JP2004223385A - 調湿材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、安価に製造でき、かつ広範な用途に応用でき、しかも空気中の相対湿度の変化に応じ任意に吸放湿作用を発揮し調湿効果の持続性に優れた調湿材料を提供することにある。
【解決手段】調湿基材として焼成温度約700℃木炭等の表面に、調湿剤としてポリエチレングリコール(PEG)を担持させ調製することにより、気温約25℃のHCC値で15〜30%と高く、かつ吸放湿速度が極めて早い、空気中の相対湿度70〜80%RHを超えると吸湿し、それ以下では放湿作用をする吸放湿反応特性を持たせたことを特長とする吸放湿調整を自在とした調湿材料。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、廃木材炭化木炭などの有機物を炭化した材料など、微細な細孔構造を有する基材にPEG等を膜状に担持させ、湿度をコントロールする性能を向上させた調湿材料に関するものである。
【0002】
【従来技術】
空気中の湿気の状態によって吸湿や脱湿を行なう材料を調湿材(調湿材料)と呼んでいるが、これら調湿材の性能評価には調湿能力性能(Humidity Control Capacity、以後HCCと略記する。)が用いられている。これは環境湿度90%RHおよび55%RHにおける調湿材のそれぞれの平衡含水率の差をとったもので、この値が大きな素材ほど吸湿率が大きく、尚且つ脱湿率が大きく調湿能力に優れていると見なされている。
【0003】
従来、液体もしくは固体による除湿剤や乾燥剤によって空気中から水分を化学的にもしくは物理的に吸着する吸湿剤(材)として、珪酸カルシウム水和物、水酸化カルシウム (CaOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、生石灰、ソーダ石灰、シリカゲル、クレイ(モリクロナイト)、ゼオライトなどの薬剤もしくはケイ酸化合物や活性炭などが使用されている。しかし、これらの除湿剤や乾燥剤は空気中の水分に反応して吸湿特性を示すが、放湿性が少ないなど吸放湿能力(HCC)は、極めて低く調湿能力に優れているとはいえない。
【0004】
この他、空気中から水分を物理的に吸着する吸湿剤として、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン、水溶性酢酸セルロース、その他水溶性天然高分子系ポリマー類がある。しかし、これらの材料の大半は合成されたバージン状態では優れた吸湿特性を示すが乾燥固化した状態で空気中の水分を取込んだりするものは少ない。仮に可逆(もとに戻す、あるいは取り除く。)性がよく、乾燥後も水分を吸湿することが可能なものでもポリマーの水分許容に達すると潮解、もしくは吸湿しなくなり、材料単独で優れたHCC値を有している材料は少ない。
【0005】
また、木材、木炭、活性炭、パーライト、石膏ボード、漆喰、木質繊維板、パルプ繊維、セメント、石膏、ゼオライト、珪素土等も多孔質構造による物理的吸放湿性を有しており優れた調湿材と言えるが、日常的な環境で木材や石膏ボード等が吸放湿によって平衡状態になるまでの吸放湿速度は、非常に遅く、木材の板材で50〜100時間、木材(厚物)や石膏・漆喰で1ケ月、モルタルやコンクリートは数年必要とするなど外気の変動にリアルタイムに追従する調湿性能は有していない。
【0006】
以上、これらの除湿剤や乾燥剤、及び多孔質材料は、湿気の吸着(吸湿)には優れた性能を示すものの一度吸着した湿気を放湿(脱湿)しない物が多く、吸湿飽和に達すると潮解したり調湿機能をまったく発揮しないなど湿気の調整作用に適していないことが本発明者らの実験によっても確かめられた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、空気中の相対湿度の変化に応じ任意に吸放湿作用を発揮し、調湿効果の持続性に優れ、かつ広範な用途に利用できる調湿材料を安価に提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記の課題を解決するため種々の検討を重ねた結果、調湿用木炭の吸放湿特性向上のため、木炭表面に親水性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)を担持させ、その調湿性能評価を行った。