JP2004267975A - 廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間且つ低コストで簡単な処理により廃棄物または土壌に含まれるホウ素を不溶化することができる、廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法を提供する。
【解決手段】ホウ素を含有する廃棄物または土壌に、カルシウムと、硫酸イオンを含む化合物(例えば10〜60重量%程度に希釈した硫酸)または硫酸イオンとアルミニウムイオンを含む化合物(例えば液体硫酸バンド)とを混合することにより、ホウ素を不溶化する。カルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンは、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、それぞれ5モル以上、1モル以上、3モル以上になるように混合する。
【選択図】 図1
【解決手段】ホウ素を含有する廃棄物または土壌に、カルシウムと、硫酸イオンを含む化合物(例えば10〜60重量%程度に希釈した硫酸)または硫酸イオンとアルミニウムイオンを含む化合物(例えば液体硫酸バンド)とを混合することにより、ホウ素を不溶化する。カルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンは、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、それぞれ5モル以上、1モル以上、3モル以上になるように混合する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホウ素の不溶化処理方法に関し、特に、廃棄物または土壌に含まれるホウ素を不溶化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素の含有量が高く且つホウ素の溶出率が高い廃棄物などを最終処分場に埋め立てる前に、環境対策としてホウ素を不溶化する必要がある。また、処分場の浸出水中のホウ素の増加を防止して排水基準をクリアするためにも、ホウ素の溶出値を低減させる必要がある。
【0003】
従来、セメントの添加によってホウ素の溶出を防止する方法として、ホウ素(B)を含む土壌又は焼却灰、例えば石炭灰を、固化材料である高炉スラグBセメントによって固化するか、あるいは固着材料によって固着することによって、ホウ素の溶出を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−310175号公報(段落番号0006)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献1の方法では、ホウ素化合物を生成するために1〜数週間程度の養生期間が必要であり、加熱処理が必要な場合もあり、処理時間およびコストがかかるという問題がある。
【0006】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、短時間且つ低コストで簡単な処理により廃棄物または土壌に含まれるホウ素を不溶化することができる、廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ホウ素を含有する廃棄物または土壌に、カルシウムまたはカルシウムを含む化合物と、硫酸イオンを含む化合物、好ましくは硫酸イオンとアルミニウムイオンを含む化合物とを混合することにより、ホウ素を不溶化することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法は、ホウ素を含有する廃棄物または土壌に、カルシウムと、硫酸イオンを含む化合物とを混合することにより、ホウ素を不溶化することを特徴とする。
【0009】
この廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法において、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、カルシウムの量が、好ましくは5〜1000モル、さらに好ましくは5〜300モルであり、硫酸イオンの量が、好ましくは3〜150モル、さらに好ましくは3〜30モルである。また、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対するカルシウムおよび硫酸イオンの量が、ホウ素の溶出液のpHが9〜13になる量であるのが好ましい。
【0010】
また、上記の廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法において、硫酸イオンを含む化合物がアルミニウムイオンを含むのが好ましい。この場合、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、カルシウムの量が、好ましくは5〜1000モル、さらに好ましくは5〜300モルであり、アルミニウムイオンの量が、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜20モルであり、硫酸イオンの量が、好ましくは3〜150モル、さらに好ましくは3〜30モルである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施の形態では、不溶化反応に必要なカルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)と硫酸の反応が素早く進むように、アルミニウムと硫酸をイオン形態、すなわち液体として添加することにより、常温で1時間程度放置すれば不溶化反応が進み、ホウ素化合物を生成するための養生期間や加熱などが不要になるので、セメントの添加によって固化する方法と比べて経済的且つ取扱いも容易になる。また、ホウ素を数%以上含有するようなホウ素の含有量や溶出率の高い廃棄物に対してもホウ素を不溶化することができるので、医薬品、ガラス、半導体などの製造過程で排出されるホウ素を大量に含む廃棄物の処理を経済的に行うことができる。
【0012】
また、本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施の形態では、カルシウムとアルミニウムと硫酸を含む化合物を生成し、その中にホウ素を固溶体として取り込むことによりホウ素を不溶化する。セメント自体にもカルシウムとアルミニウムと硫酸が含まれているが、それ自体が元々安定な化合物なっているため、セメントとして添加したのではホウ素を固溶体として取り込むことができない。そのため、反応が起こり易いようにアルミニウムと硫酸をイオン形態、すなわち液体として添加することにより、固溶体を形成することができるようにする。
