JP2004217455A - 塩素ガスの乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の塩素ガスの乾燥装置(1)は、塩素ガス(2)および硫酸(3)と接触する金属材料が、質量分率でクロムを18%〜24%、モリブデンを12%〜18%および鉄を0.5%〜7%それぞれ含有するニッケル基合金材である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、塩素ガスの乾燥装置に関し、詳しくは水分を含む塩素ガスを硫酸と接触させて乾燥させるための乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水分を含む塩素ガス(2)を乾燥させるための乾燥装置として、図1に示すような乾燥装置(1)が知られている(特許文献1:実開平6−24730号公報)。かかる乾燥装置(1)では、乾燥塔本体(10)内に、塔底(11)から水分を含む塩素ガス(2)を供給すると共に塔頂(12)から硫酸(3)を供給して、乾燥塔本体(10)内で塩素ガス(2)と液状の硫酸(3)とを接触させる。乾燥塔本体(10)内には、塩素ガス(2)が硫酸(3)と十分に接触するように、充填物(6)、泡鐘トレイ(7)などの気液接触部が設けられている。乾燥塔本体(10)内に供給された塩素ガス(2)は硫酸(3)に水分を吸収されて乾燥される。乾燥後の塩素ガス(2’)は塔頂(12)から外部に導かれる。
【0003】
かかる乾燥装置(1)には、機械的強度を確保するために、乾燥塔本体(10)や、気液接触部(6、7)などに炭素鋼、ステンレス鋼などの金属材料が用いられている。かかる金属材料は、塩素ガス(2)および硫酸(3)と直接接触しても腐食することがないように、例えばフッ素樹脂、塩化ビニル樹脂などの樹脂材料、無機ガラス、セラミクスなどの非金属無機材料などような、塩素および硫酸に対して不活性な非金属材料などで表面を被覆されて用いられていた。
【0004】
しかし、金属材料を非金属材料などで被覆することなく、そのまま用いても、長期間に亙り腐食を生ずることなく使用できれば、非金属材料などの被覆に要する費用を節約できて経済的にも有利である。また、非金属材料などで被覆したのでは、非金属材料などの被膜が破れないよう、洗浄塔本体の内部の点検、補修の際には慎重な取り扱いが必要となるが、機械的強度に優れた金属材料をそのまま使用することができれば、取り扱いが容易となる。
【0005】
【特許文献1】実開平6−24730号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、金属材料を非金属材料などで被覆することなくそのまま用いても、長期間に亙り、この金属材料を腐食させることなく、硫酸による塩素ガスの乾燥に使用できる乾燥装置を開発するべく鋭意検討した結果、質量分率でクロムを18%〜24%、モリブデンを12%〜18%、鉄を0.5%〜7%それぞれ含有するニッケル基合金材は、十分な機械的強度を有していて慎重な取扱いを必要とせず、また、硫酸の存在下では塩素によって腐食し難いことを見出し、本発明に至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、水分を含む塩素ガス(2)を硫酸(3)と接触させて乾燥させるための乾燥装置(1)であり、
塩素ガス(2)および硫酸(3)と接触する金属材料を有し、
前記金属材料は質量分率でクロムを18%〜24%、モリブデンを12%〜18%および鉄を0.5%〜7%それぞれ含有するニッケル基合金材である
ことを特徴とする前記塩素ガス(2)の乾燥装置(1)を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図1に基づき、本発明の乾燥装置(1)について説明する。図1に示す乾燥装置(1)は、乾燥塔本体(10)を備えている。この乾燥塔本体(10)の塔底(11)からは、塩素ガス供給配管(L1)を通じて塩素ガス(2)が供給される。この塩素ガス(2)には水分が含まれているが、その含有量はモル分率で通常0.5%以上3%以下程度である。かかる塩素ガス(2)は、二酸化炭素、窒素、アルゴン、酸素などの不純物成分を含んでいてもよい。塩素ガス(2)の温度は通常0℃以上50℃以下程度である。
【0009】
一方、塔頂(12)からは硫酸(3)が供給される。硫酸(3)は、塔頂(12)に設けられた硫酸供給口(5)から流下または滴下して供給してもよいし、例えば供給口(5)を噴霧ノズルとし、硫酸を噴霧して液滴として供給してもよい。硫酸供給口(5)から供給される硫酸(3)としては、塩素ガス(2)を十分に乾燥させることができる点で、通常は濃度が質量分率で90%〜98%程度のいわゆる濃硫酸が用いられる。供給される硫酸(3)は液状であり、その温度は通常0℃以上40℃以下程度である。
