JP2004196685A - 5−アルキル−γ−ブチロラクトンの製造方法 - Google Patents

5−アルキル−γ−ブチロラクトンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】式(1)
【化1】
Figure 2004196685

(式中、nは1以上の整数を示す)で表わされる5−アルキル−γ−ブチロラクトンを含む粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンをアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩と接触させる、5−アルキル−γ−ブチロラクトンの製造方法。
【効果】種々の反応により得られた粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンを簡便に効率的に精製し、臭気を低減させることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、香料やフレーバーとして化粧料や食品、あるいはラッカーおよびワニス等の溶剤への応用展開が図られている5−アルキル−γ−ブチロラクトンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
5−アルキル−γ−ブチロラクトンの製造方法としては、例えば、原料となるラクトンを少なくとも250℃以上に加熱して気化させ、酸と接触させる方法が特許文献1に、また、ε−カプロラクトンを250℃〜400℃で活性アルミナと接触させ、得られたヘキセン酸を強酸により閉環させる方法が特許文献2に、また、ε−カプロラクトン、水、ヨウ化水素酸、及び5%Ru/Cを混合し、200〜225℃で異性化する方法が特許文献3に開示されている。しかしながら、これらの方法で合成されたものには不純物、特に副生する酸が含まれる為に、匂いが悪く、このままでは使用できない。
その為、合成物からこれらの不純物を除去して実際に使用可能なものとする製造方法を確立することが求められていた。
特許文献4には1,4−ブタンジオールの脱水素反応から得られたγ−ブチロラクトンを、鉱酸で処理した後に、アルカリ金属の水酸化物や炭酸塩等のアルカリで中和して蒸留する精製方法が開示されているが、この方法では精製工程が3段階であり、操作が煩雑である。さらに特許文献5及び特許文献6には、上記方法は実質的には効果がないことが述べられている。
特許文献5及び特許文献6では、予め高沸点物または低沸点物を除去してアルカリ土類金属塩の水酸化物または酸化物を接触させて蒸留するγ−ブチロラクトンの精製方法が開示されている。
また特許文献7及び特許文献8には、5−アルキル−γ−ブチロラクトンをそれぞれ金属アルコキシド、金属酸化物または金属水酸化物で接触処理する方法が開示されている。
しかしながらアルカリ土類金属も含めた金属塩の水酸化物または酸化物、及び金属アルコキシドは強いアルカリ性を示す物質であり、取り扱いの上で安全性の問題や設備腐食の問題がある。またこれらの方法では処理する5−アルキル−γ−ブチロラクトンに含有される酸成分が酸価で5KOHmg/g未満程度であれば効果的であるが、酸価がそれ以上高いものにこの方法を適用しようとすると、増粘を引き起こし、これら金属アルコキシドや金属酸化物及び接触操作により生成する中和塩から5−アルキル−γ−ブチロラクトンを分離することが困難となる。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第3,786,069号
【特許文献2】
米国特許第3,944,572号
【特許文献3】
米国特許第4,611,069号
【特許文献4】
特公昭33−8662号公報
【特許文献5】
特公平6−88992号公報
【特許文献6】
特公平7−42279号公報
【特許文献7】
特開平11−209362号公報
【特許文献8】
特開平11−209363号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、種々の反応により得られた粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンを簡便に高収率で安価に精製し、臭気を低減させた5−アルキル−γ−ブチロラクトンを製造することにある。更に詳細には、酸価が5KOHmg/gを越えるような不純物量の多い粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンの臭気を低減させることにある。本明細書で粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンとは、精製して臭気を低減させる前の5−アルキル−γ−ブチロラクトンを云う。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、反応により得られた粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンを、悪臭原因物質である有機酸よりもpKaが大きく(弱酸)、分離容易で、かつ匂い物質とならない酸と強アルカリとからなる塩と接触させることにより、5−アルキル−γ−ブチロラクトンを分解せずに有機酸の中和を行うことで、臭気物質を除去した5−アルキル−γ−ブチロラクトンが得られることを見出し、更にこのような塩の中でも炭酸塩は、無臭で分離容易な炭酸ガスと水に分解することから、粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンの臭気物質除去に好適に用いられることを見出した。
