JP2004239930A - パケット損失補償におけるピッチ検出方法と装置 - Google Patents

パケット損失補償におけるピッチ検出方法と装置 Download PDF

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Sachiko Nagakura
祥子 長倉
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Abstract

【課題】パケットによる音声通信のピッチ検出において、フレーム消失区間の最初のフレーム間で音声のピッチ検出をしていたために発生するCPUにかかる負荷を軽減すること。
【解決手段】ピッチ・バッファPB1〜5、相関計算部5、相関バッファ6により、常時相関計算を行い、ピッチ検出(7)をし、補間データを作成して、次フレームが消失した時に備えている。フレーム消失が発生すると、入力データ1に対して補間処理(8)により、消失した音声データを直ちに補間することができる。常時行う相関計算の負荷は小さいから、消失時に発生する緊急を要する演算量は極めて小さく、速度の遅い安価なCPUで相関計算部5などの回路構成が可能である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケットによる音声通信におけるピッチ検出方法と装置に関する。さらに具体的には、フレームが消失した場合のパケット損失を補償する音声ピッチ検出方法と装置に関わる。国際電気通信連合の電気通信標準化部門(ITU−T)の勧告G.711 APPENDIX I(以下単に、ITU−T勧告という)に示している推薦案「パケット損失補償方法」において、演算処理を平均化することでCPUにかかる負荷を軽減する改良された方法と装置を提供するものである。
【従来の技術】
【0002】
ITU−T勧告の「パケット損失補償方法」では、音声通信において、フレームが消失した場合のフレーム消失区間の最初のフレーム間で音声のピッチ検出が行われる。このピッチ検出において、消失したフレームの直前の20ms(160サンプル)の音声とそれより過去の音声との正規化相互相関計算が実行される。これが、CPUにおける演算量の大部分を占めている。
【0003】
ITU−T勧告では、フレーム消失区間の最初に、消失したフレームの直前の音声データを48.75ms(390サンプル)長のピッチ・バッファにコピー(記憶)する。この記憶(格納)された音声データは、現時点の音声のピッチ(基本波の周期)を計算するため、および、消失したフレームの期間に存在したであろうと推定される音声の波形を抽出し再現するために、使用される。
【0004】
音声データのピッチは、5ms(40サンプル)から15ms(120サンプル)までの範囲であり、ピッチ・バッファに記憶した最近(最新)の20ms(160サンプル)の音声とそれより過去の音声との、正規化相互相関のピークを見つけることで、推定される。
【0005】
正規化相互相関 pitch(i) は、相互相関M(i)を自己相関S(i)の平方根で除算して求めることができる。消失したフレームの期間である消失区間の直前に入力された音声データをx(n)、サンプル番号をi,kおよびnとする。
M(i)=Σx(n−k)・x(n−i−k) (1)
S(i)=Σx(n−i−k) (2)
ここで、Σはk=0からkまでの累和を表している。x(n−k)はx(n)のkサンプル前の音声データを表し、x(n−i−k)はx(n−k)のiサンプル前の音声データを表している。
【0006】
式(1),(2)を用いて、正規化相互相関 pitch(i)を求めると、
pitch(i)=M(i)/{S(i)}1/2 (3)
となる。ピッチ検出は、k=0〜159の160サンプルにつきi=40〜120の範囲において、 pitch(i)が最大値を示すiの値を検出する。
【0007】
式(3)では、1つの正規化相互相関 pitch(i)を求めるために、式(1)の積和演算を160回(k=0〜159)、式(2)の積和演算を160回(k=0〜159)と平方根({ }1/2)を1回行い、さらに、式(3)の除算を1回実行する必要がある。式(1)と(2)の積和演算にそれぞれ1サイクル、式(2)の平方根に10サイクルおよび式(3)の除算に10サイクルの演算量がかかると仮定すると、1回の正規化相互相関 pitch(i)を求める計算で、160×2+10+10=340サイクルを必要とし、これを、i=40〜120について81回計算するので、27,540サイクルの演算量を必要とする。
【0008】
すなわち、式(3)の正規化相互相関 pitch(i)を求めるためには、27,540サイクルの演算量を必要とするのである。これだけの演算量を実行して、はじめて、式(3)の正規化相互相関 pitch(i)が最大値を示すiの値を検出することが可能となる。
【0009】
このように大きな演算量の実行を回避するために、ITU−T勧告では、以下の方法による低演算量化を提案している。
【0010】
ピッチの推定は、2段階に分けて計算する。その第1段階では、2対1に間引いた音声データ信号で粗い探索を実行してピーク値を検出する。第2段階では、粗い探索で検出したピーク値の付近で、詳細な探索を実行する。
【0011】
第1段階の粗い探索では、式(2)の自己相関計算で、i=120において、
S(i)=Σx(n−i−2k) (4)
すなわち、
S(120)=Σx(n−120−2k)
ここで、第1段階で2対1に間引いた結果、式(4)において、Σはk=0から79までの累和を表し、2対1に間引いたので式(2)のkに代えて2kを用いている。
【0012】
差分計算は、
S(i+1)−S(i)=x(n−120−i) −x(n−i) (5)
で表されることから、
S(i)=S(i+1)−x(n−120−i) +x(n−i) (6)
となる。式(6)において、i=119〜40のうち、2対1に間引いたのでiが偶数のときのみ、すなわち、40回計算する。
【0013】
