JP2004258024A - 皮膚糸状菌の検出方法、検出用試薬および抗原性賦活化方法 - Google Patents
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Abstract
で、本方法を用い皮膚糸状菌の新規な診断・同定手段を提供することができる。
【解決手段】 以下に示す皮膚糸状菌3種以上と反応性を有する抗体を使用する
ことを特徴とする皮膚糸状菌の検出方法。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum
Description
簡易に水虫かそれ以外の疾患かを区別できる方法が望まれるが、白癬は上述のように皮膚科領域で非常に患者の多い病気にも関わらず、白癬原因菌の簡易検出によい方法はない。従来から行われている水酸化カリウム溶液により患者皮膚より採取した角化層を溶解させ、顕微鏡下で菌糸を確認する方法は顕微鏡と加熱用アルコールランプが備えた施設であれば検査できる方法であるが、熟練を必要とし、時として菌糸と塵との鑑別を見誤ると鏡検で菌を見逃すこともある。また培養検査法は見逃しの少ない方法であるが結果が得られるまで1週間乃至4週間かかるのが難点である。水虫の検出法として特開2001−187750に硫酸銅溶液を用い水虫菌感染部位検知方法が記載されているが、我々が検討した範囲では爪白癬では健常者と有意差は認められなかった。
本発明の課題は、短時間、高感度、簡易な皮膚糸状菌の検出手段を提供することにある。
(1)以下に示す皮膚糸状菌3種以上と反応性を有する抗体を使用することを特徴とする皮膚糸状菌の検出方法。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum
(2)以下に示す皮膚糸状菌4種と反応性を有する抗体を使用することを特徴とする皮膚糸状菌の検出方法。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum
(3)使用する抗体が1種類の抗皮膚糸状菌モノクローナル抗体あるいは同一の抗原認識部位を有する2種類以上の抗皮膚糸状菌モノクローナル抗体の組み合わせであることを特徴とする上記(1)または(2)記載の皮膚糸状菌の検出方法。
(4)抗体が受託番号FERM P−19057として寄託されたハイブリドーマが産生する抗体であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の皮膚糸状菌の検出方法。
(5)以下に示す皮膚糸状菌3種以上と反応性を有する抗体を使用することを特徴とする皮膚糸状菌の検出用試薬。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum
(6)以下に示す皮膚糸状菌4種と反応性を有する抗体を使用することを特徴とする上記(5)記載の皮膚糸状菌の検出用試薬。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum
(7)使用する抗体が1種類の抗皮膚糸状菌モノクローナル抗体あるいは同一の抗原認識部位を有する2種類以上の抗皮膚糸状菌モノクローナル抗体の組み合わせであることを特徴とする上記(5)または(6)記載の皮膚糸状菌の検出用試薬。
(8)抗体が受託番号FERM P−19057として寄託されたハイブリドーマが産生する抗体であることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれかに記載の皮膚糸状菌の検出用試薬。
(9)抗体を用いた皮膚糸状菌検出において予め試料を酵素処理あるいは加熱処理することを特徴とする抗原性の賦活化方法。
(10)抗体が受託番号FERM P−19057として寄託されたハイブリドーマが産生する抗体であることを特徴とする上記(9)記載の抗原性の賦活化方法。
(11)皮膚糸状菌検出方法が免疫染色法であることを特徴とする上記(9)または(10)のいずれかに記載の抗原性の賦活化方法。
また本発明の皮膚糸状菌の検出方法は多種に渡る白癬起因菌に広く特異性を有するため、抗体に結合する物質の有無を検出するだけで菌検出が可能となる。形態確認のためコロニー形成まで数週間かかっていた分離培養検査に比べ、短時間な検出が可能となる。
さらに本発明の皮膚糸状菌の検出方法は菌特異的な可視化検出を可能とする。また本発明の抗原性賦活化方法は、より明瞭なシグナルとして菌の存在を増強して検出することを可能とする。白癬起因菌の皮膚への感染過程や感染予防法の研究、ヒトのみならず動物の白癬診断や居住環境や衣料品中の皮膚糸状菌検出に有用な方法を提供する。
また検出・分離方法に使用する抗体は上述のハイブリドーマで発現している抗体をコードする遺伝子あるいは遺伝子断片を公知の技術で取得し、該抗体遺伝子あるいは遺伝子断片から結合活性を有する蛋白部分をコードするメッセンジャーRNAを公知の方法で合成し公知の無細胞蛋白合成方法により抗体生産することもできる。抗体生産により該抗体を含んだ蛋白合成反応液が得られる。必要に応じて該抗体を含んだ蛋白合成反応液は公知の抗体精製方法でより純度の高いモノクローナル抗体を得ることができる。
これら担体に抗体を結合させた後非特異的な蛋白吸着を抑える目的で他の蛋白・界面活性剤やポリマー・血清などの含む溶液を固相に接触させるブロッキング工程を実施してもよい。ブロッキングに使用する蛋白質として、例えば牛血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン、オボアルブミンが挙げられ、0.1乃至10%溶液を調製し使用することができる。ブロッキングに使用する界面活性剤やポリマーとして、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(TWEEN20)、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、0.01乃至0.5%溶液を調製し使用することができる。ブロッキングに使用する血清として、例えば牛胎児血清、新生牛血清、ウマ血清、ヤギ血清、ウサギ血清、ラット血清、モルモット血清、ブタ血清、マウス血清が挙げられ、0.5%乃至100%溶液を使用することができる。
