JP2004176233A - 繋ぎ合せ炭素繊維シート - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性が高く連続的に高温熱処理が可能な、薄層長尺の繋ぎ合せ炭素繊維シートを提供する。
【解決手段】炭素繊維シート2,4の端部2a、4a側同士を重ね合せ、総デニールが100〜650dtex、総強力50g以上、伸度が10〜30%のポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる紡績糸またはフィラメント束で端部側同士を繋ぎ合せる繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【選択図】 図1
【解決手段】炭素繊維シート2,4の端部2a、4a側同士を重ね合せ、総デニールが100〜650dtex、総強力50g以上、伸度が10〜30%のポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる紡績糸またはフィラメント束で端部側同士を繋ぎ合せる繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維シートを複数繋ぎ合せた長尺炭素繊維シートに関する。本長尺炭素繊維シートは断熱材、耐熱保護材、燃料電池等の電極材、通電材等の各種用途に好適である。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維は耐熱性に優れ、繊維状であることから、織物状、不織布状、ペーパー状等の薄層炭素繊維シートに加工され、断熱材、耐熱保護材、更に電気伝導性を有することにより、燃料電池等の電極材や通電材料としての応用開発が進められている。
【0003】
これらの薄層炭素繊維シートを上記のような用途に利用する場合、高温(150〜400℃)の熱処理を施すことが必要となる場合がある。また、このような各種処理の処理効率を高めるため、連続的に処理を行うことが望まれている。このため、より長尺化した薄層炭素繊維シートが望まれている。
【0004】
しかしながら、上述の薄層炭素繊維シートは薄いため強度が低く、切断しやすく、また炭素化前の原料酸化繊維シートの製造上の制約から数種類の定められた長さの炭素繊維シートを通常製造しており、自由にその長さを変更できない。このため、処理加工先に要望される長さの連続炭素繊維シートを任意に製造することができず、この場合は要望される長さにするため、長尺シートを切断して要望される長さにしている。しかし、この場合は、切断した残りの短尺シートが生産ロスになる。
【0005】
これらの長尺化の要望の対応として、短尺の炭素繊維シート端部を繋ぎ合せる方法が考えられる。しかし、繋ぎ合わせる方法によっては、その後に行う連続的な後加工工程におけるスリット通過時にスリットに引掛かるすき間詰りや、工程中に配置された各種ガイドに引掛かりを生じることがある。
【0006】
また端部側の繋ぎ合せに耐熱性のある合成繊維の撚り糸やフィラメントを用いることも考えられるが、後加工として200〜400℃の高温熱処理を行うことが予定されている場合は、撚り糸やフィラメントの溶融解、軟化および収縮等を生じ、その結果炭素繊維シートの繋ぎ目部分における切断や端部側に皺やねじれを生じる原因になる。
【0007】
耐熱繊維として炭素繊維フィラメント等を利用することも考えられるが、炭素繊維フィラメントは伸度が低いので、繋ぎ糸に利用した場合、繋ぎ部分で炭素繊維が折れてケバを発生し易い問題がある。
【0008】
炭素繊維シートとして、炭素繊維織物(例えば特許文献1)、炭素繊維不織布(例えば特許文献2)、炭素繊維ペーパー(例えば特許文献3)等が知られているが、何れも長尺シートの要望、加工時の問題点、シートの繋ぎが必要な理由、及び繋ぎ方法に関する記載はない。
【0009】
【特許文献1】
