JP2004337419A - 歯科用暫間被覆冠、および暫間被覆法冠の仮着方法 - Google Patents

歯科用暫間被覆冠、および暫間被覆法冠の仮着方法 Download PDF

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Abstract

【課題】歯科用暫間被覆冠に形状記憶機能を付与することによって、支台歯を容易にかつ緊密に被覆することが可能な新規の暫間被覆法を実現する。
【解決手段】歯科用暫間被覆冠に形状記憶機能を付与し、形成された支台歯よりも内腔がひとまわり小さめの形状に成型した歯科用暫間被覆冠を加熱軟化し、内腔を支台歯よりもひとまわり大きな形状に拡大変形し、さらに冷却することによって変形を固定し、既成被覆冠を得る。これを支台歯に被覆すると、口腔内温度による刺激によって形状が回復しながら支台歯に密着していき、支台歯を緊密に被覆する。歯科用暫間被覆冠によって、仮着用セメント無しで支台歯を容易にかつ緊密に被覆し、また容易に除去が行える新規の暫間被覆法を実現したものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、歯科の保存治療や補綴治療における歯科用暫間被覆冠およびこれを使用した暫間被覆法に関する。より詳しくは、形状記憶機能を付与した歯科用暫間被覆冠を用いた暫間被覆法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、歯科臨床で行われている歯科用暫間被覆冠作成法および仮着法についての一般的な方法は、例えば非特許文献1(第85〜87頁)に記載されているように、既に完成している既成のキャップを口腔内で調整する直接法と、あらかじめスタディモデル上で作製しておく間接法、そして支台歯形成前の印象内に常温重合レジンを填入し、支台歯に圧接成形する方法などがある。既成のレジンキャップはポリカーボネイト製が多く、また、いずれの方法も常温重合レジンを用いて、支台歯に圧接することによって最終的な適合をはかる。作製した歯科用暫間被覆冠を支台歯に仮着するためには、仮着用セメントを用いる。
【0003】
直接法や印象を用いた方法は、未重合の常温重合レジンを口腔内で重合させるため、その際に生じるモノマー臭やレジンの重合熱によって患者に不快感を与えてしまい、また、常温重合レジンで支台歯を直接圧接して重合させるので、最悪の場合は、モノマー自体の刺激や重合熱による刺激によって歯髄の炎症を惹起してしまう危険性もある。一方、間接法は印象採得や模型作製などの操作が増えてしまい迅速な対応には不向きである。さらに、いずれの方法も支台歯表面に塗布した分離剤や仮着時に用いた仮着用セメントの除去が煩雑であり、分離剤や仮着用セメントの影響によって、最終的な補綴物を装着するために用いる合着用セメントの歯質への接着力が低下してしまうことが危惧される。
【0004】
特開2000−262541号(以下、特許文献1という)、特開2001−46405号(以下、特許文献2という)、特開2002−291772号(以下、特許文献3という)に、常温重合レジンを暫間被覆冠の内面に盛って、未硬化のうちに暫間被覆冠を支台歯に圧接し常温重合レジンを硬化させるという記載があるが(特許文献1の第006〜0010段落、及び特許文献1の第0011〜0013段落の発明の実施の形態、特許文献2の第0009段落の発明を解決する手段、及び特許文献2の第0014段落の発明の実施の形態、特許文献3の第0013段落、及び特許文献3の第0017段落の発明の実施の形態)、これらの方法でも同様に、モノマー臭やレジンの重合熱が患者に不快感を与えてしまうことや、モノマー自体の刺激や重合熱による刺激が歯髄の炎症を惹起してしまうことが懸念される。
【0005】
また、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されている方法で暫間被覆冠を作製した場合にも、非特許文献1(第85〜87頁)に記載されているように、支台歯表面への分離剤の塗布や、仮着のための仮着用セメントが必要となってくるが、同様に支台歯表面に塗布した分離剤や仮着時に用いた仮着用セメントの除去のための操作が必要となり、また、分離剤や仮着用セメントの影響によって、最終的な補綴物を装着するために用いる合着用セメントの歯質への接着力が低下してしまうことが危惧される。
【0006】
