JP2004181575A - レジノイド超砥粒ホイールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的薄手の肉厚を備えた砥石部を容易に成形できる、研磨性能及び耐用寿命に優れたレジノイド超砥粒ホイールの製造方法を提供する。
【解決手段】多数の超砥粒と硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とを混合する混合工程P1と、その混合工程P1により混合された流動性原料に含まれるその流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程P3と、その第1硬化工程P3により一部が硬化した半硬化原料に含まれる上記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程P6とを含むことから、上記第1硬化工程P3を経た半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5にて所定の形状に加工した後、上記第2硬化工程P6にて本硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易となり、その砥石部の砥石組織内に上記超砥粒を好適に分散させることができ、且つその砥石部に必要十分な耐熱性を付与できる。
【選択図】 図3
【解決手段】多数の超砥粒と硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とを混合する混合工程P1と、その混合工程P1により混合された流動性原料に含まれるその流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程P3と、その第1硬化工程P3により一部が硬化した半硬化原料に含まれる上記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程P6とを含むことから、上記第1硬化工程P3を経た半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5にて所定の形状に加工した後、上記第2硬化工程P6にて本硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易となり、その砥石部の砥石組織内に上記超砥粒を好適に分散させることができ、且つその砥石部に必要十分な耐熱性を付与できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の超砥粒が合成樹脂結合剤により相互に結合して形成された複数の砥石部が台金に固着されて成るレジノイド超砥粒ホイールの製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数の超砥粒が所定の結合剤により相互に結合して形成された複数の砥石部が台金に固着されて成る超砥粒ホイールが各分野で研削加工に多用されている。かかる超砥粒ホイールの一態様として、椀状(カップ状)を成す台金の端縁部に上記複数の砥石部が固着されて成る所謂カップ型超砥粒ホイールが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このカップ型超砥粒ホイールは、例えばシリコン、化合物半導体、ガラス、セラミックス、フェライト、水晶、石英、超硬合金等の硬質脆性材料の研磨加工に好適に用いられるものである。従来、かかる硬質脆性材料の研磨加工は、ワークと研磨定盤を摺接させつつその間に研磨粒子を含有するスラリ(泥漿)を供給して行うポリシング研磨加工が主流であったが、研磨加工に関与しない研磨粒子が多く不経済であることに加え、多量の廃棄物を生じさせることから、その代替技術としての上記カップ型超砥粒ホイールに期待がかけられている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−219377号公報
【0004】
ところで、前記多数の砥粒を相互に結合させる結合剤としては、合成樹脂結合剤(レジンボンド)、ガラス質結合剤(ビトリファイドボンド)、金属質結合剤(メタルボンド)、及び電着(電鋳)等が挙げられるが、前記硬質脆性材料の研磨加工に際して、比較的剛性の高いガラス質結合剤、金属質結合剤、及び電着ではスクラッチ等の不具合を発生させる可能性が高いことから、通常、比較的剛性の低い合成樹脂結合剤が用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般によく知られた粉体フェノール等の粉体樹脂を結合剤としたレジノイド超砥粒ホイールでは、その粉体樹脂の平均径が30μm程度と比較的大きいことから、例えば平均粒径10μm以下といった比較的微細な超砥粒を用いた場合、それら多数の超砥粒が好適に分散されず、所望の研磨性能が得られないという弊害があった。そこで、液体フェノール等の流動性樹脂を結合剤とすることが考えられるが、かかる流動性樹脂は揮発成分を多分に含んでいるため、成形に際して反りや変形が生じ易く実用には適さない。よって、粉体樹脂と流動性樹脂とを混合させた合成樹脂結合剤を用いることが多いが、それでも超砥粒の分散性及び成形性が若干犠牲になり、更には耐熱性に劣る合成樹脂結合剤では研磨加工時の発熱によって耐用寿命が短くなるという弊害を有していた。とりわけ、前記砥石部が管状(パイプ状)又は部分円筒状といった比較的薄手の肉厚(厚さ寸法)を備えている場合その形成は難しく、研磨性能及び耐用寿命の向上には限界があった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、比較的薄手の肉厚を備えた砥石部を容易に成形できる、研磨性能及び耐用寿命に優れたレジノイド超砥粒ホイールの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、多数の超砥粒が合成樹脂結合剤により相互に結合して形成された複数の砥石部が台金に固着されて成るレジノイド超砥粒ホイールの製造方法であって、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料として硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とを混合する混合工程と、その混合工程により混合された流動性原料に含まれる前記流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程と、その第1硬化工程により一部が硬化した半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程とを含むことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の効果】
このようにすれば、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料として硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とを混合する混合工程と、その混合工程により混合された流動性原料に含まれる前記流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程と、その第1硬化工程により一部が硬化した半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程とを含むことから、前記第1硬化工程を経た半硬化原料を、続く工程において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程において本硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易であることに加え、前記砥石部の砥石組織内に前記超砥粒を好適に分散させることができ、更に例えば熱硬化性樹脂を含むことでその砥石部に必要十分な耐熱性を付与できる。すなわち、比較的薄手の肉厚を備えた砥石部を容易に成形できる、研磨性能及び耐用寿命に優れたレジノイド超砥粒ホイールの製造方法を提供することができる。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記流動性樹脂は、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むものである。このようにすれば、前記第1硬化工程にて前記光硬化性樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く工程において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程にて前記熱硬化性樹脂を硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易であることに加え、その砥石部に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0010】
