JP2004222990A - 履物の接着方法及び履物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被着体の被接着面の少なくとも一方に水性接着剤を塗布し、被接着面を重ね合わせ、該重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行うことにより接着することを特徴とする履物の接着方法及びこの方法用いて接着してなる接着部分を含む履物である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着方法、特に、形状反撥が大きく接着が困難な履物の接着方法と、この方法を用いて接着した接着部分を有する履物に関する。
【0002】
【従来の技術】
履物における接合の方法には、その部位・形状・材質・用途等々により様々なものがあるが、中でもセメント式は、糸で縫い付けずに接着剤で接着する極めて簡単な方法で、量産を可能にし、靴等の履物の普及に大きく貢献した画期的な方法として現在も主流となっている。
【0003】
その方法は、被接着部分の被接着面の両面にコンタクト型接着剤を塗布して溶媒を乾燥した後、タックのあるうちに圧力を加えて貼り合わせるものである。例えば、靴の被接着部分である胛部と底部の接着の場合、胛部及び底部の被接着面をバフなどの物理的処理や有機溶剤による脱脂、プライマー処理等の化学的処理を単独若しくは併用して行い、その処理された被接着面の両面に接着剤を刷毛、ブラシ等を用いて均一に塗布し、室温若しくは加温により溶媒を乾燥させた後、接着剤の塗布面同士を重ね合わせ、プレス等で圧着して接着する。 重ね合わせの際には、作業環境や接着剤の種類により、接着剤表面を加熱してコンタクト性を高める事も必要で、十分な接着を行うに当たり重要である。
【0004】
この際に加熱し過ぎると接着剤の凝集力が低下するため、接着後被着体の形状による反撥に耐えられなくなる。逆に加熱が不足したり、加熱後の放置で接着剤表面温度が低下してしまった場合には十分なコンタクト性が得られない等加熱の過不足はいずれも接着不良を起こす原因となるという問題があった。
【0005】
最近では有機溶剤の人体や環境に及ぼす影響を考慮して水性接着剤が着目され使用され始めているが、この水性接着剤を用いる場合には、上記問題に加えて、水の乾燥が困難であり、そのために相当の時間とエネルギーを消費しなければならない。 この乾燥が不十分であった場合には接着剤の凝集力が十分に発現しないため、履物のような形状反撥を有する被着体を接着した場合にはその反撥に耐えられずに接着剤層が糸曳き状になったり、更に破裂して口が開いた状態になり十分な接着に至らなくなる。
【0006】
また、気温が低い場合や湿度が高い場合などには、いずれの溶剤(有機溶剤や水)を用いても、タック不足や結露により十分なコンタクト性が得られず、それを解消するために加熱した場合にも接着剤の表面温度に留意し、重ね合わせのタイミングを計る必要があり、更に、例えば靴の接着の場合のように被接着面の形状がより複雑になると、複雑な形状の胛部と底部に塗布した接着剤表面同士をズレ無く重ね合わせることが非常に難しく、胛部に塗布した接着剤が接着部より過剰になる(糊高)場合には接着剤のはみ出しが見られ、逆に過少になる(糊低)場合には胛部と底部に隙間ができる。 前者の場合には接着剤のはみ出しにより美観が損なわれ、後者の場合には接着不十分となる。
【0007】
なお、本発明は後述するように高周波誘電加熱を用いており、この点で関連する先行技術文献は存在する(特許文献1、特許文献2)。しかし、これらは縫合して製作された履物の縫い目の針孔に高周波誘電加熱で流動化させたホットメルト接着剤を浸入充填することで縫い目からの漏水を防止するものや、特殊な部材や構造を持つ透湿性の靴において、靴の接地部と防水・透湿性の隔膜を接着剤を用いず高周波融接させるものであり、本発明のごとき水性接着剤を用いるものではない。
【0008】
【特許文献1】
特許第3253305公報(第1頁)
【特許文献2】
