JP2004285162A - インクジェット捺染用インク、インクジェット捺染用インクセットとそれらを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット捺染用インク、インクジェット捺染用インクセットとそれらを用いたインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、出射安定性、記録ヘッドのクリーニング性が良好で、かつ高濃度の画像が得られ、滲み耐性、色再現性に優れたインクジェット捺染用インク、インクジェット捺染用インクセットとそれらを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】少なくとも反応性染料、水及び水溶性有機溶媒を含有するインクジェット捺染用インクにおいて、該水溶性有機溶媒として、エチレングリコールを全インク質量に対して10〜50質量%含有し、かつ沸点が250℃以上の水溶性有機溶媒を3〜10質量%含有することを特徴とするインクジェット捺染用インク。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方法による布帛、特にセルロースを主体とする布帛に捺染するに適した新規のインクジェット捺染用インク、インクジェット捺染用インクセットとそれらを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式による画像の印刷方法は、インクの微小液滴をインクジェット記録ヘッドより飛翔させ、対象となる記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。インクジェット方式は、その機構が比較的簡便で、安価であり、かつ高精細で高品位な画像を形成できることが利点である。
【0003】
このインクジェット方式の利点を生かして、布帛への画像印字、いわゆるインクジェット捺染についても開発が進められている。インクジェット捺染は、従来の捺染とは異なり、版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成できる利点を有している。更に、形成画像として必要な量のインクのみを使用するため、従来方法に比較すると廃液が少ない等の環境的利点も有する優れた画像形成方法であるといえる。
【0004】
上記インクジェット捺染の中でも、セルロースを主体とする布帛への画像形成方法として、反応性染料を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0005】
インクジェット捺染の場合の重要な特性としては、その印刷物の画質として高濃度の発色ができること、画像の滲みがないことが挙げられ、インクとしては目詰まりなどの発生がなく、安定に出射できること、長期間保存しておいても安定であることが挙げられる。インクジェット捺染の場合には、特に、その中でも高濃度の発色が重要であるが、紙等を印刷対象としたインクジェット記録方法に比べて、布帛へ印字する場合には、特に画像濃度が出にくいという課題を有している。これは、吐出したインクの布内部への浸透が起こりやすいこと、印字された染料が全て定着されない等に起因している。高い画像濃度を達成する手段としては、使用するインクの染料濃度を濃くする方法が一般的に採られるが、出射時の安定性を損ねたり、インク保存安定性を劣化させる等の問題を有しているため、得られる画像濃度と、安定性を両立するまでには至っていない。
【0006】
上記課題に対し、安定にインク液滴を出射をするためのインクジェット捺染インク組成に関する様々な提案がなされており、また、染料の析出による目詰まりを防止するための方法が提案されてはいる(例えば、特許文献3参照。)が、安定出射に関して、解決されていないのが現状である。この画像濃度と安定出射は、いずれもインクジェット捺染における重要課題であるが、いまだその両方を満たす解決手段が見出されていないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
特開昭61−179271号公報 (特許請求の範囲)
【0008】
【特許文献2】
特開昭61−179269号公報 (特許請求の範囲)
【0009】
【特許文献3】
特許第3053924号明細書 (特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、出射安定性、記録ヘッドのクリーニング性が良好で、かつ高濃度の画像が得られ、滲み耐性、色再現性に優れたインクジェット捺染用インク、インクジェット捺染用インクセットとそれらを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0012】
1.少なくとも反応性染料、水及び水溶性有機溶媒を含有するインクジェット捺染用インクにおいて、該水溶性有機溶媒として、エチレングリコールを全インク質量に対して10〜50質量%含有し、かつ沸点が250℃以上の水溶性有機溶媒を3〜10質量%含有することを特徴とするインクジェット捺染用インク。
【0013】
2.前記エチレングリコールが、全インク質量に対して20〜40質量%含有することを特徴とする前記1項に記載のインクジェット捺染用インク。
【0014】
3.前記反応性染料が、全インク質量に対して6〜20質量%含有されていることを特徴とする前記1または2項に記載のインクジェット捺染用インク。
【0015】
4.前記反応性染料が、C.I.リアクティブイエロー95(イエロー染料)であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク。
【0016】
5.前記反応性染料が、C.I.リアクティブレッド24(マゼンタ染料)であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク。
【0017】
6.前記反応性染料が、C.I.リアクティブブルー72(シアン染料)であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク。
