JP2004198219A - タイヤ振動特性試験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】一つの試験装置を用いて、低周波振動から100〜500Hzのロードノイズにいたる試験タイヤの振動特性を同一の試験で計測することのできるタイヤ振動特性試験装置を提供する。
【解決手段】タイヤ振動特性試験装置10は、試験タイヤの回転軸を支持するタイヤスタンド16と、タイヤスタンド16に支持された試験タイヤTを転動させるドラム面12aを備え、このドラム面12aの周上に、形状の異なる凸状部材12b,12cが取り付けられた回転ドラム12と、タイヤスタンド16に設けられ、試験タイヤTが凸状部材12b,12cを通過する際の試験タイヤTの軸力変動を計測する処理ユニット20とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】タイヤ振動特性試験装置10は、試験タイヤの回転軸を支持するタイヤスタンド16と、タイヤスタンド16に支持された試験タイヤTを転動させるドラム面12aを備え、このドラム面12aの周上に、形状の異なる凸状部材12b,12cが取り付けられた回転ドラム12と、タイヤスタンド16に設けられ、試験タイヤTが凸状部材12b,12cを通過する際の試験タイヤTの軸力変動を計測する処理ユニット20とを有する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転ドラム上を転動する試験タイヤが突起等の凸状部材を踏み込んで通過する際に発生する振動を計測することによりタイヤの振動特性を計測し評価するタイヤ振動特性試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走行中の車両に発生するタイヤに起因した振動または車内騒音における乗り心地性能は、100〜500Hzを周波数帯域とするロードノイズと、60Hz〜90Hzを周波数帯域とするハーシュネスと、50Hz以下の周波数帯域の低周波振動との3種類によって主に定められる。
ロードノイズに対するタイヤの振動特性およびハーシュネスに対するタイヤの振動特性の評価は、主に、回転ドラムに所定の周波数帯域の振動を発生させるように試験タイヤを転動させる路面に所定の形状を成した突起を配置し、この路面を通過する時の試験タイヤに発生する振動を計測することによって行っている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、回転ドラムの外周部に寸法の不揃いな突起物をランダムに配置してなるタイヤの動的特性試験装置を開示している。また、下記特許文献2では、実路の型取りをした類実路表面をドラム面として備えた回転ドラムを用いてロードノイズに対するタイヤの特性を計測するドラム試験装置を開示している。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−166240号公報
【特許文献2】
特開平6−129954号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、回転ドラムを用いて計測する試験タイヤの振動特性のうち、現在知られているものは、ロードノイズあるいはハーシュネスに対するものであり、50Hz以下の低周波振動を対象とするものはない。上記方法を用いても50Hz以下の振動を支配的に励起することはできないといった問題があった。
【0006】
一方において、試験タイヤの振動特性を評価する場合、ロードノイズに対する試験タイヤの振動特性やハーシュネスに対する試験タイヤの振動特性の計測を別々の試験装置で行う場合、試験を別々に行わなければならない。
一般に、転動中のタイヤの特性を計測する場合、接地荷重および速度を正確に揃えても、計測時の環境温度等によって試験タイヤの温度や空気圧が微妙に異なる。すなわち、試験時の試験条件が微妙に異なる。このため、別々に行う試験において同一の試験条件を正確に再現することは困難であり、試験タイヤの特性として、ハーシュネスおよびロードノイズに対するタイヤの振動特性を、同一試験条件で正確に取得することはできないといった問題がある。
そのため、試験条件が僅かに変わることで、ハーシュネスに対する振動特性とロードノイズに対する振動特性との相対的位置づけを正確に評価することができないといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、一つの試験装置を用いて、低周波振動から100〜500Hzのロードノイズにいたる試験タイヤの振動特性を同一の試験で計測することのできるタイヤ振動特性試験装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、試験タイヤの回転軸を支持する支持台と、
この支持台に支持された試験タイヤを転動させるドラム路面を備え、このドラム路面の周上の異なる位置に、形状の異なる凸状部材が少なくとも2つ以上取り付けられた回転ドラムと、
前記支持台および前記回転ドラムの少なくとも一方にセンサが設けられ、このセンサからの出力を取得して試験タイヤが前記凸状部材を通過する際の試験タイヤの挙動を計測する計測手段と、を有することを特徴とするタイヤ振動特性試験装置を提供する。
【0009】
なお、前記計測手段は、前記試験タイヤの回転軸あるいは前記回転ドラムの回転軸に作用する軸力を試験タイヤの挙動として計測し、前記凸状部材の各々が前記試験タイヤを通過するタイミングに同期させて前記軸力をサンプリング計測するのが好ましい。
【0010】
また、前記凸状部材の少なくとも2つは、前記ドラム面の幅方向における幅がいずれも試験タイヤの接地幅より広い第1の凸状部材と第2の凸状部材であり、前記第1の凸状部材の前記ドラム面の周方向の長さが、前記第2の凸状部材の前記ドラム面の周方向の長さに比べて短いのが好ましい。この場合、前記第1の凸状部材における前記ドラム面の周方向の長さが、例えば5〜50mmである。また、前記第2の凸状部材における前記ドラム面の周方向の長さが、例えば100mm〜600mmである。
