JP2004243655A - インクジェット記録装置および現金取り扱い装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録ヘッド4a,4bを収容する記録ヘッド収容部11とインク補充容器34a,34bを収納するインク補充容器収容部35とインク補給チューブ7を断熱構造に構成すると共に前記記録ヘッド収容部とインク補充容器収容部にペルチェ素子33a〜33iを設けて温度調節する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置および該インクジェット記録装置を使用した現金取り扱い装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平11−58767号公報
【特許文献2】
特開2001−334645号公報
【特許文献3】
特開平9−164701号公報
インクジェット記録は、記録ヘッドのノズル部から記録媒体に向けて微少量のインク液滴を吐出させて飛翔させることによっ前記記録媒体上に付着させてドットを形成する記録技術である。この記録技術を適用したインクジェット記録装置のうち、シリアル走査型インクジェット記録装置は、記録媒体を所定距離ずつ間欠的に搬送(副走査)させ、操作方向に並べて複数のノズル穴を設けた記録ヘッドを記録媒体を横切る方向(搬送方向と交差する方向)に往復移動(主走査)させながらインク液滴を飛翔させることによって、記録媒体上にドットマトリクスで文字などの画像を記録する構成である。
【0003】
インクジェット記録装置による記録画像の品質と記録速度は、単位面積当りのドット数に依存する。銀塩写真の並みの高品質な画像を得るためには、1ドット当りのインク量(インク液滴の量)を少なくし、単位面積当りのドット数を多くすることが必要となるので、記録速度は遅くなる。また、文字が中心となる画像を記録する際には、銀塩写真の場合よりも1ドット当りのインク量を多くして低いドット密度で記録することにより、画質をあまり低下させずに記録速度を速くすることができる。
【0004】
インクジェット記録装置で画像を記録する場合において問題となるのは、インクジェット記録装置、特にインク液滴を吐出させるノズル部付近の温度が変化することによって、インク液滴吐出特性が変化することである。これは、液体インクの温度が変化することによってその粘度と表面張力が変化するので、液体インクに一定の駆動力を与えた場合にその吐出量が変化するためである。インク液滴の吐出量が変化すると、1ドットの大きさが変化するので、画像の濃度や文字の太さが変化して画質が低下する。
【0005】
また、液体インクの温度が高くなると液体インクの表面張力が低下するために、インク液滴が吐出した後にノズル穴からノズル部内に空気が侵入し易くなり、ノズル部内に空気が侵入してしまうと、液体インクに駆動力を与えてもノズル部内の空気が圧力を吸収してインク液滴が吐出しなくなるということがある。これは、以下のようなことが原因である。
【0006】
ノズル部からインク液滴を吐出して飛翔させるとき、ノズル穴でちぎれたインク液滴は記録媒体に向けて飛翔し、ちぎれた部分からノズル部側の液体インクはノズル部内に戻っていく。その際に空気がノズル穴からノズル部内に侵入するように挙動する。液体インクの表面張力が小さいほど、液体インクとノズル内面との接触角が小さくなり、空気が侵入し易くなる。そして、空気がノズル穴の部分を超えてノズル部内に侵入してしまうと、液体インクに圧力を与えても、ノズル部内に侵入した空気が圧縮されるだけでノズル穴からインク液滴が吐出しなくなって記録画像に欠陥が発生する。
【0007】
次に、インクジェット記録装置を使用する環境温度について説明する。
【0008】
インクジェット記録装置をパーソナルコンピュータにつないで画像を記録する使用形態は、室内で行うことが一般的であるために、使用環境温度は10〜30℃程度である。しかし、インクジェット記録装置を大きな装置の中に組み込んで、記録媒体への記録を行うことがあり、この場合の使用環境温度は、組み込む装置の設置形態に影響されることから室内よりも広範囲になる。
【0009】
インクジェット記録装置を組み込んで使用する大きな装置の例として、自動現金取り扱い機がある。
【0010】
図5は、自動現金取り扱い機の外観斜視図である。この自動現金取り扱い機21は、ディスプレイの表面にタッチ入力パネルを組み合わせた操作パネル22、紙幣取り扱い口23、硬貨取り扱い口24、連絡用の電話25、カード挿入口26、通帳挿入口27、明細書出口28、連絡用のスイッチボタン29などを備える。そして、現金の取り扱い内容は、通帳や明細書に記録する。この記録にインクジェット記録装置を使用する。
【0011】
このように使用するインクジェット記録装置は、使用環境温度が広範囲にわたる。それは、以下のような理由による。
【0012】
自動現金取り扱い機21は、現金やカードなどを搬送するために多数のモータを内蔵し、そのモータが発生する熱によって内部の温度は外部よりも高くなっている。また、操作パネル22の表示画面を発光させている光源でも熱が発生している。このような状態では、現金の取引情報を通帳に記録するインクジェット記録装置における液体インクの温度は、パーソナルコンピュータに接続して画像を記録するインクジェット記録装置における液体インクの温度に比べて高くなる。
【0013】
また、自動現金取り扱い機21が設置される場所の環境温度は、パーソナルコンピュータが設置される場所の温度範囲よりも広い範囲になる。自動現金取り扱い機21は、屋外に設置することもあるために、低温時には水の凝固点である0℃程度、高温時には40℃程度まで動作可能であることが必要となる。使用環境の気温が低い場合には、装置内部での発熱による温度上昇が起こるまでの間は、液体インクの温度が低い状態にある。逆に気温が高い場合には、装置内部での発熱も加わって更に高いインク温度となる。
