JP2004234883A - グロメット構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】両端を機器に接続した後に配管等をパネルに取り付けることができるグロメット構造を提供する。
【解決手段】ラバーグロメット100は、頂上部103から底部104手前まで、各貫通孔151,152の各軸を含む平面に沿って切断されており、左側配管挟持部110と右側配管挟持部130とがそれぞれの下部で接続された形状となっている。樹脂キャップ200は、ラバーグロメット100の溝部120に嵌合するように、互いに連結されて開閉可能な2つの円筒200A、200Bを有している。ラバーグロメット100は切断面101を開くことで、樹脂キャップ200は各円筒210,220の上部から左右に開くことで配管10,20を挟むことができる。パネル30に開けられた開口部31にラバーグロメット100を挿入し、樹脂キャップ200をラバーグロメット100に挿入して、配管10,20をパネル30に固定する。
【選択図】 図5
【解決手段】ラバーグロメット100は、頂上部103から底部104手前まで、各貫通孔151,152の各軸を含む平面に沿って切断されており、左側配管挟持部110と右側配管挟持部130とがそれぞれの下部で接続された形状となっている。樹脂キャップ200は、ラバーグロメット100の溝部120に嵌合するように、互いに連結されて開閉可能な2つの円筒200A、200Bを有している。ラバーグロメット100は切断面101を開くことで、樹脂キャップ200は各円筒210,220の上部から左右に開くことで配管10,20を挟むことができる。パネル30に開けられた開口部31にラバーグロメット100を挿入し、樹脂キャップ200をラバーグロメット100に挿入して、配管10,20をパネル30に固定する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パネル開口部を貫通する配管等をその開口部に対して固定するためのグロメット構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、乗用車の車体パネルを貫通して配設された配管、たとえばワイヤハーネスを収容するコルゲートチューブや空調の冷媒配管などを固定するためのグロメットが知られている(特許文献1参照)。このグロメットは、ゴム製のグロメットに樹脂製の押圧材を挿入して、車体パネルへのグロメットの密着性をよくしてシール性の向上を図るものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−129064号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のグロメットでは、配管にグロメットを挿入した後に配管を配設する必要がある。
【0005】
本発明は、両端を機器に接続した後に配管等をパネルに取り付けることができるグロメット構造を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるグロメット構造は、パネルの開口部を貫通して配設されている少なくとも1本の配管等をパネル開口部に固定するグロメット構造において、グロメットとキャップとを有し、グロメットは、配管等の軸方向と直交する方向からグロメットを配管等に被せるための切断部と、パネル開口部に挿入され、パネルの表面および裏面からパネルを挟持するパネル挟持部と、キャップの係止部が挿入される挿入部とを有し、キャップは、軸方向と直行する方向から配管等に装着するための切断部と、挿入部に挿入される係止部とを有し、係止部は、挿入部に挿入されたとき、配管等の軸方向にグロメットのパネル挟持部を押圧して挟持部をパネルに挟圧することを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明によるグロメット構造は、グロメットおよびキャップの切断部を開いて配管等の軸方向と直交する方向から配管等に被せることができる。これにより、配管等の両端が既に機器等に接続されていても、グロメットおよびキャップを配管等に取り付けることができ、短い時間で確実に配管をパネルの開口部に固定できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
―――第1の実施の形態―――
図1〜7を参照して、本発明によるグロメット構造を車両のパネルを貫通する配管の固定に適用した第1の実施の形態を説明する。ここで配管とは、ワイヤハーネスを収容するコルゲートチューブや空調の冷媒配管、エンジン冷却水の配管などをいう。第1の実施の形態のグロメット構造は、図1および図2にそれぞれ示す軟質ゴム製のグロメット(以下、ラバーグロメットと呼ぶ)と樹脂製のキャップ(以下、樹脂キャップと呼ぶ)から構成される。ラバーグロメット100は軟質ゴム製であり、車体パネルの開口部を貫通して配設されている配管を支持する上部貫通孔151と下部貫通孔152とが上下に設けられている。ラバーグロメット100は、その頂上部103から底部104手前まで、各貫通孔151,152の各軸を含む平面に沿って切断されており、この切断面101に対して対称に左側配管挟持部110と右側配管挟持部130とがそれぞれの下部で接続された形状となっている。すなわち下部ヒンジ部を支点として左右挟持部110,130が左右に開閉する。なお、説明の便宜上、本実施の形態では、各図に示すように左右方向、前後方向、上下方向を規定する。
【0009】
左側配管挟持部110と右側配管挟持部130は、ラバーグロメット100をパネル開口部に嵌合して係止するための左側後部係止部111および右側後部係止部131を有する。各配管挟持部110,130はまた、左側前部係止部112および右側前部係止部132を有する。これら前部係止部112および132は、各後部係止部111,131がパネルに嵌合した際にパネルと接して各後部係止部111,131との間にパネルを挟持する。
【0010】
ラバーグロメット100の手前側の面において、上部貫通孔151と下部貫通孔152の外周に沿うように、上部貫通孔151および下部貫通孔152の周囲に略全円状に溝120が形成されている。上部貫通孔151の周囲に形成された溝120のうち、左側配管挟持部110に設けられた溝を左側上部溝121と呼び、右側配管挟持部130に設けられた溝を右側上部溝126と呼ぶ。下部貫通孔152の周囲に形成された溝120のうち、左側配管挟持部110に設けられた溝を左側下部溝122と呼び、右側配管挟持部130に設けられた溝を右側下部溝127と呼ぶ。
【0011】
左側上部溝121と右側上部溝126とは、その上部で切断面101を介して連続した溝とされ、左側下部溝122と右側下部溝127とは、その下部で切断面101を介して連続した溝とされている。また、左側上部溝121下側と左側下部溝122上側とは切断面101に沿って設けられた左側直線溝123で、右側上部溝126下側と右側下部溝127上側とは切断面101に沿って設けられた右側直線溝128でそれぞれ接続されている。これらの溝121〜123,126〜128により一本の溝120が形成される。後述するが、左側上部溝121と右側上部溝126と左側下部溝122と右側下部溝127には、ラバーグロメット100の前面から背面に向かって貫通孔が設けられている。この溝120には後述するように樹脂キャップ200が嵌合する。
【0012】
