JP2004276708A - 相対姿勢角検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】牽引車両(トラクタ)と被牽引車両(トレーラ)の相対的な姿勢角を検出する相対姿勢角検出装置に関し、被牽引車両に特別な加工を施すことなく、低コストで、精度及び応答性の良い相対姿勢角を検出する。
【解決手段】変位センサ50_1,50_2が、牽引車両10の第1の基準面12に対して垂直方向における、被牽引車両30の第2の基準面の相対的な変位をそれぞれ検出し、回転角センサ51_1,51_2)が、変位センサ50_1,50_2の検出点における該第2の基準面方向の移動変位をそれぞれ検出し、変位センサ50_3が、変位センサ50_1,50_2から該牽引車両10の前後方向に所定の距離だけ離れた位置に設置され、牽引車両10の第1の基準面12に対する垂直方向における第2の基準面の相対的な変位を検出し、演算部70が、変位センサ50_1〜50_3、及び回転角センサ51_1,51_2の検出結果に基づき両車両間の相対姿勢角を演算する。
【選択図】 図1
【解決手段】変位センサ50_1,50_2が、牽引車両10の第1の基準面12に対して垂直方向における、被牽引車両30の第2の基準面の相対的な変位をそれぞれ検出し、回転角センサ51_1,51_2)が、変位センサ50_1,50_2の検出点における該第2の基準面方向の移動変位をそれぞれ検出し、変位センサ50_3が、変位センサ50_1,50_2から該牽引車両10の前後方向に所定の距離だけ離れた位置に設置され、牽引車両10の第1の基準面12に対する垂直方向における第2の基準面の相対的な変位を検出し、演算部70が、変位センサ50_1〜50_3、及び回転角センサ51_1,51_2の検出結果に基づき両車両間の相対姿勢角を演算する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は相対姿勢角検出装置に関し、特に牽引車両(トラクタ)と被牽引車両(トレーラ)の相対的な姿勢角を検出する相対姿勢角検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連結車両は、牽引車両と被牽引車両間の相対姿勢角度により、車両の安定性を損なう可能性がある。このため、予め相対姿勢角度を検出し、連結車両を制御して安定性を保つことが行われている。
【0003】
従来の連結車両の相対姿勢角検出装置としては、例えば、下記の角度検出装置(1)〜(6)がある。
(1)被牽引車両(トレーラ)のフレームの下面にキングピンを中心とする所定半径Rの円弧状の磁気スケールを埋設し、トラクタ(牽引車両)のカプラ側面部に上記磁気スケールの下側に所定の間隙をもって対向する磁気センサを取り付けて、トラクタに対するトレーラのヨー角を検出している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
(2)例えば、トラクタに装着されたカプラ側にワイヤ部材の一端を固定し、トレーラ側にワイヤ部材の他端が長手方向に進退自在に支持され、ワイヤ部材がトレーラとトラクタとの間の相対的な連結角(相対姿勢角、ヨー角)の変化に伴い該他端側が長手方向に進退変位することでワイヤ案内部材に案内されて延出する。
【0005】
このワイヤ案内部材がキングピンと同心円状に形成されているため、該進退変位はトレーラとトラクタの連結角に対応していることを利用して、連結角を測定している(例えば、特許文献2参照)。
(3)また、回転角検出器の回転軸をカプラの回転軸と一致するように、例えば、トラクタ側に設置する。そして、回転角検出器の両側にはそれぞれアームの一端を取り付け、アームの他端は、トレーラ側の設置した取付台に摺動自在にしておく。これにより、走行中のローリングやピッチングは、回転検出器の回転方向には影響は与えない。
【0006】
トラクタがトレーラに対して旋回すると、アームが回転角検出器を同じ角度だけ回動させるので、回転角検出器は、トラクタとトレーラとの相対的なヨー角を検出する(例えば、特許文献3参照)。
(4)トラクタ及びトレーラにそれぞれ電子式の方向センサを搭載し、各方向センサで測定されたトラクタ及びトレーラの方位角に基づき、トラクタとトレーラとの間の相対的な屈曲角(相対姿勢角)を決定する(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
(5)例えば、トラクタに取り付けたスキャンレーザレーダによりトレーラの前面パネル上の複数点の距離と角度を検出し、これらの検出値からトラクタの後面パネルとトレーラの前面パネルの傾き角を算出することにより、トラクタとトレーラの相対的な連結角(相対姿勢角)を算出する(例えば、特許文献5参照)。
【0008】
(6)オブザーバ等が、ヨーレート、横向き加速度、及びステアリング角度等の牽引車両の動き、並びに予め記憶された車両の諸元に基づき、相対姿勢角に対応する値を推定する(例えば、特許文献6参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開8−332973号公報(第2頁、図2及び図3)
【0010】
【特許文献2】
特開平11−160063号公報(第2頁、図3)
【0011】
【特許文献3】
特開平11−278320号公報(第2頁、図6)
【0012】
【特許文献4】
特開2001−227905号公報(第2頁、図1)
【0013】
【特許文献5】
特開2001−334966号公報(第2頁、図1)
【0014】
【特許文献6】
特開平10−1037号公報(第5頁、図1)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の相対姿勢角検出装置(1)〜(4)は、頻繁に連結及び切離を繰り返したり、各種の被牽引車両を連結する連結車両においては、被牽引車両が磁気スケール、変位センサ、回転角センサ、又は方向センサ等を備えていなければならず、これらを備えていない被牽引車両に対応することができない。また、被牽引車両に磁気スケール、変位センサ、又は方向センサ等を搭載するための加工が必要になる。
【0016】
また、相対姿勢角検出装置(5)は、レーザレーダは、非常にコストが高く実用的でないという問題がある。
また、角度推定装置(6)は、精度が悪く、牽引車両の動きから推定するため応答性に問題がある。
【0017】
従って本発明は、牽引車両と被牽引車両との間の相対的な姿勢角を検出する相対姿勢角検出装置において、被牽引車両に特別な加工を施すことなく、低コストで、精度及び応答性良く相対姿勢角を検出することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の相対姿勢角検出装置は、被牽引車両と結合される牽引車両の車幅方向の位置に設置された第1及び第2の変位検出部であって、該牽引車両の第1の基準面に対して垂直方向における、該被牽引車両の第2の基準面の相対的な変位をそれぞれ検出するものと、該第1及び第2の変位検出部の検出点における該第2の基準面方向の移動変位を、それぞれ検出する第3及び第4の変位検出部と、該第1及び第2の変位検出部から該牽引車両の前後方向に所定の距離だけ離れた位置に設置された第5の変位検出部であって、該牽引車両の該第1の基準面に対する垂直方向における第2の基準面の相対的な変位を検出するものと、該第1から該第5までの変位検出部の検出結果に基づき両車両間の相対姿勢角を演算する演算部とを備えたことを特徴としている。
