JP2004204912A - 転動装置 - Google Patents

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JP2004204912A JP2002372963A JP2002372963A JP2004204912A JP 2004204912 A JP2004204912 A JP 2004204912A JP 2002372963 A JP2002372963 A JP 2002372963A JP 2002372963 A JP2002372963 A JP 2002372963A JP 2004204912 A JP2004204912 A JP 2004204912A
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Norifumi Ikeda
憲文 池田
Koichi Yamamoto
幸一 山本
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Abstract

【課題】セラミック製転動体を用いた場合において長期の音響耐久性を有するのは勿論のこと、初期音響特性の向上をも図る。
【解決手段】外輪11と内輪12との間に複数の転動体13が転動可能に配設された深溝玉軸受10において、前記転動体13が、厚さ1mmでの波長650nmの光の直線透過率が30%以上であるセラミック材料で形成され、且つ前記光を用いた外観観察で得られた欠陥の検出結果に基づいた検査で初期音響特性が保証されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)やその他の家電製品等に搭載される冷却用ファンモータ等に好適に用いられる転動装置に関し、特に静粛性が要求される転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばパソコンに内蔵されているCPU冷却用のファンモータの主軸を支持する転動装置には、軸受鋼やステンレス鋼等の金属材料で形成された転動体を組み込んだ転がり軸受が使用されている。ところで、パソコン等を周囲が静かな環境で使用する場合には、耳障りなファンの回転音や微小振動がユーザに対して不快感を与えることから前記転がり軸受に対しては極めて高い静粛性が求められる。また、エアコン等の送風機用のファンについても深夜の時間帯に使用される場合には静粛性が必要不可欠であるため、該ファンの回転支持部を支持する転がり軸受にも高い静粛性が求められる。
【0003】
しかし、内外軌道輪及び転動体が金属材料のみによって形成された転がり軸受は、軸受のトルク減少(モータの省電力化)の目的で軸受の油分の少量化、低粘度化が進むと、軸受の潤滑条件が厳しくなり、長期間の使用によっては転動体と軌道輪との接触部に微小焼付きを発生し、音響が劣化するという問題がある。
この問題を解決するために、窒化けい素に代表されるセラミック球を転動体に用いて長期の音響耐久性を図るようにした転がり軸受(例えば特許文献1〜3参照)が提案されているが、セラミック球の表面は軸受鋼等の金属製の転動体と比較して表面の気孔等が発生し易く、長期間の音響特性劣化を抑制することに対しては有効でも初期状態での音響(初期音響特性)は金属製の転動体を用いた転がり軸受に対して劣っていた。
【0004】
そこで、セラミック球の初期音響特性の対策として、真球度が0.08μm以下、表面粗さRaが0.012μm以下であり、且つ表面の最大空孔サイズが5μm以下であるセラミック球が提案されている(例えば特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−185370号公報
【特許文献2】
特開平11−223220号公報
【特許文献3】
特開2000−184652号公報
【特許文献4】
特開2000−314426号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、より効果的に転がり軸受の静粛性を改善するためには、上記特許文献4に開示されているように、転動体表面の最大空孔サイズを5μm以下としただけでは充分ではなく、転動体表面近傍に存在する空孔サイズを含めた真の有効欠陥サイズを限定する必要がある。すなわち、たとえ転動体表面に露出した欠陥が5μm以下であっても、その欠陥が転動体表面下で50μmの空間容積を有している場合は、回転初期段階での欠陥表層部の破壊により、欠陥サイズが増大して軸受の音響機能を阻害する可能性がある。
【0007】
しかしながら、転動体に通常用いられるセラミック材料は透光性に乏しく、内部の欠陥形状を外部から把握することは難しいため、通常のセラミツク球の検査では、表面に露出した欠陥しか把握することができず、転がり軸受の静粛性を保証することは難しいという問題がある。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、セラミック製転動体を用いた場合において長期の音響耐久性を有するのは勿論のこと、初期音響特性の向上をも図ることができる転動装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、外方部材と内方部材との間に複数の転動体が転動可能に配設された転動装置において、