また、好適には、前記流動性樹脂は、硬化温度の異なる少なくとも2種類の熱硬化性樹脂を含むものである。このようにすれば、前記第1硬化工程にて比較的硬化温度の低い熱硬化性樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く工程において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程にて比較的硬化温度の高い熱硬化性樹脂を硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易であることに加え、その砥石部に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0011】
また、好適には、前記流動性樹脂は、ラジカル重合性樹脂及び/又はカチオン重合性樹脂を含むものであり、更に好適には、アクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含むものである。このようにすれば、前記流動性樹脂として、例えばアクリル酸エステル等のラジカル重合性樹脂と、エポキシ樹脂等のカチオン重合性樹脂とを用いることで、前記第1硬化工程にて光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く工程において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程にて熱カチオン重合反応によりエポキシ樹脂部分を硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易であることに加え、その砥石部に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0012】
また、好適には、前記流動性樹脂に含まれるラジカル重合性樹脂の割合は、50重量%以上95重量%以下の範囲内である。このようにすれば、前記第1硬化工程において光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂が硬化することで、好適に形状変形可能な必要十分な硬さを有する半硬化原料が得られるという利点がある。なお、前記流動性樹脂に含まれるラジカル重合性樹脂の割合が50重量%より小さい場合には前記半硬化原料の硬さが不十分となる一方、95重量%より大きい場合には前記半硬化原料が硬くなり過ぎ、何れの場合も形状変形が困難となる。
【0013】
また、好適には、前記レジノイド超砥粒ホイールは、椀状を成す台金の端縁部にそれぞれ管状を成す前記複数の砥石部が固着されて成るものである。このようにすれば、管状を成す砥石部の環状端部がワークの被加工面に好適に食い込むことで、前記超砥粒の平均粒径が比較的微細であっても優れた切れ味を示すレジノイド超砥粒ホイールを製造できるという利点がある。
【0014】
また、好適には、前記管状を成す砥石部は、2mmφ以上20mmφ以下の外径寸法と、2mm以上20mm以下の高さ寸法と、0.05mmt以上3mmt以下の径方向厚さ寸法とを備えたものであり、更に好適には、0.5mm以上50mm以下の相互間隔で前記台金に固着されたものである。このようにすれば、前記砥石部の環状端部がワークの被加工面に更に好適に食い込むという利点がある。
【0015】
また、好適には、前記管状を成す砥石部は、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の超砥粒層がその径方向に積層されて形成されたものである。このようにすれば、例えば摩耗し難いが研磨性能に劣る第1超砥粒層と、摩耗し易いが研磨性能に優れた第2超砥粒層とを交互に積層することで、前記砥石部延いては前記レジノイド超砥粒ホイールの研磨性能及び耐用寿命を更に向上させることができるという利点がある。
【0016】
また、好適には、前記レジノイド超砥粒ホイールは、椀状を成す台金の端縁部にそれぞれ部分円筒状を成す前記複数の砥石部が固着されて成るものである。このようにすれば、部分円筒状を成す砥石部の弧状端部がワークの被加工面に好適に食い込むことで、前記超砥粒の平均粒径が比較的微細であっても優れた切れ味を示すレジノイド超砥粒ホイールを製造できるという利点がある。
【0017】
また、好適には、前記混合工程は、その平均粒径が前記超砥粒の平均粒径の80%以下である球状の充填材を、その超砥粒と充填材とを合わせて前記流動性樹脂の3体積%以上100体積%以下の範囲内となるように混合するものである。このようにすれば、前記砥石部の砥石組織内に、前記超砥粒を更に好適に分散させられるという利点がある。
【0018】
また、好適には、前記超砥粒の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、前記充填材の平均粒径は、0.1μm以上1μm以下の範囲内である。このようにすれば、硬質脆性材料を更に好適に研磨加工し得るレジノイド超砥粒ホイールを製造できるという利点がある。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用されたレジノイド超砥粒ホイール(以下、単に超砥粒ホイールと称する)10を示す斜視図である。この図1に示すように、かかる超砥粒ホイール10は、例えばスチール又はアルミニウム合金等の金属材料、或いはエンジニアリングプラスチック等の合成樹脂材料から成り外径250mmφ程度の椀状(カップ状)を成す台金12と、その台金12の端縁部(環状面)14に固着されたそれぞれ管状(パイプ状)を成す複数(図1では34個)の砥石部16とから構成されている。また、上記台金12の底部中央には、研磨加工に際して図示しない所定の研磨装置の回転主軸に取り付けられるための取付穴18が貫通して設けられている。
【0021】
上記砥石部16は、例えばダイヤモンド質又はCBN質等から成り平均粒径が0.5μm以上10μm以下の範囲内である多数の超砥粒が、後述する所定の合成樹脂結合剤により相互に結合して形成されたものである。また、好適には、平均粒径が上記超砥粒の平均粒径の80%以下すなわち0.1μm以上1μm以下の範囲内であるシリカ質又はアルミナ質等から成る球状の充填材(フィラ)を含有するものである。図2は、かかる砥石部16を拡大して示す斜視図である。この図2に示すように、上記砥石部16は、好適には、2mmφ以上20mmφ以下の外径寸法Rと、2mm以上20mm以下の高さ寸法hと、0.05mmt以上3mmt以下の径方向厚さ寸法tとを備えたものであり、更に好適には、0.5mm以上50mm以下の相互間隔で前記台金12に例えばエポキシ樹脂系接着剤等により固着されたものである。
【0022】
以上のように構成された前記超砥粒ホイール10は、前記取付穴18において所定の研磨装置の回転主軸に同軸となるように取り付けられ、その軸心Sまわりに回転駆動させられることで、前記砥石部16の環状端部20により研磨作用面が構成され、その研磨作用面により図示しないワークを研磨加工する所謂平面研磨用カップ型ホイールである。この超砥粒ホイール10は、好適には、例えばシリコン、化合物半導体、ガラス、セラミックス、フェライト、水晶、石英、超硬合金等の硬質脆性材料の研磨加工に用いられるものである。
【0023】
図3は、本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法を説明する工程図である。この図3に示すように、先ず、混合工程P1において、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料である流動性樹脂とが混合・撹拌されて流動性(ペースト状)原料とされる。この合成樹脂結合剤の原料である流動性樹脂は、硬化条件(架橋条件)の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂から成るものであり、例えば光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むもの、或いは硬化温度の異なる少なくとも2種類の熱硬化性樹脂を含むものである。この混合工程P1においては、必要に応じて所定のカチオン重合触媒等が添加される。
【0024】
ここで、好適には、上記流動性樹脂は、ラジカル重合性樹脂及び/又はカチオン重合性樹脂を含むものであり、更に好適には、アクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含むものである。具体的には、硬化温度の異なる少なくとも2種類のカチオン重合性樹脂例えば環状脂肪族エポキシ樹脂及びグリシジルエーテル樹脂を含むものである。これらは何れも熱硬化性樹脂であるが、カチオン重合性に優劣を有していることで硬化温度が異なる。すなわち、比較的カチオン重合性に優れた環状脂肪族エポキシ樹脂の硬化温度は120℃程度であり、比較的カチオン重合性に劣るグリシジルエーテル樹脂の硬化温度は180℃程度である。
【0025】
また、好適には、前記混合工程P1において、前記流動性樹脂に対する超砥粒の割合が3体積%以上100体積%以下、前記流動性原料全体に対する流動性樹脂の割合が50体積%以上95体積%以下となるように、投入される原料の体積割合が予め定められる。また、必要に応じて前記流動性樹脂に対して1体積%以上97体積%以下の前記充填材が適宜添加される。すなわち、好適には、前記超砥粒と充填材とを合わせて前記流動性樹脂の3体積%以上100体積%以下の範囲内とされる。
【0026】
