JP2004285263A - ニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に押出成形用途において望まれているスリムホース内層の型流れ防止性に優れ、かつ良好な押出加工性とワイヤー層との接着性ならびに機械的強度を有する加硫物を与える不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体を提供すること。
【解決手段】(1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布曲線において、分子量20,000〜400,000の範囲にピークトップAを、分子量3,000,000〜10,000,000の範囲にピークトップBを少なくともそれぞれ有し、(2)第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する単量体単位を、重合体全単量体単位に対し0.03mol%以上含有して成るニトリル基含有共役ジエンゴム。
【解決手段】(1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布曲線において、分子量20,000〜400,000の範囲にピークトップAを、分子量3,000,000〜10,000,000の範囲にピークトップBを少なくともそれぞれ有し、(2)第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する単量体単位を、重合体全単量体単位に対し0.03mol%以上含有して成るニトリル基含有共役ジエンゴム。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法に関し、詳しくは、スリムホース用に好適なニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのニトリル基含有共役ジエンゴムは、耐油性に優れるため、自動車燃料ホース、オイルホースなどの耐油ホースとして用いられている(特許文献1参照)。耐油ホースは一般的に多層構造を有し、例えば、ニトリル基含有共役ジエンゴム組成物から成る最内層、金属ワイヤーから成る中間層(ワイヤー層)及びクロロプレンゴム組成物から成る最外層、の3層構造を有するものが、耐油性、耐寒性および耐候性のバランスに優れるため広く採用されている。また最近では、コストダウンのためにゴムホースの薄肉化の要求が高まり、耐油ホースも薄肉化(いわゆるスリムホース化)が検討されている。
【0003】
しかしながら、上記3層構造の耐油ホースは、最内層を薄肉化すると、成形時に内部に挿入するマンドレルからの圧力により該最内層のニトリル基含有共役ジエンゴム組成物が中間層の金属ワイヤーの隙間から最外層側に流れ出る現象、いわゆる型流れが生じる。また型流れ防止のために単にゴムの分子量を上げると、それに伴ってゴム組成物の粘度が増大し、押出加工性に劣るなどの問題が発生するおそれがあった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−304058号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような事情に鑑み、本発明の目的は、スリムホースに成形したときの上記型流れの防止性、押出加工性、ワイヤー層との接着性及び機械的強度に優れ、かつ加硫反応がより短時間で迅速に進行するニトリル基含有共役ジエンゴムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の2つの分子量範囲に、少なくとも1個ずつピークトップを有し、特定構造の単量体単位を、重合体全単量体単位に対し特定量以上含有して成るニトリル基含有共役ジエンゴムを用いることにより上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして本発明によれば、以下の1〜4の発明が提供される。
1. (1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布曲線において、分子量20,000〜400,000の範囲にピークトップAを、分子量3,000,000〜10,000,000の範囲にピークトップBを少なくともそれぞれ有し、(2)第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する単量体単位を、重合体全単量体単位に対し0.03mol%以上含有して成るニトリル基含有共役ジエンゴム。
2. 分子量3,000,000以上の成分の割合がゴム全重量の2.0〜20.0重量%である、前記1に記載のニトリル基含有共役ジエンゴム。
3. 第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する化合物を分子量調整剤として用い、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を含有して成る単量体混合物をラジカル重合し、重合反応液全体に対する前記分子量調整剤の残留量が200ppmに減少した時点以降も前記ラジカル重合を継続することを特徴とする、ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。4. 前記分子量調整剤残留量が200ppmに減少した時点以降、重合転化率がさらに5%以上増加するまでラジカル重合を継続することを特徴とする、前記3に記載のニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、
(1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布曲線において、分子量20,000〜400,000、好ましくは50,000〜300,000、より好ましくは70,000〜200,000の範囲にピークトップAを、分子量3,000,000〜10,000,000、好ましくは3,500,000〜9,000,000、より好ましくは4,000,000〜8,000,000の範囲にピークトップBを少なくともそれぞれ有し、
(2)第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する単量体単位を、重合体全単量体単位に対し0.03mol%以上含有して成ることを特徴とする。これ以下、「ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布曲線における分子量」を単に「分子量」と略記する。
【0009】
ピークトップAの分子量が20,000より小さいとニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫物の機械的特性が劣り、該分子量が400,000より大きいと押出加工性が劣る。また、ピークトップBの分子量が3,000,000より小さいと型流れ防止性に劣り、該分子量が10,000,000より大きいと押出加工性に劣る。
【0010】
また、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、分子量3,000,000以上の成分の割合がゴム全重量の好ましくは2.0〜20.0重量%、より好ましくは2.5〜18.0重量%、特に好ましくは3.0〜15.0重量%である。分子量3,000,000以上の成分の割合を上記範囲にすることにより、型流れ防止性に優れかつ押出加工性に優れたものとなる。
【0011】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する単量体単位を、重合体全単量体単位に対し0.03mol%以上、好ましくは0.07mol%以上、より好ましくは0.09mol%以上含有して成る。前記上記アルキルチオ基の含有量が0.03mol%より少な過ぎる場合は、スリムホース成形時のマンドレルの圧力により型流れが起こる可能性がある。また、該アルキルチオ基の含有量が多い程、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムを加硫成形する際に加硫反応が短時間で迅速に進行するため、スリムホースの型流れ防止性及び生産性に優れる。前記アルキルチオ基の含有量の上限値は通常1mol%である。
【0012】
上記アルキルチオ基としては、好ましくは1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基、1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−(2,2,4,4−テトラメチルペンチル)−1−エチルチオ基などが挙げられ、これらは単独でまたは両者が組み合わされてニトリル基含有共役ジエンゴム中に含有させることができる。中でも、1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基が特に好ましい。
【0013】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、
