JP2004242563A - 高エリタデニン含有シイタケ子実体およびその生産方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来品のシイタケよりも多くのエリタデニンを含むシイタケを、格別な装置を用いることなく、安定的にかつ安価に供給することができる、エリタデニン高含有シイタケの栽培方法および該栽培方法で得られたエリタデニン含量の高いシイタケを提供する。
【解決手段】収穫直後のシイタケを、湿度が70%〜90%、特に温度25〜35℃の条件で、乳酸菌の存在下、高湿環境下に2〜4日間保存処理して、通常のシイタケの含有量よりも3〜6倍量のエリタデニン含量のシイタケとする。高含量のものでは550mg以上のエリタデニンを含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】収穫直後のシイタケを、湿度が70%〜90%、特に温度25〜35℃の条件で、乳酸菌の存在下、高湿環境下に2〜4日間保存処理して、通常のシイタケの含有量よりも3〜6倍量のエリタデニン含量のシイタケとする。高含量のものでは550mg以上のエリタデニンを含有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エリタデニン含量の多いシイタケ子実体およびその生産方法に関するもので、シイタケ栽培技術に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
シイタケは、和風料理や中華料理の具などに用いられる一般食品材料として、さらにはダシとして古くから幅広く利用され、しかもビタミンD2、食物繊維、β‐グルカンなどを多く含むことから健康食品としても重用されているが、このシイタケには、血清コレステロールを低下させるエリタデニンが含まれ、エリタデニンはシイタケ固有の有効成分とされているもので、シイタケを摂取することにより、血清コレステロールの低下も期待されるものである。
【0003】
しかしながら、このシイタケには、前記ビタミンD2ならびに食物繊維は充分含まれているが、エリタデニンの含有量は少なく、例えば、通常、乾シイタケは、春、秋に自然発生したシイタケを乾燥して生産されているが、エリタデニン含量は50〜90mg/100gと低いものである。
【0004】
したがって、コレステロール低下作用を期待するには、1日当り生シイタケを毎日90g(乾物重量で9g)という多量のシイタケを摂取する必要があるとされている(Suzuki S., Ohshima S., Mushroom Science IX (Part I) Proceedings of the Ninth International Scientific Congress on the Cultivation of Edible Fungi, Tokyo, 1974,463−467)。
【0005】
そのため、発明者はエリタデニン含量の高いシイタケ品種の開発と、その性質を充分に発揮するための栽培法について検討を行い、新しいシイタケ品種と、エリタデニン含量の高いシイタケの生産方法について先に一つの提案を行った(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平2002−238350号公報(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
先の提案において、シイタケが含有するエリタデニンの量は、その品種や菌株などの遺伝的要因によって当然異なるが、栽培環境、特に子実体生育段階の温度によっても大きく影響を受け、高温(温度25℃以上、温度35℃以下)で生育したシイタケは、エリタデニン含量が高くなることを示した。
【0008】
そこで、さらに検討を進めたところ、発明者は、収穫後の生シイタケを高湿環境下、特に高温下という条件が加わった環境、換言すると、生シイタケ中の水分を揮散させずに適度な温度に加温するという条件下で、保存、維持、貯蔵する(それらを一括して、この発明では保存と表記する。)と、シイタケ中のエリタデニンが増えること、すなわち先の提案で得られたエリタデニン含量が500mgのシイタケよりも含有量の多いシイタケ、含有量が500mg以上、さらには800mg以上、900mg以上含有するシイタケが得られることを見出して、この発明を完成したのである。
【0009】
さらに、発明者は、高湿環境下、特に高温下という条件が加わった環境で、生シイタケを保存すると、シイタケ中のエリタデニンが増えるが、時間の経過とともに生シイタケに細菌類など微生物も繁殖して、生シイタケの鮮度を低下させることがあるが、そのような事態は、生シイタケへの乳酸菌の添加により防止できることを見出して、この発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に記載の発明は、
乾燥重量100g当りエリタデニンを550mg以上含有すること
を特徴とする高エリタデニン含有シイタケ子実体である。
【0011】
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
乾燥重量100g当りエリタデニンを550mg以上含有し、かつ乳酸菌を併有すること
を特徴とする高エリタデニン含有シイタケ子実体である。