特開昭55−40804号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開昭52−114778号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開昭62−62997号公報(特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記問題を解決するために種々検討した結果、特定の酸化繊維紡績糸又はフィラメント束を用いて薄層炭素繊維シートを繋ぎ合せることにより、高温熱処理時においても、繋ぎ合せ部の切断、すき間詰り、ガイドへの引掛かりを生じること無く、且つ端部側の皺やねじれを生じることのない長尺の炭素繊維シートを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。従って、本発明は、耐熱性が高く連続的に高温熱処理が可能な、薄層長尺の繋ぎ合せ炭素繊維シートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に示すものである。
【0012】
〔1〕 炭素繊維シートの端部側同士を重ね合せ、総デニールが100〜650dtex、総強力50g以上、伸度が10〜30%のポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる紡績糸またはフィラメント束で端部側同士を繋ぎ合せてなることを特徴とする繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【0013】
〔2〕 厚さが0.1〜1.0mmで、ロール状に巻上げた〔1〕に記載の繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【0014】
〔3〕 酸化繊維の繊度が0.9〜4.5dtexである〔1〕に記載の繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【0015】
〔4〕炭素繊維シートの長さ方向の重ね合せ長さが50〜100mmである〔1〕に記載の繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一形態を説明する。
【0017】
図1(A)、(B)において、炭素繊維シート2、4はその端部側2a、4aを互いに重ね合せている。重ね合せは、長さ方向に炭素繊維シートがまっすぐ繋ぎ合うように、幅方向両端を互いにそろえている。炭素繊維シートの長さ方向の重ね合せ長さLは特に制限がないが、50〜100mmが好ましく、40〜80mmがより好ましい。
【0018】
上記重ね合せた各炭素繊維シートの端部6、8はそれぞれ炭素繊維シート4、2に酸化繊維紡績糸又はフィラメント束(繋ぎ糸)10、12で縫付けてある。図1(C)に示すように、縫う方向は、表が炭素繊維シートの長さ方向に対して斜め方向の所定の角度αで1回、炭素繊維シートの裏面は炭素繊維シートの長さ方向に平行に繋ぎ糸長さL1で1回縫い、これを1セットとする。L1は、特に制限がないが、40〜85mmが好ましく、より好ましくは45〜70mmである。L1が40mm未満の場合、繋ぎ部の切断が生じ易い。また、L1が85mmを超える場合、繋ぎ部端子の皺・うねり等を生じ易く、ガイド等糸道への引掛かりが生じ易い。
【0019】
炭素繊維シート幅方向に沿う1セットの長さL2は特に制限がないが、15〜50mmが好ましい。L2が15mm未満の場合、繋ぎ部の炭素繊維シート強度低下して切断し易くなる。L2が50mmを超える場合、繋ぎ部の変形(皺・うねり)が生じ、工程中のガイド等糸道への引掛かりが生じ易くなる。
【0020】
繋ぎ糸10、12の縫始め、縫終りに相当する各端部10a、10b、12a、12bは、結びつけずに延しておくことが好ましい。結び玉を作ると、後加工工程において、炭素繊維シートがローラー通過時にローラーに引掛る等の事故を起す場合がある。
【0021】
上記炭素繊維シート2、4は、厚さ0.1〜1.0mm、目付30〜200g/m2の薄層炭素繊維シートである。シート2、4の長さは特に限定されないが10m以上が好ましい。繋ぎ合せる炭素繊維シートの数は特に制限が無く、用途に応じて、必要枚数だけ繋ぎ合せることができる。
【0022】
炭素繊維シートの種類は特に制限がない。PAN系、ピッチ系、レーヨン系、フェノール・ノボラック系等の炭素繊維シートを例示できる。