その結果、不担持の木炭に比べ調湿能力が2〜7倍向上することが確認できた。焼成温度が高い木炭ほどPEGの担持量が大きく、また調湿能力の向上も大きく、さらにPEG木炭の吸湿量はPEGおよび木炭単体による吸湿量の和から予測される値より大きくなることが明らかになった。これは相対湿度が高湿度の時は木炭表面のPEG膜に吸収された水分が木炭へ移動し貯蔵され、低湿度時には木炭に貯蔵された水分がPEG膜により吸収され大気中に放出されるという作用が働くためと考えられ、本発明はこれらの知見をもとに完成されたものである。
【0009】
すなわち本発明は、空気中の水分を物理的に取り込むPEG及び同類の吸湿剤を、木炭をはじめとする各種多孔質基材の表面に担持させ、担持した調湿膜と基材の吸脱湿機構により任意の環境湿度に対応して吸放湿作用を発現する調湿材を提供するものである。
【0010】
この発明の好ましい態様によれば、該吸湿剤が分子構造に−OH基や−COOH、−N<(−NH、−NHφ、−Nφ)、>CO、−O−等の基を持っている各種脂肪酸塩などの無機・有機両性を持たせた化合物や化学剤やそれらの混合液、及び、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール水溶性酢酸セルロース、ポリエチレングリコール、及び水溶性天然高分子ポリマー、デンプン−ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン−ポリアクリル酸塩架橋物、カルボキシルメチルセルロース系、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体のケン化物、ポリアクリル酸ソーダ架橋物等から選ばれる吸着剤であり、該基材が木炭、活性炭、紙、繊維、羊毛、パーライト、及び、有機物を炭化した材料、また、石膏ボード、漆喰、木材、セメント、石膏、珪酸カルシウム水和物、シリカゲル、ゼオライト、クレイ(モリクロナイト)、その他ケイ酸化合物等の一種又は複数種から選ばれ、並びに基材が薄膜状、板状、繊維状、粒状、或いは粉末状の形態である調湿材が提供される。
【00011】
【発明の実施の形態】
本発明の調湿材は、PEG及び同類の空気中の水分吸着作用を有する吸湿剤と基材に微細孔を持つ多孔質材を使用することを特長としている。本明細書において調湿と言う用語は空気中の水分すなわち湿気の吸着(吸湿)及び湿気の放湿(脱湿)を制御することを意味しており、吸湿や脱湿を行なう材料を調湿材(調湿材料)、また、これらの調湿材の調湿能力性能(Humidity Control Capacity以後HCCと略記。) は、吸湿・脱湿による乾燥や加湿も含めて使用している。
【0012】
木炭の吸脱湿は細孔内で起こるために、細孔のサイズによりその特性が変化する。また細孔径の大きさは焼成温度および焼成時に供給するガスの種類などに影響を受けるので、調湿用木炭の製造には最適な焼成条件の設定が必要となる。しかし、木炭のHCC値は通常2〜3%でしかなく、調湿能力に優れているとはいえないことを本発明者らは実験によって確かめた。そこで焼成条件以外で木炭のHCC値を向上させる試みとして、木炭表面に親水性高分子のポリエチレングリコール(PEG)を担持させることにより吸放湿性能の向上を目指し、さらにその評価を行った。
【0013】
木炭は建築廃木材の粒状炭化材(焼成温度500℃、750℃、900℃、アールテック製)を、またPEGは三洋化成工業K.KのPEG1000およびPEG4000(数値は数平均分子量)を用いた。PEGはHO(CH2CH20)nCH2CH20Hの化学式で表され、分子鎖末端の−OH基により親水性を示す。低湿度時にはほとんど吸湿せず高湿度環境では急激に吸湿量が増加するという親水性高分子特有の吸湿特性を持つ。