【0012】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体において、
前記乳酸菌は、
通性嫌気性菌グループに属する中温性の乳酸菌であること
を特徴とするものである。
【0013】
さらに、この発明の請求項4に記載の発明は、
生シイタケを高湿環境下に保存処理すること
を特徴とする高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法である。
【0014】
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記高湿環境は、
生シイタケ中の水分の蒸発を防止できる環境であること
を特徴とするものである。
【0015】
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項4又は5に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記高湿環境は、
その湿度が70%〜90%であること
を特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項4〜6のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
高湿環境は、
その温度が、温度25℃〜35℃であること
を特徴とするものである。
【0017】
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項4〜7のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
保存処理は、
日数が2〜4日間に亘るものであること
を特徴とするものである。
【0018】
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項4〜8のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記生シイタケは、
収穫直後〜収穫後2日以内のものであること
を特徴とするものである。
【0019】
また、この発明の請求項10に記載の発明は、
請求項4〜9記載のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記保存処理は、
生シイタケに乳酸菌を噴霧した後に行なわれること
を特徴とするものである。
【0020】
また、この発明の請求項11に記載の発明は、
請求項10に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記乳酸菌の噴霧は、
生シイタケの含水量を10質量%前後減少させる予備乾燥を施した後に行なわれること
を特徴とするものである。
【0021】
さらにまた、この発明の請求項12に記載の発明は、
請求項10又は11に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記乳酸菌は、
通性嫌気性菌グループに属する中温性の乳酸菌であること
を特徴とするである。
【0022】
【発明の実施の形態】
この発明は、収穫した生シイタケを、高湿環境下に保存処理、言い換えれば高湿環境下に生シイタケを曝露しておくと、生シイタケ中のエリタデニンが増加することを見出してなされたもので、高湿環境としては湿度70〜90%の環境が用いられる。また、生シイタケとしては収穫直後、すなわち収穫後5〜6時間以内の生シイタケを用いると、この発明の効果がより良く奏されるものであるが、収穫後2日以内のものであれば、この発明に適用することができる。
【0023】
さらに、生シイタケを高湿環境下に保存処理して、エリタデニンの含量を増加させる際に、温度の影響も多く、温度25℃〜35℃下で行なうと、より多くのエリタデニンが生成し、高エリタデニン含有シイタケを得る方法として好ましい方法である。
【0024】
高湿環境下に生シイタケを保存して、高エリタデニン含有シイタケを得る際の保存処理期間としては、2日間〜4日間が好ましく、保存処理期間が2日未満ではエリタデニンの増量が少なく、4日を超えてからは時間をかける割には格別顕著に増加しないうえ、生シイタケの新鮮度を失うことになるので避けるのが好ましい。
【0025】
高湿環境下、特に高温下という条件が加わった環境で、生シイタケの保存処理を行うと、シイタケ中のエリタデニンも増えるが、時間の経過とともに生シイタケに付着又は外部から進入してきた細菌類などの微生物も繁殖して、生シイタケの鮮度を低下させ、さらには有害菌による腐敗の惧れもあり、それらによりシイタケの商品価値が低下することがあるので、この発明の高湿環境下の生シイタケ保存処理は、乳酸菌の存在下に行うことが好ましい。
【0026】
この乳酸菌は、醸造食品、漬物類、ヨーグルトなど乳製品の製造に用いられるもので、食品の風味、保存性を高めるとともに、乳酸菌自体は人間の健康維持にも重要な役割を果しているもので、乳酸菌の食品である生シイタケへの使用には問題がなく、雑菌の繁殖を抑える効果があるため、この発明においては、乳酸菌を併用し、前記問題点の発生を抑えるのである。
【0027】
多種多様の乳酸菌のなかでも、シイタケのエリタデニン増加に悪影響を及ぼすことなく、なおかつシイタケの高湿環境下のシイタケ保存処理における雑菌発生に効果あるものとして、好ましいものは通性嫌気性菌グループに属する中温性の乳酸菌である。
