JP2004232085A - 表面処理金属板、及びその製造方法、並びにこの製造方法に用いる潤滑樹脂と潤滑樹脂塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均膜厚が20μm以下の連続皮膜(A)を金属板の片面もしくは両面に有し、該皮膜中に、平均膜厚の3倍以上の長径を有する固形潤滑剤(B)が含有されている表面処理金属板。固形潤滑剤として、皮膜に垂直な方向から見ると長径が20μm超であるフッ素系樹脂を1mm2 あたり10個以上含有している表面処理金属板、および、連続皮膜(A)の成分と、膜厚の3倍より長径が大きい固形潤滑剤(B)とを混合して金属板に塗布し、塗布時の面圧を利用して固形潤滑剤を扁平化させることにより皮膜中に保持させる表面処理金属板の製造方法。
【選択図】 図1
Description
粒子径が数μm以下のフッ素系樹脂は、乳化重合で得られる。また、フッ素系樹脂の水分散体は、乳化重合でできたフッ素系樹脂のラテックスに界面活性剤を添加したのち濃縮・安定化したものとして市販されている。これは、特開平7−90620号公報にも述べられているように塗料組成物中での分散安定性には優れている。しかし、乳化重合で得られた粒子径が数μm以下のフッ素系樹脂を、他の樹脂に混合して金属板に塗布すると、塗布ロール上にフッ素系樹脂の巻きつきが起こりやすい。これは、フッ素系樹脂の特性として、せん断力を受けると繊維化しやすいことによるものと思われる。特開平4−341375号公報には、アクリル系やポリエチレン系の樹脂を被覆した粒子径0.01〜2μmのフッ素系樹脂粒子を用いると、製造時にフッ素系樹脂粒子が皮膜から剥脱してロールへ巻きつくという問題を解決できることが開示されている。しかしながらこれは、塗布、乾燥終了後の皮膜からの剥脱であるので、塗布ロールより下工程にある搬送ロールへの巻きつきを回避しただけであって、塗布ロール上での繊維化の問題を直接解決するものではない。
(1)金属板の片面もしくは両面に平均膜厚が20μm以下の連続皮膜(A)を有し、該連続皮膜中に添加物として、平均膜厚の3倍以上の長径を有する固形潤滑剤(B)が含有されていることを特徴とする表面処理金属板。
(2)固形潤滑剤としてフッ素系樹脂を含有することを特徴とする前項(1)記載の表面処理金属板。
(3)連続皮膜の膜厚が0.5 μm以上であって、かつ固形潤滑剤として、皮膜に垂直な方向から見ると長径が20μm超であるフッ素系樹脂を含有していることを特徴とする前項(2)記載の表面処理金属板。
(4)長径が20μm超であるフッ素系樹脂の個数が1mm2 あたり10個以上であることを徴とする前項(3)記載の表面処理金属板。
(5)連続皮膜がフッ素を含有せず、かつフッ素系樹脂の金属板上での付着量が、F換算で20mg/m2 以上であることを特徴とする前項(2)〜(4)のいずれかに記載の表面処理金属板。
(6)連続皮膜中に、固形潤滑剤としてさらにフッ素を含有しないワックスを含有する前項(2)〜(5)のいずれかに記載の表面処理金属板。
(7)連続皮膜と金属板との間に下地処理層を有することを特徴とする前項(2)〜(6)のいずれかに記載の表面処理金属板。
(8)金属板表面に添加物を含有する連続皮膜を形成させるために、連続皮膜(A)の構成成分と添加物とを混合して金属表面に塗布する方法において、該連続皮膜の平均膜厚の3倍よりも長径が大きい添加物を含有させ、塗布時の面圧を利用してこれを扁平化させることにより、該連続皮膜中に保持させることを特徴とする表面処理金属板の製造方法。
(9)添加物が固形潤滑剤(B)であることを特徴とする前項(8)記載の表面処理金属板の製造方法。
(10)固形潤滑剤としてフッ素系樹脂を含有することを特徴とする前項(9)記載の表面処理金属板の製造方法。
(11)固形潤滑剤が、乳化重合により合成されたフッ素系樹脂のファインパウダーに、放射線を照射して低分子量化したものであって、これを連続皮膜の構成成分と混合し、攪拌しながら金属板に塗布、乾燥することを特徴とする前項(10)記載の表面処理金属板の製造方法。