第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する化合物を分子量調整剤として用い、
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を含有して成る単量体混合物をラジカル重合することにより得られる。
【0014】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられ、中でもアクリロニトリルが好ましい。また、共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、中でも1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0015】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムには、上記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体以外に、これらと共重合可能な他の単量体を、共重合体中の単量体単位の含有量が10重量%以下となるような範囲で共重合させてもよい。
【0016】
共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその無水物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル;マレイン酸モノ(ジ)エチル、マレイン酸モノ(ジ)ブチル、フマル酸モノ(ジ)エチル、フマル酸モノ(ジ)ブチル、フマル酸モノ(ジ)シクロヘキシル、イタコン酸−n−ブチルなどのα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノ(ジ)エステル;メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;ビニルピリジンなどの複素環式芳香族ビニル単量体;ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン単量体などが挙げられる。
【0017】
分子量調整剤として使用する、第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する化合物としては、例えば、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール(以下TIBMと略記することがある)および2,2,4,6,6,8,8−ヘプタメチルノナン−4−チオールなどのアルキルチオール化合物が挙げられる。なかでも、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが特に好ましく、該チオール化合物を分子量調整剤として用いるとニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫反応がより短時間で迅速に進行する。2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールを分子量調整剤として使用することにより、ニトリル基含有共役ジエンゴム中に1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基を導入することができる。
【0018】
分子量調整剤として使用する上記アルキルチオール化合物は、それぞれ単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、ラジカル重合において分子量調整剤として一般的に用いられている他の化合物を必要に応じて併用することも可能である。この場合、上記アルキルチオール化合物は使用する分子量調整剤全重量の50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上含有される。
【0019】
ラジカル重合において分子量調整剤として知られている他の化合物としては、2,4,4−トリメチルペンタン−2−チオールやn−ドデカン−1−チオールなどのアルキルチオール化合物、キサントゲンジスルフィド類、チウラムジスルフィド類、ハロゲン化炭化水素、およびα−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが50重量%以上のものが好ましい)などを挙げることができる。
【0020】
ラジカル重合に際して使用する、上記アルキルチオール化合物を含めた分子量調整剤の使用量は、共重合に供される単量体混合物100重量部に対し、通常0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。分子量調整剤は、その全使用量の全部または一部を重合前の単量体混合物中に含有せしめ、さらに重合転化率が進んだ時点で分子量調整剤の残量を重合系に添加しても良い。添加の時期および回数は必要に応じて適宜決められる。
【0021】
ラジカル重合の方法は特に限定されず、バルク重合、溶液重合、懸濁重合あるいは乳化重合などを必要に応じて適宜選択することができる。なかでも、乳化重合が好適である。
【0022】
乳化重合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウムなどの飽和脂肪族アルカリ金属塩類;オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなどの不飽和脂肪族アルカリ金属塩類;ロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウムなどのロジン酸アルカリ金属塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩類;ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウムなどのアルキルスルホン酸アルカリ金属塩類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン系乳化剤などが挙げられる。これらの乳化剤の中でも、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩類を使用すると得られたニトリル基含有共役ジエンゴムのスリムホース作成時における型流れがさらに抑制されるため好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。これらの使用量は、通常、単量体混合物100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
【0023】
重合終了後、生成した重合体ラテックスに老化防止剤を添加し、常法に従って生成した重合体を凝固させ、水洗、乾燥することによって本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムが回収される。
【0024】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムのより好ましい製造方法、すなわち本発明の製造方法は、
第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する化合物を分子量調整剤として用い、
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を含有して成る単量体混合物をラジカル重合し、
重合反応液全体に対する前記分子量調整剤の残留量が200ppm、好ましくは150ppm、より好ましくは100ppmに減少した時点以降も前記ラジカル重合を継続することを特徴とする。
分子量調整剤の残留量が200ppmに減少した時点以降も前記ラジカル重合を継続することにより、分子量3,000,000〜10,000,000の範囲にピークトップBがより生成し易くなる。
【0025】
さらに本発明の製造方法は、前記分子量調整剤残留量が200ppmに減少した時点以降、重合温度が好ましくは5℃以上、より好ましくは12℃以上、特に好ましくは20℃以上で、重合転化率が好ましくはさらに5%以上、より好ましくはさらに7%以上、特に好ましくはさらに8%以上増加するまで重合反応を継続する。
【0026】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が好ましくは15〜150、より好ましくは30〜120である。また、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が好ましくは10〜80重量%、より好ましくは15〜60重量%であり、共役ジエン単量体単位の含有量が好ましくは90〜20重量%、より好ましくは85〜40重量%である。
【0027】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、加硫剤を配合して加硫性ゴム組成物とし、加硫成形することにより型流れ防止性及び機械的強度に優れた加硫成形体として使用することができる。
【0028】