【0011】
また、前記凸状部材の少なくとも1つは、前記ドラム面に接地した際の試験タイヤの接地幅より幅が狭く、試験タイヤが踏み込んだ際、試験タイヤをエンベロープさせる突起であるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のタイヤ振動特性試験装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0013】
図1(a)は、本発明のタイヤ振動特性試験装置の一例であるタイヤ振動特性試験装置(以降、試験装置という)10の概略の構成を示す構成図である。
試験装置10は、試験タイヤTをドラム面12aに接地させて転動させる回転ドラム12と、試験タイヤTを遊輪状態とし回転可能に軸支する取り付けハブを備え、取り付けハブにタイヤの回転軸に掛かる荷重(タイヤ軸力)を計測するロードセル14を設けたタイヤスタンド16と、ロードセル14からのタイヤ軸力信号を増幅するアンプ18と、増幅されたタイヤ軸力信号を取り込み試験タイヤTの振動特性を計測する処理ユニット20と、回転ドラム12を駆動させる駆動モータ22とを主に有して構成される。
【0014】
回転ドラム12は、試験タイヤTが接地する凹凸のない(算術平均粗さRa が1000μm以下)滑らかなドラム面12a上に凸状部材12b,12cがドラム面12の周上の180度離れた位置に螺子等の着脱手段によって取り付けられており、凸状部材12b,12cが試験タイヤTを通過する際、微小の打撃力が試験タイヤTに発生するように構成されている。
【0015】
ここで凸状部材12b,12cは、ドラム面12a上の幅方向における幅がいずれも試験タイヤTの接地幅より広い部材であり、図1(b)および(c)に示すように、凸状部材12bにおけるドラム面12aの周方向の長さlが、凸状部材12cにおけるドラム面12aの周方向の長さlに比べて短くなっている。
【0016】
凸状部材12bは、試験タイヤTに60〜90Hzの周波数帯域の振動を励起して、ハーシュネスに対する振動特性を計測するために用いられる。円柱形状をドラム面12aの曲率に応じた曲面または平面で、円柱形状の中心線に沿って切断した部材である。凸状部材12bの外側表面は、円柱形状の表面を成し、裏側はドラム面12aと接触するように配置される。凸状部材12bには、ドラム面12aの周方向の長さlが5〜50mmであって、最大高さhが3〜50mmである部材が用いられるのが好ましい。例えば、直径10mmの半円柱が用いられる。
なお、凸状部材12bは、角柱形状であってもよい。
【0017】
一方、凸状部材12cは、試験タイヤTに10〜20Hzの周波数帯域の振動(低周波振動)を励起して、低周波振動に対する振動特性を計測するために用いられる。凸状部材12cには、ドラム面12aの周方向の長さlが100〜600mmであって、最大高さhが3〜50mmであるなだらかな形状を成した部材が用いられるのが好ましい。
なお、凸状部材12b,12cの周方向長さlは、後述するように、振動を励起させる周波数帯域に応じて設定されている。
【0018】
タイヤスタンド16は、所望の接地荷重を試験タイヤTに与えるように、取り付けハブが、ドラム面12aに対して垂直方向に移動可能に構成され、取り付けハブにはロードセル14が設けられている。
ロードセル14は、ドラム路面12aに対して垂直方向(図1(a)の紙面上下方向)、ドラム面12aの周方向(図1(a)の紙面左右方向)およびドラム面12aの幅方向(図1(a)の紙面垂直方向)の少なくともいずれか1方向の試験タイヤTの回転軸(中心軸)に発生する軸力を計測し、これにより、試験タイヤTが凸状部材12b,12cを通過する際の試験タイヤTに働く軸力変動を計測することができる。
ロードセル14で得られたタイヤ軸力信号はアンプ18に送られて増幅される。増幅されたタイヤ軸力信号は、処理ユニット20に送られる。
【0019】
処理ユニット20は、増幅されたタイヤ軸力信号から試験タイヤTが凸状部材12b,12cを通過する際の軸力変動を求め、この軸力変動を周波数解析を行って、所定の周波数帯域、例えば50Hz以下の周波数帯域、あるいは、100Hz以下の周波数帯域のパワースペクトル密度分布のスペクトル波形を算出し、10〜20Hz、60〜90Hzのパワー値を算出し、ロードノイズに対する試験タイヤTの振動特性の優劣を評価する。
【0020】
具体的には、試験タイヤTが凸状部材12b,12cのドラム面12a上のそれぞれの位置を通過する際に、試験タイヤTのタイヤ軸力信号を同期して取り込み、試験タイヤTが凸状部材12bを通過する際の軸力変動のパワースペクトル密度のスペクトル波形の平均波形および凸状部材12cを通過する際の軸力変動のパワースペクトル密度のスペクトル波形の平均波形を取得する。同期による平均波形の取得方法は、例えば、回転ドラム12の周上の特定の位置に切欠きや反射板等の目印を設け、この切欠きや反射板等の目印が通過することで検出信号を出力する検出センサを回転ドラム12に設け、この検出信号をトリガー信号としてアンプ18から送られる軸力信号をサンプリングしつつ、そのたびに軸力変動のスペクトル波形を求め、平均化する。
この後、所定の周波数帯域におけるスペクトル波形のオーバーオール値により、ハーシュネスおよびて低周波振動に対する振動特性の優劣を評価する。
あるいは、処理ユニット18は、サンプリングして平均化された軸力変動の波形を周波数解析してスペクトル波形を求めてもよい。
このように、軸力変動を平均化するのは、凸状部材12b,12cによる軸力変動に含まれるノイズ成分や試験タイヤTが固有に持つユニフォーミティ成分を除去し、精度の高い計測を行うためである。