(12)固形潤滑剤が、懸濁重合により合成されたフッ素系樹脂を熱処理することなく、放射線を照射して低分子量化したものであって、これを連続皮膜の構成成分と混合して、攪拌しながら金属板に塗布、乾燥することを特徴とする前項(10)記載の表面処理金属板の製造方法。
(13)放射線を照射して低分子量化したフッ素系樹脂を、界面活性剤により水分散体とし、これを連続皮膜の水性成分と混合して攪拌しながら金属板に塗布、乾燥することを特徴とする前項(11)または(12)記載の表面処理金属板の製造方法。
(14)放射線を照射して低分子量化したフッ素系樹脂を、界面活性剤により水分散体としたことを特徴とする前項(13)記載の表面処理金属板の製造方法に用いるフッ素系樹脂水分散体。
(15)放射線を照射して低分子量化したフッ素系樹脂を、界面活性剤により水分散体とし、これを連続皮膜の水性成分と混合して得られる前項(13)記載の表面処理金属板の製造方法に用いる塗料組成物。
まず、前記(1)は、本発明の基本的な考え方を規定するものである。本発明の対象は、連続皮膜中に添加物を有する不均一な表面処理皮膜を片面もしくは両面に有する金属材料である。ここで連続皮膜と定義したのは、意図的に皮膜成分を金属板上に分散被覆させ、皮膜の無い部分が金属板全体の表面のうちかなりの割合、例えば数十%を占めるような場合を除外するためである。したがって、連続被覆を意図して形成されてはいるが、場所により膜厚の変化があったり、一部に金属が露出する部分があるような場合は、連続皮膜と呼ぶものである。平均膜厚を20μm以下としたのは、いわゆる後処理金属板および塗装金属板を対象とするためである。平均膜厚はのちに述べる方法により求める。連続皮膜は単層であってもよいし、2層以上の複層皮膜であってもよい。また、その主成分は有機物であっても、無機物であっても良い。
固形潤滑剤に用いるフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが使用可能である。これらのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。
連続皮膜中には、すべり性を阻害しない範囲で、種々の添加物を加える事ができる。例えば、耐食性向上のために、有機化合物として各種インヒビターが、無機化合物としてシリカ、チタニア、ジルコニア等が添加できる。また、着色が必要であれば、各種有機、無機顔料を添加できる。塗布性を向上させるために、レベリング剤や消泡剤を添加しても差し支えない。
(1)供試した金属板
下記の金属板を用いた。
GI(溶融亜鉛めっき鋼板):板厚0.8mm の軟鋼板に片面あたり 60g/m2 の溶融亜鉛めっ きを施した鋼板。
EG(電気亜鉛めっき鋼板):板厚0.8mm の軟鋼板に片面あたり 20g/m2 の亜鉛めっき電 析させた鋼板。
SUS(ステンレス鋼板):板厚1.2mm のSUS304
(2)連続皮膜
表1に示す6種類の連続皮膜を用いた。
(3)固形潤滑剤
表2に示した以下の2種類を用いた。
PTFE ポリテトラフルオロエチレン
PE ポリエチレンワックス
(4)塗布、乾燥
連続皮膜の成分と固形潤滑剤を混合し、ロールコーターで金属板に塗布し、直火型の乾燥炉で乾燥した。
(5)固形潤滑剤の最大長径の測定
走査型電子顕微鏡により、皮膜の表面観察および断面観察を行って、扁平な固形潤滑剤を選んでその最大長径を測定した。
(6)滑り出し角度の測定
供試板を100mm 角程度の大板と20mm角程度の小片に切り出し、大板の上に小片を乗せてから、大板を傾けていったときの小片の滑り出し角度を求めた。測定は10回行い、最大、最小を除く8データを平均した。
下記の金属板を用いた。
GI(溶融亜鉛めっき鋼板):板厚0.8mm の軟鋼板に片面あたり 60g/m2 の溶融亜鉛めっ きを施した鋼板。
EG(電気亜鉛めっき鋼板):板厚0.8mm の軟鋼板に片面あたり 20g/m2 の亜鉛めっきを 電析させた鋼板。