すなわち、本発明は、式(1):
【0006】
【化4】
Figure 2004196685
【0007】
(式中、nは1以上の整数を示す)で表わされる5−アルキル−γ−ブチロラクトンを含む粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンを、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれた少なくとも1種の炭酸塩と接触させる、5−アルキル−γ−ブチロラクトンの製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
式(1)において、nは1〜12の整数であるのが好ましく、特に1〜2の整数であるのが好ましい。本発明が適用される式(1)で表される5−アルキル−γ−ブチロラクトンの例としては、5−メチル−γ−ブチロラクトン、5−エチル−γ−ブチロラクトン、5−プロピル−γ−ブチロラクトン等が挙げられ、特に5−エチル−γ−ブチロラクトンが好ましい。
また本発明が適用される粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンとしては、任意の合成法で得られたものを用いることができる。例えば、米国特許3,944,572号、米国特許第3,944,572号、又は米国特許第4,611,069号に開示された方法により合成されたものを用いることができる。
【0009】
またこの他に、式(2):
【0010】
【化5】
Figure 2004196685
【0011】
(式中、nは1以上の整数を示す)で表されるラクトン、または式(3):
【0012】
【化6】
Figure 2004196685
【0013】
(式中、lは2以上の整数、nは1以上の整数を示す)で表されるポリラクトンを、硫酸、スルホン類、スルホン酸残基を持つイオン交換樹脂、及びヘテロポリ酸から選ばれた少なくとも1種の酸と接触させることにより、異性化させて製造したものを用いることもできる。
【0014】
異性化反応に用いられる酸としては、硫酸;トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ラウリルベンゼンスルホン酸、オクタンスルホン酸、2−エチルヘキシルスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸等のスルホン酸類;Nafion(商品名、DuPont製)、ダイヤイオン(商品名、三菱化学製)等のスルホン酸残基を持つイオン交換樹脂;ヘテロポリ酸、及びヘテロポリ酸部分中和金属塩等が挙げられる。ここでいうヘテロポリ酸とは、「2種又はそれ以上のオキソ酸が縮合した多核構造のポリ酸」をいい〔理化学辞典(第4版)、岩波書店、1172頁参照〕、「骨格をつくる酸の縮合構造があって、その中心に少数個の他種原子(ヘテロ原子)が入っている」ものである。本発明においては、骨格をつくる酸としては、Mo、W及びVから選ばれた少なくとも1種を中心原子とする骨格酸であることが好ましく、ヘテロ原子としては周期表の3族、4族、5族、13族、14族及び15族の元素(例えばP、Si、As、Ge、B、Ti、Ce等)から選ばれた1種以上の元素を用いることが好ましい。ヘテロポリ酸中のヘテロ原子に対するMo、W及び/又はVの原子比は3〜12が好ましく、更に6〜12、特に9〜12が好ましい。これらへテロポリ酸の具体例としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、リンモリブドニオブ酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングストバナジン酸、ゲルマニウムタングステン酸、ホウタングステン酸、ホウモリブデン酸、ホウモリブドタングステン酸、ホウモリブドバナジン酸、ホウモリブドタングストバナジン酸、及び上記リンタングステン酸の部分中和金属塩等が挙げられる。また、リンタングステン酸の部分中和金属塩としてはCs塩が好ましい。好ましい酸は、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸等のハロゲン化アルキルスルホン酸類、硫酸、メタンスルホン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸、及びリンタングステン酸Cs塩である。価格と収率の観点から硫酸が特に好ましい。更に、ヘテロポリ酸類、又はハロゲン化アルキルスルホン酸類、特にリンタングステン酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸が低使用量でも高収率が得られるという観点から好ましい。これらの酸は単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよい。