分離後に引き続く検出は公知の検出方法を用いることができ、例えば培養試験、イムノアッセイ、菌核酸検出、菌核酸の増幅および配列決定による同定が挙げられる。検出手段として例えば公知の分離培地培養方法にて培養し、形成する菌コロニーの存在・形態あるいは菌の代謝産物を検知することにより試料中の皮膚糸状菌存在を検出することができる。菌の存在や形態を観察する方法として例えば目視や顕微鏡観察により判定することができる。あるいはCCDカメラなどデジタル画像採取装置により培養像を採取し、公知の数値処理により判定することもできる。検出手段としてまた例えば特開平11−142409に記載されている方法が使用できる。分離された菌を直接あるいは該分離菌を公知の培養方法で培養増菌した試料から核酸抽出を用い、該核酸抽出試料中に公知の皮膚糸状菌核酸配列を有する核酸部分を公知の核酸増幅法により増幅し、有無を検出あるいは増幅した核酸断片の核酸配列を解析し公知のデータベースと照合して核酸配列の相同性から皮膚糸状菌を同定検出することもできる。これら分離培養に使用する培地は培養中に試料由来皮膚糸状菌以外の菌が増殖することがないことが望まれ、例えば予め公知の滅菌あるいは無菌処理を行った後培地を使用することが望ましい。さらに好ましくは分離培養に使用する培地に分離に適切な、より具体的には皮膚糸状菌の増殖には影響しないが細菌の生育は阻害することが知られている、公知の抗生物質・抗菌剤を適切な濃度で添加した培地を用いる。抗生物質は例えばクロラムフェニコール、シクロヘキシミド、クロルテトラサイクリン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、ペニシリンなどが挙げられる。抗菌剤は例えばイソチアゾリン化合物が挙げられる。抗生物質・抗菌剤は必要に応じ1種類あるいは2種類以上培地に添加することができる。添加量は公知のバクテリア最小生育阻止濃度を参考に設定することができ、最小阻止濃度の1/5乃至10倍の範囲で薬剤溶解性や薬剤安定性を考慮し設定することが好ましい。またこれら分離に使用する抗体固定化担体や分離後の担体洗浄に使用する緩衝液、抗体は滅菌処理または無菌処理を行ったものを使用することが望ましい。滅菌方法は抗体や担体を変性劣化あるいはその量を減少させない方法であれば公知の方法が使用できる。担体であればγ線滅菌、電子線滅菌などが好ましい。緩衝液であればフィルターろ過かオートクレーブにより微生物を除去後使用することが好ましい。
実施例1:免疫染色法による皮膚糸状菌の検出
(1)皮膚糸状菌の培養:財団法人発酵研究所より分与された皮膚糸状菌Trichophyton rubrum(IFO番号9185、32409)、Trichophyton mentagrophytes(IFO番号6202、32410)、Microsporum canis(IFO番号32463)、Epidermophyton floccosum(IFO番号32461)は所定の方法でアンプルから復元し、サブローデキストロース寒天スラント(ベクトンディキンソン社)に接種し、室温で1週間培養した。
(2)抗原溶液の調製:Trichophyton rubrumアレルゲン(20000PNU/ml:1PNU(PROTEIN NITROGEN UNIT)は1.0x10−6gのリンタングステン酸沈殿物を生ずるタンパク性窒素を示す。GREER LABORATORIES,INC社)をリン酸緩衝生理食塩水(以下 PBS(−))にて希釈し、10000PNU/ml抗原液(以下抗原液H)とと1000PNU/ml抗原液(以下抗原液L)を2種調製した。
(3)マウスの免疫:フロインド完全アジュバンド500μLに上記2種の抗原液それぞれで500μLを混合・エマルジョンとし、各エマルジョンを200μL/匹でBALB/cA ♀5週令2匹づつ計4匹腹腔に注射した。(この日を0日目とする。)14日目、21日目、28日目に上述と同様に各抗原液400μLとフロイント不完全アジュバンド400μLを混合・エマルジョンとし、そのうちの100μLをマウス腹腔に注射した。
(4)マウス血清の取得:32日目に生存していたマウス(抗原液Hで調製したエマルジョンを腹腔注射したマウス個体1匹(H−#1)、抗原液Lから調製したエマルジョンを腹腔注射したマウス個体2匹(L−#1、L−#2))から尾より血液を採取した。血液は室温30分放置後、凝固した血餅を3000RPM10分の遠心操作により分離し、血清を取得した。
(5)ELISAによる血清抗体価の確認:採取した血清はPBS(−)で1000倍希釈から128000倍希釈まで希釈を行い、試料として用いた。Trichophyton rubrumアレルゲンをPBS(−)で200PNU/mlとなるよう希釈し、96穴ELISAプレート(#9018 コーニング社)の各ウエルにに50μLづつ分注、室温1時間放置し、プレートに抗原を固相化した。ウエル内の液体を除去後、次いで蒸留水で4倍に希釈したブロックエース(雪印乳業)を300μLづつ各ウェルに分注し、室温1時間放置し、ブロッキングを行った。ウエル内の液体を除去し、次いで0.05%(w/v)TWEEN20含有PBS(以下 洗浄液)300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、試料を50μLづつウェルに分注し固相抗原と1時間室温で反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで2000倍に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン ウサギ抗体(DAKO社)を50μLづつウェルに分注し室温1時間反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、3,3‘−5,5’−テトラメチルベンジジン(以下TMB)を含む西洋わさびペルオキシダーゼ基質液TMB+(DAKO社)を各ウエル50μLづつ分注し、室温遮光下反応させた。反応10分後1N硫酸を各ウエル50μLづつ分注し、酵素反応を止め、主波長450nm副波長650nmで各ウエルの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定を行った。対照として抗原を固相化していないプレートでも、ブロッキング以下同様の操作を実施した。測定した吸光度を表1に示す。