【0028】
この発明に用いられる乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス カセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、 ビフドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ストレプトコッカス フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、有胞子性乳酸菌のバチルス コアグランス(Bacillus coagulans)などが挙げられる。
【0029】
これらの乳酸菌は、収穫後の生シイタケ、好ましくは予備乾燥、例えば温度25〜35℃で1〜2時間加温乾燥して、含有水分を10質量%程度低下させた生シイタケに乳酸菌を含有させた液状体で噴霧添加される。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を掲げてこの発明をさらに具体的に説明するが、この発明の範囲はこの例示に限定されるものではない。
なお、実施例中のエリタデニンの定量、一般細菌数、乳酸菌数の測定は、以下の手順で行った。
【0031】
<エリタデニンの定量>
200mgのシイタケ乾燥粉末に対して、4mlの5%過塩素酸を加えて抽出し、遠心分離で抽出液を回収し、得た抽出液をKOHで中和したのち、活性炭カラムに添加し、蒸留水で洗浄後、1.4%アンモニア含有50%エタノールでエリタデニン画分を溶出した。
溶出液は遠心濃縮で乾固したのち、一定量の高速液体クロマトグラフィー(以下HPLC)用の溶出液に溶解した。
HPLCのカラムは、Develosil RPAQUEOUS 4.5×250mmを用い、5mM臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、20 mMリン酸水素二カリウム含有1.5%アセトニトリルで流速1ml/分で溶出し、260nm検出した。
エリタデニン標準品で作製した検量線に基づいてエリタデニン含量を定量し、乾物重量100g当りで表した。
【0032】
<一般細菌数、乳酸菌数の測定>
一般生菌数および大腸菌群は、食品衛生法に基づいてそれぞれ標準寒天培地、デスオキシコーレイト寒天培地を用いて、好気的な条件で発育した集落数を計測した。
すなわち、試料原液を必要に応じて希釈し、標準寒天培地(栄研)又はデスオキシコーレイト寒天培地(栄研)を加えて混合して温度37℃、24時間培養後の集落数を測定した。
また、乳酸菌の測定には、改変GYP培地(小玉健太郎、内藤 敦 Nippon Nougeikagaku Kaishi Vol.58,No.11,pp.1127〜1129,1984)を用い、温度37℃、36時間培養して集落数を測定した。
【0033】
実施例1
収穫直後の生シイタケを5等分に分割し、それぞれを温度10、28、30、35、40℃に設定した恒温恒湿器(湿度80〜90%)に入れて4日間保存した。
保存開始から2日目、4日目に取り出して、シイタケの傘部分のエリタデニン含量(mg/100g乾物量)を測定した。
その結果を表1に示す。なお、表中、括弧内の数値は、収穫直後のエリタデニン含量を1とした時の倍率である。
【0034】
表1から明らかなように、温度10℃保存では含量の増加は僅かであったが、高温での増加率は大きく、最適温度は温度30℃付近にあり、2日目でエリタデニン含量は435mg/100gで、初発含量の約3倍、4日目で873mg/100gで約6倍に達した。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例2
収穫直後の生シイタケに、発酵食品製造に用いられる乳酸菌(ビオフェルミン製薬:ビオフェルミンS細粒、ビフィズス菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌)を3×106個/ml含む0.05%クエン酸水溶液を噴霧接種して、温度30℃、湿度80〜90%に設定した恒温恒湿器に入れて48時間保存した。
また、比較対照として、乳酸菌を含まない蒸留水を噴霧して同様に温度30℃に保存した。
保存開始から24時間、48時間後に取り出して、生シイタケ1g当りの一般生菌数、乳酸菌数を測定した。その結果を表2に示す。
【0037】
表2から明らかなように、乳酸菌を接種していない無処理区の24時間後の一般細菌数は、生シイタケ1g当り1.7×107、48時間後には6.7×108で、一般細菌は増殖した。
しかし、乳酸菌を接種して高温処理したシイタケでは、乳酸菌は増殖しても、一般生菌数の増加は微小であった。
【0038】
また、シイタケの傘部分のエリタデニン含量を測定した結果を表3に示す。
なお、表中、括弧内の数値は、収穫直後のエリタデニン含量を1とした時の倍率である。
表3から明らかなように、乳酸菌の接種に関係なくエリタデニン含量は増加し、24時間後で初発含量の2.4〜2.6倍、48時間後には3.5〜3.8倍に達し、その量は863〜989mg/100gであった。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
