JP2004337456A - 体腔内拡張用カテーテル - Google Patents
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Abstract
【課題】体腔内に生じた狭窄部を拡張する治療において、狭窄部に体腔内拡張用バルーンを円滑かつ確実に挿入することができ、また、体腔内拡張用バルーンを膨張させる際に体腔内拡張用バルーンが狭窄部から位置ズレするのを確実に防止することができる体腔内拡張用カテーテルを提供すること。
【解決手段】体腔内拡張用カテーテル1は、外管2と、外管ハブ3と、外管2の内側に挿入され、軸方向に移動可能な内管4と、その一端部および他端部が外管2の先端部21および内管4の先端部41にそれぞれ固定された膜部材で構成された膨張・収縮可能な体腔内拡張用バルーン6と、内管4の内側に挿入された中心シャフト7と、中心シャフト7の先端部71に設けられ、体腔内拡張用バルーン6より先端側に位置し、膨張・収縮可能な体腔内固定用バルーン8とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】体腔内拡張用カテーテル1は、外管2と、外管ハブ3と、外管2の内側に挿入され、軸方向に移動可能な内管4と、その一端部および他端部が外管2の先端部21および内管4の先端部41にそれぞれ固定された膜部材で構成された膨張・収縮可能な体腔内拡張用バルーン6と、内管4の内側に挿入された中心シャフト7と、中心シャフト7の先端部71に設けられ、体腔内拡張用バルーン6より先端側に位置し、膨張・収縮可能な体腔内固定用バルーン8とを備える。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体腔内に生じた狭窄部を拡張する治療に用いられる体腔内拡張用カテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば経皮的経血管的冠状動脈形成術(PTCA)、経皮的血管形成術(PTA)のような治療において、例えば血管等の体腔内に生じた狭窄部(病変部)をバルーンによって拡張するのに用いられる体腔内拡張用カテーテルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の体腔内拡張用カテーテルでは、バルーンを膨張させて狭窄部を拡張する際に、バルーンが滑って狭窄部からズレてしまうことがあった。
【0004】
【特許文献1】
特公平4−44553号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、体腔内に生じた狭窄部を拡張する治療において、狭窄部に体腔内拡張用バルーンを円滑かつ確実に挿入することができ、また、体腔内拡張用バルーンを膨張させる際に体腔内拡張用バルーンが狭窄部から位置ズレするのを確実に防止することができる体腔内拡張用カテーテルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
【0007】
(1) 外管と、
前記外管の基端部に設けられた外管ハブと、
前記外管の内側に挿入され、前記外管に対し軸方向に移動可能な内管と、
その一端部および他端部が前記外管の先端部および前記内管の先端部にそれぞれ固定された膜部材で構成された膨張・収縮可能な体腔内拡張用バルーンと、
前記内管の内側に挿入された中心シャフトと、
前記中心シャフトの先端部に設けられ、膨張・収縮可能な体腔内固定用部材とを備えることを特徴とする体腔内拡張用カテーテル。
【0008】
(2) 前記体腔内拡張用バルーンを膨張・収縮させる作動流体が通過する第1流路が前記外管と前記内管との間に形成されており、前記外管ハブは、前記第1流路に連通する第1の開口部を有する上記(1)に記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0009】
(3) 前記内管の基端部に設けられ、前記内管と前記中心シャフトとの間に形成される第2流路に連通する第2の開口部を有する内管ハブをさらに備える上記(1)または(2)に記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0010】
(4) 前記中心シャフトの基端部は、前記外管ハブに固定されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0011】
(5) 前記内管を前記外管に対し軸方向に移動させることにより、前記体腔内拡張用バルーンが前記外管の先端付近の内側に収納された状態と、前記体腔内拡張用バルーンが前記外管の先端側に露出した状態とをとり得る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0012】
(6) 前記外管の先端から前記内管の先端部を突出させ得る上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0013】
(7) 前記中心シャフトの外周面および/または前記体腔内拡張用バルーンの膨張時に外側になる面に、潤滑性を呈する処理がなされている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0014】
(8) 前記中心シャフトの外周面および/または前記体腔内拡張用バルーンの膨張時に外側になる面に、湿潤時に潤滑性を呈する親水性高分子物質が付与されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0015】
(9) 前記体腔内固定用部材の基端側に、前記体腔内拡張用バルーンの先端側への移動を規制するストッパーが設けられている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0016】