自己相関計算の場合と同様に、式(1)の相互相関計算で、i=120とおいて、
M(i)=Σx(n−2k)・x(n−i−2k) (7)
となる。ここで、第1段階で2対1に間引いた結果、式(7)において、Σはk=0から79までの累和を表し、式(1)のkに代えて2kを用いている。式(7)において、i=119〜40のうち、iが偶数のときのみ、すなわち、41回計算する。
【0014】
式(7)で得た相互相関M(i)と、式(6)で得た自己相関S(i)とから、粗い(i=119〜40のうちのiが偶数時)正規化相互相関 pitch(i)を求める。
pitch(i)=M(i)/{S(i)}1/2 (8)
【0015】
したがって、式(8)の粗い正規化相互相関 pitch(i)を探索するのに必要な演算量は、自己相関計算に80サイクル、差分計算に2×40=80サイクル、相互相関計算に80×41サイクル、平方根計算に10×41サイクル、除算計算に10×41サイクルの第1段階の計4,260サイクルが必要となる。
【0016】
第2段階では、第1段階で4,260サイクルの計算により求めた式(8)の粗い正規化相互相関 pitch(i)の探索で検出したピーク値iとその前後の3値(i−1,i,i+1)で、サンプルを間引かずに詳細な正規化相互相関 pitch(i)の探索を実行する。
【0017】
すなわち、式(3)において、k=0〜159として、
pitch(i+1)=M(i+1)/{S(i+1)}1/2 (9)
pitch(i)=M(i)/{S(i)}1/2 (10)
pitch(i−1)=M(i−1)/{S(i−1)}1/2 (11)
となる。
【0018】
第2段階の演算量は、自己相関計算に160サイクル、差分計算に2×2=4サイクル、相互相関計算に160×3サイクル、平方根計算に10×3サイクル、除算計算に10×3サイクルの第2段階の計704サイクルとなる。第1段階と第2段階の合計は、4,964サイクルとなる。
【0019】
第1段階と第2段階の合計では、4,964サイクルとなるから、ITU−T勧告をそのまま実行したときに必要とされる27,540サイクルの演算量に対して、約20%に削減される。しかしながら、ITU−T勧告の低演算量化提案を実行したときに発生する演算量は、4,964サイクルである。これを125μs(8kHz)の期間内で処理しようとすると、CPUにおける処理量(IPS:1秒あたりの命令数)は、4964/0.000125=39.712MIPS(M:メガ)となり、依然として、CPUにとって大きな負荷となっている。
【0020】
図10には、従来例の装置における補間処理の動作を示すタイムチャートが示されている。同図(a)に示した音声の入力データ1においては、データ番号0〜79=80個のサンプル(sa)のデータが1フレーム(t8〜t10)に含まれている。ここで、1saは、125μsである。時点t10〜t12のフレームが消失した場合を想定する。同図(c)には、(a)の入力データ1を30sa分遅れさせた遅延データ3が示されている。ここで、(b)は、説明の便宜上、欠番となっている。
【0021】
(d)のフレーム消失信号15は、時点t10までは“L”のままであるが、時点t10においてフレームの消失を検出すると“H”となり、時点t12においてフレームが検出されると、再び“L”となる。ITU−T勧告では、補間データと消失直前の入力データ1を滑らかに接続するために、消失直前の30サンプル(sa)分の遅延データ3(c)と補間データを前方(t32〜t34の方向)に延長したデータの重畳加算を時点t32〜t34の間行っている。また、補間データと消失直後の入力データを滑らかに接続するために、消失フレームの直後の30sa分の遅延データ3(c)と補間データを後方に延長したデータとの重畳加算を時点t35〜t36の間行っている。
【0022】
重畳加算は、時点t10〜t33の遅延データ3(c)において、t10のデータ番号50を補間データに加算する場合には、遅延データの割合を大きく補間データの割合を小さくし、その後t33に近づくにつれて遅延データの割合を小さく補間データの割合を大きくしている。1sa遅れた出力データ2(e)の時点t32〜t34の間は、遅延データの割合を徐々に小さく補間データの割合を徐々に大きくして、t34以後はt35迄補間データのみとなる。
【0023】
さらに、時点t37〜t38の遅延データ3(c)において、t37のデータ番号0を補間データに加算する場合には、遅延データの割合を小さく補間データの割合を大きくし、その後t38に近づくにつれて補間データの割合を小さく遅延データの割合を大きくしている。1sa遅れた出力データ2(e)の時点t35〜t36の間は、補間データの割合を徐々に大きくして、t36以後は遅延データのみとなる。
【0024】
(e)の出力データ2は、(c)の遅延データ3よりも1saだけ遅れて出力される。時点t10においてフレームの消失が検出されると、そこから1sa分の125μsの期間内で、前記第1段階と第2段階の演算処理がなされて、補間データが出力される。出力データ2は、時点t10から125μs遅れた時点t32からt34の間(30サンプル分:3.75ms)は重畳加算された補間データであり、t34〜t35の間は重畳加算されていない補間データであり、t35からt36の間は重畳加算された補間データとなっている。
【0025】
フレーム消失信号(d)の発生した時点t10からt32の125μsの間に前記第1段階と第2段階の演算処理が完了しなければ、消失フレームの発生によって、音声データが途切れることになる。このような事態は絶対に避けねばならないから、この125μsの間に演算処理を完了しなければならないCPUにとって大きな負荷となる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