特開2003−52722号(以下、特許文献4という)には、歯冠補綴物の補助維持装置に形状記憶合金を使用しているが、この装置を作製するためにワックスパターンの作製および鋳造操作の必要性についての記載があり(特許文献4の第0016〜0026段落)、これらの操作は、時間や費用がかかってしまい歯科用暫間被覆冠には不向きである。
【0007】
【非特許文献1】
羽賀 通夫、他23名 標準クラウン・ブリッジ補綴学(5.テンポラリークラウン・ブリッジ)、日本、医学書院、1989年8月1日
【特許文献1】
特開2000−262541号(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−46405号(第3〜5頁、図1)
【特許文献3】
特開2002−291772号(第3〜4頁、図1)
【特許文献4】
特開2003−52722号(第4〜5頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在の臨床で行われている歯科用暫間被覆冠の作製法及び仮着法の手順については、非特許文献1に記載があるが、これらの作業には、常温重合レジンを硬化させる時間、形態修正のための切削の時間、研磨にかかる時間、仮着用セメントを練和する時間、仮着用セメントが硬化する時間、余剰な仮着用セメントを除去する時間などが必要であり、合計すると所要時間が30分を超えることが多い。
【0009】
また、歯科用暫間被覆冠の内面を支台歯に適合させるため、歯科用暫間被覆冠の内面に未重合の常温重合レジンを盛って、支台歯に圧接して重合させる。常温重合レジンは、粉末と液とを混ぜあわせたものを筆積み法で既成冠の内面に盛り、支台歯に圧接して硬化させる。一般的に粉末の組成はポリメチルメタクリレートと重合開始剤、液の組成はメチルメタクリレートモノマーと活性剤であり、液から発生するモノマー臭は、かなりの刺激臭であるために患者が不快に感じる場合が多い。また、重合時に発生する重合熱は、混液比や肉厚にもよるが、かなり熱くなるため、患者へ不快感を与えてしまうことが懸念される。
【0010】
更に、最悪の場合には、モノマー自体が歯髄を刺激したり、重合時に発生した重合熱が歯髄を刺激したりすることによって、歯髄に炎症を惹起してしまい、激しい疼痛を引き起こし抜髄処置が必要となる危険性がある。
【0011】
歯科用暫間被覆冠の内面に常温重合レジンを盛って支台歯に圧接する際に、常温重合レジンが支台歯に接着しないように分離材を支台歯に塗布したり、あるいは仮着用セメントを用いて暫間被覆冠を支台歯に仮着したりするが、分離剤や仮着用セメントを支台歯表面から除去する操作は非常に煩雑であり、また、分離剤や仮着用セメントの影響によって、最終的な補綴物を装着するために用いる合着用セメントの歯質への接着力が低下してしまうことが危惧される。
【0012】
既成冠を支台歯に適合させていく場合、常温重合レジンを添加したり、切削用器具で切削したりして調整していくが、切削は診療台に備え付けられたマイクロモーターを用いて行うのが一般的であり、切削時の切削片の飛沫により、患者、歯科医師、あるいは診療台の周囲が不潔になってしまいやすい。
【0013】
本発明は、現在一般的に行われている歯科用暫間被覆冠の作製法および仮着法の欠点を克服するものであり、形状記憶樹脂を用いて歯科用暫間被覆冠を記憶成型し、簡単な操作で、しかも仮着用セメントを用いずに支台歯を被覆する歯科用暫間被覆冠および暫間被覆冠の仮着方法を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、形状記憶機能を付与し、歯冠の形態をした歯科用暫間被覆冠を作製し、顎模型を用いて仮着および除去についての研究を行った結果、簡単な操作で歯科用暫間被覆冠の仮着や除去が可能であることがわかり、上記課題を解決した。
【0015】
形成された支台歯よりも内腔がひとまわり小さめの形状に記憶成型した歯科用暫間被覆冠を45〜100℃で加熱軟化し、変形用器具を用いて内腔を支台歯よりもひとまわり大きな形状に拡大変形し、さらに−20〜10℃で冷却することによって変形を固定した後、歯科用暫間被覆冠を変形用器具から除去して支台歯を被覆すると、口腔内温度または加熱による刺激によって形状が回復しながら支台歯に密着していき、支台歯を緊密に被覆することが可能となることを特徴とする歯科用暫間被覆冠によって、仮着用セメント無しで支台歯を容易にかつ緊密に被覆し、また容易に歯科用暫間被覆冠の除去が行える新規の暫間被覆冠の仮着方法を実現したものである。