(10) 前記中心シャフトは、先端および基端が開放したルーメンを有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0017】
(11) 前記体腔内固定用部材は、体腔内固定用バルーンで構成され、前記中心シャフトは、前記体腔内固定用バルーン内へ連通する第3流路を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0018】
(12) 前記体腔内固定用バルーンは、前記体腔内拡張用バルーンより伸展性が高いものである上記(11)に記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0019】
(13) 前記外管ハブの内周面と前記内管の外周面との間を封止するシール部材をさらに備える上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0020】
(14) 使用の際、狭窄部より先端側に挿入した前記体腔内固定用部材を膨張させることにより前記体腔内固定用部材を体腔内で固定し、前記内管を前記外管に対し先端方向に移動させることにより前記体腔内拡張用バルーンを前記狭窄部内に挿入し、前記体腔内拡張用バルーンを膨張させることにより前記狭窄部を拡張する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の体腔内拡張用カテーテルを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明の体腔内拡張用カテーテルの実施形態を示す縦断面図、図3は、図1および図2に示す体腔内拡張用カテーテルにおける体腔内固定用バルーン付近を拡大して示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1ないし図3中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。また、図1ないし図3においては、体腔内固定用バルーン8を膨張させた状態で示している。
【0022】
図1に示す体腔内拡張用カテーテル1は、血管100に生じた狭窄部(病変部)110を拡張する治療に用いられるものであり、外管2と、外管ハブ3と、内管4と、内管ハブ5と、体腔内拡張用バルーン6と、中心シャフト7と、体腔内固定用部材としての体腔内固定用バルーン8とで構成されている。体腔内拡張用カテーテル1の全長は、特に限定されないが、通常は、300〜1500mmであるのが好ましく、400〜1450mmであるのがより好ましい。
【0023】
以下、各部の構成について説明する。
外管2は、可撓性(弾性)を有するチューブ状の部材で構成されている。外管2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系樹脂またはポリアミドエラストマー、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー等のオレフィン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびポリウレタンエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂およびフッ素樹脂系エラストマー、ポリイミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
外管2の外径は、特に限定されないが、通常は、1.2〜2.5mmであるのが好ましく、1.5〜2.0mmであるのがより好ましい。
【0025】
内管4は、可撓性(弾性)を有するチューブ状の部材で構成されている。内管4は、外管2の内側に挿入され、これと同心的(同軸的)に位置している。この内管4は、外管2に対し軸方向(長手方向)に移動(摺動)可能になっている。
【0026】
内管4の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、チタンまたはチタン合金等で構成された金属製パイプ、あるいは、ポリアミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE、FEP、PFA等のフッ素樹脂等の比較的硬質な高分子材料であるのが好ましく、これらのうちでもステンレス鋼がより好ましい。
【0027】
内管4の外径は、特に限定されないが、通常は、0.7〜2.0mmであるのが好ましく、1.0〜1.5mmであるのがより好ましい。
【0028】
外管2と内管4との間には、流体が通過可能な第1流路11が形成されている。すなわち、内管4の外径は、外管2の内径より小さくなっている。
【0029】
体腔内拡張用バルーン6は、可撓性を有する筒状の膜部材で構成されている。この体腔内拡張用バルーン6の一端部は、外管2の先端部(先端開口部)21に全周に渡り固定され、その他端部は、内管4の先端部(先端開口部)41に全周に渡り固定されている。なお、この固定の方法は、特に限定されず、例えば融着、接着剤による接着等の方法が挙げられる。体腔内拡張用バルーン6は、第1流路11を通過して送り込まれる作動流体(好ましくは液体)によって、膨張・収縮する。
【0030】
体腔内拡張用バルーン6は、各種の高分子材料(特に、熱可塑性樹脂)で構成されている。この場合、体腔内拡張用バルーン6は、全体として可撓性を有するが、比較的伸展性が低い(伸び率が小さい)材料で構成されているのが好ましい。これにより、体腔内拡張用バルーン6を膨張させたとき、体腔内拡張用バルーン6が狭窄部110に押し返されるようなことを防止して狭窄部110の全体により確実に拡張力を作用することができるので、より確実な治療効果(拡張効果)が得られる。
【0031】