ITU−T勧告をそのまま実行したときに必要とされる27,540サイクルの大きな演算量の実行を回避するために、ITU−T勧告の低演算量化提案を採用したとしても、CPUに対する負荷は依然として重い。さりとて、CPUにおける演算処理時間を延ばすことは、消失フレームの補間処理が遅延して音声信号に不都合を生じてしまうこととなるから許されず、解決されなければならない課題であった。
【0027】
CPUおよび、その周辺の回路素子の演算速度を上げることにより、補間処理の遅延を避けることは技術的には可能であるが、著しいコストアップを伴うから、実施することができないという重大な問題点があった。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パケットによる音声通信において、フレームが消失した場合のパケット損失を補償する場合に発生する、CPUにかかる大きな負荷を軽減するべく、演算処理を平均化するようにしている。
【0029】
音声データを含むフレームが消失するのに備えて、フレーム消失の有無にかかわらず、常時、一連の正常なフレーム列から正規化相互相関計算をして音声のピッチを検出して、一連の正常なフレーム列の直後に入力される次フレームが消失フレームであった場合に、その消失フレームに、検出された音声のピッチに基づいて得た補間データを補間するようにした。この補間作業においては、フレームの消失寸前の30サンプル分のデータを、重畳加算できるようにしている。
【0030】
ピッチ・バッファはフレーム周期が10ms(80サンプル)の場合は、フレーム消失直前の390サンプルを格納(記憶)するとして、390/80=4.9 となるから、5個のピッチ・バッファを用意している。
【0031】
自己相関および相互相関を求めて、音声データのピッチ検出をし、補間データを作成しておく演算作業を、フレーム消失が発生するか否かにかかわらず、常時実行している。演算は、常時分散して実行されているために、その計算速度は遅いものでも、十分に対応できる。
【0032】
フレーム消失が発生すると、ピッチ・バッファにおける音声データの更新は止められ、すでに検出された最新の音声データのピッチから得た補間データにより、消失したフレームを補間する。フレーム消失という異常な事態が発生した時点では、消失したフレームを補間するのに必要なピッチおよび補間データがすでに作成済みであるから、フレーム消失の発生時における処理量は、極めて小さく、消失フレームの補間処理が遅延して音声信号に不都合を生じてしまうこともない。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の実施の形態を示す回路構成図、および回路構成の動作を従来例(図10)と対比して説明するためのタイムチャートである。ここにおいて、従来例を示す図10の要素と同じものについては、同じ記号を用いた。図2において、図10と異なる点は、(b)のスイッチ30と(f)のスイッチSWの機能が追加されている点である。
【0034】
すなわち、(b)のスイッチ30は、時点t31からt10の間(30sa分:3.75ms)はオンとなり、それ以外においてオフとなっている。(f)のスイッチSWは、時点t32からt36の間は端子a側に接続され、それ以外において端子b側に接続される。時点t10までに相関計算は終了している。
【0035】
音声データが入力データ1(a)として印加されている。入力データ1は、遅延器DLによって30sa分(t31からt10の間)遅延し、切替スイッチSWの端子b側に接続されて、出力バッファ10において1sa(サンプル:1サンプルは125μs)遅れて、従来例と同じく出力データ2として出力される。入力データ1はフレーム構成で、1フレーム中に音声信号からサンプルして得た80サンプル分のデータを含んでいる。
【0036】
何等かの理由でフレームが消失すると、消失したフレームの音声を再現できなくなるから、消失したフレームのデータを、消失前の音声データから相関計算し、音声のピッチを検出して推定し、その推定したデータで、消失したフレームのデータを補間している。入力データ1にフレームの消失が発生すると、フレーム消失検出部9がこれを検出し、フレーム消失信号15を出力し(t10)、1sa分遅れて(t32)切替スイッチSWを端子a側に切替て、消失したフレームを補間する補間データ26を、出力バッファ10を介して出力データ2として出力する。このフレーム消失検出部9、遅延器DLおよび出力バッファ10の構成は従来例と同じであり、公知である。
【0037】
補間処理が終り、正常なフレームの入力をフレーム消失検出部9が時点t12で確認すると、フレーム消失信号15が終了した後、60sa分(t12〜t38)経過することにより、次のサンプルで切替スイッチSWを端子b側に切替える(t36)。正常なフレームの入力をフレーム消失検出部9が確認している間は、切替スイッチSWは端子b側にあって、出力データ2は出力され、ピッチ・バッファPB1〜5にも同時に印加され、そこに一時格納(記憶)される。遅延データ3(c)における消失フレーム開始時点t33は、遅延器DLによって30sa分遅れている。
【0038】
スイッチ30(b)は、入力データ1(a)の1フレームの最後の30sa分(t31〜t10:3.75ms:データ番号50〜79)の間オンすることにより、消失するかもしれない次のフレーム開始の直前の30sa分をピッチ・バッファPB1に格納する。この30sa分は、遅延データ3(c)における時点t10〜t33(データ番号50〜79)に対応しており、ピッチ検出と出力データ2(e)における時点t32〜t34(データ番号50〜79)の重畳加算において、使用される。
【0039】
ピッチ・バッファ出力21は、補間処理部8と相関計算部5に送られる。相関バッファ6には、5個の経過バッファPAB1〜5、2個の自己相関バッファSCB1,2と、2個の相互相関バッファMCB1,2が含まれている。相関計算部5と相関バッファ6の間においては、相関入出力22により、相関計算中のデータのやりとりが行われる。
【0040】