【0018】
7.少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインクからなるインクジェット捺染用インクセットにおいて、該イエローインクが前記4項に記載のインクジェット捺染用インクであり、該マゼンタインクが前記5項に記載のインクジェット捺染用インクであり、シアンインクが前記6項に記載のインクジェット捺染用インクであることを特徴とするインクジェット捺染用インクセット。
【0019】
8.セルロース繊維を主体とする布帛に、前記1〜6項のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インクを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0020】
9.セルロース繊維を主体とする布帛に、前記7項に記載のインクジェット捺染用インクセットを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0021】
10.記録後に加熱処理をすることを特徴とする前記8または9項に記載のインクジェット記録方法。
【0022】
11.記録後に水洗処理をすることを特徴とする前記8〜10項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0023】
12.ノズル径が10μm〜100μmのインクジェットヘッドを用いて記録することを特徴とする前記8〜11項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0024】
13.インク飛翔時の液滴体積が、5pl〜150plであることを特徴とする前記8〜12項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0025】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を行った結果、少なくとも反応性染料、水及び水溶性有機溶媒を含有し、水溶性有機溶媒としてエチレングリコールを全インク質量に対して10〜50質量%含有し、かつ沸点が250℃以上の水溶性有機溶媒を3〜10質量%含有するインクジェット捺染用インクにより、出射安定性、記録ヘッドのクリーニング性が良好で、かつ高濃度の画像が得られ、滲み耐性、色再現性に優れたインクジェット捺染用インクを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0026】
更に、上記構成に加えて、エチレングリコールが、全インク質量に対して20〜40質量%含有すること、反応性染料が、全インク質量に対して6〜20質量%含有されていること、反応性染料が、C.I.リアクティブイエロー95(イエロー染料)、C.I.リアクティブレッド24(マゼンタ染料)またはC.I.リアクティブブルー72(シアン染料)であることにより、上記の本発明の目的効果がより一層発揮される。
【0027】
また、上記構成からなる本発明のインクジェット捺染用インクを用いたインクジェット記録方法として、セルロース繊維を主体とする布帛に画像形成すること、記録後に加熱処理をすること、記録後に水洗処理をすること、ノズル径が10μm〜100μmのインクジェットヘッドを用いて記録すること、インク飛翔時の液滴体積が、5pl〜150plであることにより、出射安定性、記録ヘッドのクリーニング性が良好で、かつ高濃度の画像が得られ、滲み耐性、色再現性に優れたインクジェット記録方法を実現できるものである。
【0028】
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明のインクジェット捺染用インク(以降、本発明のインクともいう)について、その詳細を説明する。
【0029】
本発明のインクは、少なくとも反応性染料、水及び水溶性有機溶媒を含有し、水溶性有機溶媒としてエチレングリコールを全インク質量に対して10〜50質量%含有し、かつ沸点が250℃以上の水溶性有機溶媒を3〜10質量%含有することが特徴であり、エチレングリコールの全インク質量に対する含有量が10質量%未満では、本発明の目的効果が得られず、逆に50質量%を超えるとインク中に占める総溶媒量が多くなるため、染料の析出や微量含有される無機塩の析出による目詰まりを引き起こしやすくなる。本発明のインクでは、エチレングリコールは全インク質量に対して20〜40質量%であることがより好ましい。
【0030】
本発明のインクでは、沸点が250℃以上の水溶性有機溶媒を3〜10質量%含有することが特徴である。3質量%未満では、本発明の目的効果が得られず、10質量%を超えると、印字画像に滲みが発生しやすい。
【0031】
本発明でいう沸点250℃以上の水溶性有機溶媒としては、例えば、グリセリン(沸点290℃)、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(沸点295℃)、テトラエチレングリコール(沸点327℃)、トリプロピレングリコール(沸点268℃)、1,2,4−ブタントリオール(沸点312℃)、2,2′−チオジエタノール(沸点282℃)、トリエチレングリコール(沸点287〜288℃)等が挙げられ、その中でも、グリセリンが好ましい。
【0032】
本発明のインクで用いることのできるその他の水溶性有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類(例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、複素環類(2−ピロリドン等)、アセトニトリル等が挙げられる。
【0033】
本発明のインクでは、色材として反応性染料を用いることが特徴の1つである。反応性染料としてはアゾ系、キノン系、フタロシアニン系反応性染料等を挙げることができ、本発明で用いることのできる反応性染料の具体的化合物を以下に列挙するが、本発明はこれら例示した化合物に限定されることはない。