体腔内拡張用バルーン6の構成材料としては、例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系樹脂またはポリアミドエラストマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドエラストマー、シリコーン、またはこれらのうちの少なくとも一種を含むポリマーブレンド、ポリマーアロイ等の材料が挙げられる。これらのうち、石灰化した狭窄部等の比較的硬質化した狭窄部も良好に拡張できるように、上記ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
【0032】
体腔内拡張用バルーン6は、外管2の先端(先端部21)付近の内側に収納された状態(図1に示す状態)と、外管2の先端側に露出した状態(図2に示す状態)とをとり得るようになっている。そして、体腔内拡張用バルーン6を膨張させるときには、図2に示す露出した状態とされる。
【0033】
図1に示す状態では、内管4の先端部41は、外管2の先端よりも基端側に位置している。この状態から、内管4を外管2に対し先端方向に移動させることにより、体腔内拡張用バルーン6は、その表裏が反転しつつ、外管2内から先端方向に繰り出されるようにして外部に露出し、図2に示す状態となる。
【0034】
図2に示す状態では、外管2の先端から内管4の先端部41が先端方向に突出した状態となるのが好ましい。これにより、体腔内拡張用バルーン6を先端方向により確実に繰り出すことができる。また、著しく血管内径が狭まった狭窄部を拡張する場合において、内管4の先端が狭窄部を突き広げながら先端方向に進められるため、体腔内拡張用バルーン6の膨張による作用と相まって、狭窄部の拡張を円滑かつ確実に行うことができる。なお、図示と異なり、体腔内拡張用バルーン6の膨張時に、外管2の先端から内管4の先端部41が突出せず、体腔内拡張用バルーン6のみが外管2の先端から繰り出される状態となるような構成であってもよい。
【0035】
体腔内拡張用バルーン6のサイズは、特に限定されないが、通常は、膨張時の直径がφ0.5〜φ3.0mmであるのが好ましく、φ1.0〜φ2.0mmであるのがより好ましい。また、体腔内拡張用バルーン6の軸方向の長さは、10〜40mmであるのが好ましく、15〜30mmであるのがより好ましい。
【0036】
内管4の内側には、可撓性(弾性)を有する中心シャフト7が挿入されている。内管4と中心シャフト7とは、同心的に位置している。中心シャフト7の先端部71は、外管2の先端を超えて先端方向に突出している。本実施形態では、中心シャフト7は、その基端部が後述する外管ハブ3に固定されることにより、外管2に対し軸方向(長手方向)に移動(摺動)不能に構成されている。なお、この中心シャフト7は、体腔内拡張用カテーテル1の完全な径方向中心に位置する必要はなく、中心から径方向に少しずれた位置にあってもよい。
【0037】
内管4と中心シャフト7との間には、流体が通過可能な第2流路12が形成されている。すなわち、中心シャフト7の外径は、内管4の内径より小さくなっている。
【0038】
中心シャフト7の外径は、特に限定されないが、通常は、0.3〜1.6mmであるのが好ましく、0.6〜1.1mmであるのがより好ましい。
【0039】
図3に示すように、中心シャフト7は、外管72と、外管72の内側に挿入された内管73とで構成される二重管構造を有している。内管73の先端および基端は、それぞれ開口している。中心シャフト7は、この内管73の内腔によって構成されるルーメン(通路)731を有しており、ルーメン731には、ガイドワイヤ(図示せず)を挿通可能になっている。ルーメン731の先端開口の内径は、特に限定されないが、通常は、0.2〜1.5mmであるのが好ましく、0.3〜1.0mmであるのがより好ましい。
【0040】
また、外管72と内管73との間には、流体が通過可能な第3流路74が形成されている。第3流路74の先端側は、体腔内固定用バルーン8内へ連通している。また、図示の構成では、外管72の先端は、内管73の先端よりも基端方向に若干後退した位置に設けられている。
【0041】
中心シャフト7の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系樹脂またはポリアミドエラストマー、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー等のオレフィン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびポリウレタンエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂およびフッ素樹脂系エラストマー、ポリイミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
また、中心シャフト7の外周面と、体腔内拡張用バルーン6の膨張時に外側になる面(図1に示す状態では内側の面)との一方または両方には、潤滑性を呈する処理がなされているのが好ましい。これにより、体腔内拡張用バルーン6を図1に示す収納状態から図2に示す露出状態に移動させるとき、摩擦抵抗が低減され、より円滑かつ確実に移動させることができる。
【0043】
この潤滑性を呈する処理としては、例えば、湿潤(吸水)時に潤滑性を呈する親水性高分子物質の付与(被覆層の形成)、シリコーンコーティング、PTFEコーティング等の方法が挙げられるが、前記親水性高分子物質の付与であるのがより好ましい。この親水性高分子物質としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0044】
なお、このような潤滑性を呈する処理は、外管2の外周面にも施されていてもよい。これにより、体腔内拡張用カテーテル1を血管100内に挿入する際に、摩擦が低減され、その挿入をより円滑に行うことができ、操作性および安全性が向上する。
