JP2004178651A - 光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高記録密度の光学記録再生媒体において、記録再生特性を良好にするためにグルーブの段差高を小さくする場合においてもプッシュプル信号振幅を十分に大として安定したトラッキングサーボを可能として、実用的な高記録密度の光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】成形された基板1上に少なくともグルーブ3が形成され、このグルーブ3上に少なくとも記録層6及び保護層19が形成されて成る光学記録再生媒体10であって、グルーブ3の凹凸を埋め込んで、基板1及び保護層19の屈折率に比して高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層8を設ける構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】成形された基板1上に少なくともグルーブ3が形成され、このグルーブ3上に少なくとも記録層6及び保護層19が形成されて成る光学記録再生媒体10であって、グルーブ3の凹凸を埋め込んで、基板1及び保護層19の屈折率に比して高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層8を設ける構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形された基板上に少なくともグルーブが形成され、グルーブ上に少なくとも記録層及び保護層が形成されて成る光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
光学記録再生媒体として、円盤状に形成されて成り、光学的に記録及び/又は再生が行われる光ディスクが各種実用化されている。このような光ディスクには、データに対応したエンボスピットがディスク基板に予め形成されて成る再生専用光ディスクや、磁気光学効果を利用してデータの記録を行う光磁気ディスクや、記録膜の相変化を利用してデータの記録を行う相変化型光ディスクなどがある。
【0003】
これら光ディスクのうち、光磁気ディスクや相変化型光ディスクのように書き込みが可能な光ディスクでは、通常、記録トラックに沿ったグルーブがディスク基板に形成される。ここで、グルーブとは、主にトラッキングサーボを行えるようにするために、記録トラックに沿って形成されるいわゆる案内溝であり、グルーブとグルーブの開口端間をランドと称す。
【0004】
そしてグルーブが形成されて成る光ディスクでは、通常、グルーブで反射回折された光から得られるプッシュプル信号に基づくトラッキングエラー信号によって、トラッキングサーボがなされる。ここで、プッシュプル信号は、グルーブで反射回折された光を、トラック中心に対して対称に配置された2つの光検出器により検出し、それら2つの光検出器からの出力の差をとることにより得られる。
【0005】
ところで、従来、これらの光ディスクでは、再生装置に搭載される光ピックアップの再生分解能を向上させることで、高記録密度化を達成してきた。そして、光ピックアップの再生分解能の向上は、主に、データの再生に使用するレーザ光の波長λを短くしたり、光ディスク上にレーザ光を集光する対物レンズの開口数NAを大きくしたりすることにより、光学的に実現させてきた。
【0006】
従来、CD(Compact Disc)の追記型のいわゆるCD−Rや光磁気ディスクの書換え型のMD(Mini Disc )、DVD(Digital Versatile Disc)の追記型のDVD−RやDVD+R、又はDVDの書換え可能型のいわゆるDVD+RW或いはDVD−RW(いずれも光ディスクの登録商標)の各フォーマットでは、グルーブに記録するグルーブ記録フォーマットが提案されている。ISO系の光磁気ディスクの各フォーマットでは、ランドに記録するランド記録フォーマットが提案されている。
【0007】
一方DVD−RAM(Random Access Memory)等においては、光ディスクの高密度化を実現する一つの方法として、グルーブとランドとの両方に記録することにより、トラック密度を従来の2倍にして高密度化をはかる、いわゆるランドグルーブ記録方式が提案されている。
【0008】
また、近年次世代光ディスクとして開発が進められているDVR(Digital Video Recordable)またはBlu−ray Discや、MDが小型化されたμ−Disc等の高密度光ディスクにおいても、ランドグルーブ記録方式が検討されており、これにより高記録密度化がはかられている。
【0009】
しかしながら、DVD−RAM等においてランドグルーブ記録を行う場合、ランド上の記録とグルーブ上の記録において、記録再生時にフォーカス点をそれぞれ調節しないと最適な記録再生特性が得られないことから、光学系の複雑化を招くという欠点があった。
【0010】
また、”ISOM 2000 Simulation Of Heat Generation And Conduction On Land/Groove Disc”において、ランド上の記録とグルーブ上の記録とにおいて、記録ビーム形状が異なる報告があることからも明らかなように、ランド記録再生特性とグルーブ記録再生特性とを均一化することは困難であり、同一の光学記録再生媒体において、記録再生特性の異なる領域が存在するという問題がある。
【0011】
更にまた、DVR等の高密度光ディスクにおいて、読み取り面に近い方、即ちDVRの場合は、光照射側に近いランド上の記録再生特性は良好であるが、読み取り面から遠い方、即ちDVRの場合光照射側から遠いグルーブでの記録再生特性を良好に保持することは困難な結果を得ている。
【0012】
DVR−ROM(Read Only Memory)ディスク等において、このようなランドグルーブ記録方式のフォーマットで信号を直接記録することは現状では可能であるが、ランド上の記録とグルーブ上の記録とで記録再生特性を良好で且つ均一にすることが望まれている。
【0013】
上述したように、DVR等の高密度光ディスクにおいて、グルーブ部は読み取り面に遠い方であり、このグルーブ部での記録再生特性を良好にすることは困難である。
【0014】
一方、光学記録再生媒体の製造工程において、基板に形成する凹凸パターンを反転して製造する方法が考えられる。すなわち、通常の光学記録再生媒体の製造過程においては、フォトリソグラフィ等によってガラス原盤上の感光層に微細な凹凸パターンを形成した後、メッキ等によって例えばNiより成るマスタースタンパを形成する。
【0015】
そしてこのマスタースタンパを金型等に載置して樹脂を射出する射出成形法、または、基板上に、例えば紫外線硬化樹脂を塗布し、この樹脂層にこのスタンパを押圧して、目的とする凹凸パターンを形成する、いわゆる2P(Photo−Polymerization)法によって、表面に所定の微細な凹凸パターンが形成された光学記録再生媒体の基板を形成することができる。
【0016】
従って、上述したように、グルーブ部が読み取り光から遠い側に設けられて記録再生特性が良好に保持できない場合は、上述のマスタースタンパの複製スタンパ、即ちいわゆるマザースタンパを、電気メッキ法等によって転写形成することにより、凹凸パターンを逆にして、基板上のグルーブパターンを、読み取り光に近い側に設ける構成として、記録再生特性の向上をはかることができる。
【0017】
しかしながら、グルーブ記録又はランド記録フォーマットを採る場合は、ランドグルーブ記録フォーマットを採る場合と同様の高記録密度を達成しようとすると、ランドグルーブ記録フォーマットを採る場合の2倍のトラック密度にすること、即ちトラックピッチを半分とする必要があり、プッシュプル信号等のトラッキングサーボ信号の振幅量が小さくなり、安定にトラッキングすることや、ウォブル信号の再生が難しくなる。
【0018】
例えば、ランドグルーブ記録フォーマットは、トラックピッチが0.60μm、即ちランド幅が0.30μm、グルーブ幅が0.30μmとされており、プッシュプル信号振幅は90%程度である。
【0019】
しかし、グルーブ記録フォーマットで同様の記録密度を達成する場合は、トラックピッチを0.32μmとすると、プッシュプル信号振幅は18%程度である。
【0020】
従来の光ディスクにおいて、トラックピッチは、再生装置の光ピックアップのカットオフ周波数のトラックピッチの2倍〜3/2程度とされている。ここで、カットオフ周波数とは、再生信号振幅がほぼ0となる周波数のことであり、データの再生に使用するレーザ光の波長をλとし、光ディスク上にレーザ光を集光する対物レンズの開口数をNAとしたとき、2NA/λで表される。
【0021】
上述のDVRの場合、開口数NA=0.85、再生光の波長λ=406nmであるから、カットオフ周波数(2NA/λ)は、4187本/mmであり、この場合のトラックピッチは0.239μmである。
DVRのトラックピッチを0.32μmとすると、カットオフ周波数に対応するトラックピッチ(0.239μm)の4/3(0.32/0.239=1.339)程度となる。
【0022】
通常トラックピッチがカットオフ周波数に対応するトラックピッチの2倍〜3/2程度とされるのは、安定したトラッキングサーボや安定したウォブル信号の再生を実現するために、トラッキングサーボ信号振幅を充分なレベルにて得られるようにする必要があるからである。
【0023】
近年の高密度光ディスクでは、トラッキングエラー信号としてプッシュプル信号が用いられているが、トラッキングサーボを安定に行うには、プッシュプル信号振幅比が0.14程度以上である必要がある。更に、ウォブル信号の再生を安定に行うようにすることが望まれている。
【0024】
一方、上述のDVR等の記録層が相変化材料よりなる光学記録再生媒体において、グルーブの深さが浅い方が、ジッター等の記録再生特性が良好なデータが得られており、グルーブの深さが25nm以下とすることが検討されている。
【0025】
プッシュプル信号振幅が最大であるグルーブの深さは、再生用光の波長λの1/8n(nは再生用光の入射面からグルーブに至る媒質の屈折率)程度である。ここで、屈折率nとしては、PMMA(ポリメチルメタクリレート)で1.49、PC(ポリカーボネート)で1.58、またUVレジンで1.49、接着剤のPSA(Pressure Sensitive Adhesion) で1.48程度である。
【0026】
上述のDVRの場合、再生用光の波長λは405nm±10nmの例えば406nm程度とされ、保護層側から再生用光を入射する。この場合、プッシュプル信号振幅が最大となる深さλ/8nは、406(nm)/(8×1.49)=34(nm)である。
プッシュプル信号振幅は、λ/11n以下程度となると充分得られないが、前述したように、相変化材料より成る記録層において再生特性が良好となるようにグルーブ深さを25nm以下とすると、λ/11n程度以下となってしまい、十分なプッシュプル信号振幅が得られず、安定なトラッキングサーボを行えなくなるという問題がある。
【0027】
尚、色素材料よりなる記録層を有する光ディスクにおいて、屈折率の比較的高い高屈折率層を記録層上に設ける構成とし、この高屈折率層の厚さと記録層の厚さとを適切に選定することによって、記録層における反射率を低下させて記録層全体の光吸収量を高め、高感度化、高変調度化をはかった光学記録媒体が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
しかしながら、上述したような高記録密度化をはかる目的をもって、トラックピッチをカットオフ周波数の4/3程度以下とする場合に、記録再生特性を良好にするためにグルーブ深さを25nm程度以下と浅くし、かつトラッキングサーボの安定化をはかる技術は報告されていない。
【0028】
【特許文献1】
