JP2004238251A - 誘電体磁器組成物、及びセラミック電子部品 - Google Patents

誘電体磁器組成物、及びセラミック電子部品 Download PDF

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Hiroaki Matoba
弘明 的場
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Abstract

【課題】静電容量の温度特性を損なうことなく、より一層高い交流破壊電圧を得ることのできる高誘電率系の誘電体磁器組成物を得る。
【解決手段】誘電体磁器組成物が、一般式(Ba1−xCax)a(Ti1−yZry)O3 (0<x≦0.25、0<y≦0.25、0.960≦a≦1.035)を主成分とし、さらに、副成分として、主成分100重量部に対し、Er化合物が、Er2O3に換算して5重量部以下(但し、0重量部を除く)、Mg化合物が、MgOに換算して2重量部以下(但し、0重量部を除く)、Al化合物が、Al2O3に換算して2.5重量部以下(但し、0重量部を除く)でそれぞれ含有されている。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は誘電体磁器組成物、及セラミック電子部品に関し、より詳しくは高誘電率系の誘電体磁器組成物、及び該誘電体磁器組成物を使用して製造された単板コンデンサ、積層セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
高誘電率磁器材料としては、既に、BaO−CaO−TiO2−ZrO2系の誘電体磁器組成物を主成分としたものが実用化されている。
【0003】
この種の誘電体磁器組成物は、比誘電率が大きくなると静電容量の温度特性が悪化し、交流破壊電圧も低くなることから、従来より、組成物の配合比を工夫することにより、静電容量の温度特性や交流破壊電圧を改善した誘電体磁器組成物が提案されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−267732号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1では、交流破壊電圧の改善はなされているものの、該交流破壊電圧は最大でも4.5kV/mmと未だ不十分であり、より一層高い交流破壊電圧を有するセラミック電子部品の出現が望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、静電容量の温度特性を損なうことなく、より一層高い交流破壊電圧を得ることのできる高誘電率系の誘電体磁器組成物、及び該誘電体磁器組成物を使用して製造されたセラミック電子部品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る誘電体磁器組成物は、主成分が、一般式(Ba1−xCax)a(Ti1−yZry)O3で表されると共に、0<x≦0.25、0<y≦0.25、0.960≦a≦1.035とされ、かつ、前記主成分100重量部に対し、Er化合物が、Er2O3に換算して5重量部以下(但し、0重量部を除く)、Mg化合物が、MgOに換算して2重量部以下(但し、0重量部を除く)、Al化合物が、Al2O3に換算して2.5重量部以下(但し、0重量部を除く)でそれぞれ含有されていることを特徴としている。
【0008】
上記誘電体磁器組成物によれば、x、yを上述の範囲とすることにより、1400℃未満の焼成温度で良好な焼結性を得ることができる。
【0009】
また、Er化合物及びMg化合物を上述の範囲で含有させることにより、誘電率の低下を招くこともなく、静電容量の温度特性を良好なものとすることができる。
【0010】
そして、Al化合物を上述の範囲で含有させることにより、交流破壊電圧をより一層高くすることができる。
【0011】
尚、1.0×1011Ω以上の高絶縁抵抗を得るには、aは、0.965≦a≦1.030であるのが好ましい。
【0012】
また、より低温で焼結させるためには、前記主成分100重量部に対し、Mn化合物が、MnOに換算して2重量部以下及び/又はSi化合物が、SiO2に換算して2重量部以下含有するのが好ましい。
【0013】
特に、上記Mn化合物の添加は、静電容量の温度特性向上に寄与する。
【0014】
また、絶縁抵抗を大きくするためには、前記主成分100重量部に対し、Nb化合物が、Nb2O5に換算して1重量部以下含有させるのが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るセラミック電子部品は、セラミック焼結体が上記誘電体磁器組成物からなり、前記セラミック焼結体に電極が形成されていることを特徴としている。
【0016】