【0045】
中心シャフト7の先端部71には、筒状の膜部材で構成された、膨張・収縮可能な体腔内固定用バルーン8が設けられている。具体的には、図3に示すように、体腔内固定用バルーン8の一端部(先端部)は、内管73の先端部に例えば融着または接着などにより液密に固着され、体腔内固定用バルーン8の他端部(基端部)は、外管72の先端部に例えば融着または接着などにより液密に固着されている。
【0046】
図1および図2に示すように、この体腔内固定用バルーン8は、少なくとも体腔内拡張用カテーテル1の使用時において、体腔内拡張用バルーン6より先端側に位置している。この体腔内固定用バルーン8は、第3流路74を通過して送り込まれる作動流体(好ましくは液体)によって、膨張・収縮する。
【0047】
体腔内固定用バルーン8は、各種の高分子材料(特に、熱可塑性樹脂)で構成されている。この場合、体腔内固定用バルーン8は、体腔内拡張用バルーン6より伸展性が高い(伸び率が大きい)材料で構成されているのが好ましい。これにより、例えば血管100の内径等の条件に合わせて体腔内固定用バルーン8をある程度自由な大きさに膨張させることができるので、症例に合わせ、体腔内固定用バルーン8を血管100内でより確実に固定(位置決め)することができる。
【0048】
体腔内固定用バルーン8の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはそれに架橋処理を施したもの(特に、電子線照射により架橋させたもの)、ポリオレフィン系エラストマー、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、軟質塩化ビニル樹脂、シリコーンゴム、またはこれらのうちの少なくとも一種を含むポリマーブレンド、ポリマーアロイ等の材料が挙げられる。
【0049】
体腔内固定用バルーン8のサイズは、特に限定されないが、通常は、膨張時の直径がφ1.0〜φ10mmであるのが好ましく、φ1.5〜φ6.0mmであるのがより好ましい。また、体腔内固定用バルーン8の軸方向の長さは、10〜40mmであるのが好ましく、15〜30mmであるのがより好ましい。
【0050】
体腔内固定用バルーン8の基端側には、体腔内拡張用バルーン6の先端側への移動を規制するストッパー13が設けられている。ストッパー13は、その外径が内管4の先端部41の内径より大きい円盤状(リング状)の部材で構成されており、中心シャフト71に同心的に固定されている。このストッパー13を設けたことにより、体腔内拡張用バルーン6がストッパー13を超えて先端方向に移動するのをより確実に防止することができる。
【0051】
また、図3に示すように、体腔内固定用バルーン8内に位置する中心シャフト7の先端部71(内管73)の外周面には、造影性(特にX線造影性)を有する造影マーカー16、17が設置されている。造影マーカー16、17は、体腔内固定用バルーン8が拡張したときの体腔内固定用バルーン8の円筒体部と円錐体部との境界を表す位置に設けられている。この造影マーカー16、17は、例えば金、銀、プラチナ、タングステン等の細線、コイル、リング等で構成することができる。このような造影マーカー16、17を設けることにより、X線透視下で体腔内固定用バルーン8の位置を確認しつつ生体内に挿入することができるので、好ましい。
【0052】
なお、このような体腔内拡張用カテーテル1では、例えば外管2の先端部21、内管4の先端部41等にも造影マーカーを設けてもよく、これにより、体腔内拡張用バルーン6の位置をX線透視下で確認することができる。また、これらの造影マーカーは、X線以外の造影方法、例えば、CTスキャン、MRI等において造影性を有し、その位置を確認することができるものであってもよい。
【0053】
図1および図2に示すように、外管2の基端部(基端側)には、外管ハブ3が設置されている。外管ハブ3は、外管2の基端に同心的に固定された筒状(円筒状)の胴部31と、胴部31の先端付近から傾斜した方向に突出形成された第1の開口部(第1ポート部)32とを有している。胴部31は、内管ハブ5の一部を収納する収納部ともなるものである。また、第1の開口部32は、第1流路11に連通している。
【0054】
第1の開口部32には、例えばシリンジのようなバルーン拡張器具(図示せず)を接続することができ、該バルーン拡張器具より供給される作動流体を第1流路11を介して体腔内拡張用バルーン6の内部に送り込み、あるいは、作動流体を抜き取ることにより、体腔内拡張用バルーン6を膨張・収縮させることができる。
【0055】
バルーン拡張用の作動流体としては、好ましくは液体を用いるが、液体の中でも、X線造影性を有する液体であるのがより好ましく、例えば、動脈用造影剤等のX線造影剤を生理食塩水で数倍に希釈した液体等を使用することができる。
【0056】
内管4の基端部は、外管4の基端を超えて基端方向に延びており、外管ハブ3の胴部31の内部にまで達している。
【0057】
外管ハブ3の胴部31内には、胴部31の内周面と内管4の外周面との間を封止するシール部材14が設置されている。このシール部材14は、第1の開口部32の付け根より基端側に設置されている。このシール部材14を設けたことにより、第1の開口部32から注入された作動流体が基端側に漏れるのを防止することができる。
【0058】
内管4の基端部(基端側)には、内管ハブ5が設置されている。内管ハブ5は、内管4の基端に同心的に固定された筒状(円筒状)の内管ハブ本体51と、内管ハブ本体51から傾斜した方向に突出形成された第2の開口部(第2ポート部)52とで構成されている。第2の開口部52は、第2流路12に連通している。
【0059】