特公平7−62917 号公報
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような問題を解決し、高記録密度の光学記録再生媒体において、記録再生特性を良好にするためにグルーブの深さを小さくする場合においてもプッシュプル信号振幅を十分に大として安定したトラッキングサーボを可能として、実用的な高記録密度の光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は、成形された基板上に少なくともグルーブが形成され、このグルーブ上に少なくとも記録層及び保護層が形成されて成る光学記録再生媒体であって、グルーブの凹凸を埋め込んで、基板及び保護層の屈折率に比して高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層を設ける構成とする。
【0031】
また本発明は、上述の構成において、高屈折率充填層の屈折率を、2. 0以上とする。
更に本発明は、上述の構成において、グルーブのトラックピッチを、光学記録再生媒体の記録情報を再生する再生用光の波長λ及び対物レンズの開口数NAに対応するカットオフ周波数のトラックピッチの4/3以上3/2未満として構成する。
【0032】
また更に本発明は、上述の構成において、光学記録再生媒体の記録情報を再生する再生用光の波長λを405nm±10nm、対物レンズの開口数NAを0. 85±0.05として構成する。
更に本発明は、上述の構成において、グルーブの深さを、12nm以上20nm以下として構成する。
【0033】
また本発明は、上述の構成において、グルーブの少なくとも一部をウォブリンググルーブとする構成とする。
更に本発明は、上述の構成において、基板上に、グルーブと混在してピットが形成される構成とする。
【0034】
上述したように、本発明においては、少なくともグルーブを有する光学記録再生媒体において、グルーブの凹凸を埋め込んで、基板及び保護層の屈折率より高い屈折率材料の高屈折率充填層を設けるものであり、このような構成とすることによって、グルーブの深さが記録再生特性を良好にするために比較的浅くされる場合においても、屈折率の高い高屈折率充填層を介して再生用光をグルーブに入射させることによって、光学的に光路差を補償することができて、再生用光の波長λと媒質の屈折率をnとしたときに、λ/8n程度にその深さを近づけることができ、安定なトラッキングサーボを可能とすることができる
【0035】
特に、高屈折率充填層を、屈折率が2.0以上の材料より構成することによって、後段の実施例において詳細に説明するように、プッシュプル信号振幅を十分大として、良好な記録再生特性を得ることができた。
【0036】
また、グルーブのトラックピッチがカットオフ周波数の4/3以上3/2未満とされる場合、または再生用光の波長λを405nm±10nm、対物レンズの開口数NAを0. 85±0.05とする場合において、上述のDVR型光ディスクにおけるように、グルーブの深さを25nm程度以下としても、本発明によれば、高屈折率充填層を設けることによって光路差を最適化し、十分なプッシュプル信号振幅が得られるようにすることができ、記録再生特性の向上を図ることができる。
【0037】
更に、グルーブの少なくとも一部をウォブリンググルーブとする場合においても、本発明構成とすることによって、安定にトラッキングサーボを行って、ウォブル信号を安定に再生することができる。
また、グルーブと混在してピットが形成される場合においても、同様にグルーブと同程度に浅く形成されるピットの読み取りにあたって、高屈折率充填層を設けることによって光路差を補償することによって、その再生特性の向上をはかることができる。
【0038】
したがって、本発明によれば、高密度化と共に記録再生特性の向上を図り、且つ安定なトラッキングサーボ特性が得られる光学記録再生媒体を得ることができて、高記録密度で記録再生特性に優れた光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置を提供することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明するが、以下の例においては、上述のDVRまたはBlu −ray Discに適用する場合を説明するが、本発明は以下の例に限定されることなく、本発明構成を逸脱しない範囲で種々の構成を採り得ることはいうまでもない。
【0040】
図1は、本発明による光学記録再生媒体の一例の要部の略線的拡大断面図である。図1において1はPC、PMMA等よりなるピット2及びグルーブ3が所定の深さdをもって成形された基板を示す。この基板1上に、例えばAl合金等よりなる光反射層4、ZnS−SiO2 等よりなる第1の誘電体層5、GeSbTe合金等の相変化材料よりなる記録層6、ZnS−SiO2 等よりなる第2の誘電体層7が順次積層され、この上に、基板1及び後述の保護層9よりも高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層8が、グルーブ3の凹凸を埋め込むように形成される。そして、高屈折率充填層8の上に、例えばシート状のPSA等よりなる接着層9及び保護層19が被着されて、光学記録再生媒体10が構成される。54は光ピックアップの例えば対物レンズ、Lはレーザなどの再生用光を示す。
【0041】
なお、この例においては、ピット2及びグルーブ3は、基板1上に突出する凸部として形成されるが、凹部状のいわゆる溝状に形成することも可能である。図示の例においてはグルーブの深さdは、凸部の高さとなる。
【0042】
そしてこの場合は、保護層19、接着層9及び高屈折率充填層8が上述の光入射面からピットに至る媒質となるが、特にグルーブ3などの凹凸を埋め込んで光路差を生じさせる領域の媒質は高屈折率充填層8となる。
【0043】
なお、高屈折率充填層8の埋め込み方法としては、第1の誘電体層5、記録層6、第2の誘電体層7に続いてスパッタリング等により被着した後、高屈折率充填層8の上部の段差をなくすように比較的長いエッチング、例えばプラズマエッチングを施すことによって、上面を平坦面として形成することができる。
【0044】
次に、このような光学記録再生媒体の製造工程の一例を図2A〜Cの製造工程図を参照して説明する。
【0045】
図2Aにおいて、11はガラス等より成る原盤用基板を示す。この原盤用基板11の表面に、フォトレジスト等より成る感光層12が被着形成され、後述する光学記録装置によって所定のパターン露光及び現像によって、記録情報に対応するパターンのピットパターン13及びグルーブパターン14が、例えば原盤用基板11の表面を露出するように、即ち感光層12が除去されたいわば凹状パターンとして形成される。
【0046】
その後、図示しないが、このパターニングされた感光層12上を覆って、全面的に無電界メッキ法等により、ニッケル被膜等より成る導電化膜を被着した後、導電化膜が被着された原盤用基板11を電鋳装置に取り付け、電気メッキ法により導電化膜層上に例えば300±5μm程度の厚さになるようにニッケルメッキ層を形成する。
【0047】
続いて、ニッケルメッキ層が厚く被着された原盤用基板11から、ニッケルメッキ層をカッター等で剥離し、凹凸パターンが形成された感光層を、アセトン等を用いて洗浄して、図2Bに示すように、原盤11上でのピットパターン13が反転したパターンの反転ピットパターン13n及びグルーブパターン14が反転したパターンの反転グルーブパターン14nが形成されたスタンパ15、即ちいわゆるマスタースタンパが形成される。
【0048】
その後、このスタンパ15の凹凸パターンが形成された面上に例えば離型剤を塗布した後、例えば電気メッキ法により、図2Cに示すように、スタンパ15の凹凸パターンを転写したマザースタンパ16を形成する。
【0049】
このマザースタンパ16は、図2Aにおいて説明した原盤用基板11上の感光層12のパターンと同様に、所定のピットパターン13及びグルーブパターン14が凹状に形成されて成る。従って、このマザースタンパ16から射出成形等によって形成した基板上のグルーブは、基板から突出したパターンとされ、そのグルーブ面は、再生用光の入射側に近い側とすることができる。
【0050】
次に、上述の図2Aにおいて説明した、原盤11の上の感光層12に対する具体的な露光工程を、光学記録装置の構成例と共に詳細に説明する。
【0051】
先ず、この光学記録装置の構成について説明する。
上述のパターン露光工程においては、レーザビームを対物レンズで集光し、原盤用基板の上のフォトレジストを露光する方法が一般的に採られている。このような光学記録装置の一例を図3示す。
【0052】
図3において、25は気体レーザ等の光源を示す。光源としては、特に限定されるものではなく、適宜選択して用いることができるが、この例においては、Krレーザ(波長λ=351nm)の記録用レーザ光を発振するレーザ源を用いた。
【0053】
光源20から出射されたレーザ光LB0 は、ビームスプリッタBS2及びビームスプリッタBS1によって一部反射される。なお、図示しないがビームスプリッタBS2の後段に、フォトディテクタ及び電気変調器などを設けることによって、レーザ光出力を検出し、フィードバックをかけることによって、より安定した出力のレーザ光を得ることができる。
【0054】
ビームスプリッタBS1、BS2で反射されたレーザ光LB1 及びLB2 は、第1及び第2の変調光学系30及び40に導かれる。第1の変調光学系30において、レーザ光をレンズL11で集光し、その焦点面上に音響光学変調器(AOM(Acousto Optical Modulator )1)32を配置する。
【0055】
この音響光学変調器32には、記録信号に対応する超音波がドライバ31から入力され、この超音波に基づいてレーザ光の強度が強度変調される。レーザ光は、音響光学変調器32の回折格子により回折され、その回折光のうち1次回折光のみがスリットを透過するようになされる。
【0056】
強度変調を受けた1次回折光は、レンズL12によって集光された後、ミラーM1により反射されて進行方向が90°曲げられた上で、λ/2波長板HWPを介して移動光学テーブル45に水平に且つ光軸に沿って導入され、偏光ビームスプリッタ(PBS)に入射する。
【0057】
同様に、第2の変調光学系40において、レーザ光はレンズL21で集光され、その焦点面上に配置された音響光学変調器(AOM2)42に入射され、ドライバ31から入力される記録信号に対応する超音波に基づいてレーザ光が強度変調される。発散したレーザ光は同様にレンズL22によって集光された後、ミラーM2によって反射されて進行方向が90°曲げられて、移動光学テーブル45に水平に且つ光軸に沿って導入され、偏向光学系ODに導入される。
【0058】
レーザ光LB2 によってグルーブを形成し、かつこのグルーブをウォブルグルーブとする場合は、移動光学テーブル45上の偏向光学系ODにおいて光学偏向が施された上で、ミラーM4によって反射されて再び進行方向が90°曲げられて、偏光ビームスプリッタPBSに入射する。
【0059】
そして、偏光ビームスプリッタPBSを透過したレーザ光LB1 及び偏光ビームスプリッタPBSによって再度90°進行方向が曲げられたレーザ光LB2 は、拡大レンズL3によって所定のビーム径とされた上でミラーM5によって反射されて対物レンズ54へと導かれ、この対物レンズ54によって、原盤用基板11の上の感光層12に集光される。原盤用基板11は、図示しないが回転駆動手段により矢印aで示すように回転される。一点鎖線cは、基板11の中心軸を示す。
【0060】
記録用のレーザ光LB1 及びLB2 は、移動光学テーブル45によって平行移動される。これにより、レーザ光の照射軌跡に応じた凹凸パターンに対応する潜像が、感光層12の全面にわたって形成されることとなる。