図2は、樹脂キャップ200の斜視図である。樹脂キャップ200は、可撓性のある樹脂製であって、ラバーグロメット100よりも硬質である。樹脂キャップ200は、上記ラバーグロメット100の溝部120に嵌合するように、互いに連結されて、切断部で開閉可能な2つの円筒200A、200Bを有している。すなわち樹脂キャップ200は、左側上部溝121に嵌合する左側上部円筒210と、左側直線溝123に嵌合する左側連結部205と、左側下部溝122と右側下部溝127とに嵌合する下部円筒220と、右側直線溝128に嵌合する右側連結部206と、右側上部溝126に嵌合する右側上部円筒230とによって構成されている。樹脂キャップ200にはフランジ部207が設けられ、各上部円筒210,230にはツメ208が、下部円筒220にはツメ209がそれぞれ設けられている。図3は、樹脂キャップ200を上方向から見た図である。ツメ208は、図3に示すように、上部円筒210,230側のそれぞれの付け根部間の寸法D2より、ツメ先端部間の寸法D1の方やや狭くなっている。ツメ209についても同様である。
【0013】
―――配管の支持方法―――
図4〜7を参照して、ラバーグロメット100および樹脂キャップ200を配管に装着し、パネル開口部に固定することで配管を支持する方法について説明する。図4は、ラバーグロメット100および樹脂キャップ200で配管10,20を挟んだ状態を示す図である。配管10,20は車両の前後方向に向かって上下2段に配設されており、車両のパネル30に開けられた開口部31を貫通した状態で不図示の機器に接続されている。配管10,20の両端が既に機器等に接続されていても、ラバーグロメット100は軟質のゴム製であるので、切断面101を開いて配管10,20を挟むことができる。樹脂キャップ200もラバーグロメット100と同様に、各円筒210,220の上部から左右に開いて配管10,20を挟むことができる。ラバーグロメット100は上部貫通孔151を配管10が、下部貫通孔152を配管20が貫通する形で配管10,20を挟んでいる。
【0014】
図5は、ラバーグロメット100で配管10,20を挟んだ後、パネル30に開けられた開口部31にラバーグロメット100を移動させ、開口部31に挿入して配管10,20を仮止めした状態を示す図である。開口部31に挿入されたラバーグロメット100は、左右の後部係止部111,131および左右の前部係止部112,132によってパネル30を表裏両面から挟持し、ラバーグロメット100および配管10,20をパネル30に固定する。
【0015】
図6は、図5の状態から樹脂キャップ200をラバーグロメット100に挿入して、配管10,20をパネル30に固定した状態を示す図である。また、図7は、図6のVII−VII面から見た断面図である。樹脂キャップ200は、上述したようにラバーグロメット100の溝120に挿入される。樹脂キャップ200のフランジ部207がラバーグロメット100に当たってからさらに樹脂キャップ200をラバーグロメット100に押し込むと、図7に示すように、樹脂キャップ200のツメ208が開口部31に係止される状態となる。ラバーグロメット100の各上部溝121,126に設けられた、ラバーグロメット100の前面から背面に向かって貫通する貫通孔107を、樹脂キャップ200のツメ208が貫通している。この状態では、ツメ208の係止部218がパネル30に接触し、フランジ部207の係止部217がラバーグロメット100を挟圧した状態となる。ツメ209についても同様である。これにより、ラバーグロメット100が配管10の軸方向に移動するのを規制して、ラバーグロメット100がパネル30から外れるのを防止する。また、溝120に挿入した樹脂キャップ200によって、柔らかなラバーグロメット100の変形を抑制してラバーグロメット100が切断面101で開くことを抑制する。さらに、上述したようにツメ208,209の先端部分は内側に傾斜していたが、ラバーグロメット100を介して配管10,20により外側に押し広げられるので、樹脂キャップ200が開口部31に確実に係止できる。また、図7に示した矢印のように、弾力によってツメ208がラバーグロメット100の上部貫通孔151の内面を配管10に押しつける。ツメ209についても同様である。なお、本実施の形態のグロメット構造では、固定する配管の本数は1本でも3本以上でもよい。また、複数本の配管を固定する場合でも、配管直径はすべて同じである必要はなく、それぞれ異なった直径の配管でもよい。
【0016】
上述の第1実施の形態のグロメット構造では次の作用効果を奏する。
(1) ラバーグロメット100は切断面101を開いて配管10,20を挟むことができる。樹脂キャップ200もラバーグロメット100と同様に、各円筒210,220の上部から左右に開いて配管10,20を挟むことができる。これにより、複数の配管の両端が既に機器等に接続されていても、ラバーグロメット100と樹脂キャップ200をこれらの配管に取り付けることができ、短い時間で確実に配管をパネルに固定できる。
(2) 樹脂キャップ200はラバーグロメット100よりも硬いので、溝120に挿入した樹脂キャップ200により柔らかなラバーグロメット100の変形を抑制してラバーグロメット100が切断面101で開くことを抑制できる。これにより、配管の確実な固定ができ、切断面が開いて見栄えが悪くなるのを防止できる。
(3) 樹脂キャップ200のツメ208、209の先端が内側に傾斜しており、樹脂キャップ200をラバーグロメット100に挿入すると、ツメが弾力によってラバーグロメット100の貫通孔の内面を各配管に押しつける。これにより、各配管の軸方向のずれを防止して、確実な固定ができる。
(4) 直径の異なる複数の配管を同時に固定することができるので、少ない部品点数で確実に配管をパネルに固定できる。これにより、組み立て工程における作業時間の短縮と部品点数削減、コストダウンを図ることができる。
【0017】
―――第2の実施の形態―――
図8〜10を参照して、本発明によるグロメット構造の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態のグロメット構造も第1の実施の形態と同様に、ラバーグロメットと樹脂キャップから構成される。図8は、第2の実施の形態のラバーグロメットを示す斜視図である。ラバーグロメット300は、軟質ゴム製であり、車体パネルの開口部を貫通して配設されている配管を支持する貫通孔351を有している。ラバーグロメット300は、ラバーグロメット300をパネルに嵌合して係止するための円錐形状の後部係止部311を有する。後部係止部311の前方には、円板形状の前部係止部312が設けられている。後部係止部311がパネルに嵌合した際、前部係止部312と後部係止部311との間にパネルを挟持する。後部係止部311には貫通孔307が、前部係止部312には貫通孔308がそれぞれ後部係止部311および前部係止部312を前後方向に貫通するように、上下に2箇所ずつ設けられている。ラバーグロメット300は、配管30の軸方向に沿った切断線CLで切断され、ヒンジ部300Hを支点として矢印3方向に開いて配管に装着することができる。
【0018】
図9(a),(b)はラバーグロメットの断面図であり、図9(a)は、貫通孔307,308がない部分における断面を示し、図9(b)は、貫通孔307,308がある部分における断面を示している。貫通孔351の内周面には突条355が設けられている。図9(b)のtは、前部係止部312の前後方向の厚みを示す。
【0019】