【0019】
また、上記の本発明において、該第1、第2、及び第5の変位検出部が、各変位を伝えるための変位伝達機構と、変位センサとを備えることができる。
また、上記の本発明において、該第3及び第4の変位検出部が、それぞれ、該第1及び第2の変位検出部の先端に設置され、該第2の基準面に接触して該移動変位に伴って回転する回転部材と、該回転部材の回転角を検出する回転角センサとを備えることができる。
【0020】
また、上記の本発明において、該相対姿勢角として、該牽引車両に対する該被牽引車両のピッチ角、ロール角、及びヨー角の内の少なくとも1つとすることができる。
また、上記の本発明において、該演算部は、該牽引車両上の座標系又は被牽引車両上の座標系に基づき該ピッチ角、該ロール角、及び該ヨー角を演算することができる。
【0021】
すなわち、本発明の相対姿勢角検出装置は、カプラを介して結合される牽引車両の殆どのフレーム上面(第1の基準面)及び被牽引車両のフレーム下面(第2の基準面)が平面であることに着目し、例えば、牽引車両のフレーム上面に、カプラを挟む形で、該牽引車両の車幅方向に互いに相対する位置に第1及び第2の変位検出部を設置し、第1及び第2の変位検出部から所定の距離だけ前方又は後方に離れた位置に、第3の変位検出部を設置する。
【0022】
第1、第2及び第5の変位検出部の変位伝達機構は、それぞれ、牽引車両のフレーム上面と被牽引車両のフレーム下面との間の該フレーム上面方向の変位を各変位センサに伝え、この変位を各変位センサが検出する。
第1及び第2の変位伝達機構の先端に設置された各回転部材は、該被牽引車両のフレーム下面に接触して、その移動変位に伴い回転する。この回転角を各回転角センサが検出する。
【0023】
これらの第1、第2、及び第5までの変位センサの検出結果、並びに第3及び第4の回転角センサの検出結果に基づき、演算部が、牽引車両及び被牽引車両の相対姿勢角、すなわち、ピッチ角、ロール角、及びヨー角を、牽引車両上に座標系又は被牽引車両の座標系に基づき演算する。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る相対姿勢角検出装置100の実施例を示しており、この相対姿勢角検出装置100は、トラクタ10のフレーム上面(第1の基準面)12の車幅方向にカプラ20を挟んだ状態で設置された変位検出部40a_1及び40a_2(以下、符号40aで総称することがある。)と、トラクタ10とトレーラ30を結合するカプラ20の後方に設置された変位検出部40bと、演算部70とで構成されている。
【0025】
変位検出部40a_1及び40a_2は、それぞれ、変位センサ50_1,50_2及び回転角センサ51_1,51_2を備え、変位検出部40bは、変位センサ50_3を備えている。
図2は、一般的なカプラ20を示しており、このカプラ20は、トラクタ10に固定されるカプラフレーム24、キングピン(図示せず)で接続されたトレーラ30の下部フレームの前部を支えるカプラベース21、このカプラベース21にトラクタ10に対してローリング及びピッチング方向の回転をそれぞれが与えるローリングアクスル22及びピッチングアクスル23を備えている。
【0026】
図3(1)は、変位検出部の構成例(1)を示しており、特に、図1に示した変位検出部40aの構成を示している。この変位検出部40aは、トレーラのフレーム下面に接触するキャスタホイール(回転部材)41、このキャスタホイール41の回転角を検出する回転角センサ51、キャスタホイール(回転部材)41を保持するキャスタホルダ42a、このキャスタホルダ42aに固着されたロッド43a、このロッド43aを上方に押し上げるリターンスプリング46、及びロッド43aの相対変位を検出する変位センサ50を備えている。
【0027】
図3(2)は、図1に示した変位検出部40bの構成例(1)を示している。この変位検出部40bが、同図(1)に示した変位検出部40aと異なる点は、回転角センサ51が無いことと、キャスタホルダ42bが回転軸中心80に回転することが可能なことである。
【0028】
図4は、変位検出部40aの構成例(2)を示しており、特に、図1に示した変位検出部40aの構成例(2)を示しており、同図(1)は側面図、同図(2)は正面図を示している。
この変位検出部が、同図(1)に示した変位検出部40aと異なる点は、ロッド43aの代わりに支点52を中心に回転することが可能なアーム44を備えていることと、変位センサ50の代わりに、アーム44の回転角に基づき変位を検出する回転型の変位センサ50bを備えていることと、リターンスプリング46の代わりに、アーム44の先端に設置されたキャスタホイール41を上方に押し上げるねじりスプリング47を備えていることである。
【0029】
図5は、変位検出部の構成例(3)を示しており、特に、図1に示した変位検出部40bの構成を示している。この変位センサ40bが、図4に示した変位検出部40aと異なる点は、アーム44の代わりに、デュアルリンクアーム45を備えていること、回転角センサ51が無いこと、及びキャスタホイール41が垂直軸を中心として回転する機構を備えていることである。
【0030】
図6は、キャスタホイール41の変形例を示しており、このキャスタホイール41は、ボール60とボールホルダ61で構成されている。
図3(2)及び図5に示した変位検出部40bのキャスタホイール41及びキャスタホルダ42bの代わりに、図6のキャスタを用いることが可能である。このとき、ボールホルダ61とロッド43b又は機構48は回転させる必要がないので、固着してもよい。
【0031】
図7は、トラクタ10の側面方向から見た変位検出部40a及び変位検出部40bの配置を示している。変位検出部40a_1及びカプラ20の反対側に隠れている変位検出部40a_2は、カプラ20のピッチングアクスル23の中心軸を含む垂直平面上又はその近傍に配置されている。
【0032】
また、変位検出部40bは、ピッチングアクスル23の中心軸からlθだけ後方の位置に配置されている。変位検出部40bの上端はトレーラ30の底面31に接している。
図8は、トラクタ10の正面方向から見た変位検出部40a_1及び40a_2の配置を示している。変位検出部40a_1及び40a_2は、ローリングアクスル22の中心軸を含む垂直平面に対してそれぞれlφだけ離れた対称な位置又はその近傍に配置されている。変位検出部40a_1及び40a_2の上端はトレーラ底面31,31’に接している。
【0033】
