JP2004204526A - 閉鎖形断面柱と梁の接合部構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイヤフラムを用いずに鉄骨柱と鉄骨梁を容易かつ剛に接合でき、二方向の鉄骨梁の接合部材を同一平面内に配置でき、柱内にコンクリートが充填されていない場合でも前記接合部材に張力を導入でき、比較的簡単な部材で容易に接合部全体の強度を向上でき、調整用座金等による調整作業なしに接合金物の接合部と梁フランジとを簡単に迅速に溶接接合できるようにする。
【解決手段】CFT柱1の接合部を水平に貫通する貫通金物3と、袋ナット状ナット部4aと円柱状等の接合部4bからなる接合金物4を用い、貫通金物3の金物本体3aの両端面を側板1cの内面に当接させ、雄ねじ部材3bにナット部4aをねじ込み、雄ねじ部材3bに張力を導入しておき、接合部4bの円形等の接合面と梁フランジ2aとの端面同士を突き合わせ溶接で接合する。貫通金物3の金物本体3aは上下方向に偏心させ、二方向の貫通金物3を同一平面内に配置する。
【選択図】図1
【解決手段】CFT柱1の接合部を水平に貫通する貫通金物3と、袋ナット状ナット部4aと円柱状等の接合部4bからなる接合金物4を用い、貫通金物3の金物本体3aの両端面を側板1cの内面に当接させ、雄ねじ部材3bにナット部4aをねじ込み、雄ねじ部材3bに張力を導入しておき、接合部4bの円形等の接合面と梁フランジ2aとの端面同士を突き合わせ溶接で接合する。貫通金物3の金物本体3aは上下方向に偏心させ、二方向の貫通金物3を同一平面内に配置する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管等の閉鎖形断面柱と梁の接合部構造に関するものであり、特にコンクリート充填鉄骨柱に有効に適用される。
【0002】
【従来の技術】
鋼管の中にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管柱(以下、CFT柱と記載:Concrete Filled steel Tubular menber)は、コンクリートの拘束により中空鋼管柱に比べて局部座屈に対して有利であり、充填されたコンクリートが鋼管の拘束を受けて三軸応力状態となり圧縮強度が増加する等の利点がある。また、CFT柱と鉄骨梁の接合部においては、鉄骨梁から柱材に伝えられる力に対して、充填コンクリートにより鋼管の局部変形が拘束されるので、中空鋼管柱に比べてダイヤフラムの寸法を小さくでき、また、充填コンクリートの存在によって柱梁接合部の仕口部のせん断耐力が大きくなる等の利点がある。
【0003】
このようなCFT柱の側面にH形鋼等からなる鉄骨梁の接合端部を接合する場合、コンクリートが未充填の中空鋼管柱と同様に、次に示すような外ダイヤフラム形式、通しダイヤフラム形式、内ダイヤフラム形式、長締ボルト引張接合形式などの接合部構造が採用され、あるいは提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
(1) 外ダイヤフラム形式
鉄骨柱の接合部の外周に、上下フランジとウェブからなる外ダイヤフラムを溶接で取付ける。外ダイヤフラムは、例えば隅部で切断して4分割し、分割した部分同士を溶接で取付けると共に、各分割部分をそれぞれ鉄骨柱の側板に溶接で取付けている。鉄骨梁は外ダイヤフラムの先端にボルト接合等で取付けている。
【0005】
(2) 通しダイヤフラム形式
鉄骨柱を上下に分割し、その間に、コンクリート充填のための孔の開いた上下一対の水平(通し)ダイヤフラムを挿入し、上下の鉄骨柱にそれぞれ溶接で取付ける。上下一対の水平ダイヤフラムの端部に鉄骨梁の上下フランジを突き合わせ溶接等で取付けている。
【0006】
(3) 内ダイヤフラム形式
鉄骨柱の接合部の中央部分を水平に切断し、この切断部分から上下の鉄骨柱の内部にそれぞれ有孔の内ダイヤフラムを挿入して溶接で固定し、その後に切断した上下の鉄骨柱同士を溶接で固定し、また上下一対の内ダイヤフラムと鉄骨梁の上下フランジが一致するように鉄骨柱の側面に鉄骨梁を溶接で取付けている。
【0007】
(4) 長締ボルト引張接合形式
ボックス柱等の閉鎖形断面柱に鉄骨梁をボルトで引張接合しようとする場合、接合ボルトの柱内部のナットの取付けが物理的に困難であるため、CFT柱の接合部を水平に貫通する通しボルト(両端雄ねじ付き連結ロッド)を用いる長締ボルト引張接合形式が考えられている。例えば、鉄骨梁に取付けた接合金物に柱の側面から突出する通しボルトを挿入し、ナットを締め付けることで、接合金物を柱に締結している。平面視で柱に鉄骨梁が二方向から取り付く場合、通しボルトは、平面視で直交するX方向とY方向に配設することになる。
【0008】
【非特許文献1】
編集著作人:社団法人日本建築学会,
「コンクリート充填鋼管構造設計施工指針」,第1版,
発行所:社団法人日本建築学会,発売所:丸善株式会社,
1997年10月20日
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような従来形式の接合部構造では、次のような問題点がある。
【0010】
(1) 外ダイヤフラム形式、通しダイヤフラム形式、内ダイヤフラム形式の場合、溶接箇所が多く、製作が複雑となり、高度な溶接技術を必要とし、品質管理や精度管理にも多大の労力を必要とする。また、外ダイヤフラム形式では、柱材から大きく突出するため、運搬時の積荷効率が悪くなる。内ダイヤフラム形式では、柱材の内部に取付けるため、作業性が極めて悪い。
【0011】
(2) 長締ボルト引張接合形式の場合、X方向とY方向の通しボルトが互いに干渉し合うため、同一平面内に配置することができず、X方向とY方向の鉄骨梁のフランジレベル(上フランジレベル即ち床レベル)を一致させることができない、あるいは、X方向とY方向の接合金物に異なるものを使用しなければならない。
【0012】
なお、本出願人は、上記の(1) ,(2) の問題点を解消できる閉鎖形断面柱と梁の接合部構造を出願している(特願2001−215368)。この従来技術では、特殊な貫通金物(通しボルト)と特殊な接合金物(ティーナット)を用い、この接合金物は、貫通金物のボルトがねじ込まれるナット部と、梁フランジに溶接接合される接合部から構成している。しかし、接合金物の接合部に板状のものを使用した場合、貫通金物のボルトに接合金物をねじ込んで行くと、板状の接合部が梁フランジと一致しない場合があり、この場合には、調整用の丸座金を柱側板と接合金物との間に挿入して板状の接合部と梁フランジとが水平かつ平行になるように調整しなければならない。
【0013】
本発明は、前述のような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、従来のようなダイヤフラムを用いることなく、鉄骨柱と鉄骨梁を容易にかつ剛に接合することができ、また、鉄骨柱に取り付く二方向の鉄骨梁に接続される二方向の接合部材を同一平面内に配置することができ、さらに、柱内にコンクリートが充填されていない場合でも、前記接合部材に張力を導入することができると共に、比較的簡単な部材で容易に接合部全体の強度を向上させることができ、しかも、調整用座金等による調整作業を要することなく接合金物の接合部と梁フランジとを簡単に迅速に溶接接合することができる閉鎖形断面柱と梁の接合部構造を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、閉鎖形断面(矩形断面や円形断面など)の鉄骨柱の側面に鉄骨梁(H形鋼やI形鋼など)の端部を接合するための接合部構造であり、鉄骨柱の接合部を水平に貫通する貫通金物と、この貫通金物と梁フランジを接合する接合金物を備え、前記貫通金物は、鉄骨柱の内部に位置する金物本体と、鉄骨柱側面から突出する雄ねじ部材からなり、前記接合金物は、雄ねじ部材にねじ込まれるナット部と、梁フランジの接合端部に溶接接合される接合部からなり、この接合部の接合面はねじ込みにより回転しても梁フランジに溶接可能な平面形状とされていることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。