(6)細胞融合:骨髄腫細胞Sp2/0−Ag14を10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地(極東製薬)で37℃5%炭酸ガス濃度下で培養、継代した。58日目に個体H−#1から無菌的に脾臓を摘出し、e−RDF培地中で臓器をよく洗浄した。20mlのe−RDF培地を入れた10cmφシャーレ中に脾臓を入れ,クリーンベンチ内で滅菌ピンセットで脾臓に端を固定したまま22ゲージ注射針先端で切りこみを入れ、さらにしごくように脾臓から脾臓細胞を無菌的に押しだし、さらにピペット操作により細胞塊をよくほぐした。セルストレイナーを上部に装着した50ml遠心管に細胞縣濁液を移し、引き続いて200xg 10分遠心分離を行い、上清を廃棄した。20ml e−RDF培地を添加しピペット操作により沈降した細胞を縣濁させ、さらにもう1回遠心分離、上清廃棄、培地での細胞縣濁を実施した。血球計算盤にて細胞数をカウントしたところ、1.1x108個であった。得られた脾臓細胞の1/10量にあたる1.1x107個の骨髄腫細胞Sp2/0−Ag14を添加するため、e−RDF培地で細胞を洗浄した。すなわち10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地(極東製薬)で培養した7x105/mlのSp2/0−Ag14細胞培養液20mlを150xg 5分遠心分離により細胞のみを分離し、上清を廃棄し、e−RDF培地20mlを加え、ピペット操作で細胞を縣濁し、さらに遠心分離、上清廃棄、培地での細胞縣濁の操作を2回繰り返し、最終的にe−RDF培地に縣濁されたSp2/0−Ag14を得た。1.1x107個のSp2/0−Ag14を脾臓細胞の入った50mlの遠心管に添加しピペット操作でよく混合した後、200xg 10分遠心分離を行った。上清廃棄後チューブごとタッピングして細胞塊をほぐした後、37℃環境下で50%ポリエチレングリコール1500液(ロシュ社)を1ml添加し細胞と混合、次いでe−RDF培地を1ml、3ml、10mlの順に添加した。150xg 5分遠心分離後、そのまま37℃で5分間放置し、その後上清を廃棄した。パスツールピペットを使って選択培養培地(100xHATサプリメント(GIBCO社)1/100容とCondimedH1(ロシュ社)1/10容、牛胎児血清1/10容を含むe−RDF培地)192mlに細胞全量を縣濁し、ふたつき96穴浮遊細胞培養用プレート(住友ベークライト社製)10枚に200μLづつ各ウェルに無菌的に分注した。37℃5%炭酸ガス条件下で9日間HAT選択培養を行った。
(7)抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング:選択培養後の各ウェル培養上清50μLをPBS(−)200μLで希釈し、試料として用いた。Trichophyton rubrumアレルゲンをPBS(−)で200PNU/mlとなるよう希釈し、96穴ELISAプレート(#9018 コーニング社)の各ウエルにに50μLづつ分注、室温1時間放置し、プレートに抗原を固相化した。またTrichiphyton mentagrophytesアレルゲン(20000PNU/ml :GREER LABORATORIES,INC社)についてもPBS(−)で200PNU/mlとなるよう希釈し、96穴ELISAプレート(#9018 コーニング社)の各ウエルにに50μLづつ分注、室温1時間放置し、プレートに抗原を固相化した。ウェル内の液体を除去後、次いで蒸留水で4倍に希釈したブロックエース(雪印乳業)を300μLづつ各ウェルに分注し、室温1時間放置し、ブロッキングを行った。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、試料を50μLづつウェルに分注し固相抗原と1時間室温で反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで2000倍に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン ウサギ抗体(DAKO社)を50μLづつウェルに分注し室温1時間反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、TMBを含む西洋わさびペルオキシダーゼ基質液TMB+(DAKO社)を各ウエル50μLづつ分注し、室温遮光下反応させた。反応10分後1N硫酸を各ウエル50μLづつ分注し、酵素反応を止め、主波長450nm副波長650nmで各ウエルの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定を行った。対照として抗原を固相化していないプレートでも、ブロッキング以下同様の操作を実施した。960ウェルの培養上清希釈液を測定し、5ウェルで抗原固相との反応性が認められた。表2にELISAでの吸光度を示す。
ハイブリドーマのクローニング:限界希釈法によりクローニングを実施した。すなわちスクリーニングで選抜した各選択培養ウェルの細胞を100個となるよう無菌的にサンプリングし、それぞれクローニング培地(CondimedH1(ロシュ社)1/10容、牛胎児血清1/10容を含むe−RDF培地)20mlに対し、最終5個/mlになるよう縣濁し、ふたつき96穴浮遊細胞培養用プレート(住友ベークライト社製)各1枚96ウェルに200μLづつ無菌的に分注した。37℃5%炭酸ガス条件下で10日間培養を行った。各ウェルのクローニング培養後上清50μLをサンプリングし、PBS(−)200μLで希釈しELISA試料とし、1次スクリーニングと同様にTrichophyton rubrumアレルゲン、Trichiphyton mentagrophytesアレルゲン、固相抗原なしの3種の固相を用い、ELISAを実施し、T.rubrum抗原、T.Mentagrophytes抗原ともに反応性が認められた培養上清をサンプリングしたウェルから各1ウェル選抜し1次クローニング後のハイブリドーマ細胞を得た。ひきつづき同様の方法を繰り返し、二次クローニング、三次クローニングを実施し、最終的に抗体産生ハイブリドーマ0011,0014を得た。なお、ハイブリドーマ0014は独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM P−19057として寄託されている。
(8)得られたハイブリドーマは10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地中で37℃5%炭酸ガス濃度下で培養、継代し、得られた細胞は最終10%(v/v)ジメチルスルホキシドと10%(v/v)牛胎児血清を添加したe−RDF培地1mlに5x106個を無菌的に縣濁し、2mlセラムチューブ(住友ベークライト)中で、氷中5分、−20℃50分、−80℃12時間保存し、最後に液体窒素中で保存した。