前記混合工程P1にて混合・撹拌された前記流動性原料は、続く圧延工程P2において、圧延加工されることで薄手板状に形成される。具体的には、剥離剤による表面処理が施された厚さ50μmt程度の1対のPETシート相互間に、10g程度の前記流動性原料が挟み入れられて圧延加工されることで、表面積250mm2 ×厚さ200μmt程度に引き延ばされる。
【0027】
上記圧延工程P2にて薄手板状に引き延ばされた流動性原料には、続く第1硬化工程P3において、所定の第1温度T1 により熱処理が施され、前記流動性樹脂の一部が硬化させられて半硬化原料とされる。具体的には、120℃程度の第1温度T1 にて1時間保持の熱処理が施されることで、前記流動性原料に含まれる環状脂肪族エポキシ樹脂が硬化させられ、所定の定形性を有しつつも切断・曲げ等の変形が容易な厚さ200μmt程度の薄手板状の半硬化原料とされる。ここで、前記流動性原料に含まれるグリシジルエーテル樹脂は比較的カチオン重合性に劣ることから、上記第1温度T1 にて1時間保持といった比較的低温・短時間の熱処理では硬化されないのである。
【0028】
上記第1硬化工程P3にて前記流動性樹脂の一部が硬化させられた半硬化原料は、前記PETシートから剥離させられた後、続く第1切断工程P4において、例えば20mm×75mm程度の矩形状に切断される。更に続く巻取工程P5において、例えば4mmφ×20mm程度の円柱状樹脂材に10mm程度ずらして巻き取られる。
【0029】
上記巻取工程P5にて円柱状樹脂材に巻き取られた半硬化原料には、続く第2硬化工程P6において、所定の第2温度T2 により熱処理が施され、前記流動性樹脂の残部すなわち前記半硬化原料に含まれる流動性樹脂の略全てが硬化させられる。具体的には、180℃程度の第2温度T2 にて3時間保持の熱処理が施されることで、前記流動性原料に含まれるグリシジルエーテル樹脂が硬化させられた後、続く第2切断工程P7において、上記円柱状樹脂から引き抜かれて所定の長さ寸法に切断されることにより、図2に示すような砥石部16として形成される。
【0030】
以上のようにして形成された前記複数の砥石部16が、固着工程P8において、前記台金12の端縁部14に例えばエポキシ樹脂系接着剤等により固着された後、仕上工程P9において、所定の切削加工等により形状が整えられることで、図1に示すような超砥粒ホイール10が製造される。
【0031】
前述の混合工程P1において混合される前記流動性樹脂は、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むもの例えば光硬化性を示すラジカル重合性樹脂及び熱硬化性を示すカチオン重合性樹脂を含むものであってもよい。具体的には、アクリル酸エステル等のラジカル重合性樹脂及びエポキシ樹脂等のカチオン重合性樹脂等が好適に用いられる。この場合、前記第1硬化工程P3にて光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂が、前記第2硬化工程P6にて熱カチオン重合反応によりエポキシ樹脂部分がそれぞれ硬化させられる。また、好適には、前記流動性樹脂に含まれるラジカル重合性樹脂の割合は、50重量%以上95重量%以下の範囲内とされる。この割合が50重量%より小さい場合には後述する前記第1硬化工程P3にて光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂が硬化させられた半硬化原料の硬さが不十分となる一方、95重量%より大きい場合にはその半硬化原料が硬くなり過ぎ、何れの場合も形状変形が困難となる。
【0032】
また、前記混合工程P1乃至第1硬化工程P3において、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の半硬化原料が形成され、前記巻取工程P5において、それら複数種類の半硬化原料が交互に巻き取られることで、例えば図4に示すように、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の超砥粒層がその径方向に積層されて形成された砥石部22を形成するものであってもよい。前記超砥粒の平均粒径が比較的小さい、結合度が比較的高い、及び/又は集中度が比較的低い第1超砥粒層24は、摩耗し難いが研磨性能に劣る一方、超砥粒の平均粒径が比較的大きい、結合度が比較的低い、及び/又は集中度が比較的高い第2超砥粒層26は、摩耗し易いが研磨性能に優れたものとなる。そのように、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の超砥粒層がその径方向に積層されて形成された砥石部22では、上記第1超砥粒層24が設けられていることにより研磨加工に際して摩耗し難くなると共に、上記第2超砥粒層26が設けられていることにより優れた切れ味が保証されるのである。
【0033】
また、図5は、本発明のレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用された他の一例である超砥粒ホイール30を示す斜視図である。この図3に示すように、本実施例の超砥粒ホイール30は、椀状を成す台金32の端縁部にそれぞれ部分円筒状を成す複数(図5では12枚)の砥石部34が円筒状(リング状)に配列された状態で固着されて成る所謂平面研磨用カップ型ホイールであってもよい。この砥石部34は、前記超砥粒ホイール10に備えられた砥石部16と同様に、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料として硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とが混合させられ、第1温度T1 にてその流動性樹脂の一部が硬化させられた半硬化原料が切断及び変形され、第2温度T2 にてその半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部が硬化させられることで、例えば0.05mmt以上3mmt以下の径方向厚さ寸法を備えて成形され、上記台金32から10mm程度突き出されて設けられたものである。かかる砥石部34が設けられた超砥粒ホイール30によっても、前述の硬質脆性材料を好適に研磨加工できる。
【0034】
[実験例]
以下、本発明の効果を検証するために本発明者等が行った研磨試験について説明する。本発明者等は、先ず、平均粒径5μmのダイヤモンド砥粒を31.25体積%と、平均粒径0.6μmの球状アルミナを3.75体積%と、カーボンブラックを2.5体積%と、合成樹脂結合剤を62.5体積%とを原料として形成された外径6mmφ×内径4mmφ×高さ5mm程度の寸法を備えた管状の砥石部16が固着されて成る実施例試料1と、平均粒径3μmのダイヤモンド砥粒を31.25体積%と、平均粒径0.6μmの球状アルミナを3.75体積%と、カーボンブラックを2.5体積%と、合成樹脂結合剤を62.5体積%とを原料として形成された上記実施例試料1と同程度の寸法を備えた管状の砥石部16が固着されて成る実施例試料2と、上記実施例試料1と同様の原料から形成された厚さ3mmt程度の寸法を備えた砥石部34が台金32から5mm程度突き出された状態で固着されて成る実施例試料3と、上記実施例試料2と同様の原料から形成された上記実施例試料3と同程度の厚さ寸法を備えた砥石部34が台金32からその実施例試料3と同程度突き出された状態で固着されて成る実施例試料4とを製造した。ここで、上記カーボンブラックとしては、ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株)製のケッチェン・ブラックを、上記合成樹脂結合剤としては、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021Pを40体積部と、同社製のEHPE−3150CEを50体積部と、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−252を10体積部と、カチオン重合開始剤である三新化学工業(株)のサンエイドSI−110Lを3体積部とを混合して用いた。
【0035】
以上のように構成された実施例試料1乃至4と、平均粒径5μm程度のダイヤモンド砥粒がガラス質結合剤により結合されて形成された上記実施例試料1及び2と同程度の寸法を備えた管状の砥石部が固着されて成る比較例試料1と、平均粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒がガラス質結合剤により結合されて形成された上記実施例試料1及び2と同程度の寸法を備えた管状の砥石部が固着されて成る比較例試料2とを用いて研磨試験を行った。以下にその試験条件及び試験結果を示す。
【0036】
[試験条件]
砥石外径:250mmφ
研磨装置:平面研削盤
砥石周速:2000m/min
切込速度:20μm/min
切込み量:トータル40μm
ワーク材質:単結晶シリコンウェハ
研磨液:純水
【0037】
この試験結果から明らかなように、本発明の一実施例である実施例試料1乃至4は、超砥粒であるダイヤモンド砥粒の粒径が比較的大きな5μm程度であると比較的微細な3μm程度であるとを問わず、切れ味・ワーク面品位共に優れている。一方、従来技術により製造された比較例試料1及び2では十分なワーク面品位が得られず、正常な研磨加工を行うことができないことが確認された。すなわち、本発明の適用された超砥粒ホイールによれば、従来の超砥粒ホイールでは不可能だった単結晶シリコンウェハのような硬質脆性材料の研磨加工を好適に行い得ることが検証された。