【0014】
したがって、自動現金取り扱い機21に搭載するインクジェット記録装置は、パーソナルコンピュータにつないで画像を記録する場合よりも使用可能な環境温度の範囲を広くすることが必要である。
【0015】
記録ヘッド(ノズル部)内の液体インクの温度を調節するために、特開平11−58767号公報(特許文献1)に記載された発明は、記録ヘッドの内部にペルチェ素子を搭載して記録ヘッド内のインクの温度を調節する構成を提案している。
【0016】
また、特開2001−334645号公報(特許文献2)に記載された発明は、記録ヘッドを保持するキャリアにペルチェ素子を実装し、このペルチェ素子を記録ヘッドに接触させて該記録ヘッド内のインクの温度を調節する方法を提案している。
【0017】
また、特開平9−164701号公報(特許文献3)に記載された発明は、記録ヘッド内の加熱されたインクの温度を保持するために、非印字時には断熱部材で構成された収容部に記録ヘッドを収容して保温する方式を提案している。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
記録ヘッドのノズル部からのインク液滴の吐出量を安定させるためには、液体インクの温度を所定の範囲内に維持することが必要である。液体インクは、0℃に近づくにつれて粘度が急に高くなり、インク液滴の吐出量が減少する。温度が更に下がると、液体インクは凍結する。また、液体インクの温度が室温より高くなるにつれて表面張力が下がり、インク液滴の吐出を繰り返している間にノズル部内に空気が侵入し易くなってくる。そして、ノズル部内に空気が侵入してしまうと、インク液滴の吐出が停止してしまう。
【0019】
このような問題を発生させないためには、液体インクの温度が所定の範囲内に収まるように温度調節することが必要となる。
【0020】
ペルチェ素子は、素子の電極に低電圧の直流電流を流すことによって、一方の面から他方の面に熱を移動させる半導体素子であり、一方の面は冷却され、他方の面は加熱される。電流の向きを逆にすることによって、熱の移動方向も逆になるので、加熱面と冷却面を逆にすることができる。したがって、このペルチェ素子を用いることによって、インクジェット記録装置で用いる液体インクの温度を調節することができる。
【0021】
しかしながら、特開平11−58767号公報(特許文献1)に記載されている方法は、記録ヘッド内にペルチェ素子を設けるので、記録ヘッドの重量が増加して重くなり、キャリアの移動精度が悪くなり易いという問題がある。また、ペルチェ素子が故障した場合の修理は、記録ヘッドを交換することが必要となり、修理費が高くなるという問題もある。
【0022】
また、特開2001−334645号公報(特許文献2)に記載されている方法では、記録ヘッドを保持するキャリアにペルチェ素子を設けているので、記録ヘッド内の液体インクの温度を所望の値にするためには、記録ヘッドとインク全体の温度を変える必要があり、またペルチェ素子が接していない大半の部分は周囲の温度と同一になっているので、その部分への熱の移動分を考慮して加熱または冷却することが必要であるために、ペルチェ素子に流す電流を大きくしなければならず、消費電力が大きくなり、また、キャリアの重量が増加して移動精度も悪くなり易いという問題がある。
【0023】
また、特開平9−164701号公報(特許文献3)に記載されている例は、固体インクを加熱してインク液滴として飛翔させる方式のインクジェット記録装置の例である。この方式は、環境温度よりもかなり高い温度になるようにヒーターで固体インクを溶融させるので、ヒーターの熱が周囲に逃げないように記録ヘッドを断熱部材で構成された収容部に収容している。しかしながら、記録ヘッドにヒーターを内蔵する構成であるので該記録ヘッドの重量が重くなり、キャリアの移動精度が悪くなり易いという問題がある。
【0024】
また、各特許文献に記載されたインクジェット記録装置のインクは、記録ヘッド内部にのみ存在する。しかしながら自動現金取り扱い装置のような大きな装置の中に組み込まれて高い稼動率で使用されて多量のインクを消費するインクジェット記録装置は、インク容器の交換周期を長くするために、記録ヘッドとは別の位置に大容量のインク補充容器を設け、このインク補充容器内の液体インクをインク補給チューブによって記録ヘッドに供給するように構成される。したがって、インク補充容器内および該容器から記録ヘッドに至るまでの液体インクの温度も考慮することが必要である。
【0025】
本発明の1つの目的は、記録ヘッドから離れた位置に設置したインク補充容器から液体インクをインク補給チューブを介して前記記録ヘッドに供給すると共に記録ヘッドを移動させながら記録を行う形態のインクジェット記録装置において、移動させる記録ヘッド部分の重量を増加させることなく液体インクの温度を所定の範囲内に維持して欠陥のない高画質の画像記録を可能にすることにある。
【0026】
本発明の他の目的は、記録ヘッドから離れた位置に設置したインク補充容器から液体インクをインク補給チューブを介して前記記録ヘッドに供給すると共に記録ヘッドを移動させながら記録を行う形態であって、広範囲な使用環境温度において使用されるインクジェット記録装置において、移動させる記録ヘッド部分の重量を増加させることなく液体インクの温度を所定の範囲内に維持して欠陥のない高画質の画像記録を可能にすることにある。
【0027】
本発明の更に他の目的は、記録ヘッドから離れた位置に設置したインク容器から液体インクをインク補給チューブを介して前記記録ヘッドに供給すると共に記録ヘッドを移動させながら記録を行う形態のインクジェット記録装置を内蔵し、広範囲な使用環境温度において使用される現金取り扱い装置において、インクジェット記録装置内において移動する記録ヘッド部分の重量を増加させることなく液体インクの温度を所定の範囲内に維持して欠陥のない高画質の画像記録を可能にすることにある。