第2の開口部52には、例えばシリンジのようなプライミング用液体供給器具(図示せず)を接続することができる。第2の開口部52から例えば生理食塩水等のプライミング用液体を第2流路12内に送り込むことにより、中心シャフト7の外周面や、体腔内拡張用バルーン6の図1に示す状態で内側の面を濡らし、そこに付与された前記親水性高分子物質の潤滑性を発現させて、中心シャフト7と体腔内拡張用バルーン6との間の摩擦抵抗を低減することができる。その結果、内管4がより円滑に先端方向に摺動し、体腔内拡張用バルーン6がより円滑かつ容易に先端側に突出(露出)しながら膨張することができる。また、第2流路12をプライミング用液体で満たすことにより、血管100内の血液が第2流路12を介して内管ハブ5側に流入(逆流)するのを防止することもできる。
【0060】
内管ハブ本体51は、外管ハブ3の胴部31内に収納されており、胴部31内で軸方向に移動可能になっている。胴部31の壁部には、軸方向に沿って延びる溝(開口)311が形成されており、内管ハブ5の第2の開口部52は、この溝311を通って、胴部31内から外側に突出している。
【0061】
術者は、外管ハブ3(胴部31)に対して内管ハブ5(第2の開口部52)を先端方向(または基端方向)に移動(スライド)させる操作を行うことにより、内管4を外管2に対し先端方向(または基端方向)に移動(摺動)させることができる。
【0062】
中心シャフト7の基端部は、内管ハブ本体51内を挿通して、さらに基端方向に延びている。中心シャフト7の外管72の基端部は、胴部31の基端側底部312に固定されている。内管73の基端部は、外管72の基端を超えてさらに基端方向に延びており、後述する第4の開口部34に連通するように固定されている。
【0063】
内管ハブ本体51内には、内管ハブ51の内周面と中心シャフト7の外周面との間を封止するシール部材15が設置されている。このシール部材15は、第2の開口部52の付け根より基端側に設置されている。このシール部材15を設けたことにより、第2の開口部52から注入されたプライミング用液体が胴部31内に漏れるのを防止することができる。
【0064】
外管ハブ3は、胴部31の基端側に、第3流路74に連通する第3の開口部(第3ポート部)33と、ルーメン731に連通する第4の開口部(第4ポート部)34とを有している。第4の開口部34は、中心シャフト7と同心的に設けられており、第3の開口部33は、傾斜した方向に突出している。
【0065】
第3の開口部33には、例えばシリンジのようなバルーン拡張器具(図示せず)を接続することができ、該バルーン拡張器具より供給される作動流体を第3流路74を介して体腔内固定用バルーン8の内部に送り込み、あるいは、作動流体を抜き取ることにより、体腔内固定用バルーン8を膨張・収縮させることができる。
【0066】
第4の開口部34からは、図示しないガイドワイヤをルーメン731内に導入することができる。
【0067】
次に、体腔内拡張用カテーテル1の使用方法の一例について説明する。
[1] 使用前、体腔内拡張用カテーテル1は、体腔内拡張用バルーン6が図1に示す収納状態とされるとともに、体腔内固定用バルーン8が収縮または折り畳まれた状態とされている。この状態の体腔内拡張用カテーテル1に対し、予め第2の開口部52からプライミング用液体を注入し、第2流路12をプライミング用液体で満たしておく。あるいは、プライミング用液体は、体腔内拡張用カテーテル1を生体内に挿入しながら、第2の開口部52に接続したシリンジ等から微量注入することとしてもよい。
【0068】
[2] 体腔内拡張用カテーテル1を、血管100内に留置したガイディングカテーテル(図示せず)内に挿入し、前進させる。このとき、ルーメン731内に挿通したガイドワイヤ(図示せず)を先行させながら、前記ガイディングカテーテルの内腔に沿って前進させる。
【0069】
[3] 体腔内固定用バルーン8が狭窄部110を超えて先端側まで挿入されたら、第2の開口部52から作動流体を体腔内固定用バルーン8内に供給し、体腔内固定用バルーン8を膨張させる。これにより、体腔内固定用バルーン8を血管100内で固定(位置決め)することができる。このとき、図1に示すように、外管2の先端部21は、狭窄部110の基端付近に位置する。
【0070】
[4] 体腔内固定用バルーン8を膨張させたら、第2の開口部52を外管ハブ3に対し先端方向に移動させるとともに、第1の開口部32から作動流体を体腔内拡張用バルーン6内に供給する。これにより、体腔内拡張用バルーン6は、内管4の先端部41とともに外管2の先端から突出し、狭窄部110の内側に挿入されつつ、膨張する。このとき、本発明では、中心シャフト7および外管2が体腔内固定用バルーン8によって血管100に対し固定(位置決め)されているので、体腔内拡張用バルーン6をより円滑かつ確実に前進させて、狭窄部110内に確実に挿入することができる。
【0071】
また、本発明では、第2の開口部52を先端方向に移動させる操作を行う際、胴部31を基端方向に引っ張って体腔内固定用バルーン8に基端方向の力をかけながら行うことができ、これにより、狭窄部110の狭窄の度合いが激しいような場合であっても、体腔内拡張用バルーン6をより円滑かつ確実に狭窄部110内に挿入することができる。
【0072】
[5] 前記[4]の操作によって、体腔内拡張用バルーン6が狭窄部110内に挿入されながら膨張することにより、狭窄部110を拡張することができる(図2参照)。体腔内拡張用バルーン6を膨張させる際には、第2の開口部52が基端方向に戻らないようにして行う。
【0073】
本発明では、体腔内拡張用バルーン6を膨張させるとき、体腔内拡張用バルーン6は、外管2、内管4および中心シャフト7を介して、体腔内固定用バルーン8により、血管100に対し固定(位置決め)された状態になっている。よって、本発明では、体腔内拡張用バルーン6が狭窄部110から滑って位置ズレすることを確実に防止することができ、狭窄部110を確実に拡張することができる。さらに、本発明では、体腔内拡張用バルーン6が単に外周側に向かって膨張するだけでなく、外管2から先端方向に繰り出されつつ膨張するので、狭窄部110内により確実に挿入することができるとともに、挿入後に狭窄部110から滑って位置ズレするのをより確実に防止することができる。