このような処理ユニット18は、公知のFFT(Fast Fourier Transformation)アナライザであってもよいし、プログラムを実行することで機能を発揮するコンピュータによって構成されてもよい。
【0021】
駆動モータ22は、回転ドラム12の回転軸に接続され、回転ドラム12を所望の速度で回転させる駆動系である。
【0022】
図2(a)は、速度30(km/時)にて試験タイヤT(タイヤサイズ205/65R15、空気圧200kPa、荷重4000N)を転動させ、試験装置10の処理ユニット20で得られる、ドラム面12aの一周分のタイヤ軸の軸力変動の時間波形を示している。また、図2(b)および(c)は、上記試験タイヤTを上記試験条件で転動させ、Trig1およびTrig2においてそれぞれサンプリングを開始し、30秒間サンプリングして、凸状部材12b,12cを用いて励起された振動をそれぞれ周波数解析をした時の試験タイヤTの軸力変動のパワースペクトル密度(PSD)のスペクトル波形を示している。
【0023】
図2(b)は、凸状部材12bで励起された振動のスペクトル波形であり、図2(c)は、凸状部材12cで励起された振動のスペクトル波形を示す。
図2(b)では、60〜80Hzの周波数帯域においてピークを形成し、ハーシュネスに対応する振動が励起していることがわかる。一方、図2(c)では、30Hz以下でピークを形成し、50Hz以下の低周波振動に対応する振動が励起していることがわかる。
このように、凸状部材12bおよび12cで励起される振動が異なるが、このような励起される振動の周波数帯域は、凸状部材12b,12cの周方向長さlの大小によって変わる。
【0024】
図3(a)〜(c)は、外側表面が円柱形状の表面を成した凸状部材をドラム面12a上に設け、試験タイヤT(タイヤサイズ205/65R15、空気圧200kPa、荷重4000N)を速度30、50、80(km/時)にて転動させた時の、低周波振動の周波数帯域に対応する10〜20Hzのパワー値POA(10〜20Hz)の、パワー値POA(0〜100Hz)に対する比率(図3(a)〜(c)中では「■」でプロット)、およびハーシュネスの周波数帯域に対応する60〜90Hzのパワー値POA(60〜90Hz)の、パワー値POA(0〜100Hz)に対する比率(図3(a)〜(c)中では「●」でプロット)の変化を示している。
【0025】
凸状部材12bは、周方向の長さlを10mm、最大高さをhを5mmとした半円柱形状であり、凸状部材12cは、周方向の長さlを250mm、最大高さhを5.5mmとした形状である。
パワー値POA(α〜β(Hz))とは、例えばパワースペクトル密度のスペクトル波形における周波数帯域α〜β(Hz)の積分値である。
この比率は、凸状部材の周方向長さlによって変化することがわかる。
【0026】
図3(a)〜(c)では、周方向長さl(mm)の上限を600mmとしたが、これは実用的範囲を考慮したものであり、周方向長さl(mm)が600mmを越す場合、パワー値POA(10〜20Hz)が測定対象の周波数帯域である0〜100Hzに対して値が小さくなり、測定精度が悪くなるからである。
【0027】
図3(a)〜(c)からわかるように、パワー値POA(10〜20Hz)の比率とパワー値POA(60〜90Hz)の比率の大小が逆転する位置は、比率20〜30%の範囲にある。これより、パワー値POA(10〜20Hz)の比率とパワー値POA(60〜90Hz)の比率のいずれか一方が支配的であるか否かの判断は、一方のパワー値が30%以上であり、他方のパワー値が20%以下である場合を目安とすることができ、これに従って、凸状部材12b,12cの周方向長さl(mm)を定めることができる。
【0028】
したがって、パワー値POA(10〜20Hz)の比率が30%以上であり、パワー値POA(60〜90Hz)の比率が20%以下の場合、すなわち、速度30(km/時)において周方向長さl(mm)が200mm以上450mm以下、速度50(km/時)において周方向長さl(mm)が100mm以上600mm以下、および速度80(km/時)において周方向長さl(mm)が550mm以上600mm以下において、低周波振動の周波数帯域の振動を励起させることができ、低周波振動に対する試験タイヤTの振動特性を計測することができる。
したがって、低周波振動に対する振動特性を計測するための凸状部材12bの周方向の長さlは、少なくとも100mm以上600mm以下とすることが好ましい。
【0029】
パワー値POA(60〜90Hz)の比率が30%以上であり、パワー値POA(10〜20Hz)の比率が20%以下の場合、すなわち、速度30(km/時)において周方向長さl(mm)が50mm以下、および速度80(km/時)において周方向長さl(mm)が300mm以下において、ハーシュネスの周波数帯域の振動を励起させることができ、ハーシュネスに対する試験タイヤTの振動特性を計測することができる。したがって、ハーシュネスに対する振動特性を計測するための凸状部材12cの周方向の長さlは、低周波振動の周波数帯域の振動を励起させる、周方向の長さl(mm)を100mm以上とする凸状部材12cとの差異を明確にする点から、50mm以下とするのが好ましい。また、凸状部材12cの周方向の長さl(mm)の下限については、実用的範囲として5mm以上とするのが好ましい。
【0030】
このような試験装置10では、まず、ドラム面12aに凸状部材12bおよび12cが取り付けられる。
次に、試験タイヤTが所望の接地荷重になるようにドラム面12aに接地される。この後、駆動モータ22が駆動して所望の転動速度で回転を開始する。
こうして、ドラム面12a上で試験タイヤTを転動させ、試験タイヤTが凸状部材12b,12cを踏み込んだ時に発生する軸力変動がロードセル14にて計測される。
【0031】
ロードセルにて生成されたタイヤ軸力信号は、アンプ18にて増幅され、処理ユニット20に送られる。