【0015】
式(2)のラクトン又は式(3)のポリラクトンと酸との接触方法は、ラクトン又はポリラクトン中に酸を添加しながら行ってもよいし、逆に酸にラクトン又はポリラクトンを添加しながら行ってもよい。また、両者を少量ずつ添加しながら接触させても良い。
【0016】
このようにして得られた粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンはそのまま炭酸塩と接触処理することもできるが、高沸点の副生成物が存在する場合には炭酸塩接触中に増粘する場合もあり、この場合には炭酸塩接触前に蒸留操作によりこれら高沸点物を除去しておくことが望ましい。
本発明の製造方法における接触処理は、先に述べたような反応方法で得られた粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンに炭酸塩を加え、所望の温度で混合攪拌した後、蒸留を行うなどして分離することが望ましい。
【0017】
本発明に用いられる炭酸塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩が挙げられ、特にアルカリ金属炭酸塩が好ましい。なかでも炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが容易に入手可能であり、好ましい。これらは粉末で用いてもよいし、それぞれ水溶液の形態で用いることもできる。また、1種の炭酸塩でも、2種以上の炭酸塩を用いても良い。
【0018】
用いる炭酸塩の量は、処理される粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンの酸価によって決定される。炭酸塩の添加量としては、炭酸塩添加前の測定された粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンの酸価の1〜50KOHmg/g過剰分(即ち、粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンの酸価に1〜50KOHmg/gだけ加えた量)、更に20〜50KOHmg/g過剰分、特に30〜50KOHmg/g過剰分に相当する量を用いることが好ましい。酸価1KOHmg/g以上の過剰量の炭酸塩を用いることにより、酸成分を十分に除去することができ、また過剰分を50KOHmg/g未満とすることにより、5−アルキル−γ−ブチロラクトンの分解による収率の低下を防ぐことができる。粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンと炭酸塩の混合の温度及び時間は特に限定されないが、温度は80〜180℃、特に100〜150℃が好ましく、時間は0.1〜24時間、特に0.5〜3時間が好ましい。
処理される粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンに酸以外の不純物が含有されている場合は、炭酸塩と接触処理後、蒸留により不純物の分離を行うのが好ましい。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
製造例1
フラスコにε−カプロラクトン1600g(14.0mol)を入れ、そこへリンタングステン酸(H3PW1240・nH2O, n=約30、日本無機化学工業製)16g(4.68mmol)を加えた。リンタングステン酸添加後、185℃に加熱し、9時間熟成した。その後、140℃で3時間熟成した。得られた反応混合物を1H NMR法により内標定量した結果、5−エチル−γ−ブチロラクトンの収率は85%であった。さらに単蒸留を行い、純度92%の5−エチル−γ−ブチロラクトンを76%の収率で得た。この5−エチル−γ−ブチロラクトンの酸価は25.5KOHmg/gであった。
【0020】
製造例2
フラスコにポリカプロラクトン(重量平均分子量10000)を2000g入れ、そこへリンタングステン酸(H3PW1240・nH2O, n=約30)20g(5.85mmol)を加えた。リンタングステン酸添加後、160℃に加熱し、7時間熟成した。得られた反応混合物を1H NMR法により内標定量した結果、5−エチル−γ−ブチロラクトンの収率は70%であった。さらに単蒸留を行い、純度92%の5−エチル−γ−ブチロラクトンを65%の収率で得た。この5−エチル−γ−ブチロラクトンの酸価は16.5KOHmg/gであった。
【0021】
実施例1
製造例1で得られた粗5−エチル−γ−ブチロラクトン200gを、10段精留塔を備えたフラスコにとり、炭酸カリウム15.7g(酸価として63.8 KOHmg/gに相当)を加えて攪拌下、常圧、110℃で3h加熱を行った。その後、系内を真空引きして2.6kPaにして、還流比20で操作し、初留分15gを得、その後全留出操作で留出させた146gの後留分を得た。
初留分、後留分ともに酸価は0.1 KOHmg/g未満に低下していた。臭気評価を1名の評価者の官能評価により行ったところ、初留分は酸以外の不純物がふくまれやや臭気がしたものの、後留分は臭気が低減されていた。
【0022】
実施例2