自己相関バッファSCB1,2の自己相関バッファ出力23と、相互相関バッファMCB1,2の相互相関バッファ出力24とは、ピッチ検出部7に送られる。ここで音声のピッチが検出されて、ピッチ・データ25が補間処理部8に送られ、作成された補間データ26が切替スイッチSWの端子a側に印加される。フレーム検出部9がフレームの消失を検出すると、フレーム消失信号15により、切替スイッチSWは端子a側に切替られて、補間データ26で補間されたフレームが出力バッファ10を介して出力データ2として出力される。
【0041】
図3には、図1に示した回路構成の動作原理を説明するためのタイムチャートが示されている。5個のピッチ・バッファPB1〜5のうちの1つのピッチ・バッファPB1を代表例として、説明している。
【0042】
図3(a)のフレーム(F)は、時点t0に始まり、時点t2迄に0〜79の80サンプル(sa)分のデータを含んでいる。以下同様に、t4,t6,・・・t10と続いている。同図(b)のピッチ・バッファPB1は、記憶開始時点tsからデータの一時記憶を開始する。ピッチ・バッファPB1の記憶容量は390sa分(0〜389)である。時点t10において、ピッチ・バッファPB1は満杯となる。
【0043】
音声のピッチ計算には280sa分のデータを必要とする。そこで時点t3において、同図(c)の相関計算部5の動作が開始されたとする。自己相関計算は時点t3〜t7(160sa分)の間に行われる。自己相関差分計算は時点t7〜t9(80sa分)の間に行われる。相関計算部5の動作は、時点t6〜t10(160sa分)の間に行われる。
【0044】
同図において、もし、時点t10以後のフレームが消失したときには、ピッチ検出部7および補間処理部8の動作により、時点t10から1sa分(125μs)の間にピッチを検出し、補間データ26を得ている。ピッチ・バッファPB1〜5、CPU構成の相関計算部5および相関バッファ6は、ピッチ・バッファ制御部11と相関バッファ制御部12の制御下におかれる。時点t10〜t12において存在すべきフレームが消失したと仮定すると、この消失したフレームを補間するべく、時点t10から1sa分(125μs)の間に得た補間データ26を出力することになる。
【0045】
図3において実行される相関計算およびピッチ検出について、詳細に説明する。同図(b)のピッチ・バッファPB1には、音声のピッチを推定し、消失したフレーム区間(t10〜t12)の音声波形を抽出し推定するべく、消失した時点t10より前のts〜t10の390sa(0〜389のサンプル)が格納されている。演算処理を分散するために、自己相関計算(t3〜t7)、および相互相関計算(t6〜t10)は、データが入力されて、計算が可能となった時点で順次行う。
【0046】
ピッチ・バッファPB1が110saを格納(記憶)した時点t3から160sa格納した時点t7までの自己相関S(0)を求める。サンプル番号nの入力データをx(n)とすると、n=110〜269のとき(図3(b)ではサンプル番号0,110,230,270,349,389を表示している)、
S(0)=S(0)+x(n) (12)
を計算する。
【0047】
サンプル番号n=269になると、自己相関S(0)が求まる。
つぎに、n=111を先頭とする160saの自己相関S(1)を求める。これは、S(0)を用いて、n=270になったとき、
S(1)=S(0)−x(n−160)+x(n) (13)
で求められる。
【0048】
以降、n=190を先頭とする時点t9のn=349までの160saを用いて、t7〜t9の間に80個(=349−269)の自己相関S(i)を求めることができる。自己相関S(i)は、n=270〜349において、
i=n−269として、
S(i)=S(i−1)−x(n−160)+x(n) (14)
【0049】
相互相関M(i)は、フレームが消失する直前の160sa(t6〜t10)すなわち、n=230を先頭にした160saに対し、それぞれiサンプル(sa)前のデータを掛け合わせたものを、順次加算して求める。すなわち、t6〜t10のn=230〜389のデータに対し、たとえば、i=120のときは、同図(f)のn−i−kに1点鎖線の枠で示すn=110〜269(t3〜t7)のデータを掛け合わせて加算する。
【0050】
同図(d)のn−kに1点鎖線の枠で示すn=230〜389(t6〜t10)のデータに対し、たとえば、i=40のときは、同図(e)のn−i−kに1点鎖線の枠で示すn=190〜349(t5〜t9)のデータを掛け合わせて加算する。
【0051】
n=389のとき、i=40〜120について、相互相関M(i)は、
M(i)=Σx(n−k)・x(n−i−k) (15)
と表すことができる。ここに、Σは、k=0〜159としたときの累和を表している。
【0052】
相互相関M(i)は、n=230〜389のとき、i=40〜120について、それぞれ、
M(i)=M(i−1)+x(n)・x(n−i) (16)
を計算すれば、n=389のとき(t10)、81個全ての相互相関M(i)が求められる。
【0053】
式(12),(14),(16)によるデータ入力時の積和演算の回数は、以下のようになる。式(12)の自己相関計算でS(0)にx(n) を加算する計算を1回(=1サイクル)行う。式(14)の自己相関差分計算でS(i−1)からx(n−160) を減算する計算とx(n) を加算する計算の2回(=2サイクル)実行する。式(16)の相互相関計算で81個のi(=40〜120)についてM(i−1)にx(n)・x(n−i)を加算するから81回(=81サイクル)計算する。
【0054】
図3の相互相関計算中の時点t6〜t10の間には、自己相関計算の一部(t6〜t7)と自己相関差分計算(t7〜t9)が同時に並行して実行されるために、最大で83回(=83サイクル)の積和計算を行う。さらに、式(8)の {S(i)}1/2 を得るために式(14)の結果の平方根を得る計算に10サイクルを要するから、演算量は、83+10=93サイクルとなる。
【0055】