上記セラミック電子部品によれば、上述した誘電体磁器組成物を使用して製造されているので、絶縁抵抗や静電容量の温度特性が良好で、しかも交流破壊電圧が高く誘電率の高いセラミック電子部品を1400℃以下の低焼成温度で得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について詳説する。
【0018】
図1は本発明の誘電体磁器組成物を使用して製造されたセラミック電子部品としての単板コンデンサの一実施の形態を示す一部破断正面図である。
【0019】
該単板コンデンサは、本発明の誘電体磁器組成物からなるセラミック焼結体1と、該セラミック焼結体1の表裏両面に形成された電極部2と、はんだ3によって前記電極部2と電気的に接続された一対のリード線4a、4bと、セラミック焼結体1を被覆する樹脂製の外装5とから構成されている。
【0020】
そして、本実施の形態では、セラミック焼結体1を形成する誘電体磁器組成物が、下記一般式〔A〕を主成分としている。
【0021】
(Ba1−xCax)a(Ti1−yZry)O3 …〔A〕
ここで、x、y、aは0<x≦0.25、0<y≦0.25、0.960≦a≦1.035に設定されている。
【0022】
さらに、上記誘電体磁器組成物は、副成分として、前記主成分100重量部に対し、Er化合物が、Er2O3に換算して5重量部以下(但し、0重量部を除く)、Mg化合物が、MgOに換算して2重量部以下(但し、0重量部を除く)、Al化合物が、Al2O3に換算して2.5重量部以下(但し、0重量部を除く)でそれぞれ含有されている。
【0023】
そして、これにより最大比誘電率が高く、静電容量の温度特性に優れ、かつより高い交流破壊電圧を有する単板セラミックコンデンサを得ている。
【0024】
以下、上述のように数値限定した理由を述べる。
【0025】
(1)x
xが0.25を超えると、Baに対するCaの含有量が過剰となるため、焼結性が低下し、1400℃で焼成しても焼結不足になる。すなわち、xが0.25を超えた場合は、焼結させるには1400℃以上の温度で焼成する必要があり、生産コストが高騰化する。
【0026】
そこで、本実施の形態では、モル比xを、0<x≦0.25としている。
【0027】
(2)y
yが0.25を超えると、Tiに対するZrの含有量が過剰となるため、焼結性が低下し、1400℃で焼成しても焼結不足になる。すなわち、yが0.25を超えた場合、上記(1)と同様、焼結させるには1400℃以上の温度で焼成する必要があり、生産コストが高騰化する。
【0028】
そこで、本実施の形態では、yを、0<y≦0.25としている。
【0029】
(3)a
一般式ABO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物において、Aサイト成分を構成する(Ba1−xCax)とBサイト成分を構成する(Ti1−yZry)とのaは化学量論的には1.000であるが、必要に応じて適宜変更するのが望ましい。
【0030】
しかしながら、aが0.960未満になると静電容量の温度特性が悪化し、一方、aが1.035を超えると最大比誘電率が低下する。
【0031】
そこで、本実施の形態では、aを、0.960≦a≦1.030としている。
【0032】
尚、1.0×1011Ω以上のより高い絶縁抵抗を確保するためには、aを0.965≦a≦1.030とするのが好ましい。
【0033】
(4)Er化合物の含有量
Er化合物は、静電容量の温度特性を平坦にする作用を奏し、前記温度特性の向上に寄与するが、その含有量が、前記主成分100重量部に対し、Er2O3に換算し5重量部を超えると、最大比誘電率の低下が顕著になる。
【0034】
そこで、本実施の形態では、Er化合物の含有量を、主成分100重量部に対し、Er2O3に換算して5重量部(但し、0重量部を除く)以下としている。
【0035】
(5)Mg化合物の含有量
Mg化合物は、Er化合物と同様、静電容量の温度特性の向上に寄与するが、その含有量が、前記主成分100重量部に対し、MgOに換算し2重量部を超えると、最大比誘電率の低下が顕著になる。
【0036】
そこで、本実施の形態では、Mg化合物の含有量を、主成分100重量部に対し、MgOに換算し2重量部(但し、0重量部を除く)以下としている。
【0037】
(6)Al化合物の含有量
Al化合物は、交流破壊電圧を大きくする作用を奏するが、その含有量が、前記主成分100重量部に対し、Al2O3に換算し2.5重量部を超えると、絶縁抵抗の低下が顕著になる。
【0038】
そこで、本実施の形態では、Al化合物の含有量を、主成分100重量部に対し、Al2O3に換算し2.5重量部(但し、0重量部を除く)以下としている。
【0039】
次に、上記単板コンデンサの製造方法について詳述する。
【0040】
まず、上記誘電体磁器組成物を作製する。
【0041】