上記の加硫性ゴム組成物に配合される加硫剤としては、ニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫剤として通常使用される加硫剤を使用することができる。このような加硫剤としては、好ましくは硫黄系加硫剤または有機過酸化物加硫剤が挙げられ、中でも、硫黄系加硫剤がより好ましい。加硫剤の配合量は特に限定されないが、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して通常0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。
【0029】
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄及び不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N′−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド及び高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物などが挙げられる。
【0030】
硫黄系加硫剤を用いる場合には、亜鉛華、ステアリン酸などの加硫助剤;グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系などの加硫促進剤を使用することができる。これらの加硫助剤及び加硫促進剤の使用量も特に限定されず、通常、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して、通常0.1〜5重量部の範囲で使用することができる。
【0031】
有機過酸化物加硫剤としては、例えば、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−及び1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。
【0032】
有機過酸化物加硫剤を用いる場合には、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどの多官能性単量体などが用いられる。これらの加硫助剤の配合量は特に限定されないが、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して通常0.5〜20重量部の範囲で使用することができる。
【0033】
さらに、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムとともに他のゴムを併用する場合には、上記以外の加硫剤として、例えば、金属石けん/硫黄系加硫剤、トリアジン/ジチオカルバミン酸塩系化合物、ポリカルボン酸/オニウム塩系化合物、ポリアミン系化合物(ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エチレンジアミンカルバメートなど)などを必要に応じて併用することができる。
【0034】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、ゴム分野において使用される通常の補強性充填剤、その他の配合剤を配合して使用することができる。
【0035】
補強性充填剤としては、例えば、各種カーボンブラック;粒径10〜15nmの超微細嵩高白色粉末状のけい酸、けい酸塩、無水けい酸塩、含水けい酸および合成けい酸塩などのシリカ;活性化炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム;塩基性炭酸マグネシウム;超微粉末けい酸マグネシウム;ハードクレー;タルク;けいそう土;アルミナなどが挙げられる。補強性充填剤の配合量は、特に限定されないが、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して通常5〜200重量部であり、好ましくは30〜150重量部、より好ましくは50〜120重量部である。
【0036】
前記の補強性充填剤とともにシランカップリング剤を配合することもできる。シランカップリング剤は従来からゴム分野で使用されているものが使用できるが、なかでもビニル基を有するシランカップリング剤は耐熱性の向上に寄与するので好ましい。シランカップリング剤の使用量は、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲が好ましい。ビニル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、N−ビニルベンジル−N’−トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン塩などが挙げられる。
【0037】
他の配合剤としては、例えば、プロセス油、可塑剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、非補強性充填剤などが挙げられる。また、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、アクリルゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0038】
上記の加硫剤、補強性充填剤、その他の配合剤などの配合方法はとくに限定されないが、ロール、バンバリーミキサーなどの通常の混合機によりニトリル基含有共役ジエンゴムと補強性充填剤、加硫剤、その他の配合剤とを混練・混合することによって製造することができる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下においては、とくに断りのない限り部及び%は重量基準である。尚、評価方法は以下の通りである。
【0040】
(1)重合途中および最終の残留アルキルチオール化合物量
ビーカー中に、2−ブタノン150ml、2−プロパノール50ml及び0.05mol/l硫酸第一鉄水溶液5mlを入れ、十分に攪拌した(この液をα液とする)。重合反応における重合途中あるいは重合終了時のα,β−不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ラテックス約4gを反応容器より密封容器に取り、精秤した後、α液に全量溶かし、密封容器をもう一度精秤してα液に溶解させたラテックス量を正確に求めた。ラテックスが溶解した液にアンモニア水を2ml添加し、0.005mol/l硝酸銀水溶液にて電位差滴定を行った。次式により重合反応液全体に対する残留量を求めた。
(重合反応液全体に対する残留量)(ppm)=(硝酸銀水溶液滴定量)(ml)×0.005(mol/l)×0.001(l/ml)×(アルキルチオール化合物分子量)(g/mol)×106/(ラテックス量)(g)
【0041】
(2)ニトリル基含有共役ジエンゴムの性状
(A)ポリマームーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
JIS K6384に従って測定した。
(B)分子量
ニトリル基含有共役ジエンゴム5mgを5mlのテトラヒドロフラン(以下THFと略記することがある)中で振とう溶解させた後、0.45μmフィルターを通して前処理し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製HLC8120GPC、カラム:TSKgel GMHHR−M(S)、示差屈折計検出器)により、溶剤としてTHFを用い、カラム温度40℃、流量1ml/min.にて、ニトリル基含有共役ジエンゴムに対する標準ポリスチレン換算のピークトップ分子量を求めた。さらに、分子量3,000,000以上の部分の面積Dの、全ピークの面積Sに対する割合(単位:重量%)を求めた。
【0042】
(C)結合1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基濃度
ニトリル基含有共役ジエンゴムをベンゼンに溶解した後、メタノール中で凝固する操作を3回繰り返して精製し、該精製ゴムについてNMR測定を行った。1H−NMR測定(400MHz)により、結合1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基中の末端メチル基のプロトンに起因するピークがδ=1.05ppm付近に検出され、さらに、13C−NMR測定(100MHz)により、該エチルチオ基中のメチレン基の炭素に起因するピークがδ=54.6ppm付近に検出される。該精製ゴム中の該エチルチオ基濃度の定量は 1H−NMR測定における末端メチル基に起因するピークの積分値と、δ=4.8〜5.8ppm付近に検出されるブタジエンの不飽和結合に結合するプロトンに起因するピークの積分値との比を用いて計算により求めた(単位:mol%)。以下、「結合1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基濃度」を「結合TIBM濃度」と略記する。
【0043】
(3)ニトリル基含有共役ジエンゴム組成物の物性
(A)コンパウンド(ゴム組成物)ムーニー粘度 前記(2)の(A)と同じ。
(B)加硫性(ODR試験)