【0013】
また、カルシウムとアルミニウムイオンと硫酸イオンの添加量を多くすれば、ホウ素の溶出値を0.1mg/L未満にしてホウ素をほぼ完全に不溶化することができる。また、アルミニウムを添加するとコストが高騰するので、経済的な制約がある場合には、アルミニウムを添加しなくても、硫酸イオンとカルシウムの反応によりホウ素の溶出を低減することができる。この場合、ホウ素を完全に不溶化することはできないが、ホウ素の溶出率を排水基準の20%以下にすることができ、ホウ素の含有量がそれほど高くない場合に適用することができる。また、ホウ素の溶出率を1%以下にするためには、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、カルシウムの量を5モル以上、アルミニウムイオンの量を1モル以上、硫酸イオンの量を3モル以上にするとともに、ホウ素の溶出液のpHが9〜13になるようにすればよい。
【0014】
本明細書において、ホウ素を含む廃棄物または土壌とは、常温で固形のものが好ましい。このような廃棄物または土壌に含まれるホウ素の形態は、ホウフッ化物やホウ酸化合物などいずれの形態でもよいが、ホウ素が水に溶解し易い化合物の形態になっているのが好ましい。例えば、医薬品、ガラス、半導体などのホウ素を大量に扱う製造過程において排出される飛灰や排水澱物などが好ましい。
【0015】
また、カルシウムを含む化合物として、消石灰や生石灰などを使用してもよいし、カルシウムを豊富に含む焼却灰や飛灰などを使用してもよい。ゴミ焼却工場から排出される飛灰は重金属などを含むので、埋立処分のためにはpH調整などを行って重金属を不溶化する必要があるが、この飛灰を本発明による不溶化処理方法に適用することによって重金属の不溶化も併せて行うことができるので、非常に経済的な処理が可能となる。カルシウムはイオンである必要はなく、固形物の形態でよいが、後述する硫酸や硫酸バンドなどと反応し易いものが好ましく、セメントなどの固化したものは、反応性が悪いので好ましくない。カルシウムの濃度はできるだけ高い方が好ましい。特に、飛灰などを使用する場合には、不純物が多いと反応に悪影響が生じるので、カルシウム濃度が15重量%以上であるのが好ましい。
【0016】
また、アルミニウムイオンを含む化合物として、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、ポリ塩化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどを使用することができるが、後述する硫酸イオンも含むことから硫酸バンドを使用するのが好ましい。また、アルミニウムがイオンとして存在している方が混合時の反応性がよいので、液体の硫酸バンドを使用するのが好ましい。
【0017】
また、硫酸イオンを含む化合物として、硫酸バンドの他、経済的な制約からアルミニウムを添加しない場合には、硫酸を使用してもよい。硫酸根は、石膏などの固形物として添加すると反応が進行しないので、必ずイオン形態、すなわち液体として添加することが必要である。硫酸の濃度をあまり高い濃度にすると、反応熱とミストが大量に発生して取扱いに不都合が生じるため、10〜60重量%程度に希釈した硫酸を使用するのが好ましい。
【0018】
混合の仕方は、各添加物を均一に混合することができれば、特に限定されないが、硫酸とカルシウム化合物が反応すると、石膏が生成して瞬間的に固化することにより混合が困難になる場合があるので、水分を適量添加して局所的に固化しないように混合するのが好ましい。
【0019】
本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施の形態では、セメントのように養生を必要とせず、即時の反応によりホウ素を不溶化できることが特徴であり、その機構を以下に説明する。カルシウム化合物と、硫酸や硫酸バンドなどの(アルミニウムと)硫酸イオンを含む化合物が反応すると、石膏水和物(CaSO4・2H2O)、エトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)、モノサルフェート水和物(3CaO・Al2O3・CaSO4・12H2O)などが生成する。このうち、エトリンガイトとモノサルフェート水和物が生成する際に、これらの水和生成物中にホウ素が固溶体として取り込まれて不溶化されると考えられる。ホウ素が固溶体として取り込まれると、吸着反応のように容易に破壊されることはなく、安定な形になるので、長期的なホウ素の溶出にも耐えられる。これらの水和生成物を生成させるための必要量から算出すると、カルシウムとアルミニウムイオンと硫酸イオンの添加量は、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、それぞれ5モル以上、1モル以上および3モル以上である。また、カルシウムとアルミニウムイオンと硫酸イオンを、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、それぞれ5モル以上、1モル以上および3モル以上添加することによって、上記の水和生成物が生成され、ホウ素が不溶化されて、ホウ素の溶出率を1%以下にすることができることが確認された。
【0020】
【実施例】
以下、本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施例について詳細に説明する。
【0021】
[実施例1]
図1に示すように、8重量%のホウ素を含有するホウ砂1gに対して、4重量%のアルミニウムと23重量%の硫酸イオンを含有する液体硫酸バンド45gとを混合してホウ砂を溶解させた後、20重量%のカルシウムを含有するゴミ処理工場の飛灰200gを混合した。ここで、ホウ砂と硫酸バンドを混合してホウ砂を溶解させた後に飛灰を混合したのは、混合を容易にするためである。また、この実施例では、混合を容易にするために、水を5g程度加えて混合した。
【0022】
なお、この混合後のホウ素の含有量は306mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=138、Al/B=10、SO4/B=15である。
【0023】