【0038】
このように、本実施例によれば、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料として硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とを混合する混合工程P1と、その混合工程P1により混合された流動性原料に含まれる前記流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程P3と、その第1硬化工程P3により一部が硬化した半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程P6とを含むことから、前記第1硬化工程P3を経た半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程P6において本硬化させることで、比較的薄手の砥石部16であっても成形が容易であることに加え、その砥石部16の砥石組織内に前記超砥粒を好適に分散させることができ、更に例えば熱硬化性樹脂を含むことでその砥石部16に必要十分な耐熱性を付与できる。すなわち、比較的薄手の肉厚を備えた砥石部16を容易に成形できる、研磨性能及び耐用寿命に優れた超砥粒ホイール10の製造方法を提供することができる。
【0039】
また、前記流動性樹脂は、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むものであるため、前記第1硬化工程P3にて前記光硬化性樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程P6にて前記熱硬化性樹脂を硬化させることで、比較的薄手の砥石部16であっても成形が容易であることに加え、その砥石部16に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0040】
また、前記流動性樹脂は、硬化温度の異なる少なくとも2種類の熱硬化性樹脂を含むものであるため、前記第1硬化工程P3にて比較的硬化温度の低い熱硬化性樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程P6にて比較的硬化温度の高い熱硬化性樹脂を硬化させることで、比較的薄手の砥石部16であっても成形が容易であることに加え、その砥石部16に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0041】
また、前記流動性樹脂は、ラジカル重合性樹脂及び/又はカチオン重合性樹脂を含むものであるため、前記流動性樹脂として、例えばアクリル酸エステル等のラジカル重合性樹脂と、エポキシ樹脂等のカチオン重合性樹脂とを用いることで、前記第1硬化工程P3にて光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程P6にて熱カチオン重合反応によりエポキシ樹脂部分を硬化させることで、比較的薄手の砥石部16であっても成形が容易であることに加え、その砥石部16に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0042】
また、前記流動性樹脂に含まれるラジカル重合性樹脂の割合は、50重量%以上95重量%以下の範囲内であるため、前記第1硬化工程P3において光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂が硬化することで好適に形状変形可能な必要十分な硬さを有する半硬化原料が得られるという利点がある。
【0043】
また、前記超砥粒ホイール10は、椀状を成す台金12の端縁部14にそれぞれ管状を成す前記複数の砥石部16が固着されて成るものであるため、管状を成す砥石部16の環状端部20がワークの被加工面に好適に食い込むことで、前記超砥粒の平均粒径が比較的微細であっても優れた切れ味を示す超砥粒ホイール10を製造できるという利点がある。
【0044】
また、前記管状を成す砥石部16は、2mmφ以上20mmφ以下の外径寸法Rと、2mm以上20mm以下の高さ寸法hと、0.05mmt以上3mmt以下の径方向厚さ寸法tとを備えたものであり、0.5mm以上50mm以下の相互間隔で前記台金12に固着されたものであるため、前記砥石部16の環状端部20がワークの被加工面に更に好適に食い込むという利点がある。
【0045】
また、前記混合工程P1は、その平均粒径が前記超砥粒の平均粒径の80%以下である球状の充填材を、その超砥粒と充填材とを合わせて前記流動性樹脂の3体積%以上100体積%以下の範囲内となるように混合するものであるため、前記砥石部16の砥石組織内に、前記超砥粒を更に好適に分散させられるという利点がある。
【0046】
また、前記超砥粒の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、前記充填材の平均粒径は、0.1μm以上1μm以下の範囲内であるため、硬質脆性材料を更に好適に研磨加工し得る前記超砥粒ホイール10を製造できるという利点がある。
【0047】
また、前記管状を成す砥石部22は、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の超砥粒層がその径方向に積層されて形成されたものであるため、例えば摩耗し難いが研磨性能に劣る第1超砥粒層24と、摩耗し易いが研磨性能に優れた第2超砥粒層26とを交互に積層することで、前記砥石部22延いては前記超砥粒ホイール10の研磨性能及び耐用寿命を更に向上させることができるという利点がある。
【0048】
また、前記超砥粒ホイール30は、椀状を成す台金32の端縁部にそれぞれ部分円筒状を成す前記複数の砥石部34が固着されて成るものであるため、部分円筒状を成す砥石部34の弧状端部がワークの被加工面に好適に食い込むことで、前記超砥粒の平均粒径が比較的微細であっても優れた切れ味を示す超砥粒ホイール30を製造できるという利点がある。
【0049】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0050】
例えば、図6は、本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用された更に別の一例である超砥粒ホイール40を示す斜視図である。本発明は、図1又は図5に示すような椀状の台金12又は32の端縁部に前記複数の砥石部16又は34が固着されて成る平面研磨用カップ型ホイールに限られず、例えばこの図6に示すように、円板状の台金42の平面部44にそれぞれ管状を成す複数(図6では72個)の砥石部16が固着されて成る平面研磨用ディスク型ホイールに適用されてもよい。すなわち、本発明は、比較的薄手の肉厚を備えた複数の砥石部が固着されて成る様々な態様の超砥粒ホイールに広く用いられるものである。
【0051】
また、前述の実施例では、前記混合工程P1において、前記超砥粒、合成樹脂結合剤、及び球状の充填材が混合されていたが、この球状の充填材に替えて或いはその球状の充填材と共に、例えばセラミックス、金属、又は金属化合物等から成る強化繊維を混合しても構わない。また、必要に応じて様々な添加剤が混合され得ることは言うまでもない。
【0052】
また、前述の実施例では、前記混合工程P1により混合された流動性原料に含まれる前記流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程P3及びその第1硬化工程P3により一部が硬化した半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程P6の二段階の硬化工程を含むものであったが、例えば三段階乃至それ以上の硬化工程を含むものであったも構わない。この場合、それぞれの硬化工程における硬化条件にて硬化する所定の流動性樹脂が前記混合工程P1において適宜混合される。
【0053】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用されたレジノイド超砥粒ホイールを示す斜視図である。
【図2】図1のレジノイド超砥粒ホイールに設けられる砥石部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法を説明する工程図である。
【図4】図1のレジノイド超砥粒ホイールに設けられる砥石部の他の一例を拡大して示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用されたレジノイド超砥粒ホイールの他の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用されたレジノイド超砥粒ホイールの更に別の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10、30、40:レジノイド超砥粒ホイール
12、32、42:台金
14:端縁部
16、22、34:砥石部
P1:混合工程
