JP2004239812A - 放射線像変換パネル - Google Patents

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博之 鍋田
Takehiko Shoji
武彦 庄子
Takafumi Yanagida
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Abstract

【課題】鮮鋭性に優れ、放射線画像の感度、粒状性を低下させることのない放射線像変換パネルの提供。
【解決手段】支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体層中に屈折率1.5〜3.0のガラス又は樹脂製のビーズを有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線像の撮影又は記録再生に用いる放射線像(以下、放射線画像ともいう)変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代わる有効な診断手段として、特開昭55−12145号などに記載の輝尽性蛍光体を用いる放射線画像記録再生方法が知られている。
【0003】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも呼ばれる)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を輝尽性蛍光体に吸収させ、可視光線、紫外線などの電磁波(励起光ともいう)で時系列的に輝尽性蛍光体を励起して、蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光ともいう)として放射させ、この蛍光を光電的に読みとって電気信号を得、得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視画像として再生するものである。読み取り後の変換パネルは、残存画像の消去が行われ、次の撮影に供される。
【0004】
この方法によれば、放射線写真フィルムと増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法に比して、はるかに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像が得られる利点がある。又、放射線写真法では撮影毎にフィルムを消費するのに対して、放射線変換パネルは繰り返し使用されるので、資源保護や経済効率の面から有利である。
【0005】
以上のような放射線像変換パネルの与える放射線像の鮮鋭性は蛍光体層の膜厚、蛍光体粒子の平均粒子径等によって制御できる。すなわち、蛍光体層の膜厚を薄くすることによって光の拡散が減少し鮮鋭性が向上するし、蛍光体の微粒子化によっても光が拡散しにくくなって鮮鋭性が向上する。しかし反面、蛍光体層の膜厚を薄くすると、蛍光体の塗布量が減少して、感度、粒状性が低下するようになるし、蛍光体を微粒子化すると、光の散乱により支持体側の発光の取り出し効率が低下して、感度が低下するようになる。
【0006】
さらに放射線像変換パネルでは、蛍光体層の輝尽性蛍光体が蓄積記憶した放射線画像情報を励起光により輝尽発光させて取り出す際に、励起光の蛍光体層中での広がりによって目標以外の輝尽性蛍光体も輝尽発光させて鮮鋭性を低下させる。この鮮鋭性の低下を防止するために、放射線像変換パネルにおいて、蛍光体層中に放射線吸収物質より成る縞状又は網目状の格子を設けることによって、励起光ビーム及び輝尽発光の拡散を防止するようにしている。
【0007】
しかし、この技術では蛍光体層中に発光に寄与しない格子を設けているため、感度が著しく低下するようになる。また、放射線画像上に格子像が残りやすく、診断の妨げになる。
【0008】
また、輝尽性蛍光体層と支持体との間に輝尽性蛍光体を含有しない再帰性反射層を設ける技術が開示されているが、この技術も未だ満足するものではなかった。(例えば、特許文献1参照)
【0009】
【特許文献1】
特開平9−90100号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鮮鋭性に優れ、放射線画像の感度、粒状性を低下させることのない放射線像変換パネルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成できる。
【0012】
1.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体層中に屈折率1.5〜3.0のガラス又は樹脂製のビーズを有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【0013】
2.前記ビーズの平均粒子径が5〜40μmであることを特徴とする前記1に記載の放射線像変換パネル。
【0014】
3.前記ビーズの添加量が輝尽性蛍光体の添加量に対して0.01〜1質量%であることを特徴とする前記1又は2に記載の放射線像変換パネル。
【0015】
4.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体層と支持体との間に、少なくとも輝尽性蛍光体と屈折率1.5〜3.0のガラス又は樹脂製のビーズを含有する再帰性反射層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【0016】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は輝尽性蛍光体層中に屈折率1.5〜3.0のガラス又は樹脂製のビーズを有することを特徴とする放射線像変換パネルである。
【0017】
また、前記ビーズの添加量が輝尽性蛍光体の添加量に対して0.01〜1質量%であることが本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0018】
また、ビーズの平均粒子径は、5〜40μmであることが好ましく、5μm未満であると、ビーズを真球状に加工することが難しくなり、ビーズによる散乱が増加して、鮮鋭性や感度が低下する。反対に平均粒子径が40μmを超えると、再帰性はあっても、再帰性反射光の強度むらが発生して、鮮鋭性が低下する。
【0019】
請求項4の発明は、輝尽性蛍光体層と支持体との間に、少なくとも輝尽性蛍光体と屈折率1.5〜3.0のガラス又は樹脂製のビーズを含有する再帰性反射層を有する放射線像変換パネルであることを特徴としており、該再帰性反射層とは、光が入射した方向に光を反射させる層であり、道路標識などによく利用されている。