【0023】
炭素繊維シートを縫い繋ぐ繋ぎ糸は、総デニールが100〜650dtexのものが好ましい。総デニールが100dtex未満の場合総強力低下が不足する。総デニールが650dtexを超える場合、糸が太くなるため繋ぎ部の糸を含むシート厚さが増大し、後加工工程中でガイド等に引掛かったり、隙間詰りを生じ易くなる。
【0024】
炭素繊維シートを縫い繋ぐ繋ぎ糸の総強力は50g以上が好ましい。50g未満の場合、繋ぎ箇所が切断し易くなる。また、繋ぎ糸の伸度は10〜30%が好ましい。伸度が10%未満の場合、繋ぎ箇所の縫繋ぎ時に、繋ぎ糸に屈曲性が不足する。また、後加工工程中にガイド等との擦れにより、単繊維切れを生じ、ケバ発生の原因となる。
【0025】
繋ぎ糸の伸度が30%を超える場合、繋ぎ糸が張力により伸び易くなり、繋ぎ箇所の固定が不十分な状態となる。この場合は、後加工工程処理時の張力の影響を受け、繋ぎ箇所に変形(皺、うねり)を生じ易くなる。
【0026】
繋ぎ糸を構成する酸化繊維の比重は特に限定されないが、市販の比重1.35〜1.45の酸化繊維が用いられる。繋ぎ糸として、耐熱性のあるアラミド繊維、フェノール・ノボラック系繊維紡績糸等もあるが、このような繋ぎ糸は高温処理には適さない。
【0027】
繋ぎ糸を構成する酸化繊維繊度は0.9〜4.5dtexの範囲が好ましい。0.9dtex未満の場合は、高温処理時に糸強力が低下しやすい。4.5dtexを超える場合は、高温熱処理時に単繊維が剛直化し、繋ぎ箇所の単繊維切れを生じ、ケバが発生しやすいので好ましくない。
【0028】
炭素繊維シートを繋ぐ方法としては、針を用いて縫い繋ぐ方法がある。
【0029】
【実施例】
実施例1
ポリアクリロニトリル系酸化繊維紡績糸よりなる織物(平織り、厚さ0.45mm、目付220g/m2)を窒素雰囲気化1700℃で炭素化した炭素繊維織物(厚さ0.43mm、目付120g/m2、長さ100m、幅0.9m)を2ロール用意し、各ロールの端部側同士をポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる紡績糸(総デニール530d、総強力450g、伸度16%)を用いて、重ね合わせ部L=50mm、繋ぎ糸長さL1=20mm、つなぎ間隔L2=25mmに繋ぎ合わせた。この炭素繊維シート(総長200m)をにロール状に巻き上げ、本発明の長尺の繋ぎ合せ炭素繊維シートロールを得た。
【0030】
その後、後処理工程としてフッ素処理を行った。即ち、長尺の繋ぎ合せ炭素炭素繊維シートロールから炭素繊維シートを繰出してフッソ樹脂のエマルジョン浴に連続的に浸漬させ、次いで段階的に空気中で200より370℃まで熱処理(フッ素樹脂付着量0.6質量%)を行った。この結果、工程中での繋ぎ目の切断やガイド詰まりりもなく、更に炭素繊維シート端部の皺、ねじれ等の発生もなく連続的にフッ素処理ができた。
【0031】
実施例2〜3、比較例1〜4
表1、2に示す以外は実施例1と同様に操作して繋ぎ合せ炭素繊維シートを製造し、実施例1と同様に繋ぎ部分の状態を評価した結果を表1、2に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
* : 本発明の構成の範囲外を示す。
【0035】
** : 問題箇所を示す。
【0036】
【発明の効果】
本発明においては、複数の炭素繊維シート端部側を互いに重ね合せてポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる特定の太さの紡績糸またはフィラメント束を用いて繋ぎ合せる様にしたので、後工程の高温熱処理時において、繋ぎ部の切断、すき間詰り、ガイドへの引掛りが生ぜず、且つ繋ぎ合せ部の皺やねじれのない長尺の炭素繊維シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繋ぎ合せ炭素繊維シートの繋ぎ箇所を示す、(A)は表面斜視図、(B)は裏面斜視図、(C)は平面拡大図である。
【符号の説明】
2、4 炭素繊維シート
2a、4a 端部側
L 重ね合せ長さ
6、8 端部