変位検出部40bは、カプラ20の反対側に隠れて見えないが、ローリングアクスル22の中心軸を含む垂直平面上又はその近傍に配置されている。
〔1〕牽引車両を基準とした相対姿勢角(θ,φ,ψ)の演算
変位検出部40a_1,40a_2,40bの変位センサの検出変位を、それぞれh1,h2,h3とする。
【0034】
図7において、ピッチ角θは、次式で示すことができる。
【0035】
【数1】
【0036】
図8において、ロー角φは、次式で示すことができる。
【0037】
【数2】
【0038】
一方、ヨー角ψは、キャスタホイール41の回転半径R、回転角センサ51の検出結果nと、ロール角φ、及び各変位検出部40a_1,40a_2,及び40bの設置位置(図1参照)、ピッチング等により発生する誤差αに基づき次のように計算される。
すなわち、被牽引車両30のピッチ軸となるカプラ20のピッチングアクスル23が、牽引車両10に固定されているため、同様に牽引車両に固定されている変位検出部40a_1及び40a_2のキャスタホイール41の回転角は、互いに等しい値の誤差αを含む。
【0039】
したがって、変位検出部40a_1及び40a_2からの検出結果である回転角を、それぞれn1s,n2sとし、ピッチング等により発生する回転数の誤差αを除いたキャスタホイール回転角n1r,n2rとしたときの関係式は次のようになる。
【0040】
【数3】
【0041】
【数4】
【0042】
次に、ピッチ角θ=“0”、及びロール角φ=“0”の場合であって、図9に示すようにヨー角ψが発生した場合、キャスタホイール41_1,41_2は、半径lφの円上をトレースし、このとき誤差α以外の誤差は無視できる程微少であるから、次式が成り立つ。
【0043】
【数5】
【0044】
キャスタホイール41の回転によって移動する距離(変位)は、ヨー角ψ分の円弧の長さに等しいので、キャスタホイールの半径をRとすると次式が成り立つ。
【0045】
【数6】
【0046】
図8に示したように、ロール角φが発生すると、被牽引車両30のヨー角回転軸がカプラ上面に固定されており、しかも、ヨー角回転面であるカプラ上面はカプラのローリングアクスルからhcrだけ上方にあるため、ヨー角回転中心が移動し、かつ、回転面がロール角φだけ傾くことから、左右の変位検出部40a_1,40a_2のキャスタホイール41は各々半径の異なる円周上をトレースすることになる。
【0047】
ロール角φによる中心の移動量をαrとすれば、次式が成り立つ。
【0048】
【数7】
【0049】
したがって、傾きφを考慮した回転半径は、それぞれ、次式で示すことができる。
【0050】
【数8】
【0051】
【数9】
【0052】
φ≪1であることを考慮すると、回転半径は、それぞれ、次式で示すことができる。
【0053】
【数10】
【0054】
【数11】
【0055】
したがって、回転数n1r,n2rとヨー角ψとの関係は、それぞれ、次式で示すことができる。
【0056】
【数12】
【0057】
【数13】
【0058】
したがって、この場合、左右のキャスタホイールの回転角の比n2r/n1rは、上記の式(13)を式(12)で除した次式で示すことができる。
【0059】
【数14】
【0060】
この式を変形すると回転数n1rと回転数n2rの差は、n1rを用いて次式で示すことができる。
【0061】
【数15】
【0062】
ここで、ピッチ角θにより誤差αが発生したとすると、式(3)及び式(4)から次式が成り立つ。
【0063】
【数16】
【0064】
式(3)、式(15)、及び式(16)から、誤差αは、n1s,n2s,φを用いて次式で示すことができる。
【0065】
【数17】
【0066】
したがって、次式が成立する。
【0067】
【数18】
【0068】
したがって、式(12)、式(18)より、ヨー角ψは次式で示すことができる。
【0069】
【数19】
【0070】
〔2〕相対姿勢角(θ,φ,ψ)から被牽引車両の相対姿勢角(θ t ,φ t ,ψ t )への変換
次に、連結車両の運動を考えた場合、牽引車両10の前後方向をx軸、水平方向(左右方向)をy軸、及び垂直方向をz軸とした直交座標系(x,y,z)上の変位検出部で検出された相対姿勢角(ピッチ角θ、ロール角φ、ヨー角ψ)を、被牽引車両30の前後方向をx’軸、水平方向をy’軸、垂直方向をz’軸としたを直交座標系(x’,y’,z’)を基準とした相対姿勢角(ピッチ角θt、ロール角φt、ヨー角ψt)に換算する必要がある。
【0071】
図10(1)は、3次元直交座標系を示しており、x軸は牽引車両10の前後方向に平行であり、y軸は左右方向に平行であり、z軸は垂直方向に平行であると仮定する。また、平面xoyは、被牽引車両30の基準水平面、平面x’oyは、基準水平面xoyをy軸回りにθ〔rad〕だけ回転させた平面、平面x’oy’は、さらにx’軸回りにφ〔rad〕だけ回転させた被牽引車両30のフレーム底面と平行な平面を表している。
【0072】
四角形ABCDは、平面xoy上にあり、原点oを中心とした一辺の長さが2lの正方形である。また、辺ADとy軸の交点aは、辺ADの中点であり、線分oaの長さはlである。四角形A’B’C’D’、及び四角形A”B”C”D”は、それぞれ、正方形ABCDを底面、又は水平断面とした平面xoyに垂直な四角柱の平面x’oy、及び平面x’oy’による断面を表している。
【0073】
平面x’oy’上で相対ヨー角ψが発生した場合を考え、被牽引車両30と牽引車両10の相対ロール角φtを算出する。原点oを通る直線b2c2は平面x’oy’上でy’軸と角度ψを成す。すなわち、平面x’oy’上でy’軸からz’軸回りにψ〔rad〕だけ回転した直線である。この直線b2c2は、被牽引車両30の水平軸を表している。
【0074】
求める角度は、直線b2c2と、直線b2c2を平面xoy上に投影した直線bcとの成す角bob2=φtである。
分かり易くするため、次のように補助線を引く。まず、点b2を通りx軸に平行な直線fgを引く。次に辺ADとy軸の交点aと辺A”D”とy’軸の交点a2を結ぶ直線を引く。さらに、この点a2を通りz軸に平行な直線を引き、この直線と、直線fg及び辺ADとの交点をそれぞれ点a3及び点a4とする。さらに、点aを通りz軸に平行な直線を引き、この直線と辺A”D”及び直線fgとの交点を、それぞれ、点a5及び点a6とする。
【0075】
同図(2)は、これらの辺AD,A’D’,A”D”、直線fg、及び交点a,a2〜a6,b,b2を、平面xozに投影した図である。
まず、実際に検出されるロール角は、平面yozと平面x’oy’の交線とy軸とが成す角である。これを角φ’とする。同図(1)において、角oaa5は直角であるから、次式が成り立つ。
【0076】
【数20】
【0077】
同図(2)において、直線aa5と直線a4a2は、平行であるから次式が成り立つ。
【0078】
【数21】
【0079】
角a2aoは直角であるから、次式が成り立つ。
【0080】