【0028】
本発明の更に他の目的は、前述したようなインクジェット記録装置および現金取り扱い装置においてインクジェット記録に使用する液体インクの温度を所定の範囲内に維持する温度調節の省電力化と発熱手段の長寿命化を実現することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明は、記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置と、画像記録信号に応じてノズル部から液体インクを吐出させて記録媒体に向けて飛翔させる記録ヘッドと、前記記録記録ヘッドを載せて前記記録媒体搬送装置を横切るように移動するキャリアと、前記記録ヘッドとインク補給チューブによってつながれたインク補給容器と、記録媒体搬送位置から記録ヘッドを退避させる位置に設けた記録ヘッド収容部と、前記記録ヘッドのノズル部を清掃する清掃部を備えたインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッド収容部と前記インク補充容器を収納するインク補充容器収容部と前記インク補給チューブを断熱構造に構成すると共に前記記録ヘッド収容部とインク補充容器収容部に発熱手段を設けたことを特徴とする。
【0030】
また、記録ヘッドとインク補充容器が位置の環境温度を検出する環境温度検出手段と、この環境温度検出手段による環境温度検出結果に基づいて前記発熱手段に印加する電圧を制御する制御装置を設けたことを特徴とする。
【0031】
また、前記制御装置は、前記記録ヘッドとインク補充容器収容部が位置する環境の温度の履歴情報を参照して前記発熱手段に印加する電圧の大きさを変化させることを特徴とする。
【0032】
また、前記制御装置は、前記記録ヘッドとインク補充容器収容部が位置する環境の温度の履歴情報を参照して前記発熱手段に印加する電圧の印加時間を変化させることを特徴とする。
【0033】
また、前記記録ヘッド収容部の下方の位置に前記清掃部を設けたことを特徴とする。
【0034】
また、本発明は、前記インクジェット記録装置を用いた現金取り扱い装置において、
前記インク補充容器を前記記録ヘッドよりも下方で、かつ、現金取り扱い装置の背面側に位置させて設置したことを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0036】
先ず、この実施の形態におけるインクジェット記録装置の概略構成を図1を参照して説明する。図1は、この実施の形態におけるインクジェット記録装置の外観斜視図である。
【0037】
この実施の形態におけるインクジェット記録装置は、筐体1およびその内部に収容した構成部品群を備える。
【0038】
この筐体1の内部の構成部品群には、記録媒体2を副走査方向Aに搬送する記録媒体搬送装置(一部図示省略)3と、この記録媒体搬送装置3の上方に位置して下側部に設けたノズル部からインク液滴を吐出して記録媒体2に向けて飛翔させる記録ヘッド4a,4bと、搬送中の記録媒体2の上方を横切る方向(主走査方向)に記録ヘッド4a,4bを往復移動させるキャリア5と、このキャリア5の往復移動を案内するガイドレール6と、記録ヘッド4a,4bから離れた位置に別置きしたインク補充容器(後述する)と前記記録ヘッド4a,4bを結ぶインク補給チューブ7と、外部の情報処理装置等からの記録制御信号に応じてインクジェット記録装置全体を制御するコントローラ8と、このコントローラ8からの画像記録信号を記録ヘッド4a,4bに伝送するフレキシブルケーブル9と、記録ヘッド4a,4bのノズルプレートの表面を清掃する清掃部10と、記録ヘッド収容部11がある。
【0039】
このインクジェット記録装置は、ガイドレール6に案内されて移動するキャリア5によって記録ヘッド4a,4bを記録媒体2の記録面に沿って往復運動させながら該記録ヘッド4a,4bのノズル部4c,4dから画像記録信号に応じてインク液滴を吐出して記録媒体2に向けて飛翔させて該記録媒体2に付着させることにより形成されるドットの集合によって画像を記録する。
【0040】
記録ヘッド4a,4bは、2色分(例えば黒と赤)のノズル部4c,4dとインクタンク部4e,4fを備えており、消費した分の液体インクはインク補給チューブ7によって別置きのインク補充容器(後述する)から補給する。記録ヘッド4a,4bは、その数とインク補充容器の数を更に増加することによって、多色記録用のインクジェット記録装置を実現することが可能である。
【0041】
ここで、図4を参照して自動現金取り扱い機に内蔵した前記インクジェット記録装置における記録ヘッドとインク補充容器の位置関係について説明する。図4は、自動現金取り扱い機21のインクジェット記録装置における記録ヘッド4a,4bとインク補充容器の位置関係を示す斜視図である。自動現金取り扱い機21は、インクジェット記録装置の構成を除いて図5に示した従来の自動現金取り扱い機21と同一構成であるので、重複する説明は省略する。
【0042】
各記録ヘッド4a,4bのノズル部4c,4dからのインク漏れを防ぐために、記録ヘッド4a,4b内の液体インクの内圧を大気圧よりも低くする必要があることから、インク補充容器34a,34bは、記録ヘッド4a,4bよりも低い位置(下方)に設置する。また、液体インクが消耗したインク補充容器34a,34bの交換は、自動現金取り扱い機21の背面から行うことが望ましい。自動現金取り扱い機21は、防犯のために、その背面側には管理者以外の者が入らないような構造にして設置することが一般的であること、および、インク交換作業を顧客の障害にならないように行うためである。したがって、インク補充容器34a,34bは、自動現金取り扱い機21の背面側に位置させて設置する。なお、インクジェット記録装置は、記録媒体である通帳や明細書の搬送距離を短くするために、記録ヘッド4a,4bが自動現金取り扱い機21の前面側に位置するように内蔵する。