JIS K6300に従い、オシレーティング・ディスク・レオメーター(ODR)を用いて148℃における初期加硫立ち上がり時間(t10)(単位:min.)および最大トルクMH(単位:dNm)を測定した。t10の値が小さい程加硫の立ち上がりは速く、MHの値が大きい程加硫効率が高く、加硫性に優れることを示す。
(C)MPT粘度
モンサント社製MPT(モンサント・プロセッサビリティー・テスター)を用い、長さ1.5mm、直径1.5mmのキャピラリー中に、未加硫ゴム組成物を、試験温度100℃、余熱時間5分、押出剪断速度10(s−1)の条件にて押出し、そのときの粘度を測定した。粘度の値が小さいほど、押出加工性に優れていることを示す。
(D)型流れ量
長さ15mm、直径1.5mmの細管(オリフィス)を有するチャンバーと、チャンバー内に充填した未加硫ゴム組成物を加圧できるシリンダーと、オリフィスを通して流出したゴム組成物を保持するキャビティーとを有する金型を用いた。未加硫ゴム組成物40gをチャンバー内に配置して、150℃、1.5MPaの条件で20分間、シリンダーを押圧したときに流動してオリフィスを通過し、キャビティー内に保持され、試験中に加硫されたゴム組成物の重量を測定し、型流れ量とした。値が小さいほど、流動性が小となり、良好であることを示す。
【0044】
(4)ニトリル基含有共役ジエンゴム加硫組成物の物性
未加硫ゴム組成物を148℃×30分プレス加硫して試験片を作製した。
(A)100%引張応力
JIS K6251に従って100%引張応力(MPa)を測定した。
(B)ワイヤー層との接着性
JIS K6256に従い、金属接着性を測定することで代用した。未加硫ゴム組成物を黄銅製剛板に加硫接着させ、加硫後、90度の角度で剥離試験を行った。また、ゴム部の破損の割合も測定した。
【0045】
実施例1
反応容器に、水200部、結合アクリロニトリル量が28%となる割合のアクリロニトリルと1,3−ブタジエンの合計100部を仕込み、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、分子量調整剤として2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール(TIBM)を用い、さらに活性剤として硫酸第一鉄0.015部を仕込み、十分に脱気した後、重合開始剤としてパラメンタンハイドロペルオキシド0.05部を仕込み、20℃で乳化重合を開始した。重合転化率が72%に達した時点で残留TIBM量が200ppmであることを確認した。その後反応温度を20℃に維持したまま、重合転化率が88%に達するまでさらに重合を継続した。最終残留TIBM量は51ppmであった。その後、反応容器に0.1部のヒドロキシルアミン硫酸塩と0.07部の水酸化カリウムを添加して重合を停止させた。次いで、反応容器の内容物を70℃に加温し、減圧下に水蒸気蒸留により未反応の単量体を回収し、老化防止剤(アルキル化フェノール)2部を添加し、生成したラテックスを攪拌下の凝固剤(塩化カルシウム)溶液に注ぎ共重合体ゴムを凝固させた。クラムを分離・回収、水洗した後、50℃で減圧乾燥してニトリル基含有共役ジエンゴム(この場合はアクリロニトリル−1,3−ブタジエン共重合体(以下NBRと略記することがある))を得た。
重合途中および最終の残留TIBM量、得られたニトリル基含有共役ジエンゴムの結合アクリロニトリル量、ポリマームーニー粘度、分子量、および結合1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基濃度(以下、結合TIBM量と略記することがある)を表1に記載する。
【0046】
また、下記の配合処方に従ってニトリル基含有共役ジエンゴムと各配合剤とをバンバリーミキサーおよび混練用オープンロールを用いて混練して得たゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度、加硫性(ODR試験)、MPT押出加工性、型流れ量、加硫物性、およびワイヤー層との接着性を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0047】
配合処方
NBR 100部
GPFカーボンブラック*1) 100部
酸化亜鉛*2) 5部
ステアリン酸 1部
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合体*3) 2部
ジオクチルアジペート 8部
325メッシュ硫黄 1部
シクロヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド*4) 1部
テトラメチルチウラムジスルフィド*5) 1部
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド*6) 1部
*1)東海カーボン社製 シーストV
*2)正同化学工業社製 亜鉛華1号
*3)大内新興化学工業社製 ノクラック224
*4)大内新興化学工業社製 ノクセラーCZ
*5)大内新興化学工業社製 ノクセラーTT
*6)三菱モンサント化成社製 サントガードPVI
【0048】
実施例2
重合転化率が72%に達した時点で残留TIBM量が200ppmであることを確認した以降、その後反応温度を20℃に維持したまま、重合転化率が84%に達するまでさらに重合を継続したこと以外は実施例1と同様の条件でアクリロニトリルと1,3−ブタジエンとを共重合し、NBRを得た。最終残留TIBM量は62ppmであった。
以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0049】
比較例1
分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン(以下TDMと略記することがある、フィリップス社製)を用いたこと以外は実施例1と同様の条件でアクリロニトリルと1,3−ブタジエンとを共重合した。重合転化率が72%に達した時点で残留TDM量が200ppmであることを確認した以降、その後反応温度を20℃に維持したまま、重合体転化率が88%に達するまでさらに重合を継続した。最終残留TDM量は53ppmであった。以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0050】
比較例2
重合転化率が70%に達するまでは実施例1と同様の条件でアクリロニトリルと1,3−ブタジエンとを共重合し、その時点で実施例1と同様の方法で重合を停止させた。最終残留TIBM量は213ppmであった。その後、実施例1と同様の方法でNBRを得た。以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
表1の結果から、本発明のNBR(実施例1、2)は、分子量3,000,000〜10,000,000の間にピークトップ分子量を有するピークが存在することがわかる。一方、残留TIBM量が200ppm以上の段階で反応を停止させたNBR(比較例2)は、実施例1、2とほぼ同じポリマームーニー粘度値を有していながら、分子量3,000,000〜10,000,000の間にピークトップ分子量を有するピークが存在しない。
【0053】
また、本発明のNBR(実施例1、2)は、t−ドデシルメルカプタンを分子量調整剤に使用したNBR(比較例1)と比較して100%引張応力(M100)が高く、型流れ防止性に優れ、また加硫反応がより短時間で迅速に進行することがわかる。また本発明のNBR(実施例1、2)は、分子量3,000,000〜10,000,000の間にピークトップ分子量を有するピークが存在しないNBR(比較例2)と比較して押出加工性およびワイヤー層との接着性に優れることがわかる。
【0054】
一般にニトリル基含有共役ジエンゴムのラジカル重合において、従来、汎用の分子量調整剤として使用されているt−ドデシルメルカプタンは、炭素数9〜16を有するアルキルチオール化合物の異性体の混合物であり、このような異性体の混合物を分子量調整剤として用いて得られたニトリル基含有共役ジエンゴムは、迅速に加硫反応が進行しない。
【0055】
これに対して、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法によれば、例えば、ODRを用いて測定した加硫曲線における最大トルクが高い値を示し、かつニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫反応がより短時間で迅速に進行する。