P3:第1硬化工程
P6:第2硬化工程
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の超砥粒が合成樹脂結合剤により相互に結合して形成された複数の砥石部が台金に固着されて成るレジノイド超砥粒ホイールの製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数の超砥粒が所定の結合剤により相互に結合して形成された複数の砥石部が台金に固着されて成る超砥粒ホイールが各分野で研削加工に多用されている。かかる超砥粒ホイールの一態様として、椀状(カップ状)を成す台金の端縁部に上記複数の砥石部が固着されて成る所謂カップ型超砥粒ホイールが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このカップ型超砥粒ホイールは、例えばシリコン、化合物半導体、ガラス、セラミックス、フェライト、水晶、石英、超硬合金等の硬質脆性材料の研磨加工に好適に用いられるものである。従来、かかる硬質脆性材料の研磨加工は、ワークと研磨定盤を摺接させつつその間に研磨粒子を含有するスラリ(泥漿)を供給して行うポリシング研磨加工が主流であったが、研磨加工に関与しない研磨粒子が多く不経済であることに加え、多量の廃棄物を生じさせることから、その代替技術としての上記カップ型超砥粒ホイールに期待がかけられている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−219377号公報
【0004】
ところで、前記多数の砥粒を相互に結合させる結合剤としては、合成樹脂結合剤(レジンボンド)、ガラス質結合剤(ビトリファイドボンド)、金属質結合剤(メタルボンド)、及び電着(電鋳)等が挙げられるが、前記硬質脆性材料の研磨加工に際して、比較的剛性の高いガラス質結合剤、金属質結合剤、及び電着ではスクラッチ等の不具合を発生させる可能性が高いことから、通常、比較的剛性の低い合成樹脂結合剤が用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般によく知られた粉体フェノール等の粉体樹脂を結合剤としたレジノイド超砥粒ホイールでは、その粉体樹脂の平均径が30μm程度と比較的大きいことから、例えば平均粒径10μm以下といった比較的微細な超砥粒を用いた場合、それら多数の超砥粒が好適に分散されず、所望の研磨性能が得られないという弊害があった。そこで、液体フェノール等の流動性樹脂を結合剤とすることが考えられるが、かかる流動性樹脂は揮発成分を多分に含んでいるため、成形に際して反りや変形が生じ易く実用には適さない。よって、粉体樹脂と流動性樹脂とを混合させた合成樹脂結合剤を用いることが多いが、それでも超砥粒の分散性及び成形性が若干犠牲になり、更には耐熱性に劣る合成樹脂結合剤では研磨加工時の発熱によって耐用寿命が短くなるという弊害を有していた。とりわけ、前記砥石部が管状(パイプ状)又は部分円筒状といった比較的薄手の肉厚(厚さ寸法)を備えている場合その形成は難しく、研磨性能及び耐用寿命の向上には限界があった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、比較的薄手の肉厚を備えた砥石部を容易に成形できる、研磨性能及び耐用寿命に優れたレジノイド超砥粒ホイールの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、多数の超砥粒が合成樹脂結合剤により相互に結合して形成された複数の砥石部が台金に固着されて成るレジノイド超砥粒ホイールの製造方法であって、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料として硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とを混合する混合工程と、その混合工程により混合された流動性原料に含まれる前記流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程と、その第1硬化工程により一部が硬化した半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程とを含むことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の効果】
このようにすれば、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料として硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とを混合する混合工程と、その混合工程により混合された流動性原料に含まれる前記流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程と、その第1硬化工程により一部が硬化した半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程とを含むことから、前記第1硬化工程を経た半硬化原料を、続く工程において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程において本硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易であることに加え、前記砥石部の砥石組織内に前記超砥粒を好適に分散させることができ、更に例えば熱硬化性樹脂を含むことでその砥石部に必要十分な耐熱性を付与できる。すなわち、比較的薄手の肉厚を備えた砥石部を容易に成形できる、研磨性能及び耐用寿命に優れたレジノイド超砥粒ホイールの製造方法を提供することができる。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記流動性樹脂は、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むものである。このようにすれば、前記第1硬化工程にて前記光硬化性樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く工程において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程にて前記熱硬化性樹脂を硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易であることに加え、その砥石部に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0010】
また、好適には、前記流動性樹脂は、硬化温度の異なる少なくとも2種類の熱硬化性樹脂を含むものである。このようにすれば、前記第1硬化工程にて比較的硬化温度の低い熱硬化性樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く工程において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程にて比較的硬化温度の高い熱硬化性樹脂を硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易であることに加え、その砥石部に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0011】
また、好適には、前記流動性樹脂は、ラジカル重合性樹脂及び/又はカチオン重合性樹脂を含むものであり、更に好適には、アクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含むものである。このようにすれば、前記流動性樹脂として、例えばアクリル酸エステル等のラジカル重合性樹脂と、エポキシ樹脂等のカチオン重合性樹脂とを用いることで、前記第1硬化工程にて光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く工程において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程にて熱カチオン重合反応によりエポキシ樹脂部分を硬化させることで、比較的薄手の砥石部であっても成形が容易であることに加え、その砥石部に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0012】
また、好適には、前記流動性樹脂に含まれるラジカル重合性樹脂の割合は、50重量%以上95重量%以下の範囲内である。このようにすれば、前記第1硬化工程において光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂が硬化することで、好適に形状変形可能な必要十分な硬さを有する半硬化原料が得られるという利点がある。なお、前記流動性樹脂に含まれるラジカル重合性樹脂の割合が50重量%より小さい場合には前記半硬化原料の硬さが不十分となる一方、95重量%より大きい場合には前記半硬化原料が硬くなり過ぎ、何れの場合も形状変形が困難となる。
【0013】