(9)各ハイブリドーマ培養上清の調製:液体窒素中で凍結保存されていたハイブリドーマ0011、0014の入ったチューブは−80℃1時間保存後、37℃の温湯中ですばやく融解させた。それぞれ10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地10mlの入った遠心管中に全量入れ、ピペット操作で細胞縣濁した。150xg 5分遠心し、上清を廃棄後、5mlの10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地にピペット操作で細胞を浮遊させ、底面積25cm2浮遊細胞培養用フラスコにそれぞれ播種した。37℃5%炭酸ガス濃度下で培養し2継代した後、培地15mlで細胞浮遊させ底面積75cm2浮遊細胞培養用フラスコで7日間培養を行い抗体を培地中に十分分泌させた。培養により得られた細胞培養液を50ml遠心管に移し700xg 10分遠心分離し、ハイブリドーマ培養上清を得た。5%(w/v)アジ化ナトリウム水溶液を各培養上清の1/100容添加し、0.22μmフィルターでろ過後、γ線滅菌されたポリプロピレン製チューブに分注し、−20℃で凍結保存した。
(10)モノクローナル抗体のサブタイピング:市販のイムノクロマト法を使ったサブタイピング試薬(イソストリップ:ロシュ社)を使い、PBS(−)で10倍希釈した培養上清希釈液150μLを試料として分析した。ハイブリドーマ0011の培養上清に含まれるモノクローナル抗体のサブタイプはIgM κ、ハイブリドーマ0014の培養上清に含まれるモノクローナル抗体のサブタイプはIgG1 κであった。
(11)二次スクリーニングに使用する皮膚糸状菌ホルマリン標本・塗沫標本の調製:皮膚糸状菌ホルマリン標本は以下のように調製した。サブローデキストロース寒天スラント上に増生した各種皮膚糸状菌の菌塊をそれぞれ培地と一緒に中性緩衝10%ホルマリン溶液で1日固定後、アルコール70%、80%、90%、100%、100%、100%、100%アルコール槽へ各2時間ずつ浸漬して脱水し、次にキシレン槽3槽に各2時間で浸漬し透徹を行った。次いでパラフィン槽4槽各2時間浸漬しパラフィンを浸透させ、さらに溶解したパラフィンをいれた包埋皿に菌と培地の塊を入れてパラフィンの固化を待ち、パラフィンブロックを作製した。次いで4μmに薄切して、スライドグラス上に皮膚糸状菌ホルマリン固定パラフィン標本を作成した。
塗沫標本は以下のように調製した。滅菌生理的食塩水で少し濡らした清潔な綿棒でサブローデキストロース寒天スラント上に増生した各種皮膚糸状菌を擦り取るように採取し、スライドグラスに押しつけ、搾り出すように綿による摩擦面を転がす要領で塗沫し、すぐに95%エタノール液中で30分固定することにより作成した。
(12)免疫染色によるモノクローナル抗体の二次スクリーニング:皮膚糸状菌のホルマリン固定パラフィン標本はあらかじめ脱パラフィン操作を実施し、免疫染色を実施した。0.3%過酸化水素加メタノールに30分浸漬し、水洗した後に10%(v/v)正常ウサギ血清を添加したPBSを切片上に滴下し、室温で30分置いた。PBSで洗浄後、ハイブリドーマ培養上清0011、0014はPBSで50倍希釈し、室温湿室内で1時間反応させた。PBS洗浄後、ENVISION+(ダコ社)を標本上に滴下し、室温湿室内で1時間反応させた。PBSで洗浄後、0.02%(w/v)3,3‘−ジアミノベンジジン(以下 DAB)と0.003%(w/v)過酸化水素を含むPBS中でときどき鏡検しながらおよそ5分発色させた。水洗後、エタノールにて脱水、キシレン透徹を順に実施し、嫌水性封入剤(ビオライト)を用いて封入を行った。鏡検は10x20倍と10x40倍で観察し、茶褐色か黄褐色に染色された部位が確認できた場合を陽性、わずかに染まったものを弱陽性、染色を確認できなかった場合を陰性と判定した。表3、表4に判定結果を示す。
実施例2:ELISAプレートに固定化した過ヨウ素酸処理Trichophyton rubrumアレルゲンおよびTrichiphyton mentagrophytesアレルゲンのモノクローナル抗体を用いた検出
上記実施例1(6)「抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング」で用いたものと同じTrichophyton rubrumアレルゲン吸着EIA用プレートまたはTrichiphyton mentagrophytesアレルゲン吸着EIA用プレートのウェルに、0.05Mメタ過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を50μl加え、4℃で一晩反応させ、抗原に含まれる糖を酸化した。PBSで洗浄し、蒸留水で4倍希釈したブロックエースを加え室温で1時間ブロッキングを行ったのち、前記実施例1(6)「抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング」に述べた方法と同様にして各モノクローナル抗体含有培養上清の結合性を調べた(図1、図2)。その結果、抗原未処理ではいずれのクローンでもELISAプレート固定化アレルゲンの検出が可能であったが、抗原を過ヨウ素酸処理するとモノクローナル抗体0011では、抗原を過ヨウ酸処理しても結合性が低下することは無く検出可能であったが、モノクローナル抗体 0014では結合性が低下し検出力が低下した。
前記実施例1(6)「抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング」に述べた方法と同じTrichophyton rubrumアレルゲンまたはTrichiphyton mentagrophytesアレルゲンのウェルに100μg/mlのプロナーゼ(Pronase カルビオケム社、71000PUK/g、PBSで希釈)を50μl加え、37℃で2時間反応させ、抗原のタンパク質を分解した。PBSで洗浄し、蒸留水で4倍希釈したブロックエースを加え室温で1時間ブロッキングを行ったのち、前記実施例1(6)「抗体産生ハイブリドーマのELISAによる一次スクリーニング」に述べた方法に述べた方法と同様にして、各モノクローナル抗体含有培養上清の結合性を調べた(図3、図4)。その結果、モノクローナル抗体0011、0014ともに抗原のプロナーゼ処理によって結合性に変化はなく、ELISAプレート固定アレルゲンを検出することができた。
(1)菌試料の調製:皮膚糸状菌Trichophyton rubrum(T.r.と略記 IFO番号9185、32409)、Trichophyton mentagrophytes(T.m.と略記 IFO番号6202、32410)、Microsporum canis(M.c.と略記 IFO番号32463)、Epidermophyton floccosum(E.f.と略記 IFO番号32461)、Candida Albicans(C.a.と略記 ATCC番号90028)所定の方法でアンプルから復元し、サブローデキストロース寒天スラント(ベクトンディキンソン社)に接種し、室温で1週間培養した。またEscherichia coli(E.c.と略記 IFO番号13500)、Streptococcus faecalis(S.f.と略記 IFO番号12968)、Bacillus subtilis(B.s.と略記 IFO番号3026)は所定の方法でL−乾燥アンプルより復元し、LB寒天培地シャーレ(ポリペプトン10g酵母エキス5g塩化ナトリウム10g寒天末15gを1Lの精製水にて溶解後高圧滅菌し、10cmφ滅菌シャーレに無菌的に分注しゲル化させたもの)上で30℃1日間培養した。
