JP2004190713A - 緩み止めネジ - Google Patents

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成昭 佐野
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【課題】所望の緩み止め効果を有するとともに、金型の製造が容易な緩み止めネジを提供することにある。
【解決手段】雄ネジのネジ山14が、ネジ山本体15の上部に略台形の頂部16を上下2段に積み重ねた断面形状を有する。そして、前記頂部16の高さ寸法が回転方向に沿って一定の周期で増減する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は緩み止めネジ、特に、軸心方向の振動に対して優れた耐震性を備えた緩み止めネジに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、緩み止めネジとしては、例えば、偏向したネジ山を備えた緩み止めネジが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公昭48−13902号公報 図2
【0004】
前記緩み止めネジの雄ネジをナットの雌ネジに締め付けることにより、雄ネジの偏向したネジ山頂部を雌ネジの谷面に部分的に食い込ませて緩み止めするものである。
【0005】
しかし、前述の緩み止めネジをナットに締め付けた後、軸心方向に所定の周期で振動させると、緩みトルクが小さくなりやすく、所望の緩み止め効果が得られない。
【0006】
このため、断面形状が略おむすび形の軸部を有する緩み止めネジが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
【特許文献2】
特公昭57−44851号公報 図4〜図7
【0008】
しかし、前記緩み止めネジは、緩み止め効果が比較的小さく、転造で大量に製造しようとすると、軸部の断面形状が略おむすび形であるので、転造金型に高い加工精度を必要とし、その製造に手間がかかるという問題点があった。
【0009】
本発明は、前記問題点に鑑み、所望の緩み止め効果を有するとともに、金型の製造が容易な緩み止めネジを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる緩み止めネジは、前記目的を達成すべく、雄ネジのネジ山の頂部を、螺合される雌ネジの谷底部に部分的に食い込ませて緩み止めする緩み止めネジにおいて、前記雄ネジのネジ山が、ネジ山本体の上部に略台形の頂部を積み重ねた断面形状を有するとともに、前記頂部の高さ寸法を回転方向に沿って一定の周期で増減する構成としてある。
【0011】
したがって、本発明の緩み止めネジによれば、ネジ山本体に積み重ねた頂部が断面略台形であり、その天面縁部が雌ネジの谷底部に切り刃として作用する。このため、軸心方向に振動を与えると、前記天面縁部が雌ネジに切り込んでより一層深く食い込むことになり、緩み止め効果が向上する。さらに、本発明にかかる緩み止めネジの軸部の断面形状は従来例のように特殊な形状とする必要がなく、高い加工精度を必要とする場合であっても、従来例よりも金型の製造が容易になる。
【0012】
また、前記頂部の高さ寸法は1回転当たり複数回の周期で増減することが好ましく、前記頂部の山角度は、前記ネジ山本体の山角度よりも小さいことが好ましい。さらに、雄ネジのネジ山の最大径は、螺合する雌ネジの谷径よりも大きいことが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる一実施形態を図1ないし図5の添付図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態にかかる緩み止めネジ10は、大略、軸部11と頭部12とからなるものである。そして、前記軸部11は、断面円形の軸部本体13に1条のネジ山14を形成したものである。このネジ山14は、図2および図3に示すように、ネジ山本体15に断面略台形形の頂部16を上下2段に積み重ねた断面形状を有している。
【0014】
前記ネジ山本体15は、図2に示すように、山角度が60度であるとともに、その上部に一体に形成されている頂部16の山角度は30度である。特に、前記頂部16の天面17の両側縁部は鋭いエッジとなっている。さらに、前記頂部16の両側面18,18は前記天面17の巾寸法まで収束している(図2(A),図3)。
【0015】