特表平11−513582公報(第4頁、第7図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記種々の問題を解消し、▲1▼接着剤を被接着面の両方に塗布して接着する従来の方法を、少なくとも被接着面の一方への塗布のみで接着できるようにすること、▲2▼重ね合わせのタイミングに特に留意することなく接着できるようにする履物の接着方法の提供、及び少なくともその一部にこの方法を用いてなる履物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、水性接着剤と高周波誘電加熱を用いる新規な接着方法を着想するに至り、この接着方法を用いると靴などの履物の被接着面の少なくとも片面に水性接着剤を塗布することによって十分接着できること、重ね合わせのタイミングに特段の配慮をすること無しに接着できることを見いだし、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明のうち請求項1記載の発明は、被接着部分の被接着面の少なくとも一方に水性接着剤を塗布し、被接着面を重ね合わせ、該重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行うことにより接着することを特徴とする履物の接着方法である。
【0012】
ここで、被接着部分は、履物の構成部分で接着を必要とする部分であれば特に限定されない。 履物における胛部と底部、底部の積層、サンダルの紐部と底部などが例示される。「被接着面の少なくとも一方に」とは、接着される二つの被接着面のうちの片方の面(以下、片面という。)に接着剤を塗布すればよいが、これに限定されるものではなく二つの被接着面の両面に塗布してもよいことを意味する。重ね合わせ面の押圧は高周波誘電加熱の際に、接着される二つの被着体の形状の違いによる密着不良を防ぐ程度以上の圧力が付加されていればよい。好ましくは1.5kgf/cm2〜10kgf/cm2程度である。押圧とは圧力付加の状態であればよく、加圧、圧締、圧縮等を含む概念である。
【0013】
また、本発明に用いる水性接着剤は水を媒体とする接着剤をいい、エマルジョン或いは水溶液である接着剤を意味する。また、従来使用されているコンタクト型の接着剤に限定されることはない。このような接着剤としては、ユリア系、フェノール系、ポリビニルアルコール等の水溶液や酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、アクリル、ウレタン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等の水性エマルジョンが例示されるが、ウレタン、クロロプレンゴム、アクリルなどを主成分とした水性エマルジョン型接着剤を用いるのが好ましい。 用いる形態も特に限定されず、一液型、二液型又はその他の型の接着剤であってもよい。
【0014】
以上のように構成すると、少なくとも被接着部分の一方の側において、請求項2記載の発明のようにその材料を透湿性にして接着面から外部への透湿性を確保するか、その他何らかの方法で接着面から外部への透湿性を確保すれば、水性接着剤を履物の被接着面の少なくとも片面にのみ塗布しても、水性接着剤を予め乾燥することなくそのまま被接着面を重ね合わせ押圧下高周波誘電加熱を行えば、十分な接着が得られる。水性接着剤は塗布後そのまま被接着面を重ね合わせ押圧下高周波誘電加熱して接着するので、予め乾燥する必要もなく、また気温が低い場合や湿度が高い場合にも、接着剤表面の温度や結露等を考慮して重ね合わせのタイミングを計る必要もない。更に、少なくとも片面のみへの塗布でよいから、接着部分の接着剤のはみ出しを簡単に無くすことができる。したがって、従来の接着方法に比べ、作業工程を省力化でき、且つ履物の美観を向上させうる。
【0015】
片面のみの接着剤の塗布により十分な接着力が得られるのは、▲1▼重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行う際、接着剤が他の面に浸透又は移行し、接着剤を両面に塗布した状態に近くなること、▲2▼高周波誘電加熱による発熱量は物質固有の損失係数に比例するため、水のように非常に大きな損失係数を有するものは発熱量が大きくなり前記透湿性部分を通じて速やかに蒸発さすことができ、接着剤の乾燥が迅速に行われることの双方が相俟って達成されると考えられる。