AL(溶融アルミニウムめっき鋼板):板厚1.6mm の軟鋼板に片面あたり 50g/m2 の溶融 アルミニウムめっきを施した鋼板。
なお、めっき中には合金元素としてシリコンを8 wt%含有している。
HR(熱延鋼板):酸洗をした板厚2.3mm の熱延鋼板(440MPa)
SUS(ステンレス鋼板):板厚1.2mm のSUS304
Ti(チタン板):板厚1.0mm の純チタン板
Al (アルミニウム板):板厚1.0mm のJIS3004
(2)下地処理
金属板の種類に応じて、以下の各種下地処理を行った。
1)クロメート処理:部分還元クロム酸とコロイダルシリカの混合物を塗布、乾燥した。
2)りん酸亜鉛処理:市販のりん酸亜鉛処理液を用いて処理を行った。
3)非クロメート処理:タンニン酸とシランカップリング剤の混合物を塗布、乾燥した。
4)プライマー処理:エポキシ系のプライマーを塗布、乾燥した。
5)陽極酸化処理:アルミニウム板用にはりん酸陽極酸化処理、チタン板用には過酸化水素 陽極酸化処理を行った。
(3)水性樹脂
水性樹脂として、以下のいずれかを用いた。
1)ウレタン樹脂:エーテル・エステル系ウレタン樹脂とエステル系ウレタン樹脂の1:1 混合物
2)アイオノマー樹脂:Na中和型アイオノマー樹脂
3)アクリル樹脂:メタクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、スチ レンの共重合体
4)オレフィン樹脂:エチレン−メタアクリル酸共重合体
5)ポリエステル樹脂:線状飽和ポリエステル樹脂
(4)フッ素系樹脂の水分散体
フッ素系樹脂としては、乳化重合で得られたPTFE, PFA, FEPのラテックスをそれぞれ凝析・乾燥したのち、放射線照射(ここでは電子線を使用)により融点の低下度が0.8 ℃以上となるように低分子量化し、これを界面活性剤等により水分散体としたものを主に用いた。また、一部の実施例(番号23,25,30)については、懸濁重合で得られたフッ素系樹脂を熱処理することなく、放射線を照射(ここではγ線を使用)して融点の低下度が0.8℃以上となるように低分子量化したのち、界面活性剤により水分散体としたものを用いた。なお、比較として、乳化重合で得られたPTFEのラテックスに界面活性剤を添加したのち濃縮・安定化した市販の水分散体も用いた(番号34)。
(5)その他の潤滑剤
いくつかの例については、ポリエチレンワックス(PE)、マイクロクリスタリンワックス(MC)、パラフィンワックス(PAR)のいずれかを、それぞれ樹脂固形分の16重量%添加した。
(6)その他の添加物
いくつかの例については、コロイダルシリカを樹脂固形分の20重量%添加した。また、すべての例について、レベリング剤を微量添加し、樹脂のハジキを防止した。
(7)塗布、乾燥
上記(3)〜(6)を混合して得られた組成物を攪拌しながらロールコーターにより金属帯に塗布し、直火型の乾燥炉にて、到達板温100 〜150 ℃で乾燥した。なお、ロールコーター上に樹脂の巻きつきが起こるかどうかを確認した。
(8)評価試験
(8−1)すべり性
供試板を水平に対して一定の角度で傾けて保持し、その上にフィルムが全身に巻かれた市販のPET ボトル(500CC入り)を横向きに静置したとき、何度の角度で保持した場合にすべり出すかを調べた。
◎:7°未満ですべり出した。
○:7°以上、9°未満ですべり出した。
△:9°以上、11°未満ですべり出した。
×:11°以上にしないと滑らなかった。
(8−2)耐磨耗性
上記のPET ボトルを、供試剤の上に横向きに置いて、1分間に60往復の速度で摺動を行い、10万往復後の供試材表面の損傷状態を調べた。
◎:摺動部に目立った傷が見られない。
○:摺動部の両端にのみ傷が見られる。
△:摺動部の中央部分にも浅い傷が見られる。
×:摺動部の中央部分にも深い傷が多数見られる。
(8−3)磨耗後すべり性
上記(8−2)の耐磨耗性試験終了後に、(8−1)のすべり性試験を行った。
◎:7°未満ですべり出した。
○:7°以上、9°未満ですべり出した。