【0015】
接合金物は、ナット部と接合部からなる袋ナット状の部材であり、接合部は円柱状、角柱状、多角柱状等とし、円形等の接合面を形成する。両端に鉄骨梁がある場合には、両端の袋ナット状の接合金物を回転させて締め付けることで、貫通金物の雄ねじ部材に張力が導入される。片側に鉄骨梁が無い場合には、片側に通常のナット部材等を用いることができ、この場合も、ナット部材を締め付けることで、貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入することができる。接合金物の雄ねじ部材への取付けが終了すると、そのまま接合部の円形等の接合面に梁フランジの端面を突き合わせ溶接する。
【0016】
本発明の請求項2は、請求項1に記載の接合部構造において、貫通金物の金物本体は、少なくとも長手方向の中間部が上下方向に偏心すると共に、その長手方向の両端面が鉄骨柱の側板の内面に当接して側板の内側への変形を拘束するようにされていることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。
【0017】
この請求項2は、隅柱,側柱,中柱のように、平面視で鉄骨柱に二方向の鉄骨梁が取り付き、鉄骨柱の内部で二方向の貫通金物が交差する場合に適用されるものであり、二方向の貫通金物の金物本体の偏心した中間部を互いに上下逆にして重ね合わせ、二方向の貫通金物の両端部、即ち二方向の接合金物のレベルを同一レベルとする。また、貫通金物の金物本体は、雄ねじ部材の径よりも幅広の平板等とすることで、その長手方向の両端面が鉄骨柱の側板の内面に当接するようにする。さらに、この両端部は厚肉の断面楕円形等の厚肉フランジ部とするのが好ましい。
【0018】
本発明の請求項3は、請求項1または2に記載の接合部構造において、閉鎖形断面の鉄骨柱は、内部にコンクリートが充填されるコンクリート充填鉄骨柱であることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。即ち、本発明をCFT柱に適用した場合である。
【0019】
本発明の請求項4は、請求項1または2に記載の接合部構造において、閉鎖形断面の鉄骨柱は、内部に鉄筋が配設され、かつ、コンクリートが充填される鉄筋コンクリート充填鉄骨柱であることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。即ち、閉鎖形断面の鉄骨柱をSRCFT柱とした場合である。
【0020】
本発明の請求項5は、請求項1または2に記載の接合部構造において、閉鎖形断面の鉄骨柱は、内部が中空の鉄骨柱であることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。即ち、本発明を通常のS柱に適用した場合である。
【0021】
本発明の請求項6は、請求項1、2、3、4または5に記載の接合部構造において、鉄骨梁の接合端部におけるウェブが、鉄骨柱の接合部における側板に溶接され、あるいは側板に固定されたガセットプレートにボルト接合されていることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。
【0022】
なお、鉄骨柱には、角形鋼管、円形鋼管、組立ボックス柱等が用いられる。また、貫通金物が挿入取付けされる鉄骨柱の側板の外面には、柱補強板を設けることもできる。この柱補強板も、必要に応じて設けられるものである。
【0023】
以上のような構成の接合部構造において、工場等において、柱内部に貫通金物を挿入配置し、その雄ねじ部材に接合金物のナット部をねじ込んで、雄ねじ部材に張力を導入しておく。鉄骨柱に仮接合した鉄骨梁の梁フランジの端面を接合金物の接合部の円形等の接合面に溶接接合する。
【0024】
鉄骨梁に加わる外力により梁端には曲げモーメントと剪断力が作用し、曲げモーメントにより梁端フランジに引張力と圧縮力が集中する。本発明では、貫通金物と接合金物で鉄骨柱を締め付けることにより、貫通金物の雄ねじ部材に張力が導入され、鉄骨柱の側板と接合金物は圧着されて引張接合状態となり、梁フランジに加わる引張力あるいは圧縮力は、接合金物,貫通金物を介し鉄骨柱の側板に支圧力として作用する。一方向の圧縮力による他方向の側板の膨み出しは、直交方向の貫通金物の拘束効果により防止される。せん断力は、接合金物自身か、または、梁ウェブの溶接もしくは鉄骨柱に固定されたガセットプレートと梁ウェブとのボルト接合によって直接鉄骨柱に伝達される。
【0025】
本発明では、鉄骨柱を貫通する貫通金物の雄ねじ部材に接合金物により張力を導入することにより、柱梁接合部の強度を向上させることができ、水平ダイヤフラムを用いなくても、剛性の高い柱梁接合部を得ることができ、さらに、鉄骨柱に従来のような水平ダイヤフラムを設けないため、溶接作業を無くすることができ、鉄骨柱には孔を開けるだけでよいため、鉄骨柱の製作が極めて容易となり、また品質の向上も図ることができる。さらに、従来のようにダイヤフラムが外側に突出せず、隅柱などで鉄骨梁が取り付かない面は、貫通金物の端部とナットが突出するだけであるため、外壁との間にスペースがない場合にも有効に適用できる。
【0026】
少なくとも長手方向中間部が上下方向に偏心した貫通金物を用いることで、鉄骨柱に取り付く二方向の鉄骨梁に接続される二方向の接合金物を同一平面内に配置することができ、二方向の鉄骨梁のフランジレベル(上フランジレベル即ち床レベル)を一致させることができる。
【0027】
また、貫通金物の金物本体に平板状等のものを用い、その長手方向の両端面を鉄骨柱の側板の内面に当接させ、鉄骨柱の側板の内側への変形を拘束するようにしているため、鉄骨柱内にコンクリートが充填されていない場合でも、接合金物を締め付けて貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入することができる。
【0028】
また、鉄骨柱内にコンクリートを充填する場合、鋼管内周部にダイヤフラムが突出することがなく、鋼管内の中央部に棒状の貫通金物が配設されているだけなので、中詰めコンクリートの充填性が良好となる。
【0029】
また、工場等において、貫通金物と接合金物を取付け、貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入しておくことができるため、製作や管理が容易になると共に、接合金物を梁フランジに溶接するだけでよいため、施工効率が向上し、接合部全体の強度を容易かつ確実に向上させることができる。
【0030】
さらに、接合金物の接合部の梁フランジに溶接接合される接合面は、円形等であり、接合金物がねじ込みにより回転しても、どの回転位置でも梁フランジ溶接接合することができ、従来の調整用座金等による調整作業を無くすことができ、簡単に迅速に溶接接合を行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。この実施形態は、角形鋼管を用いたCFT柱に二方向の鉄骨梁が取り付く場合である。図1、図2は、本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合部構造の1例を示したものである。図3は、本発明で用いる貫通金物の1例を示したものである。図4、図5は、本発明で用いる接合金物の1例とその変形例を示したものである。