フレーム消失が時点t10において発生すると、すでに求めた相互相関M(i)と自己相関の平方根{S(i)}1/2 で除算する計算をして、式(8)の正規化相互相関 pitch(i)を求めて消失したフレームを補間する。フレーム消失が発生した時点t10において、必要とされる計算は、演算量削減のために2対1に間引いた信号で粗い探索を行う。
【0056】
その後に、粗い探索で求めたピーク付近で詳細な探索をするならば、41+2=43回の除算で済むので、各除算に10サイクルを要するから、その除算をするのに43回×10サイクル=430サイクルとなる。これは、ITU−T勧告の低演算量化提案をそのまま実行したときの4,964サイクルの10%以下であるから、相関計算部5などを含むCPUの負荷は極めて小さい。
【0057】
以上の説明においては、ピッチ・バッファPB1を代表例として述べたが、相互相関計算が終る時点t10において、丁度都合よく消失フレームが発生するとは限らない。そのために、ピッチ・バッファPBを5個用意して、いつ消失フレームが発生しても、いずれかのピッチ・バッファPBが図3に示した状態となっているようにしたので、ただちに対処できる。
【0058】
図4には、図1に示した回路構成の構成要素であるピッチ・バッファのフレームに対する動作内容を説明するためのタイムチャートが示されている。同図(a)には、時点t0〜t18までのフレームが示されている。同図(b)〜(f)には、それぞれピッチ・バッファPB1〜5の動作が示されている。ここで、Sは自己相関計算、SDは自己相関差分計算、Mは相互相関計算を表している。
【0059】
フレーム消失の有無にかかわらず、入力される音声データ80sa(サンプル)を1フレームとするフレーム毎に対して、常時、自己相関計算と相互相関計算を実行するように対処しなければならない。ピッチ検出および補間のためには390sa(サンプル)のデータを格納するピッチ・バッファPBがフレーム毎に必要である。
【0060】
フレーム毎に時間的にずらして、5個のピッチ・バッファPB1〜5で対応できるようにする。1つのピッチ・バッファPBは、1フレームの消失に対してだけ対応することができるのみである。そこでたとえば、フレーム周期が10ms(80サンプル)の場合は、フレーム消失直前の390サンプルを記憶するとして、390/80=4.9 となるから、5個のピッチ・バッファPB1〜5を用意する。
【0061】
ピッチ・バッファPB1〜5には、順次入力されるフレーム毎の音声データをピッチ・バッファPB1から順次に記憶する。すなわち、5個のピッチ・バッファPB1〜5により、1フレームずつずらし、それぞれ5フレーム分の音声データが記憶されている。5フレーム期間が経過すると、最も古い音声データを記憶している、たとえば、ピッチ・バッファPB1の記憶内容は、時点t10から10sa(サンプル)の時点で更新されて、最新の音声データを記憶することになる。1個のピッチ・バッファPBについて見ると、5フレーム期間の経過ごとに記憶されている音声データが更新されることになる。
【0062】
ピッチ・バッファPB1〜5に記憶しているサンプル(音声データ)から自己相関計算S,自己相関差分計算SDおよび相互相関計算Mをして、音声データのピッチ検出をし、補間データを作成しておく作業を常時実行している。たとえば、時点t10でフレームの消失が発生すると、ピッチ・バッファPB1のデータから演算して求めた補間データが使用される。同じく、時点t12,14,16,18でフレームの消失が発生すると、それぞれ、ピッチ・バッファPB2,3,4,5のデータによる補間データが使用される。
【0063】
自己相関および相互相関を求めるために、相関バッファ6と相関計算部5が設けられ、相関バッファ制御部12による制御がなされている。CPU構成の相関計算部5における演算は、常時分散して実行されているために、その計算速度は遅いものでも、十分に対応できる。
【0064】
フレーム消失が発生すると、ピッチ・バッファにおける音声データの更新は止められ、すでに検出された最新の音声データのピッチにより、消失したフレームを補間する。フレーム消失という異常な事態が発生した時点では、消失したフレームを補間するのに必要な補間データがすでに作成済みであるから、フレーム消失の発生時における演算量は、極めて小さく、消失フレームの補間処理が遅延して音声信号に不都合を生じてしまうこともない。
【0065】
図5には、ピッチ・バッファPB1〜5のデータがフレームに割当てられる様子を説明するためのタイムチャートが示されている。同図(a)には、時点t0〜t24までのフレームの番号が示されている。同図(b)〜(f)には、それぞれピッチ・バッファPB1〜5のフレーム対応動作が示されている。たとえば、(b)のピッチ・バッファPB1のt0〜t10のデータは、フレーム6(t10〜)でフレーム消失が発生したときに使用される。同じくピッチ・バッファPB2のt2〜t12のデータは、フレーム7(t12〜)でフレーム消失が発生したときに使用される。以下、ピッチ・バッファPB3〜5も同様である。
【0066】
図6には、図5の時点t10〜t12のフレーム6でフレーム消失が発生したときのその後のピッチ・バッファPB1〜5のデータがフレームに割当てられる様子を説明するためのタイムチャートが示されている。(b)のピッチ・バッファPB1のt0〜t10のデータは、フレーム6(t10〜)でフレーム消失が発生したときには、そのデータは、(b)のピッチ・バッファPB1においては、t10で更新されずに、消失フレームを補間する補間動作がt12で終了してから更新される。
【0067】
そのかわりに、時点t10から蓄積が開始されなければならないフレーム11の消失に備えるデータは、(c)のピッチ・バッファPB2にt10以後において蓄積される。そのために、ピッチ・バッファPB1のt12〜t22のデータは、フレーム12(t22〜)が消失した場合のために、使用される。
【0068】