処理ユニット20では、試験タイヤTのタイヤ軸力信号が、凸状部材12b,12cのドラム面12a上の位置で、Trig1,Trig2(図2(a)参照)のタイミングに従って同期して取り込まれ、すなわち、試験タイヤTが凸状部材12b,12cを通過する際のタイヤ軸力信号がサンプリングされて取り込まれ、サンプリングの度にパワースペクトル密度のスペクトル波形が求められて平均化される。
所定回数平均化された後、算出されたスペクトル波形から、低周波振動の周波数帯域、例えば10〜20Hz、および、ハーシュネスの周波数帯域、例えば、60〜90Hzにおける、パワースペクトル密度のオーバーオール値(パワー値)が求められ、このパワー値に基づいて試験タイヤTの振動特性の優劣が評価される。
【0032】
このように、1つのドラム面12aに形状の異なる凸状部材12b,12cが設けられ、周波数帯域の異なる振動を励起させることができるので、1回の試験で、低周波振動およびハーシュネスに対する試験タイヤTの振動特性を、しかも、同一の試験条件で得ることができる。したがって、ハーシュネスに対する振動特性と低周波振動に対する振動特性との相対的位置づけを正確に評価することができる。
【0033】
なお、上記例では、ハーシュネスおよび低周波振動の周波数帯域の振動を励起させるために、ドラム面12aの幅方向における幅がいずれも試験タイヤTの接地幅より広いものを用いたが、本発明における凸状部材は、これに限定されない。例えば、凸状部材の少なくとも1つに、ドラム面12aに接地した際の試験タイヤTの接地幅より幅が狭く、試験タイヤTが踏み込んだ際試験タイヤTをエンベロープさせる単突起を用いてもよい。
【0034】
ここで単突起とは、ドラム面12a上における試験タイヤTの接地幅より幅が狭く、試験タイヤTが踏み込んだ際、試験タイヤTが周囲を包み込む(エンベロープする)突起で、試験タイヤTの接地面内において1つの突起しか存在しないように配置される突起をいう。また、単突起は、複数の突起が近接し、突起間で試験タイヤがドラム面12aと接触しない連続突起に相対するものである。したがって、単突起の周りにおいて、試験タイヤTのトレッド部の表面と滑らかなドラム面12aとが接触するように作用する。すなわち、試験タイヤTが完全に単突起に乗り上げることはなく、試験タイヤTのトレッド部の表面と滑らかなドラム面12aとが接触する。このような単突起は、ロードノイズを発生させる凹凸路面の凸部と同様の機能を果たし、100〜500Hzの周波数帯域のロードノイズに対する振動特性を計測することができる。
【0035】
したがって、低周波振動、ハーシュネスおよびロードノイズに対する試験タイヤTの振動特性を得るように、3つの凸状部材をドラム面12aに配置してもよい。しかし、1つの凸状部材によって励起された振動が収束する前に、別の凸状部材によって振動が励起されない程度に凸状部材の配置間隔を設定することが、精度の高い振動特性を得る点で重要である。このような配置は、ドラム面12aの周長および試験タイヤTの速度によって異なるものであるが、一般に、直径2〜3mのドラム面12aを速度30〜80(km/時)の条件で試験する場合、ドラム面12aの周上の正反対の位置(180度の位置)に2つの凸状部材を配置するのが好ましい。例えば、低周波振動のための凸状部材とハーシュネスのための凸状部材を配置して同時に試験し、一方、ハーシュネスのための凸状部材とロードノイズのための凸状部材(単突起)を配置して同時に試験することにより、ハーシュネスに対する振動特性を介在して、低周波振動、ハーシュネスおよびロードノイズに対する試験タイヤTの振動特性を同一試験条件における振動特性として評価することができる。振動特性として計測され評価される軸力のスペクトル波形は、試験タイヤTの上下方向に作用する軸力変動のほか、前後方向に作用する軸力変動または横方向に作用する軸力変動であってもよい。
【0036】
また、試験装置10は、試験タイヤTが凸状部材を通過する際の試験タイヤの軸力の変動を、試験タイヤTの挙動として計測するが、本発明では、回転を自由とする取り付けハブに固定されて軸支されるタイヤスタンド16の替わりに、試験タイヤの回転軸の並進運動を可能とするように懸下機構を用いて試験タイヤを可動状態とし、試験タイヤの回転軸に発生する加速度を計測してもよいし、試験タイヤの軸力変動の反作用として回転ドラムの回転軸に作用する力の変動やドラム面に働く力の変動を、回転ドラムの軸に設けられたロードセルを用いて計測し、計測結果をタイヤの挙動してもよい。
【0037】
以上、本発明のタイヤ振動特性試験装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明は、ドラム路面の周上に、形状の異なる凸状部材が少なくとも2つ以上取り付けられるので、一つの試験装置を用いて、低周波振動から100〜500Hzのロードノイズにいたる試験タイヤの振動特性を同一の試験で精度良く計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明のタイヤ振動特性試験装置の一例であるタイヤ振動特性試験装置の概略の構成を説明する構成図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1に示すタイヤ振動特性試験装置で得られる時系列波形およびスペクトル波形を示す図である。
【図3】(a)〜(c)は、凸状部材の長さに対するパワー値の比率の変化を、速度別に示した図である。
【符号の説明】
10 タイヤ振動特性試験装置
12 回転ドラム
12a ドラム表面
12b,12c 凸状部材
14 ロードセル
16 タイヤスタンド
18 アンプ
20 処理ユニット