図10(a),(b),(c)は、樹脂キャップを示す図であり、図10(a)は斜視図、図10(b)は前方から見た正面図、図10(c)は図10(b)のX−X断面図である。樹脂キャップ400は、キャップ本体401の中心に孔402の開いた高さの低いキャップ形状をしている。図10(b)に示すように、キャップ本体401は、孔402から放射状に延びる切断部(開口部)403で切断されており、その使用に際しては、開口部403を閉じて図10(a)に示す一体構造のキャップ本体401とされる。キャップ本体401の内側にはツメ408が2本設けられている。開口部403の一方の端面には先端が幅の広い台形の凸部(アリ)404が設けられている。開口部403の他方の端面には、端面側が狭い台形の凹部(アリ溝)405が設けられている。後述するように、配管に装着した際は、台形の凸部404と台形の凹部405とが係合して、キャップ本体401の円形形状を維持する。図10(c)のDは、キャップ本体401の後面から外周部406が突出している距離である。そしてラバーグロメット300の前部係止部312の厚みtとの関係は、次のとおりである。
【数1】
D<t ・・・(1)
【0020】
―――配管の支持方法―――
図11〜15を参照して、ラバーグロメット300および樹脂キャップ400を配管に装着して、パネルの開口部に配管を支持する方法について説明する。図11は、配管40を示す図であり、図12は、ラバーグロメット300および樹脂キャップ400で配管40を挟んだ状態を示す図である。配管40は車両の前後方向に向かって配設されており、車両のパネル50に開けられた開口部51を貫通した状態で不図示の機器に接続されている。配管40には配管40の外周に溝41が設けられている。配管40の両端が既に機器等に接続されていても、ラバーグロメット300および樹脂キャップ400は、第1の実施の形態のラバーグロメット100および樹脂キャップ200と同様に、切断線CLおよび切断部403を開いて配管40を挟むことができる。ラバーグロメット300を配管40に挟持するとき、図13に示すように、配管40の溝41とラバーグロメット300の突条355とを嵌合させる。
【0021】
図14は、図12、13の状態からラバーグロメット300をパネル開口部51に挿入し、樹脂キャップ400を被せた状態を示す斜視図である。また、図15は、図14の断面図であり、配管50の軸方向にツメ408が位置する面で切断した状態を示す。ラバーグロメット300は、後部係止部311と前部係止部312とによってパネル50を挟持した状態で係止している。図15に示すように、ツメ先端418が後部係止部311の貫通孔係止部317に係合する。またこのとき、上述の(1)式の関係から、パネル50の前面と樹脂キャップ400の外周部406との間に隙間55がある状態となる。すなわち、樹脂キャップ400は、キャップ本体401とツメ先端部418により、ラバーグロメット300の後部係止部311と前部係止部312とを介してパネル50を挟持する。
【0022】
このようにして樹脂キャップ400は、ラバーグロメット300の前部係止部312を覆い、パネル50およびラバーグロメット300に係止する。これにより、樹脂キャップ400はラバーグロメット300が配管40の軸方向に移動するのを規制して、ラバーグロメット300がパネル50から外れるのを防止する。また、樹脂キャップ400がラバーグロメット300の前部係止部312を覆い、ツメ408が貫通孔351を外周方向から押さえることによって、柔らかなラバーグロメット300の変形を抑制してラバーグロメット300が切断面で開くことを抑制する。配管40の溝41とラバーグロメット300の突条355とが嵌合しているので、配管40はラバーグロメット300に対して固定され、さらにパネル50に対しても固定される。
【0023】
上述の第2実施の形態のグロメット構造では次の作用効果を奏する。
(1) ラバーグロメット300は、ヒンジ部300Hを支点として切断線CLが開閉可能とされている。樹脂キャップ400も開口部403を有する。これにより、配管の両端が既に機器等に接続されていても、ラバーグロメット300と樹脂キャップ400を配管に取り付けることができ、短い時間で確実に配管をパネルに固定できる。
(2) 樹脂キャップ400は、キャップ本体401とツメ先端部418により、ラバーグロメット300の後部係止部311と前部係止部312とを介してパネル50を挟持する。これにより、樹脂キャップ400とラバーグロメット300との密着力が向上するとともに、配管の振動を車体パネル側に伝達しにくくなる。
(3) 樹脂キャップ400は、台形の凸部404と台形の凹部405とが係合して、キャップ本体401の円形形状を維持し、ラバーグロメット300の前部係止部312を覆う。これにより、車両前方からラバーグロメット300を見たときに、ラバーグロメット300の切断面が見えず見栄えがよい。
(4) 配管40をパネル50に固定する際、配管40の溝41とラバーグロメット300の突条355とが嵌合している。これによりラバーグロメット300と配管40のずれが防止でき、組み立て工程での作業性の向上と、パネルに対する固定位置のずれが防止できる。
【0024】
―――第3の実施の形態―――
図16を参照して、本発明によるグロメット構造の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態のグロメット構造は、第2の実施の形態のグロメット構造を利用して2本の配管を固定できるようにしたものである。したがって、第3の実施の形態のグロメット構造については、第2の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0025】
図16は、ラバーグロメットおよび樹脂キャップで2本の配管を挟んだ状態を示す図である。第3の実施の形態のグロメット構造も第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に、ラバーグロメットと樹脂キャップから構成され、第2の実施の形態のグロメット構造を縦に2段重ねた構造である。すなわち、ラバーグロメット500は、車体パネルの開口部を貫通して配設されている2本の配管を支持する上部貫通孔551と下部貫通孔552を有している。ラバーグロメット500は、ラバーグロメット500をパネル開口部に嵌合して係止するための楕円状の底面を有する錐体の後部係止部511と円板形状の上側前部係止部512と下側前部係止部513とを有する。各前部係止部512,513は、後部係止部511の前方に設けられ、後部係止部511がパネルに嵌合した際、各前部係止部512,513と後部係止部511との間にパネルを挟持する。後部係止部511には、後部係止部511を正面から見た際に、楕円の短軸線上に相当する位置に楕円の長軸に対して対称に、後部係止部511を前後方向に貫通する貫通孔507が2箇所設けられている。この貫通孔507には、後述する樹脂キャップ600のツメ608が嵌挿される。ラバーグロメット500は、配管60,70の軸方向に沿った切断線CL1,2で切断され、ヒンジ部500H,500Iを支点として矢印5方向に開いて配管に装着することができる。貫通孔551、552の内周面にはそれぞれ、図13の突条355と同様、不図示の突条が設けられている。そして、第2の実施の形態の配管40の溝41と同様に、配管60,70についても不図示の溝が設けられており、ラバーグロメット500の貫通孔551、552の内周面に設けられた不図示の突条とそれぞれ嵌合する。
【0026】
樹脂キャップ600は、高さの低い楕円形のキャップ形状をしたキャップ本体601から成り、キャップ本体601には、2箇所の孔602,603が設けられている。キャップ本体601の内側には、楕円の短軸線上に相当する位置に楕円の長軸に対して対称にツメ608が2本設けられている。樹脂キャップ600はそれぞれ孔602,603の外周部に図10(a),(b)に示す切断部403と同様の切断部(開口部)を有している。この開口部には、図10(b)のアリ404、アリ溝405と同様のアリとアリ溝が設けられており、第2の実施の形態と同様に、ラバーグロメット500に装着する際は、アリとアリ溝とがそれぞれ嵌合する。