【0032】
図1において、閉鎖形断面柱と梁の接合部構造は、角形鋼管1aの内部にコンクリート1bを充填したコンクリート充填鋼管柱(以下、CFT柱と記載)1の側面に、X方向とY方向のH形断面の鉄骨梁2が取り付いており、この実施形態では、CFT柱1の接合部を水平に貫通する平板状の貫通金物3と、ナット部4aと接合部4bが一体の袋ナット状の接合金物4を用い、貫通金物3の雄ねじ部材3bにナット部4aをねじ込むことにより雄ねじ部材3bに張力を導入し(後に詳述)、接合部4bの円形接合面4cを梁フランジ2aの接合端面に突き合わせて溶接することで、鉄骨柱1の側面に鉄骨梁2を接合する。また、上下一対の貫通金物3,3間のCFT柱1の側面に梁ウェブ2bを溶接6で固定する、あるいは、CFT柱1の側面にガセットプレート(図示省略)を設け、このガセットプレートを梁ウェブ2bにボルト接合する。
【0033】
貫通金物3と接合金物4は、図1(a) の平面視では鉄骨梁2のウェブ2bを中心として左右一対で配設され、図1(b) の正面視では鉄骨梁2の上下フランジ2a、2aの位置にそれぞれ一致させて上下一対で配設されている。
【0034】
貫通金物3は、図3に示すように、角形鋼管1aの内部に配置される金物本体3aと、この金物本体3aの両端部に一体的に設けられた雄ねじ部材3bからなり、角形鋼管1aの側板(柱フランジ)1cに穿設された貫通孔7(後に詳述)により内部に挿入され、両端の雄ねじ部材3bが側板1cから外側に所定長さだけ突出するようにされている。
【0035】
この貫通金物3は、平板からなる短冊形の金物本体3aを中心軸Lに対して所定量だけ中心軸直角方向に偏心させ、X方向とY方向の貫通金物3を偏心した金物本体3aが上下逆になるように重ね合わせて配設できるようにしている(図1、図3(b) 参照)。
【0036】
金物本体3aの偏心量は、重ね合わせ面Pが中心軸Lに一致するようにし(図3(b) 参照)、重ね合わせた時にX方向とY方向の中心軸Lが同一平面内に位置するようにする。金物本体3aの中間部の形状は、重ね合わせ面Pが平坦な断面蒲鉾形とする。なお、金物本体3aの形状や偏心量は、図示例に限定されることなく、重ね合わせた時にX方向とY方向の中心軸Lが同一平面内に位置するような形状や偏心量であればよい。
【0037】
また、金物本体3aの両端部は、その板厚中心が中心軸Lに一致するように偏心した厚肉フランジ部3cとし(図3(b) 参照)、雄ねじ部材3bと一体成形する、あるいは雄ねじ部材3bを溶接等で固定する。この厚肉フランジ部3cにより、雄ねじ部材3bが金物本体3aの端部に対して偏心して取付けられるのを避け、また、厚肉により側板1の内面に対する当接面(後述)が大きくなるようにしている。厚肉フランジ部3cの断面形状は、図3(d) ,(e) に示すように、楕円形や長円形とするのが好ましい。
【0038】
金物本体3a及び厚肉フランジ部3cは、雄ねじ部材3bの径より大きい幅を有し、後述する貫通金物の雄ねじ部材3bの張力導入時に、厚肉フランジ部3cの大きな面積の端面が側板1cの内面に当接することで、側板1cの内側への変形を拘束し、角形鋼管1aの内部にコンクリートが充填されていない場合でも、側板1cが内側へ変形することがなく、貫通金物3の雄ねじ部材3bに張力を導入できるようにされている。
【0039】
なお、厚肉フランジ部3cを含む金物本体3aの長さは、角形鋼管1aの内径より若干小さく形成しておく。また、金物本体3aは、平面視で長方形状の平板とされているが、これに限らず、側板1cの内面に当接する幅広の厚肉フランジ部分が両端部にあればよい。さらに、金物本体3aの重ね合わせ面Pの反対側の面には、金物軸方向に直交する突条3dを金物軸方向に間隔をおいて複数本配置し、充填コンクリートとの付着力を高めるようにしてもよい。
【0040】
また、図1(b) に示すように、必要に応じて、貫通金物3が取付けられる角形鋼管1aの側板の外面に柱補強板8を設ける。また、この柱補強板8は板状に限らず、角形鋼管1aを取り囲むバンド状などでもよい。なお、この柱補強板8は無くてもよいものである。
【0041】
接合金物4のナット部4aは、スパナやレンチをかける部分であり、図4に示すように、雌ねじ10を有する六角や四角などの袋ナット部材である。なお、雄ねじ部材3bと雌ねじ10には、弛みの生じにくい細目ねじを用いるのが好ましい。接合部4bは、円柱状であり、その先端面に方向性のない円形接合面4cが形成され、接合金物4がねじ込みにより回転しても、どの回転位置でも梁フランジ2aを溶接接合することができる。なお、この接合部4bの形状は、円柱状が好ましいが、これに限らず、角柱状や多角形柱状など方向性のない接合面4cが形成されればよい。
【0042】
また、ナット部4aの鉄骨柱側には、座金を兼ねる円形フランジ部4dを一体的に設ける。この円形フランジ部4dは、後述する側板1cの貫通孔7を完全に覆うことができるような外径とするのが好ましい。この円形フランジ部4dは、ねじ込み終了後に、隅肉溶接で側板1cに固定される。
【0043】
図1、図2に示すように、梁フランジ2aの接合端面には溶接開先11が形成され、接合金物4の円形接合面4cと梁フランジ2aの接合端面が突き合わせ溶接継手12で接合される。なお、梁フランジ2aの板厚中心は貫通金物3の中心軸Lに一致させるのが好ましい。接合部4bの外径は、梁フランジ2aの片側フランジ幅にほぼ等しくするのが好ましい。また、図1(b) 、図2に示すように、梁ウェブ2bの接合端部における上下には、スカラップ(切欠き)13を形成し、接合金物4の取付けスペースを確保し、また溶接熱による劣化や変形等を防止する。
【0044】
なお、図示していないが、ガセットプレートを用いる場合は、せん断力を伝達するガセットプレートの基端部が角形鋼管1aの側板1cに溶接等で縦に固定され、先端部がウェブ2bの側面に添接されてボルトで接合される。この場合、スカラップを設けずに梁ウェブ2bを円形接合面4cに当接させ、接合金物4に作用するせん断力を負担させることも可能である。
【0045】
図5に示す変形例では、接合金物4の接合部4bを短い円柱状とし、この接合部4bとナット部4aとを断面が滑らかに変化する連結部4eにより一体化している。この場合も、ナット部4aが、ねじ込み終了後に、隅肉溶接で側板1cに固定される。
【0046】
貫通金物3の貫通孔7は、図1、図2に示すように、対向する一対の側板1c,1cに穿設され、板状の貫通金物3全体を外部から柱内部に挿入できるように長円形あるいは楕円形の貫通孔としている。この長円形等の貫通孔7は、図6に示すように、上下に長い孔であり、幅を雄ねじ部材3bの径より若干大きくし、縦の長さを縦にした貫通金物3の長さより十分大きい長さとされ、X方向とY方向の貫通金物3をそれぞれ縦にして挿入し、90゜回転させてセットできるようにしている。
【0047】
具体的には、先ず、最初に例えばY方向の貫通金物3を縦にして長円形等の貫通孔7から柱内に挿入し、90゜回転させて、両端の雄ねじ部材3bを貫通孔7の下部に落とし込み、水平にセットする。次に、X方向の貫通金物3も同様に縦にして柱内に挿入し、90゜回転させながら両端の雄ねじ部材3bを貫通孔7の下部に落とし込み、Y方向の平板部3aにX方向の平板部3aが重なるようにセットし、この状態のまま、X,Y方向の貫通金物3を引き上げて、X,Y方向の雄ねじ部材3bが貫通孔7の上下方向の中央位置に位置するようにする(図1、図2参照)。
【0048】