【0020】
また、上述のビーズは透過率70%以上が好ましく、具体的には例えば、市販されている酸化チタン、アルミナ、ガラス等が挙げられる。
【0021】
樹脂製のビーズの具体例としては、例えば、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0022】
以下、請求項4の発明の再帰性反射層について、図1に基づいて説明する。
本発明の放射線像変換パネルは、図1に示したように蛍光体層1と支持体2との間に再帰性反射層3を設けて、蛍光体層1中に発光に寄与しない格子を設けることはしていないから、格子による感度の低下はないし、そして放射線又は励起光によって発光させられた蛍光体層1内の蛍光体粒子10からの光のうちの支持体2側に向かった光L1が再帰性反射層3によって元の発光源の蛍光体粒子10の方向に戻るように反射されて、その反射光L3も発光源の蛍光体粒子10から直接支持体2と反対側の出射側に出射する光L0に加わることになって発光の拡散が防止され、従って感度、鮮鋭性に優れた放射線画像の撮影や記録再生を可能にする。
【0023】
また放射線像変換パネルは、さらに、上述の出射側から蛍光体層1に入射した励起光も再帰性反射層3によって反射されて元の入射方向に戻るようになるから、戻る際にも入射の際と同じ蛍光体粒子10を励起するようになって、それにより感度、鮮鋭性に優れた放射線画像の記録再生を可能にする。
【0024】
本発明の輝尽性蛍光体の液相製造方法について説明する。
液相製造方法による輝尽性蛍光体前駆体(以下、単に前駆体ともいう)の製造については、特開平10−140148号に記載された輝尽性蛍光体の前駆体製造方法、特開平10−147778号に記載された輝尽性蛍光体の前駆体製造装置が好ましく利用できる。ここで輝尽性蛍光体前駆体とは、例えば、下記一般式(1)で示される輝尽性蛍光体が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、輝尽性蛍光体前駆体は、輝尽発光性や瞬時発光性をほとんど示さない。
【0025】
本発明において、好ましく用いられる、下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の前駆体の製造は、粒子形状の制御が難しい固相法ではなく、平均粒径の制御が容易である液相法により行なうことが好ましい。特に、下記の液相製造方法により輝尽性蛍光体前駆体をを得ることがより好ましい。
【0026】
一般式(1)
Ba1−x FBr1−y:aM,bLn,cO
〔式中、MはLi、Na、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、MはBe、Mg、SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属原子であり、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、ErおよびYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素であり、x、y、a、bおよびcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦y≦0.3、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1の数値を表す。〕
(晶析による輝尽性蛍光体の前駆体結晶の沈殿物の作製)
BaIとLnのハロゲン化物を含み、一般式(1)のxが0でない場合には更に、Mのハロゲン化物を、yが0でない場合はBaBrを、そしてMのハロゲン化物を含み、それらが溶解したのち、BaI濃度が通常3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上の溶液を調製する工程;
上記の溶液を通常50℃以上、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これに濃度が通常5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の溶液を添加して希土類賦活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程(即ち本発明はこの80℃に維持され、撹拌されている水溶液(反応母液)中に、反応母液に対して0.002〜0.3mol/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン塩を添加することが好ましく、このアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン塩の反応母液への添加によって、前記一般式(1)に該当する輝尽性蛍光体前駆体結晶が析出する。);
上記の無機弗化物を添加しつつ、反応液から溶媒を除去する工程;
上記の前駆体結晶沈澱物を反応液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程を含む製造方法である。
【0027】
(濃縮晶析による前駆体結晶の沈澱物の作製)
最初に、水系媒体中を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。すなわち、BaIとLnのハロゲン化物、そして必要により更にMのハロゲン化物、そして更にMのハロゲン化物を水系媒体中に入れ充分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、BaI濃度が通常3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上となるように、BaI濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。このときバリウム濃度が低いと所望の組成の前駆体が得られないか、得られても粒子が肥大化する。よって、バリウム濃度は適切に選択する必要があり、本発明者らの検討の結果、3.3mol/L以上で微細な前駆体粒子を形成することができることが分かった。このとき、所望により、少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。BaIの溶解度が著しく低下しない範囲で低級アルコール(メタノール、エタノール)を適当量添加しておくのも好ましい態様である。この水溶液(反応母液)は80℃に維持されることが好ましい。
【0028】