実施例3
自然発生したシイタケを、その重量が10%減少するまで予備乾燥した後、食品用有胞子性乳酸菌製剤(三共:ラクリス−S バチルス コアグランス(Bacillus coagulans))の1%懸濁液(5×107個/ml)に5分間浸漬した。
浸漬後は、温度30℃、湿度70〜80%の条件で2日間処理し、エリタデニン含量の増強を図った後、通常のシイタケ乾燥機でシイタケを乾燥した(温度60℃で24時間)。
なお、乳酸菌製剤は、温度70℃で30分の熱処理で発芽促進させた後に使用した。
乾燥したシイタケの処理前と処理後のエリタデニン含量(mg/100g乾燥重量)、一般生菌数(個/1g乾燥重量)、大腸菌群(個/1g乾燥重量)、乳酸菌数(個/1g乾燥重量)を測定した結果を、表4に示した。
【0042】
表4に示すように、通常のシイタケよりもエリタデニン含有量は高く、乳酸菌も多く含まれていることが確認された。
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】
この発明によれば、シイタケの品種やその栽培履歴などに関係なく、シイタケ中のエリタデニン含量を3〜6倍に、格別な費用を掛けることなく増強することができ、乳酸菌を併用することによって、コレステロール低下だけでなく、免疫機能の向上、整腸作用など優れた機能が付与されたシイタケ、特に乾シイタケを提供することができる。
【0045】
また、この発明によれば、栽培したものでも自然に発生したシイタケでも、収穫直後であれば、特別に栽培施設を用いることなくエリタデニン含量を強化することができる。
【0046】
特に、この発明によれば、乾燥重量100g当りエリタデニンを550mg以上、多い場合は800mg以上、更には900mg以上もの量で含有する高エリタデニン含有シイタケが得られるので、この発明で得られたシイタケは、一般食品としてだけでなく、健康食品として、従来にも増して、重用されるものである。
【発明の属する技術分野】
この発明は、エリタデニン含量の多いシイタケ子実体およびその生産方法に関するもので、シイタケ栽培技術に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
シイタケは、和風料理や中華料理の具などに用いられる一般食品材料として、さらにはダシとして古くから幅広く利用され、しかもビタミンD2、食物繊維、β‐グルカンなどを多く含むことから健康食品としても重用されているが、このシイタケには、血清コレステロールを低下させるエリタデニンが含まれ、エリタデニンはシイタケ固有の有効成分とされているもので、シイタケを摂取することにより、血清コレステロールの低下も期待されるものである。
【0003】
しかしながら、このシイタケには、前記ビタミンD2ならびに食物繊維は充分含まれているが、エリタデニンの含有量は少なく、例えば、通常、乾シイタケは、春、秋に自然発生したシイタケを乾燥して生産されているが、エリタデニン含量は50〜90mg/100gと低いものである。
【0004】
したがって、コレステロール低下作用を期待するには、1日当り生シイタケを毎日90g(乾物重量で9g)という多量のシイタケを摂取する必要があるとされている(Suzuki S., Ohshima S., Mushroom Science IX (Part I) Proceedings of the Ninth International Scientific Congress on the Cultivation of Edible Fungi, Tokyo, 1974,463−467)。
【0005】
そのため、発明者はエリタデニン含量の高いシイタケ品種の開発と、その性質を充分に発揮するための栽培法について検討を行い、新しいシイタケ品種と、エリタデニン含量の高いシイタケの生産方法について先に一つの提案を行った(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平2002−238350号公報(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
先の提案において、シイタケが含有するエリタデニンの量は、その品種や菌株などの遺伝的要因によって当然異なるが、栽培環境、特に子実体生育段階の温度によっても大きく影響を受け、高温(温度25℃以上、温度35℃以下)で生育したシイタケは、エリタデニン含量が高くなることを示した。
【0008】
そこで、さらに検討を進めたところ、発明者は、収穫後の生シイタケを高湿環境下、特に高温下という条件が加わった環境、換言すると、生シイタケ中の水分を揮散させずに適度な温度に加温するという条件下で、保存、維持、貯蔵する(それらを一括して、この発明では保存と表記する。)と、シイタケ中のエリタデニンが増えること、すなわち先の提案で得られたエリタデニン含量が500mgのシイタケよりも含有量の多いシイタケ、含有量が500mg以上、さらには800mg以上、900mg以上含有するシイタケが得られることを見出して、この発明を完成したのである。
【0009】