10、12 酸化繊維紡績糸又はフィラメント束(繋ぎ糸)
L 1繋ぎ糸長さ
L2 1セットの幅方向長さ
10a、10b、12a、12b 繋ぎ糸端部
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維シートを複数繋ぎ合せた長尺炭素繊維シートに関する。本長尺炭素繊維シートは断熱材、耐熱保護材、燃料電池等の電極材、通電材等の各種用途に好適である。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維は耐熱性に優れ、繊維状であることから、織物状、不織布状、ペーパー状等の薄層炭素繊維シートに加工され、断熱材、耐熱保護材、更に電気伝導性を有することにより、燃料電池等の電極材や通電材料としての応用開発が進められている。
【0003】
これらの薄層炭素繊維シートを上記のような用途に利用する場合、高温(150〜400℃)の熱処理を施すことが必要となる場合がある。また、このような各種処理の処理効率を高めるため、連続的に処理を行うことが望まれている。このため、より長尺化した薄層炭素繊維シートが望まれている。
【0004】
しかしながら、上述の薄層炭素繊維シートは薄いため強度が低く、切断しやすく、また炭素化前の原料酸化繊維シートの製造上の制約から数種類の定められた長さの炭素繊維シートを通常製造しており、自由にその長さを変更できない。このため、処理加工先に要望される長さの連続炭素繊維シートを任意に製造することができず、この場合は要望される長さにするため、長尺シートを切断して要望される長さにしている。しかし、この場合は、切断した残りの短尺シートが生産ロスになる。
【0005】
これらの長尺化の要望の対応として、短尺の炭素繊維シート端部を繋ぎ合せる方法が考えられる。しかし、繋ぎ合わせる方法によっては、その後に行う連続的な後加工工程におけるスリット通過時にスリットに引掛かるすき間詰りや、工程中に配置された各種ガイドに引掛かりを生じることがある。
【0006】
また端部側の繋ぎ合せに耐熱性のある合成繊維の撚り糸やフィラメントを用いることも考えられるが、後加工として200〜400℃の高温熱処理を行うことが予定されている場合は、撚り糸やフィラメントの溶融解、軟化および収縮等を生じ、その結果炭素繊維シートの繋ぎ目部分における切断や端部側に皺やねじれを生じる原因になる。
【0007】
耐熱繊維として炭素繊維フィラメント等を利用することも考えられるが、炭素繊維フィラメントは伸度が低いので、繋ぎ糸に利用した場合、繋ぎ部分で炭素繊維が折れてケバを発生し易い問題がある。
【0008】
炭素繊維シートとして、炭素繊維織物(例えば特許文献1)、炭素繊維不織布(例えば特許文献2)、炭素繊維ペーパー(例えば特許文献3)等が知られているが、何れも長尺シートの要望、加工時の問題点、シートの繋ぎが必要な理由、及び繋ぎ方法に関する記載はない。
【0009】
【特許文献1】
特開昭55−40804号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開昭52−114778号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開昭62−62997号公報(特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記問題を解決するために種々検討した結果、特定の酸化繊維紡績糸又はフィラメント束を用いて薄層炭素繊維シートを繋ぎ合せることにより、高温熱処理時においても、繋ぎ合せ部の切断、すき間詰り、ガイドへの引掛かりを生じること無く、且つ端部側の皺やねじれを生じることのない長尺の炭素繊維シートを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。従って、本発明は、耐熱性が高く連続的に高温熱処理が可能な、薄層長尺の繋ぎ合せ炭素繊維シートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に示すものである。
【0012】