【数22】
【0081】
ここで、θは10°以下であるから、θ〔rad〕≪1であるとすると、cosθ≒1であると看做せるので、次式が成り立つ。
【0082】
【数23】
【0083】
すなわち、φ=φ’と看做せることが分かる。
次に、線分aa2の長さを求める。角a2aoは直角であり、角aoa2はφ〔rad〕、線分aoの長さがlであるから、次式が成り立つ。
【0084】
【数24】
【0085】
【数25】
【0086】
角aa4a2が直角であり、角aa2a4はθ〔rad〕であるから、次式が成り立つ。
【0087】
【数26】
【0088】
辺ADと直線fgが平行であることから、角a2a3b2は直角であり、角a2b2a3はθ〔rad〕であるから、次式が成り立つ。
【0089】
【数27】
【0090】
角b2a2oは直角、角a2ob2はψ〔rad〕であるから、次式が成り立つ。
【0091】
【数28】
【0092】
【数29】
【0093】
上記の式(27)〜(29)から、次式が導き出せる。
【0094】
【数30】
【0095】
線分a3a4の長さは、線分a2a4と線分a2a3の和であり、辺ADと直線fgが平行であることから線分bb2は、次式で示すことができる。
【0096】
【数31】
【0097】
ここで、角obb2は直角であるから、次式が成り立つ。
【0098】
【数32】
【0099】
ここで、φt,φ,θ≪1であることを考慮すると、次式が成り立つ。
【0100】
【数33】
【0101】
次に、相対ピッチ角θtを求める。この相対ピッチ角θtは、上記のロール角φtを求めた条件において、座標軸x,x’をy,y’に、y,y’をx,x’に、角φt,φ,θをそれぞれ角θt,θ,−φに置き換えれば同様に求められ、次式が成り立つ。
【0102】
【数34】
【0103】
次に、相対ヨー角ψtを求める。この相対ヨー角ψtは、直線b2c2を平面xoy上に投影した直線bcとy軸が成す角である。したがって、上記の式(20)及び角aa2a5が直角であること、及び式(23)から、次式が成り立つ。
【0104】
【数35】
【0105】
また、上記の式(25)及び(28)から、次式が導き出せる。
【0106】
【数36】
【0107】
したがって、線分a5b2は次式で示すことができる。
【0108】
【数37】
【0109】
この式(37)、及び角a5a6b2が直角であることから、次式が成り立つ。
【0110】
【数38】
【0111】
また、角baoが直角であることから、ヨー角ψtは、次式で示すことができる。
【0112】
【数39】
【0113】
この式(38)において、θ,φ≪1であることを考慮すると、次式が成り立つ。
【0114】
【数40】
【0115】
したがって、ヨー角ψtは、次式で示すことができる。
【0116】
【数41】
【0117】
以上により、牽引車両側で検出された相対姿勢角(φ,θ,ψ)を変換することによって得られた被牽引車両側に相対姿勢角(φt,θt,ψt)を、連結車両を制御するためのデータとして利用することが可能になる。
【0118】
【発明の効果】
本発明の相対姿勢角検出装置によれば、被牽引車両に加工又はセンサの設置をすることなく、また、連結時又は切離時に特別な作業を必要とせずに、低コストで、精度及び応答性良く連結車両の相対姿勢角を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る相対姿勢角検出装置の実施例を示した平面図である。
【図2】一般的な牽引車両と被牽引車両を結合するカプラの構成例を示した斜視図である。
【図3】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の構成例(1)を示した図である。
【図4】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の構成例(2)を示した図である。
【図5】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の構成例(3)を示した図である。
【図6】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の検出端の構成例を示した図である。
【図7】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の配置例を示した側面図図である。
【図8】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の配置例を示した正面図である。
【図9】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の配置例を示した平面図である。
【図10】本発明に係る相対姿勢角検出装置の演算部における相対姿勢角算出の原理を示した図である。
【符号の説明】
100 相対姿勢角検出装置
10 トラクタ、牽引車両 11 トラクタフレーム
12 トラクタフレーム上面、第1の基準面
20 カプラ 21,21’ カプラベース
22,22’ ローリングアクスル 23 ピッチングアクスル
24 カプラフレーム 30,30’ トレーラ、被牽引車両
31,31’ トレーラ底面、第2の基準面
40a,40a_1,40a_2,40b 変位検出部
41,41_1,41_2 回転部材、キャスタホイール
42a,42b キャスタホルダ 43a,43b ロッド
44 アーム 45 デュアルリンクアーム
46 リターンスプリング 47 ねじりスプリング
48 機構
50,50b,50c,50_1〜50_3 変位センサ
51,51_1,51_2 回転角センサ 52 支点
60 ボール 61 ボールホルダ
70 演算部 80 回転軸中心
θ,θt ピッチ角 φ,φt ロール角
ψ,ψt ヨー角
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は相対姿勢角検出装置に関し、特に牽引車両(トラクタ)と被牽引車両(トレーラ)の相対的な姿勢角を検出する相対姿勢角検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連結車両は、牽引車両と被牽引車両間の相対姿勢角度により、車両の安定性を損なう可能性がある。このため、予め相対姿勢角度を検出し、連結車両を制御して安定性を保つことが行われている。
【0003】
従来の連結車両の相対姿勢角検出装置としては、例えば、下記の角度検出装置(1)〜(6)がある。
(1)被牽引車両(トレーラ)のフレームの下面にキングピンを中心とする所定半径Rの円弧状の磁気スケールを埋設し、トラクタ(牽引車両)のカプラ側面部に上記磁気スケールの下側に所定の間隙をもって対向する磁気センサを取り付けて、トラクタに対するトレーラのヨー角を検出している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