22 駆動モータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転ドラム上を転動する試験タイヤが突起等の凸状部材を踏み込んで通過する際に発生する振動を計測することによりタイヤの振動特性を計測し評価するタイヤ振動特性試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走行中の車両に発生するタイヤに起因した振動または車内騒音における乗り心地性能は、100〜500Hzを周波数帯域とするロードノイズと、60Hz〜90Hzを周波数帯域とするハーシュネスと、50Hz以下の周波数帯域の低周波振動との3種類によって主に定められる。
ロードノイズに対するタイヤの振動特性およびハーシュネスに対するタイヤの振動特性の評価は、主に、回転ドラムに所定の周波数帯域の振動を発生させるように試験タイヤを転動させる路面に所定の形状を成した突起を配置し、この路面を通過する時の試験タイヤに発生する振動を計測することによって行っている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、回転ドラムの外周部に寸法の不揃いな突起物をランダムに配置してなるタイヤの動的特性試験装置を開示している。また、下記特許文献2では、実路の型取りをした類実路表面をドラム面として備えた回転ドラムを用いてロードノイズに対するタイヤの特性を計測するドラム試験装置を開示している。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−166240号公報
【特許文献2】
特開平6−129954号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、回転ドラムを用いて計測する試験タイヤの振動特性のうち、現在知られているものは、ロードノイズあるいはハーシュネスに対するものであり、50Hz以下の低周波振動を対象とするものはない。上記方法を用いても50Hz以下の振動を支配的に励起することはできないといった問題があった。
【0006】
一方において、試験タイヤの振動特性を評価する場合、ロードノイズに対する試験タイヤの振動特性やハーシュネスに対する試験タイヤの振動特性の計測を別々の試験装置で行う場合、試験を別々に行わなければならない。
一般に、転動中のタイヤの特性を計測する場合、接地荷重および速度を正確に揃えても、計測時の環境温度等によって試験タイヤの温度や空気圧が微妙に異なる。すなわち、試験時の試験条件が微妙に異なる。このため、別々に行う試験において同一の試験条件を正確に再現することは困難であり、試験タイヤの特性として、ハーシュネスおよびロードノイズに対するタイヤの振動特性を、同一試験条件で正確に取得することはできないといった問題がある。
そのため、試験条件が僅かに変わることで、ハーシュネスに対する振動特性とロードノイズに対する振動特性との相対的位置づけを正確に評価することができないといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、一つの試験装置を用いて、低周波振動から100〜500Hzのロードノイズにいたる試験タイヤの振動特性を同一の試験で計測することのできるタイヤ振動特性試験装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、試験タイヤの回転軸を支持する支持台と、
この支持台に支持された試験タイヤを転動させるドラム路面を備え、このドラム路面の周上の異なる位置に、形状の異なる凸状部材が少なくとも2つ以上取り付けられた回転ドラムと、
前記支持台および前記回転ドラムの少なくとも一方にセンサが設けられ、このセンサからの出力を取得して試験タイヤが前記凸状部材を通過する際の試験タイヤの挙動を計測する計測手段と、を有することを特徴とするタイヤ振動特性試験装置を提供する。
【0009】
なお、前記計測手段は、前記試験タイヤの回転軸あるいは前記回転ドラムの回転軸に作用する軸力を試験タイヤの挙動として計測し、前記凸状部材の各々が前記試験タイヤを通過するタイミングに同期させて前記軸力をサンプリング計測するのが好ましい。
【0010】
また、前記凸状部材の少なくとも2つは、前記ドラム面の幅方向における幅がいずれも試験タイヤの接地幅より広い第1の凸状部材と第2の凸状部材であり、前記第1の凸状部材の前記ドラム面の周方向の長さが、前記第2の凸状部材の前記ドラム面の周方向の長さに比べて短いのが好ましい。この場合、前記第1の凸状部材における前記ドラム面の周方向の長さが、例えば5〜50mmである。また、前記第2の凸状部材における前記ドラム面の周方向の長さが、例えば100mm〜600mmである。
【0011】
また、前記凸状部材の少なくとも1つは、前記ドラム面に接地した際の試験タイヤの接地幅より幅が狭く、試験タイヤが踏み込んだ際、試験タイヤをエンベロープさせる突起であるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のタイヤ振動特性試験装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0013】
図1(a)は、本発明のタイヤ振動特性試験装置の一例であるタイヤ振動特性試験装置(以降、試験装置という)10の概略の構成を示す構成図である。
試験装置10は、試験タイヤTをドラム面12aに接地させて転動させる回転ドラム12と、試験タイヤTを遊輪状態とし回転可能に軸支する取り付けハブを備え、取り付けハブにタイヤの回転軸に掛かる荷重(タイヤ軸力)を計測するロードセル14を設けたタイヤスタンド16と、ロードセル14からのタイヤ軸力信号を増幅するアンプ18と、増幅されたタイヤ軸力信号を取り込み試験タイヤTの振動特性を計測する処理ユニット20と、回転ドラム12を駆動させる駆動モータ22とを主に有して構成される。
【0014】
回転ドラム12は、試験タイヤTが接地する凹凸のない(算術平均粗さRa が1000μm以下)滑らかなドラム面12a上に凸状部材12b,12cがドラム面12の周上の180度離れた位置に螺子等の着脱手段によって取り付けられており、凸状部材12b,12cが試験タイヤTを通過する際、微小の打撃力が試験タイヤTに発生するように構成されている。