得られた菌はそれぞれ滅菌された10μLディスポーザブルループで一掻き分採取し、蒸留水で10倍希釈したブロックエース(雪印乳業)5mlに十分縣濁し、さらに本菌縣濁液をそれぞれ5、25、125、625倍希釈したものをEIA試料として用いた。またT.rubrumアレルゲンを100PNU/mlになるよう同様に希釈した5、25、125、625倍希釈した試料も併せて用いた。
(2)0014培養上清の調製:液体窒素中で凍結保存されていたハイブリドーマ0014の入ったチューブは−80℃1時間保存後、37℃の温湯中ですばやく融解させた。それぞれ10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地10mlの入った遠心管中に全量入れ、ピペット操作で細胞縣濁した。150xg 5分遠心し、上清を廃棄後、5mlの10%(v/v)牛胎児血清を含むe−RDF培地にピペット操作で細胞を浮遊させ、底面積25cm2浮遊細胞培養用フラスコにそれぞれ播種し37℃5%炭酸ガス濃度下で培養した。2継代同培地で培養後、L―グルタミン1.17g/Lを含むCD−Hybridoma Medium(インビトロジェン社)に培地を代えて馴化を行い、さらに3継代同培地で培養した。その後培地15mlで細胞浮遊させ底面積75cm2浮遊細胞培養用フラスコに継代培養し、次いで培地45mlで細胞浮遊させ底面積225cm2浮遊細胞培養用フラスコに継代培養し、最終培地200mlで細胞浮遊させ底面積225cm2浮遊細胞培養用フラスコ4個で7日間培養を行い抗体を培地中に十分分泌させた。培養により得られた細胞培養液を50ml遠心管4本に移し700xg 10分遠心分離し、ハイブリドーマ培養上清200mlを得た。
(3)0014精製抗体の調製:得られた培養上清はNaCl 35gと1M ホウ酸緩衝液 pH9を10ml加えて溶解混合し、0.8μmのフィルターろ過を行った。あらかじめ3M NaClを含む50mMホウ酸緩衝液(pH9:以下 結合緩衝液)で平衡化されたrProteinAセファロースFastFlow(アマシャムバイオシステムズ社製)をカラムに1ml充填し、培養上清全量を流速1ml/分でカラムに通液した。次いで5mlの結合緩衝液でカラム洗浄後、0.1Mクエン酸緩衝液(pH3)を同流速で通液してカラムより抗体を溶出させ、抗体を含む溶出液2mlを得た。ただちに1M トリス緩衝液(pH9) 0.4mlを加え、0.05%(w/v)アジ化ナトリウムを含むPBS 1Lに対して透析を実施した。OD280nmの吸収により蛋白量を算出した結果、得られた0014精製抗体は7.2mgであった。
(4)精製抗体の電気泳動分析:5%SDSおよび25%(v/v)グリセロールを含む0.156Mトリス−塩酸緩衝液(pH6.8)10容に2−メルカプトエタノール1容0.1%(w/v)ブロムフェノールブルー水溶液を1容加えてサンプル電気泳動用緩衝液とした。精製抗体1μlに精製水9μLとサンプル電気泳動用緩衝液10μL加え、95℃で5分処理した後、10−20%のポリアクリルアミドグラジエンドゲル中で電気泳動した。電気泳動後のゲルはクマジー染色を行ってゲル中の蛋白を可視化した。その結果、抗体の重鎖と軽鎖に相当するバンドのみが観察され、不純物に起因する他のバンドは含んでいないことが分かった。
(5)ビオチン化0014抗体の調製:2.8mg/mlの抗体液0.5mlに1M 炭酸水素ナトリウム溶液50μLを加え混合後、次いで蒸留水にて6.7mg/100μL濃度に溶解したBiotin−XX−Sulfosuccinimidyl ester(同仁化学)を1.5μL添加し、緩やかに攪拌しながら室温で4時間反応させた。あらかじめPBSにて平衡化しておいたNAP−5カラム(アマシャムバイオサイエンス社)に全量載せ、PBS1mlで試料を溶出させ、ビオチン化0014抗体1.2mgを得た。
(6)サンドイッチEIAによる菌縣濁試料の測定:0014精製抗体は50mM 炭酸緩衝液(pH9.6)で10μg/mlになるよう希釈し、96穴ELISAプレート(#9018 コーニング社)の各ウエルにに50μLづつ分注、室温1時間放置し、プレートに抗体を固相化した。ウエル内の液体を除去後、次いで蒸留水で4倍に希釈したブロックエース(雪印乳業)を300μLづつ各ウェルに分注し、室温1時間放置し、ブロッキングを行った。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、試料を50μLづつウェルに分注し固相抗体と1時間室温で反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで1μg/ml濃度に希釈したビオチン化0014抗体を50μLづつウェルに分注し室温1時間反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を3回繰り返して各ウエルを洗浄後、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで5000倍に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(KPL社)を50μLづつウェルに分注し室温1時間反応させた。ウエル内の液体を除去し、次いで洗浄液 300μL分注・廃棄を4回繰り返して各ウエルを洗浄後、3,3‘−5,5’−テトラメチルベンジジン(以下TMB)を含む西洋わさびペルオキシダーゼ基質液TMB+(DAKO社)を各ウエル50μLづつ分注し、室温遮光下反応させた。反応10分後1N硫酸を各ウエル50μLづつ分注し、酵素反応を止め、主波長450nm副波長650nmで各ウエルの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定を行った。結果を表5、表6に示す。