さらに、発明者は、高湿環境下、特に高温下という条件が加わった環境で、生シイタケを保存すると、シイタケ中のエリタデニンが増えるが、時間の経過とともに生シイタケに細菌類など微生物も繁殖して、生シイタケの鮮度を低下させることがあるが、そのような事態は、生シイタケへの乳酸菌の添加により防止できることを見出して、この発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に記載の発明は、
乾燥重量100g当りエリタデニンを550mg以上含有すること
を特徴とする高エリタデニン含有シイタケ子実体である。
【0011】
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
乾燥重量100g当りエリタデニンを550mg以上含有し、かつ乳酸菌を併有すること
を特徴とする高エリタデニン含有シイタケ子実体である。
【0012】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体において、
前記乳酸菌は、
通性嫌気性菌グループに属する中温性の乳酸菌であること
を特徴とするものである。
【0013】
さらに、この発明の請求項4に記載の発明は、
生シイタケを高湿環境下に保存処理すること
を特徴とする高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法である。
【0014】
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記高湿環境は、
生シイタケ中の水分の蒸発を防止できる環境であること
を特徴とするものである。
【0015】
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項4又は5に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記高湿環境は、
その湿度が70%〜90%であること
を特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項4〜6のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
高湿環境は、
その温度が、温度25℃〜35℃であること
を特徴とするものである。
【0017】
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項4〜7のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
保存処理は、
日数が2〜4日間に亘るものであること
を特徴とするものである。
【0018】
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項4〜8のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記生シイタケは、
収穫直後〜収穫後2日以内のものであること
を特徴とするものである。
【0019】
また、この発明の請求項10に記載の発明は、
請求項4〜9記載のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記保存処理は、
生シイタケに乳酸菌を噴霧した後に行なわれること
を特徴とするものである。
【0020】
また、この発明の請求項11に記載の発明は、
請求項10に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記乳酸菌の噴霧は、
生シイタケの含水量を10質量%前後減少させる予備乾燥を施した後に行なわれること
を特徴とするものである。
【0021】
さらにまた、この発明の請求項12に記載の発明は、
請求項10又は11に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法において、
前記乳酸菌は、
通性嫌気性菌グループに属する中温性の乳酸菌であること
を特徴とするである。
【0022】
【発明の実施の形態】
この発明は、収穫した生シイタケを、高湿環境下に保存処理、言い換えれば高湿環境下に生シイタケを曝露しておくと、生シイタケ中のエリタデニンが増加することを見出してなされたもので、高湿環境としては湿度70〜90%の環境が用いられる。また、生シイタケとしては収穫直後、すなわち収穫後5〜6時間以内の生シイタケを用いると、この発明の効果がより良く奏されるものであるが、収穫後2日以内のものであれば、この発明に適用することができる。
【0023】
さらに、生シイタケを高湿環境下に保存処理して、エリタデニンの含量を増加させる際に、温度の影響も多く、温度25℃〜35℃下で行なうと、より多くのエリタデニンが生成し、高エリタデニン含有シイタケを得る方法として好ましい方法である。
【0024】
高湿環境下に生シイタケを保存して、高エリタデニン含有シイタケを得る際の保存処理期間としては、2日間〜4日間が好ましく、保存処理期間が2日未満ではエリタデニンの増量が少なく、4日を超えてからは時間をかける割には格別顕著に増加しないうえ、生シイタケの新鮮度を失うことになるので避けるのが好ましい。
【0025】
高湿環境下、特に高温下という条件が加わった環境で、生シイタケの保存処理を行うと、シイタケ中のエリタデニンも増えるが、時間の経過とともに生シイタケに付着又は外部から進入してきた細菌類などの微生物も繁殖して、生シイタケの鮮度を低下させ、さらには有害菌による腐敗の惧れもあり、それらによりシイタケの商品価値が低下することがあるので、この発明の高湿環境下の生シイタケ保存処理は、乳酸菌の存在下に行うことが好ましい。