フレーム6の消失に続いてフレーム7も消失した場合は、(b)のピッチ・バッファPB1においてフレーム6の消失に備えたデータ(t0〜t12)で補間する。そこで、フレーム7の消失に備えてt10まで蓄積した(c)のピッチ・バッファPB2のデータは不要になるので、PB2にはt10〜t20においてフレーム11が消失した場合に備えて、データ蓄積がなされる。
【0069】
図7には、ピッチ・バッファ制御部11に含まれた5個のレジスタからなるピッチ・バッファ・カウンタPBC1〜5の動作のタイムチャートが示されている。5個のピッチ・バッファ・カウンタPBC1〜5は、5個のピッチ・バッファPB1〜5へのフレームの割り当てを制御するためのものである。各ピッチ・バッファ・カウンタPBCは、390進(0〜389)のカウンタである。
【0070】
同図(b),(c),(d),(e),(f)のピッチ・バッファ・カウンタPBC1〜5のそれぞれは、ピッチ・バッファPB1〜5へのフレームの割当てを制御している。(g)の現フレーム用ピッチ・バッファ番号PFPBNoは、たとえば、時点t0現在のフレームに割当てたピッチ・バッファPBの番号が1(PB1)であることを示している。(h)の次フレーム用ピッチ・バッファ番号NFPBNoは、たとえば、時点t0現在のフレームの次に割当てるピッチ・バッファPBの番号が2(PB2)であることを示している。以下も同様である。
【0071】
図7のフレーム割当ての手順を具体的に説明する。たとえば、ピッチ・バッファ・カウンタPBC1が、時点t8で309(=389−80)を示したとき、そのピッチ・バッファPB1の番号1を(h)の次フレーム用ピッチ・バッファ番号NFPBNoの1として記録する。ピッチ・バッファ・カウンタPBC1が、時点t10で389を示したとき、そのピッチ・バッファPB1の番号1を(g)の現フレーム用ピッチ・バッファ番号NFPBNoの1として記録する。
【0072】
現フレームが正常フレームであれば、現フレーム用のピッチ・バッファPBのデータは不要となるので、これを5フレーム後の新フレームに割当てる。現フレームが消失フレームであれば、現フレーム用のピッチ・バッファPBのデータとしてすでに用意してある補間データにより、消失データを補間し、消失フレームが連続している間は、これを使用する。そのときには、次フレーム用ピッチ・バッファは不要となるので、これを新たなフレームに割当てる。
【0073】
相関計算部5では、ピッチ・バッファPB毎にピッチ・バッファ・カウンタPBCのカウント値に応じて、相関計算を行っている。たとえば、ピッチ・バッファ・カウンタPBC1のカウント値が110〜269のときは(図3を参照)、)自己相関計算を行い、カウント値が269のときに自己相関結果の平方根を求める。
【0074】
さらに、カウント値が270〜349のときには、自己相関差分計算を行い、それぞれ差分計算結果の平方根を求める。カウント値が230〜389のときには、相互相関計算を行う。その計算結果は、相関バッファ制御部12が示す、相関バッファ6に含まれた相互相関バッファMCB1,2に格納する。
【0075】
相関バッファ6は、ピッチ・バッファPB毎に自己相関計算の途中経過を格納する5個の経過バッファPAB1〜5と、1フレームにつき81個の自己相関計算結果を2フレーム分格納する自己相関バッファSCB1,2と、1フレームにつき81個の相互相関計算結果を2フレーム分格納する相互相関バッファMCB1,2とで構成されている。
【0076】
相関バッファ制御部12は、相関計算結果を格納する相関バッファ6を制御している。経過バッファPAB1〜5は、それぞれピッチ・バッファPB1〜5に対応して割当てられる。自己相関バッファSCB1,2は、それぞれ1フレーム分づつを格納できるから、1フレーム毎に交互に割当てられる。同様に、相互相関バッファMCB1,2も、それぞれ1フレーム分づつを格納できるから、1フレーム毎に交互に割当てられる。
【0077】
図8には、相関バッファ6に含まれた経過バッファPAB1〜5の動作を説明するためのタイムチャートが示されている。同図(a)には、時点t0〜t24のフレームの番号が示されている。同図(b),(c),(d),(e),(f)の経過バッファPAB1〜5のそれぞれは、ピッチ・バッファPB1〜5のいずれかと対応している。
【0078】
たとえば、同図(c)の経過バッファPAB2はt3〜t9において、自己相関計算Sと自己相関差分計算SDの間(図4のt3〜t9)、1つのピッチ・バッファPB1に割当てられ、6番目のフレーム(t10〜)の消失に備えていることを表している。同様に、同図(d)の経過バッファPAB3はt5〜t11において、自己相関計算Sと自己相関差分計算SDの間(図4のt5〜t11)、1つのピッチ・バッファPB2に割当てられ、7番目のフレーム(t12〜)の消失に備えていることを表している。以下、同様である。
【0079】
図9には、相関バッファ6に含まれた自己相関バッファSCB1,2と相互相関バッファMCB1,2の動作を図8と対応して説明するためのタイムチャートが示されている。同図(a)には、時点t0〜t24のフレームの番号が示されている。同図(b),(c),(d),(e)の自己相関バッファSCB1,2と相互相関バッファMCB1,2の動作について、説明する。
【0080】
同図(b)の自己相関バッファSCB1は、時点t1〜t5(S)の間に求めた式(12)のS(0)と、時点t5〜t7(SD)の間に求めた式(14)のi=1〜80としたS(i)とを相互相関計算Mの終了する時点t8まで格納できればよい。同じく、(b)の自己相関バッファSCB1は、時点t5〜t9(S)の間に求めた式(12)のS(0)と、時点t9〜t11(SD)の間に求めた式(14)のi=1〜80としたS(i)とを相互相関計算Mの終了する時点t12まで格納できればよい。
【0081】
(c)の相互相関バッファMCB1は、時点t4〜t8(M)の相互相関計算Mの式(16)のi=40〜120としたM(i)を格納して、時点t8〜のフレーム番号5の消失に備える。同じく、(c)の相互相関バッファMCB1は、時点t8〜t12(M)の相互相関計算Mの式(16)のi=40〜120としたM(i)を格納して、時点t12〜のフレーム番号7の消失に備える。