【0043】
次に、図3を参照して記録ヘッド4a,4bにおけるノズル部4d,4eの構造を説明する。記録ヘッド4a,4bは、使用する液体インクの色が異なるだけで同一構造であるので、記録ヘッド4aを例示して説明する。図3は、記録ヘッド4aにおけるノズル部4cの縦断側面図であり、インクタンク部4eの下部に位置する部分である。
【0044】
このノズル部4cは、圧電形のマルチヘッド(複数のノズル穴に通じるインク通路のそれぞれに設けた圧電素子のひずみで前記インク通路の体積を変化させることによって対応するノズル穴からインク液滴を吐出して飛翔させる形態)である。また、複数のノズル穴は、副走査方向(図3の奥方向)に微小間隔で並んでいる。
【0045】
ノズル部4cは、ノズルプレート111と、チャンバープレート112と、リストリクタプレート113と、ダイヤフラムプレート114と、支持プレート115と、共通インク通路プレート116,117と、フィルタプレート118と、共通インク通路カバープレート119と、圧電素子群106と、圧電素子保持板107を備える。
【0046】
各プレート111〜119は、ステンレスやプラスチックなどの薄い板に所定の大きさの穴やスリットを所定の間隔で形成し、互いを接着剤で結合することによってノズル穴101,インク圧力室102,インク通路103,インク室104およびインク室104のフィルタプレート118の上流側とインクタンク部4eの連通路(図示省略)を形成する。
【0047】
ノズルプレート111の厚さは、100μm程度であり、このノズルプレート111に設けたノズル穴101の出口径は、20〜50μm程度である。また、このようなノズル101は、150〜300μm程度の間隔で並べる。
【0048】
インク室104は、各ノズル穴101に通じる複数のインク通路103が並ぶ方向(チャネル並び方向)に伸びており、各インク通路103を介して各インク圧力室102に液体インクを供給する。
【0049】
各プレート111〜119を互いに接着して構成したプレート接着体とは別に、圧電素子保持板107上に圧電素子106を接着した駆動部材を製作し、この駆動部材をプレート接着体に接着することによってノズル部4aを完成する。
【0050】
このノズル部4aのインク室104は、その上部に位置するインクタンク部4cから液体インクを供給することによって満たし、更に、多数のインク通路103から各インク圧力室102に液体インクを満たす。
【0051】
個々の圧電素子106は、電源と電子回路からなる高周波駆動装置に接続し、画像記録信号に基づいて記録電圧を印加するように構成し、記録電圧の印加と除去によって圧電素子106を伸縮させてインク加圧室102およびインク通路103内に満たされた液体インクを加圧してノズル穴101から吐出させてインク液滴として飛翔させるようにする。
【0052】
しかし、記録電圧が一定で液体インクに与える駆動力が同一であっても、液体インクの吐出(飛翔)量は液体インクの温度によって変化する。この原因について説明する。
【0053】
図16は、液体インクの温度と粘度との関係を示している。液体インクは、温度が低くなるほど粘度が大きくなる。液体インクの粘度が大きくなると、流体抵抗が増加して液体インクが移動しにくくなるために、同一の駆動力を与えてもインク液滴の吐出量は減少する。
【0054】
図17は、水性液体インクを用いた場合における該水性液体インクの温度と記録画像濃度との関係を示している。液体インクの温度が低いほどインク液滴の吐出量が少ないために記録画像濃度が低くなっている。したがって、記録画像濃度の低下を防止するためには、液体インクの温度の低下を防止することが必要である。また、水性液体インクを使用する場合は、0℃よりも低温になると液体インクが凍ってしまう(インク中には混入物があるために、実際に凍り始める温度は0℃よりも数℃低い)。寒冷地に設置される自動現金取り扱い機21は、使用環境温度が0℃よりも低温になることがあることから、そのような場合には、液体インクの加熱が必要となる。
【0055】
図18は、液体インクの温度と表面張力との関係を示している。液体インクの温度が低くなるほど該液体インクの表面張力は大きくなる。液体インクの表面張力が大きいほど、インク液滴が吐出するときの抵抗力が大きくなるので、インク液滴の吐出量は減少する(記録画像濃度が低下する)。
【0056】
また、液体インクの温度が高くなると該液体インクの表面張力は小さくなるが、液体インクの表面張力が小さくなると、以下のような問題が発生する。
【0057】
記録電圧の印加と除去によって圧電素子106を伸縮させることによりインク圧力室102の圧力を高めてノズル穴101からインク液滴を吐出させるとき、ノズル穴101の出口でちぎれたインク液滴は記録媒体に向いて飛翔するが、ちぎれた部分からノズル穴101側の液体インクは、ノズル穴101の内側に向けて戻っていく。その際に、空気もノズル穴101内に侵入していく。液体インクの表面張力が小さい場合は、液体インクがノズル穴101の内面と接触する角が小さくなるので、空気が入り易くなる。空気がノズル穴101の部分を超えてインク圧力室102内に達して残留してしまうと、圧電素子106を伸縮させてインク圧力室102内の圧力を高めても、液体インクはノズル穴から吐出しなくなる。したがって、液体インクの表面張力を過度に低下させないためには、液体インクの温度を過度に上昇させないように冷却することが必要である。
【0058】
次に、インクジェット記録装置の記録ヘッド4a,4bのノズル部4c,4dを清掃する清掃部10について説明する。
【0059】