【0015】
ここで凸状部材12b,12cは、ドラム面12a上の幅方向における幅がいずれも試験タイヤTの接地幅より広い部材であり、図1(b)および(c)に示すように、凸状部材12bにおけるドラム面12aの周方向の長さlが、凸状部材12cにおけるドラム面12aの周方向の長さlに比べて短くなっている。
【0016】
凸状部材12bは、試験タイヤTに60〜90Hzの周波数帯域の振動を励起して、ハーシュネスに対する振動特性を計測するために用いられる。円柱形状をドラム面12aの曲率に応じた曲面または平面で、円柱形状の中心線に沿って切断した部材である。凸状部材12bの外側表面は、円柱形状の表面を成し、裏側はドラム面12aと接触するように配置される。凸状部材12bには、ドラム面12aの周方向の長さlが5〜50mmであって、最大高さhが3〜50mmである部材が用いられるのが好ましい。例えば、直径10mmの半円柱が用いられる。
なお、凸状部材12bは、角柱形状であってもよい。
【0017】
一方、凸状部材12cは、試験タイヤTに10〜20Hzの周波数帯域の振動(低周波振動)を励起して、低周波振動に対する振動特性を計測するために用いられる。凸状部材12cには、ドラム面12aの周方向の長さlが100〜600mmであって、最大高さhが3〜50mmであるなだらかな形状を成した部材が用いられるのが好ましい。
なお、凸状部材12b,12cの周方向長さlは、後述するように、振動を励起させる周波数帯域に応じて設定されている。
【0018】
タイヤスタンド16は、所望の接地荷重を試験タイヤTに与えるように、取り付けハブが、ドラム面12aに対して垂直方向に移動可能に構成され、取り付けハブにはロードセル14が設けられている。
ロードセル14は、ドラム路面12aに対して垂直方向(図1(a)の紙面上下方向)、ドラム面12aの周方向(図1(a)の紙面左右方向)およびドラム面12aの幅方向(図1(a)の紙面垂直方向)の少なくともいずれか1方向の試験タイヤTの回転軸(中心軸)に発生する軸力を計測し、これにより、試験タイヤTが凸状部材12b,12cを通過する際の試験タイヤTに働く軸力変動を計測することができる。
ロードセル14で得られたタイヤ軸力信号はアンプ18に送られて増幅される。増幅されたタイヤ軸力信号は、処理ユニット20に送られる。
【0019】
処理ユニット20は、増幅されたタイヤ軸力信号から試験タイヤTが凸状部材12b,12cを通過する際の軸力変動を求め、この軸力変動を周波数解析を行って、所定の周波数帯域、例えば50Hz以下の周波数帯域、あるいは、100Hz以下の周波数帯域のパワースペクトル密度分布のスペクトル波形を算出し、10〜20Hz、60〜90Hzのパワー値を算出し、ロードノイズに対する試験タイヤTの振動特性の優劣を評価する。
【0020】
具体的には、試験タイヤTが凸状部材12b,12cのドラム面12a上のそれぞれの位置を通過する際に、試験タイヤTのタイヤ軸力信号を同期して取り込み、試験タイヤTが凸状部材12bを通過する際の軸力変動のパワースペクトル密度のスペクトル波形の平均波形および凸状部材12cを通過する際の軸力変動のパワースペクトル密度のスペクトル波形の平均波形を取得する。同期による平均波形の取得方法は、例えば、回転ドラム12の周上の特定の位置に切欠きや反射板等の目印を設け、この切欠きや反射板等の目印が通過することで検出信号を出力する検出センサを回転ドラム12に設け、この検出信号をトリガー信号としてアンプ18から送られる軸力信号をサンプリングしつつ、そのたびに軸力変動のスペクトル波形を求め、平均化する。
この後、所定の周波数帯域におけるスペクトル波形のオーバーオール値により、ハーシュネスおよびて低周波振動に対する振動特性の優劣を評価する。
あるいは、処理ユニット18は、サンプリングして平均化された軸力変動の波形を周波数解析してスペクトル波形を求めてもよい。
このように、軸力変動を平均化するのは、凸状部材12b,12cによる軸力変動に含まれるノイズ成分や試験タイヤTが固有に持つユニフォーミティ成分を除去し、精度の高い計測を行うためである。
このような処理ユニット18は、公知のFFT(Fast Fourier Transformation)アナライザであってもよいし、プログラムを実行することで機能を発揮するコンピュータによって構成されてもよい。
【0021】
駆動モータ22は、回転ドラム12の回転軸に接続され、回転ドラム12を所望の速度で回転させる駆動系である。
【0022】
図2(a)は、速度30(km/時)にて試験タイヤT(タイヤサイズ205/65R15、空気圧200kPa、荷重4000N)を転動させ、試験装置10の処理ユニット20で得られる、ドラム面12aの一周分のタイヤ軸の軸力変動の時間波形を示している。また、図2(b)および(c)は、上記試験タイヤTを上記試験条件で転動させ、Trig1およびTrig2においてそれぞれサンプリングを開始し、30秒間サンプリングして、凸状部材12b,12cを用いて励起された振動をそれぞれ周波数解析をした時の試験タイヤTの軸力変動のパワースペクトル密度(PSD)のスペクトル波形を示している。
【0023】
図2(b)は、凸状部材12bで励起された振動のスペクトル波形であり、図2(c)は、凸状部材12cで励起された振動のスペクトル波形を示す。
図2(b)では、60〜80Hzの周波数帯域においてピークを形成し、ハーシュネスに対応する振動が励起していることがわかる。一方、図2(c)では、30Hz以下でピークを形成し、50Hz以下の低周波振動に対応する振動が励起していることがわかる。
このように、凸状部材12bおよび12cで励起される振動が異なるが、このような励起される振動の周波数帯域は、凸状部材12b,12cの周方向長さlの大小によって変わる。
【0024】
