上、リブ幅が楕円体短軸の2倍以上の長さを有していれば、リブ頂部にペーストが付着することなく塗布することが出来る。
【0040】
この状態を図7に示す。1滴当りの体積をV(mm3)、リブ幅をL(mm)とし、回転楕円体の長軸をa、短軸をbとすると、その体積Vは、V=4πab2/3である。ガラス基板からノズルまでの高さδは、δ>2a必要でありL=2bとすると、δ>2a=2×(3V/4πb2)=1.5V/πL2と言う関係式が導かれる。少なくともこの関係式を満たすようにノズル14とガラス基板との距離を離して塗布する必要がある。
【0041】
図8は、ペースト材料の飛翔性を改善するために、ピストンとスリーブの変位波形を改善したものである。
【0042】
ペースト材料を吐出する第2区間T2では、スリーブ12とピストン13両方を下降させる。これにより、図5の変位波形より吐出圧力を上げることが出来る。そして、第2区間T2の直後スリーブ12とピストン13を同時に上昇することにより、図5の変位波形よりポンプ室15には大きな負圧が発生する。このように、スリーブ12とピストン13を同時に動作させることで正圧と負圧をよりポンプ室15に発生させて、更に高粘度の材料でも間欠にノズルから飛翔させて吐出することが出来る。本発明における塗布装置は変位波形を変えることにより、吐出性を自在に変化させることが出来るので、幅広い粘度の塗布材料に対応できると言える。
【0043】
一方、このディスペンサーにおけるスリーブ12とピストン13の変位波形の変位量を変えることで、従来のディスペンサー方式や電解ジェット方式などが不得意であった始点での塗布量の均一性を向上させることが出来る。
【0044】
塗布の始点で起こる問題として、塗布量が中間点のものに対して少ないという問題が存在する。その一因として材料特性の問題が考えられる。蛍光体ペーストは、往々にしてチクソ性を有するものであり、高いせん断力をかけた場合、粘度が低下するという性質を有している。そのために、このようなペースト材料を用いた場合、吐出開始から定常状態に入るまでの間、塗布量が一定になりにくい。この解決方法として従来のディスペンサー方式等では、エアー圧制御部を設けて吐出量の安定化を図ってきた。しかしながらこの方法では、装置が大掛かりになりマルチヘッド化が困難である、制御系が複雑になるなど問題点が存在する。
【0045】
この課題を解決する方法として、本発明では、ディスペンサー3のスリーブ12とピストン13の変位量を漸次変化させて吐出量を制御する。それぞれの変位量の関係を、図9に示す。
【0046】
図9に示すように塗布開始直後は、ピストン13の変位量を多く取り、1ショット当りの塗布量を増やし、定常状態に入った後では、ピストン13の変位量を一定に保つ。すなわち、一時的に1ショット当りの塗布量を増やすことにより、チクソ性の影響による塗布量不足を解決する。このことによって塗布の始点から終点まで一定量の塗布を可能にしている。
【0047】
なお、ピストン13の変位量を一定に保ち、スリーブ12の変位量を漸次変化させることによっても1ショット当りの吐出量を変化させることが出来るので、この方法によっても始点での塗布量不均一性を解決することが出来る。
【0048】
このように、スリーブ12とピストン13の変位波形や変位量を変えることによりリブ形状に依存しなく、様々なサイズのパネルに塗布することが可能となる。この点はスクリーン印刷のようにサイズごとのスクリーン版を用意しなくとも良く、優れた利点であると言える。
【0049】
また、変位波形を変えることにより、塗布量を一定に保つだけでなく、一定濃度の材料を塗布することも可能となる。例えば、蛍光体ペーストに含まれる粒子の沈降を防ぐために、第1区間T1などで微小な振動を与える波形をスリーブ12、ピストン13の変位波形(図5や図8)に加える。このことで、ペースト材料の流動性があがり沈降を防ぐことができるので均一濃度の塗布が可能となる。
【0050】
また、微小な振動により材料にせん断力が掛かり、粘度を一時的に下げるので、吐出性を高めると言う効果も期待できる。なお、吐出に影響がないほどの振動をT1だけでなく、T2,T3区間においても加える方法も有効であると考えられる。
【0051】
また、材料の吐出性を上げるために、スリーブ12とピストン13の変位波形に微小な振動を加える方法だけでなく、超音波発振子を利用した方法も考えられる。これは図10のように、ディスペンサーの材料供給口またはディスペンサー内に超音波発振子16を取り付ける。このような装置を利用した例は、特許文献3のようなものがあるが、この場合は粒子の沈降を防ぐという至極当然の装置であると考える。
【0052】
この装置での使用される超音波発振子16の役割はこれだけでない。すなわち、スリーブ12とピストン13の動きと同期させることで、材料供給をスムーズにすることができ、吐出性を上げることが出来る。例えば、ピストン13が持ち上がる第3区間T3において超音波発振子16で振動を与え、材料にせん断力を掛けることにより、材料の粘度を一時的に下げる。これにより、第3区間T3や第1区間T1での、ポンプ室15への材料供給がスムーズに行え、ピストン13でその直後に吐出する。当然、粒子の沈降も防止するので均一濃度の材料を塗布することが出来る。
【0053】
一方、ボックス型リブに蛍光体ペーストを間欠に飛翔させて精度よく塗布するためにはノズル径もリブ幅より小さくしなくてはならない。このことにより、ノズルの目詰まりが発生しやすいという問題が生じる。しかしながら、スリーブ12とピストン13の変位波形に微小な振動を加える方法や、超音波発振子による振動を加えることにより、ペーストの流動性を高める事が出来るのでノズルでの目詰まりが起こらないようになると言う効果も期待できる。
【0054】