次に、混合後の残渣を常温で1時間放置した後、環境庁告示第46号に従ってホウ素の溶出試験を行った。その結果、溶出液のpHは11.3、ホウ素の溶出値は0.1mg/L未満、ホウ素の溶出率は0.3%未満であった。この溶出試験の結果から、本実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制できることがわかる。
【0024】
[実施例2]
飛灰の量を100g、液体硫酸バンドの量を22gとした以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は613mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=69、Al/B=5、SO4/B=7である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは10.9、ホウ素の溶出値は0.1mg/L、ホウ素の溶出率は0.2%であった。この溶出試験の結果から、本実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制できることがわかる。
【0025】
[実施例3]
飛灰の量を10g、液体硫酸バンドの量を11gとし、水を加えなかったこと以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は3641mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=7、Al/B=2、SO4/B=3である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは10.0、ホウ素の溶出値は2.8mg/L、ホウ素の溶出率は0.8%であった。この溶出試験の結果から、本実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制できることがわかる。
【0026】
[実施例4]
飛灰の量を100gとし、液体硫酸バンドの代わりに55%硫酸20gを使用し、水を加えなかったこと以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は625mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=69、Al/B=0、SO4/B=15である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは11.9、ホウ素の溶出値は11mg/L、ホウ素の溶出率は17.6%であった。この溶出試験の結果から、本実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制できることがわかる。
【0027】
[比較例1]
飛灰の量を100gとし、液体硫酸バンドの代わりに55%硫酸50gを使用し、水を加えなかったこと以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は500mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=69、Al/B=0、SO4/B=39である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは4.1、ホウ素の溶出値は43mg/L、ホウ素の溶出率は86.0%であった。
【0028】
[比較例2]
飛灰の量を100gとし、液体硫酸バンドを使用しなかった以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は750mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=69、Al/B=0、SO4/B=0である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは11.5、ホウ素の溶出値は70mg/L、ホウ素の溶出率は93.3%であった。
【0029】
実施例1〜3の結果から、これらの実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制することができ、モル比Al/Bが大きくなるにつれてほぼ完全にホウ素の溶出を抑制できることがわかる。また、実施例4では、アルミニウムを添加しておらず、実施例1〜3の場合よりもホウ素の溶出値および溶出率が高いが、比較例1および2と比べてホウ素の溶出をかなり抑制できることがわかる。
【0030】
また、比較例1のように硫酸の量が増加して溶出液のpHが酸性まで下がってしまうと、ホウ素の溶出量が大幅に増大する。したがって、溶出液のpHが9〜13の範囲になるようにカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンを混合するのが好ましい。また、比較例2のようにカルシウム源である飛灰のみを混合した場合にも、ホウ素のほぼ全量が溶出し、ホウ素が全く不溶化されていないことがわかる。
【0031】
なお、これらの実施例1〜4および比較例1〜2の結果を表1〜3に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、ホウ素を含む廃棄物または土壌を焼却することなく、短時間且つ低コストで簡単な処理により、廃棄物または土壌からのホウ素の溶出を低減することができる。また、加熱や養生が不要なため、セメントの添加による固化と比べてコストや取扱いの点で優れている。さらに、ホウ素の溶出が非常に大きい廃棄物などでも、経済的にホウ素を不溶化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施の形態を示す工程図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホウ素の不溶化処理方法に関し、特に、廃棄物または土壌に含まれるホウ素を不溶化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素の含有量が高く且つホウ素の溶出率が高い廃棄物などを最終処分場に埋め立てる前に、環境対策としてホウ素を不溶化する必要がある。また、処分場の浸出水中のホウ素の増加を防止して排水基準をクリアするためにも、ホウ素の溶出値を低減させる必要がある。
【0003】