(2)例えば、トラクタに装着されたカプラ側にワイヤ部材の一端を固定し、トレーラ側にワイヤ部材の他端が長手方向に進退自在に支持され、ワイヤ部材がトレーラとトラクタとの間の相対的な連結角(相対姿勢角、ヨー角)の変化に伴い該他端側が長手方向に進退変位することでワイヤ案内部材に案内されて延出する。
【0005】
このワイヤ案内部材がキングピンと同心円状に形成されているため、該進退変位はトレーラとトラクタの連結角に対応していることを利用して、連結角を測定している(例えば、特許文献2参照)。
(3)また、回転角検出器の回転軸をカプラの回転軸と一致するように、例えば、トラクタ側に設置する。そして、回転角検出器の両側にはそれぞれアームの一端を取り付け、アームの他端は、トレーラ側の設置した取付台に摺動自在にしておく。これにより、走行中のローリングやピッチングは、回転検出器の回転方向には影響は与えない。
【0006】
トラクタがトレーラに対して旋回すると、アームが回転角検出器を同じ角度だけ回動させるので、回転角検出器は、トラクタとトレーラとの相対的なヨー角を検出する(例えば、特許文献3参照)。
(4)トラクタ及びトレーラにそれぞれ電子式の方向センサを搭載し、各方向センサで測定されたトラクタ及びトレーラの方位角に基づき、トラクタとトレーラとの間の相対的な屈曲角(相対姿勢角)を決定する(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
(5)例えば、トラクタに取り付けたスキャンレーザレーダによりトレーラの前面パネル上の複数点の距離と角度を検出し、これらの検出値からトラクタの後面パネルとトレーラの前面パネルの傾き角を算出することにより、トラクタとトレーラの相対的な連結角(相対姿勢角)を算出する(例えば、特許文献5参照)。
【0008】
(6)オブザーバ等が、ヨーレート、横向き加速度、及びステアリング角度等の牽引車両の動き、並びに予め記憶された車両の諸元に基づき、相対姿勢角に対応する値を推定する(例えば、特許文献6参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開8−332973号公報(第2頁、図2及び図3)
【0010】
【特許文献2】
特開平11−160063号公報(第2頁、図3)
【0011】
【特許文献3】
特開平11−278320号公報(第2頁、図6)
【0012】
【特許文献4】
特開2001−227905号公報(第2頁、図1)
【0013】
【特許文献5】
特開2001−334966号公報(第2頁、図1)
【0014】
【特許文献6】
特開平10−1037号公報(第5頁、図1)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の相対姿勢角検出装置(1)〜(4)は、頻繁に連結及び切離を繰り返したり、各種の被牽引車両を連結する連結車両においては、被牽引車両が磁気スケール、変位センサ、回転角センサ、又は方向センサ等を備えていなければならず、これらを備えていない被牽引車両に対応することができない。また、被牽引車両に磁気スケール、変位センサ、又は方向センサ等を搭載するための加工が必要になる。
【0016】
また、相対姿勢角検出装置(5)は、レーザレーダは、非常にコストが高く実用的でないという問題がある。
また、角度推定装置(6)は、精度が悪く、牽引車両の動きから推定するため応答性に問題がある。
【0017】
従って本発明は、牽引車両と被牽引車両との間の相対的な姿勢角を検出する相対姿勢角検出装置において、被牽引車両に特別な加工を施すことなく、低コストで、精度及び応答性良く相対姿勢角を検出することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の相対姿勢角検出装置は、被牽引車両と結合される牽引車両の車幅方向の位置に設置された第1及び第2の変位検出部であって、該牽引車両の第1の基準面に対して垂直方向における、該被牽引車両の第2の基準面の相対的な変位をそれぞれ検出するものと、該第1及び第2の変位検出部の検出点における該第2の基準面方向の移動変位を、それぞれ検出する第3及び第4の変位検出部と、該第1及び第2の変位検出部から該牽引車両の前後方向に所定の距離だけ離れた位置に設置された第5の変位検出部であって、該牽引車両の該第1の基準面に対する垂直方向における第2の基準面の相対的な変位を検出するものと、該第1から該第5までの変位検出部の検出結果に基づき両車両間の相対姿勢角を演算する演算部とを備えたことを特徴としている。
【0019】
また、上記の本発明において、該第1、第2、及び第5の変位検出部が、各変位を伝えるための変位伝達機構と、変位センサとを備えることができる。
また、上記の本発明において、該第3及び第4の変位検出部が、それぞれ、該第1及び第2の変位検出部の先端に設置され、該第2の基準面に接触して該移動変位に伴って回転する回転部材と、該回転部材の回転角を検出する回転角センサとを備えることができる。
【0020】
また、上記の本発明において、該相対姿勢角として、該牽引車両に対する該被牽引車両のピッチ角、ロール角、及びヨー角の内の少なくとも1つとすることができる。
また、上記の本発明において、該演算部は、該牽引車両上の座標系又は被牽引車両上の座標系に基づき該ピッチ角、該ロール角、及び該ヨー角を演算することができる。
【0021】
すなわち、本発明の相対姿勢角検出装置は、カプラを介して結合される牽引車両の殆どのフレーム上面(第1の基準面)及び被牽引車両のフレーム下面(第2の基準面)が平面であることに着目し、例えば、牽引車両のフレーム上面に、カプラを挟む形で、該牽引車両の車幅方向に互いに相対する位置に第1及び第2の変位検出部を設置し、第1及び第2の変位検出部から所定の距離だけ前方又は後方に離れた位置に、第3の変位検出部を設置する。
【0022】
第1、第2及び第5の変位検出部の変位伝達機構は、それぞれ、牽引車両のフレーム上面と被牽引車両のフレーム下面との間の該フレーム上面方向の変位を各変位センサに伝え、この変位を各変位センサが検出する。
第1及び第2の変位伝達機構の先端に設置された各回転部材は、該被牽引車両のフレーム下面に接触して、その移動変位に伴い回転する。この回転角を各回転角センサが検出する。
【0023】
これらの第1、第2、及び第5までの変位センサの検出結果、並びに第3及び第4の回転角センサの検出結果に基づき、演算部が、牽引車両及び被牽引車両の相対姿勢角、すなわち、ピッチ角、ロール角、及びヨー角を、牽引車両上に座標系又は被牽引車両の座標系に基づき演算する。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る相対姿勢角検出装置100の実施例を示しており、この相対姿勢角検出装置100は、トラクタ10のフレーム上面(第1の基準面)12の車幅方向にカプラ20を挟んだ状態で設置された変位検出部40a_1及び40a_2(以下、符号40aで総称することがある。)と、トラクタ10とトレーラ30を結合するカプラ20の後方に設置された変位検出部40bと、演算部70とで構成されている。