【0010】
乾燥塔本体(10)内には気液接触部として、下部に充填物(6)が充填され、上部に泡鐘トレイ(7)が設けられている。塩素ガス(2)はこれら充填物(6)および泡鐘トレイ(7)などの気液接触部を通過して、塔頂(12)まで上昇する。硫酸(3)は、塔頂に設けられた硫酸供給口(5)から供給され、泡鐘トレイ(7)および充填物(6)を通過して、塔底(11)に流下する。塩素ガス(2)と硫酸(3)とがこれら充填物(6)および泡鐘トレイ(7)などの気液接触部において互いに気液接触することで、塩素ガス(2)は水分が硫酸(3)に吸収されて乾燥される。乾燥後の塩素ガス(2’)は配管(L3)を通じて外部に導かれる。
【0011】
かかる乾燥塔本体(10)において、硫酸供給口(5)から供給された硫酸(31)は、塩素ガス(2)と接触して水分を吸収しながら塔底(11)に到達し、ここに貯留される。塔底に貯留される硫酸(32)は吸収した水分によって希釈されており、その濃度は質量分率で通常60%以上95%以下程度であり、通常は濃度がこの範囲となるように、塔本体(10)内に供給される硫酸(3)の濃度、使用量が決められる。
【0012】
塔底(11)に貯留される硫酸(32)は水分を含んでいるが、通常は水分を更に吸収しうるので、これをポンプ(P)により回収し、必要により熱交換器(C)で温度調節したのち、回収硫酸供給口(8)から乾燥塔本体(10)内に供給してもよい。回収された硫酸は、回収硫酸供給口(8)から流下して、または滴下して塔本体(10)内に供給される。また、供給口(8)を噴霧ノズルなどとし、回収された硫酸を噴霧して液滴として供給してもよい。回収され、再び本体(10)内に供給された硫酸(33)は、更に水を吸収する。回収硫酸供給口(8)は通常、硫酸供給口(5)よりも下方に設けられ、図1に示す乾燥装置では泡鐘トレイ(7)の下方に設置されている。塔底から回収された硫酸の一部(34)は系外に排出される。
【0013】
本発明の乾燥装置(1)は、塩素ガスおよび硫酸と接触する金属材料を有している。図1に示す乾燥装置(1)において、乾燥塔本体(10)の内面や、乾燥塔本体(10)内部の硫酸供給口(5)、充填物(6)、泡鐘トレイ(7)および回収硫酸供給口(8)は、塩素ガス(2)および硫酸(3)と接触する。乾燥後の塩素ガス(2’)には硫酸の飛沫が含まれるので、かかる乾燥後の塩素ガス(2)を外部に導く配管(L3)も、塩素ガスおよび硫酸と接触する。塔底の硫酸(32)を塔底(11)からポンプ(P)に導く配管(L4)、ポンプ(P)から熱交換器(C)に導く配管(L5)、熱交換器(C)から回収硫酸供給口(8)に導く配管(L6)、系外に排出する配管(L7)は、内部を通過する硫酸(34)に塩素ガス(2)が混入することもあることから、塩素ガスおよび硫酸と接触することがある。本発明の乾燥装置(1)において、これら乾燥塔本体(10)の内面や、本体内部の充填物(6)、泡鐘トレイ(7)などの気液接触部、硫酸供給口(5)、回収硫酸供給口(8)、各配管(L3〜L7)および熱交換器(C)などの各部材は、全部または一部が金属材料で構成されている。
【0014】
本発明の乾燥装置(1)は、かかる金属材料のうちに、非金属材料で被覆されることなくそのまま用いられていて、塩素ガスおよび硫酸と接触する金属材料を有している。かかる金属材料は、質量分率でクロムを18%〜24%、モリブデンを12%〜18%、および鉄を0.5%〜7%含有するニッケル基合金材である。ここで、ニッケル基合金材とは、ニッケルを主成分とし、他の金属成分を含む合金である。クロム含有量が18%未満であると、腐食が生じ易い傾向にある。かかるニッケル基合金材はタングステンの含有量が0で実質的に含有しなくてもよいし、含有していてもよい。タングステンを含有する場合、その含有量は通常5%以下である。かかるニッケル基合金材は0.2%程度以下であればシリコンを、また0.02%程度以下であれば炭素をそれぞれ含有していてもよい。
【0015】
かかるニッケル基合金材としては、市販されているものを用いることができ、例えば三菱マテリアル(株)から「Alloy 22」、Krupp VDM社(ドイツ)から「Alloy 59」などとして、各種形状、例えば板状、棒状、管状のものが市販されているので、これらをそのままで、または加工して用いればよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明の乾燥装置は、塩素ガスおよび硫酸と接触する金属材料が上記ニッケル基合金材であるので、その表面を樹脂材料、非金属無機材料などの非金属材料などで被覆しなくても、塩素ガスおよび硫酸によって腐食することがない。このため、本発明の乾燥装置は、金属材料を非金属材料などで被覆することなく、経済的に有利に製作することができる。また、上記ニッケル基合金材は機械的強度も十分であるので、点検、補修に際して慎重な取り扱いをする必要もない。