【0034】
〔C.I.リアクティブイエロー〕
2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176
〔C.I.リアクティブオレンジ〕
1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107
〔C.I.リアクティブレッド〕
2、3、3:1、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、226、228、235
〔C.I.リアクティブバイオレット〕
1、2、4、5、6、22、23、33、36、38
〔C.I.リアクティブブルー〕
2、3、4、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236
〔C.I.リアクティブグリーン〕
8、12、15、19、21
〔C.I.リアクティブブラウン〕
2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46
〔C.I.リアクティブブラック〕
5、8、13、14、31、34、39
等が挙げられる。
【0035】
反応性染料の反応性基としては、特に制限はないが、ビニルスルホン基、ハロゲン化トリアジル基が挙げられ、その中でもモノクロロトリアジンン基が好ましい。
【0036】
上記記載の各反応性染料の中でも、イエローインク用の染料としてはC.I.リアクティブイエロー95が好ましく、マゼンタインク用の染料としてはC.I.リアクティブレッド24が好ましく、シアンインク用の染料としてはC.I.リアクティブブルー72が好ましい。
【0037】
本発明のインクにおいて、反応性染料の含有量は全インク質量に対して6〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜18質量%である。
【0038】
本発明のインクは、その表面張力を調整するために界面活性剤を含有していてもよく、界面活性剤としては陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のものを用いることができる。陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アミン塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。また、両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリウムベタイン等が挙げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール等が挙げられる。
【0039】
これらの各界面活性剤を用いる場合、単独又は2種類以上を混合して用いることができ、インク全質量に対して0.001〜5質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0040】
本発明のインクジェット捺染用インクセットは、イエロー染料としてC.I.リアクティブイエロー95を含む本発明で規定した構成からなるイエローインクと、マゼンタ染料としてC.I.リアクティブレッド24を含む本発明で規定した構成からなるマゼンタインクと、シアン染料としてC.I.リアクティブブルー72を含む本発明で規定した構成からなるシアンインクとからなることが特徴である。
【0041】
本発明のインクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染用インクセットには、吐出安定性、インクジェット記録ヘッドやカートリッジへの適合性、保存安定性、その他諸性能向上を目的としてそれぞれの目的に適合する粘度調整剤、防腐剤、防かび剤、防さび剤、pH調整剤、染料溶解助剤、金属キレート剤等を添加することもできる。
【0042】
本発明のインクジェット記録方法においては、用いる布帛としてはセルロース繊維を主体とするものが好ましく、それらにはインク受容層が設けられていてもよい。インク受容層としては、水溶性樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール誘導体、セルロース誘導体が好ましい。インク受容層には、尿素、アルカリ化合物が含まれていてもよく、アルカリ化合物としては有機アルカリ化合物、無機アルカリ化合物が挙げられる。
【0043】
吐出されたインクジェット捺染用インクにより、画像が布帛上に形成されるが、そのままでは布帛に対する染料の染着が不十分であるため、熱処理による染料の繊維への定着処理を行うことが好ましい。熱処理の方法としては、従来公知の方法を用いることができ、インクを布帛に吐出した後に布帛を80〜170℃に加熱する工程としては、例えば、(1)記録装置の被記録体送りローラーの内部に発熱ヒーターを組込み、布帛を加熱する方法、(2)記録装置の被記録体送りローラーと布帛との間に発熱ヒーターを組み込んだ固定プラテンを設置する方法、(3)記録ヘッドに隣接して発熱源ランプを設置し、記録後に記録面側より発熱源ランプを照射する方法、(4)記録後に発熱ヒーター等により布帛を加熱する方法等が挙げられ、これらの方法を組み合わせることも可能である。
【0044】
本発明のインクジェット記録方法においては、更に未定着の反応性染料を除去する目的で、水洗処理を施すことが好ましく、水洗処理の方法としては、従来公知の水洗法、ソービング法を用いることができる。
【0045】
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録ヘッドとしては、特に制限はなく、サーマル型、ピエゾ型のいずれも用いることができる。
【0046】
本発明に用いられるインクジェット記録ヘッドのノズル径としては、形成される画像の鮮鋭性の観点から100μm以下が好ましく、また不溶物によるノズル目詰まり耐性の観点から10μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上、50μm以下である。