貫通孔7の上下方向の中央位置に水平状態でセットされたX,Y方向の貫通金物3が接合金物4で固定される。楕円形の厚肉フランジ部3cの長径方向の両端部が長円形等の貫通孔7の短径方向の側板内面に係止され、接合金物4の締め付け時の反力をとることとなる。
【0049】
なお、貫通金物3に接合金物4を取付けた後、接合金物4の正しい位置寸法を保持するため、接合金物4を上下から挟む小アングルやフラットバー等の位置保持ピースを側板1cに仮止めしておいてもよい。
【0050】
以上のような構成の接合部構造において、次のような手順で施工を行う(図1参照)。
【0051】
(1) 工場等において、角形鋼管1a内に貫通金物3を前述のように挿入取付けし、両端の雄ねじ部材3bが側板1cから水平に突出するようにする。側板1cから突出する雄ねじ部材3b,3bに接合金物4を取付け、片口スパナやトルクレンチで回転させて締め付けることにより、貫通金物3の雄ねじ部材3bに張力を導入する。
【0052】
貫通金物3は、金物本体3aが上下方向に偏心しているため、X方向とY方向の接合金物4の水平レベルを一致させ、二方向の鉄骨梁のフランジレベルを一致させることができる。また、角形鋼管1a内にコンクリートが充填されていなくても、貫通金物の雄ねじ部材3bに張力を導入することができる。即ち、平板状の金物本体3aの断面楕円形の厚肉フランジ部3cが側板1cの内面に当接し、接合金物4の締め付け反力として抵抗する。なお、導入張力は安全率を見込んで設定されており、接合部に引張力が作用しても、残りの張力により接合金物4の緩みが防止される。
【0053】
(2) 鉄骨梁2の梁ウェブ2bを鉄骨柱1の側板1cに仮付け溶接する。ガセットプレートを用いた場合には、梁ウェブ2bをガセットプレートにボルトで仮接合する。
【0054】
(3) 接合金物4の接合部4bの円形接合面4cに梁フランジ2aを溶接接合する。予め、接合金物4が取り付けられ、張力も導入されているため、接合作業を容易に迅速に行うことができる。さらに、円形接合面4cに梁フランジ2aを接合するため、従来のように接合金物4のねじ込み回転位置を調整用座金で調整する作業を無くすことができる。
【0055】
(4) 上記の取付け作業と並行して、角形鋼管1a内に中詰めコンクリート1bを充填することができる。
【0056】
なお、この実施形態において、CFT柱1が隅柱や側柱の場合には、鉄骨梁2が取り付かない面に、接合金物4に代えて通常のナットを使用し、雄ねじ部材3bに張力を導入できるようにする。
【0057】
図7は、角形鋼管1a内に縦方向の鉄筋20をX方向・Y方向の貫通金物3を避けて四周部に配設した例であり、SRCFT柱1が得られる。
【0058】
なお、以上のようなCFT柱やSRCFT柱に限らず、コンクリートを充填しない通常の中空鋼管柱や組立ボックス柱等にも適用することができる。さらに、柱材は角形鋼管の場合を示したが、円形鋼管などにも適用することが可能である。
【0059】
【発明の効果】
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果を得ることができる。
【0060】
(1) 閉鎖形断面の鉄骨柱とH形鋼等の鉄骨梁の接合部において、貫通金物と接合金物を用い、鉄骨柱を貫通する貫通金物の雄ねじ部材に接合金物のナット部により張力を導入することにより、柱梁接合部の強度を向上させることができ、水平ダイヤフラムを用いなくても、剛性の高い柱梁接合部を得ることができ、さらに、鉄骨柱に従来のような水平ダイヤフラムを設けないため、溶接作業を無くすことができ、鉄骨柱には孔を開けるだけでよいため、鉄骨柱の製作が極めて容易となり、また品質の向上も図ることができる。
【0061】
(2) 従来のようにダイヤフラムが外側に突出せず、隅柱などで鉄骨梁が取り付かない面は、貫通金物の端部とナットが突出するだけであるため、外壁との間にスペースがない場合にも有効に適用できる。
【0062】
(3) 少なくとも長手方向中間部が上下方向に偏心した貫通金物を用いることで、鉄骨柱に取り付く二方向の鉄骨梁に接続される二方向の接合金物を同一平面内に配置することができ、二方向の鉄骨梁のフランジレベル(上フランジレベル即ち床レベル)を一致させることができる。
【0063】
(4) 貫通金物の金物本体に平板状等のものを用い、その長手方向の両端面を鉄骨柱の側板の内面に当接させ、鉄骨柱の側板の内側への変形を拘束するようにしているため、鉄骨柱内にコンクリートが充填されていない場合でも、接合金物を回転させ締め付けて貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入することができ、柱梁接合部の性能がより向上する。
【0064】
(5) 鉄骨柱内にコンクリートを充填する場合、鋼管内周部にダイヤフラムが突出することがなく、鋼管内の中央部に棒状の貫通金物が配設されているだけなので、中詰めコンクリートの充填性が良好となる。
【0065】
(6) 工場等において、貫通金物と接合金物を取付け、貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入しておくことができるため、製作や管理が容易になると共に、接合金物を梁フランジに溶接するだけでよいため、施工効率が向上し、接合部全体の強度を容易かつ確実に向上させることができる。
【0066】
(7) 接合金物の接合部の梁フランジに溶接接合される接合面は、円形等であり、接合金物がねじ込みにより回転しても、どの回転位置でも梁フランジ溶接接合することができ、従来の調整用座金等による調整作業を無くすことができ、簡単に迅速に溶接接合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合部構造の1実施形態を示したものであり、(a) は平面図、(b) は正面図である。
【図2】図1の斜視図である。
【図3】本発明で使用する貫通金物の1例を示したものであり、(a) は平面図、(b) は正面図、(c) は底面図、(d) はA−A断面図、(e) はB−B視図である。
【図4】本発明で使用する接合金物の1例を示したものであり、(a) は平面図、(b) は正面図、(c) は断面図、(d) は左側面図、(e) は右側面図である。
【図5】本発明で使用する接合金物の変形例であり、(a) は平面図、(b) は正面図、(c) は断面図、(d) は左側面図、(e) は右側面図である。
【図6】本発明の貫通金物を柱内部に挿入配置するための貫通孔の形状を示す概略正面図である。
【図7】本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合部構造をSRCFT柱に適用した実施形態を示したものであり、(a) は平面図、(b) は正面図である。
【符号の説明】
1…コンクリート充填鋼管柱(閉鎖形断面柱)
1a…角形鋼管
1b…中詰めコンクリート
1c…側板
2…鉄骨梁
2a…上下フランジ
2b…ウェブ
3…貫通金物
3a…金物本体
3b…雄ねじ部材
3c…厚肉フランジ部
3d…突条
4…接合金物
4a…ナット部
4b…接合部
4c…円形接合面
4d…円形フランジ部
4e…連結部
6…溶接
7…貫通孔
8…柱補強板
10…雌ねじ
11…溶接開先
12…突き合わせ溶接継手
20…鉄筋
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管等の閉鎖形断面柱と梁の接合部構造に関するものであり、特にコンクリート充填鉄骨柱に有効に適用される。
【0002】
【従来の技術】