〔1〕 炭素繊維シートの端部側同士を重ね合せ、総デニールが100〜650dtex、総強力50g以上、伸度が10〜30%のポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる紡績糸またはフィラメント束で端部側同士を繋ぎ合せてなることを特徴とする繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【0013】
〔2〕 厚さが0.1〜1.0mmで、ロール状に巻上げた〔1〕に記載の繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【0014】
〔3〕 酸化繊維の繊度が0.9〜4.5dtexである〔1〕に記載の繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【0015】
〔4〕炭素繊維シートの長さ方向の重ね合せ長さが50〜100mmである〔1〕に記載の繋ぎ合せ炭素繊維シート。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一形態を説明する。
【0017】
図1(A)、(B)において、炭素繊維シート2、4はその端部側2a、4aを互いに重ね合せている。重ね合せは、長さ方向に炭素繊維シートがまっすぐ繋ぎ合うように、幅方向両端を互いにそろえている。炭素繊維シートの長さ方向の重ね合せ長さLは特に制限がないが、50〜100mmが好ましく、40〜80mmがより好ましい。
【0018】
上記重ね合せた各炭素繊維シートの端部6、8はそれぞれ炭素繊維シート4、2に酸化繊維紡績糸又はフィラメント束(繋ぎ糸)10、12で縫付けてある。図1(C)に示すように、縫う方向は、表が炭素繊維シートの長さ方向に対して斜め方向の所定の角度αで1回、炭素繊維シートの裏面は炭素繊維シートの長さ方向に平行に繋ぎ糸長さL1で1回縫い、これを1セットとする。L1は、特に制限がないが、40〜85mmが好ましく、より好ましくは45〜70mmである。L1が40mm未満の場合、繋ぎ部の切断が生じ易い。また、L1が85mmを超える場合、繋ぎ部端子の皺・うねり等を生じ易く、ガイド等糸道への引掛かりが生じ易い。
【0019】
炭素繊維シート幅方向に沿う1セットの長さL2は特に制限がないが、15〜50mmが好ましい。L2が15mm未満の場合、繋ぎ部の炭素繊維シート強度低下して切断し易くなる。L2が50mmを超える場合、繋ぎ部の変形(皺・うねり)が生じ、工程中のガイド等糸道への引掛かりが生じ易くなる。
【0020】
繋ぎ糸10、12の縫始め、縫終りに相当する各端部10a、10b、12a、12bは、結びつけずに延しておくことが好ましい。結び玉を作ると、後加工工程において、炭素繊維シートがローラー通過時にローラーに引掛る等の事故を起す場合がある。
【0021】
上記炭素繊維シート2、4は、厚さ0.1〜1.0mm、目付30〜200g/m2の薄層炭素繊維シートである。シート2、4の長さは特に限定されないが10m以上が好ましい。繋ぎ合せる炭素繊維シートの数は特に制限が無く、用途に応じて、必要枚数だけ繋ぎ合せることができる。
【0022】
炭素繊維シートの種類は特に制限がない。PAN系、ピッチ系、レーヨン系、フェノール・ノボラック系等の炭素繊維シートを例示できる。
【0023】
炭素繊維シートを縫い繋ぐ繋ぎ糸は、総デニールが100〜650dtexのものが好ましい。総デニールが100dtex未満の場合総強力低下が不足する。総デニールが650dtexを超える場合、糸が太くなるため繋ぎ部の糸を含むシート厚さが増大し、後加工工程中でガイド等に引掛かったり、隙間詰りを生じ易くなる。
【0024】
炭素繊維シートを縫い繋ぐ繋ぎ糸の総強力は50g以上が好ましい。50g未満の場合、繋ぎ箇所が切断し易くなる。また、繋ぎ糸の伸度は10〜30%が好ましい。伸度が10%未満の場合、繋ぎ箇所の縫繋ぎ時に、繋ぎ糸に屈曲性が不足する。また、後加工工程中にガイド等との擦れにより、単繊維切れを生じ、ケバ発生の原因となる。
【0025】
繋ぎ糸の伸度が30%を超える場合、繋ぎ糸が張力により伸び易くなり、繋ぎ箇所の固定が不十分な状態となる。この場合は、後加工工程処理時の張力の影響を受け、繋ぎ箇所に変形(皺、うねり)を生じ易くなる。