【0014】
木炭は恒温乾燥器にて95℃で24時間乾燥を行った。またPEGの20wt%水溶液に乾燥木炭を24時間浸漬し、余分な水溶液をろ過したものを95℃で7時間乾燥し、PEG担持試料木炭とした。上記の処理を行った試料はデシケーター内に保管した。木炭のPEG担持処理結果について表1に示す。木炭の焼成温度が高くなるにつれPEGの担持量が多くなることが確認できた。900℃焼成木炭ではほぼ自重と同じ重さのPEGが担持される。
【0015】
【表1】
Figure 2004223385
【0016】
【木炭の調湿能力】
図1にHCC実験装置の概略を示す。湿度を調節したガスを吸湿装置下部から供給し、試料の重量変化をロードセルにより測定した。また装置内の温度、湿度をセンサーにより測定。以上の測定結果をコンピュータに記録した。装置へ供給するガスの湿度は、恒温水槽中のバブラーを用いて100%RHに調湿した空気をボンベの乾燥Nガスで希釈する方法により調節した。測定に用いる試料重量は約5gとした。実験装置内に試料をセットし90%RHに調湿した空気を通気し平衡含水率W1を求めた。その後供給空気の湿度を55%RHに切替え平衡含水率W2を求め、W1とW2の差をHCC値とした。
含水率の定義を数式1に示す。
【0017】
【数式1】
Figure 2004223385
【0018】
図2a,bに木炭の焼成温度と比表面積および細孔容積の関係を、表2に乾燥木炭の調湿能力の測定結果を示す。焼成温度の増加にともない木炭の比表面積、細孔容積の値は低下するが、W1並びにW2の値は共に増加が見られた。
【0019】
【表2】
Figure 2004223385
【0020】
焼成温度が高くなると木炭が収縮を起こし、細孔径が小さくなるために比表面積、細孔容積の減少を招いたものと思われる。しかし水の吸着量は焼成温度が高くなるに従い増加することから、水の分子径と木炭の細孔径の間で最適な吸着条件が存在するものと思われる。しかし一度細孔に吸着された水分は湿度が55%RHに低下したくらいでは脱着されない。脱着する2%程度の水分は細孔に取込まれた水分由来のものではなく、木炭表面にわずかに存在する親水性の部分に吸着しているものと推測される。そのために水分の吸着量が増えてもHCC値に大きな変化は現れない。乾燥のみを目的として木炭を用いるのならば吸着量さえ増えれば良いが、調湿用として使用する場合には吸脱着が繰返し継続することが求められるため、吸着性能と同じく脱着性能が重要となる。以上の結果から、焼成条件の制御だけでは木炭のHCC値の大幅な向上は困難であると考えられる。
【0021】
【PEG含浸木炭の調湿能力】
PEG1000、4000担持木炭ともに木炭焼成温度が高くなるほどHCC値が増加することが確認された。焼成温度が高いほどPEG担持量が増加するためPEGの吸湿特性の影響が大きくなり、そのことが90%RH雰囲気での吸湿量の増加に現れている。さらに木炭で見られた吸湿量の増加に伴う未脱着水分量の増加といった現象は起らず、このことがHCC値の向上につながっている。
【0022】
またPEG1000担持木炭の方がPEG4000担持木炭よりも大きなHCC値を示す。これは同程度の量が担持された場合、平均分子量がPEG1000の方が小さいことから−OH基の数が多くなり、単位面積あたりの水分の収着座の数が増加するためと考えられる。結果として未処理の木炭に比べPEG1000担持木炭は4?7倍、PEG4000担持木炭では2〜5倍のHCC値の向上が見られた。表3参照。
【0023】
【表3】
Figure 2004223385
【0024】
以上の結果をふまえ、PEG担持木炭の表面状態について検討を行った。まず比表面積をBET(島津フローソーブ2(注:ローマ数字の2である。)2300)により測定した結果0.966m/gという値が得られた。通常、木炭の比表面積は300〜400m/gであることからこれは非常に小さな値である。
【0025】