【0025】
変位検出部40a_1及び40a_2は、それぞれ、変位センサ50_1,50_2及び回転角センサ51_1,51_2を備え、変位検出部40bは、変位センサ50_3を備えている。
図2は、一般的なカプラ20を示しており、このカプラ20は、トラクタ10に固定されるカプラフレーム24、キングピン(図示せず)で接続されたトレーラ30の下部フレームの前部を支えるカプラベース21、このカプラベース21にトラクタ10に対してローリング及びピッチング方向の回転をそれぞれが与えるローリングアクスル22及びピッチングアクスル23を備えている。
【0026】
図3(1)は、変位検出部の構成例(1)を示しており、特に、図1に示した変位検出部40aの構成を示している。この変位検出部40aは、トレーラのフレーム下面に接触するキャスタホイール(回転部材)41、このキャスタホイール41の回転角を検出する回転角センサ51、キャスタホイール(回転部材)41を保持するキャスタホルダ42a、このキャスタホルダ42aに固着されたロッド43a、このロッド43aを上方に押し上げるリターンスプリング46、及びロッド43aの相対変位を検出する変位センサ50を備えている。
【0027】
図3(2)は、図1に示した変位検出部40bの構成例(1)を示している。この変位検出部40bが、同図(1)に示した変位検出部40aと異なる点は、回転角センサ51が無いことと、キャスタホルダ42bが回転軸中心80に回転することが可能なことである。
【0028】
図4は、変位検出部40aの構成例(2)を示しており、特に、図1に示した変位検出部40aの構成例(2)を示しており、同図(1)は側面図、同図(2)は正面図を示している。
この変位検出部が、同図(1)に示した変位検出部40aと異なる点は、ロッド43aの代わりに支点52を中心に回転することが可能なアーム44を備えていることと、変位センサ50の代わりに、アーム44の回転角に基づき変位を検出する回転型の変位センサ50bを備えていることと、リターンスプリング46の代わりに、アーム44の先端に設置されたキャスタホイール41を上方に押し上げるねじりスプリング47を備えていることである。
【0029】
図5は、変位検出部の構成例(3)を示しており、特に、図1に示した変位検出部40bの構成を示している。この変位センサ40bが、図4に示した変位検出部40aと異なる点は、アーム44の代わりに、デュアルリンクアーム45を備えていること、回転角センサ51が無いこと、及びキャスタホイール41が垂直軸を中心として回転する機構を備えていることである。
【0030】
図6は、キャスタホイール41の変形例を示しており、このキャスタホイール41は、ボール60とボールホルダ61で構成されている。
図3(2)及び図5に示した変位検出部40bのキャスタホイール41及びキャスタホルダ42bの代わりに、図6のキャスタを用いることが可能である。このとき、ボールホルダ61とロッド43b又は機構48は回転させる必要がないので、固着してもよい。
【0031】
図7は、トラクタ10の側面方向から見た変位検出部40a及び変位検出部40bの配置を示している。変位検出部40a_1及びカプラ20の反対側に隠れている変位検出部40a_2は、カプラ20のピッチングアクスル23の中心軸を含む垂直平面上又はその近傍に配置されている。
【0032】
また、変位検出部40bは、ピッチングアクスル23の中心軸からlθだけ後方の位置に配置されている。変位検出部40bの上端はトレーラ30の底面31に接している。
図8は、トラクタ10の正面方向から見た変位検出部40a_1及び40a_2の配置を示している。変位検出部40a_1及び40a_2は、ローリングアクスル22の中心軸を含む垂直平面に対してそれぞれlφだけ離れた対称な位置又はその近傍に配置されている。変位検出部40a_1及び40a_2の上端はトレーラ底面31,31’に接している。
【0033】
変位検出部40bは、カプラ20の反対側に隠れて見えないが、ローリングアクスル22の中心軸を含む垂直平面上又はその近傍に配置されている。
〔1〕牽引車両を基準とした相対姿勢角(θ,φ,ψ)の演算
変位検出部40a_1,40a_2,40bの変位センサの検出変位を、それぞれh1,h2,h3とする。
【0034】
図7において、ピッチ角θは、次式で示すことができる。
【0035】
【数1】
【0036】
図8において、ロー角φは、次式で示すことができる。
【0037】
【数2】
【0038】
一方、ヨー角ψは、キャスタホイール41の回転半径R、回転角センサ51の検出結果nと、ロール角φ、及び各変位検出部40a_1,40a_2,及び40bの設置位置(図1参照)、ピッチング等により発生する誤差αに基づき次のように計算される。
すなわち、被牽引車両30のピッチ軸となるカプラ20のピッチングアクスル23が、牽引車両10に固定されているため、同様に牽引車両に固定されている変位検出部40a_1及び40a_2のキャスタホイール41の回転角は、互いに等しい値の誤差αを含む。
【0039】
したがって、変位検出部40a_1及び40a_2からの検出結果である回転角を、それぞれn1s,n2sとし、ピッチング等により発生する回転数の誤差αを除いたキャスタホイール回転角n1r,n2rとしたときの関係式は次のようになる。
【0040】
【数3】
【0041】
【数4】
【0042】
次に、ピッチ角θ=“0”、及びロール角φ=“0”の場合であって、図9に示すようにヨー角ψが発生した場合、キャスタホイール41_1,41_2は、半径lφの円上をトレースし、このとき誤差α以外の誤差は無視できる程微少であるから、次式が成り立つ。
【0043】
【数5】
【0044】
キャスタホイール41の回転によって移動する距離(変位)は、ヨー角ψ分の円弧の長さに等しいので、キャスタホイールの半径をRとすると次式が成り立つ。
【0045】
【数6】
【0046】
図8に示したように、ロール角φが発生すると、被牽引車両30のヨー角回転軸がカプラ上面に固定されており、しかも、ヨー角回転面であるカプラ上面はカプラのローリングアクスルからhcrだけ上方にあるため、ヨー角回転中心が移動し、かつ、回転面がロール角φだけ傾くことから、左右の変位検出部40a_1,40a_2のキャスタホイール41は各々半径の異なる円周上をトレースすることになる。
【0047】
ロール角φによる中心の移動量をαrとすれば、次式が成り立つ。
【0048】
【数7】
【0049】
したがって、傾きφを考慮した回転半径は、それぞれ、次式で示すことができる。
【0050】
【数8】
【0051】
【数9】
【0052】
φ≪1であることを考慮すると、回転半径は、それぞれ、次式で示すことができる。
【0053】
【数10】
【0054】
【数11】
【0055】
したがって、回転数n1r,n2rとヨー角ψとの関係は、それぞれ、次式で示すことができる。
【0056】