また、好適には、前記レジノイド超砥粒ホイールは、椀状を成す台金の端縁部にそれぞれ管状を成す前記複数の砥石部が固着されて成るものである。このようにすれば、管状を成す砥石部の環状端部がワークの被加工面に好適に食い込むことで、前記超砥粒の平均粒径が比較的微細であっても優れた切れ味を示すレジノイド超砥粒ホイールを製造できるという利点がある。
【0014】
また、好適には、前記管状を成す砥石部は、2mmφ以上20mmφ以下の外径寸法と、2mm以上20mm以下の高さ寸法と、0.05mmt以上3mmt以下の径方向厚さ寸法とを備えたものであり、更に好適には、0.5mm以上50mm以下の相互間隔で前記台金に固着されたものである。このようにすれば、前記砥石部の環状端部がワークの被加工面に更に好適に食い込むという利点がある。
【0015】
また、好適には、前記管状を成す砥石部は、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の超砥粒層がその径方向に積層されて形成されたものである。このようにすれば、例えば摩耗し難いが研磨性能に劣る第1超砥粒層と、摩耗し易いが研磨性能に優れた第2超砥粒層とを交互に積層することで、前記砥石部延いては前記レジノイド超砥粒ホイールの研磨性能及び耐用寿命を更に向上させることができるという利点がある。
【0016】
また、好適には、前記レジノイド超砥粒ホイールは、椀状を成す台金の端縁部にそれぞれ部分円筒状を成す前記複数の砥石部が固着されて成るものである。このようにすれば、部分円筒状を成す砥石部の弧状端部がワークの被加工面に好適に食い込むことで、前記超砥粒の平均粒径が比較的微細であっても優れた切れ味を示すレジノイド超砥粒ホイールを製造できるという利点がある。
【0017】
また、好適には、前記混合工程は、その平均粒径が前記超砥粒の平均粒径の80%以下である球状の充填材を、その超砥粒と充填材とを合わせて前記流動性樹脂の3体積%以上100体積%以下の範囲内となるように混合するものである。このようにすれば、前記砥石部の砥石組織内に、前記超砥粒を更に好適に分散させられるという利点がある。
【0018】
また、好適には、前記超砥粒の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、前記充填材の平均粒径は、0.1μm以上1μm以下の範囲内である。このようにすれば、硬質脆性材料を更に好適に研磨加工し得るレジノイド超砥粒ホイールを製造できるという利点がある。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用されたレジノイド超砥粒ホイール(以下、単に超砥粒ホイールと称する)10を示す斜視図である。この図1に示すように、かかる超砥粒ホイール10は、例えばスチール又はアルミニウム合金等の金属材料、或いはエンジニアリングプラスチック等の合成樹脂材料から成り外径250mmφ程度の椀状(カップ状)を成す台金12と、その台金12の端縁部(環状面)14に固着されたそれぞれ管状(パイプ状)を成す複数(図1では34個)の砥石部16とから構成されている。また、上記台金12の底部中央には、研磨加工に際して図示しない所定の研磨装置の回転主軸に取り付けられるための取付穴18が貫通して設けられている。
【0021】
上記砥石部16は、例えばダイヤモンド質又はCBN質等から成り平均粒径が0.5μm以上10μm以下の範囲内である多数の超砥粒が、後述する所定の合成樹脂結合剤により相互に結合して形成されたものである。また、好適には、平均粒径が上記超砥粒の平均粒径の80%以下すなわち0.1μm以上1μm以下の範囲内であるシリカ質又はアルミナ質等から成る球状の充填材(フィラ)を含有するものである。図2は、かかる砥石部16を拡大して示す斜視図である。この図2に示すように、上記砥石部16は、好適には、2mmφ以上20mmφ以下の外径寸法Rと、2mm以上20mm以下の高さ寸法hと、0.05mmt以上3mmt以下の径方向厚さ寸法tとを備えたものであり、更に好適には、0.5mm以上50mm以下の相互間隔で前記台金12に例えばエポキシ樹脂系接着剤等により固着されたものである。
【0022】
以上のように構成された前記超砥粒ホイール10は、前記取付穴18において所定の研磨装置の回転主軸に同軸となるように取り付けられ、その軸心Sまわりに回転駆動させられることで、前記砥石部16の環状端部20により研磨作用面が構成され、その研磨作用面により図示しないワークを研磨加工する所謂平面研磨用カップ型ホイールである。この超砥粒ホイール10は、好適には、例えばシリコン、化合物半導体、ガラス、セラミックス、フェライト、水晶、石英、超硬合金等の硬質脆性材料の研磨加工に用いられるものである。
【0023】
図3は、本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法を説明する工程図である。この図3に示すように、先ず、混合工程P1において、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料である流動性樹脂とが混合・撹拌されて流動性(ペースト状)原料とされる。この合成樹脂結合剤の原料である流動性樹脂は、硬化条件(架橋条件)の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂から成るものであり、例えば光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むもの、或いは硬化温度の異なる少なくとも2種類の熱硬化性樹脂を含むものである。この混合工程P1においては、必要に応じて所定のカチオン重合触媒等が添加される。
【0024】
ここで、好適には、上記流動性樹脂は、ラジカル重合性樹脂及び/又はカチオン重合性樹脂を含むものであり、更に好適には、アクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含むものである。具体的には、硬化温度の異なる少なくとも2種類のカチオン重合性樹脂例えば環状脂肪族エポキシ樹脂及びグリシジルエーテル樹脂を含むものである。これらは何れも熱硬化性樹脂であるが、カチオン重合性に優劣を有していることで硬化温度が異なる。すなわち、比較的カチオン重合性に優れた環状脂肪族エポキシ樹脂の硬化温度は120℃程度であり、比較的カチオン重合性に劣るグリシジルエーテル樹脂の硬化温度は180℃程度である。
【0025】
また、好適には、前記混合工程P1において、前記流動性樹脂に対する超砥粒の割合が3体積%以上100体積%以下、前記流動性原料全体に対する流動性樹脂の割合が50体積%以上95体積%以下となるように、投入される原料の体積割合が予め定められる。また、必要に応じて前記流動性樹脂に対して1体積%以上97体積%以下の前記充填材が適宜添加される。すなわち、好適には、前記超砥粒と充填材とを合わせて前記流動性樹脂の3体積%以上100体積%以下の範囲内とされる。
【0026】
前記混合工程P1にて混合・撹拌された前記流動性原料は、続く圧延工程P2において、圧延加工されることで薄手板状に形成される。具体的には、剥離剤による表面処理が施された厚さ50μmt程度の1対のPETシート相互間に、10g程度の前記流動性原料が挟み入れられて圧延加工されることで、表面積250mm2 ×厚さ200μmt程度に引き延ばされる。
【0027】
上記圧延工程P2にて薄手板状に引き延ばされた流動性原料には、続く第1硬化工程P3において、所定の第1温度T1 により熱処理が施され、前記流動性樹脂の一部が硬化させられて半硬化原料とされる。具体的には、120℃程度の第1温度T1 にて1時間保持の熱処理が施されることで、前記流動性原料に含まれる環状脂肪族エポキシ樹脂が硬化させられ、所定の定形性を有しつつも切断・曲げ等の変形が容易な厚さ200μmt程度の薄手板状の半硬化原料とされる。ここで、前記流動性原料に含まれるグリシジルエーテル樹脂は比較的カチオン重合性に劣ることから、上記第1温度T1 にて1時間保持といった比較的低温・短時間の熱処理では硬化されないのである。
【0028】
上記第1硬化工程P3にて前記流動性樹脂の一部が硬化させられた半硬化原料は、前記PETシートから剥離させられた後、続く第1切断工程P4において、例えば20mm×75mm程度の矩形状に切断される。更に続く巻取工程P5において、例えば4mmφ×20mm程度の円柱状樹脂材に10mm程度ずらして巻き取られる。
【0029】
上記巻取工程P5にて円柱状樹脂材に巻き取られた半硬化原料には、続く第2硬化工程P6において、所定の第2温度T2 により熱処理が施され、前記流動性樹脂の残部すなわち前記半硬化原料に含まれる流動性樹脂の略全てが硬化させられる。具体的には、180℃程度の第2温度T2 にて3時間保持の熱処理が施されることで、前記流動性原料に含まれるグリシジルエーテル樹脂が硬化させられた後、続く第2切断工程P7において、上記円柱状樹脂から引き抜かれて所定の長さ寸法に切断されることにより、図2に示すような砥石部16として形成される。
【0030】
以上のようにして形成された前記複数の砥石部16が、固着工程P8において、前記台金12の端縁部14に例えばエポキシ樹脂系接着剤等により固着された後、仕上工程P9において、所定の切削加工等により形状が整えられることで、図1に示すような超砥粒ホイール10が製造される。
【0031】