△:9°以上、11°未満ですべり出した。
×:11°以上にしないと滑らなかった。
(8−4)皮膜密着性
供試板の潤滑性皮膜面に1mmゴバン目状にカッターナイフでクロスカットを入れ、テープ剥離した。
○:皮膜剥離が見られない
△:皮膜剥離が5%未満
×:皮膜剥離が5%超
表4に示すような、樹脂種類、重合方法、重合後処理方法、熱処理有無、低分子量化方法の異なるフッ素系樹脂の水分散体を用意した。水分散化には、極性基を有するフルオロカーボン系界面活性剤を用いた。低分子量化したものについては、高分子量体に対する融点低下度を、さきに述べた示差熱分析法(DSC)で求めた。また、水分散体の粒子径を光散乱法により測定した。
なお、表4のH, Kは乳化重合ままで濃縮・安定化させた市販の水分散体であり本発明の比較例である。またC, Gは、フッ素系樹脂を乳化重合により合成する途中で反応を停止させて低分子量化したものであり、これも比較例である。さらに、Bは低分子量を行っておらず、Dは熱処理を行っているため、これらもやはり比較例である。
(2)水性樹脂
ウレタン樹脂:エーテル・エステル系ウレタン樹脂とエステル系ウレタン樹脂の1:1混 合物
(3)供試した金属板
GI(溶融亜鉛めっき鋼板):板厚0.8mm の軟鋼板に片面あたり 60g/m2 の溶融亜鉛めっ きを施した鋼板。
(4)下地処理
非クロメート処理:タンニン酸とシランカップリング剤の混合物
(5)塗布、乾燥
上記(4)を全付着量が100〜 150mg/m2 となるように塗布、乾燥した金属板(3)に、(1)と(2)を、固形分比率で20:80となるように混合して攪拌しながら塗布し、直火型の乾燥炉にて、到達板温100 〜150 ℃で乾燥した。乾燥後の膜厚は3〜4μmとなるようにした。
(6)水分散体および金属板の評価試験
(6−1)水性樹脂+水分散体の分散安定性
上記(5)で用いた(1)と(2)の混合物を全固形分濃度25wt%としたものを500cc のビーカーに入れ、金属製の攪拌羽を水面近傍にセットして、50rpm もしくは100rpmで攪拌させた。これを18時間連続したのち停止し、ビーカーの底に溜まった沈殿の量を測定した。
◎:沈殿の生成なし
○:沈殿量がフッ素系樹脂固形分の10%未満
△:沈殿量がフッ素系樹脂固形分の10%超、30%未満
×:沈殿量がフッ素系樹脂固形分の30%超
(6−2)水性樹脂+水分散体の塗布ロールへの巻きつき
前記(6−1)と同じ混合物を1L用意し、ラボロールコーターにて塗布時をシミュレートしたロール回転テストを行った。ロール形式は2ロール(ピックアップロールは金属ロール、アプリケーターロールはゴムロール)のナチュラルコーターで、ロール幅300mm 、ロール径120mm である。これを、受けパン内に1Lの上記混合物を満たした状態で、アプリケーターロールの回転速度15mpm 、ピックアップロールの回転速度10mpm 、線圧200g/mm で2時間連続回転したときのロールへの樹脂巻き発生を観察した。なお実操業により近い条件とするため、GI板をアプリケーターロールに常時接触するように固定したまま、ロールコーターを回転させた。
◎:ロールへの樹脂巻き発生なし
○:ロールの一部にわずかに樹脂巻きが見られる
△:1時間以内に顕著な樹脂巻きが発生
×:15分以内に顕著な樹脂巻きが発生
(6−3)潤滑性皮膜中の(B−3)個数
先に述べたように、潤滑性皮膜中におけるフッ素系樹脂(B)の形態をSEM観察により確認し、皮膜に垂直な方向から見ると長径20μm超である(B−3)のタイプのフッ素系樹脂が1mm2 あたり10個以上含有されているかどうかを確認した。
○:(B−3)タイプのフッ素系樹脂が1mm2 あたり10個以上含有されている。
×:(B−3)タイプのフッ素系樹脂が1mm2 あたり10個以上含有されていない。(6−4)金属板のすべり性
供試板を水平に対して一定の角度で傾けて保持し、その上にフィルムが全身に巻かれた市販のPET ボトル(500cc入り)を横向きに静置したとき、何度の角度で保持した場合にすべり出すかを調べた。