前記転動体が、厚さ1mmでの波長650nmの光の直線透過率が30%以上、好ましくは40%以上であるセラミック材料で形成され、且つ前記光を用いた外観観察で得られた欠陥の検出結果に基づいた検査で初期音響特性が保証されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、転動体を、厚さ1mmでの波長650nmの光の直線透過率が30%以上のセラミック材料で形成することにより、可視光周辺の光源を用いた外観観察において、表面欠陥の他に初期音響特性として有害となり得る表層部に潜在する欠陥をも検出することができるので、該検出結果に基づいた検査で初期音響特性が保証されたセラミック製転動体を用いることにより、長期の音響耐久性を確保しつつ初期音響特性の向上も図ることができ、この結果、静粛性が保証された転動装置を提供することができる。
【0010】
ここで、前記直線透過率が30%未満であると、転動体内部までの欠陥が検出できず、潜在的な欠陥を見落とす場合がある。また、前記セラミック材料は熱伝導率が30W/m・K以上のものを使用すれば、転動装置の内部で発生した熱や他の熱源から転動装置に伝達された熱を効率よく排出することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記セラミック材料が純度99.5%以上、好ましくは99.9%以上のアルミナを主成分とした加圧焼結体であることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、前記セラミック材料の透光性を得易く、また、欠陥を検出しやすいので、検出精度の向上を図ることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記内方部材及び前記外方部材が鋼で形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、内方部材及び外方部材をセラミック材料で形成した場合に比べてコスト的に有利な転動装置とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図を参照して説明する。図1は本発明の実施形態の一例である深溝玉軸受の断面図、図2は音響耐久試験機の断面図、図3は実施例と比較例における転動体に用いたアルミナ素材の直線透過率と初期音響値との比較を示すグラフ図である。
【0013】
図1は本発明に係る転動装置の実施の形態の一例である深溝玉軸受を示したものであり、この深溝玉軸受(♯608:外径φ22mm、内径φ8mm、転動体径(玉径)φ5/32in.)10は、外輪(外方部材)11と内輪(内方部材)12との間に複数の転動体13が保持器14を介して周方向に転動可能に配設されている。
【0014】
ここで、この実施の形態では、前記転動体13が、厚さ1mmでの波長650nmの光の直線透過率が30%以上、好ましくは40%以上であるセラミック材料で形成され、且つ前記光を用いた外観観察で得られた欠陥の検出結果に基づいた検査で初期音響特性が保証されている。
このように、転動体13を、厚さ1mmでの波長650nmの光の直線透過率が30%以上のセラミック材料で形成することにより、可視光周辺の光源を用いた外観観察において、表面欠陥の他に初期音響特性として有害となり得る表層部に潜在する欠陥をも検出することができる。
【0015】
従って、該検出結果に基づいた検査により、転動体表面に露出した欠陥及び表層部の欠陥(空孔)のサイズが例えば5μm以下のものを選別して初期音響特性が保証されたセラミック球を用いることにより、長期の音響耐久性を確保しつつ初期音響特性の向上も図ることができ、この結果、静粛性が保証された深溝玉軸受を提供することができる。
【0016】
なお、この実施の形態では、コスト的に有利なものとするために外輪11及び内輪12を軸受鋼で形成しているが、これに限定されず、外輪11及び内輪12をステンレス鋼やセラミック材料で形成してもよい。また、保持器14は冠型保持器を用いているが、冠型保持器の他に適宜周知の保持器を用いることが可能である。
【0017】
前記転動体13を形成するセラミック材料は、純度が99.9%以上で、加圧焼結された高純度アルミナとされている。この高純度アルミナ球は、原料粉末として99.99質量%以上で、一次粒子の中心粒径が0.5μm以下の高純度微細アルミナ粉末を用いて、各種焼結助剤を前記純度を維持できる範囲で加え、転動造粒成形法によって球体に成形し、結晶粒子を成長させないように配慮しながら1400°C以下で一次焼結を行った後、HIP焼結され、該焼結体の平均結晶粒径は、1μm以下にされている。ここで、前記焼結体の結晶粒子を細かくすることにより、転動体13の摩耗を抑制し、軸受機能の長期安定性を維持することができる。
【0018】
この実施の形態では、転動体13に用いたアルミナ素材は、密度が3.9g/cm3 、室温での3点曲げ強さが500MPa以上、ビッカース硬さが2000HV、破壊靭性値が3.5MPa・m0.5 、熱伝導率が35W/m・Kとされている。各物性値については特に限定するものではないが、軸受の静定格荷重を満足し、軸受として長寿命であるためには、室温での3点曲げ強さが320MPa以上、破壊靭性値が3.0MPa・m0.5 以上が好ましい。また、軸受内部で発生した熱や他の熱源から軸受に伝達された熱を効率よく排出するためには、熱伝導率は30W/m・K以上が好ましい。
【0019】