前述の混合工程P1において混合される前記流動性樹脂は、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むもの例えば光硬化性を示すラジカル重合性樹脂及び熱硬化性を示すカチオン重合性樹脂を含むものであってもよい。具体的には、アクリル酸エステル等のラジカル重合性樹脂及びエポキシ樹脂等のカチオン重合性樹脂等が好適に用いられる。この場合、前記第1硬化工程P3にて光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂が、前記第2硬化工程P6にて熱カチオン重合反応によりエポキシ樹脂部分がそれぞれ硬化させられる。また、好適には、前記流動性樹脂に含まれるラジカル重合性樹脂の割合は、50重量%以上95重量%以下の範囲内とされる。この割合が50重量%より小さい場合には後述する前記第1硬化工程P3にて光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂が硬化させられた半硬化原料の硬さが不十分となる一方、95重量%より大きい場合にはその半硬化原料が硬くなり過ぎ、何れの場合も形状変形が困難となる。
【0032】
また、前記混合工程P1乃至第1硬化工程P3において、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の半硬化原料が形成され、前記巻取工程P5において、それら複数種類の半硬化原料が交互に巻き取られることで、例えば図4に示すように、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の超砥粒層がその径方向に積層されて形成された砥石部22を形成するものであってもよい。前記超砥粒の平均粒径が比較的小さい、結合度が比較的高い、及び/又は集中度が比較的低い第1超砥粒層24は、摩耗し難いが研磨性能に劣る一方、超砥粒の平均粒径が比較的大きい、結合度が比較的低い、及び/又は集中度が比較的高い第2超砥粒層26は、摩耗し易いが研磨性能に優れたものとなる。そのように、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の超砥粒層がその径方向に積層されて形成された砥石部22では、上記第1超砥粒層24が設けられていることにより研磨加工に際して摩耗し難くなると共に、上記第2超砥粒層26が設けられていることにより優れた切れ味が保証されるのである。
【0033】
また、図5は、本発明のレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用された他の一例である超砥粒ホイール30を示す斜視図である。この図3に示すように、本実施例の超砥粒ホイール30は、椀状を成す台金32の端縁部にそれぞれ部分円筒状を成す複数(図5では12枚)の砥石部34が円筒状(リング状)に配列された状態で固着されて成る所謂平面研磨用カップ型ホイールであってもよい。この砥石部34は、前記超砥粒ホイール10に備えられた砥石部16と同様に、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料として硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とが混合させられ、第1温度T1 にてその流動性樹脂の一部が硬化させられた半硬化原料が切断及び変形され、第2温度T2 にてその半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部が硬化させられることで、例えば0.05mmt以上3mmt以下の径方向厚さ寸法を備えて成形され、上記台金32から10mm程度突き出されて設けられたものである。かかる砥石部34が設けられた超砥粒ホイール30によっても、前述の硬質脆性材料を好適に研磨加工できる。
【0034】
[実験例]
以下、本発明の効果を検証するために本発明者等が行った研磨試験について説明する。本発明者等は、先ず、平均粒径5μmのダイヤモンド砥粒を31.25体積%と、平均粒径0.6μmの球状アルミナを3.75体積%と、カーボンブラックを2.5体積%と、合成樹脂結合剤を62.5体積%とを原料として形成された外径6mmφ×内径4mmφ×高さ5mm程度の寸法を備えた管状の砥石部16が固着されて成る実施例試料1と、平均粒径3μmのダイヤモンド砥粒を31.25体積%と、平均粒径0.6μmの球状アルミナを3.75体積%と、カーボンブラックを2.5体積%と、合成樹脂結合剤を62.5体積%とを原料として形成された上記実施例試料1と同程度の寸法を備えた管状の砥石部16が固着されて成る実施例試料2と、上記実施例試料1と同様の原料から形成された厚さ3mmt程度の寸法を備えた砥石部34が台金32から5mm程度突き出された状態で固着されて成る実施例試料3と、上記実施例試料2と同様の原料から形成された上記実施例試料3と同程度の厚さ寸法を備えた砥石部34が台金32からその実施例試料3と同程度突き出された状態で固着されて成る実施例試料4とを製造した。ここで、上記カーボンブラックとしては、ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株)製のケッチェン・ブラックを、上記合成樹脂結合剤としては、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021Pを40体積部と、同社製のEHPE−3150CEを50体積部と、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−252を10体積部と、カチオン重合開始剤である三新化学工業(株)のサンエイドSI−110Lを3体積部とを混合して用いた。
【0035】
以上のように構成された実施例試料1乃至4と、平均粒径5μm程度のダイヤモンド砥粒がガラス質結合剤により結合されて形成された上記実施例試料1及び2と同程度の寸法を備えた管状の砥石部が固着されて成る比較例試料1と、平均粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒がガラス質結合剤により結合されて形成された上記実施例試料1及び2と同程度の寸法を備えた管状の砥石部が固着されて成る比較例試料2とを用いて研磨試験を行った。以下にその試験条件及び試験結果を示す。
【0036】
[試験条件]
砥石外径:250mmφ
研磨装置:平面研削盤
砥石周速:2000m/min
切込速度:20μm/min
切込み量:トータル40μm
ワーク材質:単結晶シリコンウェハ
研磨液:純水
【0037】
この試験結果から明らかなように、本発明の一実施例である実施例試料1乃至4は、超砥粒であるダイヤモンド砥粒の粒径が比較的大きな5μm程度であると比較的微細な3μm程度であるとを問わず、切れ味・ワーク面品位共に優れている。一方、従来技術により製造された比較例試料1及び2では十分なワーク面品位が得られず、正常な研磨加工を行うことができないことが確認された。すなわち、本発明の適用された超砥粒ホイールによれば、従来の超砥粒ホイールでは不可能だった単結晶シリコンウェハのような硬質脆性材料の研磨加工を好適に行い得ることが検証された。
【0038】
このように、本実施例によれば、前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料として硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とを混合する混合工程P1と、その混合工程P1により混合された流動性原料に含まれる前記流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程P3と、その第1硬化工程P3により一部が硬化した半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程P6とを含むことから、前記第1硬化工程P3を経た半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程P6において本硬化させることで、比較的薄手の砥石部16であっても成形が容易であることに加え、その砥石部16の砥石組織内に前記超砥粒を好適に分散させることができ、更に例えば熱硬化性樹脂を含むことでその砥石部16に必要十分な耐熱性を付与できる。すなわち、比較的薄手の肉厚を備えた砥石部16を容易に成形できる、研磨性能及び耐用寿命に優れた超砥粒ホイール10の製造方法を提供することができる。
【0039】
また、前記流動性樹脂は、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むものであるため、前記第1硬化工程P3にて前記光硬化性樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程P6にて前記熱硬化性樹脂を硬化させることで、比較的薄手の砥石部16であっても成形が容易であることに加え、その砥石部16に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0040】