【0016】
本発明の架橋剤としては硫黄、ジクミルペルオキサイド、ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ化合物、シラン化合物、金属キレート化合物が挙げられる。
本発明の加硫促進剤としては酸化亜鉛、ステアリン酸が挙げられる。
【0017】
本発明の形状記憶樹脂となる樹脂は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、トランスポリイソプレン、ポリウレタン樹脂、ハイスチレン樹脂、ポリノルボルネン系樹脂がある。
【0018】
本発明の歯科用暫間被覆冠は、形状記憶樹脂で構成されている。この形状記憶樹脂が、例えばトランスポリイソプレンと、架橋剤と、加硫促進剤とを主成分として、これらを架橋させるものも含む。形状記憶樹脂となる樹脂100部に対して架橋剤1.0〜12部、より好ましくは5〜10部、加硫促進剤20〜40部の組成のものが好ましい。
架橋剤としては硫黄とジクミルペルオキサイドとの組成比が1/4〜1/12が好ましい。
【0019】
また、この形状記憶樹脂が口腔内温度の温度刺激によって、変形された形状を元来の記憶されていた固定形状に復元するものも本発明の歯科用暫間被覆冠である。
【0020】
本発明の歯科用暫間被覆冠は、形状記憶樹脂から作成した既製被覆冠を、口腔内温度を含む30〜60℃好ましくは35〜45℃で復元するものである。
この形状記憶樹脂がトランスポリイソプレンを架橋剤と、加硫促進剤とを用いて架橋してなる歯科用暫間被覆冠を含む。
また、本発明の歯科用暫間被覆冠は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリウレタン樹脂、ハイスチレン樹脂、ポリノルボルネン系樹脂の少なくとも一種から選ばれた形状記憶樹脂から作成した既製被覆冠を、口腔内温度を含む30〜60℃で復元するものも含まれる。
本発明の既製被覆冠は、これらの形状記憶樹脂を用いて、歯科用暫間被覆冠として部位ごとの歯冠の形状、歯冠の大きさ、内腔の大きさに記憶成型し、これらの歯科用暫間被覆冠を45〜100℃に加熱軟化し、内腔の大きさより大きくまたは支台歯を被覆可能な形状に変形し、−20〜10℃で冷却することによって変形を固定して作成したものである。
【0021】
本発明の歯科用暫間被覆冠の仮着方法は、既製被覆冠を支台歯に被せ、口腔内温度を含む30〜60℃好ましくは35〜45℃で記憶形状に復元し、支台歯を緊密に被覆することによって、最終補綴物を装着するまで暫間的に支台歯を被覆することにより実施するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の歯科用暫間被覆冠が、口腔内温度による刺激によって支台歯を緊密に被覆し、仮着された状態を図1に示す。この時点で、咬合およびコンタクトの状態を観察し、咬合が高かったりコンタクトがきつかったりした場合は、口腔内で仮着したまま、切削用器具や研磨用器具を用いて調整及び仕上げ研磨を行う。
【0023】
本発明の形状記憶機能を持つ歯科用暫間被覆冠は、形状記憶樹脂となる樹脂例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、トランスポリイソプレン、ポリウレタン樹脂、ハイスチレン樹脂、ポリノルボルネン系樹脂を原料として、必要に応じて架橋剤例えば硫黄、ジクミルペルオキサイド、ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ化合物、シラン化合物、金属キレート化合物、および/または加硫促進剤例えば酸化亜鉛、ステアリン酸から構成されている。
【0024】
形状記憶樹脂となる樹脂トランスポリイソプレンに、架橋剤として硫黄、ジクミルペルオキサイド、加硫促進剤として酸化亜鉛、ステアリン酸を用いた場合について述べる。これらの成分をオープンローラー、バンバリーミキサー、押し出し機などを用いて混練りする。できるだけ分子を切断しないように混練することが好ましい。未架橋ゴムを得る。部位ごとの歯冠の形状、また、それぞれの部位について数段階の歯冠の大きさの金型を用意する。これらの金型(21)に混練した未架橋ゴムを填入し、圧子(22)を用いて未架橋ゴムを圧接し、5〜50kgfの荷重(33)をかける(図3)。この状態で、150〜160℃で30分〜3時間の加硫処置を行い歯科用暫間被覆冠(31)の記憶成形を行う。