次に走査型電子顕微鏡(JEOL T−330)によりPEG担持木炭の表面観察を行った。結果を図−3a,bに示す。観察結果より木炭で見られる導管構造がPEG担持木炭ではPEGにより被覆されていることが確認された。低い比表面積の値は、木炭の骨格構造および細孔がPEG膜により覆われた結果である。したがってPEG担持木炭の吸放湿機構は主にPEG膜の吸放湿特性に依存しているものと推測される。
【0026】
【PEG担持木炭の吸脱湿機構】
まずPEG1000単体の吸湿曲線を図4に示す。PEG1000は低湿度時あまり吸湿しないが、相対湿度が80%RHを越えると指数関数的に含水率が増加する。PEG1000は通常、白色ロウ状の固体であるが高湿度時には潮解を起す。実験においても90%RH吸湿実験時に潮解を起しPEG水溶液となった。
【0027】
次に飽和湿度時のPEG担持木炭の吸湿特性を図5に示す。100%RH雰囲気下では木炭の細孔に水が凝縮するため、含水率が40%を越えても水分の吸着が止らない結果となった。しかしこの状態でも木炭表面での濡れは観察されない。このことからPEG担持木炭表面に形成されたPEG膜中の保持水分量はそれほど多くはなく、水分の大部分は木炭へ移動し貯蔵されていることが推察された。
【0028】
次にPEG膜担持担体としての木炭の効果を確認するために、PEG単独での平衡含水率と木炭単独での平衡含水率を用いて、PEG担持木炭のPEGおよび木炭それぞれが単体として機能した場合の含水率を算出した。比較した結果を図6に示す。 55%RH時にはPEG担持木炭は、PEG単体と木炭単体それぞれの含水率を加えて算出した値とほぼ同じ値を示す。そして90%RH時には、PEG担持木炭が単独のものの合計値よりも高い平衡含水率を示した。
これらのことから、高湿度時にはPEG膜から木炭へ水分の移動が起こりPEG担持担体として木炭がPEG担体としてばかりではなく、水分のリザーバとしても有効に働いていることが確認された。
【0029】
以上の結果をふまえて、PEG担持木炭の吸放湿のメカニズムは図7になる。PEG単独での水分の取込み(吸着・溶解)は(PEG+水)の示す蒸気圧と空気中の水蒸気圧が等しくなったところで平衡状態に達し水分の取込みは終了する。PEGを木炭に担持した場合はPEG膜の背面に木炭が存在することで、(PEG+水)の状態から水だけが細孔内に吸上げられる。このメカニズムは毛細管現象で水が吸上げられPEG膜の裏側から出てきて木炭細孔内で凝縮していることによる。これにより(PEG+水)の水濃度がある濃度以上にならないためにPEGの潮解現象は起らず、さらにPEG単独の時に比べ吸湿量が多くなる。そして脱湿時には木炭細孔内に凝縮した水分がPEG膜に取込まれ、さらに大気中に放出されることにより低い含水率を示すことになる。
【0030】
以上、発明者らの実験から、焼成温度約500℃、700℃、900℃の木炭の場合、杉や桧等の木炭が適しており空気に接触する有効面積の比率が大きいことが効果的である。これらの木炭は、比表面積300〜400m/g、平均細孔径1.5nm、細孔容積0.1cc/gであることが知見され、PEG1000を担持した本発明のPEG担持木炭と他の材料との比較実験を重ねた結果、90%RHと55%RHの湿度変化時における HCC値は、未処理炭や珪藻土、パーライトに水酸化ナトリウム処理した材料が1.0〜3.0%と低く一度吸着した湿気は吐き出さないという結果であった。これに対して本発明のPEG担持木炭(PEG1000)は、気温25℃のHCC値で15〜30.0%とHCC値が高く、吸放湿速度が極めて早いこと、かつ特定な湿度反応域を持ち70%RH以上になるとに優れた吸湿性能を発揮しそれ以下では放湿することが発見され、すぐれた調湿材料であることが確認された。
【0031】