【0056】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、型流れ防止性に優れ、押出加工性に優れ、100%引張応力が高く(すなわち機械的強度に優れ)、ワイヤー層との接着性に優れ、かつ加硫反応がより短時間で迅速に進行するニトリル基含有共役ジエンゴムが提供される。このニトリル基含有共役ジエンゴムはスリムホースなどの、コンパウンドの肉厚の薄い押出成形用途に好適であって、ゴム製品の成形における生産性の向上、省力化が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明はニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法に関し、詳しくは、スリムホース用に好適なニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのニトリル基含有共役ジエンゴムは、耐油性に優れるため、自動車燃料ホース、オイルホースなどの耐油ホースとして用いられている(特許文献1参照)。耐油ホースは一般的に多層構造を有し、例えば、ニトリル基含有共役ジエンゴム組成物から成る最内層、金属ワイヤーから成る中間層(ワイヤー層)及びクロロプレンゴム組成物から成る最外層、の3層構造を有するものが、耐油性、耐寒性および耐候性のバランスに優れるため広く採用されている。また最近では、コストダウンのためにゴムホースの薄肉化の要求が高まり、耐油ホースも薄肉化(いわゆるスリムホース化)が検討されている。
【0003】
しかしながら、上記3層構造の耐油ホースは、最内層を薄肉化すると、成形時に内部に挿入するマンドレルからの圧力により該最内層のニトリル基含有共役ジエンゴム組成物が中間層の金属ワイヤーの隙間から最外層側に流れ出る現象、いわゆる型流れが生じる。また型流れ防止のために単にゴムの分子量を上げると、それに伴ってゴム組成物の粘度が増大し、押出加工性に劣るなどの問題が発生するおそれがあった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−304058号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような事情に鑑み、本発明の目的は、スリムホースに成形したときの上記型流れの防止性、押出加工性、ワイヤー層との接着性及び機械的強度に優れ、かつ加硫反応がより短時間で迅速に進行するニトリル基含有共役ジエンゴムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の2つの分子量範囲に、少なくとも1個ずつピークトップを有し、特定構造の単量体単位を、重合体全単量体単位に対し特定量以上含有して成るニトリル基含有共役ジエンゴムを用いることにより上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして本発明によれば、以下の1〜4の発明が提供される。
1. (1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布曲線において、分子量20,000〜400,000の範囲にピークトップAを、分子量3,000,000〜10,000,000の範囲にピークトップBを少なくともそれぞれ有し、(2)第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する単量体単位を、重合体全単量体単位に対し0.03mol%以上含有して成るニトリル基含有共役ジエンゴム。
2. 分子量3,000,000以上の成分の割合がゴム全重量の2.0〜20.0重量%である、前記1に記載のニトリル基含有共役ジエンゴム。
3. 第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する化合物を分子量調整剤として用い、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を含有して成る単量体混合物をラジカル重合し、重合反応液全体に対する前記分子量調整剤の残留量が200ppmに減少した時点以降も前記ラジカル重合を継続することを特徴とする、ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。4. 前記分子量調整剤残留量が200ppmに減少した時点以降、重合転化率がさらに5%以上増加するまでラジカル重合を継続することを特徴とする、前記3に記載のニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、
(1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布曲線において、分子量20,000〜400,000、好ましくは50,000〜300,000、より好ましくは70,000〜200,000の範囲にピークトップAを、分子量3,000,000〜10,000,000、好ましくは3,500,000〜9,000,000、より好ましくは4,000,000〜8,000,000の範囲にピークトップBを少なくともそれぞれ有し、
(2)第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する単量体単位を、重合体全単量体単位に対し0.03mol%以上含有して成ることを特徴とする。これ以下、「ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布曲線における分子量」を単に「分子量」と略記する。
【0009】
ピークトップAの分子量が20,000より小さいとニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫物の機械的特性が劣り、該分子量が400,000より大きいと押出加工性が劣る。また、ピークトップBの分子量が3,000,000より小さいと型流れ防止性に劣り、該分子量が10,000,000より大きいと押出加工性に劣る。
【0010】
また、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、分子量3,000,000以上の成分の割合がゴム全重量の好ましくは2.0〜20.0重量%、より好ましくは2.5〜18.0重量%、特に好ましくは3.0〜15.0重量%である。分子量3,000,000以上の成分の割合を上記範囲にすることにより、型流れ防止性に優れかつ押出加工性に優れたものとなる。
【0011】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する単量体単位を、重合体全単量体単位に対し0.03mol%以上、好ましくは0.07mol%以上、より好ましくは0.09mol%以上含有して成る。前記上記アルキルチオ基の含有量が0.03mol%より少な過ぎる場合は、スリムホース成形時のマンドレルの圧力により型流れが起こる可能性がある。また、該アルキルチオ基の含有量が多い程、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムを加硫成形する際に加硫反応が短時間で迅速に進行するため、スリムホースの型流れ防止性及び生産性に優れる。前記アルキルチオ基の含有量の上限値は通常1mol%である。
【0012】
上記アルキルチオ基としては、好ましくは1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基、1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−(2,2,4,4−テトラメチルペンチル)−1−エチルチオ基などが挙げられ、これらは単独でまたは両者が組み合わされてニトリル基含有共役ジエンゴム中に含有させることができる。中でも、1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基が特に好ましい。
【0013】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、
第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する化合物を分子量調整剤として用い、
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を含有して成る単量体混合物をラジカル重合することにより得られる。
【0014】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられ、中でもアクリロニトリルが好ましい。また、共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、中でも1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0015】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムには、上記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体以外に、これらと共重合可能な他の単量体を、共重合体中の単量体単位の含有量が10重量%以下となるような範囲で共重合させてもよい。
【0016】
共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその無水物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル;マレイン酸モノ(ジ)エチル、マレイン酸モノ(ジ)ブチル、フマル酸モノ(ジ)エチル、フマル酸モノ(ジ)ブチル、フマル酸モノ(ジ)シクロヘキシル、イタコン酸−n−ブチルなどのα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノ(ジ)エステル;メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;ビニルピリジンなどの複素環式芳香族ビニル単量体;ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン単量体などが挙げられる。