【0061】
ここで、偏向光学系ODは、ウェッジプリズム47、音響光学偏向器(AOD:Acousto Optical Deflector)48、ウェッジプリズム49により構成される。レーザ光LB2 は、ウェッジプリズム47を介して音響光学偏向器48に入射し、この音響光学偏向器48によって、所望する露光パターンに対応するように光学偏向が施される。
【0062】
この音響光学偏向器48に使用される音響光学素子としては、例えば、酸化テルル(TeO2 )から成る音響光学素子が好適である。そして、音響光学偏向器48によって光学偏向が施されたレーザ光LB2 は、ウェッジプリズム49を介して偏向光学系ODから出射される。
【0063】
尚、ウェッジプリズム47、49は、音響光学偏向器48の音響光学素子の格子面に対してブラッグ条件を満たすようにレーザ光LB2 が入射すると共に、音響光学偏向器48によってレーザ光LB2 に対して光学偏向を施しても、ビームの水平高さが変わらないようにする機能を持つ。換言すれば、これらウェッジプリズム47、49と音響光学偏向器48は、音響光学偏向器48の音響光学素子の格子面がレーザ光LB2 に対してブラッグ条件を満たし、且つ偏向光学系ODから出射されたときのレーザ光の水平高さが変わらないように配置される。
【0064】
また、音響光学偏向器48には、この音響光学偏向器48を駆動するための駆動用ドライバ50が取り付けられており、この駆動用ドライバ50には、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)51からの高周波信号が、正弦波で変調され供給される。そして、感光層の露光の際には、所望する露光パターンに応じた信号が電圧制御発振器51から駆動用ドライバ50に入力され、この信号に応じて駆動用ドライバ50によって音響光学偏向器48が駆動され、これにより、レーザ光LB2 に対して所望のウォブリングに対応した光学偏向が施される。
【0065】
具体的には、例えば、周波数956.5kHzにてグルーブをウォブリングさせることにより、グルーブにアドレス情報を付加するような場合には、例えば中心周波数が224MHzの高周波信号を周波数956.5kHzの制御信号にて正弦波信号を電圧制御発振器51から駆動用ドライバ50に供給する。
【0066】
そして、この信号に応じて、駆動用ドライバ50によって音響光学偏向器48を駆動し、この音響光学偏向器48の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これにより、周波数956.5kHzのウォブリングに対応するように、レーザ光に対して光学偏向を施す。これにより、感光層上に集光されるレーザ光のスポット位置が、周波数956.5kHz、振幅±10nmにて、原盤用基板11の半径方向に振動するように光学偏向を行った。
【0067】
ここで、偏光ビームスプリッタPBSは、S偏光を反射し、P偏光を透過するようになされ、光学偏向されたレーザ光LB2 はS偏光であり、PBSにおいて反射するようになされる。
【0068】
また、第1の変調光学系30から出射されたレーザ光LB1 は、λ/2波長板HWPを通過することにより偏光方向が90°回転させられているのでP偏光となっており、PBSを透過する。
【0069】
後述する実施例においては、対物レンズ54の開口数NAを0.9とした。第1及び第2の変調光学系30及び40の音響光学変調器32及び42としては、酸化テルル(TeO2 )を用いた。入力端子からドライバ41を介して供給される信号は、ピットを形成する場合は、例えば1−7変調信号とし、グルーブを形成する場合は一定レベルのDC(直流)信号である。
【0070】
また、後述の実施例では、変調光学系30及び40の光学レンズとしては、集光レンズL11及びL21の焦点距離を80mm、コリメートレンズL12及びL22の焦点距離を100mmとし、また移動光学テーブル40の拡大レンズL3の焦点距離を50mmとした。
【0071】
更に後述の実施例における光学記録装置の露光条件は、ウォブルグルーブに対しレーザパワー0.4mJ/mとし、第2の変調光学系40によってDC変調によりトラックピッチを0.32μmとして、原盤用基板11上の感光層12にスパイラル状にパターン露光を行った。
【0072】
そして、上述のパターン露光を行った後、原盤用基板11を感光層12が上部になるように現像機のターンテーブルに載置して、この原盤用基板11の表面が水平面となるようにして回転させる。この状態で、感光層12上に現像液を滴下して、感光層12の現像処理を行い、信号形成領域に、記録信号に基づく凹凸パターンが形成され、上述の図4Aにおいて説明した光学記録再生媒体製造用の原盤を形成する。
【0073】
そしてこの後、上述の図2B〜Cにおいて説明した製造工程によって、上述の光学記録装置によるパターン露光と現像工程によって作製した凹凸パターンとは反転する凹凸パターンが形成された光学記録再生媒体製造用スタンパ、この場合いわゆるマザースタンパを形成し、更にこのマザースタンパから射出成形法又は2P法等によって、後述の実施例においては射出成形によりポリカーボネート等の光透過性樹脂より成る光学記録再生媒体用の基板を成形する。
【0074】
そして、成形した基板の厚さを1.1mmとし、その信号形成面に、図1において説明したように、Al合金等から成る光反射層4、ZnS−SiO2 等より成る第1の誘電体層5、GeSbTe合金等より成る相変化材料より成る記録層6、ZnS−SiO2 等より成る第2の誘電体層7、基板材料及び後述の保護層の材料に比して高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層8を順次スパッタリング等によって成膜し、高屈折率充填層8の上面が平坦化するまでプラズマエッチング等のエッチングを施す。その後、高屈折率充填層8上に、PSA等よりなる接着層9を介して熱可塑性樹脂シート等よりなる保護層19を被着する。
【0075】
このような製造工程を経て、図1において説明した、本発明構成による例えばDVRフォーマットの光学記録再生媒体が形成される。
【0076】
このようにして形成した光学記録再生媒体の凹凸パターンの再生特性の評価を、波長λ=406nm、開口数NA=0.85の光学系を備えた光学記録再生装置を用いて行う。この装置の模式的な構成を図4に示す。
【0077】
図4において、61は例えば波長λ=406nmの半導体レーザ等の光源を示し、ここから出射されたレーザビームは、コリメートレンズ62で平行光とされ、グレーティング63によって、0次光(主ビーム)及び±1次光(副ビーム)の3つのビームに分けられる。これらの3つのビーム(P偏光)は、偏光ビームスプリッタ64、1/4波長板65を円偏光として透過して、前述の図1において説明したように、開口数NA=0.85の対物レンズよりなる光ピックアップ66によって、光学記録再生媒体10の所定の記録トラック上に集光される。主ビームの中央のスポットは記録情報の記録再生に用いられ、副ビームの光スポットはトラッキングエラーの検出用に用いられる。68は光学記録再生媒体10を矢印bで示すように回転させる回転手段を示す。実線dは、光学記録再生媒体10の回転軸を示す。
【0078】
そして、光学記録再生媒体10からの反射光は、光ピックアップ66、1/4波長板65を再び経由して円偏光はS偏光になり偏光ビームスプリッタ64に反射され、組み合わせレンズ71に入射させる。
【0079】
組み合わせレンズ71に入射されたレーザ光は、レーザビームに非点収差を与えるレンズを介してフォトダイオード72に入射され、ビームの強度に応じた電気信号に変換され、サーボ信号(フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号)として、サーボ回路に出力される。フォトダイオード72は分割されたディテクタ73(A〜H)を有する。主ビームの戻り光はディテクタ73の中央部に位置する4分割ディテクタのA〜Dに入射し、副ビームの戻り光はディテクタ73の両側部に位置するE〜Hに入射する。
【0080】
ディテクタ73のA〜Hにより出力される信号A〜Hが、図示しないが所定の回路系において、以下のように加算減算処理されて所定の信号が出力される。この例においては、所定の間隔に配置して照射した上記3本のレーザ光を利用した差動プッシュプル(DPP:Differntial Push−Pull)方式によりトラッキングサーボ信号を得た。即ち、
光学記録再生媒体の再生信号=(A+B+C+D)
ピット再生信号(例えばEFM信号)=(A+B+C+D)
プッシュプル信号=(B+C)−(A+D)
差動プッシュプル(トラッキングサーボ)信号=(B+C)−(A+D)−k((E−F)+(G−H))
(kは所定の定数)
とする。
このような構成による光学記録再生装置により、以下の実施例において、上述の本発明構成による光学記録再生媒体の評価を行った。
【0081】
【実施例】
以下の例においては、高屈折率充填層8の材料を変えたタイプ1からタイプ5の構成において、グルーブの深さを上述の感光層12の厚さを変化させることによって、12nmから34nmまで変化させた。以下の例では、12nmとする光学記録再生媒体A、16nmとする光学記録再生媒体B、20nmとする光学記録再生媒体C、24nmとする光学記録再生媒体D、29nmとする光学記録再生媒体E、34nmとする光学記録再生媒体Fをそれぞれ形成した。
タイプ1から4における高屈折率充填層の材料及び屈折率nは以下の通りである。タイプ5は高屈折率充填層を設けない構成とした。
【0082】
タイプ1:酸化チタン(TiO2 )、n=2.6
タイプ2:硫化亜鉛(ZnS)、n=2.3
タイプ3:酸化ネオジム(Nd2 O3 )、n=2.0
タイプ4:シアニン系色素で反応性の低い色素、n=2.4
【0083】
なお、タイプ1〜3の高屈折率充填層は、高周波スパッタ装置により、真空度を10−3Pa程度とした後、1〜3Pa程度のArガス雰囲気中で各材料をターゲットとし、出力1〜3KWとしてその成膜を行った。各列共に、成膜時間を調整してその膜厚を調整し、各深さのグルーブを埋め込むよう第2の誘電体層上に被着形成した。
【0084】
また、タイプ4のシアニン系色素としては、下記の化1に示す材料を用いた。またその膜厚は、フッ素アルコールを溶媒として用いて粘度を調整し、スピンコートの回転数を調整してグルーブを埋め込むよう第2の誘電体層上に被着形成した。
【0085】
【化1】
【0086】
なお、上記化1において、R1 及びR2 は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基を表わし、R3 は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜4のアルコキシアルキル基又は炭素原子数1〜4のフッ化アルキル基を表わし、X1 − はアニオンを表わす。上記のタイプ4においては、以下に示す材料とした。
【0087】
R1 :CH3
R2 :CH3
R3 :n−C4 H9
X1 − :Cl4 −
上述のタイプ4においては、このシアニン色素とクエンチャーを溶質として、フッ素アルコールを溶媒として、液濃度2%〜5%程度に調節してシアニン色素溶液を作成した。
【0088】
塗布方法は以下の通りである。
先ずスピンコーターの載置台に基板を固定する。
その後載置台を回転させる。この時の回転数は300s−1(回/秒)から500s−1の間に維持する。
次に、上述のシアニン色素溶液を基板に滴下する。
そして回転数を1000s−1とした後、更に回転数を2000s−1とする。
【0089】
最後に回転数を4000s−1から5000s−1にして、1秒〜2秒程度保持する。停止後、基板を取り出し、乾燥後、接着層及び保護層を被着する。
上述の例においては、載置台の回転数を調節して膜厚の調整を行った。