前記頂部16の高さ寸法は、前記ネジ山本体15の高さ寸法の20%から40%、特に、30%前後であることが好ましい。20%未満であると、所望の緩み止め効果が得られないからであり、40%を越えると、螺合する際の抵抗が大きくなりすぎて捩じ込みにくくなるからである。
【0016】
また、頂部16の山角度は、雌ネジのネジ山に対して天面17の片側縁部が10度から20度の食い込み角度で切り込む角度とすることが好ましい。例えば、雄ネジのネジ山本体15の山角度が60度である場合には、前記頂部16の山角度は20度から40度とすることが好ましい。食い込み角度が10度未満であると、所望の緩み止め効果が得られないからであり、20度を越えると、捩じ込み抵抗が増大して捩じ込み作業が困難になるからである。
【0017】
また、前記頂部16の高さ寸法の周期は、1回転当たり2周期から8周期、特に、3周期から4周期であることが好ましい。2周期以上であると、軸部が2点で支持されることになり、片当たりすることがなくなるからであり、8周期を越えると、所望の締付破断トルクが得られないからである。
【0018】
前記緩み止めネジ10が螺合する雌ネジ20は、図4および図5に示すように、山角度60度のネジ山21を有するものであり、その谷底部22の内径は前記ネジ山14の最大直径よりも小さい。このため、前記ネジ山14を雌ネジ20に螺合すると、前記頂部16の一部、特に、天面17の片側縁部が切り刃となって雌ネジ20の谷底部22に切り込んで食い込む。特に、軸心方向に振動が加わると、その分力で前記天面17の片側縁部がより深く食い込むように作用する。このため、振動が加われば加わるほど、より一層緩みにくくなるという利点がある。
【0019】
したがって、雄ネジ10のネジ山14の最大高さ寸法は、螺合するナットの雌ネジに設けた谷底部の内径よりも0.3%から2.7%大きいことが好ましい。0.3%未満であると、所望の緩み止め効果が得られないからであり、2.7%を越えると、捩じ込み抵抗が増大して捩じ込み作業が困難になるからである。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
軸部の公称直径6.23mmから直径5.79mmまでの間が山角度30度のネジ山の頂部であり、前記頂部はネジ山高さの高低を一回転当たり3周期としてある。前記頂部の断面は略台形であり、その頂部の底部における幅寸法W(図2B)は0.23mmであった。さらに、直径5.79mmから直径4.83mmまでの間が山角度60度のネジ山本体である。前記軸部の長さは15mmであり、ネジ先端のテーパーネジ部を除くと、12mmが有効ネジ長さである。なお、ネジの座面径は直径9.0mmであり、その材質はSWCH38K材であり、硬度22〜32HRCであった。
【0021】
そして、前記サンプルを厚さ12mm、雌ネジの谷径6.08mmのアルミダイカスト製ナット(図示せず)に締付トルク80kg・cmで締め付けた。ついで、緩めるときの緩みトルクを測定した後、再度、締付トルク80kg・cmで締め付けた。ついで、軸心方向に振幅0.5mm、1800rpmの振動を5分間与えた後、緩めたときの緩みトルクを測定し、緩みトルク低下率を計算した。最後に、サンプルが破断するときの締付破断トルクも測定した。測定結果および計算結果を図6に示す。
【0022】
なお、緩みトルクはハンドトルクメータで測定した。また、緩みトルク低下率とは、振動を負荷する前の緩みトルクと振動を負荷した後の緩みトルクとの差を、振動を負荷する前の緩みトルクで除して百分率で表したものをいう。
【0023】
(比較例1)
実施例1と公称直径(軸部の公称直径が6.23mm)が同一である市販品のネジ(製造 Japan Fasteners Research & Engineering Co., Ltd.)をサンプルとし、実施例1と同一条件で振動前後の緩みトルク、および、締付破断トルクを測定し、緩みトルク低下率を計算した。ただし、比較例1は、山角度60度のネジ山本体に山角度30度の頂部を積み重ねた断面形状であり、前記頂部の底部における幅寸法は実施例1の幅寸法Wよりも狭い0.13mmであり、スマートなネジ山であった。測定結果および計算結果を図6に示す。
【0024】
図6から明らかなように、振動前の緩みトルクは実施例1が比較例1よりも若干大きい。さらに、振動後の緩みトルクは比較例1が減少しているのに対し、実施例1は増大しており、緩み低下率はマイナスとなっている。
したがって、振動前の緩みトルクは両者ほぼ同等であるが、軸心方向の振動を与えると、実施例1は緩みトルクが大きくなり、緩みにくくなるのに対し、比較例1は緩みやすくなることが判った。また、締付破断トルクも実施例1の方が比較例よりも大きいことから、実施例1は比較例1よりも緩みにくく、破壊しにくい緩み止めネジであることが判明した。