鋼管の中にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管柱(以下、CFT柱と記載:Concrete Filled steel Tubular menber)は、コンクリートの拘束により中空鋼管柱に比べて局部座屈に対して有利であり、充填されたコンクリートが鋼管の拘束を受けて三軸応力状態となり圧縮強度が増加する等の利点がある。また、CFT柱と鉄骨梁の接合部においては、鉄骨梁から柱材に伝えられる力に対して、充填コンクリートにより鋼管の局部変形が拘束されるので、中空鋼管柱に比べてダイヤフラムの寸法を小さくでき、また、充填コンクリートの存在によって柱梁接合部の仕口部のせん断耐力が大きくなる等の利点がある。
【0003】
このようなCFT柱の側面にH形鋼等からなる鉄骨梁の接合端部を接合する場合、コンクリートが未充填の中空鋼管柱と同様に、次に示すような外ダイヤフラム形式、通しダイヤフラム形式、内ダイヤフラム形式、長締ボルト引張接合形式などの接合部構造が採用され、あるいは提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
(1) 外ダイヤフラム形式
鉄骨柱の接合部の外周に、上下フランジとウェブからなる外ダイヤフラムを溶接で取付ける。外ダイヤフラムは、例えば隅部で切断して4分割し、分割した部分同士を溶接で取付けると共に、各分割部分をそれぞれ鉄骨柱の側板に溶接で取付けている。鉄骨梁は外ダイヤフラムの先端にボルト接合等で取付けている。
【0005】
(2) 通しダイヤフラム形式
鉄骨柱を上下に分割し、その間に、コンクリート充填のための孔の開いた上下一対の水平(通し)ダイヤフラムを挿入し、上下の鉄骨柱にそれぞれ溶接で取付ける。上下一対の水平ダイヤフラムの端部に鉄骨梁の上下フランジを突き合わせ溶接等で取付けている。
【0006】
(3) 内ダイヤフラム形式
鉄骨柱の接合部の中央部分を水平に切断し、この切断部分から上下の鉄骨柱の内部にそれぞれ有孔の内ダイヤフラムを挿入して溶接で固定し、その後に切断した上下の鉄骨柱同士を溶接で固定し、また上下一対の内ダイヤフラムと鉄骨梁の上下フランジが一致するように鉄骨柱の側面に鉄骨梁を溶接で取付けている。
【0007】
(4) 長締ボルト引張接合形式
ボックス柱等の閉鎖形断面柱に鉄骨梁をボルトで引張接合しようとする場合、接合ボルトの柱内部のナットの取付けが物理的に困難であるため、CFT柱の接合部を水平に貫通する通しボルト(両端雄ねじ付き連結ロッド)を用いる長締ボルト引張接合形式が考えられている。例えば、鉄骨梁に取付けた接合金物に柱の側面から突出する通しボルトを挿入し、ナットを締め付けることで、接合金物を柱に締結している。平面視で柱に鉄骨梁が二方向から取り付く場合、通しボルトは、平面視で直交するX方向とY方向に配設することになる。
【0008】
【非特許文献1】
編集著作人:社団法人日本建築学会,
「コンクリート充填鋼管構造設計施工指針」,第1版,
発行所:社団法人日本建築学会,発売所:丸善株式会社,
1997年10月20日
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような従来形式の接合部構造では、次のような問題点がある。
【0010】
(1) 外ダイヤフラム形式、通しダイヤフラム形式、内ダイヤフラム形式の場合、溶接箇所が多く、製作が複雑となり、高度な溶接技術を必要とし、品質管理や精度管理にも多大の労力を必要とする。また、外ダイヤフラム形式では、柱材から大きく突出するため、運搬時の積荷効率が悪くなる。内ダイヤフラム形式では、柱材の内部に取付けるため、作業性が極めて悪い。
【0011】
(2) 長締ボルト引張接合形式の場合、X方向とY方向の通しボルトが互いに干渉し合うため、同一平面内に配置することができず、X方向とY方向の鉄骨梁のフランジレベル(上フランジレベル即ち床レベル)を一致させることができない、あるいは、X方向とY方向の接合金物に異なるものを使用しなければならない。
【0012】
なお、本出願人は、上記の(1) ,(2) の問題点を解消できる閉鎖形断面柱と梁の接合部構造を出願している(特願2001−215368)。この従来技術では、特殊な貫通金物(通しボルト)と特殊な接合金物(ティーナット)を用い、この接合金物は、貫通金物のボルトがねじ込まれるナット部と、梁フランジに溶接接合される接合部から構成している。しかし、接合金物の接合部に板状のものを使用した場合、貫通金物のボルトに接合金物をねじ込んで行くと、板状の接合部が梁フランジと一致しない場合があり、この場合には、調整用の丸座金を柱側板と接合金物との間に挿入して板状の接合部と梁フランジとが水平かつ平行になるように調整しなければならない。
【0013】
本発明は、前述のような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、従来のようなダイヤフラムを用いることなく、鉄骨柱と鉄骨梁を容易にかつ剛に接合することができ、また、鉄骨柱に取り付く二方向の鉄骨梁に接続される二方向の接合部材を同一平面内に配置することができ、さらに、柱内にコンクリートが充填されていない場合でも、前記接合部材に張力を導入することができると共に、比較的簡単な部材で容易に接合部全体の強度を向上させることができ、しかも、調整用座金等による調整作業を要することなく接合金物の接合部と梁フランジとを簡単に迅速に溶接接合することができる閉鎖形断面柱と梁の接合部構造を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、閉鎖形断面(矩形断面や円形断面など)の鉄骨柱の側面に鉄骨梁(H形鋼やI形鋼など)の端部を接合するための接合部構造であり、鉄骨柱の接合部を水平に貫通する貫通金物と、この貫通金物と梁フランジを接合する接合金物を備え、前記貫通金物は、鉄骨柱の内部に位置する金物本体と、鉄骨柱側面から突出する雄ねじ部材からなり、前記接合金物は、雄ねじ部材にねじ込まれるナット部と、梁フランジの接合端部に溶接接合される接合部からなり、この接合部の接合面はねじ込みにより回転しても梁フランジに溶接可能な平面形状とされていることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。
【0015】
接合金物は、ナット部と接合部からなる袋ナット状の部材であり、接合部は円柱状、角柱状、多角柱状等とし、円形等の接合面を形成する。両端に鉄骨梁がある場合には、両端の袋ナット状の接合金物を回転させて締め付けることで、貫通金物の雄ねじ部材に張力が導入される。片側に鉄骨梁が無い場合には、片側に通常のナット部材等を用いることができ、この場合も、ナット部材を締め付けることで、貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入することができる。接合金物の雄ねじ部材への取付けが終了すると、そのまま接合部の円形等の接合面に梁フランジの端面を突き合わせ溶接する。
【0016】
本発明の請求項2は、請求項1に記載の接合部構造において、貫通金物の金物本体は、少なくとも長手方向の中間部が上下方向に偏心すると共に、その長手方向の両端面が鉄骨柱の側板の内面に当接して側板の内側への変形を拘束するようにされていることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。
【0017】
この請求項2は、隅柱,側柱,中柱のように、平面視で鉄骨柱に二方向の鉄骨梁が取り付き、鉄骨柱の内部で二方向の貫通金物が交差する場合に適用されるものであり、二方向の貫通金物の金物本体の偏心した中間部を互いに上下逆にして重ね合わせ、二方向の貫通金物の両端部、即ち二方向の接合金物のレベルを同一レベルとする。また、貫通金物の金物本体は、雄ねじ部材の径よりも幅広の平板等とすることで、その長手方向の両端面が鉄骨柱の側板の内面に当接するようにする。さらに、この両端部は厚肉の断面楕円形等の厚肉フランジ部とするのが好ましい。