【0090】
このような構成における光学記録再生媒体の各例を、上述の図4において説明した光学記録再生装置においてプッシュプル信号振幅を測定した。なお、トラックピッチは上述したように0.32μm、グルーブ幅は125nm程度であった。
各例におけるプッシュプル信号振幅量を、位相深さの指標となるλ/(d×n)(λ:再生用光の波長、d:グルーブ深さ、n:グルーブの凹凸を埋め込む媒質の屈折率)とともに、以下の表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
上記表1においてプッシュプル信号振幅が0.13以下の場合は安定なトラッキングサーボを行うことができなかった。すなわち、タイプ1の光学記録再生媒体F、タイプ3の光学記録再生媒体A、タイプ5の光学記録再生媒体A及びBである。その他の光学記録再生媒体の構成例では、プッシュプル信号振幅が十分であり、安定したトラッキングサーボを行うことができた。更にこれらの光学記録再生媒体、ウォブルグルーブのアドレス情報を安定に再生することができた。
【0093】
この結果から明らかなように、高屈折率充填層を設けない従来構成の光学記録再生媒体においては、グルーブの深さが20nmより小さくなると十分なプッシュプル信号振幅が得られず、安定したトラッキングサーボが行えないが、高屈折率充填層を設ける本発明構成によれば、グルーブ深さが20nm以下となり、すなわちλ/13n以下の段差になっても十分なプッシュプル信号振幅が得られ、安定したトラッキングサーボを行うことができることがわかる。特に高屈折率充填層の材料を屈折率2.0以上とすることによって、良好なトラッキングサーボを行うことができることがわかる。
【0094】
なお、タイプ3の光学記録再生媒体Aにおいては、十分なプッシュプル信号振幅が得られていないが、このようにグルーブの深さを12nmと浅くする場合は、屈折率が2.3以上の材料の高屈折率充填層を設ける場合に、十分なプッシュプル信号振幅が得られることがわかる。
また、深さが24nm以上の場合においては、高屈折率充填層を設けない従来構成のタイプ5においても、十分なプッシュプル信号振幅が得られることがわかる。
したがって、本発明においては、グルーブの深さが12nm以上20nm以下とするときに、有意な効果を得ることができることがわかる。
【0095】
次に、上述の各例において、トラッキングサーボ及びウォブルグルーブのアドレス情報を安定に再生できる領域、すなわち上記表1においてプッシュプル信号振幅が0.14以上得られた領域のグルーブ上に、1−7変調で記録再生を行い、ジッターを測定した。この結果を以下の表2に示す。
【0096】
【表2】
[イメージ]
【0097】
上記表2において、「−」は十分なプッシュプル信号が得られず、ジッターを測定できないことを示す。
【0098】
この結果からわかるように、DVR型構成の光学記録再生媒体において、グルーブの深さが小さいほうが、ジッター等の記録再生特性が良好となることが明らかである。このことから、DVR、Blu−ray Disc等の高密度光学記録再生媒体においては、グルーブの深さを25nm以下とすることが望ましいことがわかる。
【0099】
すなわち、上記表2の結果から、光学記録再生媒体E、Fの測定を行うことができた領域では、ジッターが10%以上であり、良好な記録再生特性を実現することは難しいことがわかる。
これに対し、光学記録再生媒体A〜Dの安定なトラッキングサーボを得ることができたタイプにおいて、ジッターが9%程度以下であり、良好な記録再生特性を実現できた。
また、タイプ5の従来構成において、光学記録再生媒体C及びDのみが良好な記録再生特性を実現することができたが、本発明構成の高屈折率充填層を有するタイプ1,2,3及び4は更に光学記録再生媒体A及びBにおいても、安定なトラッキングサーボを得た領域で7% 台の比較的低いジッターを実現することができた。つまり、グルーブの深さが20nmより小さい光学記録再生媒体においても、更に良好な記録再生特性を実現可能であることがわかる。
【0100】
前述したように、DVRのトラックピッチ0.32μmは、カットオフ周波数のトラックピッチ(0239μm)の4/3程度しかなく、従来必要とされた3/2未満(0.32/0.239=1.339)であり、充分なトラッキングサーボ信号振幅(プッシュプル信号振幅)が得られなかったが、本発明構成とすることによって、安定なトラッキングサーボを実現することができた。
【0101】
更に、グルーブ深さを20nm程度以下とする光学記録再生媒体においても、2.0以上の屈折率材料の高屈折率充填層を設けることによって、安定したトラッキングサーボを行うことができ、良好な記録再生特性を実現できた。
【0102】
なお、上述の例においては、グルーブについて再生特性を測定したものであるが、本発明を、図5に示すように、ピット2をグルーブ3に混在して設ける構成とする場合においても、同様の効果を得ることができるのはいうまでもない。
【0103】
尚、トラックピッチをカットオフ周波数に対応するトラックピッチの3/2倍以上とするときは、グルーブの深さを20nm程度以下とする必要がなく、充分なプッシュプル信号が得られることから、カットオフ周波数のトラックピッチの4/3以上3/2未満のトラックピッチとするときに、本発明による有意な効果が得られることがわかる。
【0104】
上述したように、本発明においては、ランドグルーブ記録方式を採る場合と同様に、トラック密度を従来の2倍に高密度化をはかり、グルーブの良好な再生特性を実現できた。読み取り面に近い側にグルーブをピットと混在して形成し、フォーカス点を変えることなく良好なピット信号の再生特性とグルーブの記録再生特性を両立できる光学記録再生媒体を提供することができる。
【0105】
以上本発明の実施の形態と実施例の各例を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されることなく、相変化材料による記録層等の各層の材料構成を変更するなど、本発明構成を逸脱しない範囲で種々の変形変更が可能であることはいうまでもない。
【0106】
また、情報としては記録情報に限定されることなく、信号の記録再生や或いは情報及び信号の記録再生両方の機能を有する光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置にも適用することができる。
【0107】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、少なくともグルーブを有する光学記録再生媒体において、グルーブの凹凸を埋め込んで、基板及び保護層の屈折率より高い屈折率材料の高屈折率充填層を設けることによって、グルーブの深さが記録再生特性を良好にするために比較的浅くされる場合においても、屈折率の高い高屈折率充填層を介して再生用光をグルーブに入射させることによって、光学的に光路差を補償することができて、再生用光の波長λと媒質の屈折率をnとしたときに、λ/8n程度にその深さを近づけることができ、安定なトラッキングサーボを可能とすることができる
【0108】
特に、高屈折率充填層を、屈折率が2.0以上の材料より構成することによって、プッシュプル信号振幅を十分大として、良好な記録再生特性を得ることができた。
【0109】
また、グルーブのトラックピッチがカットオフ周波数の4/3以上3/2未満とされる場合、または再生用光の波長λを405nm±10nm、対物レンズの開口数NAを0. 85±0.05とする場合において、DVRやBlu−ray Disc型の光学記録再生媒体におけるように、グルーブの深さを25nm程度以下としても、本発明によれば、高屈折率充填層を設けることによって光路差を最適化し、十分なプッシュプル信号振幅が得られるようにすることができ、記録再生特性の向上を図ることができる。
【0110】
更に、グルーブの少なくとも一部をウォブリンググルーブとする場合においても、本発明構成とすることによって、安定にトラッキングサーボを行って、ウォブル信号を安定に再生することができる。
また、グルーブと混在してピットが形成される場合においても、同様にグルーブと同程度に浅く形成されるピットの読み取りにあたって、高屈折率充填層を設けることによって光路差を補償することによって、その再生特性の向上をはかることができる。
【0111】
したがって、本発明によれば、高密度化と共に安定なトラッキングサーボ特性が得られ、良好な記録再生特性の光学記録再生媒体を得ることができて、高記録密度で記録再生特性に優れた光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学記録再生媒体の一例の要部の略線的拡大断面図である。
【図2】Aは光学記録再生媒体製造用スタンパの一例の製造工程図である。
Bは光学記録再生媒体製造用スタンパの一例の製造工程図である。
Cは光学記録再生媒体製造用スタンパの一例の製造工程図である。
【図3】光学記録装置の一例の構成図である。
【図4】光学記録再生装置の一例の構成図である。
【図5】光学記録再生媒体の一例の要部の略線的拡大平面図である。
【符号の説明】
1 基板、2 ピット、3 グルーブ、4 光反射層、5 第1の誘電体層、6記録層、7 第2の誘電体層、8 高屈折率充填層、9 接着層、10 光学記録再生媒体、11 原盤用基板、12 感光層、13 ピットパターン、13n 反転ピットパターン、14 グルーブパターン、14n 反転グルーブパターン、15 スタンパ、16 マザースタンパ、19 保護層、25 光源、30 第1の変調光学系、31 駆動用ドライバ、32 音響光学変調器、40 第2の変調光学系、41 駆動用ドライバ、42 音響光学変調器、45 移動光学テブル、47 ウェッジプリズム、48 音響光学偏向器、49 ウェッジプリズム、50 駆動用ドライバ、51 電圧制御発振器、52 対物レンズ、54 光ピックアップ 61 光源、62 コリメートレンズ、63 グレーティング、64 偏光ビームスプリッタ(PBS)、65 1/4波長板、66 光ピックアップ、67 磁気ヘッド、68 回転手段、70 偏光ビームスプリッタ、71 組み合わせレンズ、72 フォトダイオード、73 ディテクタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形された基板上に少なくともグルーブが形成され、グルーブ上に少なくとも記録層及び保護層が形成されて成る光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
光学記録再生媒体として、円盤状に形成されて成り、光学的に記録及び/又は再生が行われる光ディスクが各種実用化されている。このような光ディスクには、データに対応したエンボスピットがディスク基板に予め形成されて成る再生専用光ディスクや、磁気光学効果を利用してデータの記録を行う光磁気ディスクや、記録膜の相変化を利用してデータの記録を行う相変化型光ディスクなどがある。
【0003】
これら光ディスクのうち、光磁気ディスクや相変化型光ディスクのように書き込みが可能な光ディスクでは、通常、記録トラックに沿ったグルーブがディスク基板に形成される。ここで、グルーブとは、主にトラッキングサーボを行えるようにするために、記録トラックに沿って形成されるいわゆる案内溝であり、グルーブとグルーブの開口端間をランドと称す。
【0004】
そしてグルーブが形成されて成る光ディスクでは、通常、グルーブで反射回折された光から得られるプッシュプル信号に基づくトラッキングエラー信号によって、トラッキングサーボがなされる。ここで、プッシュプル信号は、グルーブで反射回折された光を、トラック中心に対して対称に配置された2つの光検出器により検出し、それら2つの光検出器からの出力の差をとることにより得られる。
【0005】