【0047】
本発明のインクジェット記録方法において、インク飛翔時の液滴体積としては、ヘッド近傍の気流の影響を受けにくくする観点から5pl以上が好ましく、また印字画像の粒状性の観点から150pl以下であることが好ましく、より好ましくは5〜80plである。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1
《インクの調製》
〔イエローインクY−1の調製〕
下記各添加剤を順次混合して、十分に攪拌した後、細孔径0.80μmメンブランフィルターを用いてろ過してイエローインクY−1を調製した。
【0050】
C.I.リアクティブイエロー95 15.0質量%
エチレングリコール(EG) 35.0質量%
グリセリン(Gly) 5.0質量%
プロキセルGXL(Prx アビシア株式会社製) 0.1質量%
イオン交換水 44.9質量%
〔イエローインクY−2〜Y−10、マゼンタインクM−1〜M−10及びシアンインクC−1〜C−10の調製〕
上記イエローインクY−1の調製において、反応性染料の種類と濃度、水溶性有機溶媒の種類と濃度、及びその他の添加剤を表1に記載の様に変更した以外は同様にして、イエローインクY−2〜Y−10、マゼンタインクM−1〜M−10及びシアンインクC−1〜C−10を調製した。
【0051】
以上により調製した各インクの構成を表1に示す。なお、表1に記載の各略称の詳細は、以下の通りである。
【0052】
EG:エチレングリコール
DPG:ジプロピレングリコール
Gly:グリセリン
TetraEG:テトラエチレングリコール
TriEG:トリエチレングリコール
S465:エアプロダクツ社製 界面活性剤サーフィノール465
L−62:旭電化社製 界面活性剤プルロニックL−62
Prx:アビシア社製 プロキセルGXL
また、表1に記載の数値は、全インク質量における質量%を表す。
【0053】
【表1】
Figure 2004285162
【0054】
《インクの評価》
上記調製した各インクについて、下記の方法に従って各評価を行った。
【0055】
〔出射安定性の評価〕
各インクについて、ノズル直径45μm、駆動周波数5kHz、ノズル数64のピエゾ型ヘッドを用いて出射し、下記の各特性の評価を行った。なお、駆動電圧は、各インク体積が70plとなるように適宜調整した。
【0056】
(間欠出射性の評価)
25℃、相対湿度50%の環境下で、各インクが充填されたヘッドをキャップなしで10分放置し、再出射を行った際の出射性を観察し、下記の基準に則り間欠出射性の評価を行った。
【0057】
◎:64の全ノズルが正常に出射した
○:1〜5ノズルで欠射が認められる
×:6ノズル以上で欠射が認められる
(クリーニング性の評価)
25℃、相対湿度50%の環境下で、各インクが充填されたヘッドをキャップなしで40分放置し、ヘッド部のクリーニングを行った後、再出射してその時の出射性を観察し、下記の基準に則りクリーニング性の評価を行った。
【0058】
◎:クリーニング3回以内で、64の全ノズルが正常に出射した
×:クリーニングを3回行っても、欠射が認められる
《プリント画像の形成及び評価》
〔布の前処理〕
シルケット加工した綿布に、20g/Lのアルギン酸ナトリウム、30g/Lの炭酸ナトリウム及び100g/Lの尿素を含む液体をパッド塗布(絞り率:70%)した後、乾燥した。
【0059】
〔プリント〕
上記調製した各インクを用いて、インクジェットプリンタNassengerKS−1600II(コニカ社製)を用いて、上記前処理した綿布上に各色ベタ画像をプリントした。
【0060】
〔定着処理〕
上記プリントした綿布を、25℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置した後、103℃の飽和蒸気中で12分間の定着処理を行い、次いで、冷水で5分、65℃の温水で5分間水洗した後、ソーピング剤を用いて85℃で煮沸して洗い、再度65℃の温水で5分すすぎ、そして冷水で5分すすいだ後、乾燥して、定着処理を行った。
【0061】
〔プリント画像の評価〕
(プリント画像濃度の測定)
未プリントの布をプリント布と同様の定着処理を行い、20枚重ねた上にプリント布をおき、X−rite 938 Spectordensitmeterを用いて、D65光源2度視野における各色のLを測定した。
【0062】
イエローインクを用いたプリント画像濃度については、下記の基準に則りイエロー画像濃度の判定を行った。
【0063】
○:Lが87以下
△:Lが88以上、91未満
×:Lが91以上
また、マゼンタインクを用いた場合の画像濃度について、下記の基準に則りマゼンタ画像濃度の判定を行った。
【0064】
○:Lが50以下
△:Lが51以上、65未満
×:Lが65以上
また、シアンインクを用いた場合の画像濃度について、下記の基準に則りシアン画像濃度の判定を行った。
【0065】
○:Lが60以下
△:Lが61以上、70未満
×:Lが70以上
(滲み耐性の評価)
画像濃度評価に用いた各色ベタ画像の印字部と非印字部の境界における滲み発生状況を目視観察し、下記の基準に則り滲み耐性の評価を行った。
【0066】
○:印字部と非印字部の境界で滲みが見られない
×:印字部と非印字部の境界で滲みが発生
以上により得られた結果を、表2に示す。
【0067】
【表2】
Figure 2004285162
【0068】
表2から明らかなように、本発明のインクジェット捺染用インクは、間欠時の出射性、クリーニング性が良好で、かつ綿布にプリント画像が高く、かつ滲み耐性に優れていることが分かる。
【0069】
実施例2
《インクセットの作製》
(インクセット1の作製)
実施例1で調製したイエローインクY−1、マゼンタインクM−1、シアンインクC−1の構成を、インクセット1とした。
【0070】
(インクセット2の作製)
実施例1で調製したイエローインクY−2、マゼンタインクM−2、シアンインクC−2の構成を、インクセット2とした。