本発明においては、80℃に維持され、撹拌されている水溶液(反応母液)中に、反応母液に対して0.002〜0.3mol/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン塩を添加することが好ましく、このアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン塩の反応母液への添加によって、前記一般式(1)に該当する希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶が析出する。
【0029】
本発明においては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン塩の添加時に反応液から溶媒を除去する。溶媒を除去する時期は添加中であれば、特に問わない。溶媒の除去後の全質量が除去前の質量(反応母液の質量と添加した水溶液の質量の和)に対する比率(除去比率)が0.97以下であることが好ましい。
【0030】
0.97を超えると結晶がBaFIになりきらない場合がある。そのため除去比率0.97以下であることが好ましく、0.95以下がより好ましい。また、除去しすぎても反応溶液の粘度が過剰に上昇するなど、ハンドリングの面で不都合が生じる場合がある。
【0031】
そのため溶媒の除去比率は0.5までが好ましく、溶媒の除去に要する時間は生産性に大きく影響するばかりでなく、粒子の形状、粒径分布も溶媒の除去方法に影響されるので、除去方法は適切に選択する必要がある。一般的に溶媒の除去に際しては溶液を加熱し、溶媒を蒸発する方法が選択される。本発明においてもこの方法は有用である。溶媒の除去により、意図した組成の前駆体を得ることができる。更に、生産性を挙げるため、また、粒子形状を適切に保つため、他の溶媒除去方法を併用することが好ましい。併用する溶媒の除去方法は特に問わない。逆浸透膜などの分離膜を用いる方法を選択することも可能である。本発明では生産性の面から、以下の除去方法を選択することが好ましい。
【0032】
1.乾燥気体を通気する
反応容器を密閉型とし、少なくとも2箇所以上の気体が通過できる孔を設け、そこから乾燥気体を通気する。気体の種類は任意に選ぶことができる。安全性の面から、空気、窒素が好ましい。通気する気体の飽和水蒸気量に依存し、溶媒が気体に同伴され、除去される。反応容器の空隙部分に通気する方法の他、液相中に気体を気泡として噴出させ、気泡中に溶媒を吸収させる方法もまた有効である。
【0033】
2.減圧
よく知られるように減圧にすることにより、溶媒の蒸気圧は低下する。蒸気圧降下により効率的に溶媒を除去することができる。減圧度としては溶媒の種類により適宜選択することができる。溶媒が水の場合86kPa以下が好ましい。
【0034】
3.液膜
蒸発面積を拡大することにより溶媒の除去を効率的に行うことができる。本発明のように、一定容積の反応容器を用いて加熱、攪拌し、反応を行わせる場合、加熱方法しては、加熱手段を液体中に浸漬するか、容器の外側に加熱手段を装着する方法が一般的である。該方法によると、伝熱面積は液体と加熱手段が接触する部分に限定され、溶媒除去に伴い、伝熱面積が減少し、よって、溶媒除去に要する時間が長くなる。これを防ぐため、ポンプ、あるいは攪拌機を用いて反応容器の壁面に散布し、伝熱面積を増大させる方法が有効である。このように反応容器壁面に液体を散布し、液膜を形成する方法は”濡れ壁”として知られている。濡れ壁の形成方法としては、ポンプを用いる方法のほか、特開平6−335627号、同11−235522号等に記載の攪拌機を用いる方法が挙げられる。
【0035】
これらの方法は単独のみならず、組み合わせて用いてもかまわない。液膜を形成する方法と容器内を減圧にする方法の組み合わせ、液膜を形成する方法と乾燥気体を通気する方法の組み合わせなどが有効である。特に前者が好ましく、特開平6−335627号、特願2002−35202に記載の方法が好ましく用いられる。
【0036】
次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。なお、焼成条件を選ぶことによって焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0037】
尚、本発明の輝尽性蛍光体前駆体中の蛍光体粒子の平均アスペクト比は1.0〜2.0であることが、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0038】
ここでいう、平均アスペクト比は電子顕微鏡写真より無作為に50個の前記蛍光体粒子を選びその平均厚さ(A)と球換算の体積粒子径で平均粒径(B)を測定し、A/Bで表される値である。
【0039】
(焼成)
次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ポート、アルミナ坩堝、石英坩堝などの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼成温度は通常400〜1,300℃あり、500〜1,000℃が好ましい。焼成時間は、蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取出し温度などによっても異なるが、通常0.5〜12時間である。
【0040】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気が利用される。本発明において、焼成方法については、特開2000−8034号に記載の方法が好ましく用いられる。上記の焼成によって目的の酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体が得られ、これを用いて形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルが作製される。
【0041】
これら本発明に用いることのできる輝尽性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に使用される。
【0042】
これら分級工程を経ることによって作製される、輝尽性蛍光体の平均粒径としては、前記の通り平均粒径が1〜10μmで、かつ単分散性のものがものが好ましく、平均粒径が1〜7μm、平均粒径の分布(%)が20%以下のものが好ましい。
【0043】
本発明において、輝尽性蛍光体層を形成するには、前記輝尽性蛍光体粉末を結合剤溶液中に混合・分散し塗布することによって形成する。
【0044】
蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができるが、結合剤が熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂であることが好ましく、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、上記にも記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジェン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンゴム及びシリコンゴム系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのうち、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーは、蛍光体との結合力が強いため分散性が良好であり、また延性にも富み、放射線増感スクリーンの対屈曲性が良好となるので好ましい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものでも良い。
【0045】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換パネルのヘイズ率の設定値によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質量部が好ましく、さらには2〜10質量部がより好ましい。
【0046】
輝尽性蛍光体を混合・分散して輝尽性蛍光体層塗布液を調製する結合剤溶液を調製するため、或いは、結合剤、輝尽性蛍光体を共に分散して輝尽性蛍光体層塗布液を調製するため、また、塗布液濃度、粘度等を調整するために用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0047】
塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0048】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、結合剤溶液と輝尽性蛍光体と混合し、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて輝尽性蛍光体粉体を結合剤中に分散することにより行なわれる。
【0049】
上記のようにして調製された塗布液を、後述する支持体表面に均一に塗布することにより輝尽性蛍光体層塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0050】
上記の手段により形成された塗膜を、その後加熱、乾燥されて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10〜1000μmであり、好ましくは10〜500μmである。
【0051】
本発明の放射線像変換パネルに用いられる支持体としては各種高分子材料が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
【0052】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、通常80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、好ましくは80μm〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0053】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0054】
本発明に用いられる下引き層は、架橋剤により架橋できる高分子樹脂及び架橋剤を含有していることが好ましい。
【0055】
下引き層で用いることのできる高分子樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、下引き層に用いる高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)は25℃以上であることが好ましく、より好ましくは25〜200℃のTgを有する高分子樹脂を用いることである。
【0056】
下引き層に用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば、具体的には日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0057】
本発明に用いられる下引き層は、例えば、以下に示す方法により支持体上に形成することができる。
【0058】
まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して下引き層塗布液を調製する。
【0059】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましい。
【0060】
下引き層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の種類等により異なるが、3〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
【0061】
塗布型の蛍光体層を有する放射線像変換パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0062】
保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは工業的に容易に入手することができる。放射線像変換パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常に高いものが想定されている。そのような透明度の高い保護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲にある各種のプラスチックフィルムが市販されている。本発明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%以上60%未満であり、さらに好ましくは10%以上50%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0063】
本発明に用いられる保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも5.0g/m・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いても良い。
【0064】