【0082】
同図(d)の自己相関バッファSCB2は、時点t3〜t7(S)の間に求めた式(12)のS(0)と、時点t7〜t9(SD)の間に求めた式(14)のi=1〜80としたS(i)とを相互相関計算Mの終了する時点t10まで格納できればよい。同じく、(d)の自己相関バッファSCB2は、時点t7〜t11(S)の間に求めた式(12)のS(0)と、時点t11〜t13(SD)の間に求めた式(14)のi=1〜80としたS(i)とを相互相関計算Mの終了する時点t14まで格納できればよい。
【0083】
(e)の相互相関バッファMCB2は、時点t6〜t10(M)の相互相関計算Mの式(16)のi=40〜120としたM(i)を格納して、時点t10〜のフレーム番号6の消失に備える。同じく、(e)の相互相関バッファMCB2は、時点t10〜t14(M)の相互相関計算Mの式(16)のi=40〜120としたM(i)を格納して、時点t14のフレーム番号8の消失に備える。
【0084】
かくして、S(i)、M(i)のそれぞれ81個分の格納容量をもつ自己相関バッファSCB1と相互相関バッファMCB1のペア、および、S(i)、M(i)のそれぞれ81個分の格納容量をもつ自己相関バッファSCB2と相互相関バッファMCB2のペアとで重複せずに、常時、計算結果を格納して、フレーム消失の事態に備えている。
【0085】
図9(a)において、時点t10のフレーム6が消失したと仮定する。すると、フレーム消失検出部9はフレーム消失を検出して、フレーム消失信号15を出力する。これを受けたピッチ検出部7は、直前のデータ、すなわち、同図(d),(e)の自己相関バッファSCB2と相互相関バッファMCB2のペアから、t10における格納データである相関計算結果(S(i),M(i))を読み出して、式(8)の正規化相互相関 pitch(i)を計算し、そのピーク値を示すiを検出して、音声のピッチ周期を抽出する。
【0086】
補間処理部8では、消失したフレーム番号6の消失に備えていたピッチ・バッファPB1(図6(b))のデータをピッチ・バッファ出力21により読み出し、ピッチ検出部7で求めた音声のピッチ(周期)を用いて、補間データ26を作成し、出力する。ピッチ検出および消失したフレームの補間方法は、ITU−T勧告に従って実行される。
【0087】
図9を用いて、演算量(サイクル数)を説明する。たとえば、時点t7において入力された1sa(サンプル)のデータx(n)に対して式(12)によるS(0)の計算を2回(=2×1=2サイクル)、式(14)によるS(i)の計算を1回(=2サイクル)、式(16)によるi=40〜120とした81個のx(n−i)によるM(i)の計算を2回(=2×81=162サイクル)、平方根計算を1回(=10サイクル)の合計2+2+162+10=176サイクルとなる。
【0088】
以上の説明では、フレーム周期が10ms(80sa)として例示したが、フレーム周期が10msの整数倍である場合には、消失フレームに対して、10ms周期のフレームが連続して発生したとみなすことにより、同様に処理できる。フレーム周期が10ms以下の場合には、複数のフレームをまとめて10msフレームとみなすことにより、同様に処理できる。このとき、まとめられた複数のフレームのうちの1つが消失した場合には、その1まとめのフレーム全体を消失フレームとみなして同様に処理する。
【0089】
以上において説明した本発明では、常時、正規化相互相関計算を行うので、1つの入力されたデータに対して、176サイクルの演算量である。また、消失フレームの発生時の最初に行う正規化相互相関計算は42回の除算(1回の除算は10サイクル)の420サイクルである。すなわち、消失フレーム発生時には、最大でも176+420=596サイクルの演算量でよい。このように演算処理は平均化されて、CPU負荷が軽減されている。
【0090】
【発明の効果】
ITU−T勧告に従って消失フレームを処理する場合には、消失区間の最初の1サンプル(125μs)の間にピッチ検出をしなければならないので、正規化相互相関計算のために、4,964サイクルの演算量が必要となる。相関計算部などを構成するCPUの負荷は、その1サンプル(125μs)の間に集中してしまうために、極めて重いものとなっていた。
【0091】
以上の説明から明らかなように、本発明では、フレーム消失発生の有無に関わらず、常時、正規化相互相関計算を分散して実行してフレーム消失発生に備えているために、相関計算部などを構成するCPUの負荷は、極めて軽い。従来例においては、フレーム消失発生時直後において、1サンプル(125μs)の間に集中する演算量は、4,964サイクルであったのが、本発明によれば596サイクルとなり、性能の低い安価なCPUを用いても十分処理できるから、本発明の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す回路構成図である。
【図2】図1に示した回路構成の動作を従来例と対比して説明するためのタイムチャートである。
【図3】図1に示した回路構成の動作原理を説明するためのタイムチャートである。
【図4】図1に示した回路構成の構成要素であるピッチ・バッファの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】図1に示した回路構成の構成要素であるピッチ・バッファのさらに詳細な動作を説明するためのタイムチャートである。