【0074】
[6] 狭窄部110の拡張操作が終了したら、第1の開口部32および第2の開口部52からそれぞれ作動流体を抜き取って体腔内拡張用バルーン6および体腔内固定用バルーン8をそれぞれ収縮させ、次いで、体腔内拡張用カテーテル1を血管100内から抜去する。これにより、狭窄部110の拡張治療が完了する。
【0075】
以上、本発明の体腔内拡張用カテーテルを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、体腔内拡張用カテーテルを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0076】
また、本発明の体腔内拡張用カテーテルは、経皮的経血管的冠状動脈形成術(PTCA)に用いられるものに限らず、他の血管(例えば、透析シャント、下肢、腎等の血管)に対する経皮的血管形成術(PTA)に用いられるものや、さらには、血管以外の体腔(例えば、卵管、胆管、膵管等)に生じた狭窄部を拡張するためのものにも適用することができる。
【0077】
また、本発明における体腔内固定用部材としては、前述した実施形態におけるバルーンのような部材に限らず、例えば、特開平6−190049号公報に記載の自己膨張性フィルタのような部材を用いてもよい。
【0078】
また、前述した実施形態では、外管2と中心シャフト7とが互いに対して軸方向に相対移動不能に構成されているが、本発明は、このような構成に限定されず、例えば、体腔内固定用部材を収縮した状態で内管内に中心シャフトを収容しておき、体腔拡張時に、中心シャフトを先端方向にスライドさせて体腔内固定用部材を体腔内拡張用バルーンよりも先端側に移動可能な構成としてもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、体腔内に生じた狭窄部を拡張する治療において、狭窄部に体腔内拡張用バルーンを円滑かつ確実に挿入することができるとともに、体腔内拡張用バルーンを膨張させる際に体腔内拡張用バルーンが狭窄部から位置ズレするのを確実に防止することができる。よって、治療を簡単かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の体腔内拡張用カテーテルの実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の体腔内拡張用カテーテルの実施形態を示す縦断面図である。
【図3】図1および図2に示す体腔内拡張用カテーテルにおける体腔内固定用バルーン付近を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 体腔内拡張用カテーテル
11 第1流路
12 第2流路
13 ストッパー
14 シール部材
15 シール部材
16、17 造影マーカー
2 外管
21 先端部
3 外管ハブ
31 胴部
311 溝
312 基端側底部
32 第1の開口部
33 第3の開口部
34 第4の開口部
4 内管
41 先端部
5 内管ハブ
51 内管ハブ本体
52 第2の開口部
6 体腔内拡張用バルーン
7 中心シャフト
71 先端部
72 外管
73 内管
731 ルーメン
74 第3流路
8 体腔内固定用バルーン
100 血管
110 狭窄部
【発明の属する技術分野】
本発明は、体腔内に生じた狭窄部を拡張する治療に用いられる体腔内拡張用カテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば経皮的経血管的冠状動脈形成術(PTCA)、経皮的血管形成術(PTA)のような治療において、例えば血管等の体腔内に生じた狭窄部(病変部)をバルーンによって拡張するのに用いられる体腔内拡張用カテーテルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の体腔内拡張用カテーテルでは、バルーンを膨張させて狭窄部を拡張する際に、バルーンが滑って狭窄部からズレてしまうことがあった。
【0004】
【特許文献1】
特公平4−44553号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、体腔内に生じた狭窄部を拡張する治療において、狭窄部に体腔内拡張用バルーンを円滑かつ確実に挿入することができ、また、体腔内拡張用バルーンを膨張させる際に体腔内拡張用バルーンが狭窄部から位置ズレするのを確実に防止することができる体腔内拡張用カテーテルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
【0007】
(1) 外管と、
前記外管の基端部に設けられた外管ハブと、
前記外管の内側に挿入され、前記外管に対し軸方向に移動可能な内管と、
その一端部および他端部が前記外管の先端部および前記内管の先端部にそれぞれ固定された膜部材で構成された膨張・収縮可能な体腔内拡張用バルーンと、
前記内管の内側に挿入された中心シャフトと、
前記中心シャフトの先端部に設けられ、膨張・収縮可能な体腔内固定用部材とを備えることを特徴とする体腔内拡張用カテーテル。
【0008】
(2) 前記体腔内拡張用バルーンを膨張・収縮させる作動流体が通過する第1流路が前記外管と前記内管との間に形成されており、前記外管ハブは、前記第1流路に連通する第1の開口部を有する上記(1)に記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0009】