ところで、従来、これらの光ディスクでは、再生装置に搭載される光ピックアップの再生分解能を向上させることで、高記録密度化を達成してきた。そして、光ピックアップの再生分解能の向上は、主に、データの再生に使用するレーザ光の波長λを短くしたり、光ディスク上にレーザ光を集光する対物レンズの開口数NAを大きくしたりすることにより、光学的に実現させてきた。
【0006】
従来、CD(Compact Disc)の追記型のいわゆるCD−Rや光磁気ディスクの書換え型のMD(Mini Disc )、DVD(Digital Versatile Disc)の追記型のDVD−RやDVD+R、又はDVDの書換え可能型のいわゆるDVD+RW或いはDVD−RW(いずれも光ディスクの登録商標)の各フォーマットでは、グルーブに記録するグルーブ記録フォーマットが提案されている。ISO系の光磁気ディスクの各フォーマットでは、ランドに記録するランド記録フォーマットが提案されている。
【0007】
一方DVD−RAM(Random Access Memory)等においては、光ディスクの高密度化を実現する一つの方法として、グルーブとランドとの両方に記録することにより、トラック密度を従来の2倍にして高密度化をはかる、いわゆるランドグルーブ記録方式が提案されている。
【0008】
また、近年次世代光ディスクとして開発が進められているDVR(Digital Video Recordable)またはBlu−ray Discや、MDが小型化されたμ−Disc等の高密度光ディスクにおいても、ランドグルーブ記録方式が検討されており、これにより高記録密度化がはかられている。
【0009】
しかしながら、DVD−RAM等においてランドグルーブ記録を行う場合、ランド上の記録とグルーブ上の記録において、記録再生時にフォーカス点をそれぞれ調節しないと最適な記録再生特性が得られないことから、光学系の複雑化を招くという欠点があった。
【0010】
また、”ISOM 2000 Simulation Of Heat Generation And Conduction On Land/Groove Disc”において、ランド上の記録とグルーブ上の記録とにおいて、記録ビーム形状が異なる報告があることからも明らかなように、ランド記録再生特性とグルーブ記録再生特性とを均一化することは困難であり、同一の光学記録再生媒体において、記録再生特性の異なる領域が存在するという問題がある。
【0011】
更にまた、DVR等の高密度光ディスクにおいて、読み取り面に近い方、即ちDVRの場合は、光照射側に近いランド上の記録再生特性は良好であるが、読み取り面から遠い方、即ちDVRの場合光照射側から遠いグルーブでの記録再生特性を良好に保持することは困難な結果を得ている。
【0012】
DVR−ROM(Read Only Memory)ディスク等において、このようなランドグルーブ記録方式のフォーマットで信号を直接記録することは現状では可能であるが、ランド上の記録とグルーブ上の記録とで記録再生特性を良好で且つ均一にすることが望まれている。
【0013】
上述したように、DVR等の高密度光ディスクにおいて、グルーブ部は読み取り面に遠い方であり、このグルーブ部での記録再生特性を良好にすることは困難である。
【0014】
一方、光学記録再生媒体の製造工程において、基板に形成する凹凸パターンを反転して製造する方法が考えられる。すなわち、通常の光学記録再生媒体の製造過程においては、フォトリソグラフィ等によってガラス原盤上の感光層に微細な凹凸パターンを形成した後、メッキ等によって例えばNiより成るマスタースタンパを形成する。
【0015】
そしてこのマスタースタンパを金型等に載置して樹脂を射出する射出成形法、または、基板上に、例えば紫外線硬化樹脂を塗布し、この樹脂層にこのスタンパを押圧して、目的とする凹凸パターンを形成する、いわゆる2P(Photo−Polymerization)法によって、表面に所定の微細な凹凸パターンが形成された光学記録再生媒体の基板を形成することができる。
【0016】
従って、上述したように、グルーブ部が読み取り光から遠い側に設けられて記録再生特性が良好に保持できない場合は、上述のマスタースタンパの複製スタンパ、即ちいわゆるマザースタンパを、電気メッキ法等によって転写形成することにより、凹凸パターンを逆にして、基板上のグルーブパターンを、読み取り光に近い側に設ける構成として、記録再生特性の向上をはかることができる。
【0017】
しかしながら、グルーブ記録又はランド記録フォーマットを採る場合は、ランドグルーブ記録フォーマットを採る場合と同様の高記録密度を達成しようとすると、ランドグルーブ記録フォーマットを採る場合の2倍のトラック密度にすること、即ちトラックピッチを半分とする必要があり、プッシュプル信号等のトラッキングサーボ信号の振幅量が小さくなり、安定にトラッキングすることや、ウォブル信号の再生が難しくなる。
【0018】
例えば、ランドグルーブ記録フォーマットは、トラックピッチが0.60μm、即ちランド幅が0.30μm、グルーブ幅が0.30μmとされており、プッシュプル信号振幅は90%程度である。
【0019】
しかし、グルーブ記録フォーマットで同様の記録密度を達成する場合は、トラックピッチを0.32μmとすると、プッシュプル信号振幅は18%程度である。
【0020】
従来の光ディスクにおいて、トラックピッチは、再生装置の光ピックアップのカットオフ周波数のトラックピッチの2倍〜3/2程度とされている。ここで、カットオフ周波数とは、再生信号振幅がほぼ0となる周波数のことであり、データの再生に使用するレーザ光の波長をλとし、光ディスク上にレーザ光を集光する対物レンズの開口数をNAとしたとき、2NA/λで表される。
【0021】
上述のDVRの場合、開口数NA=0.85、再生光の波長λ=406nmであるから、カットオフ周波数(2NA/λ)は、4187本/mmであり、この場合のトラックピッチは0.239μmである。
DVRのトラックピッチを0.32μmとすると、カットオフ周波数に対応するトラックピッチ(0.239μm)の4/3(0.32/0.239=1.339)程度となる。
【0022】
通常トラックピッチがカットオフ周波数に対応するトラックピッチの2倍〜3/2程度とされるのは、安定したトラッキングサーボや安定したウォブル信号の再生を実現するために、トラッキングサーボ信号振幅を充分なレベルにて得られるようにする必要があるからである。
【0023】
近年の高密度光ディスクでは、トラッキングエラー信号としてプッシュプル信号が用いられているが、トラッキングサーボを安定に行うには、プッシュプル信号振幅比が0.14程度以上である必要がある。更に、ウォブル信号の再生を安定に行うようにすることが望まれている。
【0024】
一方、上述のDVR等の記録層が相変化材料よりなる光学記録再生媒体において、グルーブの深さが浅い方が、ジッター等の記録再生特性が良好なデータが得られており、グルーブの深さが25nm以下とすることが検討されている。
【0025】
プッシュプル信号振幅が最大であるグルーブの深さは、再生用光の波長λの1/8n(nは再生用光の入射面からグルーブに至る媒質の屈折率)程度である。ここで、屈折率nとしては、PMMA(ポリメチルメタクリレート)で1.49、PC(ポリカーボネート)で1.58、またUVレジンで1.49、接着剤のPSA(Pressure Sensitive Adhesion) で1.48程度である。
【0026】
上述のDVRの場合、再生用光の波長λは405nm±10nmの例えば406nm程度とされ、保護層側から再生用光を入射する。この場合、プッシュプル信号振幅が最大となる深さλ/8nは、406(nm)/(8×1.49)=34(nm)である。
プッシュプル信号振幅は、λ/11n以下程度となると充分得られないが、前述したように、相変化材料より成る記録層において再生特性が良好となるようにグルーブ深さを25nm以下とすると、λ/11n程度以下となってしまい、十分なプッシュプル信号振幅が得られず、安定なトラッキングサーボを行えなくなるという問題がある。
【0027】
尚、色素材料よりなる記録層を有する光ディスクにおいて、屈折率の比較的高い高屈折率層を記録層上に設ける構成とし、この高屈折率層の厚さと記録層の厚さとを適切に選定することによって、記録層における反射率を低下させて記録層全体の光吸収量を高め、高感度化、高変調度化をはかった光学記録媒体が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
しかしながら、上述したような高記録密度化をはかる目的をもって、トラックピッチをカットオフ周波数の4/3程度以下とする場合に、記録再生特性を良好にするためにグルーブ深さを25nm程度以下と浅くし、かつトラッキングサーボの安定化をはかる技術は報告されていない。
【0028】
【特許文献1】
特公平7−62917 号公報
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような問題を解決し、高記録密度の光学記録再生媒体において、記録再生特性を良好にするためにグルーブの深さを小さくする場合においてもプッシュプル信号振幅を十分に大として安定したトラッキングサーボを可能として、実用的な高記録密度の光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は、成形された基板上に少なくともグルーブが形成され、このグルーブ上に少なくとも記録層及び保護層が形成されて成る光学記録再生媒体であって、グルーブの凹凸を埋め込んで、基板及び保護層の屈折率に比して高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層を設ける構成とする。
【0031】
また本発明は、上述の構成において、高屈折率充填層の屈折率を、2. 0以上とする。
更に本発明は、上述の構成において、グルーブのトラックピッチを、光学記録再生媒体の記録情報を再生する再生用光の波長λ及び対物レンズの開口数NAに対応するカットオフ周波数のトラックピッチの4/3以上3/2未満として構成する。
【0032】
また更に本発明は、上述の構成において、光学記録再生媒体の記録情報を再生する再生用光の波長λを405nm±10nm、対物レンズの開口数NAを0. 85±0.05として構成する。
更に本発明は、上述の構成において、グルーブの深さを、12nm以上20nm以下として構成する。
【0033】
また本発明は、上述の構成において、グルーブの少なくとも一部をウォブリンググルーブとする構成とする。
更に本発明は、上述の構成において、基板上に、グルーブと混在してピットが形成される構成とする。
【0034】
上述したように、本発明においては、少なくともグルーブを有する光学記録再生媒体において、グルーブの凹凸を埋め込んで、基板及び保護層の屈折率より高い屈折率材料の高屈折率充填層を設けるものであり、このような構成とすることによって、グルーブの深さが記録再生特性を良好にするために比較的浅くされる場合においても、屈折率の高い高屈折率充填層を介して再生用光をグルーブに入射させることによって、光学的に光路差を補償することができて、再生用光の波長λと媒質の屈折率をnとしたときに、λ/8n程度にその深さを近づけることができ、安定なトラッキングサーボを可能とすることができる
【0035】
特に、高屈折率充填層を、屈折率が2.0以上の材料より構成することによって、後段の実施例において詳細に説明するように、プッシュプル信号振幅を十分大として、良好な記録再生特性を得ることができた。
【0036】
また、グルーブのトラックピッチがカットオフ周波数の4/3以上3/2未満とされる場合、または再生用光の波長λを405nm±10nm、対物レンズの開口数NAを0. 85±0.05とする場合において、上述のDVR型光ディスクにおけるように、グルーブの深さを25nm程度以下としても、本発明によれば、高屈折率充填層を設けることによって光路差を最適化し、十分なプッシュプル信号振幅が得られるようにすることができ、記録再生特性の向上を図ることができる。