【数12】
【0057】
【数13】
【0058】
したがって、この場合、左右のキャスタホイールの回転角の比n2r/n1rは、上記の式(13)を式(12)で除した次式で示すことができる。
【0059】
【数14】
【0060】
この式を変形すると回転数n1rと回転数n2rの差は、n1rを用いて次式で示すことができる。
【0061】
【数15】
【0062】
ここで、ピッチ角θにより誤差αが発生したとすると、式(3)及び式(4)から次式が成り立つ。
【0063】
【数16】
【0064】
式(3)、式(15)、及び式(16)から、誤差αは、n1s,n2s,φを用いて次式で示すことができる。
【0065】
【数17】
【0066】
したがって、次式が成立する。
【0067】
【数18】
【0068】
したがって、式(12)、式(18)より、ヨー角ψは次式で示すことができる。
【0069】
【数19】
【0070】
〔2〕相対姿勢角(θ,φ,ψ)から被牽引車両の相対姿勢角(θ t ,φ t ,ψ t )への変換
次に、連結車両の運動を考えた場合、牽引車両10の前後方向をx軸、水平方向(左右方向)をy軸、及び垂直方向をz軸とした直交座標系(x,y,z)上の変位検出部で検出された相対姿勢角(ピッチ角θ、ロール角φ、ヨー角ψ)を、被牽引車両30の前後方向をx’軸、水平方向をy’軸、垂直方向をz’軸としたを直交座標系(x’,y’,z’)を基準とした相対姿勢角(ピッチ角θt、ロール角φt、ヨー角ψt)に換算する必要がある。
【0071】
図10(1)は、3次元直交座標系を示しており、x軸は牽引車両10の前後方向に平行であり、y軸は左右方向に平行であり、z軸は垂直方向に平行であると仮定する。また、平面xoyは、被牽引車両30の基準水平面、平面x’oyは、基準水平面xoyをy軸回りにθ〔rad〕だけ回転させた平面、平面x’oy’は、さらにx’軸回りにφ〔rad〕だけ回転させた被牽引車両30のフレーム底面と平行な平面を表している。
【0072】
四角形ABCDは、平面xoy上にあり、原点oを中心とした一辺の長さが2lの正方形である。また、辺ADとy軸の交点aは、辺ADの中点であり、線分oaの長さはlである。四角形A’B’C’D’、及び四角形A”B”C”D”は、それぞれ、正方形ABCDを底面、又は水平断面とした平面xoyに垂直な四角柱の平面x’oy、及び平面x’oy’による断面を表している。
【0073】
平面x’oy’上で相対ヨー角ψが発生した場合を考え、被牽引車両30と牽引車両10の相対ロール角φtを算出する。原点oを通る直線b2c2は平面x’oy’上でy’軸と角度ψを成す。すなわち、平面x’oy’上でy’軸からz’軸回りにψ〔rad〕だけ回転した直線である。この直線b2c2は、被牽引車両30の水平軸を表している。
【0074】
求める角度は、直線b2c2と、直線b2c2を平面xoy上に投影した直線bcとの成す角bob2=φtである。
分かり易くするため、次のように補助線を引く。まず、点b2を通りx軸に平行な直線fgを引く。次に辺ADとy軸の交点aと辺A”D”とy’軸の交点a2を結ぶ直線を引く。さらに、この点a2を通りz軸に平行な直線を引き、この直線と、直線fg及び辺ADとの交点をそれぞれ点a3及び点a4とする。さらに、点aを通りz軸に平行な直線を引き、この直線と辺A”D”及び直線fgとの交点を、それぞれ、点a5及び点a6とする。
【0075】
同図(2)は、これらの辺AD,A’D’,A”D”、直線fg、及び交点a,a2〜a6,b,b2を、平面xozに投影した図である。
まず、実際に検出されるロール角は、平面yozと平面x’oy’の交線とy軸とが成す角である。これを角φ’とする。同図(1)において、角oaa5は直角であるから、次式が成り立つ。
【0076】
【数20】
【0077】
同図(2)において、直線aa5と直線a4a2は、平行であるから次式が成り立つ。
【0078】
【数21】
【0079】
角a2aoは直角であるから、次式が成り立つ。
【0080】
【数22】
【0081】
ここで、θは10°以下であるから、θ〔rad〕≪1であるとすると、cosθ≒1であると看做せるので、次式が成り立つ。
【0082】
【数23】
【0083】
すなわち、φ=φ’と看做せることが分かる。
次に、線分aa2の長さを求める。角a2aoは直角であり、角aoa2はφ〔rad〕、線分aoの長さがlであるから、次式が成り立つ。
【0084】
【数24】
【0085】
【数25】
【0086】
角aa4a2が直角であり、角aa2a4はθ〔rad〕であるから、次式が成り立つ。
【0087】
【数26】
【0088】
辺ADと直線fgが平行であることから、角a2a3b2は直角であり、角a2b2a3はθ〔rad〕であるから、次式が成り立つ。
【0089】
【数27】
【0090】
角b2a2oは直角、角a2ob2はψ〔rad〕であるから、次式が成り立つ。
【0091】
【数28】
【0092】
【数29】
【0093】
上記の式(27)〜(29)から、次式が導き出せる。
【0094】
【数30】
【0095】
線分a3a4の長さは、線分a2a4と線分a2a3の和であり、辺ADと直線fgが平行であることから線分bb2は、次式で示すことができる。
【0096】
【数31】
【0097】
ここで、角obb2は直角であるから、次式が成り立つ。
【0098】
【数32】
【0099】
ここで、φt,φ,θ≪1であることを考慮すると、次式が成り立つ。
【0100】
【数33】
【0101】
次に、相対ピッチ角θtを求める。この相対ピッチ角θtは、上記のロール角φtを求めた条件において、座標軸x,x’をy,y’に、y,y’をx,x’に、角φt,φ,θをそれぞれ角θt,θ,−φに置き換えれば同様に求められ、次式が成り立つ。
【0102】
【数34】
【0103】
次に、相対ヨー角ψtを求める。この相対ヨー角ψtは、直線b2c2を平面xoy上に投影した直線bcとy軸が成す角である。したがって、上記の式(20)及び角aa2a5が直角であること、及び式(23)から、次式が成り立つ。
【0104】
【数35】
【0105】
また、上記の式(25)及び(28)から、次式が導き出せる。
【0106】
【数36】
【0107】
したがって、線分a5b2は次式で示すことができる。
【0108】
【数37】
【0109】
この式(37)、及び角a5a6b2が直角であることから、次式が成り立つ。
【0110】
【数38】
【0111】
また、角baoが直角であることから、ヨー角ψtは、次式で示すことができる。
【0112】
【数39】
【0113】
この式(38)において、θ,φ≪1であることを考慮すると、次式が成り立つ。
【0114】
【数40】
【0115】
したがって、ヨー角ψtは、次式で示すことができる。
【0116】
【数41】
【0117】
以上により、牽引車両側で検出された相対姿勢角(φ,θ,ψ)を変換することによって得られた被牽引車両側に相対姿勢角(φt,θt,ψt)を、連結車両を制御するためのデータとして利用することが可能になる。