すなわち、出発素材として、例えばBaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2、Er2O3、MgO、Al2O3を準備し、次いで上述した成分組成の誘電体磁器組成物が得られるように、これらの出発素材を配合し、その後、この配合物をボールミルに投入して湿式混合し、粉砕する。そしてこの後、粉砕物を蒸発乾燥し、次いで、所定温度(例えば、1150℃)で約2時間仮焼処理を施し、これにより誘電体磁器組成物を作製する。
【0042】
次に、この誘電体磁器組成物をポリ酢酸ビニル系バインダ等のバインダと共にボールミルに投入し、所定時間湿式混合し、その後、該混合物を脱水乾燥し、整粒した後、加圧し、所定の円板状に成形し、セラミック成形体を作製する。そしてこの後、該セラミック成形体を1350〜1390℃で約2時間焼成処理を施し、セラミック焼結体1を作製する。
【0043】
次いで、該セラミック焼結体1の表裏両面にAg等を主成分とした導電性ペーストを塗布し、焼付処理を施し、電極部2を形成する。
【0044】
そして、はんだ3によって電極部2とリード線4a、4bとを接続し、その後樹脂モールドを施して外装5を形成し、これにより単板コンデンサが製造される。
【0045】
このように本実施の形態では、単板コンデンサが上述した誘電体磁器組成物を使用して製造されており、したがって、静電容量の温度特性や絶縁性を損なうことなく、高い最大比誘電率を有し、かつより高い交流破壊電圧を有する単板コンデンサを1400℃未満の焼成温度で容易に得ることができる。
【0046】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、出発素材としてBaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2、Er2O3、MgO、Al2O3を一度に混合し仮焼したが、主成分を構成するBaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2を予め混合して仮焼し、その後、Er2O3、MgO、Al2O3を添加することにより、本発明の誘電体磁器組成物を作製してもよい。
【0047】
さらに、焼結温度を低下させて生産性を向上させる観点からは、Mn化合物やSi化合物を上記誘電体磁器組成物に含有させるのが好ましい。
【0048】
但し、その含有量は、Mn化合物の場合は、主成分100重量部に対し、MnOに換算して2重量部以下が好ましく、Si化合物の場合は、主成分100重量部に対し、SiO2に換算して2重量部以下が好ましい。これはMn化合物及びSi化合物が、主成分100重量部に対し、MnO又はSiO2換算で2重量部を超えると絶縁抵抗が低下するからである。
【0049】
また、より大きな絶縁抵抗を確保する観点からは、Nb化合物を誘電体磁器組成物に含有させるのも好ましい。
【0050】
但し、その含有量は、主成分100重量部に対し、Nb2O5に換算して1重量部以下が好ましい。これはNb化合物が、主成分100重量部に対し、Nb2O5換算で1重量部を超えると、Nb化合物が過剰となり、却って絶縁抵抗が低下するからである。
【0051】
尚、この場合も、MnO、SiO2、Nb2O5を前記主成分やEr2O3、MgO、Al2O3と共に一度に混合して仮焼してもよいし、主成分組成の仮焼粉末に対し、Er2O3、MgO、Al2O3と共にMnO、SiO2、Nb2O5を添加して製造してもよいことはいうまでもない。
【0052】
また、出発素材として、BaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2等を使用しているが、本発明はこれらの化合物形態に限定されるものではない。例えば、BaTiO3、BaZrO3、CaTiO3、CaZrO3などの化合物や、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、アルコキシドなどを出発素材としてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、セラミック電子部品として単板コンデンサを例示したが、積層セラミックコンデンサについても同様、最大比誘電率が高く、静電容量の温度特性や絶縁性を損なうことなく、より高い交流破壊電圧を有するセラミック電子部品を1400℃以下の低温焼成で得ることができる。
【0054】
【実施例】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0055】
〔第1の実施例〕
まず、出発材料としてBaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2、Er2O3、MgO、Al2O3を準備し、これら出発素材を、表1、表2に示す誘電体磁器組成物が得られるように配合し、ボールミルで湿式混合した後、蒸発乾燥し、粉末混合物を得た。なお、表1、表2中の副成分量(重量部)は、主成分100重量部に対する重量部である。
【0056】