臨床所見から爪白癬と診断された患者から採取された爪はホルマリン固定後、定法に従いパラフィン包埋し、3μm薄切後スライドグラス上に爪白癬パラフイン標本を作製した。免疫染色は実施例1(11)記載の方法で、ハイブリドーマ培養上清の代わりに実施例4(3)で調製した0014精製抗体を0.1%(w/v)牛血清アルブミン、0.05%(w/v)アジ化ナトリウムを含むPBS(−)で100μg/mlとなるよう調製した抗体液をPBSで5、10、25、50、100、200、500、1000倍希釈して用い、菌の染色像とそれ以外のバックグランドとの対比を行った。結果は表7に示す。染色性が認められないものは(−)、わずかに着色が認められるものは(±)、着色が認められるものは染色強度に応じ(+) < (++) < (+++)と3段階で表記した。抗体濃度1乃至20μg/mlでバックグランドと菌を識別することが可能であった。
実施例5で用いた爪白癬パラフィン標本を脱パラフィン処理後、0.05M マレイン酸緩衝液pH5.5で2%(W/V)濃度で溶解したヤタラーゼTM(大関酒造)中で37℃ で30分処理を行った。PBSで洗浄後、実施例5と同様の方法で0014精製抗体を0.1%(w/v)牛血清アルブミン、0.05%(w/v)アジ化ナトリウムを含むPBS(−)で100μg/mlとなるよう調製した抗体液をPBSで10、25、50、100、200、500、1000倍希釈して用い、菌の染色像とそれ以外のバックグランドとの対比を行った。結果は表8に示す。実施例5に比べと抗体濃度4乃至10μg/mlでヤタラーゼ処理を実施することで染色は明瞭となった。
実施例5で用いた爪白癬パラフィン標本を脱パラフィン処理後、以下の前処理を行ったのち実施例5と同様な方法で0014精製抗体を4μg/mlになるよう希釈して免疫染色を実施した。(1)前処理なし(2)1%(W/V)メタ過ヨウ素酸ナトリウム水溶液で常温10分浸した後PBSで洗浄する(過ヨウ素酸処理)(3)0.05M トリス塩酸緩衝液pH7.6で0.1%(W/V)で溶解したトリプシン(SIGMA社)を37℃30分浸した後PBSで洗浄する(トリプシン処理)(4)予め加温した0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0に浸した状態で電子レンジ500W出力5分おきに緩衝液を追加しながら計10分照射し、その後30分室温で放置する(マイクロウエーブ処理)。
結果は表9に示す。トリプシン処理とマイクロウエーブ処理で無処理に比べ染色は明瞭となった。
臨床所見から足白癬と診断された患者より採取された鱗屑(表皮が剥けた部分のこと)と健常者足から採取された皮膚片を1.5ml用ポリプロピレン製チューブにそれぞれ1片入れ、予めPBSで溶解し2%(W/V)に調整したトリプシン溶液200μLを添加し、鱗屑に十分トリプシン溶液が接触するまで攪拌を行った後、37℃210分間放置し、酵素処理を行った。次いで該チューブを沸騰水中で15分間加熱し、同時に酵素の不活性化を行った。チューブを2000xgにて1分遠心分離して得られた上清160μLを回収し、これを鱗屑抽出液とした。一方遠心後の残渣が残っているチューブにPBSを200μL添加してよく攪拌し、次いでチューブを2000xgにて1分遠心分離して得られた上清180μLを回収し、鱗屑洗液とした。これら4種類を試料として実施例4記載のサンドイッチEIA法に従い分析作業を行った。酵素反応停止後マイクロプレートリーダーで波長450nmを測定した結果を表10に示す。足白癬患者鱗屑抽出液および鱗屑洗浄液でシグナルが認められ、一方健常者鱗屑抽出液および鱗屑洗浄液ではバックグランドと同等のシグナルしか認められなかった。従来顕微鏡を使用しなければできなかった鱗屑試料での足白癬患者と健常者の鑑別が、イムノアッセイという顕微鏡を使用しない手法で可能であった。
(1)靴下洗浄液の調製
臨床所見から足白癬と診断された患者ボランティア(抗真菌剤クリーム治療開始3日目)に未使用の抗菌靴下(綿、アクリル、ナイロン、ポリウレタン素材、バイオシルTM加工(繊維製品衛生加工協議会承認番号73292)、サイズ24〜26cm)を着用させ、さらに患者が日常使用している靴を履いた状態で休憩・移動・デスクワークを含む軽作業に6時間従事させ、その後靴下を回収した。該靴下片足分を洗浄液(0.05%TWEEN20を含むPBS)100mlに浸漬し室温で10分間攪拌・洗浄した。洗浄後靴下と洗浄液を分離し、靴下洗浄液25mlを得た。一方未使用未着用の抗菌靴下も片足分を洗浄液100mlに浸漬し、装着靴下と同様な操作で未装着靴下洗浄液を調製した。
(2)抗皮膚糸状菌抗体結合磁性ビーズの調製
活性化磁性ビーズDynaBeads M−280 Tosylactivated(ダイナル社製)2x109/ml10mlをよく攪拌した後ポリプロピレン製15ml遠沈管に移し、遠沈管の蓋をした状態で磁性スタンド(MagicalTrapperTM 東洋紡績製)にセットし2分放置した。磁性ビーズが遠沈管側面に凝集したことを確認後、上清を廃棄した。次いで10ml 0.1Mリン酸緩衝液pH7.4を遠沈管に分注し、攪拌して磁性ビーズを分散させた後、0014精製抗体6mgを加え、遠沈管に蓋をしてさらに攪拌を行った。ひきつづき37℃インキュベータ内に設置した傾斜回転機にセットし遠沈管ごと低速で連続的に転倒混和させながら24時間放置し抗体をビーズに結合させた。次いで遠沈管を磁性スタンドにセットし2分放置し、磁性ビーズが遠沈管側面に凝集したことを確認後、上清を廃棄した。0.1%(W/V)牛血清アルブミンを含む0.1Mリン酸緩衝液pH7.4 10mlを遠沈管に分注し、攪拌して磁性ビーズを分散させた後、4℃5分放置し、次いで遠沈管を磁性スタンドにセット後2分放置し、磁性ビーズが遠沈管側面に凝集したことを確認後、上清を廃棄し、さらに0.1%(W/V)牛血清アルブミンを含む0.1Mリン酸緩衝液pH7.4 10mlを遠沈管に分注し、同様の操作により上清を廃棄した。0.1%(W/V)牛血清アルブミンを含む0.2Mトリス緩衝液pH8.5 10mlを分注し十分攪拌した後、37℃インキュベータ内に設置した傾斜回転機にセットし遠沈管ごと低速で連続的に転倒混和させながら4時間放置し、磁性ビーズ上の未反応のトシル基をブロックした。次いで遠沈管を磁性スタンドにセットし2分放置し、磁性ビーズが遠沈管側面に凝集したことを確認後、上清を廃棄した。最後に0.1%(W/V)牛血清アルブミン、0.05%(W/V)アジ化ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液pH7.4 10mlを遠沈管に分注し、攪拌して磁性ビーズを分散させて、抗皮膚糸状菌抗体結合ビーズを得た。
(3)靴下洗浄液を試料とした皮膚糸状菌分離