◎:7°未満ですべり出した。
○:7°以上、9°未満ですべり出した。
△:9°以上、11°未満ですべり出した。
×:11°以上にしないと滑らなかった。
板厚2.3mm の熱延鋼板(440MPa 級)を用いた。
(2)連続皮膜と固形潤滑剤の種類
表5に示す実施例3水準、比較例3水準および市販潤滑剤であるボンデ・ボンダリューベ(日本パーカライジング)処理された熱延鋼板を用いた。ここで、実施例−2および比較例−2は、連続皮膜として溶剤系樹脂を用いているため、固形潤滑剤としてはそれぞれ、表4のEおよび市販のポリエチレンワックスを、水分散体とすることなく、粉末のまま添加した。
(3)塗布、乾燥
表5の混合物を酸洗された熱延鋼板にロールコーターで塗布し、熱風炉で乾燥した。(4)金属板の連続摺動性
塗布、乾燥の済んだサンプルから20mm× 360mmの試験片を切り出し、連続引き抜き試験を行った。ダイスはSKD11 で肩R2.5、幅5mm、面圧は40kgf/mm2 とし、引き抜き速度3.3mm/sec で長さ260mm を引き抜き、引き抜き荷重の平均値より動摩擦係数を求めた。引き抜き試験を30〜50回繰り返し、動摩擦係数が上昇してゆくかどうかを調べた。
板厚2.3mm の熱延鋼板(440MPa 級)を用いた。
(2)連続皮膜と固形潤滑剤の種類
表6に示す実施例3水準、比較例1水準および市販潤滑剤であるボンデボンダリューベ(日本パーカライジング)処理された熱延鋼板を用いた。実施例4と5では、熱延鋼板の下地処理として、りん酸亜鉛皮膜を電解処理により付着させた。処理時間は1〜2秒である。
(3)塗布、乾燥
表6の混合物を酸洗された熱延鋼板にロールコーターで塗布し、熱風炉で乾燥した。(4)金属板の多段成形性
塗布、乾燥の済んだサンプルを円形にブランキングしたのち、図4に示す自動車ミッション部品の形状となるように多段成形により成形した。塗油は行わず、歯型部分は合計4回のしごき成形により板厚減少率30%となるようにした。成形は300 個行い、以下のようにランクづけ評価した。ボンデ処理品を基準にとったのは、現状、多段成形に多用されているためである。
◎:割れ無く成形でき、寸法精度、製品タクトタイムともボンデ処理品と同等であっ た。
○:割れ無く成形でき、寸法精度はボンデ処理品と同等だが、ノックアウトが遅れ気 味でタクトタイムが長くなった。
△:割れ無く成形できたが、寸法精度がボンデ処理品に比べて劣っていた。
×:成形途中で割れが発生した。
EG(電気亜鉛めっき鋼板):板厚0.8mm の軟鋼板に片面あたり20g/m 2 の亜鉛めっきを 電析させた鋼板
(2)連続皮膜と固形潤滑剤の種類
表7に示す実施例3水準、比較例1水準を用いた。
(3)塗布、乾燥
表7の混合物をEGにロールコーターで塗布し、直火炉で乾燥した。
(4)通紙適性試験
供試材の複写機通紙部材としての適性を以下の方法で調べた。
(4−1)紙滑り性
30mm×30mmのKB用紙を金属板上に置き、荷重250g、滑り速度150mm/min で摺動させて動摩擦係数を求めた。
(4−2)耐紙摩耗性
φ50mmの円筒にKB用紙を巻きつけ、荷重500gで金属板に押し付けながら振幅30mm、1往復ごとに1°回転しながら、合計5000回摺動して、紙摩耗に対する耐久性を以下のように判定した。
○:金属板表面に擦り傷がほとんど認められず、紙の汚れもほとんど無い。
△:金属板表面に浅い擦り傷(連続皮膜の傷)が認められ、紙の汚れも若干認めら れる。
×:金属板表面に深い擦り傷(金属表面の傷)が認められ、紙の汚れも激しい。
(4−3)帯電性
KB用紙で供試材を摩擦し、摩擦前後の電位差を測定して帯電の目安とする。
○ : 10V以下
△ : 10V超、100V以下
× : 100V超
SUS(ステンレス鋼板):板厚1.2mm のSUS304
(2)連続皮膜と固形潤滑剤の種類