【0017】
分子量調整剤として使用する、第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する化合物としては、例えば、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール(以下TIBMと略記することがある)および2,2,4,6,6,8,8−ヘプタメチルノナン−4−チオールなどのアルキルチオール化合物が挙げられる。なかでも、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが特に好ましく、該チオール化合物を分子量調整剤として用いるとニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫反応がより短時間で迅速に進行する。2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールを分子量調整剤として使用することにより、ニトリル基含有共役ジエンゴム中に1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基を導入することができる。
【0018】
分子量調整剤として使用する上記アルキルチオール化合物は、それぞれ単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、ラジカル重合において分子量調整剤として一般的に用いられている他の化合物を必要に応じて併用することも可能である。この場合、上記アルキルチオール化合物は使用する分子量調整剤全重量の50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上含有される。
【0019】
ラジカル重合において分子量調整剤として知られている他の化合物としては、2,4,4−トリメチルペンタン−2−チオールやn−ドデカン−1−チオールなどのアルキルチオール化合物、キサントゲンジスルフィド類、チウラムジスルフィド類、ハロゲン化炭化水素、およびα−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが50重量%以上のものが好ましい)などを挙げることができる。
【0020】
ラジカル重合に際して使用する、上記アルキルチオール化合物を含めた分子量調整剤の使用量は、共重合に供される単量体混合物100重量部に対し、通常0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。分子量調整剤は、その全使用量の全部または一部を重合前の単量体混合物中に含有せしめ、さらに重合転化率が進んだ時点で分子量調整剤の残量を重合系に添加しても良い。添加の時期および回数は必要に応じて適宜決められる。
【0021】
ラジカル重合の方法は特に限定されず、バルク重合、溶液重合、懸濁重合あるいは乳化重合などを必要に応じて適宜選択することができる。なかでも、乳化重合が好適である。
【0022】
乳化重合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウムなどの飽和脂肪族アルカリ金属塩類;オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなどの不飽和脂肪族アルカリ金属塩類;ロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウムなどのロジン酸アルカリ金属塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩類;ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウムなどのアルキルスルホン酸アルカリ金属塩類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン系乳化剤などが挙げられる。これらの乳化剤の中でも、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩類を使用すると得られたニトリル基含有共役ジエンゴムのスリムホース作成時における型流れがさらに抑制されるため好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。これらの使用量は、通常、単量体混合物100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
【0023】
重合終了後、生成した重合体ラテックスに老化防止剤を添加し、常法に従って生成した重合体を凝固させ、水洗、乾燥することによって本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムが回収される。
【0024】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムのより好ましい製造方法、すなわち本発明の製造方法は、
第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する化合物を分子量調整剤として用い、
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を含有して成る単量体混合物をラジカル重合し、
重合反応液全体に対する前記分子量調整剤の残留量が200ppm、好ましくは150ppm、より好ましくは100ppmに減少した時点以降も前記ラジカル重合を継続することを特徴とする。
分子量調整剤の残留量が200ppmに減少した時点以降も前記ラジカル重合を継続することにより、分子量3,000,000〜10,000,000の範囲にピークトップBがより生成し易くなる。
【0025】
さらに本発明の製造方法は、前記分子量調整剤残留量が200ppmに減少した時点以降、重合温度が好ましくは5℃以上、より好ましくは12℃以上、特に好ましくは20℃以上で、重合転化率が好ましくはさらに5%以上、より好ましくはさらに7%以上、特に好ましくはさらに8%以上増加するまで重合反応を継続する。
【0026】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が好ましくは15〜150、より好ましくは30〜120である。また、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が好ましくは10〜80重量%、より好ましくは15〜60重量%であり、共役ジエン単量体単位の含有量が好ましくは90〜20重量%、より好ましくは85〜40重量%である。
【0027】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、加硫剤を配合して加硫性ゴム組成物とし、加硫成形することにより型流れ防止性及び機械的強度に優れた加硫成形体として使用することができる。
【0028】
上記の加硫性ゴム組成物に配合される加硫剤としては、ニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫剤として通常使用される加硫剤を使用することができる。このような加硫剤としては、好ましくは硫黄系加硫剤または有機過酸化物加硫剤が挙げられ、中でも、硫黄系加硫剤がより好ましい。加硫剤の配合量は特に限定されないが、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して通常0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。
【0029】
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄及び不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N′−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド及び高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物などが挙げられる。
【0030】
硫黄系加硫剤を用いる場合には、亜鉛華、ステアリン酸などの加硫助剤;グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系などの加硫促進剤を使用することができる。これらの加硫助剤及び加硫促進剤の使用量も特に限定されず、通常、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して、通常0.1〜5重量部の範囲で使用することができる。
【0031】