次に、該粉末混合物を1150℃で2時間仮焼処理を施し、仮焼粉末を作製した。次いで該仮焼粉末100重量部に対して5重量部の酢酸ビニル系バインダを前記仮焼粉末に添加し、ボールミルで湿式混合し、その後、蒸発乾燥し、整粒により粉末状にした。
【0057】
次いで、この粉末を245MPa(2.5ton/cm2)の圧力で直径15mm、厚さ1.0mmの円板状のセラミック成形体を成形した。
【0058】
次いで、このセラミック成形体を1390〜1400℃の焼成温度で焼成した。その後、焼結体の両主面にAgペーストを塗布し、次いで、800℃で焼付処理を施して円板状の電極を形成し、試料No.1〜36を作製した。
【0059】
【表1】
Figure 2004238251
【0060】
【表2】
Figure 2004238251
次に、静電容量の温度特性、最大比誘電率、交流破壊電圧、及び絶縁抵抗を測定した。
【0061】
まず、静電容量の温度特性を以下のようにして評価した。
【0062】
すなわち、1kHz、1Vrmsの条件下、静電容量が最大を示す点(転移点)の温度を基準(0%)とし、転移点から±50℃偏位した時の静電容量の温度変化率(以下、「容量温度変化率」という)ΔC−50、ΔC+50を測定し、静電容量の温度特性を評価した。
【0063】
尚、温度特性をこのように評価したのは、例えば、−25℃と+85℃の静電容量の温度変化率で評価した場合、転移点が常温近傍にない試料もあるため比較し難くなるためである。
【0064】
また、各試料の静電容量の最大値、すなわち転移点における静電容量Cmax(F)と試料の電極の直径D(m)及び厚みT(m)とから数式(1)に基づき最大比誘電率εmaxを算出した。
【0065】
【数1】
Figure 2004238251
ここで、ε0は真空誘電率(=8.854×10−12(F/m))である。
【0066】
交流破壊電圧は、試料の両端に交流電圧を印加し、破壊したときの電圧を厚み1mm当たりに換算して算出した。
【0067】
絶縁抵抗は、絶縁抵抗計を使用し、250Vの電圧を2分間印加して測定した。
【0068】
表3、表4は、これらの測定結果を示している。
【0069】
【表3】
Figure 2004238251
【0070】
【表4】
Figure 2004238251
試料番号1〜11は、x、yが本発明範囲内と本発明範囲外の試料を示している。
【0071】
試料番号10、11はxが0.30であり0.25を超えているため、Caの含有量が過剰となり、このため焼結性が低下し、1400℃で焼成しても焼結不足になることが確認された。すなわち、試料番号10、11では、焼結させるには1400℃を超える温度で焼成する必要があり、生産コストの高騰化を招くおそれがある。
【0072】
また、試料番号8、9はyが0.30であり0.25を超えているため、Zrの含有量が過剰となり、このため焼結性が低下し、1400℃で焼成しても焼結不足になることが確認された。すなわち、試料番号8、9は、試料番号10、11と同様、焼結させるには1400℃を超える温度で焼成する必要があり、生産コストの高騰化を招くおそれがある。
【0073】
これに対して試料番号1〜7はx、yが本発明範囲内であるので、1400℃未満での焼成温度で焼結可能なことが分った。
【0074】
試料番号12〜16は、Er2O3の含有量が本発明範囲内と本発明範囲外とを示している。
【0075】
試料番号12は、組成物中にEr2O3を含んでいないため、容量温度変化率ΔΔC−50、C+50のいずれもが−60%よりも負側に偏位し、温度特性が劣化している。また、試料番号16は、Er2O3の含有量が、5重量部を超えているため、最大比誘電率が5600であり、6000未満に低下することが分った。
【0076】
これに対して試料番号13〜15は、Er2O3の含有量が本発明範囲内であるので、容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50のいずれもが−60%以内であり、6000以上の最大比誘電率を確保しつつ、良好な静電容量の温度特性を得ることができる。
【0077】
試料番号17〜20は、MgOの含有量が本発明範囲内と本発明範囲外とを示している。
【0078】
試料番号17は、組成物中にMgOを含んでいないため、容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50のいずれもが−60%よりも負側に偏位し、温度特性が劣化している。また、試料番号20は、MgOの含有量が、2重量部を超えているため、最大比誘電率が5500であり、6000未満に低下することが分った。
【0079】
これに対して試料番号18、19は、MgOの含有量が本発明範囲内であるので、容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50のいずれもが−60%以内であり、6000以上の最大比誘電率を確保しつつ、良好な静電容量の温度特性を得ることができる。