【0016】
被接着部分の材料がいずれも透湿性でなく、被接着面に透湿性がほとんど確保されない場合においても、水性接着剤を履物の被接着面の少なくとも片面にのみ塗布し、水性接着剤を予めべとつかない程度に乾燥して被接着面を重ね合わせ高周波誘電加熱を行えば、十分な接着が得られる。 この場合も水性接着剤は塗布乾燥後そのまま被接着面を重ね合わせ押圧下高周波誘電加熱して接着するので、気温が低い場合や湿度が高い場合にも接着剤表面の温度や結露等を考慮して重ね合わせのタイミングを計る必要もない。また、少なくとも片面のみの塗布であり接着剤も乾燥していることから、加熱の際に接着部分の接着剤のはみ出しが無い。したがって、従来の接着方法に比べ、作業工程を省力化でき、且つ履物の美観を向上させうる。
【0017】
片面のみ塗布した水性接着剤を予めべとつかない程度に乾燥しても、十分な接着が得られるのは、重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱することにより接着剤成分ならびに残存する水が発熱し、接着剤の軟化が十分起こり、片面塗布の接着剤が他の面の接着剤としても十分機能することによると考えられる。
【0018】
なお、被接着部分に透湿性を確保する場合又は確保しない場合おいて、両面に接着剤を塗布しても、従来より塗布量を少なくできるので、その量の調節が容易で、十分な接着力を確保しつつ接着部分のはみ出しを容易になくすことができるのはもちろんである。
【0019】
本発明のうち請求項3記載の発明は、靴の胛部と底部の被接着面の少なくとも一方に水性接着剤を塗布し、被接着面を重ね合わせ、該重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行うことにより接着することを特徴とする靴の接着方法である。
【0020】
ここで、胛部と底部の被接着面の少なくとも一方にとは、接着される胛部と底部の被接着面のうちの片面に接着剤を塗布すればよいが、これに限らず胛部と底部の被接着面の両面に塗布してもよいことを意味する。重ね合わせ面の押圧は高周波誘電加熱の際に接着される二つの被着体の形状の違いによる密着不良を防ぐ程度以上の圧力が付加されていればよい。好ましくは1.5kgf/cm2〜10kgf/cm2程度である。押圧とは圧力付加の状態であればよく、加圧、圧締、圧縮等を含む概念である。
【0021】
また、本発明に用いる水性接着剤は水を媒体とする接着剤をいい、エマルジョン或いは水溶液である接着剤を意味する。また、従来使用されているコンタクト型の接着剤に限定されることはない。このような接着剤としては、ユリア系、フェノール系、ポリビニルアルコール等の水溶液や酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、アクリル、ウレタン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等の水性エマルジョンが例示されるが、ウレタン、クロロプレンゴム、アクリルなどを主成分とした水性エマルジョン型接着剤を用いるのが好ましい。 用いる形態も特に限定されず、一液型、二液型又はその他の型の接着剤であってもよい。
【0022】
以上のように構成すると、請求項4記載の発明のように胛部を透湿性にするか、何らかの方法で接着面から外部への透湿性を確保すれば、水性接着剤を少なくとも片面にのみ塗布しても、水性接着剤を予め乾燥することなくそのまま胛部と底部の被接着面を重ね合わせ高周波誘電加熱を行えば、十分な接着が得られる。水性接着剤は塗布後そのまま被接着面を重ね合わせ押圧下高周波誘電加熱して接着するので、予め乾燥する必要はなく、また気温が低い場合や湿度が高い場合にも接着剤表面の温度や結露等を考慮して重ね合わせのタイミングを計る必要もない。更に、少なくとも片面のみへの塗布でよいから、接着部分の接着剤のはみ出しを簡単に無くすことができる。したがって、従来の接着方法に比べ、作業工程を省力化でき、且つ履物の美観を向上させうる。
【0023】