更に、軸受として良好な音響特性を得るためには、転動体13の表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)で、0.1μm以下、好ましくは0.05μm以下とすることが望ましい。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば上記実施の形態では、転動装置として深溝玉軸受を例に採ったが、これに限定されず、その他の転がり軸受やボールねじ装置、リニアガイド装置等に本発明を適用してもよい。
【0020】
【実施例】
本発明の効果を確認するため、アルミナ球の加圧焼結体の助剤成分を調整して表1に示すような純度及び直線透過率の異なる複数種のサンプル(アルミナ1〜5)をそれぞれ複数個作成した。
【0021】
【表1】
Figure 2004204912
【0022】
ここで、焼結したアルミナ球(アルミナ1〜5)は中心部を厚さ1mmの円形ペレットとして切り出し、両端をダイヤモンドスラリーによって鏡面研磨した後、市販の透過率測定計(島津製作所社製UV−12)によって、波長650nmの光に対する直線透過率を測定し、また、残りのサンプル(アルミナ1〜5)については、溝付きのラップ盤によってJISB1501に規定される等級5以上の精度まで球体化し、転動体サンプルとした。
【0023】
次に、作成された各転動体サンプル(アルミナ1〜5)について、それぞれ自動外観選別機を用いて同一条件で外観選別を行った。これによって合格(例えば空孔が5μm以下)と判断された転動体サンプル(アルミナ1〜5)をそれぞれ図1と同一構造の外輪11、内輪12及び保持器4と組み合わせ、それぞれ同数量の表2に示す実施例1〜4及び比較例1の深溝玉軸受を作成した。なお、外輪11及び内輪12には軸受鋼(SUJ2)を用いた。
【0024】
【表2】
Figure 2004204912
【0025】
次に、実施例1〜4及び比較例1の深溝玉軸受について、それぞれ図2に示すような試験機を用いて音響耐久試験を行った。
この試験機は、ベースB上に取り付けられたハウジング2と主軸Sとの間に試験軸受としての深溝玉軸受10が2個一組で嵌合されており、各軸受10間には外輪間座3が組み込まれている。図中上側の深溝玉軸受10は内輪12がナット4で押圧されるようになっており、これにより、軸受に予圧を負荷して軸剛性を維持できるようにしている。ここで、この軸受予圧荷重を19.6Nとし、回転速度3000min-1で音響耐久試験を行った。試験は回転開始1時間後までの音響測定値(アンデロン値)の平均値を各実施例、比較例間での代表値とし、初期音響を評価した。
【0026】
図3に、実施例1〜4及び比較例1の深溝玉軸受10の初期音響値と転動体に用いたアルミナ素材1〜5の直線透過率との比較を示す。なお、初期音響値は比較例1を1とした相対値で示した。
図3から明らかなように、直線透過率を30%以上としたアルミナ素材1〜4を転動体に用いた本発明の実施例1〜4は、直線透過率が30%未満のアルミナ素材5を転動体に用いた比較例1と比較して約6割程度の初期音響値を示しているのが判る。
【0027】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、請求項1の発明によれば、転動体を、厚さ1mmでの波長650nmの光の直線透過率が30%以上のセラミック材料で形成することにより、可視光周辺の光源を用いた外観観察において、表面欠陥の他に初期音響特性として有害となり得る表層部に潜在する欠陥(内部欠陥)をも検出することができるので、該検出結果に基づいた検査で初期音響特性が保証されたセラミック製転動体を用いることにより、長期の音響耐久性を確保しつつ初期音響特性の向上も図ることができ、この結果、静粛性が保証された転動装置を提供することができる。
【0028】
請求項2の発明では、請求項1の発明に加えて、セラミック材料を純度99.5%以上のアルミナを主成分とした加圧焼結体とすることにより、セラミック材料の透光性を得易く、また、欠陥を検出しやすくなるので、検出精度の向上を図ることができる。
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明に加えて、内方部材及び外方部材を鋼で形成することにより、内方部材及び外方部材をセラミック材料で形成した場合に比べてコスト的に有利な転動装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例である深溝玉軸受の断面図である。
【図2】音響耐久試験機の断面図である。
【図3】実施例と比較例における転動体に用いたアルミナ素材の直線透過率と初期音響値との比較を示すグラフ図である。
【符号の説明】
10…深溝玉軸受(転動装置)
11…外輪(外方部材)
12…内輪(内方部材)
13…転動体

Claims (3)

  1. 外方部材と内方部材との間に複数の転動体が転動可能に配設された転動装置において、
    前記転動体が、厚さ1mmでの波長650nmの光の直線透過率が30%以上であるセラミック材料で形成され、且つ前記光を用いた外観観察で得られた欠陥の検出結果に基づいた検査で初期音響特性が保証されていることを特徴とする転動装置。
  2. 前記セラミック材料が純度99.5%以上のアルミナを主成分とした加圧焼結体であることを特徴とする請求項1記載の転動装置。
  3. 前記内方部材及び前記外方部材が鋼で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の転動装置。
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