本発明の調湿材の適用対象はPEGと木炭に限定されず、吸湿剤が分子構造に−OH基や−COOH、−N<(−NH、−NHφ、−Nφ)、>CO、−O−等の基を持っている等の他、脂肪酸塩、グリセリン脂肪酸、ソルビタン脂肪酸、ショ糖脂肪酸、及び、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン、水溶性酢酸セルロース、及び天然高分子の水溶性ポリマー、デンプン−ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン−ポリアクリル酸塩架橋物、カルボキシルメチルセルロース系、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体のケン化物、ポリアクリル酸ソーダ架橋物等から選ばれる上記吸着剤の一種又は複数種であり、基材が紙、綿花繊維、化学繊維、羊毛、活性炭、パーライト、及び、有機物を炭化した各種材料、また、石膏ボード、漆喰、木質繊維板、木材、パルプ繊維、セメント、石膏、珪酸カルシウム水和物、生石灰、ソーダ石灰、シリカゲル、ゼオライト、珪素土、クレイ(モリクロナイト)、その他ケイ酸化合物等、及び鉱物性繊維材、硬質ポリウレタンフォーム等の一種又は複数種から選ばれ、並びに基材が薄膜状、板状、繊維状、粒状、或いは粉末状の形態である上記調湿材が適している。以下、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0032】
【実施例】
例1:本発明の調湿材の製造
実験から杉や桧等の木炭の場合、比表面積300〜400m/g、平均細孔径1.5nm、細孔容積0.1cc/gであり焼成温度が高くなると木炭が収縮を起こし、細孔径が小さくなるために比表面積、細孔容積の減少を招くが水分の吸着量は焼成温度が高くなるに従い増加する。このことから、水の分子径と木炭の細孔径の間で最適な吸着条件が存在することが確かめられたが、一方で、一度細孔に吸着された水分は湿度が55%RHに低下したくらいでは脱着されず脱着する水分は2%程度であり細孔に取込まれた水分由来のものではなく、木炭表面にわずかに存在する親水性の部分に吸着しているものが離れたものと推測された。
そのために水分の吸着量が増えてもHCC値に大きな変化は現れず乾燥のみを目的として木炭を用いるのならば吸着量さえ増えれば良いが、調湿用として使用する場合には吸脱着が繰返し継続することが求められるため、吸着性能と同じく脱着性能が重要となる。
そこで調湿用木炭の吸放湿特性向上のため、粒状木炭表面に親水性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)10〜20wt%希釈液を加圧缶体により含浸処理し、粒状木炭の表面にPEG膜を持ったPEG担持木炭を製造した。
【0032】
例2:本発明の調湿材の調湿性能評価
このPEG担持木炭の55%RH〜90%RH雰囲気での調湿性能(HCC)は、PEG1000の場合平均分子量がPEG4000より小さいことから−OH基の数が多くなり、単位面積あたりの水分の収着座の数が増加するためHCC値15%〜20%を記録し、未処理の木炭に比べPEG1000担持木炭は4〜7倍のHCC値を示す結果が得られた。その際の吸湿と放湿速度も吸湿速度は約8〜16時間で吸湿率22%上限に達し、放湿速度は約6時間で吸湿率5〜8%に下がること、さらに100%RH雰囲気での吸湿増加は30時間で吸湿率45%にまで達する結果を得た。
【0033】
例3:本発明の調湿材の吸放湿制御
また、PEG1000の場合、外気湿度による吸湿と放湿作用の切替えは、PEG1000の分子量特性として70%RH〜80%RHを境にして、それ以下では放湿、以上では吸湿に転じることが確かめられた。
PEG担持木炭の吸湿量はPEGおよび木炭単体による吸湿量の和から予測される値よりさらに大きくなることが明らかになった。これは環境湿度が高湿度の時は木炭表面のPEG膜に吸収された水分が木炭へ移動し貯蔵され、低湿度時には木炭に貯蔵された水分がPEG膜により吸収され大気中に放出されるという機構が働くことが確認された結果である。
【0034】
【発明の効果】
本発明の調湿材は、建物の取壊しにより多量に生じる建築廃木材など、従来産業廃棄物として焼却および埋立てにより処理されてきた原料から安価に製造可能であり、最終処分場の減少にともないリサイクル方法の確立が急務となっている廃木材や有機系廃棄物のリサイクル方法のひとつとして炭化した形で再利用するのが適している。木炭類の持つ吸放湿特性を利用し、これを調湿用資材として住宅等の床下などに敷設することで木造家屋床下の結露によるカビの発生や木材の腐朽を防ぐなど、調湿材として環境湿度の変化に応じて高い調湿効果を発揮する特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】HCC実験装置の概略図。