図3(a)〜(c)は、外側表面が円柱形状の表面を成した凸状部材をドラム面12a上に設け、試験タイヤT(タイヤサイズ205/65R15、空気圧200kPa、荷重4000N)を速度30、50、80(km/時)にて転動させた時の、低周波振動の周波数帯域に対応する10〜20Hzのパワー値POA(10〜20Hz)の、パワー値POA(0〜100Hz)に対する比率(図3(a)〜(c)中では「■」でプロット)、およびハーシュネスの周波数帯域に対応する60〜90Hzのパワー値POA(60〜90Hz)の、パワー値POA(0〜100Hz)に対する比率(図3(a)〜(c)中では「●」でプロット)の変化を示している。
【0025】
凸状部材12bは、周方向の長さlを10mm、最大高さをhを5mmとした半円柱形状であり、凸状部材12cは、周方向の長さlを250mm、最大高さhを5.5mmとした形状である。
パワー値POA(α〜β(Hz))とは、例えばパワースペクトル密度のスペクトル波形における周波数帯域α〜β(Hz)の積分値である。
この比率は、凸状部材の周方向長さlによって変化することがわかる。
【0026】
図3(a)〜(c)では、周方向長さl(mm)の上限を600mmとしたが、これは実用的範囲を考慮したものであり、周方向長さl(mm)が600mmを越す場合、パワー値POA(10〜20Hz)が測定対象の周波数帯域である0〜100Hzに対して値が小さくなり、測定精度が悪くなるからである。
【0027】
図3(a)〜(c)からわかるように、パワー値POA(10〜20Hz)の比率とパワー値POA(60〜90Hz)の比率の大小が逆転する位置は、比率20〜30%の範囲にある。これより、パワー値POA(10〜20Hz)の比率とパワー値POA(60〜90Hz)の比率のいずれか一方が支配的であるか否かの判断は、一方のパワー値が30%以上であり、他方のパワー値が20%以下である場合を目安とすることができ、これに従って、凸状部材12b,12cの周方向長さl(mm)を定めることができる。
【0028】
したがって、パワー値POA(10〜20Hz)の比率が30%以上であり、パワー値POA(60〜90Hz)の比率が20%以下の場合、すなわち、速度30(km/時)において周方向長さl(mm)が200mm以上450mm以下、速度50(km/時)において周方向長さl(mm)が100mm以上600mm以下、および速度80(km/時)において周方向長さl(mm)が550mm以上600mm以下において、低周波振動の周波数帯域の振動を励起させることができ、低周波振動に対する試験タイヤTの振動特性を計測することができる。
したがって、低周波振動に対する振動特性を計測するための凸状部材12bの周方向の長さlは、少なくとも100mm以上600mm以下とすることが好ましい。
【0029】
パワー値POA(60〜90Hz)の比率が30%以上であり、パワー値POA(10〜20Hz)の比率が20%以下の場合、すなわち、速度30(km/時)において周方向長さl(mm)が50mm以下、および速度80(km/時)において周方向長さl(mm)が300mm以下において、ハーシュネスの周波数帯域の振動を励起させることができ、ハーシュネスに対する試験タイヤTの振動特性を計測することができる。したがって、ハーシュネスに対する振動特性を計測するための凸状部材12cの周方向の長さlは、低周波振動の周波数帯域の振動を励起させる、周方向の長さl(mm)を100mm以上とする凸状部材12cとの差異を明確にする点から、50mm以下とするのが好ましい。また、凸状部材12cの周方向の長さl(mm)の下限については、実用的範囲として5mm以上とするのが好ましい。
【0030】
このような試験装置10では、まず、ドラム面12aに凸状部材12bおよび12cが取り付けられる。
次に、試験タイヤTが所望の接地荷重になるようにドラム面12aに接地される。この後、駆動モータ22が駆動して所望の転動速度で回転を開始する。
こうして、ドラム面12a上で試験タイヤTを転動させ、試験タイヤTが凸状部材12b,12cを踏み込んだ時に発生する軸力変動がロードセル14にて計測される。
【0031】
ロードセルにて生成されたタイヤ軸力信号は、アンプ18にて増幅され、処理ユニット20に送られる。
処理ユニット20では、試験タイヤTのタイヤ軸力信号が、凸状部材12b,12cのドラム面12a上の位置で、Trig1,Trig2(図2(a)参照)のタイミングに従って同期して取り込まれ、すなわち、試験タイヤTが凸状部材12b,12cを通過する際のタイヤ軸力信号がサンプリングされて取り込まれ、サンプリングの度にパワースペクトル密度のスペクトル波形が求められて平均化される。
所定回数平均化された後、算出されたスペクトル波形から、低周波振動の周波数帯域、例えば10〜20Hz、および、ハーシュネスの周波数帯域、例えば、60〜90Hzにおける、パワースペクトル密度のオーバーオール値(パワー値)が求められ、このパワー値に基づいて試験タイヤTの振動特性の優劣が評価される。
【0032】
このように、1つのドラム面12aに形状の異なる凸状部材12b,12cが設けられ、周波数帯域の異なる振動を励起させることができるので、1回の試験で、低周波振動およびハーシュネスに対する試験タイヤTの振動特性を、しかも、同一の試験条件で得ることができる。したがって、ハーシュネスに対する振動特性と低周波振動に対する振動特性との相対的位置づけを正確に評価することができる。
【0033】
なお、上記例では、ハーシュネスおよび低周波振動の周波数帯域の振動を励起させるために、ドラム面12aの幅方向における幅がいずれも試験タイヤTの接地幅より広いものを用いたが、本発明における凸状部材は、これに限定されない。例えば、凸状部材の少なくとも1つに、ドラム面12aに接地した際の試験タイヤTの接地幅より幅が狭く、試験タイヤTが踏み込んだ際試験タイヤTをエンベロープさせる単突起を用いてもよい。