【0025】
他方、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(たとえば、旭化成社製、「アスマー」)、トランスポリイソプレン、ポリウレタン樹脂(たとえば、三菱重工製、「ダイアリン」)、ハイスチレン樹脂、ポリノルボルネン系樹脂(たとえば、ORKEM社製、フランス、「ノーソックス」)、ポリエステルアロイ(たとえば、日本ゼオン社製、「シェイブルAシリーズ」)の少なくとも一種から選ばれた形状記憶樹脂を用いた場合について述べる。これらの樹脂は熱可塑性であり、これを成形温度120〜200℃にて射出成形、圧縮成型などの方法により、歯科用暫間被覆冠を記憶成形する。部位ごとの歯冠の形状、歯冠の大きさ、内腔の大きさに記憶成型できる金型を用いて、量産することができる。
【0026】
得られたこれらの歯科用暫間被覆冠(41)を45〜100℃に加熱軟化し、内腔の大きさより大きくまたは支台歯を被覆可能な形状に変形用器具(42)を用いて変形し、−20〜10℃で冷却することによって変形を固定して既成被覆冠を作製する。
変形用器具(42)を用いて歯科用暫間被覆冠(41)の内腔を変形させている状態を図4に示している。
【0027】
既成被覆冠で支台歯を被った状態を図5に示す。この後、口腔内温度による刺激によって固定形状に復元し、図1に示すように支台歯を緊密に被覆して仮着される。
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕
歯科用暫間被覆冠の成分を以下の組成比に調製した。
トランスポリイソプレン100部
酸化亜鉛30部
ステアリン酸1部
硫黄1.25部
ジクミルペルオキサイド7.5部
【0029】
これらの成分の混練りを行って未架橋ゴムを作製し、これを金型、たとえば、図2に示すような金型(21)に填入し、圧子、たとえば、図2に示すような圧子(22)で圧接した後、5〜50kgfの荷重をかけ、150〜160℃で30分〜3時間の加硫処置を行い、記憶成形を行って、歯科用暫間被覆冠を得た。
【0030】
〔実施例2〕
歯科用暫間被覆冠の成分を以下の組成比に調製した。
トランスポリイソプレン100部
酸化亜鉛40部
ステアリン酸1部
硫黄0.4部
ジクミルペルオキサイド2.5部
以上の配合例で、実施例1と同様な手順に従って記憶成形を行って、歯科用暫間被覆冠を得た。
【0031】
〔実地例3〕
歯科用暫間被覆冠の成分を以下の組成比に調製した。
トランスポリイソプレン100部
酸化亜鉛50部
ステアリン酸1部
硫黄0.8部
ジクミルペルオキサイド4.0部
以上の配合例で、実施例1と同様な手順に従って記憶成形を行って、歯科用暫間被覆冠を得た。
【0032】
〔実施例4〕
歯科用暫間被覆冠の成分を以下の組成比に調製した。
トランスポリイソプレン100部
酸化亜鉛30部
ステアリン酸1部
硫黄1.1部
ジクミルペルオキサイド6.6部
以上の配合例で、実施例1と同様な手順に従って記憶成形を行って、歯科用暫間被覆冠を得た。
【0033】
〔実施例5〕
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を130〜200℃で加熱し、これを金型、たとえば、図2に示すような金型(21)に填入し、圧子、たとえば、図2に示すような圧子(22)で圧接した後、5〜50kgfの荷重をかけ、60℃以下までの冷却処置を行い、記憶成形を行って、歯科用暫間被覆冠を得た。
【0034】
〔実施例6〕
ポリウレタン樹脂を130〜200℃で加熱し、これを金型、たとえば、図2に示すような金型(21)に填入し、圧子、たとえば、図2に示すような圧子(22)で圧接した後、5〜50kgfの荷重をかけ、40℃以下までの冷却処置を行い、記憶成形を行って、歯科用暫間被覆冠を得た。
【0035】
〔実施例7〕
ハイスチレン樹脂を130〜200℃で加熱し、これを金型、たとえば、図2に示すような金型(21)に填入し、圧子、たとえば、図2に示すような圧子(22)で圧接した後、5〜50kgfの荷重をかけ、60℃以下までの冷却処置を行い歯科用暫間被覆冠の記憶成形を行った。
【0036】
〔実施例8〕
ポリノルボルネン系樹脂を130〜170℃で加熱し、これを金型、たとえば、図2に示すような金型(21)に填入し、圧子、たとえば、図2に示すような圧子(22)で圧接した後、5〜50kgfの荷重をかけ、35℃以下までの冷却処置を行い、記憶成形を行って、歯科用暫間被覆冠を得た。