ノズル部4c,4dのノズル穴101からインク液滴を吐出させながら記録媒体11上に画像を記録していると、ノズル穴101の目詰まりや記録媒体11からわずかに液体インクがはね返ることによってノズルプレート111面に濡れが発生する。これらが原因となってインク液滴の吐出および飛翔状態が乱れて記録画質が低下することから、このノズルプレート111の表面を清掃する清掃部4が設置される。この清掃部10は、記録ヘッド4a,4bを非記録領域に移動させたときに該記録ヘッド4a,4bのノズル部4c,4dに作用するように位置させる。記録が長期にわたるときには、記録を途中で中断して記録ヘッド4a,4bを清掃部10の上に停止させ、この清掃部10に内蔵したポンプによってノズル穴101からの液体インクを吸引したり、ゴムブレードによってノズルプレート111を擦って該ノズルプレート面に付着した液体インクを除去して、全ノズル穴101からのインク液滴の吐出状態が良好になるようにする。また、非記録時には記録ヘッド4a,4bを清掃部10の上の位置に停止して、ノズル部4c,4d内の液体インクの溶媒が揮発しないように該ノズル部4c,4dをキャップで覆うように構成する。
【0060】
このようなインクジェット記録装置における液体インクの温度を好ましい状態に調節する構成を説明する。
【0061】
図1に示すように、この実施の形態におけるインクジェット記録装置は、記録ヘッド収容部11が記録媒体搬送部3を挟んで清掃部10とは反対側の非記録領域に存在する。なお、記録ヘッド収容部11の下部には、待機時にノズル穴101部の液体インクの乾燥によるノズル穴101の目詰まりを防止するために該ノズル穴101部を覆うキャップ(図示省略)を設置する。
【0062】
記録ヘッド収容部11について、図6を参照して説明する。図6は、記録ヘッド収容部11を示す外観斜視図である。
【0063】
この記録ヘッド収容部11は、発泡樹脂のような断熱部材でコ字状に形成し、移動してくるキャリア5(記録ヘッド4a,4b)を開放側から内部に受け入れて収容するように設置し、三方の側壁には収容した記録ヘッド4a,4bと接する内側を加熱または冷却する熱を発生する発熱手段として使用する熱電変換器であるペルチェ素子33a,33b,33cを設ける。
【0064】
ペルチェ素子33a〜33cについて、図7を参照して説明する。ペルチェ素子33a〜33cは、同一構成であるので、ペルチェ素子33aを例示して説明する。図7は、ペルチェ素子33aの外観斜視図である。
【0065】
ペルチェ素子33aは、電極から引き出した2本の給電線41,42に低電圧の直流電流を流すことによって、一方の面から他方の面に熱を移動させる半導体素子である。例えば、a面の温度が上昇(加熱)する場合はb面の温度は低下(冷却)する。また、電流の向きを逆にすると、熱の移動方向も逆になるので、b面の温度が上昇し、a面の温度は低下する。従って、ペルチェ素子33aは、これに流す電流の方向を変えることによって、一つの面(例えばa面)から加熱または冷却熱を発生(発熱)することができる。
【0066】
次に、インク補充容器34a,34bを収容するインク補充容器収容部について説明する。図8は、2色分のインク補充容器34a,34bを収容するインク容器収容部35の外観斜視図である。
【0067】
このインク容器収容部35は、記録ヘッド収容部5と同様に発泡樹脂などの断熱部材で四角筒状に形成して上側開口からインク補充容器34a,34bを交換可能に構成し、四方の側壁にはインク補充容器34a,34bと接する内側を加熱または冷却するペルチェ素子33aと同様なペルチェ素子33d〜33を設ける。そして、このインク補充容器収容部35には、図9に示すようなインク補充容器34a,34bを収容し、インク補充容器収容部35を貫通させた前記インク補給チューブ7を該インク補充容器34a,34bの接続穴34c,34dに接続して液体インクを記録ヘッド4a,4bのインクタンク4e,4fに補給する。
【0068】
インク補給チューブ7は、柔軟性を阻害しないように外周を断熱部材で覆った断熱構造とし、内部を通る液体インクの温度が環境温度によって変化するのを軽減するように構成する。
【0069】
次に、記録ヘッド4a,4bとインク補充容器34a,34bの周囲の環境温度検出手段について説明する。記録ヘッド4a,4bの周囲の環境温度は、筐体1またはキャリア5に取り付けたサーミスタ36の抵抗値を電圧に変えて検出するように構成し、インク補充容器34a,34bの周囲の環境温度は、インク補充容器収容部35の外周面に取り付けたサーミスタ37の抵抗値を電圧に変えて検出するように構成する。
【0070】
次に、この自動現金取り扱い機21の制御系について図11および図12を参照して説明する。
【0071】
図11は、この自動現金取り扱い機21の制御系のブロック図である。
【0072】
CPU201は、メモリ202に記憶した制御処理プログラムと制御処理基準情報を参照して入出力インターフェース203および前記コントローラ8を介して現金取り扱いに関する各種の制御処理を実行する。
【0073】
入出力インターフェース203は、操作パネル22,紙幣取り扱い口23,硬貨取り扱い口24,カード挿入口26,通帳挿入口27,明細書出口28に関連する駆動機構に接続してこれらを制御し、更に、システム接続部204に接続して金銭取り扱い管理コンピュータ(図示省略)と通信する制御を仲介する。
【0074】
コントローラ8は、通帳記録用のインクジェット記録装置の駆動機構および印字ヘッド収容部11のペルチェ素子33a〜33cに関する駆動回路部205と、明細書記録用のインクジェット記録装置の駆動機構および印字ヘッド収容部11のペルチェ素子33a〜33cに関する駆動回路部206と、インク補充容器収容部11のペルチェ素子33d〜33iに関する駆動回路部207と、サーミスタ36,37に接続し、サーミスタ36,37による温度検出電圧信号をCPU201に伝達し、CPU201からの指示に基づいて駆動回路部205〜207を制御する。
【0075】