【図6】図4に示したタイムチャートにおいて、フレーム消失が発生した場合の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図7】図1に示した回路構成の構成要素であるピッチ・バッファ制御部の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図8】図1に示した回路構成の構成要素である相関バッファに含まれた経過バッファの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図9】図1に示した回路構成の構成要素である相関バッファに含まれた自己相関バッファおよび相互相関バッファの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図10】従来例における補間処理動作を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
1 入力データ
2 出力データ
3 遅延データ
5 相関計算部
6 相関バッファ
7 ピッチ検出部
8 補間処理部
9 フレーム消失検出部
10 出力バッファ
11 ピッチ・バッファ制御部
12 相関バッファ制御部
15 フレーム消失信号
21 ピッチ・バッファ出力
22 相関入出力
23 自己相関バッファ出力
24 相互相関バッファ出力
25 ピッチデータ
26 補間データ
30 スイッチ
31 スイッチ信号
32 ピッチ入力データ
a,b 端子
DL 遅延器
F フレーム
i,k サンプル番号
M 相互相関計算
MCB1,2 相互相関バッファ
n サンプル番号
NFPBNo 次フレーム用ピッチ・バッファ番号
PAB1〜5 経過バッファ
PB1〜5 ピッチ・バッファ
PBC1〜5 ピッチ・バッファ・カウンタ
PFPBNo 現フレーム用ピッチ・バッファ番号
S 自己相関計算
sa サンプル
SCB1,2 自己相関バッファ
SD 自己相関差分計算
SW 切替スイッチ
t1〜24,31〜35 時点
ts 記憶開始時点

Claims (5)

  1. 音声データを含むフレームが消失する消失フレームの発生に備えて、常時、一連の正常なフレーム列から正規化相互相関計算をして音声のピッチを検出することにより、検出された音声のピッチを得て、前記一連の正常なフレーム列の直後に入力される次フレームが前記消失フレームであった場合に、前記消失フレームに、前記検出された音声のピッチに基づいて得た補間データを補間するようにした、
    パケット損失補償におけるピッチ検出方法。
  2. 前記正規化相互相関計算をして音声のピッチを検出する場合に、前記フレームの1個である1フレームが80サンプルの音声データを含んでおり、前記消失フレームの直前の2フレームの音声データと、それより以前のフレーム列の音声データとの間で正規化相互相関計算をするようにした、
    請求項1のパケット損失補償におけるピッチ検出方法。
  3. 音声データを含むフレームが消失する消失フレームの発生に備えて、常時、一連の正常なフレーム列から正規化相互相関計算をするための正規化相互相関計算手段(5,6,9,11,12,30,PB1〜5)と、
    前記正規化相互相関計算の結果から音声のピッチを検出することにより、検出された音声のピッチを得るためのピッチ検出手段(7)と、
    前記一連の正常なフレーム列の直後に入力される次フレームが前記消失フレームであった場合に、前記消失フレームに、前記検出された音声のピッチに基づいて得た補間データを補間し出力するための補間処理手段(8,DL,SW)とを含む、
    パケット損失補償におけるピッチ検出装置。
  4. 前記正規化相互相関計算手段(5,6,9,11,12,30,PB1〜5)が、
    前記フレームの1個である1フレームが80サンプルの音声データを含んでいる場合に、それぞれ1フレームづつずらしながらそれぞれが390サンプル分の音声データを格納するための5個のピッチ・バッファ手段(PB1〜5)と、
    前記正規化相互相関計算をして音声のピッチを検出する場合に、前記消失フレームの直前の2フレームの音声データと、それより以前のフレーム列の音声データとの間で自己相関および相互相関計算をするための相関計算手段(5)と、
    前記自己相関および相互相関計算をする計算経過において発生する計算データを格納するための5個の経過バッファ(PAB1〜5)と、前記計算経過において発生する前記自己相関計算の結果を格納するための2個の自己相関バッファ(SCB1,2)と、前記計算経過において発生する前記相互相関計算の結果を格納する2個の相互相関バッファ(MCB1,2)とを含む、相関バッファ手段(6)と、を含む、
    請求項3のパケット損失補償におけるピッチ検出装置。
  5. 前記正規化相互相関計算手段(5,6,9,11,12,30,PB1〜5)が、
    前記5個のピッチ・バッファ手段(PB1〜5)にそれぞれ格納されたデータのサンプル数をカウントする5個のピッチ・バッファ・カウンタ(PBC1〜5)と、前記ピッチ・バッファ・カウンタ(PBC1〜5)のカウント値が所定の値になったときにそのピッチ・バッファ手段を特定するために割当てられたピッチ・バッファ番号を、現フレームあるいは次フレームに割当てるピッチ・バッファ番号(PFPBNo,NFPBNo)として記録するレジスタで構成され、前記現フレームの消失時には前記現フレームに割当て、前記ピッチ・バッファ手段のうちの更新されるべき1個の代わりに、次フレームに割当てられた他の1個のピッチ・バッファの番号を更新するように制御するためのピッチ・バッファ制御手段(11,30)と、
    前記5個のピッチ・バッファ・カウンタ(PBC1〜5)のカウント値に応じて、前記相互相関計算の結果から判断して、前記自己相関計算の途中であれば前記5個のピッチ・バッファ手段(PB1〜5)にそれぞれ対応した前記5個の経過バッファ(PAB1〜5)を選択し、前記自己相関差分計算の途中であれば、割当てられたフレームに対応した前記2個の自己相関バッファ(SCB1,2)のうちの1個を選択し、前記相互相関計算の途中であれば割当てられたフレームに対応した前記2個の相互相関バッファ(MCB1,2)のうちの1個を選択するように制御する相関バッファ制御手段(12)とを含んだ、
    請求項4のパケット損失補償におけるピッチ検出装置。
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