従来、セメントの添加によってホウ素の溶出を防止する方法として、ホウ素(B)を含む土壌又は焼却灰、例えば石炭灰を、固化材料である高炉スラグBセメントによって固化するか、あるいは固着材料によって固着することによって、ホウ素の溶出を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−310175号公報(段落番号0006)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献1の方法では、ホウ素化合物を生成するために1〜数週間程度の養生期間が必要であり、加熱処理が必要な場合もあり、処理時間およびコストがかかるという問題がある。
【0006】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、短時間且つ低コストで簡単な処理により廃棄物または土壌に含まれるホウ素を不溶化することができる、廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ホウ素を含有する廃棄物または土壌に、カルシウムまたはカルシウムを含む化合物と、硫酸イオンを含む化合物、好ましくは硫酸イオンとアルミニウムイオンを含む化合物とを混合することにより、ホウ素を不溶化することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法は、ホウ素を含有する廃棄物または土壌に、カルシウムと、硫酸イオンを含む化合物とを混合することにより、ホウ素を不溶化することを特徴とする。
【0009】
この廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法において、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、カルシウムの量が、好ましくは5〜1000モル、さらに好ましくは5〜300モルであり、硫酸イオンの量が、好ましくは3〜150モル、さらに好ましくは3〜30モルである。また、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対するカルシウムおよび硫酸イオンの量が、ホウ素の溶出液のpHが9〜13になる量であるのが好ましい。
【0010】
また、上記の廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法において、硫酸イオンを含む化合物がアルミニウムイオンを含むのが好ましい。この場合、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、カルシウムの量が、好ましくは5〜1000モル、さらに好ましくは5〜300モルであり、アルミニウムイオンの量が、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜20モルであり、硫酸イオンの量が、好ましくは3〜150モル、さらに好ましくは3〜30モルである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施の形態では、不溶化反応に必要なカルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)と硫酸の反応が素早く進むように、アルミニウムと硫酸をイオン形態、すなわち液体として添加することにより、常温で1時間程度放置すれば不溶化反応が進み、ホウ素化合物を生成するための養生期間や加熱などが不要になるので、セメントの添加によって固化する方法と比べて経済的且つ取扱いも容易になる。また、ホウ素を数%以上含有するようなホウ素の含有量や溶出率の高い廃棄物に対してもホウ素を不溶化することができるので、医薬品、ガラス、半導体などの製造過程で排出されるホウ素を大量に含む廃棄物の処理を経済的に行うことができる。
【0012】
また、本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施の形態では、カルシウムとアルミニウムと硫酸を含む化合物を生成し、その中にホウ素を固溶体として取り込むことによりホウ素を不溶化する。セメント自体にもカルシウムとアルミニウムと硫酸が含まれているが、それ自体が元々安定な化合物なっているため、セメントとして添加したのではホウ素を固溶体として取り込むことができない。そのため、反応が起こり易いようにアルミニウムと硫酸をイオン形態、すなわち液体として添加することにより、固溶体を形成することができるようにする。
【0013】
また、カルシウムとアルミニウムイオンと硫酸イオンの添加量を多くすれば、ホウ素の溶出値を0.1mg/L未満にしてホウ素をほぼ完全に不溶化することができる。また、アルミニウムを添加するとコストが高騰するので、経済的な制約がある場合には、アルミニウムを添加しなくても、硫酸イオンとカルシウムの反応によりホウ素の溶出を低減することができる。この場合、ホウ素を完全に不溶化することはできないが、ホウ素の溶出率を排水基準の20%以下にすることができ、ホウ素の含有量がそれほど高くない場合に適用することができる。また、ホウ素の溶出率を1%以下にするためには、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、カルシウムの量を5モル以上、アルミニウムイオンの量を1モル以上、硫酸イオンの量を3モル以上にするとともに、ホウ素の溶出液のpHが9〜13になるようにすればよい。
【0014】
本明細書において、ホウ素を含む廃棄物または土壌とは、常温で固形のものが好ましい。このような廃棄物または土壌に含まれるホウ素の形態は、ホウフッ化物やホウ酸化合物などいずれの形態でもよいが、ホウ素が水に溶解し易い化合物の形態になっているのが好ましい。例えば、医薬品、ガラス、半導体などのホウ素を大量に扱う製造過程において排出される飛灰や排水澱物などが好ましい。
【0015】
また、カルシウムを含む化合物として、消石灰や生石灰などを使用してもよいし、カルシウムを豊富に含む焼却灰や飛灰などを使用してもよい。ゴミ焼却工場から排出される飛灰は重金属などを含むので、埋立処分のためにはpH調整などを行って重金属を不溶化する必要があるが、この飛灰を本発明による不溶化処理方法に適用することによって重金属の不溶化も併せて行うことができるので、非常に経済的な処理が可能となる。カルシウムはイオンである必要はなく、固形物の形態でよいが、後述する硫酸や硫酸バンドなどと反応し易いものが好ましく、セメントなどの固化したものは、反応性が悪いので好ましくない。カルシウムの濃度はできるだけ高い方が好ましい。特に、飛灰などを使用する場合には、不純物が多いと反応に悪影響が生じるので、カルシウム濃度が15重量%以上であるのが好ましい。