【0071】
《布の前処理》
実施例1に記載の方法と同様にして、綿布の前処理を行った。
【0072】
《プリント》
インクセット1及び2を用いて、インクジェットプリンタNassengerKS−1600II(コニカ社製)を用い、それぞれのインクを対応する色の濃色インクとして搭載し、実施例1と同様の方法で、綿布上にベタ画像をプリントした。
【0073】
《定着処理》
実施例1に記載の方法と同様にして定着処理を行った。
【0074】
《プリント画像の色相評価》
未プリントの綿布をプリントした綿布と同様の定着処理を行い、20枚重ねた上にプリント布をおき、X−rite 938 Spectordensitmeterを用いて、各色のD65光源2度視野におけるL、a、bを測定した。
【0075】
(色再現域の評価)
測定したイエローインクによるベタ画像のL、a、bについて、下記の基準に則り評価した。
【0076】
基準条件:87以下
基準条件:−6以上、3以下
基準条件:80以上
○:上記のL、a、bの各基準条件の全ての条件を満たす色調
×:上記の各L、a、bの基準条件を満たすものが2つ未満
また、測定したマゼンタインクによるベタ画像のL、a、bについて、下記の基準に則り評価した。
【0077】
基準条件:50以下
基準条件:50以上
基準条件:5以上、25以下
○:上記のL、a、bの各基準条件の全ての条件を満たす色調
×:上記の各L、a、bの基準条件を満たすものが2つ未満
また、シアンインクによるベタ画像のL、a、bについて、下記の基準に則り評価した。
【0078】
基準条件:60以下
基準条件:−40以上、−10以上
基準条件:−20以下
○:上記のL、a、bの各基準条件の全ての条件を満たす色調
×:上記の各L、a、bの基準条件を満たすものが2つ未満
以上により得られた結果を、表3に示す。
【0079】
【表3】
Figure 2004285162
【0080】
表3より明らかなように、本発明のインクセットはイエロー、マゼンタ、シアンの色相バランスがよく、色再現性に優れることが分かる。
【0081】
【発明の効果】
本発明により、出射安定性、記録ヘッドのクリーニング性が良好で、かつ高濃度の画像が得られ、滲み耐性、色再現性に優れたインクジェット捺染用インク、インクジェット捺染用インクセットとそれらを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。

Claims (13)

  1. 少なくとも反応性染料、水及び水溶性有機溶媒を含有するインクジェット捺染用インクにおいて、該水溶性有機溶媒として、エチレングリコールを全インク質量に対して10〜50質量%含有し、かつ沸点が250℃以上の水溶性有機溶媒を3〜10質量%含有することを特徴とするインクジェット捺染用インク。
  2. 前記エチレングリコールが、全インク質量に対して20〜40質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット捺染用インク。
  3. 前記反応性染料が、全インク質量に対して6〜20質量%含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット捺染用インク。
  4. 前記反応性染料が、C.I.リアクティブイエロー95(イエロー染料)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク。
  5. 前記反応性染料が、C.I.リアクティブレッド24(マゼンタ染料)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク。
  6. 前記反応性染料が、C.I.リアクティブブルー72(シアン染料)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク。
  7. 少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインクからなるインクジェット捺染用インクセットにおいて、該イエローインクが請求項4に記載のインクジェット捺染用インクであり、該マゼンタインクが請求項5に記載のインクジェット捺染用インクであり、シアンインクが請求項6に記載のインクジェット捺染用インクであることを特徴とするインクジェット捺染用インクセット。
  8. セルロース繊維を主体とする布帛に、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インクを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. セルロース繊維を主体とする布帛に、請求項7に記載のインクジェット捺染用インクセットを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 記録後に加熱処理をすることを特徴とする請求項8または9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 記録後に水洗処理をすることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. ノズル径が10μm〜100μmのインクジェットヘッドを用いて記録することを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. インク飛翔時の液滴体積が、5pl〜150plであることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018047584A (ja) * 2016-09-21 2018-03-29 コニカミノルタ株式会社 インクジェット記録装置及び画質調整方法
WO2018198887A1 (en) * 2017-04-28 2018-11-01 Fujifilm Corporation Inks

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