【0118】
【発明の効果】
本発明の相対姿勢角検出装置によれば、被牽引車両に加工又はセンサの設置をすることなく、また、連結時又は切離時に特別な作業を必要とせずに、低コストで、精度及び応答性良く連結車両の相対姿勢角を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る相対姿勢角検出装置の実施例を示した平面図である。
【図2】一般的な牽引車両と被牽引車両を結合するカプラの構成例を示した斜視図である。
【図3】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の構成例(1)を示した図である。
【図4】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の構成例(2)を示した図である。
【図5】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の構成例(3)を示した図である。
【図6】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の検出端の構成例を示した図である。
【図7】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の配置例を示した側面図図である。
【図8】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の配置例を示した正面図である。
【図9】本発明に係る相対姿勢角検出装置における変位検出部の配置例を示した平面図である。
【図10】本発明に係る相対姿勢角検出装置の演算部における相対姿勢角算出の原理を示した図である。
【符号の説明】
100 相対姿勢角検出装置
10 トラクタ、牽引車両 11 トラクタフレーム
12 トラクタフレーム上面、第1の基準面
20 カプラ 21,21’ カプラベース
22,22’ ローリングアクスル 23 ピッチングアクスル
24 カプラフレーム 30,30’ トレーラ、被牽引車両
31,31’ トレーラ底面、第2の基準面
40a,40a_1,40a_2,40b 変位検出部
41,41_1,41_2 回転部材、キャスタホイール
42a,42b キャスタホルダ 43a,43b ロッド
44 アーム 45 デュアルリンクアーム
46 リターンスプリング 47 ねじりスプリング
48 機構
50,50b,50c,50_1〜50_3 変位センサ
51,51_1,51_2 回転角センサ 52 支点
60 ボール 61 ボールホルダ
70 演算部 80 回転軸中心
θ,θt ピッチ角 φ,φt ロール角
ψ,ψt ヨー角
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (5)
- 被牽引車両と結合される牽引車両の車幅方向の位置に設置された第1及び第2の変位検出部であって、該牽引車両の第1の基準面に対して垂直方向における、該被牽引車両の第2の基準面の相対的な変位をそれぞれ検出するものと、
該第1及び第2の変位検出部の検出点における該第2の基準面方向の移動変位を、それぞれ検出する第3及び第4の変位検出部と、
該第1及び第2の変位検出部から該牽引車両の前後方向に所定の距離だけ離れた位置に設置された第5の変位検出部であって、該牽引車両の該第1の基準面に対する垂直方向における第2の基準面の相対的な変位を検出するものと、
該第1から該第5までの変位検出部の検出結果に基づき両車両間の相対姿勢角を演算する演算部と、
を備えたことを特徴とする相対姿勢角検出装置。 - 請求項1において、
該第1、第2、及び第5の変位検出部が、各変位を伝えるための変位伝達機構と、変位センサとを備えたことを特徴とする相対姿勢角検出装置。 - 請求項1において、
該第3及び第4の変位検出部が、それぞれ、該第1及び第2の変位検出部の先端に設置され、該第2の基準面に接触して該移動変位に伴って回転する回転部材と、該回転部材の回転角を検出する回転角センサとを備えたことを特徴とする相対姿勢角検出装置。 - 請求項1において、
該相対姿勢角が、該牽引車両に対する該被牽引車両のピッチ角、ロール角、及びヨー角の内の少なくとも1つであることを特徴とした相対姿勢角検出装置。 - 請求項4において、
該演算部が、該牽引車両上の座標系又は被牽引車両上の座標系に基づき該ピッチ角、該ロール角、及び該ヨー角を演算することを特徴とした相対姿勢角検出装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003069689A JP2004276708A (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | 相対姿勢角検出装置 |
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| JP2003069689A JP2004276708A (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | 相対姿勢角検出装置 |
Publications (1)
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|---|---|
| JP2004276708A true JP2004276708A (ja) | 2004-10-07 |
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ID=33286647
Family Applications (1)
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| JP2003069689A Withdrawn JP2004276708A (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | 相対姿勢角検出装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004276708A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2008149607A1 (ja) * | 2007-06-08 | 2008-12-11 | Isuzu Motors Limited | 車両の横転防止装置 |
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-
2003
- 2003-03-14 JP JP2003069689A patent/JP2004276708A/ja not_active Withdrawn
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