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色材を含有して、励起光吸収層としても良い。
【0065】
保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。
【0066】
蛍光体プレートを封止するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体の封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。
【0067】
また、さらには、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。
【0068】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0070】
支持体(黒PET)上に下記の蛍光体塗布液とビーズを分散した下記のビーズ(酸化チタン)塗布液を混合、ボールミルで6時間分散し、乾燥膜厚が300μmになるようにビーズを蛍光体層上に固定させ、該ビーズを含有する蛍光体層を形成し、その上にさらに透明保護層を形成し、表1に示す蛍光体層(ビーズ層)中のビーズ含有率0.01%、ビーズ層の膜厚300μmにした後、次いで、この蛍光体層を温度400℃で加熱処理した。乾燥空気の雰囲気内で、支持体及び硼珪酸ガラスを有する保護層周縁部を接着剤で封入して、蛍光体層が密閉された構造の放射線画像変換パネル試料1(実施例1)を作製した。
【0071】
酸化チタン塗料組成(ビーズ塗布液)
TiO:平均粒子径0.2μm、屈折率2.4 100質量部
ポリウレタン 20質量部
メチルエチルケトン 80質量部
イソシアネート(塗布直前添加混合) 4質量部
輝尽性蛍光体塗料組成(蛍光体塗布液)
BaFI:Eu(平均粒子径5μm) 300質量部
ポリウレタン 20質量部
ニトロセルロース 1質量部
メチルエチルケトン 塗料粘度を20〜30Psにする量
イソシアネート(塗布直前添加混合) 2質量部
実施例1において、ビーズの種類、ビーズ含有率、ビーズの平均粒子径、ビーズの屈折率、ビーズ層を有する層の膜厚及び支持体を表1に示すように変化させた以外は実施例1と同様にして放射線像変換パネル(実施例2〜4、比較例1〜6)を作製し、輝度(感度)、鮮鋭性、粒状性の評価を行い表1に示した。
【0072】
尚、再帰性反射層は支持体と蛍光体層との間に設けられ、該再帰性反射層(ビーズを含有する)を有する放射線像変換パネルは表1において実施例3及び4が相当し、該蛍光体層(膜厚:実施例3、200μm、実施例4、270μm)にはビーズは含有されていない。
【0073】
また、表1中の実施例3、4のビーズ層膜厚は再帰性反射層(ビーズを含有する)の膜厚である。
【0074】
(鮮鋭性の評価)
放射線画像変換パネル試料の鮮鋭性は、変調伝達関数(MTF)を求めて評価した。
【0075】
MTFは、放射線画像変換パネル試料にCTFチャートを貼付した後、放射線画像変換パネル試料に80kVpのX線を10mR(被写体までの距離:1.5m)照射した後、100μmφの直径の半導体レーザ(680nm:パネル上でのパワー40mW)を用いてCTFチャート像を走査読み取りして求めた。表の値は、2.0lp/mmのMTF値を足し合わせた値(%)で示す。
【0076】
(輝度(感度)の評価)
また、輝度(感度)は、得られた放射線像変換パネルから10cmの大きさの試料を採取して、その試料に管電圧80KVp、管電流50mA、照射時間0.1秒の条件でX線を照射し、それによって試料が発する光を光ファイバーで集光して光電子増倍管により光電変換し、得られた信号を記憶して実施例2のパネルの値と比較し、実施例2のパネルの感度100としてそれに対する相対値で示した。
【0077】
(粒状性の評価)
放射線画像変換パネル1の粒状性評価は、放射線画像の形成は下記に記載のX線照射条件にて行い、次いで、放射線画像の読取には、励起光として690nmの半導体レーザ光、605nmの半導体レーザ光を各々用いて行った。読取の後、フィルム出力したX線のベタ露光画像を目視評価し、下記に示すように5段階にランク評価した。
【0078】
X線照射条件:80kV、200mA、0.1sec
フィルム出力条件:γ(階調)=3.0出力
5:粒状がほとんどわからず極めて良好
4:若干の粒状が認められるものの良好
3:粒状が認められる
2:粒状感がある
1:粒状がはっきり目立つ
尚、表1中の比較例3の支持体である再帰反射シートは日本カーバイト工業(株)社製、再帰反射シートSEG18000を用いた。
【0079】
尚、
【0080】
【表1】
Figure 2004239812
【0081】
【発明の効果】
実施例で実証した如く、本発明の放射線像変換パネルは、粒状性を劣化させることなく、感度、鮮鋭性に優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線像変換パネルの一例を示す部分概略図である。
【符号の説明】
1 輝尽性蛍光体層
2 支持体
3 再帰性反射層
10 蛍光体粒子
L0、L1 発光光
L3 反射光

Claims (4)

  1. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体層中に屈折率1.5〜3.0のガラス又は樹脂製のビーズを有することを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 前記ビーズの平均粒子径が5〜40μmであることを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネル。
  3. 前記ビーズの添加量が輝尽性蛍光体の添加量に対して0.01〜1質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線像変換パネル。
  4. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体層と支持体との間に、少なくとも輝尽性蛍光体と屈折率1.5〜3.0のガラス又は樹脂製のビーズを含有する再帰性反射層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010510554A (ja) * 2006-11-22 2010-04-02 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 無色の熱物質転写組成物及び物品

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