また、前記流動性樹脂は、硬化温度の異なる少なくとも2種類の熱硬化性樹脂を含むものであるため、前記第1硬化工程P3にて比較的硬化温度の低い熱硬化性樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程P6にて比較的硬化温度の高い熱硬化性樹脂を硬化させることで、比較的薄手の砥石部16であっても成形が容易であることに加え、その砥石部16に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0041】
また、前記流動性樹脂は、ラジカル重合性樹脂及び/又はカチオン重合性樹脂を含むものであるため、前記流動性樹脂として、例えばアクリル酸エステル等のラジカル重合性樹脂と、エポキシ樹脂等のカチオン重合性樹脂とを用いることで、前記第1硬化工程P3にて光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂を硬化させた半硬化原料を、続く第1切断工程P4及び巻取工程P5において所定の形状に加工した後、前記第2硬化工程P6にて熱カチオン重合反応によりエポキシ樹脂部分を硬化させることで、比較的薄手の砥石部16であっても成形が容易であることに加え、その砥石部16に必要十分な耐熱性を付与できるという利点がある。
【0042】
また、前記流動性樹脂に含まれるラジカル重合性樹脂の割合は、50重量%以上95重量%以下の範囲内であるため、前記第1硬化工程P3において光ラジカル重合反応によりアクリル樹脂が硬化することで好適に形状変形可能な必要十分な硬さを有する半硬化原料が得られるという利点がある。
【0043】
また、前記超砥粒ホイール10は、椀状を成す台金12の端縁部14にそれぞれ管状を成す前記複数の砥石部16が固着されて成るものであるため、管状を成す砥石部16の環状端部20がワークの被加工面に好適に食い込むことで、前記超砥粒の平均粒径が比較的微細であっても優れた切れ味を示す超砥粒ホイール10を製造できるという利点がある。
【0044】
また、前記管状を成す砥石部16は、2mmφ以上20mmφ以下の外径寸法Rと、2mm以上20mm以下の高さ寸法hと、0.05mmt以上3mmt以下の径方向厚さ寸法tとを備えたものであり、0.5mm以上50mm以下の相互間隔で前記台金12に固着されたものであるため、前記砥石部16の環状端部20がワークの被加工面に更に好適に食い込むという利点がある。
【0045】
また、前記混合工程P1は、その平均粒径が前記超砥粒の平均粒径の80%以下である球状の充填材を、その超砥粒と充填材とを合わせて前記流動性樹脂の3体積%以上100体積%以下の範囲内となるように混合するものであるため、前記砥石部16の砥石組織内に、前記超砥粒を更に好適に分散させられるという利点がある。
【0046】
また、前記超砥粒の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、前記充填材の平均粒径は、0.1μm以上1μm以下の範囲内であるため、硬質脆性材料を更に好適に研磨加工し得る前記超砥粒ホイール10を製造できるという利点がある。
【0047】
また、前記管状を成す砥石部22は、前記超砥粒の平均粒径、結合度、及び/又は集中度の異なる少なくとも2種類の超砥粒層がその径方向に積層されて形成されたものであるため、例えば摩耗し難いが研磨性能に劣る第1超砥粒層24と、摩耗し易いが研磨性能に優れた第2超砥粒層26とを交互に積層することで、前記砥石部22延いては前記超砥粒ホイール10の研磨性能及び耐用寿命を更に向上させることができるという利点がある。
【0048】
また、前記超砥粒ホイール30は、椀状を成す台金32の端縁部にそれぞれ部分円筒状を成す前記複数の砥石部34が固着されて成るものであるため、部分円筒状を成す砥石部34の弧状端部がワークの被加工面に好適に食い込むことで、前記超砥粒の平均粒径が比較的微細であっても優れた切れ味を示す超砥粒ホイール30を製造できるという利点がある。
【0049】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0050】
例えば、図6は、本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用された更に別の一例である超砥粒ホイール40を示す斜視図である。本発明は、図1又は図5に示すような椀状の台金12又は32の端縁部に前記複数の砥石部16又は34が固着されて成る平面研磨用カップ型ホイールに限られず、例えばこの図6に示すように、円板状の台金42の平面部44にそれぞれ管状を成す複数(図6では72個)の砥石部16が固着されて成る平面研磨用ディスク型ホイールに適用されてもよい。すなわち、本発明は、比較的薄手の肉厚を備えた複数の砥石部が固着されて成る様々な態様の超砥粒ホイールに広く用いられるものである。
【0051】
また、前述の実施例では、前記混合工程P1において、前記超砥粒、合成樹脂結合剤、及び球状の充填材が混合されていたが、この球状の充填材に替えて或いはその球状の充填材と共に、例えばセラミックス、金属、又は金属化合物等から成る強化繊維を混合しても構わない。また、必要に応じて様々な添加剤が混合され得ることは言うまでもない。
【0052】
また、前述の実施例では、前記混合工程P1により混合された流動性原料に含まれる前記流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程P3及びその第1硬化工程P3により一部が硬化した半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程P6の二段階の硬化工程を含むものであったが、例えば三段階乃至それ以上の硬化工程を含むものであったも構わない。この場合、それぞれの硬化工程における硬化条件にて硬化する所定の流動性樹脂が前記混合工程P1において適宜混合される。
【0053】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用されたレジノイド超砥粒ホイールを示す斜視図である。
【図2】図1のレジノイド超砥粒ホイールに設けられる砥石部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法を説明する工程図である。
【図4】図1のレジノイド超砥粒ホイールに設けられる砥石部の他の一例を拡大して示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用されたレジノイド超砥粒ホイールの他の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例であるレジノイド超砥粒ホイールの製造方法が適用されたレジノイド超砥粒ホイールの更に別の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10、30、40:レジノイド超砥粒ホイール
12、32、42:台金
14:端縁部
16、22、34:砥石部
P1:混合工程
P3:第1硬化工程
P6:第2硬化工程
Claims (7)
- 多数の超砥粒が合成樹脂結合剤により相互に結合して形成された複数の砥石部が台金に固着されて成るレジノイド超砥粒ホイールの製造方法であって、
前記多数の超砥粒と前記合成樹脂結合剤の原料として硬化条件の異なる少なくとも2種類の流動性樹脂とを混合する混合工程と、
該混合工程により混合された流動性原料に含まれる前記流動性樹脂の一部を硬化させる第1硬化工程と、
該第1硬化工程により一部が硬化した半硬化原料に含まれる前記流動性樹脂の残部を硬化させる第2硬化工程と
を、含むことを特徴とするレジノイド超砥粒ホイールの製造方法。 - 前記流動性樹脂は、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むものである請求項1のレジノイド超砥粒ホイールの製造方法。
- 前記流動性樹脂は、硬化温度の異なる少なくとも2種類の熱硬化性樹脂を含むものである請求項1のレジノイド超砥粒ホイールの製造方法。
- 前記流動性樹脂は、ラジカル重合性樹脂及び/又はカチオン重合性樹脂を含むものである請求項1から3の何れかのレジノイド超砥粒ホイールの製造方法。
- 前記流動性樹脂は、アクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含むものである請求項1から4の何れかのレジノイド超砥粒ホイールの製造方法。
- 前記流動性樹脂に含まれるラジカル重合性樹脂の割合は、50重量%以上95重量%以下の範囲内である請求項4又は5のレジノイド超砥粒ホイールの製造方法。
- 前記レジノイド超砥粒ホイールは、椀状を成す台金の端縁部にそれぞれ管状を成す前記複数の砥石部が固着されて成るものである請求項1から6の何れかのレジノイド超砥粒ホイールの製造方法。
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| KR101561864B1 (ko) | 2014-04-04 | 2015-10-22 | 김대욱 | 그라인더용 연마휠 및 그 제조방법 |
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-
2002
- 2002-12-03 JP JP2002351739A patent/JP2004181575A/ja active Pending
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