【0027】
図16の状態から、ラバーグロメット500をパネルの開口部に挿入し、樹脂キャップ600をラバーグロメット500に被せることにより配管60,70をパネルに対して固定できる。ラバーグロメット500と樹脂キャップ600とにより配管60,70をパネルに固定する方法については、第2の実施の形態と同様であるので詳細な説明は省略する。なお、配管直径はすべて同じである必要はなく、それぞれ異なった直径の配管でもよい。
【0028】
上述の第3実施の形態のグロメット構造では、第2の実施の形態における作用効果に加え、次の作用効果を奏する。
(1) ラバーグロメット500と樹脂キャップ600とによって2本の配管60,70をパネルに対して固定できる。これにより、少ない部品点数で複数の配管を同時に固定でき、組み立て工程における作業時間の短縮と部品点数削減、コストダウンを図ることができる。
(2) 直径の異なる配管を同時に固定することができるので、少ない部品点数で確実に配管をパネルに固定できる。これにより、簡易な構造で様々な配管直径に対応することができ、コストダウンを図ることができる。
【0029】
―――変形例―――
第2の実施の形態のグロメット構造を利用して3本以上の配管を固定できるようにすることもできる。たとえば、図17に示すように、第2の実施の形態のグロメット構造を縦に3つ並べるように配設して、第3の実施の形態のグロメット構造と同様の手法によって3本の配管を固定できるようにすることもできる。この場合、ラバーグロメット800に3つの貫通孔821,822,823を設け、各貫通孔821〜823の軸に対して平行な切断線で切断されることでヒンジ部を支点として開閉可能とすればよい。そして、樹脂キャップ900には3つの孔921,922,923を設け、各孔921〜923の外周部に切断部(開口部)903,904,905をそれぞれ設ければよい。
【0030】
上述の説明において、配管直径はすべて同じである必要はなく、それぞれ異なった直径の配管でもよい。こうすることで、直径の異なる複数の配管を同時に固定することができるので、少ない部品点数で確実に配管をパネルに固定できる。これにより、組み立て工程における作業時間の短縮と部品点数削減、コストダウンを図ることができる。また、上述の説明では、ラバーグロメットの材料は軟質のゴムであったが、配管の振動を吸収できる、弾力ある柔らかい材料なら軟質ゴムに限らない。たとえばスポンジのようなものであってもよい。さらに、ラバーグロメットで配管を挟んだ際に配管の外周に設けられた溝とラバーグロメット貫通孔内面の突条とが嵌合して軸方向の移動を規制するが、この規制構造体としての嵌合部分の形状は、上述の説明に限らない。溝や突条でない凹部や凸部であってもよく、凹凸が上述の説明と逆であってもよい。規制構造体としての嵌合部分は、設けられなくてもよい。
【0031】
上述の説明では、固定対象物を配管として説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ワイヤハーネスを単に束ねたものや、これにテープを巻いたものであってもよく、ワイヤハーネスを束ねたものにスパイラル上の樹脂チューブを巻き付けたものでもよい。また、電力供給用のケーブル等であってもよく、断面形状も円形に限らない。
【0032】
たとえば、グロメットの切断部は切断面101または切断線CLで、挿入部は貫通孔107,307,307,507で、係止部はツメ208,209,408,608でそれぞれ実現される。また、規制構造体は溝41と突条355とで、配管接触部は上部貫通孔151の内面および下部貫通孔152の内面でそれぞれ実現される。パネル挟持部は左側配管挟持部110と右側配管挟持部130、もしくは、後部係止部311と前部係止部312、または、後部係止部511と上側前部係止部512と下側前部係止部513とでそれぞれ実現される。さらに、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるグロメット構造の第1の実施の形態のラバーグロメット100の斜視図である。
【図2】本発明によるグロメット構造の第1の実施の形態の樹脂キャップ200の斜視図である。
【図3】図2の樹脂キャップ200を上方向から見た図である。
【図4】ラバーグロメット100および樹脂キャップ200で配管10,20を挟んだ状態を示す図である。
【図5】ラバーグロメット100を開口部31に挿入して配管10,20を仮止めした状態を示す図である。
【図6】樹脂キャップ200をラバーグロメット100に挿入して、配管10,20をパネル30に固定した状態を示す図である。
【図7】図6のVII−VII面から見た断面図である。
【図8】第2の実施の形態のラバーグロメット300の斜視図である。
【図9】図8の断面図であり、(a)は、貫通孔307,308がない部分における断面を示し、(b)は、貫通孔307,308がある部分における断面を示している。
【図10】第2の実施の形態の樹脂キャップ400を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は前方から見た正面図、(c)は(b)のX−X断面図である。
【図11】配管40を示す図である。
【図12】ラバーグロメット300および樹脂キャップ400で配管40を挟んだ状態を示す図である。
【図13】ラバーグロメット300で配管40を挟んだ状態の断面図である。
【図14】ラバーグロメット300をパネル開口部51に挿入し、樹脂キャップ400を被せた状態を示す斜視図である。
【図15】図14の断面図である。
【図16】第3の実施の形態のラバーグロメット500および樹脂キャップ600で配管60,70を挟んだ状態を示す図である。
【図17】第2の実施の形態のグロメット構造を利用して3本の配管を固定できるようにした変形例を示す図である。
【符号の説明】
10,20,40,60,70 配管
30,50 パネル
41 溝
100,300,500,800 ラバーグロメット
101 切断面
107 貫通孔
110 左側配管挟持部
130 右側配管挟持部
120 溝
151,551 上部貫通孔
152,552 下部貫通孔
200,400,600,900 樹脂キャップ
200A、200B 円筒
207 フランジ部
208,209,408,608 ツメ
300H ヒンジ部
311,551 後部係止部
312 前部係止部
307,507 貫通孔
351,551,552,821,822,823 貫通孔
355 突条
402、602,603,903,904,905 孔
403 切断部(開口部)
404 凸部(アリ)
405 凹部(アリ溝)
512 上側前部係止部
513 下側前部係止部
【発明の属する技術分野】
本発明は、パネル開口部を貫通する配管等をその開口部に対して固定するためのグロメット構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、乗用車の車体パネルを貫通して配設された配管、たとえばワイヤハーネスを収容するコルゲートチューブや空調の冷媒配管などを固定するためのグロメットが知られている(特許文献1参照)。このグロメットは、ゴム製のグロメットに樹脂製の押圧材を挿入して、車体パネルへのグロメットの密着性をよくしてシール性の向上を図るものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−129064号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のグロメットでは、配管にグロメットを挿入した後に配管を配設する必要がある。
【0005】