製造例1で得られた粗5−エチル−γ−ブチロラクトン200gを10段精留塔を備えたフラスコにとり、炭酸ナトリウム10.5g(酸価として55.6KOHmg/gに相当)を加えて110℃で3時間加熱を行った。その後、系内を真空引きして2.6kPaにして、還流比20で操作し初留分20gを得、その後全留出操作で留出させた149gの後留分を得た。
初留分、後留分ともに酸価は0.1 KOHmg/g未満に低下していた。臭気評価を1名の評価者の官能評価により行ったところ、初留分は酸以外の不純物がふくまれやや臭気がしたものの、後留分は臭気が低減されていた。
【0023】
実施例3
製造例2で得られた粗5−エチル−γ−ブチロラクトン200gをとり、炭酸カリウム15.5g(酸価として63KOHmg/gに相当)を加えた以外は実施例1と同様の操作を行った。
その結果、還流比20で操作し初留分38gを得、その後全留出操作で留出させた128gの後留分を得た。初留分、後留分ともに酸価は0.1 KOHmg/g未満に低下していた。臭気評価を1名の評価者の官能評価により行ったところ、初留分は酸以外の不純物がふくまれやや臭気がしたものの、後留分は臭気が低減されていた。
【0024】
比較例1
実施例1で炭酸カリウムを添加しない以外は同様な操作を行った。全留分を通して、酸価は10 KOHmg/g以上であり、臭気評価を1名の評価者の官能評価により行ったところ、酸成分由来の匂いが残留して、臭気が低減されていなかった。
【0025】
比較例2
製造例1で得られた粗5−エチル−γ−ブチロラクトン200gを、20段精留塔を備えたフラスコにとり、水酸化ナトリウム6.0g(酸価として42.2 KOHmg/gに相当)を加えた以外は実施例1と同等の操作を行った。
その結果、加熱2時間目からフラスコ内が増粘してきて、3時間経過したところで減圧蒸留操作を試みたが、飛沫同伴が多く、操作不可能となった。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、種々の反応により得られた粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンを簡便に効率的に精製し、臭気を低減させることができる。

Claims (9)

  1. 式(1):
    Figure 2004196685
    (式中、nは1以上の整数を示す)で表わされる5−アルキル−γ−ブチロラクトンを含有する粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンを、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれた少なくとも1種の炭酸塩と接触させる、5−アルキル−γ−ブチロラクトンの製造方法。
  2. 粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンが、式(2):
    Figure 2004196685
    (式中、nは1以上の整数を示す)で表わされるラクトンを、硫酸、スルホン酸類、スルホン酸残基を持つイオン交換樹脂、及びヘテロポリ酸から選ばれた少なくとも1種の酸と接触させることによって得られたものである、請求項1記載の製造方法。
  3. 粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンが、式(3):
    Figure 2004196685
    (式中、lは2以上の整数、nは1以上の整数を示す)で表わされるポリラクトンを、硫酸、スルホン酸類、スルホン酸残基を持つイオン交換樹脂、及びヘテロポリ酸から選ばれた少なくとも1種の酸と接触させることによって得られたものである、請求項1記載の製造方法。
  4. 炭酸塩を、炭酸塩と接触させる前の粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンの酸価に1〜50KOHmg/g加えた量に相当する量用いる請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. 式(1)で表わされる5−アルキル−γ−ブチロラクトンがγ−カプロラクトンである請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 炭酸塩が炭酸カリウム及び/又は炭酸ナトリウムである請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンが、酸価5KOHmg/gを越える不純物量を有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. 粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンを炭酸塩と接触する前に、予め蒸留操作により高沸点物を分離除去する請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法。
  9. 粗5−アルキル−γ−ブチロラクトンを、炭酸塩接触の後、精留する請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法。
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