【0026】
繋ぎ糸を構成する酸化繊維の比重は特に限定されないが、市販の比重1.35〜1.45の酸化繊維が用いられる。繋ぎ糸として、耐熱性のあるアラミド繊維、フェノール・ノボラック系繊維紡績糸等もあるが、このような繋ぎ糸は高温処理には適さない。
【0027】
繋ぎ糸を構成する酸化繊維繊度は0.9〜4.5dtexの範囲が好ましい。0.9dtex未満の場合は、高温処理時に糸強力が低下しやすい。4.5dtexを超える場合は、高温熱処理時に単繊維が剛直化し、繋ぎ箇所の単繊維切れを生じ、ケバが発生しやすいので好ましくない。
【0028】
炭素繊維シートを繋ぐ方法としては、針を用いて縫い繋ぐ方法がある。
【0029】
【実施例】
実施例1
ポリアクリロニトリル系酸化繊維紡績糸よりなる織物(平織り、厚さ0.45mm、目付220g/m2)を窒素雰囲気化1700℃で炭素化した炭素繊維織物(厚さ0.43mm、目付120g/m2、長さ100m、幅0.9m)を2ロール用意し、各ロールの端部側同士をポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる紡績糸(総デニール530d、総強力450g、伸度16%)を用いて、重ね合わせ部L=50mm、繋ぎ糸長さL1=20mm、つなぎ間隔L2=25mmに繋ぎ合わせた。この炭素繊維シート(総長200m)をにロール状に巻き上げ、本発明の長尺の繋ぎ合せ炭素繊維シートロールを得た。
【0030】
その後、後処理工程としてフッ素処理を行った。即ち、長尺の繋ぎ合せ炭素炭素繊維シートロールから炭素繊維シートを繰出してフッソ樹脂のエマルジョン浴に連続的に浸漬させ、次いで段階的に空気中で200より370℃まで熱処理(フッ素樹脂付着量0.6質量%)を行った。この結果、工程中での繋ぎ目の切断やガイド詰まりりもなく、更に炭素繊維シート端部の皺、ねじれ等の発生もなく連続的にフッ素処理ができた。
【0031】
実施例2〜3、比較例1〜4
表1、2に示す以外は実施例1と同様に操作して繋ぎ合せ炭素繊維シートを製造し、実施例1と同様に繋ぎ部分の状態を評価した結果を表1、2に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
* : 本発明の構成の範囲外を示す。
【0035】
** : 問題箇所を示す。
【0036】
【発明の効果】
本発明においては、複数の炭素繊維シート端部側を互いに重ね合せてポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる特定の太さの紡績糸またはフィラメント束を用いて繋ぎ合せる様にしたので、後工程の高温熱処理時において、繋ぎ部の切断、すき間詰り、ガイドへの引掛りが生ぜず、且つ繋ぎ合せ部の皺やねじれのない長尺の炭素繊維シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繋ぎ合せ炭素繊維シートの繋ぎ箇所を示す、(A)は表面斜視図、(B)は裏面斜視図、(C)は平面拡大図である。
【符号の説明】
2、4 炭素繊維シート
2a、4a 端部側
L 重ね合せ長さ
6、8 端部
10、12 酸化繊維紡績糸又はフィラメント束(繋ぎ糸)
L 1繋ぎ糸長さ
L2 1セットの幅方向長さ
10a、10b、12a、12b 繋ぎ糸端部
Claims (4)
- 炭素繊維シートの端部側同士を重ね合せ、総デニールが100〜650dtex、総強力50g以上、伸度が10〜30%のポリアクリロニトリル系酸化繊維よりなる紡績糸またはフィラメント束で端部側同士を繋ぎ合せてなることを特徴とする繋ぎ合せ炭素繊維シート。
- 厚さが0.1〜1.0mmで、ロール状に巻上げた請求項1に記載の繋ぎ合せ炭素繊維シート。
- 酸化繊維の繊度が0.9〜4.5dtexである請求項1に記載の繋ぎ合せ炭素繊維シート。
- 炭素繊維シートの長さ方向の重ね合せ長さが50〜100mmである請求項1に記載の繋ぎ合せ炭素繊維シート。
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