本発明は、両端を機器に接続した後に配管等をパネルに取り付けることができるグロメット構造を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるグロメット構造は、パネルの開口部を貫通して配設されている少なくとも1本の配管等をパネル開口部に固定するグロメット構造において、グロメットとキャップとを有し、グロメットは、配管等の軸方向と直交する方向からグロメットを配管等に被せるための切断部と、パネル開口部に挿入され、パネルの表面および裏面からパネルを挟持するパネル挟持部と、キャップの係止部が挿入される挿入部とを有し、キャップは、軸方向と直行する方向から配管等に装着するための切断部と、挿入部に挿入される係止部とを有し、係止部は、挿入部に挿入されたとき、配管等の軸方向にグロメットのパネル挟持部を押圧して挟持部をパネルに挟圧することを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明によるグロメット構造は、グロメットおよびキャップの切断部を開いて配管等の軸方向と直交する方向から配管等に被せることができる。これにより、配管等の両端が既に機器等に接続されていても、グロメットおよびキャップを配管等に取り付けることができ、短い時間で確実に配管をパネルの開口部に固定できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
―――第1の実施の形態―――
図1〜7を参照して、本発明によるグロメット構造を車両のパネルを貫通する配管の固定に適用した第1の実施の形態を説明する。ここで配管とは、ワイヤハーネスを収容するコルゲートチューブや空調の冷媒配管、エンジン冷却水の配管などをいう。第1の実施の形態のグロメット構造は、図1および図2にそれぞれ示す軟質ゴム製のグロメット(以下、ラバーグロメットと呼ぶ)と樹脂製のキャップ(以下、樹脂キャップと呼ぶ)から構成される。ラバーグロメット100は軟質ゴム製であり、車体パネルの開口部を貫通して配設されている配管を支持する上部貫通孔151と下部貫通孔152とが上下に設けられている。ラバーグロメット100は、その頂上部103から底部104手前まで、各貫通孔151,152の各軸を含む平面に沿って切断されており、この切断面101に対して対称に左側配管挟持部110と右側配管挟持部130とがそれぞれの下部で接続された形状となっている。すなわち下部ヒンジ部を支点として左右挟持部110,130が左右に開閉する。なお、説明の便宜上、本実施の形態では、各図に示すように左右方向、前後方向、上下方向を規定する。
【0009】
左側配管挟持部110と右側配管挟持部130は、ラバーグロメット100をパネル開口部に嵌合して係止するための左側後部係止部111および右側後部係止部131を有する。各配管挟持部110,130はまた、左側前部係止部112および右側前部係止部132を有する。これら前部係止部112および132は、各後部係止部111,131がパネルに嵌合した際にパネルと接して各後部係止部111,131との間にパネルを挟持する。
【0010】
ラバーグロメット100の手前側の面において、上部貫通孔151と下部貫通孔152の外周に沿うように、上部貫通孔151および下部貫通孔152の周囲に略全円状に溝120が形成されている。上部貫通孔151の周囲に形成された溝120のうち、左側配管挟持部110に設けられた溝を左側上部溝121と呼び、右側配管挟持部130に設けられた溝を右側上部溝126と呼ぶ。下部貫通孔152の周囲に形成された溝120のうち、左側配管挟持部110に設けられた溝を左側下部溝122と呼び、右側配管挟持部130に設けられた溝を右側下部溝127と呼ぶ。
【0011】
左側上部溝121と右側上部溝126とは、その上部で切断面101を介して連続した溝とされ、左側下部溝122と右側下部溝127とは、その下部で切断面101を介して連続した溝とされている。また、左側上部溝121下側と左側下部溝122上側とは切断面101に沿って設けられた左側直線溝123で、右側上部溝126下側と右側下部溝127上側とは切断面101に沿って設けられた右側直線溝128でそれぞれ接続されている。これらの溝121〜123,126〜128により一本の溝120が形成される。後述するが、左側上部溝121と右側上部溝126と左側下部溝122と右側下部溝127には、ラバーグロメット100の前面から背面に向かって貫通孔が設けられている。この溝120には後述するように樹脂キャップ200が嵌合する。
【0012】
図2は、樹脂キャップ200の斜視図である。樹脂キャップ200は、可撓性のある樹脂製であって、ラバーグロメット100よりも硬質である。樹脂キャップ200は、上記ラバーグロメット100の溝部120に嵌合するように、互いに連結されて、切断部で開閉可能な2つの円筒200A、200Bを有している。すなわち樹脂キャップ200は、左側上部溝121に嵌合する左側上部円筒210と、左側直線溝123に嵌合する左側連結部205と、左側下部溝122と右側下部溝127とに嵌合する下部円筒220と、右側直線溝128に嵌合する右側連結部206と、右側上部溝126に嵌合する右側上部円筒230とによって構成されている。樹脂キャップ200にはフランジ部207が設けられ、各上部円筒210,230にはツメ208が、下部円筒220にはツメ209がそれぞれ設けられている。図3は、樹脂キャップ200を上方向から見た図である。ツメ208は、図3に示すように、上部円筒210,230側のそれぞれの付け根部間の寸法D2より、ツメ先端部間の寸法D1の方やや狭くなっている。ツメ209についても同様である。
【0013】
―――配管の支持方法―――
図4〜7を参照して、ラバーグロメット100および樹脂キャップ200を配管に装着し、パネル開口部に固定することで配管を支持する方法について説明する。図4は、ラバーグロメット100および樹脂キャップ200で配管10,20を挟んだ状態を示す図である。配管10,20は車両の前後方向に向かって上下2段に配設されており、車両のパネル30に開けられた開口部31を貫通した状態で不図示の機器に接続されている。配管10,20の両端が既に機器等に接続されていても、ラバーグロメット100は軟質のゴム製であるので、切断面101を開いて配管10,20を挟むことができる。樹脂キャップ200もラバーグロメット100と同様に、各円筒210,220の上部から左右に開いて配管10,20を挟むことができる。ラバーグロメット100は上部貫通孔151を配管10が、下部貫通孔152を配管20が貫通する形で配管10,20を挟んでいる。
【0014】
図5は、ラバーグロメット100で配管10,20を挟んだ後、パネル30に開けられた開口部31にラバーグロメット100を移動させ、開口部31に挿入して配管10,20を仮止めした状態を示す図である。開口部31に挿入されたラバーグロメット100は、左右の後部係止部111,131および左右の前部係止部112,132によってパネル30を表裏両面から挟持し、ラバーグロメット100および配管10,20をパネル30に固定する。
【0015】