有機過酸化物加硫剤としては、例えば、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−及び1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。
【0032】
有機過酸化物加硫剤を用いる場合には、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどの多官能性単量体などが用いられる。これらの加硫助剤の配合量は特に限定されないが、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して通常0.5〜20重量部の範囲で使用することができる。
【0033】
さらに、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムとともに他のゴムを併用する場合には、上記以外の加硫剤として、例えば、金属石けん/硫黄系加硫剤、トリアジン/ジチオカルバミン酸塩系化合物、ポリカルボン酸/オニウム塩系化合物、ポリアミン系化合物(ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エチレンジアミンカルバメートなど)などを必要に応じて併用することができる。
【0034】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、ゴム分野において使用される通常の補強性充填剤、その他の配合剤を配合して使用することができる。
【0035】
補強性充填剤としては、例えば、各種カーボンブラック;粒径10〜15nmの超微細嵩高白色粉末状のけい酸、けい酸塩、無水けい酸塩、含水けい酸および合成けい酸塩などのシリカ;活性化炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム;塩基性炭酸マグネシウム;超微粉末けい酸マグネシウム;ハードクレー;タルク;けいそう土;アルミナなどが挙げられる。補強性充填剤の配合量は、特に限定されないが、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して通常5〜200重量部であり、好ましくは30〜150重量部、より好ましくは50〜120重量部である。
【0036】
前記の補強性充填剤とともにシランカップリング剤を配合することもできる。シランカップリング剤は従来からゴム分野で使用されているものが使用できるが、なかでもビニル基を有するシランカップリング剤は耐熱性の向上に寄与するので好ましい。シランカップリング剤の使用量は、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲が好ましい。ビニル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、N−ビニルベンジル−N’−トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン塩などが挙げられる。
【0037】
他の配合剤としては、例えば、プロセス油、可塑剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、非補強性充填剤などが挙げられる。また、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、アクリルゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0038】
上記の加硫剤、補強性充填剤、その他の配合剤などの配合方法はとくに限定されないが、ロール、バンバリーミキサーなどの通常の混合機によりニトリル基含有共役ジエンゴムと補強性充填剤、加硫剤、その他の配合剤とを混練・混合することによって製造することができる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下においては、とくに断りのない限り部及び%は重量基準である。尚、評価方法は以下の通りである。
【0040】
(1)重合途中および最終の残留アルキルチオール化合物量
ビーカー中に、2−ブタノン150ml、2−プロパノール50ml及び0.05mol/l硫酸第一鉄水溶液5mlを入れ、十分に攪拌した(この液をα液とする)。重合反応における重合途中あるいは重合終了時のα,β−不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ラテックス約4gを反応容器より密封容器に取り、精秤した後、α液に全量溶かし、密封容器をもう一度精秤してα液に溶解させたラテックス量を正確に求めた。ラテックスが溶解した液にアンモニア水を2ml添加し、0.005mol/l硝酸銀水溶液にて電位差滴定を行った。次式により重合反応液全体に対する残留量を求めた。
(重合反応液全体に対する残留量)(ppm)=(硝酸銀水溶液滴定量)(ml)×0.005(mol/l)×0.001(l/ml)×(アルキルチオール化合物分子量)(g/mol)×106/(ラテックス量)(g)
【0041】
(2)ニトリル基含有共役ジエンゴムの性状
(A)ポリマームーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
JIS K6384に従って測定した。
(B)分子量
ニトリル基含有共役ジエンゴム5mgを5mlのテトラヒドロフラン(以下THFと略記することがある)中で振とう溶解させた後、0.45μmフィルターを通して前処理し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製HLC8120GPC、カラム:TSKgel GMHHR−M(S)、示差屈折計検出器)により、溶剤としてTHFを用い、カラム温度40℃、流量1ml/min.にて、ニトリル基含有共役ジエンゴムに対する標準ポリスチレン換算のピークトップ分子量を求めた。さらに、分子量3,000,000以上の部分の面積Dの、全ピークの面積Sに対する割合(単位:重量%)を求めた。
【0042】
(C)結合1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基濃度
ニトリル基含有共役ジエンゴムをベンゼンに溶解した後、メタノール中で凝固する操作を3回繰り返して精製し、該精製ゴムについてNMR測定を行った。1H−NMR測定(400MHz)により、結合1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基中の末端メチル基のプロトンに起因するピークがδ=1.05ppm付近に検出され、さらに、13C−NMR測定(100MHz)により、該エチルチオ基中のメチレン基の炭素に起因するピークがδ=54.6ppm付近に検出される。該精製ゴム中の該エチルチオ基濃度の定量は 1H−NMR測定における末端メチル基に起因するピークの積分値と、δ=4.8〜5.8ppm付近に検出されるブタジエンの不飽和結合に結合するプロトンに起因するピークの積分値との比を用いて計算により求めた(単位:mol%)。以下、「結合1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基濃度」を「結合TIBM濃度」と略記する。
【0043】
(3)ニトリル基含有共役ジエンゴム組成物の物性
(A)コンパウンド(ゴム組成物)ムーニー粘度 前記(2)の(A)と同じ。
(B)加硫性(ODR試験)
JIS K6300に従い、オシレーティング・ディスク・レオメーター(ODR)を用いて148℃における初期加硫立ち上がり時間(t10)(単位:min.)および最大トルクMH(単位:dNm)を測定した。t10の値が小さい程加硫の立ち上がりは速く、MHの値が大きい程加硫効率が高く、加硫性に優れることを示す。
(C)MPT粘度
モンサント社製MPT(モンサント・プロセッサビリティー・テスター)を用い、長さ1.5mm、直径1.5mmのキャピラリー中に、未加硫ゴム組成物を、試験温度100℃、余熱時間5分、押出剪断速度10(s−1)の条件にて押出し、そのときの粘度を測定した。粘度の値が小さいほど、押出加工性に優れていることを示す。
(D)型流れ量
長さ15mm、直径1.5mmの細管(オリフィス)を有するチャンバーと、チャンバー内に充填した未加硫ゴム組成物を加圧できるシリンダーと、オリフィスを通して流出したゴム組成物を保持するキャビティーとを有する金型を用いた。未加硫ゴム組成物40gをチャンバー内に配置して、150℃、1.5MPaの条件で20分間、シリンダーを押圧したときに流動してオリフィスを通過し、キャビティー内に保持され、試験中に加硫されたゴム組成物の重量を測定し、型流れ量とした。値が小さいほど、流動性が小となり、良好であることを示す。
【0044】
(4)ニトリル基含有共役ジエンゴム加硫組成物の物性
未加硫ゴム組成物を148℃×30分プレス加硫して試験片を作製した。
(A)100%引張応力
JIS K6251に従って100%引張応力(MPa)を測定した。
(B)ワイヤー層との接着性
JIS K6256に従い、金属接着性を測定することで代用した。未加硫ゴム組成物を黄銅製剛板に加硫接着させ、加硫後、90度の角度で剥離試験を行った。また、ゴム部の破損の割合も測定した。