片面のみの接着剤の塗布により十分な接着力が得られるのは、重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行う際、接着剤が他の面に浸透又は移行し、接着剤を両面に塗布した状態に近くなることと、高周波誘電加熱による発熱量は物質固有の損失係数に比例するため、水のように非常に大きな損失係数を有するものは発熱量が大きくなり透湿性部分を通じて速やかに蒸発し、迅速に乾燥することとが相俟って達成されると考えられる。
【0024】
胛部と底部の材料が非透湿性で、被接着面に透湿性がほとんど確保されない場合においても、水性接着剤を少なくとも片面にのみ塗布しても、水性接着剤を予めべとつかない程度に乾燥して被接着面を重ね合わせ高周波誘電加熱を行えば、十分な接着力が得られる。この場合も水性接着剤は塗布乾燥後そのまま被接着面を重ね合わせ押圧下高周波誘電加熱して接着するので、気温が低い場合や湿度が高い場合にも接着剤表面の温度や結露等を考慮して重ね合わせのタイミングを計る必要もない。また、少なくとも片面のみの塗布であり接着剤も乾燥していることから、加熱の際に接着部分の接着剤のはみ出しが無い。したがって、従来の接着方法に比べ、作業工程を省力化でき、且つ履物の美観を向上させうる。
【0025】
水性接着剤を予め乾燥する場合も、片面のみの接着剤の塗布により十分な接着力が得られるのは、重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱することにより接着剤成分ならびに残存する水が発熱し、接着剤の軟化が十分起こり、片面塗布の接着剤が他の面の接着剤としても十分機能することから、達成されると考えられる。
【0026】
なお、被接着部分に透湿性を確保する場合又は確保しない場合おいて、両面に接着剤を塗布しても、従来より塗布量を少なくできるので、その量の調節が容易で、十分な接着力を確保しつつ接着部分のはみ出しを容易になくすことができるのはもちろんである。
【0027】
本発明のうち請求項5記載の発明は、被接着部分の被接着面の少なくとも一方に水性接着剤を塗布し、被接着面を重ね合わせ、該重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行うことにより接着してなる接着部分を含む履物である。
【0028】
ここで、「被接着部分」、「被接着面の少なくとも一方」、「重ね合わせ面の押圧」、「水性接着剤」の意味は前記請求項1記載の発明の説明で記載した通りである。この場合の接着は、前記請求項1記載の発明の説明で記載した理由により、接着部分の接着剤のはみ出しを簡単に無くすことができる等、従来の接着方法に比べ、作業工程を省力化でき、且つ履物の美観を向上させうるので、本発明の履物は低コストで見栄えがよく、かつ水性接着剤を用いているので、人体や環境に悪影響を与えないメリットを有する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明するが、本発明は下記の実施の形態により何ら限定されるものではない。
図1は本発明に係る履物の接着方法の一実施の形態の概要を示す図である。(A1)は接着後靴型5を装着したまま電極6,6間から取り出した靴の側面図であり、(A2)は接着後靴型5を装着したまま電極6,6間から取り出した靴の背面図であり、
(B1)は電極6,6間に胛部1と底部2とを靴型5と圧着型3を介して挟持し押圧しながら高周波誘電加熱して接着する際の状態を示す側面図であり、(B2)は電極6,6間に胛部1と底部2とを靴型5と圧着型3を介して挟持し高周波誘電加熱する際の状態を示す背面図である。
図2は本発明に係る履物の接着方法の他の実施の形態の概要を示す図である。(A1)は接着後靴型5を装着したまま電極6,6間から取り出した靴の側面図であり、(A2)は接着後靴型5を装着したまま電極6,6間から取り出した靴の背面図であり、
(B1)は電極6,6間に胛部1と底部2とを靴型5と圧着板4を介して挟持し押圧しながら高周波誘電加熱して接着する際の状態を示す側面図であり、(B2)は電極6,6間に胛部1と底部2とを靴型5と圧着板4を介して挟持し高周波誘電加熱する際の状態を示す背面図である。
【0030】
▲1▼上記の実施の形態において、高周波誘電加熱に用いる高周波誘電加熱装置(山本ビニター株式会社製)は、その電極6,6の間がプレス機能を備えており、電極間の距離、圧力を自在に調節できるものを使用する。