図6は、図5の状態から樹脂キャップ200をラバーグロメット100に挿入して、配管10,20をパネル30に固定した状態を示す図である。また、図7は、図6のVII−VII面から見た断面図である。樹脂キャップ200は、上述したようにラバーグロメット100の溝120に挿入される。樹脂キャップ200のフランジ部207がラバーグロメット100に当たってからさらに樹脂キャップ200をラバーグロメット100に押し込むと、図7に示すように、樹脂キャップ200のツメ208が開口部31に係止される状態となる。ラバーグロメット100の各上部溝121,126に設けられた、ラバーグロメット100の前面から背面に向かって貫通する貫通孔107を、樹脂キャップ200のツメ208が貫通している。この状態では、ツメ208の係止部218がパネル30に接触し、フランジ部207の係止部217がラバーグロメット100を挟圧した状態となる。ツメ209についても同様である。これにより、ラバーグロメット100が配管10の軸方向に移動するのを規制して、ラバーグロメット100がパネル30から外れるのを防止する。また、溝120に挿入した樹脂キャップ200によって、柔らかなラバーグロメット100の変形を抑制してラバーグロメット100が切断面101で開くことを抑制する。さらに、上述したようにツメ208,209の先端部分は内側に傾斜していたが、ラバーグロメット100を介して配管10,20により外側に押し広げられるので、樹脂キャップ200が開口部31に確実に係止できる。また、図7に示した矢印のように、弾力によってツメ208がラバーグロメット100の上部貫通孔151の内面を配管10に押しつける。ツメ209についても同様である。なお、本実施の形態のグロメット構造では、固定する配管の本数は1本でも3本以上でもよい。また、複数本の配管を固定する場合でも、配管直径はすべて同じである必要はなく、それぞれ異なった直径の配管でもよい。
【0016】
上述の第1実施の形態のグロメット構造では次の作用効果を奏する。
(1) ラバーグロメット100は切断面101を開いて配管10,20を挟むことができる。樹脂キャップ200もラバーグロメット100と同様に、各円筒210,220の上部から左右に開いて配管10,20を挟むことができる。これにより、複数の配管の両端が既に機器等に接続されていても、ラバーグロメット100と樹脂キャップ200をこれらの配管に取り付けることができ、短い時間で確実に配管をパネルに固定できる。
(2) 樹脂キャップ200はラバーグロメット100よりも硬いので、溝120に挿入した樹脂キャップ200により柔らかなラバーグロメット100の変形を抑制してラバーグロメット100が切断面101で開くことを抑制できる。これにより、配管の確実な固定ができ、切断面が開いて見栄えが悪くなるのを防止できる。
(3) 樹脂キャップ200のツメ208、209の先端が内側に傾斜しており、樹脂キャップ200をラバーグロメット100に挿入すると、ツメが弾力によってラバーグロメット100の貫通孔の内面を各配管に押しつける。これにより、各配管の軸方向のずれを防止して、確実な固定ができる。
(4) 直径の異なる複数の配管を同時に固定することができるので、少ない部品点数で確実に配管をパネルに固定できる。これにより、組み立て工程における作業時間の短縮と部品点数削減、コストダウンを図ることができる。
【0017】
―――第2の実施の形態―――
図8〜10を参照して、本発明によるグロメット構造の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態のグロメット構造も第1の実施の形態と同様に、ラバーグロメットと樹脂キャップから構成される。図8は、第2の実施の形態のラバーグロメットを示す斜視図である。ラバーグロメット300は、軟質ゴム製であり、車体パネルの開口部を貫通して配設されている配管を支持する貫通孔351を有している。ラバーグロメット300は、ラバーグロメット300をパネルに嵌合して係止するための円錐形状の後部係止部311を有する。後部係止部311の前方には、円板形状の前部係止部312が設けられている。後部係止部311がパネルに嵌合した際、前部係止部312と後部係止部311との間にパネルを挟持する。後部係止部311には貫通孔307が、前部係止部312には貫通孔308がそれぞれ後部係止部311および前部係止部312を前後方向に貫通するように、上下に2箇所ずつ設けられている。ラバーグロメット300は、配管30の軸方向に沿った切断線CLで切断され、ヒンジ部300Hを支点として矢印3方向に開いて配管に装着することができる。
【0018】
図9(a),(b)はラバーグロメットの断面図であり、図9(a)は、貫通孔307,308がない部分における断面を示し、図9(b)は、貫通孔307,308がある部分における断面を示している。貫通孔351の内周面には突条355が設けられている。図9(b)のtは、前部係止部312の前後方向の厚みを示す。
【0019】
図10(a),(b),(c)は、樹脂キャップを示す図であり、図10(a)は斜視図、図10(b)は前方から見た正面図、図10(c)は図10(b)のX−X断面図である。樹脂キャップ400は、キャップ本体401の中心に孔402の開いた高さの低いキャップ形状をしている。図10(b)に示すように、キャップ本体401は、孔402から放射状に延びる切断部(開口部)403で切断されており、その使用に際しては、開口部403を閉じて図10(a)に示す一体構造のキャップ本体401とされる。キャップ本体401の内側にはツメ408が2本設けられている。開口部403の一方の端面には先端が幅の広い台形の凸部(アリ)404が設けられている。開口部403の他方の端面には、端面側が狭い台形の凹部(アリ溝)405が設けられている。後述するように、配管に装着した際は、台形の凸部404と台形の凹部405とが係合して、キャップ本体401の円形形状を維持する。図10(c)のDは、キャップ本体401の後面から外周部406が突出している距離である。そしてラバーグロメット300の前部係止部312の厚みtとの関係は、次のとおりである。
【数1】
D<t ・・・(1)
【0020】
―――配管の支持方法―――
図11〜15を参照して、ラバーグロメット300および樹脂キャップ400を配管に装着して、パネルの開口部に配管を支持する方法について説明する。図11は、配管40を示す図であり、図12は、ラバーグロメット300および樹脂キャップ400で配管40を挟んだ状態を示す図である。配管40は車両の前後方向に向かって配設されており、車両のパネル50に開けられた開口部51を貫通した状態で不図示の機器に接続されている。配管40には配管40の外周に溝41が設けられている。配管40の両端が既に機器等に接続されていても、ラバーグロメット300および樹脂キャップ400は、第1の実施の形態のラバーグロメット100および樹脂キャップ200と同様に、切断線CLおよび切断部403を開いて配管40を挟むことができる。ラバーグロメット300を配管40に挟持するとき、図13に示すように、配管40の溝41とラバーグロメット300の突条355とを嵌合させる。
【0021】
図14は、図12、13の状態からラバーグロメット300をパネル開口部51に挿入し、樹脂キャップ400を被せた状態を示す斜視図である。また、図15は、図14の断面図であり、配管50の軸方向にツメ408が位置する面で切断した状態を示す。ラバーグロメット300は、後部係止部311と前部係止部312とによってパネル50を挟持した状態で係止している。図15に示すように、ツメ先端418が後部係止部311の貫通孔係止部317に係合する。またこのとき、上述の(1)式の関係から、パネル50の前面と樹脂キャップ400の外周部406との間に隙間55がある状態となる。すなわち、樹脂キャップ400は、キャップ本体401とツメ先端部418により、ラバーグロメット300の後部係止部311と前部係止部312とを介してパネル50を挟持する。
【0022】