電源回路208は、これらの制御系に必要な電力を供給する。
【0076】
図12は、CPU201が実行する制御処理のフローチャートである。
【0077】
CPU201は、処理ステップ301において電源が投入されると、処理ステップ302においてサーミスタ36,37が検出する記録ヘッド部とインク補充容器収容部の環境温度検出信号を取り込み、処理ステップ303において、環境温度が各インクジェット記録装置の記録動作が可能な許容温度範囲内かどうかを判断して制御処理を分岐する。
【0078】
処理ステップ303において許容温度範囲内である場合には、処理ステップ304において、環境温度が液体インクの温度調節(加熱または冷却)が不要な適温範囲内かどうかを判断して制御処理を分岐する。
【0079】
処理ステップ304において適温範囲内である場合には、処理ステップ305において、操作パネル22に準備完了(現金取り扱い可能)である旨を表示し、処理ステップ306において、操作パネル22からの入力に基づいた現金取り扱い制御(現金出し入れ、通帳記録、明細書記録など)を実行する。
【0080】
処理ステップ304において適温範囲外である場合には、処理ステップ307において、液体インクの温度調節を行わせるペルチェ素子33a〜33iに流す電流の制御を実行してから処理ステップ305に進む。
【0081】
処理ステップ303において許容温度範囲外である場合には、処理ステップ308において液体インクの温度調節を行わせるペルチェ素子33a〜33iに流す電流の制御を実行してから処理ステップ309に進んで操作パネル22に準備中(現金取り扱い不可能)である旨を表示して処理ステップ302に戻る。
【0082】
次に、液体インクの温度調節方法の一例を説明する。
【0083】
液体インクの温度調節が必要となるのは、液体インクが凍結するおそれが出てくる0℃付近や、液体インクの温度が高くなって表面張力が下がり、インク液滴を吐出させることによってインク圧力室102内およびインク通路103内に空気が侵入し易くなる40℃以上の場合である。したがって、このような環境温度を検出したときには、ペルチェ素子33a〜33iの発熱を制御して液体インクの温度を調節し、インク液滴の吐出停止によって記録画像に欠陥が発生するのを防止することが必要である。
【0084】
液体インクの温度調節を行う環境温度範囲の低温側は、液体インクが凍りつくことを防止するために5℃以下とし、高温側は、インク圧力室102内に空気が侵入してインク液滴の吐出が停止する恐れがある40℃以上となった場合である。この低温側と高温側の温度範囲内は、適温範囲内とし、液体インクの温度調節(ペルチェ素子33a〜33iへの通電)は行わない。
【0085】
図13および図14は、図7に示したペルチェ素子33aの給電線42を接地した場合において、給電線41に印加する電圧とa面の温度と環境温度の差の関係を示す特性図である。
【0086】
給電線41に正の電圧を印加した場合は、a面が冷却し、負の電圧を印加した場合は、a面が加熱する。このようなペルチェ素子33a(〜33i)を用いて液体インクの温度を調節する方法を以下に説明する。
【0087】
図15は、環境温度とペルチェ素子に印加する電圧との関係を示す特性図である。この関係は、図13と図14の測定結果を基にして設定した例である。なお、図6および図8に示すペルチェ素子33a〜33iは、それぞれ、記録ヘッド4a,4bおよびインク補充容器34a,34bに接する内側の面が図7に示したペルチェ素子33のa面に相当するように設置する。加熱および冷却特性は液体インクの組成物や記録ヘッド4a,4bの構造によって変わるので、ペルチェ素子33a〜33iに印加する電圧の設定値は、使用するインクジェット記録装置に応じて変える。
【0088】
記録ヘッド4a,4bやインク補充容器34a,34bの環境温度が低い場合は、ペルチェ素子33a〜33iのa面の温度を高めるように該ペルチェ素子33a〜33iに電流を流して記録ヘッド4a,4bやインク補充容器34a,34bの中の液体インクの温度を上昇させ、逆に記録ヘッド4a,4bやインク補充容器34a,34bの環境温度が高い場合は、ペルチェ素子33a〜33iのa面の温度を下げるように該ペルチェ素子ペルチェ素子33a〜33iに電流を流して記録ヘッド4a,4bやインク補充容器34a,34bの中の液体インクの温度を低下させることができる。
【0089】
適温範囲内では、ペルチェ素子33a〜33iに印加する電圧をゼロにして温度調節(加熱または冷却)を停止する。
【0090】
以上のようにして記録ヘッド4a,4bやインク補充容器34a,34b(の液体インク)の温度を調節することにより、液体インクが凍結してインク液滴の吐出が停止する恐れがなく、また、液体インクの温度が高くなり過ぎて表面張力が下がってインク圧力室内に空気を取り込んでインク液滴の吐出が停止することがないので、記録画像に欠陥が発生することがない。
【0091】
また、適温範囲内における温度変化によって液体インクの温度が変化することによる該液体インクの粘度の変化に基づくインク液滴の吐出特性の変化は、圧電素子群106に印加する記録電圧(駆動力)を調節することによって補償する。
【0092】
液体インクの温度調節方法は、環境温度を検出してその結果に応じた電圧をペルチェ素子33a〜33iに印加する方法であるが、省電力化やペルチェ素子の長寿命化を図る例を以下に説明する。
【0093】
記録ヘッド4a,4bやインク補充容器34a,34bの中の液体インクの温度変化は、環境温度の変化に対して時間遅れがある。この時間遅れを考慮した制御を行うために、環境温度変化に対する液体温度変化の温度履歴を設計時に予め測定して記憶しておき、検出した環境温度に基づいて液体インクの実際の温度が調節すべき温度に達することを予測して、そのときにペルチェ素子33a〜33iに電圧を印加するように構成する。具体的には、温度履歴情報と制御情報をメモリ202に記憶させておき、CPU201によって、サーミスタ36,37から出力される環境温度に基づいて温度履歴情報を参照して制御情報を読み出してペルチェ素子33a〜33iに電圧を印加する制御処理を実行する。