【0026】
この乳酸菌は、醸造食品、漬物類、ヨーグルトなど乳製品の製造に用いられるもので、食品の風味、保存性を高めるとともに、乳酸菌自体は人間の健康維持にも重要な役割を果しているもので、乳酸菌の食品である生シイタケへの使用には問題がなく、雑菌の繁殖を抑える効果があるため、この発明においては、乳酸菌を併用し、前記問題点の発生を抑えるのである。
【0027】
多種多様の乳酸菌のなかでも、シイタケのエリタデニン増加に悪影響を及ぼすことなく、なおかつシイタケの高湿環境下のシイタケ保存処理における雑菌発生に効果あるものとして、好ましいものは通性嫌気性菌グループに属する中温性の乳酸菌である。
【0028】
この発明に用いられる乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス カセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、 ビフドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ストレプトコッカス フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、有胞子性乳酸菌のバチルス コアグランス(Bacillus coagulans)などが挙げられる。
【0029】
これらの乳酸菌は、収穫後の生シイタケ、好ましくは予備乾燥、例えば温度25〜35℃で1〜2時間加温乾燥して、含有水分を10質量%程度低下させた生シイタケに乳酸菌を含有させた液状体で噴霧添加される。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を掲げてこの発明をさらに具体的に説明するが、この発明の範囲はこの例示に限定されるものではない。
なお、実施例中のエリタデニンの定量、一般細菌数、乳酸菌数の測定は、以下の手順で行った。
【0031】
<エリタデニンの定量>
200mgのシイタケ乾燥粉末に対して、4mlの5%過塩素酸を加えて抽出し、遠心分離で抽出液を回収し、得た抽出液をKOHで中和したのち、活性炭カラムに添加し、蒸留水で洗浄後、1.4%アンモニア含有50%エタノールでエリタデニン画分を溶出した。
溶出液は遠心濃縮で乾固したのち、一定量の高速液体クロマトグラフィー(以下HPLC)用の溶出液に溶解した。
HPLCのカラムは、Develosil RPAQUEOUS 4.5×250mmを用い、5mM臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、20 mMリン酸水素二カリウム含有1.5%アセトニトリルで流速1ml/分で溶出し、260nm検出した。
エリタデニン標準品で作製した検量線に基づいてエリタデニン含量を定量し、乾物重量100g当りで表した。
【0032】
<一般細菌数、乳酸菌数の測定>
一般生菌数および大腸菌群は、食品衛生法に基づいてそれぞれ標準寒天培地、デスオキシコーレイト寒天培地を用いて、好気的な条件で発育した集落数を計測した。
すなわち、試料原液を必要に応じて希釈し、標準寒天培地(栄研)又はデスオキシコーレイト寒天培地(栄研)を加えて混合して温度37℃、24時間培養後の集落数を測定した。
また、乳酸菌の測定には、改変GYP培地(小玉健太郎、内藤 敦 Nippon Nougeikagaku Kaishi Vol.58,No.11,pp.1127〜1129,1984)を用い、温度37℃、36時間培養して集落数を測定した。
【0033】
実施例1
収穫直後の生シイタケを5等分に分割し、それぞれを温度10、28、30、35、40℃に設定した恒温恒湿器(湿度80〜90%)に入れて4日間保存した。
保存開始から2日目、4日目に取り出して、シイタケの傘部分のエリタデニン含量(mg/100g乾物量)を測定した。
その結果を表1に示す。なお、表中、括弧内の数値は、収穫直後のエリタデニン含量を1とした時の倍率である。
【0034】
表1から明らかなように、温度10℃保存では含量の増加は僅かであったが、高温での増加率は大きく、最適温度は温度30℃付近にあり、2日目でエリタデニン含量は435mg/100gで、初発含量の約3倍、4日目で873mg/100gで約6倍に達した。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例2
収穫直後の生シイタケに、発酵食品製造に用いられる乳酸菌(ビオフェルミン製薬:ビオフェルミンS細粒、ビフィズス菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌)を3×106個/ml含む0.05%クエン酸水溶液を噴霧接種して、温度30℃、湿度80〜90%に設定した恒温恒湿器に入れて48時間保存した。
また、比較対照として、乳酸菌を含まない蒸留水を噴霧して同様に温度30℃に保存した。
保存開始から24時間、48時間後に取り出して、生シイタケ1g当りの一般生菌数、乳酸菌数を測定した。その結果を表2に示す。
【0037】
表2から明らかなように、乳酸菌を接種していない無処理区の24時間後の一般細菌数は、生シイタケ1g当り1.7×107、48時間後には6.7×108で、一般細菌は増殖した。