このようにして樹脂キャップ400は、ラバーグロメット300の前部係止部312を覆い、パネル50およびラバーグロメット300に係止する。これにより、樹脂キャップ400はラバーグロメット300が配管40の軸方向に移動するのを規制して、ラバーグロメット300がパネル50から外れるのを防止する。また、樹脂キャップ400がラバーグロメット300の前部係止部312を覆い、ツメ408が貫通孔351を外周方向から押さえることによって、柔らかなラバーグロメット300の変形を抑制してラバーグロメット300が切断面で開くことを抑制する。配管40の溝41とラバーグロメット300の突条355とが嵌合しているので、配管40はラバーグロメット300に対して固定され、さらにパネル50に対しても固定される。
【0023】
上述の第2実施の形態のグロメット構造では次の作用効果を奏する。
(1) ラバーグロメット300は、ヒンジ部300Hを支点として切断線CLが開閉可能とされている。樹脂キャップ400も開口部403を有する。これにより、配管の両端が既に機器等に接続されていても、ラバーグロメット300と樹脂キャップ400を配管に取り付けることができ、短い時間で確実に配管をパネルに固定できる。
(2) 樹脂キャップ400は、キャップ本体401とツメ先端部418により、ラバーグロメット300の後部係止部311と前部係止部312とを介してパネル50を挟持する。これにより、樹脂キャップ400とラバーグロメット300との密着力が向上するとともに、配管の振動を車体パネル側に伝達しにくくなる。
(3) 樹脂キャップ400は、台形の凸部404と台形の凹部405とが係合して、キャップ本体401の円形形状を維持し、ラバーグロメット300の前部係止部312を覆う。これにより、車両前方からラバーグロメット300を見たときに、ラバーグロメット300の切断面が見えず見栄えがよい。
(4) 配管40をパネル50に固定する際、配管40の溝41とラバーグロメット300の突条355とが嵌合している。これによりラバーグロメット300と配管40のずれが防止でき、組み立て工程での作業性の向上と、パネルに対する固定位置のずれが防止できる。
【0024】
―――第3の実施の形態―――
図16を参照して、本発明によるグロメット構造の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態のグロメット構造は、第2の実施の形態のグロメット構造を利用して2本の配管を固定できるようにしたものである。したがって、第3の実施の形態のグロメット構造については、第2の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0025】
図16は、ラバーグロメットおよび樹脂キャップで2本の配管を挟んだ状態を示す図である。第3の実施の形態のグロメット構造も第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に、ラバーグロメットと樹脂キャップから構成され、第2の実施の形態のグロメット構造を縦に2段重ねた構造である。すなわち、ラバーグロメット500は、車体パネルの開口部を貫通して配設されている2本の配管を支持する上部貫通孔551と下部貫通孔552を有している。ラバーグロメット500は、ラバーグロメット500をパネル開口部に嵌合して係止するための楕円状の底面を有する錐体の後部係止部511と円板形状の上側前部係止部512と下側前部係止部513とを有する。各前部係止部512,513は、後部係止部511の前方に設けられ、後部係止部511がパネルに嵌合した際、各前部係止部512,513と後部係止部511との間にパネルを挟持する。後部係止部511には、後部係止部511を正面から見た際に、楕円の短軸線上に相当する位置に楕円の長軸に対して対称に、後部係止部511を前後方向に貫通する貫通孔507が2箇所設けられている。この貫通孔507には、後述する樹脂キャップ600のツメ608が嵌挿される。ラバーグロメット500は、配管60,70の軸方向に沿った切断線CL1,2で切断され、ヒンジ部500H,500Iを支点として矢印5方向に開いて配管に装着することができる。貫通孔551、552の内周面にはそれぞれ、図13の突条355と同様、不図示の突条が設けられている。そして、第2の実施の形態の配管40の溝41と同様に、配管60,70についても不図示の溝が設けられており、ラバーグロメット500の貫通孔551、552の内周面に設けられた不図示の突条とそれぞれ嵌合する。
【0026】
樹脂キャップ600は、高さの低い楕円形のキャップ形状をしたキャップ本体601から成り、キャップ本体601には、2箇所の孔602,603が設けられている。キャップ本体601の内側には、楕円の短軸線上に相当する位置に楕円の長軸に対して対称にツメ608が2本設けられている。樹脂キャップ600はそれぞれ孔602,603の外周部に図10(a),(b)に示す切断部403と同様の切断部(開口部)を有している。この開口部には、図10(b)のアリ404、アリ溝405と同様のアリとアリ溝が設けられており、第2の実施の形態と同様に、ラバーグロメット500に装着する際は、アリとアリ溝とがそれぞれ嵌合する。
【0027】
図16の状態から、ラバーグロメット500をパネルの開口部に挿入し、樹脂キャップ600をラバーグロメット500に被せることにより配管60,70をパネルに対して固定できる。ラバーグロメット500と樹脂キャップ600とにより配管60,70をパネルに固定する方法については、第2の実施の形態と同様であるので詳細な説明は省略する。なお、配管直径はすべて同じである必要はなく、それぞれ異なった直径の配管でもよい。
【0028】
上述の第3実施の形態のグロメット構造では、第2の実施の形態における作用効果に加え、次の作用効果を奏する。
(1) ラバーグロメット500と樹脂キャップ600とによって2本の配管60,70をパネルに対して固定できる。これにより、少ない部品点数で複数の配管を同時に固定でき、組み立て工程における作業時間の短縮と部品点数削減、コストダウンを図ることができる。
(2) 直径の異なる配管を同時に固定することができるので、少ない部品点数で確実に配管をパネルに固定できる。これにより、簡易な構造で様々な配管直径に対応することができ、コストダウンを図ることができる。
【0029】
―――変形例―――
第2の実施の形態のグロメット構造を利用して3本以上の配管を固定できるようにすることもできる。たとえば、図17に示すように、第2の実施の形態のグロメット構造を縦に3つ並べるように配設して、第3の実施の形態のグロメット構造と同様の手法によって3本の配管を固定できるようにすることもできる。この場合、ラバーグロメット800に3つの貫通孔821,822,823を設け、各貫通孔821〜823の軸に対して平行な切断線で切断されることでヒンジ部を支点として開閉可能とすればよい。そして、樹脂キャップ900には3つの孔921,922,923を設け、各孔921〜923の外周部に切断部(開口部)903,904,905をそれぞれ設ければよい。
【0030】
上述の説明において、配管直径はすべて同じである必要はなく、それぞれ異なった直径の配管でもよい。こうすることで、直径の異なる複数の配管を同時に固定することができるので、少ない部品点数で確実に配管をパネルに固定できる。これにより、組み立て工程における作業時間の短縮と部品点数削減、コストダウンを図ることができる。また、上述の説明では、ラバーグロメットの材料は軟質のゴムであったが、配管の振動を吸収できる、弾力ある柔らかい材料なら軟質ゴムに限らない。たとえばスポンジのようなものであってもよい。さらに、ラバーグロメットで配管を挟んだ際に配管の外周に設けられた溝とラバーグロメット貫通孔内面の突条とが嵌合して軸方向の移動を規制するが、この規制構造体としての嵌合部分の形状は、上述の説明に限らない。溝や突条でない凹部や凸部であってもよく、凹凸が上述の説明と逆であってもよい。規制構造体としての嵌合部分は、設けられなくてもよい。
【0031】