【0037】
更に、グルーブの少なくとも一部をウォブリンググルーブとする場合においても、本発明構成とすることによって、安定にトラッキングサーボを行って、ウォブル信号を安定に再生することができる。
また、グルーブと混在してピットが形成される場合においても、同様にグルーブと同程度に浅く形成されるピットの読み取りにあたって、高屈折率充填層を設けることによって光路差を補償することによって、その再生特性の向上をはかることができる。
【0038】
したがって、本発明によれば、高密度化と共に記録再生特性の向上を図り、且つ安定なトラッキングサーボ特性が得られる光学記録再生媒体を得ることができて、高記録密度で記録再生特性に優れた光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置を提供することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明するが、以下の例においては、上述のDVRまたはBlu −ray Discに適用する場合を説明するが、本発明は以下の例に限定されることなく、本発明構成を逸脱しない範囲で種々の構成を採り得ることはいうまでもない。
【0040】
図1は、本発明による光学記録再生媒体の一例の要部の略線的拡大断面図である。図1において1はPC、PMMA等よりなるピット2及びグルーブ3が所定の深さdをもって成形された基板を示す。この基板1上に、例えばAl合金等よりなる光反射層4、ZnS−SiO2 等よりなる第1の誘電体層5、GeSbTe合金等の相変化材料よりなる記録層6、ZnS−SiO2 等よりなる第2の誘電体層7が順次積層され、この上に、基板1及び後述の保護層9よりも高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層8が、グルーブ3の凹凸を埋め込むように形成される。そして、高屈折率充填層8の上に、例えばシート状のPSA等よりなる接着層9及び保護層19が被着されて、光学記録再生媒体10が構成される。54は光ピックアップの例えば対物レンズ、Lはレーザなどの再生用光を示す。
【0041】
なお、この例においては、ピット2及びグルーブ3は、基板1上に突出する凸部として形成されるが、凹部状のいわゆる溝状に形成することも可能である。図示の例においてはグルーブの深さdは、凸部の高さとなる。
【0042】
そしてこの場合は、保護層19、接着層9及び高屈折率充填層8が上述の光入射面からピットに至る媒質となるが、特にグルーブ3などの凹凸を埋め込んで光路差を生じさせる領域の媒質は高屈折率充填層8となる。
【0043】
なお、高屈折率充填層8の埋め込み方法としては、第1の誘電体層5、記録層6、第2の誘電体層7に続いてスパッタリング等により被着した後、高屈折率充填層8の上部の段差をなくすように比較的長いエッチング、例えばプラズマエッチングを施すことによって、上面を平坦面として形成することができる。
【0044】
次に、このような光学記録再生媒体の製造工程の一例を図2A〜Cの製造工程図を参照して説明する。
【0045】
図2Aにおいて、11はガラス等より成る原盤用基板を示す。この原盤用基板11の表面に、フォトレジスト等より成る感光層12が被着形成され、後述する光学記録装置によって所定のパターン露光及び現像によって、記録情報に対応するパターンのピットパターン13及びグルーブパターン14が、例えば原盤用基板11の表面を露出するように、即ち感光層12が除去されたいわば凹状パターンとして形成される。
【0046】
その後、図示しないが、このパターニングされた感光層12上を覆って、全面的に無電界メッキ法等により、ニッケル被膜等より成る導電化膜を被着した後、導電化膜が被着された原盤用基板11を電鋳装置に取り付け、電気メッキ法により導電化膜層上に例えば300±5μm程度の厚さになるようにニッケルメッキ層を形成する。
【0047】
続いて、ニッケルメッキ層が厚く被着された原盤用基板11から、ニッケルメッキ層をカッター等で剥離し、凹凸パターンが形成された感光層を、アセトン等を用いて洗浄して、図2Bに示すように、原盤11上でのピットパターン13が反転したパターンの反転ピットパターン13n及びグルーブパターン14が反転したパターンの反転グルーブパターン14nが形成されたスタンパ15、即ちいわゆるマスタースタンパが形成される。
【0048】
その後、このスタンパ15の凹凸パターンが形成された面上に例えば離型剤を塗布した後、例えば電気メッキ法により、図2Cに示すように、スタンパ15の凹凸パターンを転写したマザースタンパ16を形成する。
【0049】
このマザースタンパ16は、図2Aにおいて説明した原盤用基板11上の感光層12のパターンと同様に、所定のピットパターン13及びグルーブパターン14が凹状に形成されて成る。従って、このマザースタンパ16から射出成形等によって形成した基板上のグルーブは、基板から突出したパターンとされ、そのグルーブ面は、再生用光の入射側に近い側とすることができる。
【0050】
次に、上述の図2Aにおいて説明した、原盤11の上の感光層12に対する具体的な露光工程を、光学記録装置の構成例と共に詳細に説明する。
【0051】
先ず、この光学記録装置の構成について説明する。
上述のパターン露光工程においては、レーザビームを対物レンズで集光し、原盤用基板の上のフォトレジストを露光する方法が一般的に採られている。このような光学記録装置の一例を図3示す。
【0052】
図3において、25は気体レーザ等の光源を示す。光源としては、特に限定されるものではなく、適宜選択して用いることができるが、この例においては、Krレーザ(波長λ=351nm)の記録用レーザ光を発振するレーザ源を用いた。
【0053】
光源20から出射されたレーザ光LB0 は、ビームスプリッタBS2及びビームスプリッタBS1によって一部反射される。なお、図示しないがビームスプリッタBS2の後段に、フォトディテクタ及び電気変調器などを設けることによって、レーザ光出力を検出し、フィードバックをかけることによって、より安定した出力のレーザ光を得ることができる。
【0054】
ビームスプリッタBS1、BS2で反射されたレーザ光LB1 及びLB2 は、第1及び第2の変調光学系30及び40に導かれる。第1の変調光学系30において、レーザ光をレンズL11で集光し、その焦点面上に音響光学変調器(AOM(Acousto Optical Modulator )1)32を配置する。
【0055】
この音響光学変調器32には、記録信号に対応する超音波がドライバ31から入力され、この超音波に基づいてレーザ光の強度が強度変調される。レーザ光は、音響光学変調器32の回折格子により回折され、その回折光のうち1次回折光のみがスリットを透過するようになされる。
【0056】
強度変調を受けた1次回折光は、レンズL12によって集光された後、ミラーM1により反射されて進行方向が90°曲げられた上で、λ/2波長板HWPを介して移動光学テーブル45に水平に且つ光軸に沿って導入され、偏光ビームスプリッタ(PBS)に入射する。
【0057】
同様に、第2の変調光学系40において、レーザ光はレンズL21で集光され、その焦点面上に配置された音響光学変調器(AOM2)42に入射され、ドライバ31から入力される記録信号に対応する超音波に基づいてレーザ光が強度変調される。発散したレーザ光は同様にレンズL22によって集光された後、ミラーM2によって反射されて進行方向が90°曲げられて、移動光学テーブル45に水平に且つ光軸に沿って導入され、偏向光学系ODに導入される。
【0058】
レーザ光LB2 によってグルーブを形成し、かつこのグルーブをウォブルグルーブとする場合は、移動光学テーブル45上の偏向光学系ODにおいて光学偏向が施された上で、ミラーM4によって反射されて再び進行方向が90°曲げられて、偏光ビームスプリッタPBSに入射する。
【0059】
そして、偏光ビームスプリッタPBSを透過したレーザ光LB1 及び偏光ビームスプリッタPBSによって再度90°進行方向が曲げられたレーザ光LB2 は、拡大レンズL3によって所定のビーム径とされた上でミラーM5によって反射されて対物レンズ54へと導かれ、この対物レンズ54によって、原盤用基板11の上の感光層12に集光される。原盤用基板11は、図示しないが回転駆動手段により矢印aで示すように回転される。一点鎖線cは、基板11の中心軸を示す。
【0060】
記録用のレーザ光LB1 及びLB2 は、移動光学テーブル45によって平行移動される。これにより、レーザ光の照射軌跡に応じた凹凸パターンに対応する潜像が、感光層12の全面にわたって形成されることとなる。
【0061】
ここで、偏向光学系ODは、ウェッジプリズム47、音響光学偏向器(AOD:Acousto Optical Deflector)48、ウェッジプリズム49により構成される。レーザ光LB2 は、ウェッジプリズム47を介して音響光学偏向器48に入射し、この音響光学偏向器48によって、所望する露光パターンに対応するように光学偏向が施される。
【0062】
この音響光学偏向器48に使用される音響光学素子としては、例えば、酸化テルル(TeO2 )から成る音響光学素子が好適である。そして、音響光学偏向器48によって光学偏向が施されたレーザ光LB2 は、ウェッジプリズム49を介して偏向光学系ODから出射される。
【0063】
尚、ウェッジプリズム47、49は、音響光学偏向器48の音響光学素子の格子面に対してブラッグ条件を満たすようにレーザ光LB2 が入射すると共に、音響光学偏向器48によってレーザ光LB2 に対して光学偏向を施しても、ビームの水平高さが変わらないようにする機能を持つ。換言すれば、これらウェッジプリズム47、49と音響光学偏向器48は、音響光学偏向器48の音響光学素子の格子面がレーザ光LB2 に対してブラッグ条件を満たし、且つ偏向光学系ODから出射されたときのレーザ光の水平高さが変わらないように配置される。
【0064】
また、音響光学偏向器48には、この音響光学偏向器48を駆動するための駆動用ドライバ50が取り付けられており、この駆動用ドライバ50には、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)51からの高周波信号が、正弦波で変調され供給される。そして、感光層の露光の際には、所望する露光パターンに応じた信号が電圧制御発振器51から駆動用ドライバ50に入力され、この信号に応じて駆動用ドライバ50によって音響光学偏向器48が駆動され、これにより、レーザ光LB2 に対して所望のウォブリングに対応した光学偏向が施される。
【0065】
具体的には、例えば、周波数956.5kHzにてグルーブをウォブリングさせることにより、グルーブにアドレス情報を付加するような場合には、例えば中心周波数が224MHzの高周波信号を周波数956.5kHzの制御信号にて正弦波信号を電圧制御発振器51から駆動用ドライバ50に供給する。
【0066】
そして、この信号に応じて、駆動用ドライバ50によって音響光学偏向器48を駆動し、この音響光学偏向器48の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これにより、周波数956.5kHzのウォブリングに対応するように、レーザ光に対して光学偏向を施す。これにより、感光層上に集光されるレーザ光のスポット位置が、周波数956.5kHz、振幅±10nmにて、原盤用基板11の半径方向に振動するように光学偏向を行った。
【0067】
ここで、偏光ビームスプリッタPBSは、S偏光を反射し、P偏光を透過するようになされ、光学偏向されたレーザ光LB2 はS偏光であり、PBSにおいて反射するようになされる。