【0034】
ここで単突起とは、ドラム面12a上における試験タイヤTの接地幅より幅が狭く、試験タイヤTが踏み込んだ際、試験タイヤTが周囲を包み込む(エンベロープする)突起で、試験タイヤTの接地面内において1つの突起しか存在しないように配置される突起をいう。また、単突起は、複数の突起が近接し、突起間で試験タイヤがドラム面12aと接触しない連続突起に相対するものである。したがって、単突起の周りにおいて、試験タイヤTのトレッド部の表面と滑らかなドラム面12aとが接触するように作用する。すなわち、試験タイヤTが完全に単突起に乗り上げることはなく、試験タイヤTのトレッド部の表面と滑らかなドラム面12aとが接触する。このような単突起は、ロードノイズを発生させる凹凸路面の凸部と同様の機能を果たし、100〜500Hzの周波数帯域のロードノイズに対する振動特性を計測することができる。
【0035】
したがって、低周波振動、ハーシュネスおよびロードノイズに対する試験タイヤTの振動特性を得るように、3つの凸状部材をドラム面12aに配置してもよい。しかし、1つの凸状部材によって励起された振動が収束する前に、別の凸状部材によって振動が励起されない程度に凸状部材の配置間隔を設定することが、精度の高い振動特性を得る点で重要である。このような配置は、ドラム面12aの周長および試験タイヤTの速度によって異なるものであるが、一般に、直径2〜3mのドラム面12aを速度30〜80(km/時)の条件で試験する場合、ドラム面12aの周上の正反対の位置(180度の位置)に2つの凸状部材を配置するのが好ましい。例えば、低周波振動のための凸状部材とハーシュネスのための凸状部材を配置して同時に試験し、一方、ハーシュネスのための凸状部材とロードノイズのための凸状部材(単突起)を配置して同時に試験することにより、ハーシュネスに対する振動特性を介在して、低周波振動、ハーシュネスおよびロードノイズに対する試験タイヤTの振動特性を同一試験条件における振動特性として評価することができる。振動特性として計測され評価される軸力のスペクトル波形は、試験タイヤTの上下方向に作用する軸力変動のほか、前後方向に作用する軸力変動または横方向に作用する軸力変動であってもよい。
【0036】
また、試験装置10は、試験タイヤTが凸状部材を通過する際の試験タイヤの軸力の変動を、試験タイヤTの挙動として計測するが、本発明では、回転を自由とする取り付けハブに固定されて軸支されるタイヤスタンド16の替わりに、試験タイヤの回転軸の並進運動を可能とするように懸下機構を用いて試験タイヤを可動状態とし、試験タイヤの回転軸に発生する加速度を計測してもよいし、試験タイヤの軸力変動の反作用として回転ドラムの回転軸に作用する力の変動やドラム面に働く力の変動を、回転ドラムの軸に設けられたロードセルを用いて計測し、計測結果をタイヤの挙動してもよい。
【0037】
以上、本発明のタイヤ振動特性試験装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明は、ドラム路面の周上に、形状の異なる凸状部材が少なくとも2つ以上取り付けられるので、一つの試験装置を用いて、低周波振動から100〜500Hzのロードノイズにいたる試験タイヤの振動特性を同一の試験で精度良く計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明のタイヤ振動特性試験装置の一例であるタイヤ振動特性試験装置の概略の構成を説明する構成図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1に示すタイヤ振動特性試験装置で得られる時系列波形およびスペクトル波形を示す図である。
【図3】(a)〜(c)は、凸状部材の長さに対するパワー値の比率の変化を、速度別に示した図である。
【符号の説明】
10 タイヤ振動特性試験装置
12 回転ドラム
12a ドラム表面
12b,12c 凸状部材
14 ロードセル
16 タイヤスタンド
18 アンプ
20 処理ユニット
22 駆動モータ
Claims (6)
- 試験タイヤの回転軸を支持する支持台と、
この支持台に支持された試験タイヤを転動させるドラム路面を備え、このドラム路面の周上の異なる位置に、形状の異なる凸状部材が少なくとも2つ以上取り付けられた回転ドラムと、
前記支持台および前記回転ドラムの少なくとも一方にセンサが設けられ、このセンサからの出力を取得して試験タイヤが前記凸状部材を通過する際の試験タイヤの挙動を計測する計測手段と、を有することを特徴とするタイヤ振動特性試験装置。 - 前記計測手段は、前記試験タイヤの回転軸あるいは前記回転ドラムの回転軸に作用する軸力を試験タイヤの挙動として計測し、前記凸状部材の各々の通過に同期させて前記軸力をサンプリング計測する請求項1に記載のタイヤ振動特性試験装置。
- 前記凸状部材の少なくとも2つは、前記ドラム面の幅方向における幅がいずれも試験タイヤの接地幅より広い第1の凸状部材と第2の凸状部材であり、前記第1の凸状部材の前記ドラム面の周方向の長さが、前記第2の凸状部材の前記ドラム面の周方向の長さに比べて短い請求項1または2に記載のタイヤ振動特性試験装置。
- 前記第1の凸状部材における前記ドラム面の周方向の長さが5〜50mmである請求項3に記載のタイヤ振動特性試験装置。
- 前記第2の凸状部材における前記ドラム面の周方向の長さが100mm〜600mmである請求項3に記載のタイヤ振動特性試験装置。
- 前記凸状部材の少なくとも1つは、前記ドラム面に接地した際の試験タイヤの接地幅より幅が狭く、試験タイヤが踏み込んだ際、試験タイヤをエンベロープさせる突起である請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ振動特性試験装置。
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060307 |