【0080】
試料番号21〜25は、Al2O3の含有量が本発明範囲内と本発明範囲外とを示している。
【0081】
試料番号21は、組成物中にAl2O3を含んでいないため、交流破壊電圧が4.6kV/mmと小さい。また、試料番号25は、Al2O3の含有量が、2.5重量部を超えているため、絶縁抵抗が3.3×108Ωに低くなることが分った。
【0082】
これに対し、試料番号22〜24は、Al2O3の含有量が本発明範囲内であるので、1.0×1010Ω以上の絶縁抵抗を確保しつつ、5.0kV/mm以上の高い交流破壊電圧を得ることができる。
【0083】
試料番号26〜29は、Er2O3、MgO、Al2O3の含有量のうち、2種の材料が本発明範囲外の試料を示している。
【0084】
試料番号26は、Er2O3、MgO、Al2O3のいずれも含まれていないため、容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50のいずれもが、−60%よりも負側に偏位し、また交流破壊電圧が、4.6kV/mmであり、5.0kV/mmよりも小さくなることが分った。
【0085】
試料番号27は、Er2O3は0.9重量部含まれているが、MgOとAl2O3が含まれていないため、容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50のいずれもが、−60%よりも負側に偏位し、また交流破壊電圧が、4.8kV/mmであり、5.0kV/mmよりも小さくなることが分った。
【0086】
試料番号28は、MgOは0.6重量部含まれているが、Er2O3とAl2O3が含まれていないため、試料番号33と同様、容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50のいずれもが、−60%よりも負側に偏位し、また交流破壊電圧が、4.8kV/mmであり、5.0kV/mmよりも小さくなることが分った。
【0087】
試料番号29は、Al2O3は0.1重量部含まれているため交流破壊電圧は5.2kV/mmと良好であるが、Er2O3とMgOが含まれていないため、容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50のいずれもが、−60%よりも負側に偏位し、温度特性が悪いことが分った。
【0088】
これに対し試料番号30は、Er2O3、MgO、Al2O3のいずれもが本発明範囲内であるので、容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50は−60%よりも正側を維持し、しかも交流破壊電圧が5.4kV/mmであり、5.0kV/mm以上の高い交流破壊電圧を得ることのできることが分った。
【0089】
試料番号31〜36はaを本発明範囲内で増減させた場合の特性を示している。
【0090】
各測定結果は、いずれも容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50が−60%以内、最大比誘電率は6000以上、交流破壊電圧は5.0kV/mm以上であり、絶縁抵抗は1.0×109Ω以上となり、良好な電気的特性を得ている。
【0091】
特に、試料番号32〜35は、モル比aが0.965〜1.030であるので、絶縁抵抗が1.0×1011Ω以上となり、より一層高い絶縁抵抗を得ることができた。
【0092】
〔第2の実施例〕
出発材料として、第1の実施例の出発材料に加え、MnO、SiO2、Nb2O5のうちの少なくも1種を適宜添加し、第1の実施例と同様の方法・手順で試料番号41〜58の試料を作製した。
【0093】
表5はその成分組成を示す。
【0094】
【表5】
Figure 2004238251
次に、第1の実施例と同様、容量温度変化率ΔC−50、ΔC+50、最大比誘電率、絶縁抵抗、及び交流破壊電圧を測定した。
【0095】
表6はその測定結果を示している。
【0096】
【表6】
Figure 2004238251
試料番号41〜44は、MnOの含有量に対する特性変化を示している。
【0097】
試料番号41〜43から明らかなように、誘電体磁器組成物にMnOを含有させることにより、焼成温度を低下させることができる。
【0098】
しかしながら、試料番号44のようにMnOの含有量が主成分100重量部に対し2重量部を超えると、焼成温度をさらに低下させることができず、絶縁抵抗が8.3×109Ωに低下することが分かった。
【0099】
試料番号45〜49は、SiO2の含有量に対する特性変化を示している。
【0100】
試料番号45〜48から明らかなように、誘電体磁器組成物にSiO2を含有させることにより、焼成温度を低下させることができる。
【0101】
しかしながら、試料番号49のようにSiO2の含有量が主成分100重量部に対し2重量部を超えると、焼成温度をさらに低下させることができず、絶縁抵抗が7.3×109Ωに低下することが分った。