この点からも、変位波形に微小な振動を加えることや変位波形に同期して超音波発振子で振動を与えることは非常に有用な手段であると考えられる。
【0055】
この蛍光体塗布装置は、シングルヘッドでもよいが、生産タクトを考えるのならマルチヘッドのディスペンサーが望ましいと考えられる。その場合も、このスリーブ12とピストン13からなる2重ピストン構造を使うことは出来る。すなわち、ノズル部を多穴にしても良いし、スリーブとピストンをペンシルサイズに小型化し複数本並べてもよい。
【0056】
また、リブ間の適切な位置に塗布する為に、リブを認識するCCDカメラ等の認識部を備えた機構にすることで各リブ間により、正確に均一量塗布することが出来ると考えられる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の塗布装置および塗布方法によれば、ディスペンサーの構造をスリーブとピストンと言う2重ピストン構造とし、そのスリーブとピストンの変位波形に工夫を施すことで、スクリーン印刷やインクジェット法より、精度良く均一量、且つ、均一濃度のペースト材料を高速で塗布することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るボックス型リブの基板例を示す概要図
【図2】本発明の実施形態に係る主な塗布装置の構成を示す概略図
【図3】本発明の実施形態に係るディスペンサーのノズル部の断面図
【図4】本発明の実施形態に係るディスペンサーのスリーブとピストンの動きを示す図
【図5】本発明の実施形態に係るディスペンサーのスリーブとピストンの変位波形図
【図6】本発明の実施形態に係るディスペンサーのノズル先端部で生じる圧力を示す図
【図7】本発明の実施形態に係るリブに塗布する際の液滴の形状を示す概念図
【図8】本発明の実施形態に係るディスペンサーのスリーブとピストンの変位波形図
【図9】本発明の実施形態に係るスリーブとピストンの変位量を漸次変化させる例を示す図
【図10】本発明の実施形態に係る超音波発振子の取り付け例を説明する図
【図11】従来のエアパルス式ディスペンサーを示す図
【符号の説明】
1,4 ガラス基板
2 ボックス型リブ
3 ディスペンサー
5,7 移動部
6 搬送部
8 制御ボックス
9 エアー圧供給部
10 材料供給部
11 外枠
12 スリーブ
13 ピストン
14 ノズル
15 ポンプ室
16 超音波発振子
Claims (11)
- ピストンとハウジングを相対的に移動させる第一のアクチュエーターと、前記ピストンの少なくとも一部を収納し軸方向に貫通した空間を有するスリーブと、前記スリーブと前記ハウジングを相対的に移動させる第二のアクチュエーターと、前記ピストン、前記スリーブ及び前記ハウジングで形成されるポンプ室と外部とを連絡する流体の吸入口と吐出口より構成される塗布装置であって、
前記ピストンと前記スリーブを相対的に逆方向に動作させる時間をT1、前記ピストンを下降させる時間をT2、スリーブを上昇させる時間をT3としたとき、T1>T2、T3>T2であること
を特徴とする塗布装置。 - T1,T2,T3の時間関係が、T1>T3>T2であることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
- 流体吐出時間T2がT2<5msecであることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
- ボックス型リブのガラス基板面から前記吐出口までの距離δが、δ>100μmであることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
- ボックス型リブにおいて1つのボックスの縦方向を縦リブ、横方向を横リブと定義し、その縦リブ横リブのうち、短い方の長さをLと、1滴の吐出量をVとした時に、ボックス型リブのガラス基板面から前記吐出口までの距離δが、δ>1.5V/πL2であること
を特徴とする請求項1記載の塗布装置。 - ピストンとスリーブの相対的な変位量を変えることでポンプ室の容量を制御し、ノズルから流体を間欠に吐出飛翔させることで基板のリブ形状に依存しない塗布を可能にすること
を特徴とする請求項1記載の塗布装置。 - 基板に塗布する際、始点や終点付近においてはピストンとスリーブの相対変位量を漸次変化させることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
- ピストンとスリーブの変位からなる変位波形において、その波形に微小な振動を加えることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
- ピストンとスリーブの変位波形の一区間に超音波発振子による振動を加えることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
- 流体を塗布する際、塗布装置のZ軸方向の変位はゼロであることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
- ピストンとハウジングを相対的に移動させながら、前記ピストンの少なくとも一部を収納し軸方向に貫通した空間を有するスリーブと前記ハウジングを相対的に移動させることで、流体が前記ピストン、前記スリーブ及び前記ハウジングで形成されるポンプ室から吐出口を経て吐出される塗布方法であって、
前記ピストンと前記スリーブを相対的に逆方向に動作させる時間をT1、前記ピストンを下降させる時間をT2、スリーブを上昇させる時間をT3としたとき、T1>T2、T3>T2であること
を特徴とする塗布方法。
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