【0016】
また、アルミニウムイオンを含む化合物として、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、ポリ塩化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどを使用することができるが、後述する硫酸イオンも含むことから硫酸バンドを使用するのが好ましい。また、アルミニウムがイオンとして存在している方が混合時の反応性がよいので、液体の硫酸バンドを使用するのが好ましい。
【0017】
また、硫酸イオンを含む化合物として、硫酸バンドの他、経済的な制約からアルミニウムを添加しない場合には、硫酸を使用してもよい。硫酸根は、石膏などの固形物として添加すると反応が進行しないので、必ずイオン形態、すなわち液体として添加することが必要である。硫酸の濃度をあまり高い濃度にすると、反応熱とミストが大量に発生して取扱いに不都合が生じるため、10〜60重量%程度に希釈した硫酸を使用するのが好ましい。
【0018】
混合の仕方は、各添加物を均一に混合することができれば、特に限定されないが、硫酸とカルシウム化合物が反応すると、石膏が生成して瞬間的に固化することにより混合が困難になる場合があるので、水分を適量添加して局所的に固化しないように混合するのが好ましい。
【0019】
本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施の形態では、セメントのように養生を必要とせず、即時の反応によりホウ素を不溶化できることが特徴であり、その機構を以下に説明する。カルシウム化合物と、硫酸や硫酸バンドなどの(アルミニウムと)硫酸イオンを含む化合物が反応すると、石膏水和物(CaSO4・2H2O)、エトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)、モノサルフェート水和物(3CaO・Al2O3・CaSO4・12H2O)などが生成する。このうち、エトリンガイトとモノサルフェート水和物が生成する際に、これらの水和生成物中にホウ素が固溶体として取り込まれて不溶化されると考えられる。ホウ素が固溶体として取り込まれると、吸着反応のように容易に破壊されることはなく、安定な形になるので、長期的なホウ素の溶出にも耐えられる。これらの水和生成物を生成させるための必要量から算出すると、カルシウムとアルミニウムイオンと硫酸イオンの添加量は、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、それぞれ5モル以上、1モル以上および3モル以上である。また、カルシウムとアルミニウムイオンと硫酸イオンを、廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、それぞれ5モル以上、1モル以上および3モル以上添加することによって、上記の水和生成物が生成され、ホウ素が不溶化されて、ホウ素の溶出率を1%以下にすることができることが確認された。
【0020】
【実施例】
以下、本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施例について詳細に説明する。
【0021】
[実施例1]
図1に示すように、8重量%のホウ素を含有するホウ砂1gに対して、4重量%のアルミニウムと23重量%の硫酸イオンを含有する液体硫酸バンド45gとを混合してホウ砂を溶解させた後、20重量%のカルシウムを含有するゴミ処理工場の飛灰200gを混合した。ここで、ホウ砂と硫酸バンドを混合してホウ砂を溶解させた後に飛灰を混合したのは、混合を容易にするためである。また、この実施例では、混合を容易にするために、水を5g程度加えて混合した。
【0022】
なお、この混合後のホウ素の含有量は306mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=138、Al/B=10、SO4/B=15である。
【0023】
次に、混合後の残渣を常温で1時間放置した後、環境庁告示第46号に従ってホウ素の溶出試験を行った。その結果、溶出液のpHは11.3、ホウ素の溶出値は0.1mg/L未満、ホウ素の溶出率は0.3%未満であった。この溶出試験の結果から、本実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制できることがわかる。
【0024】
[実施例2]
飛灰の量を100g、液体硫酸バンドの量を22gとした以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は613mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=69、Al/B=5、SO4/B=7である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは10.9、ホウ素の溶出値は0.1mg/L、ホウ素の溶出率は0.2%であった。この溶出試験の結果から、本実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制できることがわかる。
【0025】
[実施例3]
飛灰の量を10g、液体硫酸バンドの量を11gとし、水を加えなかったこと以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は3641mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=7、Al/B=2、SO4/B=3である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは10.0、ホウ素の溶出値は2.8mg/L、ホウ素の溶出率は0.8%であった。この溶出試験の結果から、本実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制できることがわかる。
【0026】
[実施例4]