【0018】
本発明の請求項3は、請求項1または2に記載の接合部構造において、閉鎖形断面の鉄骨柱は、内部にコンクリートが充填されるコンクリート充填鉄骨柱であることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。即ち、本発明をCFT柱に適用した場合である。
【0019】
本発明の請求項4は、請求項1または2に記載の接合部構造において、閉鎖形断面の鉄骨柱は、内部に鉄筋が配設され、かつ、コンクリートが充填される鉄筋コンクリート充填鉄骨柱であることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。即ち、閉鎖形断面の鉄骨柱をSRCFT柱とした場合である。
【0020】
本発明の請求項5は、請求項1または2に記載の接合部構造において、閉鎖形断面の鉄骨柱は、内部が中空の鉄骨柱であることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。即ち、本発明を通常のS柱に適用した場合である。
【0021】
本発明の請求項6は、請求項1、2、3、4または5に記載の接合部構造において、鉄骨梁の接合端部におけるウェブが、鉄骨柱の接合部における側板に溶接され、あるいは側板に固定されたガセットプレートにボルト接合されていることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造である。
【0022】
なお、鉄骨柱には、角形鋼管、円形鋼管、組立ボックス柱等が用いられる。また、貫通金物が挿入取付けされる鉄骨柱の側板の外面には、柱補強板を設けることもできる。この柱補強板も、必要に応じて設けられるものである。
【0023】
以上のような構成の接合部構造において、工場等において、柱内部に貫通金物を挿入配置し、その雄ねじ部材に接合金物のナット部をねじ込んで、雄ねじ部材に張力を導入しておく。鉄骨柱に仮接合した鉄骨梁の梁フランジの端面を接合金物の接合部の円形等の接合面に溶接接合する。
【0024】
鉄骨梁に加わる外力により梁端には曲げモーメントと剪断力が作用し、曲げモーメントにより梁端フランジに引張力と圧縮力が集中する。本発明では、貫通金物と接合金物で鉄骨柱を締め付けることにより、貫通金物の雄ねじ部材に張力が導入され、鉄骨柱の側板と接合金物は圧着されて引張接合状態となり、梁フランジに加わる引張力あるいは圧縮力は、接合金物,貫通金物を介し鉄骨柱の側板に支圧力として作用する。一方向の圧縮力による他方向の側板の膨み出しは、直交方向の貫通金物の拘束効果により防止される。せん断力は、接合金物自身か、または、梁ウェブの溶接もしくは鉄骨柱に固定されたガセットプレートと梁ウェブとのボルト接合によって直接鉄骨柱に伝達される。
【0025】
本発明では、鉄骨柱を貫通する貫通金物の雄ねじ部材に接合金物により張力を導入することにより、柱梁接合部の強度を向上させることができ、水平ダイヤフラムを用いなくても、剛性の高い柱梁接合部を得ることができ、さらに、鉄骨柱に従来のような水平ダイヤフラムを設けないため、溶接作業を無くすることができ、鉄骨柱には孔を開けるだけでよいため、鉄骨柱の製作が極めて容易となり、また品質の向上も図ることができる。さらに、従来のようにダイヤフラムが外側に突出せず、隅柱などで鉄骨梁が取り付かない面は、貫通金物の端部とナットが突出するだけであるため、外壁との間にスペースがない場合にも有効に適用できる。
【0026】
少なくとも長手方向中間部が上下方向に偏心した貫通金物を用いることで、鉄骨柱に取り付く二方向の鉄骨梁に接続される二方向の接合金物を同一平面内に配置することができ、二方向の鉄骨梁のフランジレベル(上フランジレベル即ち床レベル)を一致させることができる。
【0027】
また、貫通金物の金物本体に平板状等のものを用い、その長手方向の両端面を鉄骨柱の側板の内面に当接させ、鉄骨柱の側板の内側への変形を拘束するようにしているため、鉄骨柱内にコンクリートが充填されていない場合でも、接合金物を締め付けて貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入することができる。
【0028】
また、鉄骨柱内にコンクリートを充填する場合、鋼管内周部にダイヤフラムが突出することがなく、鋼管内の中央部に棒状の貫通金物が配設されているだけなので、中詰めコンクリートの充填性が良好となる。
【0029】
また、工場等において、貫通金物と接合金物を取付け、貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入しておくことができるため、製作や管理が容易になると共に、接合金物を梁フランジに溶接するだけでよいため、施工効率が向上し、接合部全体の強度を容易かつ確実に向上させることができる。
【0030】
さらに、接合金物の接合部の梁フランジに溶接接合される接合面は、円形等であり、接合金物がねじ込みにより回転しても、どの回転位置でも梁フランジ溶接接合することができ、従来の調整用座金等による調整作業を無くすことができ、簡単に迅速に溶接接合を行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。この実施形態は、角形鋼管を用いたCFT柱に二方向の鉄骨梁が取り付く場合である。図1、図2は、本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合部構造の1例を示したものである。図3は、本発明で用いる貫通金物の1例を示したものである。図4、図5は、本発明で用いる接合金物の1例とその変形例を示したものである。
【0032】
図1において、閉鎖形断面柱と梁の接合部構造は、角形鋼管1aの内部にコンクリート1bを充填したコンクリート充填鋼管柱(以下、CFT柱と記載)1の側面に、X方向とY方向のH形断面の鉄骨梁2が取り付いており、この実施形態では、CFT柱1の接合部を水平に貫通する平板状の貫通金物3と、ナット部4aと接合部4bが一体の袋ナット状の接合金物4を用い、貫通金物3の雄ねじ部材3bにナット部4aをねじ込むことにより雄ねじ部材3bに張力を導入し(後に詳述)、接合部4bの円形接合面4cを梁フランジ2aの接合端面に突き合わせて溶接することで、鉄骨柱1の側面に鉄骨梁2を接合する。また、上下一対の貫通金物3,3間のCFT柱1の側面に梁ウェブ2bを溶接6で固定する、あるいは、CFT柱1の側面にガセットプレート(図示省略)を設け、このガセットプレートを梁ウェブ2bにボルト接合する。
【0033】
貫通金物3と接合金物4は、図1(a) の平面視では鉄骨梁2のウェブ2bを中心として左右一対で配設され、図1(b) の正面視では鉄骨梁2の上下フランジ2a、2aの位置にそれぞれ一致させて上下一対で配設されている。
【0034】
貫通金物3は、図3に示すように、角形鋼管1aの内部に配置される金物本体3aと、この金物本体3aの両端部に一体的に設けられた雄ねじ部材3bからなり、角形鋼管1aの側板(柱フランジ)1cに穿設された貫通孔7(後に詳述)により内部に挿入され、両端の雄ねじ部材3bが側板1cから外側に所定長さだけ突出するようにされている。
【0035】
この貫通金物3は、平板からなる短冊形の金物本体3aを中心軸Lに対して所定量だけ中心軸直角方向に偏心させ、X方向とY方向の貫通金物3を偏心した金物本体3aが上下逆になるように重ね合わせて配設できるようにしている(図1、図3(b) 参照)。
【0036】