(3) 前記内管の基端部に設けられ、前記内管と前記中心シャフトとの間に形成される第2流路に連通する第2の開口部を有する内管ハブをさらに備える上記(1)または(2)に記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0010】
(4) 前記中心シャフトの基端部は、前記外管ハブに固定されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0011】
(5) 前記内管を前記外管に対し軸方向に移動させることにより、前記体腔内拡張用バルーンが前記外管の先端付近の内側に収納された状態と、前記体腔内拡張用バルーンが前記外管の先端側に露出した状態とをとり得る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0012】
(6) 前記外管の先端から前記内管の先端部を突出させ得る上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0013】
(7) 前記中心シャフトの外周面および/または前記体腔内拡張用バルーンの膨張時に外側になる面に、潤滑性を呈する処理がなされている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0014】
(8) 前記中心シャフトの外周面および/または前記体腔内拡張用バルーンの膨張時に外側になる面に、湿潤時に潤滑性を呈する親水性高分子物質が付与されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0015】
(9) 前記体腔内固定用部材の基端側に、前記体腔内拡張用バルーンの先端側への移動を規制するストッパーが設けられている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0016】
(10) 前記中心シャフトは、先端および基端が開放したルーメンを有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0017】
(11) 前記体腔内固定用部材は、体腔内固定用バルーンで構成され、前記中心シャフトは、前記体腔内固定用バルーン内へ連通する第3流路を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0018】
(12) 前記体腔内固定用バルーンは、前記体腔内拡張用バルーンより伸展性が高いものである上記(11)に記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0019】
(13) 前記外管ハブの内周面と前記内管の外周面との間を封止するシール部材をさらに備える上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0020】
(14) 使用の際、狭窄部より先端側に挿入した前記体腔内固定用部材を膨張させることにより前記体腔内固定用部材を体腔内で固定し、前記内管を前記外管に対し先端方向に移動させることにより前記体腔内拡張用バルーンを前記狭窄部内に挿入し、前記体腔内拡張用バルーンを膨張させることにより前記狭窄部を拡張する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の体腔内拡張用カテーテルを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明の体腔内拡張用カテーテルの実施形態を示す縦断面図、図3は、図1および図2に示す体腔内拡張用カテーテルにおける体腔内固定用バルーン付近を拡大して示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1ないし図3中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。また、図1ないし図3においては、体腔内固定用バルーン8を膨張させた状態で示している。
【0022】
図1に示す体腔内拡張用カテーテル1は、血管100に生じた狭窄部(病変部)110を拡張する治療に用いられるものであり、外管2と、外管ハブ3と、内管4と、内管ハブ5と、体腔内拡張用バルーン6と、中心シャフト7と、体腔内固定用部材としての体腔内固定用バルーン8とで構成されている。体腔内拡張用カテーテル1の全長は、特に限定されないが、通常は、300〜1500mmであるのが好ましく、400〜1450mmであるのがより好ましい。
【0023】
以下、各部の構成について説明する。
外管2は、可撓性(弾性)を有するチューブ状の部材で構成されている。外管2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系樹脂またはポリアミドエラストマー、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー等のオレフィン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびポリウレタンエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂およびフッ素樹脂系エラストマー、ポリイミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
外管2の外径は、特に限定されないが、通常は、1.2〜2.5mmであるのが好ましく、1.5〜2.0mmであるのがより好ましい。
【0025】
内管4は、可撓性(弾性)を有するチューブ状の部材で構成されている。内管4は、外管2の内側に挿入され、これと同心的(同軸的)に位置している。この内管4は、外管2に対し軸方向(長手方向)に移動(摺動)可能になっている。
【0026】