【0102】
試料番号50〜54は、Nb2O5の含有量に対する特性変化を示している。
【0103】
試料番号50〜53から明らかなように、誘電体磁器組成物にNb2O5を含有させることにより、絶縁抵抗を大きくすることができる。
【0104】
しかしながら、試料番号54のようにNb2O5の含有量が主成分100重量部に対し1重量部を超えると、過剰添加となり絶縁抵抗が2.3×109Ωに低下することが分った。
【0105】
試料番号55〜58は、MnO、SiO2、Nb2O5のうちの少なくとも2つ以上を所定量添加した場合を示している。
【0106】
この試料番号55〜58から明らかなように、MnO又は/及びSiO2を添加することにより、焼成温度を低下させることができ、さらにこれらMnO又は/及びSiO2に加え、Nb2O5を添加することにより、焼成温度を低下させることができ、また絶縁抵抗を大きくできることが確認された。
【0107】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る誘電体磁器組成物は、主成分が、一般式(Ba1−xCax)a(Ti1−yZry)O3で表されると共に、0<x≦0.25、0<y≦0.25、0.960≦a≦1.035とされ、かつ、前記主成分100重量部に対し、Er化合物が、Er2O3に換算して5重量部以下(但し、0重量部を除く)、Mg化合物が、MgOに換算して2重量部以下(但し、0重量部を除く)、Al化合物が、Al2O3に換算して2.5重量部以下(但し、0重量部を除く)でそれぞれ含有されているので、静電容量の温度特性や絶縁性を損なうこともなく、最大比誘電率が高く、かつ高い交流破壊電圧を有する誘電体磁器組成物を得ることができる。
【0108】
また、前記主成分100重量部に対し、Mn化合物を、MnOに換算して2重量部以下又は/及びSi化合物が、SiO2に換算して2重量部以下含有することにより、焼成温度の低温化が可能となる。
【0109】
また、前記主成分100重量部に対し、Nb化合物を、Nb2O5に換算して1重量部以下含有することにより、絶縁抵抗を向上させることが可能となる。
【0110】
また、本発明に係るセラミック電子部品は、セラミック焼結体が上記誘電体磁器組成物からなり、前記セラミック焼結体に電極が形成されているので、転移点の静電容量を基準に該転移点から±50℃偏位した時の容量温度変化率が−60%以内であり、最大比誘電率が6000以上と高く、交流破壊電圧も5.0kV/mm以上と高く、絶縁抵抗も1.0×109Ω以上(好ましくは1.0×1011Ω以上)を確保することができる電気的特性に優れた高誘電率系のセラミック電子部品を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器組成物を使用して製造されたセラミック電子部品としての単板コンデンサの一実施の形態を示す一部破断正面図である。
【符号の説明】
1 セラミック焼結体
2 電極部

Claims (6)

  1. 主成分が、一般式(Ba1−xCax)a(Ti1−yZry)O3で表されると共に、
    0<x≦0.25、0<y≦0.25、0.960≦a≦1.035とされ、
    かつ、前記主成分100重量部に対し、Er化合物が、Er2O3に換算して5重量部以下(但し、0重量部を除く)、Mg化合物が、MgOに換算して2重量部以下(但し、0重量部を除く)、Al化合物が、Al2O3に換算して2.5重量部以下(但し、0重量部を除く)それぞれ含有されていることを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. aが、0.965≦a≦1.030であることを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記主成分100重量部に対し、Mn化合物が、MnOに換算して2重量部以下含有されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の誘電体磁器組成物。
  4. 前記主成分100重量部に対し、Si化合物が、SiO2に換算して2重量部以下含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  5. 前記主成分100重量部に対し、Nb化合物が、Nb2O5に換算して1重量部以下含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  6. セラミック焼結体が請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の誘電体磁器組成物からなり、前記セラミック焼結体に電極が形成されていることを特徴とするセラミック電子部品。
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