しかし、乳酸菌を接種して高温処理したシイタケでは、乳酸菌は増殖しても、一般生菌数の増加は微小であった。
【0038】
また、シイタケの傘部分のエリタデニン含量を測定した結果を表3に示す。
なお、表中、括弧内の数値は、収穫直後のエリタデニン含量を1とした時の倍率である。
表3から明らかなように、乳酸菌の接種に関係なくエリタデニン含量は増加し、24時間後で初発含量の2.4〜2.6倍、48時間後には3.5〜3.8倍に達し、その量は863〜989mg/100gであった。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
実施例3
自然発生したシイタケを、その重量が10%減少するまで予備乾燥した後、食品用有胞子性乳酸菌製剤(三共:ラクリス−S バチルス コアグランス(Bacillus coagulans))の1%懸濁液(5×107個/ml)に5分間浸漬した。
浸漬後は、温度30℃、湿度70〜80%の条件で2日間処理し、エリタデニン含量の増強を図った後、通常のシイタケ乾燥機でシイタケを乾燥した(温度60℃で24時間)。
なお、乳酸菌製剤は、温度70℃で30分の熱処理で発芽促進させた後に使用した。
乾燥したシイタケの処理前と処理後のエリタデニン含量(mg/100g乾燥重量)、一般生菌数(個/1g乾燥重量)、大腸菌群(個/1g乾燥重量)、乳酸菌数(個/1g乾燥重量)を測定した結果を、表4に示した。
【0042】
表4に示すように、通常のシイタケよりもエリタデニン含有量は高く、乳酸菌も多く含まれていることが確認された。
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】
この発明によれば、シイタケの品種やその栽培履歴などに関係なく、シイタケ中のエリタデニン含量を3〜6倍に、格別な費用を掛けることなく増強することができ、乳酸菌を併用することによって、コレステロール低下だけでなく、免疫機能の向上、整腸作用など優れた機能が付与されたシイタケ、特に乾シイタケを提供することができる。
【0045】
また、この発明によれば、栽培したものでも自然に発生したシイタケでも、収穫直後であれば、特別に栽培施設を用いることなくエリタデニン含量を強化することができる。
【0046】
特に、この発明によれば、乾燥重量100g当りエリタデニンを550mg以上、多い場合は800mg以上、更には900mg以上もの量で含有する高エリタデニン含有シイタケが得られるので、この発明で得られたシイタケは、一般食品としてだけでなく、健康食品として、従来にも増して、重用されるものである。
Claims (12)
- 乾燥重量100g当り、エリタデニンを550mg以上含有すること
を特徴とする高エリタデニン含有シイタケ子実体。 - 乾燥重量100g当り、エリタデニンを550mg以上含有し、かつ乳酸菌を併有すること
を特徴とする高エリタデニン含有シイタケ子実体。 - 前記乳酸菌は、
通性嫌気性菌グループに属する中温性の乳酸菌であること
を特徴とする請求項2に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体。 - 生シイタケを高湿環境下に保存処理すること
を特徴とする高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法。 - 前記高湿環境は、
生シイタケ中の水分の蒸発を防止できる環境であること
を特徴とする請求項4に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法。 - 前記高湿環境は、
その湿度が70%〜90%であること
を特徴とする請求項4又は5に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法。 - 前記高湿環境は、
その温度が、温度25℃〜35℃であること
を特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法。 - 前記保存処理は、
その日数が2〜4日間に亘るものであること
を特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法。 - 前記生シイタケは、
収穫直後〜収穫後2日以内のものであること
を特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法。 - 前記保存処理は、
生シイタケに乳酸菌を噴霧した後に行なわれること
を特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法。 - 前記乳酸菌の噴霧は、
生シイタケの含水量を10質量%前後減少させる予備乾燥を施した後に行なわれること
を特徴とする請求項10に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法。 - 前記乳酸菌は、
通性嫌気性菌グループに属する中温性の乳酸菌であること
を特徴とする請求項10又は11に記載の高エリタデニン含有シイタケ子実体の生産方法。
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