15ml遠沈管に(1)で調製した靴下洗浄液10mlを分注し、次いで抗皮膚糸状菌抗体結合ビーズ2x108になるよう(2)で調製した抗体結合ビーズを添加した。遠沈管に蓋をして傾斜回転機にセットし遠沈管ごと低速で連続的に転倒混和させながら室温1時間放置した。次いで遠沈管を磁性スタンドにセットし2分放置し、磁性ビーズが遠沈管側面に凝集したことを確認後、上清を廃棄した。洗浄液1mlを遠沈管に分注し、攪拌して磁性ビーズを分散させビーズを洗浄した。得られた磁性ビーズ縣濁液は1.5mlポリプロピレン製チューブに移し、次いでチューブを磁性スタンドにセット後2分放置し、磁性ビーズがチューブ側面に凝集したことを確認後上清廃棄し、さらに洗浄液 1mlをチューブに分注し攪拌してビーズ洗浄を行った。同様の洗浄操作をさらに1回繰り返し、洗浄液 1mlに縣濁された分離処理済み抗皮膚糸状菌抗体結合ビーズを得た。また同時に未装着靴下洗浄液とPBSを試料とし、それぞれ磁性ビーズによる分離操作を実施した。
(4)ビオチン化0014抗体による菌検出
分離処理済みの抗皮膚糸状菌抗体結合ビーズ縣濁液の入ったチューブは磁性スタンドにセットして2分放置後、磁性ビーズが遠沈管側面に凝集したことを確認し、上清を廃棄した。次いで蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで2μg/ml濃度に希釈したビオチン化0014抗体を各500μL分注し蓋をして十分攪拌して分散させた後、傾斜回転機にセットしチューブごと低速で連続的に転倒混和させながら室温30分放置した。その後洗浄操作としてチューブを磁性スタンドにセット後2分放置し、磁性ビーズがチューブ側面に凝集したことを確認後上清廃棄し、さらに洗浄液 1mlをチューブに分注し攪拌してビーズ洗浄を行った。同様の洗浄操作を2回繰り返してビーズを洗浄し、磁性スタンドを使って磁性ビーズと上清を分離廃棄後、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで1000倍に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(KPL社)を500μL分注し、蓋をして十分攪拌して分散させた後、傾斜回転機にセットしチューブごと低速で連続的に転倒混和させながら室温30分放置した。その後洗浄操作としてチューブを磁性スタンドにセット後2分放置し、磁性ビーズがチューブ側面に凝集したことを確認後上清廃棄し、さらに洗浄液 1mlをチューブに分注し攪拌してビーズ洗浄を行った。同様の洗浄操作を3回繰り返してビーズを洗浄し、磁性スタンドを使って磁性ビーズと上清を分離廃棄後、TMBを含む西洋わさびペルオキシダーゼ基質液TMB+(DAKO社)を各100μLづつ分注し、十分攪拌した後室温遮光下反応させた。反応10分後1N硫酸を各100μLづつ分注して酵素反応を止めた。次いでチューブを磁性スタンドにセット後2分放置し、磁性ビーズがチューブ側面に凝集したことを確認後、上清回収して未使用のポリスチレン製ELISAプレートのウェルにそれぞれ分注した。主波長450nm副波長650nmで各ウエルの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定を行った。測定した吸光度を表11に示す。対照となるPBSや未装着靴下洗浄液に比して患者靴下洗浄液2倍高い吸光度が認められ、洗浄液中の皮膚糸状菌を検出することができた。PBS試料でも吸光度が認められたのは磁性ビーズ自体のペルオキシダーゼ様活性によるものと考えられ、アルカリフォスファターゼやβガラクトシダーゼなど別の酵素検出系を用いればさらにS/N比よく検出できると考えられた。
(1)抗皮膚糸状菌抗体結合磁性ビーズ試料の調製
実施例6(3)記載の方法で足白癬患者装着靴下洗浄液・未装着靴下洗浄液10mlと磁性ビーズを接触させたのち分離し、それぞれ分離ビーズを洗浄後、100μLのPBSに縣濁し、足白癬患者装着靴下洗浄液分離ビーズ、未装着靴下洗浄液分離ビーズとした。
(2)各試料を用いた液体培地を使った培養
クリーンベンチ内で5本の培養用滅菌済み25cm2フラスコに滅菌したサブローデキストロース液体培地各2mlを分注し、次いで足白癬患者装着靴下洗浄液、未装着靴下洗浄液、PBS、足白癬患者装着靴下洗浄液分離ビーズ、未装着靴下洗浄液分離ビーズを各0.05ml添加し、25℃で6日間放置し、培養を行った。
(3)サンドイッチEIAによる分析
足白癬患者装着靴下洗浄液、未装着靴下洗浄液、液体培養後の足白癬患者装着靴下洗浄液添加培養液、未装着靴下洗浄液添加培養液、PBS添加培養液、足白癬患者装着靴下洗浄液分離ビーズ添加培養液、未装着靴下洗浄液分離ビーズ添加培養液計7種類を試料として用い、蒸留水で10倍に希釈したブロックエースで2倍希釈した後、実施例4記載のサンドイッチEIA法に従い分析作業を行った。酵素反応停止後マイクロプレートリーダーで主波長450nm副波長650nmを測定した結果を表12に示す。足白癬患者装着靴下洗浄液はそのままサンドイッチEIAで測定してもほとんど未装着と差が認められなかったが、試料を液体培地中で培養することによりシグナルが増強された。また抗皮膚糸状菌抗体結合磁性ビーズで洗浄液試料から菌分離後培養したものでは未装着試料との差がさらに大きくなり、より明瞭な差として検出された。
10%水酸化カリウム溶液により足白癬患者病変部より採取した鱗屑片角化層を溶解させ顕微鏡下で菌糸を確認する方法(苛性カリ鏡検)にて菌量を少、中、大に層別した患者より採取された鱗屑試料(重量としておよそ10〜30mg)を用いた。対照として苛性カリ鏡検で菌が検出されなかった皮膚病変の鱗屑を用いた。実施例8に記載された方法に準じ、鱗屑を処理し鱗屑抽出液を調製した。すなわち鱗屑はネジ口でOリングの付いた1.5ml用ポリプロピレン製チューブにそれぞれ1片入れ、予めPBSで溶解し2%(W/V)に調整したトリプシン溶液200μLを添加し、鱗屑に十分トリプシン溶液が接触するまで攪拌を行った後、37℃180分で放置して酵素処理を行った。次いで該試料チューブを沸騰水中で15分間加熱し、同時に酵素の不活性化を行った。そして該チューブを2000xgにて1分間遠心分離して得られた上清160μLを回収し、鱗屑抽出液とした。これら鱗屑抽出液を試料として実施例4記載のサンドイッチEIA法に従い、分析作業を行った。酵素反応停止後マイクロプレートリーダーで650nmを副波長、450nmを主波長として測定した結果を図8に示す。顕微鏡観察で見られた菌量に応じてOD値平均が上昇し、相関が認められた。また菌量 少、中分類で対照よりもOD低値を示す検体が認められたが、鱗屑自体 同一患者から採取されたとはいえ、苛性カリ鏡検した鱗屑とは異なるため、たまたま菌のいない鱗屑をELISAで測定した可能性も考えらた。鱗屑を複数箇所採取して数片使用して鱗屑抽出液調製を行い、同測定を行えばさらに菌検出力向上が図れると考えた。