表8に示す実施例2水準、比較例1水準を用いた。ここでは、金属板上に3層の有機皮膜(下塗り、中塗り、上塗り)が形成されているが、本発明はこのうち上塗り樹脂に適用するものである。また、上塗りの連続皮膜として溶剤系樹脂を用いているため、固形潤滑剤としてはそれぞれ、表4のEおよび市販のポリエチレンワックスを、水分散体とすることなく、粉末のまま添加した。
(3)塗布、乾燥
下地処理、中塗り、上塗りともそれぞれロールコーターで金属板に塗布し、熱風炉で乾燥する、いわゆる3コート、3ベーク方式で行った。
(4)滑雪性試験
氷を供試板の上に静置し、水平方向に力を加えて、動摩擦係数を求めた。
(5)耐候性試験
紫外線照射と乾湿繰り返しからなる耐候性サイクル試験をラボにて4000時間行い、皮膜の剥離有無、および滑雪性の変化を調べた。
Claims (15)
- 金属板の片面もしくは両面に平均膜厚が20μm以下の連続皮膜(A)を有し、該連続皮膜中に添加物として、平均膜厚の3倍以上の長径を有する固形潤滑剤(B)が含有されていることを特徴とする表面処理金属板。
- 固形潤滑剤としてフッ素系樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の表面処理金属板。
- 連続皮膜の膜厚が0.5 μm以上であって、かつ固形潤滑剤として、皮膜に垂直な方向から見ると長径が20μm超であるフッ素系樹脂を含有していることを特徴とする請求項2記載の表面処理金属板。
- 長径が20μm超であるフッ素系樹脂の個数が1mm2 あたり10個以上であることを特徴とする請求項3記載の表面処理金属板。
- 連続皮膜がフッ素を含有せず、かつフッ素系樹脂の金属板上での付着量が、F換算で20mg/m2 以上であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の表面処理金属板。
- 連続皮膜中に、固形潤滑剤としてさらにフッ素を含有しないワックスを含有する請求項2〜5のいずれかに記載の表面処理金属板。
- 連続皮膜と金属板との間に下地処理層を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の表面処理金属板。
- 金属板表面に添加物を含有する連続皮膜を形成させるために、連続皮膜(A)の構成成分と添加物とを混合して金属表面に塗布する方法において、該連続皮膜の平均膜厚の3倍よりも長径が大きい添加物を含有させ、塗布時の面圧を利用してこれを扁平化させることにより、該連続皮膜中に保持させることを特徴とする表面処理金属板の製造方法。
- 添加物が固形潤滑剤(B)であることを特徴とする請求項8記載の表面処理金属板の製造方法。
- 固形潤滑剤としてフッ素系樹脂を含有することを特徴とする請求項9記載の表面処理金属板の製造方法。
- 固形潤滑剤が、乳化重合により合成されたフッ素系樹脂のファインパウダーに、放射線を照射して低分子量化したものであって、これを連続皮膜の構成成分と混合し、攪拌しながら金属板に塗布、乾燥することを特徴とする請求項10記載の表面処理金属板の製造方法。
- 固形潤滑剤が、懸濁重合により合成されたフッ素系樹脂を熱処理することなく、放射線を照射して低分子量化したものであって、これを連続皮膜の構成成分と混合して、攪拌しながら金属板に塗布、乾燥することを特徴とする請求項10記載の表面処理金属板の製造方法。
- 放射線を照射して低分子量化したフッ素系樹脂を、界面活性剤により水分散体とし、これを連続皮膜の水性成分と混合して攪拌しながら金属板に塗布、乾燥することを特徴とする請求項11または12記載の表面処理金属板の製造方法。
- 放射線を照射して低分子量化したフッ素系樹脂を、界面活性剤により水分散体としたことを特徴とする請求項13記載の表面処理金属板の製造方法に用いるフッ素系樹脂水分散体。
- 放射線を照射して低分子量化したフッ素系樹脂を、界面活性剤により水分散体とし、これを連続皮膜の水性成分と混合して得られる請求項13記載の表面処理金属板の製造方法に用いる塗料組成物。
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