【0068】
また、第1の変調光学系30から出射されたレーザ光LB1 は、λ/2波長板HWPを通過することにより偏光方向が90°回転させられているのでP偏光となっており、PBSを透過する。
【0069】
後述する実施例においては、対物レンズ54の開口数NAを0.9とした。第1及び第2の変調光学系30及び40の音響光学変調器32及び42としては、酸化テルル(TeO2 )を用いた。入力端子からドライバ41を介して供給される信号は、ピットを形成する場合は、例えば1−7変調信号とし、グルーブを形成する場合は一定レベルのDC(直流)信号である。
【0070】
また、後述の実施例では、変調光学系30及び40の光学レンズとしては、集光レンズL11及びL21の焦点距離を80mm、コリメートレンズL12及びL22の焦点距離を100mmとし、また移動光学テーブル40の拡大レンズL3の焦点距離を50mmとした。
【0071】
更に後述の実施例における光学記録装置の露光条件は、ウォブルグルーブに対しレーザパワー0.4mJ/mとし、第2の変調光学系40によってDC変調によりトラックピッチを0.32μmとして、原盤用基板11上の感光層12にスパイラル状にパターン露光を行った。
【0072】
そして、上述のパターン露光を行った後、原盤用基板11を感光層12が上部になるように現像機のターンテーブルに載置して、この原盤用基板11の表面が水平面となるようにして回転させる。この状態で、感光層12上に現像液を滴下して、感光層12の現像処理を行い、信号形成領域に、記録信号に基づく凹凸パターンが形成され、上述の図4Aにおいて説明した光学記録再生媒体製造用の原盤を形成する。
【0073】
そしてこの後、上述の図2B〜Cにおいて説明した製造工程によって、上述の光学記録装置によるパターン露光と現像工程によって作製した凹凸パターンとは反転する凹凸パターンが形成された光学記録再生媒体製造用スタンパ、この場合いわゆるマザースタンパを形成し、更にこのマザースタンパから射出成形法又は2P法等によって、後述の実施例においては射出成形によりポリカーボネート等の光透過性樹脂より成る光学記録再生媒体用の基板を成形する。
【0074】
そして、成形した基板の厚さを1.1mmとし、その信号形成面に、図1において説明したように、Al合金等から成る光反射層4、ZnS−SiO2 等より成る第1の誘電体層5、GeSbTe合金等より成る相変化材料より成る記録層6、ZnS−SiO2 等より成る第2の誘電体層7、基板材料及び後述の保護層の材料に比して高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層8を順次スパッタリング等によって成膜し、高屈折率充填層8の上面が平坦化するまでプラズマエッチング等のエッチングを施す。その後、高屈折率充填層8上に、PSA等よりなる接着層9を介して熱可塑性樹脂シート等よりなる保護層19を被着する。
【0075】
このような製造工程を経て、図1において説明した、本発明構成による例えばDVRフォーマットの光学記録再生媒体が形成される。
【0076】
このようにして形成した光学記録再生媒体の凹凸パターンの再生特性の評価を、波長λ=406nm、開口数NA=0.85の光学系を備えた光学記録再生装置を用いて行う。この装置の模式的な構成を図4に示す。
【0077】
図4において、61は例えば波長λ=406nmの半導体レーザ等の光源を示し、ここから出射されたレーザビームは、コリメートレンズ62で平行光とされ、グレーティング63によって、0次光(主ビーム)及び±1次光(副ビーム)の3つのビームに分けられる。これらの3つのビーム(P偏光)は、偏光ビームスプリッタ64、1/4波長板65を円偏光として透過して、前述の図1において説明したように、開口数NA=0.85の対物レンズよりなる光ピックアップ66によって、光学記録再生媒体10の所定の記録トラック上に集光される。主ビームの中央のスポットは記録情報の記録再生に用いられ、副ビームの光スポットはトラッキングエラーの検出用に用いられる。68は光学記録再生媒体10を矢印bで示すように回転させる回転手段を示す。実線dは、光学記録再生媒体10の回転軸を示す。
【0078】
そして、光学記録再生媒体10からの反射光は、光ピックアップ66、1/4波長板65を再び経由して円偏光はS偏光になり偏光ビームスプリッタ64に反射され、組み合わせレンズ71に入射させる。
【0079】
組み合わせレンズ71に入射されたレーザ光は、レーザビームに非点収差を与えるレンズを介してフォトダイオード72に入射され、ビームの強度に応じた電気信号に変換され、サーボ信号(フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号)として、サーボ回路に出力される。フォトダイオード72は分割されたディテクタ73(A〜H)を有する。主ビームの戻り光はディテクタ73の中央部に位置する4分割ディテクタのA〜Dに入射し、副ビームの戻り光はディテクタ73の両側部に位置するE〜Hに入射する。
【0080】
ディテクタ73のA〜Hにより出力される信号A〜Hが、図示しないが所定の回路系において、以下のように加算減算処理されて所定の信号が出力される。この例においては、所定の間隔に配置して照射した上記3本のレーザ光を利用した差動プッシュプル(DPP:Differntial Push−Pull)方式によりトラッキングサーボ信号を得た。即ち、
光学記録再生媒体の再生信号=(A+B+C+D)
ピット再生信号(例えばEFM信号)=(A+B+C+D)
プッシュプル信号=(B+C)−(A+D)
差動プッシュプル(トラッキングサーボ)信号=(B+C)−(A+D)−k((E−F)+(G−H))
(kは所定の定数)
とする。
このような構成による光学記録再生装置により、以下の実施例において、上述の本発明構成による光学記録再生媒体の評価を行った。
【0081】
【実施例】
以下の例においては、高屈折率充填層8の材料を変えたタイプ1からタイプ5の構成において、グルーブの深さを上述の感光層12の厚さを変化させることによって、12nmから34nmまで変化させた。以下の例では、12nmとする光学記録再生媒体A、16nmとする光学記録再生媒体B、20nmとする光学記録再生媒体C、24nmとする光学記録再生媒体D、29nmとする光学記録再生媒体E、34nmとする光学記録再生媒体Fをそれぞれ形成した。
タイプ1から4における高屈折率充填層の材料及び屈折率nは以下の通りである。タイプ5は高屈折率充填層を設けない構成とした。
【0082】
タイプ1:酸化チタン(TiO2 )、n=2.6
タイプ2:硫化亜鉛(ZnS)、n=2.3
タイプ3:酸化ネオジム(Nd2 O3 )、n=2.0
タイプ4:シアニン系色素で反応性の低い色素、n=2.4
【0083】
なお、タイプ1〜3の高屈折率充填層は、高周波スパッタ装置により、真空度を10−3Pa程度とした後、1〜3Pa程度のArガス雰囲気中で各材料をターゲットとし、出力1〜3KWとしてその成膜を行った。各列共に、成膜時間を調整してその膜厚を調整し、各深さのグルーブを埋め込むよう第2の誘電体層上に被着形成した。
【0084】
また、タイプ4のシアニン系色素としては、下記の化1に示す材料を用いた。またその膜厚は、フッ素アルコールを溶媒として用いて粘度を調整し、スピンコートの回転数を調整してグルーブを埋め込むよう第2の誘電体層上に被着形成した。
【0085】
【化1】
【0086】
なお、上記化1において、R1 及びR2 は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基を表わし、R3 は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜4のアルコキシアルキル基又は炭素原子数1〜4のフッ化アルキル基を表わし、X1 − はアニオンを表わす。上記のタイプ4においては、以下に示す材料とした。
【0087】
R1 :CH3
R2 :CH3
R3 :n−C4 H9
X1 − :Cl4 −
上述のタイプ4においては、このシアニン色素とクエンチャーを溶質として、フッ素アルコールを溶媒として、液濃度2%〜5%程度に調節してシアニン色素溶液を作成した。
【0088】
塗布方法は以下の通りである。
先ずスピンコーターの載置台に基板を固定する。
その後載置台を回転させる。この時の回転数は300s−1(回/秒)から500s−1の間に維持する。
次に、上述のシアニン色素溶液を基板に滴下する。
そして回転数を1000s−1とした後、更に回転数を2000s−1とする。
【0089】
最後に回転数を4000s−1から5000s−1にして、1秒〜2秒程度保持する。停止後、基板を取り出し、乾燥後、接着層及び保護層を被着する。
上述の例においては、載置台の回転数を調節して膜厚の調整を行った。
【0090】
このような構成における光学記録再生媒体の各例を、上述の図4において説明した光学記録再生装置においてプッシュプル信号振幅を測定した。なお、トラックピッチは上述したように0.32μm、グルーブ幅は125nm程度であった。
各例におけるプッシュプル信号振幅量を、位相深さの指標となるλ/(d×n)(λ:再生用光の波長、d:グルーブ深さ、n:グルーブの凹凸を埋め込む媒質の屈折率)とともに、以下の表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
上記表1においてプッシュプル信号振幅が0.13以下の場合は安定なトラッキングサーボを行うことができなかった。すなわち、タイプ1の光学記録再生媒体F、タイプ3の光学記録再生媒体A、タイプ5の光学記録再生媒体A及びBである。その他の光学記録再生媒体の構成例では、プッシュプル信号振幅が十分であり、安定したトラッキングサーボを行うことができた。更にこれらの光学記録再生媒体、ウォブルグルーブのアドレス情報を安定に再生することができた。
【0093】
この結果から明らかなように、高屈折率充填層を設けない従来構成の光学記録再生媒体においては、グルーブの深さが20nmより小さくなると十分なプッシュプル信号振幅が得られず、安定したトラッキングサーボが行えないが、高屈折率充填層を設ける本発明構成によれば、グルーブ深さが20nm以下となり、すなわちλ/13n以下の段差になっても十分なプッシュプル信号振幅が得られ、安定したトラッキングサーボを行うことができることがわかる。特に高屈折率充填層の材料を屈折率2.0以上とすることによって、良好なトラッキングサーボを行うことができることがわかる。
【0094】
なお、タイプ3の光学記録再生媒体Aにおいては、十分なプッシュプル信号振幅が得られていないが、このようにグルーブの深さを12nmと浅くする場合は、屈折率が2.3以上の材料の高屈折率充填層を設ける場合に、十分なプッシュプル信号振幅が得られることがわかる。
また、深さが24nm以上の場合においては、高屈折率充填層を設けない従来構成のタイプ5においても、十分なプッシュプル信号振幅が得られることがわかる。
したがって、本発明においては、グルーブの深さが12nm以上20nm以下とするときに、有意な効果を得ることができることがわかる。
【0095】
次に、上述の各例において、トラッキングサーボ及びウォブルグルーブのアドレス情報を安定に再生できる領域、すなわち上記表1においてプッシュプル信号振幅が0.14以上得られた領域のグルーブ上に、1−7変調で記録再生を行い、ジッターを測定した。この結果を以下の表2に示す。
【0096】
【表2】
[イメージ]
【0097】
上記表2において、「−」は十分なプッシュプル信号が得られず、ジッターを測定できないことを示す。
【0098】
この結果からわかるように、DVR型構成の光学記録再生媒体において、グルーブの深さが小さいほうが、ジッター等の記録再生特性が良好となることが明らかである。このことから、DVR、Blu−ray Disc等の高密度光学記録再生媒体においては、グルーブの深さを25nm以下とすることが望ましいことがわかる。