▲2▼一方の電極6には、通電性を有し、底部2と接着する際の圧締治具となる胛部1の靴型5(ラスト)を取り付ける。 他方の電極6は圧締の際に生じる底部の変形や圧力の偏りによる接着不具合いが生じず、更に底部2と電極の空間、隙間を埋め、高周波誘電加熱を効率よく行えるように、底部2を隙間なくはめ込める形状にしたウレタン樹脂製圧着型3、又は底部2の形状が平板に近いものではウレタン樹脂製圧着板4を取り付ける。
▲3▼接着剤としては、主成分とした引火性のない水性接着剤で、塗布し易く液ダレしにくい適度な粘度に調整された、一液または二液型の接着剤を使用するとよい。なかでも、ウレタン系水性エマルジョン型接着剤(例えば、ノーテープ工業(株)製No.4960)、アクリル系水性エマルジョン型接着剤(例えば、ノーテープ工業(株)製No.4680)、クロロプレンゴム系水性エマルジョン型接着剤(例えば、ノーテープ工業(株)製No.4040)等が好適に用いられる。
▲4▼靴型5に、吊り込みや縫製等により取り付けた胛部2を一方の電極6に取り付け、底部2には水性接着剤を刷毛等で塗布した後、底部2の形状に応じ、他方の電極であるウレタン樹脂製圧着型3又はウレタン樹脂製圧着板4に取り付ける。
▲5▼その後、胛部1と底部2を2kgf/cm2〜5kgf/cm2程度の圧力で圧締しながら高周波誘電加熱して接着する。
【0031】
以上のようにして接着すれば、胛部と底部の高周波誘電加熱接着において、胛部のみに透湿性がある材料を用いた場合には接着剤の乾燥を行うことなく底部への接着剤塗布のみで良好に接着し、後述する性能試験で被着体からの剥離が起こることなく胛部若しくは底部の材料破壊が起こる強力な接着が得られた。胛部にも透湿性がない材料を用いた場合には、あらかじめ底部に塗布した接着剤を乾燥して行えば同様の接着が得られた。なお、胛部に透湿性がある場合において、接着剤塗布後数分間放置しても同様に良好に接着した。いずれの場合も接着剤のはみ出しはなく美観を損なうことはなかった。
【0032】
透湿性のある胛部の場合に、予め塗布した接着剤を乾燥することなく圧着して加熱しても十分な接着力が得られるのは、底部の被接着面に塗布した接着剤が胛部の被接着面に浸透し接着剤を両面に塗布した状態に近くなることと高周波誘電加熱により水分が速やかに蒸発することによると考えられる。
透湿性が無い胛部で、底部も透湿性が無い場合は、水分の蒸発が十分なされない。そのため接着剤がベチャベチャした状態であるが、あらかじめ接着剤を乾燥して接着した場合には、高周波誘電加熱により接着剤成分及び残存する水分が発熱し接着剤の軟化が起こるため接着剤を塗布しない面にも接着すると考える。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を用いて、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
バフ処理後、プライマー処理(ノーテープ工業(株)製加硫ゴム用プライマーP−66)した透湿性を有さないSBR系加硫ゴム製底部の被接着面に水性ウレタン系接着剤(ノーテープ工業(株)製No.4960/硬化剤U−41=100重量部/5重量部、不揮発分:約50%)を刷毛で約200g/m2塗布する。 ▲1▼接着剤塗布後すぐに、底部2が隙間なく収まる形状に成型されたウレタン樹脂製圧着型3に底部2をはめ込み、▲2▼続いてアルミニウム製靴型5に吊り込んだ後に接着部分のスキン層をバフ処理により削り取った天然皮革胛部1の被接着面を底部の接着剤塗布面に重ね合わせる。 これを高周波誘電加熱接着装置の両極6,6間に置き、発振周波数:13.56MHz、高周波出力:2.94KW、陽極電流:0.5A、圧締圧力:3.0kgf/cm2、印加時間:20秒、冷却時間:20秒にて接着を行った。 尚、接着した靴は、ヒールのある紳士靴であった。
【0034】
(実施例2)
実施例1において、SBR系加硫ゴム製底部を使用する替わりに、プライマー処理(ノーテープ工業(株)製ウレタン用プライマーSK−5)した透湿性を有さない発泡ウレタン製底部を使用した以外は同じ条件で接着を行った。
【0035】
(実施例3)