金物本体3aの偏心量は、重ね合わせ面Pが中心軸Lに一致するようにし(図3(b) 参照)、重ね合わせた時にX方向とY方向の中心軸Lが同一平面内に位置するようにする。金物本体3aの中間部の形状は、重ね合わせ面Pが平坦な断面蒲鉾形とする。なお、金物本体3aの形状や偏心量は、図示例に限定されることなく、重ね合わせた時にX方向とY方向の中心軸Lが同一平面内に位置するような形状や偏心量であればよい。
【0037】
また、金物本体3aの両端部は、その板厚中心が中心軸Lに一致するように偏心した厚肉フランジ部3cとし(図3(b) 参照)、雄ねじ部材3bと一体成形する、あるいは雄ねじ部材3bを溶接等で固定する。この厚肉フランジ部3cにより、雄ねじ部材3bが金物本体3aの端部に対して偏心して取付けられるのを避け、また、厚肉により側板1の内面に対する当接面(後述)が大きくなるようにしている。厚肉フランジ部3cの断面形状は、図3(d) ,(e) に示すように、楕円形や長円形とするのが好ましい。
【0038】
金物本体3a及び厚肉フランジ部3cは、雄ねじ部材3bの径より大きい幅を有し、後述する貫通金物の雄ねじ部材3bの張力導入時に、厚肉フランジ部3cの大きな面積の端面が側板1cの内面に当接することで、側板1cの内側への変形を拘束し、角形鋼管1aの内部にコンクリートが充填されていない場合でも、側板1cが内側へ変形することがなく、貫通金物3の雄ねじ部材3bに張力を導入できるようにされている。
【0039】
なお、厚肉フランジ部3cを含む金物本体3aの長さは、角形鋼管1aの内径より若干小さく形成しておく。また、金物本体3aは、平面視で長方形状の平板とされているが、これに限らず、側板1cの内面に当接する幅広の厚肉フランジ部分が両端部にあればよい。さらに、金物本体3aの重ね合わせ面Pの反対側の面には、金物軸方向に直交する突条3dを金物軸方向に間隔をおいて複数本配置し、充填コンクリートとの付着力を高めるようにしてもよい。
【0040】
また、図1(b) に示すように、必要に応じて、貫通金物3が取付けられる角形鋼管1aの側板の外面に柱補強板8を設ける。また、この柱補強板8は板状に限らず、角形鋼管1aを取り囲むバンド状などでもよい。なお、この柱補強板8は無くてもよいものである。
【0041】
接合金物4のナット部4aは、スパナやレンチをかける部分であり、図4に示すように、雌ねじ10を有する六角や四角などの袋ナット部材である。なお、雄ねじ部材3bと雌ねじ10には、弛みの生じにくい細目ねじを用いるのが好ましい。接合部4bは、円柱状であり、その先端面に方向性のない円形接合面4cが形成され、接合金物4がねじ込みにより回転しても、どの回転位置でも梁フランジ2aを溶接接合することができる。なお、この接合部4bの形状は、円柱状が好ましいが、これに限らず、角柱状や多角形柱状など方向性のない接合面4cが形成されればよい。
【0042】
また、ナット部4aの鉄骨柱側には、座金を兼ねる円形フランジ部4dを一体的に設ける。この円形フランジ部4dは、後述する側板1cの貫通孔7を完全に覆うことができるような外径とするのが好ましい。この円形フランジ部4dは、ねじ込み終了後に、隅肉溶接で側板1cに固定される。
【0043】
図1、図2に示すように、梁フランジ2aの接合端面には溶接開先11が形成され、接合金物4の円形接合面4cと梁フランジ2aの接合端面が突き合わせ溶接継手12で接合される。なお、梁フランジ2aの板厚中心は貫通金物3の中心軸Lに一致させるのが好ましい。接合部4bの外径は、梁フランジ2aの片側フランジ幅にほぼ等しくするのが好ましい。また、図1(b) 、図2に示すように、梁ウェブ2bの接合端部における上下には、スカラップ(切欠き)13を形成し、接合金物4の取付けスペースを確保し、また溶接熱による劣化や変形等を防止する。
【0044】
なお、図示していないが、ガセットプレートを用いる場合は、せん断力を伝達するガセットプレートの基端部が角形鋼管1aの側板1cに溶接等で縦に固定され、先端部がウェブ2bの側面に添接されてボルトで接合される。この場合、スカラップを設けずに梁ウェブ2bを円形接合面4cに当接させ、接合金物4に作用するせん断力を負担させることも可能である。
【0045】
図5に示す変形例では、接合金物4の接合部4bを短い円柱状とし、この接合部4bとナット部4aとを断面が滑らかに変化する連結部4eにより一体化している。この場合も、ナット部4aが、ねじ込み終了後に、隅肉溶接で側板1cに固定される。
【0046】
貫通金物3の貫通孔7は、図1、図2に示すように、対向する一対の側板1c,1cに穿設され、板状の貫通金物3全体を外部から柱内部に挿入できるように長円形あるいは楕円形の貫通孔としている。この長円形等の貫通孔7は、図6に示すように、上下に長い孔であり、幅を雄ねじ部材3bの径より若干大きくし、縦の長さを縦にした貫通金物3の長さより十分大きい長さとされ、X方向とY方向の貫通金物3をそれぞれ縦にして挿入し、90゜回転させてセットできるようにしている。
【0047】
具体的には、先ず、最初に例えばY方向の貫通金物3を縦にして長円形等の貫通孔7から柱内に挿入し、90゜回転させて、両端の雄ねじ部材3bを貫通孔7の下部に落とし込み、水平にセットする。次に、X方向の貫通金物3も同様に縦にして柱内に挿入し、90゜回転させながら両端の雄ねじ部材3bを貫通孔7の下部に落とし込み、Y方向の平板部3aにX方向の平板部3aが重なるようにセットし、この状態のまま、X,Y方向の貫通金物3を引き上げて、X,Y方向の雄ねじ部材3bが貫通孔7の上下方向の中央位置に位置するようにする(図1、図2参照)。
【0048】
貫通孔7の上下方向の中央位置に水平状態でセットされたX,Y方向の貫通金物3が接合金物4で固定される。楕円形の厚肉フランジ部3cの長径方向の両端部が長円形等の貫通孔7の短径方向の側板内面に係止され、接合金物4の締め付け時の反力をとることとなる。
【0049】
なお、貫通金物3に接合金物4を取付けた後、接合金物4の正しい位置寸法を保持するため、接合金物4を上下から挟む小アングルやフラットバー等の位置保持ピースを側板1cに仮止めしておいてもよい。
【0050】
以上のような構成の接合部構造において、次のような手順で施工を行う(図1参照)。
【0051】
(1) 工場等において、角形鋼管1a内に貫通金物3を前述のように挿入取付けし、両端の雄ねじ部材3bが側板1cから水平に突出するようにする。側板1cから突出する雄ねじ部材3b,3bに接合金物4を取付け、片口スパナやトルクレンチで回転させて締め付けることにより、貫通金物3の雄ねじ部材3bに張力を導入する。
【0052】
貫通金物3は、金物本体3aが上下方向に偏心しているため、X方向とY方向の接合金物4の水平レベルを一致させ、二方向の鉄骨梁のフランジレベルを一致させることができる。また、角形鋼管1a内にコンクリートが充填されていなくても、貫通金物の雄ねじ部材3bに張力を導入することができる。即ち、平板状の金物本体3aの断面楕円形の厚肉フランジ部3cが側板1cの内面に当接し、接合金物4の締め付け反力として抵抗する。なお、導入張力は安全率を見込んで設定されており、接合部に引張力が作用しても、残りの張力により接合金物4の緩みが防止される。
【0053】
(2) 鉄骨梁2の梁ウェブ2bを鉄骨柱1の側板1cに仮付け溶接する。ガセットプレートを用いた場合には、梁ウェブ2bをガセットプレートにボルトで仮接合する。
【0054】
(3) 接合金物4の接合部4bの円形接合面4cに梁フランジ2aを溶接接合する。予め、接合金物4が取り付けられ、張力も導入されているため、接合作業を容易に迅速に行うことができる。さらに、円形接合面4cに梁フランジ2aを接合するため、従来のように接合金物4のねじ込み回転位置を調整用座金で調整する作業を無くすことができる。
【0055】
(4) 上記の取付け作業と並行して、角形鋼管1a内に中詰めコンクリート1bを充填することができる。