【0037】
〔実施例9〕
ポリエステルアロイを130〜180℃で加熱し、これを金型、たとえば、図2に示すような金型(21)に填入し、圧子、たとえば、図2に示すような圧子(22)で圧接した後、5〜50kgfの荷重をかけ、35℃以下までの冷却処置を行い、記憶成形を行って、歯科用暫間被覆冠を得た。
【0038】
〔実施例10〕
実施例1〜実施例9に従って記憶成形した歯科用暫間被覆冠の内腔を各種の既成被覆冠に変形した。数段階の変形用器具を用いて、顎模型上の形成された人工歯からなる支台歯よりひとまわり大きな形状に変形し、そのままの状態で冷蔵庫の冷凍部(−18〜−15℃)、チルト部(−5〜−0℃)または冷蔵部(4〜−8℃)に入れて冷却し、形状を固定し、既製被覆冠を作成した。
【0039】
〔実施例11〕
以上の方法で作製した既成被覆冠を用いて、口腔内温度雰囲気中に存在する模型上の支台歯に被覆した。これらを、小型赤外線ランプにより口腔内温度である35〜45℃(トランスポリイソプレン、ポリノルボルネン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルアロイ)または耐えうる口腔内温度である50〜60℃(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ハイスチレン樹脂)に2〜4分間暖めて記憶形状に復元した。その結果、既成被覆冠は、支台歯を緊密に被覆した。1%フクシン溶液に浸したまま37℃雰囲気中に保存し、色素の浸透を調べた。一週間経過しても色素の浸透が認められなかった。歯科用暫間被覆冠として使用できることがわかった。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明により、操作性に優れた歯科用暫間被覆冠およびそれを用いた新規の暫間被覆法が実現した。すなわち従来の常温重合レジンを用いた方法で必要とされた30分以上の所要時間が、既成の歯科用暫間被覆冠が口腔内の温度刺激による変形の回復によって自ら支台歯に密着して支台歯を緊密に被覆して仮着できることにより10分以内に短縮され、診療の効率が著しく改善される。
【0041】
また、常温重合レジンを使用しないため、従来から問題とされていた常温時重合レジンのモノマー臭や重合熱が患者へ与える不快感や歯髄への刺激などを生じないこと、また、分離剤や仮着用セメントを使用しないため、最終的な修復物の接着に及ぼす影響を危惧する必要もないことなどの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の暫間被覆冠が変形から回復して元の形状へと復元し、支台歯を緊密に被覆した状態の説明図である。
【図2】本発明の暫間被覆冠成型用金具を説明する図である。
【図3】本発明の暫間被覆用金型に未架橋のトランスポリイソプレンを主成分とした複合材料を填入し、荷重をかけた状態の説明図である。
【図4】本発明の架橋させた歯科用暫間被覆冠を変形用器具にて変形させている状態の説明図である。
【図5】本発明の変形させた既成被覆冠(11)で支台歯を覆った状態の説明図である。
【符号の説明】
11 既成被覆冠
21 歯科用暫間被覆冠の成型用金型
22 圧子
31 歯科用暫間被覆冠
33 荷重
41 変形用器具
66 支台歯
77 隣在歯

Claims (4)

  1. 形状記憶樹脂から作成した既製被覆冠を、口腔内温度を含む30〜60℃好ましくは35〜45℃で復元する歯科用暫間被覆冠。
  2. 形状記憶樹脂がトランスポリイソプレンを架橋剤と、加硫促進剤とを用いて架橋してなる請求項1に記載の歯科用暫間被覆冠。
  3. 請求項1または請求項2に記載の形状記憶樹脂を用いて、歯科用暫間被覆冠として部位ごとの歯冠の形状、歯冠の大きさ、内腔の大きさに記憶成型し、これらの歯科用暫間被覆冠を45〜100℃に加熱軟化し、内腔の大きさより大きくまたは支台歯を被覆可能な形状に変形し、−20〜10℃で冷却することによって変形を固定して作成してなる既製被覆冠。
  4. 請求項3に記載の既製被覆冠を支台歯に被せ、口腔内温度を含む30〜60℃好ましくは35〜45℃で記憶形状に復元し、支台歯を緊密に被覆することによって、最終補綴物を装着するまで暫間的に支台歯を被覆する歯科用暫間被覆冠の仮着方法。
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