上述の説明では、固定対象物を配管として説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ワイヤハーネスを単に束ねたものや、これにテープを巻いたものであってもよく、ワイヤハーネスを束ねたものにスパイラル上の樹脂チューブを巻き付けたものでもよい。また、電力供給用のケーブル等であってもよく、断面形状も円形に限らない。
【0032】
たとえば、グロメットの切断部は切断面101または切断線CLで、挿入部は貫通孔107,307,307,507で、係止部はツメ208,209,408,608でそれぞれ実現される。また、規制構造体は溝41と突条355とで、配管接触部は上部貫通孔151の内面および下部貫通孔152の内面でそれぞれ実現される。パネル挟持部は左側配管挟持部110と右側配管挟持部130、もしくは、後部係止部311と前部係止部312、または、後部係止部511と上側前部係止部512と下側前部係止部513とでそれぞれ実現される。さらに、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるグロメット構造の第1の実施の形態のラバーグロメット100の斜視図である。
【図2】本発明によるグロメット構造の第1の実施の形態の樹脂キャップ200の斜視図である。
【図3】図2の樹脂キャップ200を上方向から見た図である。
【図4】ラバーグロメット100および樹脂キャップ200で配管10,20を挟んだ状態を示す図である。
【図5】ラバーグロメット100を開口部31に挿入して配管10,20を仮止めした状態を示す図である。
【図6】樹脂キャップ200をラバーグロメット100に挿入して、配管10,20をパネル30に固定した状態を示す図である。
【図7】図6のVII−VII面から見た断面図である。
【図8】第2の実施の形態のラバーグロメット300の斜視図である。
【図9】図8の断面図であり、(a)は、貫通孔307,308がない部分における断面を示し、(b)は、貫通孔307,308がある部分における断面を示している。
【図10】第2の実施の形態の樹脂キャップ400を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は前方から見た正面図、(c)は(b)のX−X断面図である。
【図11】配管40を示す図である。
【図12】ラバーグロメット300および樹脂キャップ400で配管40を挟んだ状態を示す図である。
【図13】ラバーグロメット300で配管40を挟んだ状態の断面図である。
【図14】ラバーグロメット300をパネル開口部51に挿入し、樹脂キャップ400を被せた状態を示す斜視図である。
【図15】図14の断面図である。
【図16】第3の実施の形態のラバーグロメット500および樹脂キャップ600で配管60,70を挟んだ状態を示す図である。
【図17】第2の実施の形態のグロメット構造を利用して3本の配管を固定できるようにした変形例を示す図である。
【符号の説明】
10,20,40,60,70 配管
30,50 パネル
41 溝
100,300,500,800 ラバーグロメット
101 切断面
107 貫通孔
110 左側配管挟持部
130 右側配管挟持部
120 溝
151,551 上部貫通孔
152,552 下部貫通孔
200,400,600,900 樹脂キャップ
200A、200B 円筒
207 フランジ部
208,209,408,608 ツメ
300H ヒンジ部
311,551 後部係止部
312 前部係止部
307,507 貫通孔
351,551,552,821,822,823 貫通孔
355 突条
402、602,603,903,904,905 孔
403 切断部(開口部)
404 凸部(アリ)
405 凹部(アリ溝)
512 上側前部係止部
513 下側前部係止部
Claims (9)
- パネルの開口部を貫通して配設されている少なくとも1本の配管等をパネル開口部に固定するグロメット構造において、
グロメットとキャップとを有し、
前記グロメットは、配管等の軸方向と直交する方向から前記グロメットを配管等に被せるための切断部と、前記パネル開口部に挿入され、前記パネルの表面および裏面から前記パネルを挟持するパネル挟持部と、後記キャップの係止部が挿入される挿入部とを有し、
前記キャップは、前記軸方向と直行する方向から前記配管等に装着するための切断部と、前記挿入部に挿入される係止部とを有し、
前記係止部は、前記挿入部に挿入されたとき、前記配管等の軸方向に前記グロメットのパネル挟持部を押圧して挟持部をパネルに挟圧することを特徴とするグロメット構造。 - 請求項1に記載のグロメット構造において、
前記グロメットおよび前記キャップはそれぞれ一体構造であることを特徴とするグロメット構造。 - 請求項1または請求項2に記載のグロメット構造において、
前記グロメットは、装着する前記配管等の外周と略同心の形状となるように形成された溝を有し、
前記キャップは、前記配管等をパネル開口部に固定する場合、前記溝に挿入されることを特徴とするグロメット構造。 - 請求項3に記載のグロメット構造において、
前記切断部で切断されている一方のグロメットに設けられた溝は1本であり、他方のグロメットに設けられた溝は前記切断部に対して前記一方のグロメットに設けられた溝と対称に設けられ、
前記キャップの前記溝に挿入される部分は、前記溝と略同一形状を呈することを特徴とするグロメット構造。 - 請求項1〜4のいずれかの項に記載のグロメット構造において、
前記キャップと前記グロメットとにより配管等をパネル開口部に固定した際、前記係止部は、前記係止部と前記配管等との間に位置する前記グロメットの配管接触部を前記配管等の中心方向に押圧し、その際、前記グロメットの弾性力により前記配管等の半径方向外側に押し広げられてパネル開口部に係止することを特徴とするグロメット構造。 - 請求項1〜5のいずれかの項に記載のグロメット構造において、
前記係止部は、前記パネル挟持部を介して前記パネル開口部に係止することを特徴とするグロメット構造。 - 請求項1〜6のいずれかの項に記載のグロメット構造において、
前記キャップは、前記挟持部を前記パネルに挟圧した状態では、前記パネルへの挿入側の面に突出する前記グロメットを覆い隠す形状を呈することを特徴とするグロメット構造。 - 請求項1〜7のいずれかの項に記載のグロメット構造において、
前記グロメットと前記配管等には、前記グロメットを前記配管等に装着したときに、前記グロメットが前記配管等の軸方向に移動するのを規制する規制構造体が設けられていることを特徴とするグロメット構造。 - 請求項1〜8のいずれかの項に記載のグロメット構造において、
前記グロメットの材質は軟質のゴムであり、
前記キャップの材質は、前記グロメットの材質より硬質であり、可撓性ある樹脂であることを特徴とするグロメット構造。
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| JP2003018793A JP2004234883A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | グロメット構造 |
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-
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- 2003-01-28 JP JP2003018793A patent/JP2004234883A/ja active Pending
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