【0045】
実施例1
反応容器に、水200部、結合アクリロニトリル量が28%となる割合のアクリロニトリルと1,3−ブタジエンの合計100部を仕込み、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、分子量調整剤として2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール(TIBM)を用い、さらに活性剤として硫酸第一鉄0.015部を仕込み、十分に脱気した後、重合開始剤としてパラメンタンハイドロペルオキシド0.05部を仕込み、20℃で乳化重合を開始した。重合転化率が72%に達した時点で残留TIBM量が200ppmであることを確認した。その後反応温度を20℃に維持したまま、重合転化率が88%に達するまでさらに重合を継続した。最終残留TIBM量は51ppmであった。その後、反応容器に0.1部のヒドロキシルアミン硫酸塩と0.07部の水酸化カリウムを添加して重合を停止させた。次いで、反応容器の内容物を70℃に加温し、減圧下に水蒸気蒸留により未反応の単量体を回収し、老化防止剤(アルキル化フェノール)2部を添加し、生成したラテックスを攪拌下の凝固剤(塩化カルシウム)溶液に注ぎ共重合体ゴムを凝固させた。クラムを分離・回収、水洗した後、50℃で減圧乾燥してニトリル基含有共役ジエンゴム(この場合はアクリロニトリル−1,3−ブタジエン共重合体(以下NBRと略記することがある))を得た。
重合途中および最終の残留TIBM量、得られたニトリル基含有共役ジエンゴムの結合アクリロニトリル量、ポリマームーニー粘度、分子量、および結合1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基濃度(以下、結合TIBM量と略記することがある)を表1に記載する。
【0046】
また、下記の配合処方に従ってニトリル基含有共役ジエンゴムと各配合剤とをバンバリーミキサーおよび混練用オープンロールを用いて混練して得たゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度、加硫性(ODR試験)、MPT押出加工性、型流れ量、加硫物性、およびワイヤー層との接着性を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0047】
配合処方
NBR 100部
GPFカーボンブラック*1) 100部
酸化亜鉛*2) 5部
ステアリン酸 1部
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合体*3) 2部
ジオクチルアジペート 8部
325メッシュ硫黄 1部
シクロヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド*4) 1部
テトラメチルチウラムジスルフィド*5) 1部
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド*6) 1部
*1)東海カーボン社製 シーストV
*2)正同化学工業社製 亜鉛華1号
*3)大内新興化学工業社製 ノクラック224
*4)大内新興化学工業社製 ノクセラーCZ
*5)大内新興化学工業社製 ノクセラーTT
*6)三菱モンサント化成社製 サントガードPVI
【0048】
実施例2
重合転化率が72%に達した時点で残留TIBM量が200ppmであることを確認した以降、その後反応温度を20℃に維持したまま、重合転化率が84%に達するまでさらに重合を継続したこと以外は実施例1と同様の条件でアクリロニトリルと1,3−ブタジエンとを共重合し、NBRを得た。最終残留TIBM量は62ppmであった。
以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0049】
比較例1
分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン(以下TDMと略記することがある、フィリップス社製)を用いたこと以外は実施例1と同様の条件でアクリロニトリルと1,3−ブタジエンとを共重合した。重合転化率が72%に達した時点で残留TDM量が200ppmであることを確認した以降、その後反応温度を20℃に維持したまま、重合体転化率が88%に達するまでさらに重合を継続した。最終残留TDM量は53ppmであった。以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0050】
比較例2
重合転化率が70%に達するまでは実施例1と同様の条件でアクリロニトリルと1,3−ブタジエンとを共重合し、その時点で実施例1と同様の方法で重合を停止させた。最終残留TIBM量は213ppmであった。その後、実施例1と同様の方法でNBRを得た。以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
表1の結果から、本発明のNBR(実施例1、2)は、分子量3,000,000〜10,000,000の間にピークトップ分子量を有するピークが存在することがわかる。一方、残留TIBM量が200ppm以上の段階で反応を停止させたNBR(比較例2)は、実施例1、2とほぼ同じポリマームーニー粘度値を有していながら、分子量3,000,000〜10,000,000の間にピークトップ分子量を有するピークが存在しない。
【0053】
また、本発明のNBR(実施例1、2)は、t−ドデシルメルカプタンを分子量調整剤に使用したNBR(比較例1)と比較して100%引張応力(M100)が高く、型流れ防止性に優れ、また加硫反応がより短時間で迅速に進行することがわかる。また本発明のNBR(実施例1、2)は、分子量3,000,000〜10,000,000の間にピークトップ分子量を有するピークが存在しないNBR(比較例2)と比較して押出加工性およびワイヤー層との接着性に優れることがわかる。
【0054】
一般にニトリル基含有共役ジエンゴムのラジカル重合において、従来、汎用の分子量調整剤として使用されているt−ドデシルメルカプタンは、炭素数9〜16を有するアルキルチオール化合物の異性体の混合物であり、このような異性体の混合物を分子量調整剤として用いて得られたニトリル基含有共役ジエンゴムは、迅速に加硫反応が進行しない。
【0055】
これに対して、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法によれば、例えば、ODRを用いて測定した加硫曲線における最大トルクが高い値を示し、かつニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫反応がより短時間で迅速に進行する。
【0056】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、型流れ防止性に優れ、押出加工性に優れ、100%引張応力が高く(すなわち機械的強度に優れ)、ワイヤー層との接着性に優れ、かつ加硫反応がより短時間で迅速に進行するニトリル基含有共役ジエンゴムが提供される。このニトリル基含有共役ジエンゴムはスリムホースなどの、コンパウンドの肉厚の薄い押出成形用途に好適であって、ゴム製品の成形における生産性の向上、省力化が可能となる。
Claims (4)
- (1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布曲線において、分子量20,000〜400,000の範囲にピークトップAを、分子量3,000,000〜10,000,000の範囲にピークトップBを少なくともそれぞれ有し、
(2)第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する単量体単位を、重合体全単量体単位に対し0.03mol%以上含有して成るニトリル基含有共役ジエンゴム。 - 分子量3,000,000以上の成分の割合がゴム全重量の2.0〜20.0重量%である、請求項1に記載のニトリル基含有共役ジエンゴム。
- 第3級炭素原子を3個以上含み、前記第3級炭素原子の少なくとも1個に硫黄原子が直接結合した炭素数12〜16のアルキルチオ基を有する化合物を分子量調整剤として用い、
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を含有して成る単量体混合物をラジカル重合し、
重合反応液全体に対する前記分子量調整剤の残留量が200ppmに減少した時点以降も前記ラジカル重合を継続することを特徴とする、ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。 - 前記分子量調整剤残留量が200ppmに減少した時点以降、重合転化率がさらに5%以上増加するまでラジカル重合を継続することを特徴とする、請求項3に記載のニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
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