バフ処理後、プライマー処理(ノーテープ工業(株)製加硫ゴム用プライマーP−66)した透湿性を有さないSBR系加硫ゴム製底部の被接着面に水性ウレタン系接着剤(ノーテープ工業(株)製No.4960/硬化剤U−41=100重量部/5重量部、不揮発分:約50%)を刷毛で約200g/m2塗布する。 ▲1▼水性ウレタン系接着剤を塗布した底部2を、60℃設定の温風乾燥機で約10分乾燥して水分を蒸発させた後、底部2が隙間なく収まる形状に成型されたウレタン樹脂製圧着型3にはめ込み、▲2▼続いてアルミニウム製靴型に吊り込んだ後に接着部分にプライマー処理(ノーテープ工業(株)製ウレタン用プライマー SK−5)した透湿性を有さない胛部1((株)クラレ製人工皮革クラリーノ)の被接着面を底部2の乾燥した接着剤塗布面に重ね合わせる。 これを高周波誘電加熱接着装置の両極6,6間に置き、発振周波数:13.56MHz、高周波出力:2.94KW、陽極電流:0.5A、圧締圧力:3.0kgf/cm2、印加時間:20秒、冷却時間:20秒にて接着を行った。 尚、接着した履物は、ヒールのある紳士靴であった。
【0036】
(実施例4)
実施例1において、接着剤塗布後室温条件下で5分放置する以外は同じ条件で接着を行った。
【0037】
(実施例5)
バフ処理後、プライマー処理(ノーテープ工業(株)製加硫ゴム用プライマーP−66)した透湿性を有さないSBR系加硫ゴム製底部の被接着面に水性ウレタン系接着剤(ノーテープ工業(株)製No.4960/硬化剤U−41=100重量部/5重量部、不揮発分:約50%)を刷毛で約200g/m2塗布する。 ▲1▼接着剤塗布後すぐに、底部2のサイズより大きめで厚さが10mm程のウレタン樹脂製圧着板4に底部2を載せ、▲2▼続いてアルミニウム製靴型に吊り込んだ後に接着部分のスキン層をバフ処理により削り取った天然皮革胛部1の被接着面を底部2の接着剤塗布面6,6に重ね合わせる。 これを高周波誘電加熱接着装置の両極間に置き、発振周波数:13.56MHz、高周波出力:2.94KW、陽極電流:0.5A、圧締圧力:3.0kgf/cm2、印加時間:20秒、冷却時間:20秒にて接着を行った。尚、接着した靴は、ヒールが無く、底部の底面が平坦なカジュアルシューズであった。
【0038】
(接着性能評価)
実施例1〜5の方法で接着した靴の性能評価を行った結果を表1に示す。
【表1】
【0039】
表1において、「接着状態」は、JIS K 6854「接着剤のはく離接着強さ試験方法」のT型はく離試験に準拠して行い確認した。試験機の引張速度(クロスヘッドの移動速度)は毎分50mmとした。なお、接着剤のはみ出しの有無は目視観察にて行った。
【0040】
表1の実施例1,2,4,5に示すように、胛部には透湿性があるが、底部には透湿性が無い場合には接着剤の乾燥を行うことなく底部への接着剤塗布のみで良好に接着し、上記接着性能試験において材料破壊が得られた。また、表1の実施例3に示すように、胛部も透湿性が無い場合には、あらかじめ接着剤を乾燥して行えば良好な接着が得られた。 また、表1の実施例4に示すように、透湿性胛部を用いる場合も接着剤塗布後数分程度放置乾燥しても良好に接着することができ、また靴の種類による影響もなかった。いずれの場合も接着剤のはみ出しはなかった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明よれば、水性接着剤を履物の被接着面の少なくとも片面にのみに塗布しても、押圧下、重ね合わせた被接着面を高周波誘電加熱して接着することにより、被着物は十分な接着が得られることから、接着部分の接着剤のはみ出しを簡単に無くすことができ、また従来のように被接着面の重ね合わせのタイミングを計る必要もないので、従来の接着方法に比べ、作業工程を省力化でき、且つ履物の美観を向上させうる。
【0042】
また、請求項3記載の発明によれば、水性接着剤を胛部と底部の被接着面の少なくとも片面にのみ塗布しても、押圧下、重ね合わせた被接着面を高周波誘電加熱して接着することにより、胛部と底部との十分な接着が得られる。したがって、この場合も、請求項1記載の発明と同様に、接着部分の接着剤のはみ出しを簡単に無くすことができ、また従来のように被接着面の重ね合わせのタイミングを計る必要もないので、従来の接着方法に比べ、作業工程を省力化でき、且つ履物の美観を向上させうる。
【0043】