【0056】
なお、この実施形態において、CFT柱1が隅柱や側柱の場合には、鉄骨梁2が取り付かない面に、接合金物4に代えて通常のナットを使用し、雄ねじ部材3bに張力を導入できるようにする。
【0057】
図7は、角形鋼管1a内に縦方向の鉄筋20をX方向・Y方向の貫通金物3を避けて四周部に配設した例であり、SRCFT柱1が得られる。
【0058】
なお、以上のようなCFT柱やSRCFT柱に限らず、コンクリートを充填しない通常の中空鋼管柱や組立ボックス柱等にも適用することができる。さらに、柱材は角形鋼管の場合を示したが、円形鋼管などにも適用することが可能である。
【0059】
【発明の効果】
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果を得ることができる。
【0060】
(1) 閉鎖形断面の鉄骨柱とH形鋼等の鉄骨梁の接合部において、貫通金物と接合金物を用い、鉄骨柱を貫通する貫通金物の雄ねじ部材に接合金物のナット部により張力を導入することにより、柱梁接合部の強度を向上させることができ、水平ダイヤフラムを用いなくても、剛性の高い柱梁接合部を得ることができ、さらに、鉄骨柱に従来のような水平ダイヤフラムを設けないため、溶接作業を無くすことができ、鉄骨柱には孔を開けるだけでよいため、鉄骨柱の製作が極めて容易となり、また品質の向上も図ることができる。
【0061】
(2) 従来のようにダイヤフラムが外側に突出せず、隅柱などで鉄骨梁が取り付かない面は、貫通金物の端部とナットが突出するだけであるため、外壁との間にスペースがない場合にも有効に適用できる。
【0062】
(3) 少なくとも長手方向中間部が上下方向に偏心した貫通金物を用いることで、鉄骨柱に取り付く二方向の鉄骨梁に接続される二方向の接合金物を同一平面内に配置することができ、二方向の鉄骨梁のフランジレベル(上フランジレベル即ち床レベル)を一致させることができる。
【0063】
(4) 貫通金物の金物本体に平板状等のものを用い、その長手方向の両端面を鉄骨柱の側板の内面に当接させ、鉄骨柱の側板の内側への変形を拘束するようにしているため、鉄骨柱内にコンクリートが充填されていない場合でも、接合金物を回転させ締め付けて貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入することができ、柱梁接合部の性能がより向上する。
【0064】
(5) 鉄骨柱内にコンクリートを充填する場合、鋼管内周部にダイヤフラムが突出することがなく、鋼管内の中央部に棒状の貫通金物が配設されているだけなので、中詰めコンクリートの充填性が良好となる。
【0065】
(6) 工場等において、貫通金物と接合金物を取付け、貫通金物の雄ねじ部材に張力を導入しておくことができるため、製作や管理が容易になると共に、接合金物を梁フランジに溶接するだけでよいため、施工効率が向上し、接合部全体の強度を容易かつ確実に向上させることができる。
【0066】
(7) 接合金物の接合部の梁フランジに溶接接合される接合面は、円形等であり、接合金物がねじ込みにより回転しても、どの回転位置でも梁フランジ溶接接合することができ、従来の調整用座金等による調整作業を無くすことができ、簡単に迅速に溶接接合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合部構造の1実施形態を示したものであり、(a) は平面図、(b) は正面図である。
【図2】図1の斜視図である。
【図3】本発明で使用する貫通金物の1例を示したものであり、(a) は平面図、(b) は正面図、(c) は底面図、(d) はA−A断面図、(e) はB−B視図である。
【図4】本発明で使用する接合金物の1例を示したものであり、(a) は平面図、(b) は正面図、(c) は断面図、(d) は左側面図、(e) は右側面図である。
【図5】本発明で使用する接合金物の変形例であり、(a) は平面図、(b) は正面図、(c) は断面図、(d) は左側面図、(e) は右側面図である。
【図6】本発明の貫通金物を柱内部に挿入配置するための貫通孔の形状を示す概略正面図である。
【図7】本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合部構造をSRCFT柱に適用した実施形態を示したものであり、(a) は平面図、(b) は正面図である。
【符号の説明】
1…コンクリート充填鋼管柱(閉鎖形断面柱)
1a…角形鋼管
1b…中詰めコンクリート
1c…側板
2…鉄骨梁
2a…上下フランジ
2b…ウェブ
3…貫通金物
3a…金物本体
3b…雄ねじ部材
3c…厚肉フランジ部
3d…突条
4…接合金物
4a…ナット部
4b…接合部
4c…円形接合面
4d…円形フランジ部
4e…連結部
6…溶接
7…貫通孔
8…柱補強板
10…雌ねじ
11…溶接開先
12…突き合わせ溶接継手
20…鉄筋
Claims (6)
- 閉鎖形断面の鉄骨柱の側面に鉄骨梁の端部を接合するための接合部構造であり、鉄骨柱の接合部を水平に貫通する貫通金物と、この貫通金物と梁フランジを接合する接合金物を備え、前記貫通金物は、鉄骨柱の内部に位置する金物本体と、鉄骨柱側面から突出する雄ねじ部材からなり、前記接合金物は、雄ねじ部材にねじ込まれるナット部と、梁フランジの接合端部に溶接接合される接合部からなり、この接合部の接合面はねじ込みにより回転しても梁フランジに溶接可能な平面形状とされていることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造。
- 請求項1に記載の接合部構造において、貫通金物の金物本体は、少なくとも長手方向の中間部が上下方向に偏心すると共に、その長手方向の両端面が鉄骨柱の側板の内面に当接して側板の内側への変形を拘束するようにされていることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造。
- 請求項1または2に記載の接合部構造において、閉鎖形断面の鉄骨柱は、内部にコンクリートが充填されるコンクリート充填鉄骨柱であることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造。
- 請求項1または2に記載の接合部構造において、閉鎖形断面の鉄骨柱は、内部に鉄筋が配設され、かつ、コンクリートが充填される鉄筋コンクリート充填鉄骨柱であることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造。
- 請求項1または2に記載の接合部構造において、閉鎖形断面の鉄骨柱は、内部が中空の鉄骨柱であることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造。
- 請求項1、2、3、4または5に記載の接合部構造において、鉄骨梁の接合端部におけるウェブが、鉄骨柱の接合部における側板に溶接され、あるいは側板に固定されたガセットプレートにボルト接合されていることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合部構造。
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|---|---|---|---|
| JP2002374114A JP2004204526A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 閉鎖形断面柱と梁の接合部構造 |
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