【0094】
図19は、サーミスタ36,37によって検出する環境温度とペルチェ素子33a〜33iに印加する電圧の関係を設定した温度履歴情報と制御情報を記述したデータテーブルの一例である。このデータテーブルでは、検出温度と継続時間が温度履歴情報に相当し、印加電圧が制御情報に相当する。環境温度が低温の範囲は、7段階(a1〜a7)に設定し、高温の範囲には、4段階(b1〜b4)に設定している。なお、電圧の正負は、図15で示した例と同一である。
【0095】
図19において、段階a1は、記録ヘッド4a,4bやインク補充容器34a,34bの環境温度が4時間以上にわたって5℃を下回ったならば、ペルチェ素子33a〜33iに−0.4Vの電圧を印加する制御内容である。なお、環境温度変化の状態によっては、印加電圧の絶対値が小さい条件を満たす前に、印加電圧の絶対値が大きい条件を満たす場合もあり得るが、図19に示した基準で電圧を印加する。
【0096】
以下、同様にして、環境温度とその継続時間によって、相応する大きさ電圧をペルチェ素子33a〜33iに印加する制御を行う情報である。
【0097】
このようにペルチェ素子33a〜33iに印加する電圧を制御することにより、インクジェット記録装置の省電力化を図ることができると共に、ペルチェ素子33a〜33iに電圧を印加する時間を減少して素子の長寿命化を図ることができる。
【0098】
図20は、ペルチェ素子33a〜33iに電圧を印加する他の制御方法に使用する温度履歴情報と制御情報を記述したデータテーブルを示している。このデータテーブルでは、検出温度と継続時間が温度履歴情報に相当し、印加電圧とオン時間が制御情報に相当する。この制御方法は、ペルチェ素子33a〜33iに印加する電圧の大きさを一定として、5分の周期で電圧のオンオフを行う構成である。図20に記述した「オン時間」は、周期5分の間に電圧を印加する時間を示している。
【0099】
このような制御においても、インクジェット記録装置の省電力化を図ることができると共に、ペルチェ素子33a〜33iに電圧を印加する時間を減少させて素子の長寿命化を図ることができる。
【0100】
この実施の形態における自動現金取り扱い機のインクジェット記録装置は、記録ヘッド収容部11と清掃部10が非記録領域に存在する。自動現金取り扱い機が休止状態にあるとき、インクジェット記録装置は、図2に示す状態になっている。この状態で検出される環境温度が液体インクの温度を調節すべき温度の場合には、ペルチェ素子33a〜33iに電圧を印加する。
【0101】
そして、自動現金取り扱い機21に電源が入って動作可能状態になったときは、サーミスタ36,37で検出される環境温度に基づいて、液体インクの温度を調節することが必要な場合には、記録ヘッド4a,4bを記録ヘッド収容部11内に収容するようにキャリア5を移動させ、ペルチェ素子33a〜33iに電流を流して液体インクの温度を調節する。なお、検出される環境温度が、−10℃以下であったり、+55℃以上であるような許容温度範囲外である場合は、記録機能を失う恐れがあるので、操作パネル22に準備中(現金取り扱い不可能)である旨を表示する。
【0102】
図10は、インクジェット記録装置の変形例を示す外観斜視図である。子の変形例におけるインクジェット記録装置は、清掃部10が記録ヘッド収容部11の下側に重なるように位置している。その他の構成は、前述した実施の形態と同様である。
【0103】
このようなインクジェット記録装置によれば、記録ヘッド4a,4bのノズル部4c,4dの清掃と記録ヘッド4a,4b内の液体インクの温度調節を同位置で行うことができる。
【0104】
また、インクジェット記録装置は、更に、次のように変形することもできる。すなわち、記録ヘッド収容部11が清掃部10の外側に位置するようにこれらを隣接状態に並べて設置し、自動現金取り扱い機21が休止状態にあるときには記録ヘッド4a,4bを清掃部10の上に停止させておき、検出される環境温度が液体インクの温度を調節すべき温度の場合は、記録ヘッド4a,4bを記録ヘッド収容部11内に移動し、または、記録ヘッド収容部11を清掃部10の位置に移動させて記録ヘッド4a,4bを収容するように変形することも可能である。
【0105】
記録ヘッド収容部11を移動するように変形する場合には、これを清掃部10の上方に移動して退避させる構成とすることもできる。
【0106】
なお、使用する液体インクが水性液体インクである場合について説明したが、油性液体インクであっても調節すべき温度が若干変わる程度であり、温度調節のための制御方法は前述した実施の形態と同様にして行うことができる。
【0107】
【発明の効果】
本発明は、記録ヘッドから離れた位置に設置したインク補充容器から液体インクをインク補給チューブを介して前記記録ヘッドに供給すると共に記録ヘッドを移動させながら記録を行う形態のインクジェット記録装置において、記録媒体搬送位置から記録ヘッドを退避させる位置に設けた記録ヘッド収容部とインク補充容器を収納するインク補充容器収容部とインク補給チューブを断熱構造に構成すると共に前記記録ヘッド収容部とインク補充容器収容部に発熱手段を設けたことにより、移動させる記録ヘッド部分の重量を増加させることなく液体インクの温度を所定の範囲内に維持して欠陥のない高画質の画像記録を可能にすることができる。
【0108】