【0017】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
【0018】
参考例1
第1表に記載の組成の合金材A、合金材Bおよび合金材Cをそれぞれ板状(75mm×15mm×2mm)に切出して試験片とし、U字型に曲げてUベント試験片とした。この試験片を濃度が質量分率で65%、80%、90%の硫酸水溶液にそれぞれ浸漬した。同時に、同様に切出しU字型に曲げたUベント試験片を各硫酸水溶液の上方の気相中にそれぞれ配置した。40℃を維持しながら168時間の間、硫酸水溶液に塩素ガス(純度約100%)をバブリングして吹き込んだ。塩素ガスを吹き込むことで、気相中に配置した試験片の表面には硫酸飛沫が付着していた。その後、試験片を取出し、水洗し、乾燥して、表面を目視で観察した。また試験片の質量の減少量を測定して、腐食速度を求めた。結果を第2表に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
実施例1
図1に示す乾燥装置(1)において、乾燥塔本体(10)、硫酸供給口(5)、充填物(6)、泡鐘トレイ(7)、回収硫酸供給口(8)、乾燥後の塩素ガスを外部に導く配管(L3)、塔底の硫酸をポンプに導く配管(L4)、この硫酸をポンプから熱交換器に導く配管(L5)、熱交換器(C)、硫酸を熱交換器から回収硫酸供給口に導く配管(L6)、硫酸を熱交換器から系外に排出する配管(L7)を表1に記載の合金材Aまたは合金材Bで構成した塩素ガスの乾燥装置(1)は、乾燥塔本体(10)、硫酸供給口(5)、充填物(6)、泡鐘トレイ(7)、回収硫酸供給口(8)、熱交換器(C)、各配管(L3、L4、L5、L6、L7)の表面を樹脂材料、非金属無機材料などの非金属材料で被覆しなくても、長期間に亙り腐食を生ずることなく、水分を含む塩素ガス(2)を塩素ガス供給配管(L1)から供給して乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩素ガスの乾燥装置の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1:塩素ガスの乾燥装置
10:乾燥塔本体 11:塔底 12:塔頂
2:水分を含む塩素ガス 2’:乾燥後の塩素ガス
3、31、32、33、34:硫酸
5:硫酸供給口 6:充填物 7:泡鐘トレイ
8:回収硫酸供給口
P:ポンプ C:熱交換器 L1〜L7:配管
Claims (1)
- 水分を含む塩素ガスを硫酸と接触させて乾燥させるための乾燥装置であり、塩素ガスおよび硫酸と接触する金属材料を有し、前記金属材料は質量分率でクロムを18%〜24%、モリブデンを12%〜18%および鉄を0.5%〜7%それぞれ含有するニッケル基合金材であることを特徴とする前記塩素ガスの乾燥装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003005393A JP2004217455A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 塩素ガスの乾燥装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003005393A JP2004217455A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 塩素ガスの乾燥装置 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004217455A true JP2004217455A (ja) | 2004-08-05 |
Family
ID=32896057
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003005393A Pending JP2004217455A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 塩素ガスの乾燥装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004217455A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-01-14 JP JP2003005393A patent/JP2004217455A/ja active Pending
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