【0025】
(実施例2)
軸部の公称直径2.09mmから直径2.00mmまでの間が山角度30度の頂部であり、前記頂部はネジ山高さの高低を一回転当たり3周期としてある。前記頂部は断面台形状となっている。そして、直径2.00mmから1.4mmまでの間が山角度60度のネジ山本体である。軸部の長さは4.5mmであり、先端テーパー部の約1.5mm等を除き、2mmが有効ネジ部である。座面径は直径3.2mmであり、ネジの材質はSWCH16Aに浸炭焼入れしたものである。
そして、図7に示すように、前記サンプル30を、厚さ1.0mmのSPCC鋼板からなるライナー31を介し、アルミダイキャスト製板材32に設けた直径1.9mmの下穴に、3.0kgf・cmの締付トルクで締め付けた。ついで、振幅0.2mm、振動数1800rpmで軸心方向に10分間振動させた後、緩みトルクを測定した。測定結果を図8に示す。
【0026】
(比較例2)
軸部の直径2.04mm、軸部の断面形状がおむすび形の市販のタッピングネジ( TH ZMC2−1 2×4.5)をサンプルとし、下穴を1.8mmとした点を除き、実施例2と同一の条件で緩みトルクを測定した。測定結果を図8に示す。
【0027】
図8から明らかなように、実施例2が比較例2よりも緩みトルクが約16%も大きく、振動後であっても優れた緩み止め効果を保持していることが判った。
【0028】
雌ネジに螺合しても、単なる下穴に螺合しても、軸心方向に振動を与えると、実施例1,2が比較例1,2よりも緩みにくいことがわかった。これは、以下の理由と考えられる。
すなわち、本発明にかかる緩み止めネジの雄ネジを雌ネジに螺合すると、ネジ山本体の上部に設けた略台形の頂部、特に、その天面縁部が雌ネジの谷底部から切り刃のように切り込んで食い込む。そして、軸心方向に振動を負荷すると、その振動力が直径方向と軸心方向とに分力され、軸心方向の分力によって頂部の天面縁部が更に雌ネジに深く食い込むように作用し、より一層緩みにくくなるためであると考えられる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、ネジ山本体の上部に形成した断面略台形の頂部のうち、その天面の片側縁部が雌ネジの谷底部に切り込んで食い込んでいる。特に、軸心方向の振動が加われば加わるほど、振動力の軸心方向の分力で前記片側縁部が雌ネジの谷底部により深く食い込み、より一層緩みにくくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の緩み止めネジにかかる一実施形態を示し、図Aは平面図、図Bは正面図、図Cは図Bで示した軸部の断面図である。
【図2】本実施形態にかかる雄ネジのネジ山の一部を示し、図(A)は拡大平面図、図(B)は図(A)IV−IV線断面図である。
【図3】図2で示した雄ネジの斜視図である。
【図4】本実施形態にかかる雄ネジと雌ネジとの螺合状態を示す拡大断面図である。
【図5】本実施形態にかかる雄ネジの螺合状態を示し、図(A)は拡大正面図、図(B)は拡大断面図である。
【図6】実施例1および比較例1の実験結果を示す図表である。
【図7】実施例2および比較例2の実験条件を説明するための断面図である。
【図8】図7に基づく実験結果を示す図表である。
【符号の説明】
10…緩み止めネジ、11…軸部、12…頭部、13…軸本体、14…ネジ山、15…ネジ山本体、16…頂部、17…天面、18…側面、20…雌ネジ、21…ネジ山、22…谷底部。

Claims (4)

  1. 雄ネジのネジ山の頂部を、螺合される雌ネジの谷底部に部分的に食い込ませて緩み止めする緩み止めネジにおいて、
    前記雄ネジのネジ山が、ネジ山本体の上部に略台形の頂部を積み重ねた断面形状を有するとともに、前記頂部の高さ寸法を回転方向に沿って一定の周期で増減することを特徴とする緩み止めネジ。
  2. 前記頂部の高さ寸法が1回転当たり複数回の周期で増減することを特徴とする請求項1に記載の緩み止めネジ。
  3. 前記頂部の山角度が、前記ネジ山本体の山角度よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の緩み止めネジ。
  4. 雄ネジのネジ山の最大径が、螺合する雌ネジの谷径よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の緩み止めネジ。
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