また、請求項2,4記載の発明によれば、少なくとも被接着面の一方の側において、その材料を透湿性にしており、水性接着剤を被接着面の少なくとも片面に塗布し、水性接着剤を予め乾燥することなくそのまま被接着面を重ね合わせ高周波誘電加熱を行えば、十分な接着が得られる。これは、重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行う際、接着剤が他の面に浸透又は移行し、接着剤を両面に塗布した状態に近くなること、高周波誘電加熱による発熱量は物質固有の損失係数に比例するため、水のように非常に大きな損失係数を有するものは発熱量が大きくなり透湿性材料を通じて速やかに蒸発し、迅速に乾燥することが相俟って達成されると考えられる。なお、被接着面の水性接着剤を予め乾燥して用いてもよいのは勿論である。
【0044】
更に、請求項1〜4記載の発明によれば、いずれも水性接着剤を使用しているので、有機溶剤を含有する接着剤を使用する場合に比べ、火気に対する危険性が極めて少なく、又人体や環境へ悪影響を与えない良好な作業環境が確保される。
【0045】
請求項5記載の発明によれば、この履物の接着は、前記請求項1記載の発明の接着方法で行われており、作業工程を省力化でき、且つ履物の美観を向上させうるので、本発明の履物は、省力化に対応するコスト安が実現でき、見栄えがよく、かつ水性接着剤を用いているので、人体や環境に悪影響を与えないメリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る接着方法の一実施の形態の概要を示す図であって、(A1)は接着後靴型5を装着したまま電極6,6間から取り出した靴の側面図であり、(A2)は接着後靴型5を装着したまま電極6,6間から取り出した靴の背面図であり、(B1)は電極6,6間に胛部1と底部2とを靴型5と圧着型3を介して挟持し押圧しながら高周波誘電加熱する際の状態を示す側面図であり、(B2)は電極6,6間に胛部1と底部2とを靴型5と圧着型3を介して挟持し高周波誘電加熱して接着する際の状態を示す背面図である。
【図2】図2は本発明に係る接着方法の他の実施の形態の概要を示す図であって、(A1)は接着後靴型5を装着したまま電極6,6間から取り出した靴の側面図であり、(A2)は接着後靴型5を装着したまま電極6,6間から取り出した靴の背面図であり、(B1)は電極6,6間に胛部1と底部2とを靴型5と圧着板4を介して挟持し押圧しながら高周波誘電加熱する際の状態を示す側面図であり、(B2)は電極6,6間に胛部1と底部2とを靴型5と圧着板4を介して挟持し高周波誘電加熱する際の状態を示す背面図である。
【符号の説明】
1;胛部、2;底部、3;ウレタン樹脂製圧着型、4;ウレタン樹脂製圧着板、5;アルミニュウム製靴型、6;高周波誘電加熱装置の電極。
Claims (5)
- 被接着部分の被接着面の少なくとも一方に水性接着剤を塗布し、被接着面を重ね合わせ、該重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行うことにより接着することを特徴とする履物の接着方法。
- 被接着部分の一方又は双方が透湿性であることを特徴とする請求項1記載の履物の接着方法。
- 胛部と底部の被接着面の少なくとも一方に水性接着剤を塗布し、被接着面を重ね合わせ、該重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行うことにより接着することを特徴とする靴の接着方法。
- 胛部が透湿性であることとを特徴とする請求項3記載の靴の接着方法。
- 被接着部分の被接着面の少なくとも一方に水性接着剤を塗布し、被接着面を重ね合わせ、該重ね合わせ面を押圧しつつ、高周波誘電加熱を行うことにより接着してなる接着部分を含む履物。
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| JP2003014786A JP2004222990A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 履物の接着方法及び履物 |
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