10人の爪白癬患者から得られた爪片の一部をそれぞれ10%水酸化カリウム溶液により爪片を溶解させ、顕微鏡下で菌糸を確認する方法(苛性カリ鏡検)にて爪中の菌量を少3例、中3例、大4例に患者を層別し、爪片試料として用いた。対照として苛性カリ鏡検で菌が検出されなかった健常人の爪片3例を用いた。実施例8に記載された方法に準じ、爪片を処理し爪抽出液を調製した。すなわち爪片はネジ口でOリングの付いた1.5ml用ポリプロピレン製チューブに患者ごとにそれぞれ入れ(爪重量として1サンプルあたり21mg〜125mg)、予めPBSで溶解し2%(W/V)に調整したトリプシン溶液200μLを添加し、爪片に十分トリプシン溶液が接触するまで攪拌を行った後、37℃180分で放置して酵素処理を行った。次いで該試料チューブを沸騰水中で15分間加熱し、同時にトリプシンの不活性化を行った。そして該チューブを2000xgにて1分間遠心分離して得られた上清160μLを回収し、爪抽出液とした。これら爪抽出液を試料として実施例4記載のサンドイッチEIA法に従い、分析作業を行った。酵素反応停止後マイクロプレートリーダーで650nmを副波長、450nmを主波長として測定した結果を図9に示す。対照例に比して、菌量 少、中、高分類ともに患者群のOD値平均は高く、本サンドイッチEIA法を用いることで爪試料中の菌有無も検出することができた。
苛性カリ鏡検にて菌量を大に層別された患者より採取された鱗屑試料をかみそり刃で細切し、微細鱗屑を調製した。ネジ口でOリングの付いた1.5ml用ポリプロピレン製チューブにそれぞれ重量としておよそ10〜20mgになるよう微細鱗屑を入れ、鱗屑重量を記録した。酵素処理に用いた酵素液は1)PBSで2%(W/V)となるよう溶解したプロナーゼ溶液 2)組織染色用プロテナーゼK溶液(DAKO社 製 酵素濃度0.4mg/ml)の2種である。実施例8に記載された方法に準じ、各鱗屑を各種酵素処理し鱗屑抽出液を調製した。すなわちポリプロピレン製チューブに入れた鱗屑に酵素液200μLを添加し、鱗屑に十分酵素液が接触するまで攪拌を行った後、37℃180分で放置して酵素処理を行った。次いで該試料チューブを沸騰水中で15分間加熱し、同時に酵素の不活性化を行った。そして該チューブを2000xgにて1分間遠心分離して得られた上清160μLを回収し、鱗屑抽出液とした。酵素処理を行わない対照条件では酵素を含まないPBSを酵素液の代わりに添加し同様に操作を行った。これら鱗屑抽出液を試料として実施例4記載のサンドイッチEIA法に従い、分析作業を行った。酵素反応停止後マイクロプレートリーダーで450nmを主波長として測定した結果を表13に示す。サンドイッチEIAで検出する場合はかみそり刃で細切するなど物理的な破砕を行った試料であれば、酵素処理有無に関わらず加熱処理だけで感度良くサンドイッチEIAで検出可能であった。
各種白癬菌7種 Trichophyton rubrum、Trichophyton mentagrophytes、Trichophyton violaceum、Trichophyton tonsurans、Microsporum gypseum、Microsporum canis、Epidermophyton floccosumでスライドカルチャーを実施した。すなわち平板サブロー寒天培地を8mm画に切り、培地片を予め滅菌したスライドガラス上に載せ、各菌を培地片の四隅に接種した。滅菌したカバーガラスで覆い、加湿箱の中に静置し室温で1週間培養を行った。スライドカルチャーしたスライドグラスを99.5%エタノール固定した。また、寒天をホルマリン固定後、パラフィン包埋し薄切切片を作製した。実施例5と同様な方法で0014精製抗体を4μg/mlになるよう希釈して免疫染色を実施した。染色結果を表14に示す。用いた7種全ての白癬菌、エタノール固定ホルマリン固定どちらの固定方法でも染色性が認められ、スライドカルチャーでは認められた菌糸や分生子とも染色されていた。0014抗体は広範な白癬菌検出に有用と考えられた。
Claims (11)
- 以下に示す皮膚糸状菌3種以上と反応性を有する抗体を使用することを特徴とする皮膚糸状菌の検出方法。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum - 以下に示す皮膚糸状菌4種すべてと反応性を有する抗体を使用することを特徴とする請求項1に記載の皮膚糸状菌の検出方法。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum - 使用する抗体が1種類の抗皮膚糸状菌抗体あるいは同一の抗原認識部位を有する2種類以上の抗皮膚糸状菌モノクローナル抗体の組み合わせであることを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚糸状菌の検出方法。
- 抗体が受託番号FERM P−19057として寄託されたハイブリドーマが産生する抗体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚糸状菌の検出方法。
- 以下に示す皮膚糸状菌3種以上と反応性を有する抗体を含有することを特徴とする皮膚糸状菌の検出用試薬。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum - 以下に示す皮膚糸状菌4種すべてと反応性を有する抗体を含有することを特徴とする請求項5に記載の皮膚糸状菌の検出用試薬。
Trichophyton rubrum
Trichophyton mentagrophytes
Microsporum canis
Epidermophyton floccosum - 使用する抗体が1種類の抗皮膚糸状菌抗体あるいは同一の抗原認識部位を有する2種類以上の抗皮膚糸状菌モノクローナル抗体の組み合わせであることを特徴とする請求項5または6に記載の皮膚糸状菌の検出用試薬。
- 抗体が受託番号FERM P−19057として寄託されたハイブリドーマが産生する抗体であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の皮膚糸状菌の検出用試薬。
- 抗体を用いた皮膚糸状菌検出において予め試料を酵素処理あるいは加熱処理することを特徴とする抗原性の賦活化方法。
- 抗体が受託番号FERM P−19057として寄託されたハイブリドーマが産生する抗体であることを特徴とする請求項9に記載の抗原性の賦活化方法。
- 皮膚糸状菌検出方法が免疫染色法であることを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の抗原性の賦活化方法。
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