また、本発明は、記録ヘッドから離れた位置に設置したインク補充容器から液体インクをインク補給チューブを介して前記記録ヘッドに供給すると共に記録ヘッドを移動させながら記録を行う形態であって、広範囲な使用環境温度において使用されるインクジェット記録装置および該インクジェット記録装置を使用した現金取り扱い装置において、記録ヘッドとインク補充容器が位置の環境温度を検出し、環境温度に応じて前記発熱手段に印加する電圧を制御するようにしたので、移動させる記録ヘッド部分の重量を増加させることなく液体インクの温度を所定の範囲内に維持して欠陥のない高画質の画像記録を可能にすることができ、更に、液体インクの温度を所定の範囲内に維持する温度調節の省電力化と発熱手段の長寿命化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すインクジェット記録装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置における記録ヘッドが記録ヘッド収容部に収容された状態を示す外観斜視図である。
【図3】本発明のの実施の形態におけるインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル部の縦断側面図である。
【図4】自動現金取り扱い機に内蔵したインクジェット記録装置における記録ヘッドとインク補充容器の位置関係を示す斜視図である。
【図5】自動現金取り扱い機の外観斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態における記録ヘッド収容部の外観斜視図である。
【図7】ペルチェ素子の外観を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるインク補充容器収容部の外観斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるインク補充容器の外観斜視図である。
【図10】本発明のインクジェット記録装置の変形例を示す外観斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態における自動現金取り扱い機の制御系のブロック図である。
【図12】図11に示した制御系におけるCPUが実行する制御処理のフローチャートである。
【図13】ペルチェ素子に印加する電圧と表面温度との関係を示す特性図である。
【図14】ペルチェ素子に印加する電圧と表面温度との関係を示す特性図である。
【図15】環境温度とペルチェ素子に印加する電圧との関係の一例を示す特性図である。
【図16】液体インクの温度と粘度との関係を示す特性図である。
【図17】液体インクの温度と記録画像濃度との関係を示す特性図である。
【図18】液体インクの温度と表面張力との関係を示す特性図である。
【図19】環境温度とペルチェ素子に印加する電圧との関係の一例を示すデータテーブルである。
【図20】環境温度とペルチェ素子に印加する電圧との関係の他の例を示すデータテーブルである。
【符号の説明】
1…筐体、3…記録媒体搬送装置、4a,4b…記録ヘッド、4c,4d…ノズル部、4e,4f…インクタンク部、5…キャリア、7…インク補給チューブ、8…コントローラ、9…フレキシブルケーブル、10…清掃部、11…記録ヘッド収容部、21…自動現金取り扱い機、33a〜33i…ペルチェ素子、34a,34b…インク補充容器、35…インク補充容器収容部、101…ノズル穴、102…インク圧力室、103…インク通路、104…インク室、106…圧電素子群、111…ノズルプレート。
Claims (6)
- 記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置と、画像記録信号に応じてノズル部から液体インクを吐出させて記録媒体に向けて飛翔させる記録ヘッドと、前記記録記録ヘッドを載せて前記記録媒体搬送装置を横切るように移動するキャリアと、前記記録ヘッドとインク補給チューブによってつながれたインク補給容器と、記録媒体搬送位置から記録ヘッドを退避させる位置に設けた記録ヘッド収容部と、前記記録ヘッドのノズル部を清掃する清掃部を備えたインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッド収容部と前記インク補充容器を収納するインク補充容器収容部と前記インク補給チューブを断熱構造に構成すると共に前記記録ヘッド収容部とインク補充容器収容部に発熱手段を設けたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1において、記録ヘッドとインク補充容器が位置の環境温度を検出する環境温度検出手段と、この環境温度検出手段による環境温度検出結果に基づいて前記発熱手段に印加する電圧を制御する制御装置を設けたことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項2において、前記制御装置は、前記記録ヘッドとインク補充容器収容部が位置する環境の温度の履歴情報を参照して前記発熱手段に印加する電圧の大きさを変化させることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項2において、前記制御装置は、前記記録ヘッドとインク補充容器収容部が位置する環境の温度の履歴情報を参照して前記発熱手段に印加する電圧の印加時間を変化させることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1〜4の1項において、前記記録ヘッド収容部の下方の位置に前記清掃部を設けたことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1〜5の1項に記載したインクジェット記録装置を用いた現金取り扱い装置において、
前記インク補充容器を前記記録ヘッドよりも下方で、かつ、現金取り扱い装置の背面側に位置させて設置したことを特徴とする現金取り扱い装置。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090310 |