飛灰の量を100gとし、液体硫酸バンドの代わりに55%硫酸20gを使用し、水を加えなかったこと以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は625mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=69、Al/B=0、SO4/B=15である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは11.9、ホウ素の溶出値は11mg/L、ホウ素の溶出率は17.6%であった。この溶出試験の結果から、本実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制できることがわかる。
【0027】
[比較例1]
飛灰の量を100gとし、液体硫酸バンドの代わりに55%硫酸50gを使用し、水を加えなかったこと以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は500mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=69、Al/B=0、SO4/B=39である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは4.1、ホウ素の溶出値は43mg/L、ホウ素の溶出率は86.0%であった。
【0028】
[比較例2]
飛灰の量を100gとし、液体硫酸バンドを使用しなかった以外は実施例1と同様の溶出試験を行った。この実施例において、混合後のホウ素の含有量は750mg/kgであり、ホウ素1モルに対するカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンのモル比は、それぞれCa/B=69、Al/B=0、SO4/B=0である。この溶出試験の結果、溶出液のpHは11.5、ホウ素の溶出値は70mg/L、ホウ素の溶出率は93.3%であった。
【0029】
実施例1〜3の結果から、これらの実施例の方法によって、ホウ素の溶出を抑制することができ、モル比Al/Bが大きくなるにつれてほぼ完全にホウ素の溶出を抑制できることがわかる。また、実施例4では、アルミニウムを添加しておらず、実施例1〜3の場合よりもホウ素の溶出値および溶出率が高いが、比較例1および2と比べてホウ素の溶出をかなり抑制できることがわかる。
【0030】
また、比較例1のように硫酸の量が増加して溶出液のpHが酸性まで下がってしまうと、ホウ素の溶出量が大幅に増大する。したがって、溶出液のpHが9〜13の範囲になるようにカルシウム、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンを混合するのが好ましい。また、比較例2のようにカルシウム源である飛灰のみを混合した場合にも、ホウ素のほぼ全量が溶出し、ホウ素が全く不溶化されていないことがわかる。
【0031】
なお、これらの実施例1〜4および比較例1〜2の結果を表1〜3に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、ホウ素を含む廃棄物または土壌を焼却することなく、短時間且つ低コストで簡単な処理により、廃棄物または土壌からのホウ素の溶出を低減することができる。また、加熱や養生が不要なため、セメントの添加による固化と比べてコストや取扱いの点で優れている。さらに、ホウ素の溶出が非常に大きい廃棄物などでも、経済的にホウ素を不溶化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法の実施の形態を示す工程図。
Claims (7)
- ホウ素を含有する廃棄物または土壌に、カルシウムと、硫酸イオンを含む化合物とを混合することにより、ホウ素を不溶化することを特徴とする、廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法。
- 前記廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、前記カルシウムの量が5〜1000モルであり、前記硫酸イオンの量が3〜150モルであることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法。
- 前記廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、前記カルシウムの量が5〜300モルであり、前記硫酸イオンの量が3〜30モルであることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法。
- 前記廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対する前記カルシウムおよび前記硫酸イオンの量が、ホウ素の溶出液のpHが9〜13になる量であることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法。
- 前記硫酸イオンを含む化合物がアルミニウムイオンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法。
- 前記廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、前記カルシウムの量が5〜1000モル、前記アルミニウムイオンの量が1〜100モル、硫酸イオンの量が3〜150モルであることを特徴とする、請求項5に記載の廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法。
- 前記廃棄物または土壌に含まれるホウ素1モルに対して、前記カルシウムの量が5〜300モル、前記アルミニウムイオンの量が1〜20モル、硫酸イオンの量が3〜30モルであることを特徴とする、請求項5に記載の廃棄物または土壌に含まれるホウ素の不溶化処理方法。
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|---|---|---|---|---|
| JP2007225166A (ja) * | 2006-02-22 | 2007-09-06 | Daio Paper Corp | 建設・土木材料の製造方法 |
| JP2017075204A (ja) * | 2015-10-13 | 2017-04-20 | 日鉄住金環境株式会社 | 有害物質の処理材及び処理方法 |
-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003065387A patent/JP2004267975A/ja active Pending
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