【0099】
すなわち、上記表2の結果から、光学記録再生媒体E、Fの測定を行うことができた領域では、ジッターが10%以上であり、良好な記録再生特性を実現することは難しいことがわかる。
これに対し、光学記録再生媒体A〜Dの安定なトラッキングサーボを得ることができたタイプにおいて、ジッターが9%程度以下であり、良好な記録再生特性を実現できた。
また、タイプ5の従来構成において、光学記録再生媒体C及びDのみが良好な記録再生特性を実現することができたが、本発明構成の高屈折率充填層を有するタイプ1,2,3及び4は更に光学記録再生媒体A及びBにおいても、安定なトラッキングサーボを得た領域で7% 台の比較的低いジッターを実現することができた。つまり、グルーブの深さが20nmより小さい光学記録再生媒体においても、更に良好な記録再生特性を実現可能であることがわかる。
【0100】
前述したように、DVRのトラックピッチ0.32μmは、カットオフ周波数のトラックピッチ(0239μm)の4/3程度しかなく、従来必要とされた3/2未満(0.32/0.239=1.339)であり、充分なトラッキングサーボ信号振幅(プッシュプル信号振幅)が得られなかったが、本発明構成とすることによって、安定なトラッキングサーボを実現することができた。
【0101】
更に、グルーブ深さを20nm程度以下とする光学記録再生媒体においても、2.0以上の屈折率材料の高屈折率充填層を設けることによって、安定したトラッキングサーボを行うことができ、良好な記録再生特性を実現できた。
【0102】
なお、上述の例においては、グルーブについて再生特性を測定したものであるが、本発明を、図5に示すように、ピット2をグルーブ3に混在して設ける構成とする場合においても、同様の効果を得ることができるのはいうまでもない。
【0103】
尚、トラックピッチをカットオフ周波数に対応するトラックピッチの3/2倍以上とするときは、グルーブの深さを20nm程度以下とする必要がなく、充分なプッシュプル信号が得られることから、カットオフ周波数のトラックピッチの4/3以上3/2未満のトラックピッチとするときに、本発明による有意な効果が得られることがわかる。
【0104】
上述したように、本発明においては、ランドグルーブ記録方式を採る場合と同様に、トラック密度を従来の2倍に高密度化をはかり、グルーブの良好な再生特性を実現できた。読み取り面に近い側にグルーブをピットと混在して形成し、フォーカス点を変えることなく良好なピット信号の再生特性とグルーブの記録再生特性を両立できる光学記録再生媒体を提供することができる。
【0105】
以上本発明の実施の形態と実施例の各例を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されることなく、相変化材料による記録層等の各層の材料構成を変更するなど、本発明構成を逸脱しない範囲で種々の変形変更が可能であることはいうまでもない。
【0106】
また、情報としては記録情報に限定されることなく、信号の記録再生や或いは情報及び信号の記録再生両方の機能を有する光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置にも適用することができる。
【0107】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、少なくともグルーブを有する光学記録再生媒体において、グルーブの凹凸を埋め込んで、基板及び保護層の屈折率より高い屈折率材料の高屈折率充填層を設けることによって、グルーブの深さが記録再生特性を良好にするために比較的浅くされる場合においても、屈折率の高い高屈折率充填層を介して再生用光をグルーブに入射させることによって、光学的に光路差を補償することができて、再生用光の波長λと媒質の屈折率をnとしたときに、λ/8n程度にその深さを近づけることができ、安定なトラッキングサーボを可能とすることができる
【0108】
特に、高屈折率充填層を、屈折率が2.0以上の材料より構成することによって、プッシュプル信号振幅を十分大として、良好な記録再生特性を得ることができた。
【0109】
また、グルーブのトラックピッチがカットオフ周波数の4/3以上3/2未満とされる場合、または再生用光の波長λを405nm±10nm、対物レンズの開口数NAを0. 85±0.05とする場合において、DVRやBlu−ray Disc型の光学記録再生媒体におけるように、グルーブの深さを25nm程度以下としても、本発明によれば、高屈折率充填層を設けることによって光路差を最適化し、十分なプッシュプル信号振幅が得られるようにすることができ、記録再生特性の向上を図ることができる。
【0110】
更に、グルーブの少なくとも一部をウォブリンググルーブとする場合においても、本発明構成とすることによって、安定にトラッキングサーボを行って、ウォブル信号を安定に再生することができる。
また、グルーブと混在してピットが形成される場合においても、同様にグルーブと同程度に浅く形成されるピットの読み取りにあたって、高屈折率充填層を設けることによって光路差を補償することによって、その再生特性の向上をはかることができる。
【0111】
したがって、本発明によれば、高密度化と共に安定なトラッキングサーボ特性が得られ、良好な記録再生特性の光学記録再生媒体を得ることができて、高記録密度で記録再生特性に優れた光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学記録再生媒体の一例の要部の略線的拡大断面図である。
【図2】Aは光学記録再生媒体製造用スタンパの一例の製造工程図である。
Bは光学記録再生媒体製造用スタンパの一例の製造工程図である。
Cは光学記録再生媒体製造用スタンパの一例の製造工程図である。
【図3】光学記録装置の一例の構成図である。
【図4】光学記録再生装置の一例の構成図である。
【図5】光学記録再生媒体の一例の要部の略線的拡大平面図である。
【符号の説明】
1 基板、2 ピット、3 グルーブ、4 光反射層、5 第1の誘電体層、6記録層、7 第2の誘電体層、8 高屈折率充填層、9 接着層、10 光学記録再生媒体、11 原盤用基板、12 感光層、13 ピットパターン、13n 反転ピットパターン、14 グルーブパターン、14n 反転グルーブパターン、15 スタンパ、16 マザースタンパ、19 保護層、25 光源、30 第1の変調光学系、31 駆動用ドライバ、32 音響光学変調器、40 第2の変調光学系、41 駆動用ドライバ、42 音響光学変調器、45 移動光学テブル、47 ウェッジプリズム、48 音響光学偏向器、49 ウェッジプリズム、50 駆動用ドライバ、51 電圧制御発振器、52 対物レンズ、54 光ピックアップ 61 光源、62 コリメートレンズ、63 グレーティング、64 偏光ビームスプリッタ(PBS)、65 1/4波長板、66 光ピックアップ、67 磁気ヘッド、68 回転手段、70 偏光ビームスプリッタ、71 組み合わせレンズ、72 フォトダイオード、73 ディテクタ
Claims (14)
- 成形された基板上に少なくともグルーブが形成され、上記グルーブ上に少なくとも記録層及び保護層が形成されて成る光学記録再生媒体であって、
上記グルーブの凹凸を埋め込んで、上記基板及び上記保護層の屈折率に比して高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層が設けられて成ることを特徴とする光学記録再生媒体。 - 上記高屈折率充填層の屈折率が、2. 0以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学記録再生媒体。
- 上記グルーブのトラックピッチが、上記光学記録再生媒体の記録情報を再生する再生用光の波長λ及び対物レンズの開口数NAに対応するカットオフ周波数のトラックピッチの4/3以上3/2未満とされて成ることを特徴とする請求項1に記載の光学記録再生媒体。
- 上記光学記録再生媒体の記録情報を再生する再生用光の波長λが405nm±10nm、対物レンズの開口数NAが0. 85±0.05とされることを特徴とする請求項1に記載の光学記録再生媒体。
- 上記グルーブの深さが、12nm以上20nm以下とされて成ることを特徴とする請求項1に記載の光学記録再生媒体。
- 上記グルーブの少なくとも一部がウォブリンググルーブとされて成ることを特徴とする請求項1に記載の光学記録再生媒体。
- 上記基板上に、上記グルーブと混在してピットが形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の光学記録再生媒体。
- 成形された基板上に少なくともグルーブが形成され、上記グルーブ上に少なくとも記録層及び保護層が形成されて成る光学記録再生媒体を用いる光学記録再生装置であって、
上記光学記録再生媒体は、上記グルーブの凹凸を埋め込んで、上記基板及び上記保護層の屈折率に比して高い屈折率材料よりなる高屈折率充填層が設けられて成ることを特徴とする光学記録再生装置。 - 上記光学記録再生媒体の上記高屈折率充填層の屈折率が、2. 0以上であることを特徴とする請求項8に記載の光学記録再生装置。
- 上記光学記録再生媒体の上記グルーブのトラックピッチが、上記光学記録再生媒体の記録情報を再生する再生用光の波長λ及び対物レンズの開口数NAに対応するカットオフ周波数のトラックピッチの4/3以上3/2未満とされて成ることを特徴とする請求項8に記載の光学記録再生装置。
- 上記光学記録再生媒体の記録情報を再生する再生用光の波長λが405nm±10nm、対物レンズの開口数NAが0. 85±0.05とされることを特徴とする請求項8に記載の光学記録再生装置。
- 上記光学記録再生媒体の上記グルーブの深さが、12nm以上20nm以下とされて成ることを特徴とする請求項8に記載の光学記録再生装置。
- 上記光学記録再生媒体の上記グルーブの少なくとも一部がウォブリンググルーブとされて成ることを特徴とする請求項8
に記載の光学記録再生装置。 - 上記光学記録再生媒体の上記基板上に、上記グルーブと混在してピットが形成されて成る請求項8に記載の光学記録再生装置。
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|---|---|---|---|
| JP2002341377A JP2004178651A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002341377A JP2004178651A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004178651A true JP2004178651A (ja) | 2004-06-24 |
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ID=32703758
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002341377A Pending JP2004178651A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 光学記録再生媒体及びこれを用いた光学記録再生装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004178651A (ja) |
-
2002
- 2002-11-25 JP JP2002341377A patent/JP2004178651A/ja active Pending
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