【図2a】木炭の焼成温度と比表面積の関係をあらわした説明図。
【図2b】木炭の焼成温度と細孔容積の関係をあらわした説明図。
【図3a】走査型電子顕微鏡で観察した未処理木炭の写真説明図
【図3b】走査型電子顕微鏡で観察したPEG4000担持木炭の写真説明図。
【図4】PEG1000の吸湿特性を表したグラフ。
【図5】PEG1000担持(750℃)木炭100%RH雰囲気下での吸湿特性グラフ。
【図6】PEG1000担持木炭とPEGのみ、炭のみの含水率の比較(750℃)図。
【図7】PEG担持木炭の吸脱湿機構図。

Claims (4)

  1. 空気中の湿度が70%RH以上になると急激に吸湿作用を発揮するPEG膜(ポリエチレングリコール)を微細孔を有した多孔質な基材の表面に担持させ、PEG膜から水だけを毛細管現象で細孔内に吸上げ凝縮することによって水分のリザーバとして働き、これにより(PEG+水)の水濃度がある濃度以上にならないためにPEG膜に潮解現象を発生させず、さらにPEG単独、及び、基材単独に比較して高容量の吸湿率を発現し、一方、外気中の湿度が70%RH以下になると基材細孔内に凝縮した水分がPEG膜に取込まれ、さらに大気中に放出される脱湿作用を発現し基材単独に比べ水分放出率が助長され低含水率を示すことを特長としたPEGの分子構造の違いによるPEG膜の水分吸着特性と基材の細孔構造による水分凝縮作用の相乗効果により吸放湿調整自在とし、これを薄膜状、板状、繊維状、粒状、或いは粉末状とした調湿材料。
  2. 請求項1において、焼成温度約700℃木炭を基材として、その表面に、ポリエチレングリコール(PEG)を膜状に担持させることにより、高湿度時には空気中の水分がPEG膜を通して木炭へ移動し、PEG膜の担持担体である木炭がPEG担体としてばかりではなく水分の貯留もし、逆に、外気が低湿度時には木炭細孔内に凝縮した水分がPEG膜に取込まれ、さらに空気中に放出されることを特長とする湿度90%RH〜55%RHでHCC値15〜30%を、湿度100%RH雰囲気下では40%以上の吸湿率を持つ調湿コントロール自在とした調湿材料。
  3. 請求項1に係る基材を、湿気が水蒸気で通過しやすく吸湿固着しないで半自由水として移動しやすい、透湿抵抗値が小さく透湿比抵抗値が小さくなるように調製した紙、綿花繊維、化学繊維、羊毛、活性炭、パーライト、及び、有機物を炭化した各種材料、また、石膏ボード、漆喰、木質繊維板、木材、パルプ繊維、セメント、石膏、珪酸カルシウム水和物、生石灰、ソーダ石灰、シリカゲル、ゼオライト、珪素土、クレイ(モリクロナイト)、その他ケイ酸化合物等、及び鉱物性繊維、硬質ポリウレタンフォーム等の一種又は複数種からなる請求項1同様にPEG膜を担持させたことを特長とする調湿材料。
  4. 請求項1、請求項2、請求項3に記載のPEG以外に、分子構造に−OH基や−COOH、−N<(−NH、−NHφ、−Nφ)、>CO、−O−等の基を持っている等の他、脂肪酸塩、グリセリン脂肪酸、ソルビタン脂肪酸、ショ糖脂肪酸、及び、カルボキシメチルセルロース系、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン、水溶性酢酸セルロース、及び天然高分子系ポリマー、デンプン−ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン−ポリアクリル酸塩架橋物、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体のケン化物、ポリアクリル酸ソーダ架橋物等の一種又は複数種を空気中の水分吸着剤、または膜として使用したことを特長とする調湿材料。
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