内管4の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、チタンまたはチタン合金等で構成された金属製パイプ、あるいは、ポリアミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE、FEP、PFA等のフッ素樹脂等の比較的硬質な高分子材料であるのが好ましく、これらのうちでもステンレス鋼がより好ましい。
【0027】
内管4の外径は、特に限定されないが、通常は、0.7〜2.0mmであるのが好ましく、1.0〜1.5mmであるのがより好ましい。
【0028】
外管2と内管4との間には、流体が通過可能な第1流路11が形成されている。すなわち、内管4の外径は、外管2の内径より小さくなっている。
【0029】
体腔内拡張用バルーン6は、可撓性を有する筒状の膜部材で構成されている。この体腔内拡張用バルーン6の一端部は、外管2の先端部(先端開口部)21に全周に渡り固定され、その他端部は、内管4の先端部(先端開口部)41に全周に渡り固定されている。なお、この固定の方法は、特に限定されず、例えば融着、接着剤による接着等の方法が挙げられる。体腔内拡張用バルーン6は、第1流路11を通過して送り込まれる作動流体(好ましくは液体)によって、膨張・収縮する。
【0030】
体腔内拡張用バルーン6は、各種の高分子材料(特に、熱可塑性樹脂)で構成されている。この場合、体腔内拡張用バルーン6は、全体として可撓性を有するが、比較的伸展性が低い(伸び率が小さい)材料で構成されているのが好ましい。これにより、体腔内拡張用バルーン6を膨張させたとき、体腔内拡張用バルーン6が狭窄部110に押し返されるようなことを防止して狭窄部110の全体により確実に拡張力を作用することができるので、より確実な治療効果(拡張効果)が得られる。
【0031】
体腔内拡張用バルーン6の構成材料としては、例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系樹脂またはポリアミドエラストマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドエラストマー、シリコーン、またはこれらのうちの少なくとも一種を含むポリマーブレンド、ポリマーアロイ等の材料が挙げられる。これらのうち、石灰化した狭窄部等の比較的硬質化した狭窄部も良好に拡張できるように、上記ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
【0032】
体腔内拡張用バルーン6は、外管2の先端(先端部21)付近の内側に収納された状態(図1に示す状態)と、外管2の先端側に露出した状態(図2に示す状態)とをとり得るようになっている。そして、体腔内拡張用バルーン6を膨張させるときには、図2に示す露出した状態とされる。
【0033】
図1に示す状態では、内管4の先端部41は、外管2の先端よりも基端側に位置している。この状態から、内管4を外管2に対し先端方向に移動させることにより、体腔内拡張用バルーン6は、その表裏が反転しつつ、外管2内から先端方向に繰り出されるようにして外部に露出し、図2に示す状態となる。
【0034】
図2に示す状態では、外管2の先端から内管4の先端部41が先端方向に突出した状態となるのが好ましい。これにより、体腔内拡張用バルーン6を先端方向により確実に繰り出すことができる。また、著しく血管内径が狭まった狭窄部を拡張する場合において、内管4の先端が狭窄部を突き広げながら先端方向に進められるため、体腔内拡張用バルーン6の膨張による作用と相まって、狭窄部の拡張を円滑かつ確実に行うことができる。なお、図示と異なり、体腔内拡張用バルーン6の膨張時に、外管2の先端から内管4の先端部41が突出せず、体腔内拡張用バルーン6のみが外管2の先端から繰り出される状態となるような構成であってもよい。
【0035】
体腔内拡張用バルーン6のサイズは、特に限定されないが、通常は、膨張時の直径がφ0.5〜φ3.0mmであるのが好ましく、φ1.0〜φ2.0mmであるのがより好ましい。また、体腔内拡張用バルーン6の軸方向の長さは、10〜40mmであるのが好ましく、15〜30mmであるのがより好ましい。
【0036】
内管4の内側には、可撓性(弾性)を有する中心シャフト7が挿入されている。内管4と中心シャフト7とは、同心的に位置している。中心シャフト7の先端部71は、外管2の先端を超えて先端方向に突出している。本実施形態では、中心シャフト7は、その基端部が後述する外管ハブ3に固定されることにより、外管2に対し軸方向(長手方向)に移動(摺動)不能に構成されている。なお、この中心シャフト7は、体腔内拡張用カテーテル1の完全な径方向中心に位置する必要はなく、中心から径方向に少しずれた位置にあってもよい。
【0037】
内管4と中心シャフト7との間には、流体が通過可能な第2流路12が形成されている。すなわち、中心シャフト7の外径は、内管4の内径より小さくなっている。
【0038】
中心シャフト7の外径は、特に限定されないが、通常は、0.3〜1.6mmであるのが好ましく、0.6〜1.1mmであるのがより好ましい。
【0039】
図3に示すように、中心シャフト7は、外管72と、外管72の内側に挿入された内管73とで構成される二重管構造を有している。内管73の先端および基端は、それぞれ開口している。中心シャフト7は、この内管73の内腔によって構成されるルーメン(通路)731を有しており、ルーメン731には、ガイドワイヤ(図示せず)を挿通可能になっている。ルーメン731の先端開口の内径は、特に限定されないが、通常は、0.2〜1.5mmであるのが好ましく、0.3〜1.0mmであるのがより好ましい。
【0040】
また、外管72と内管73との間には、流体が通過可能な第3流路74が形成されている。第3流路74の先端側は、体腔内固定用バルーン8内へ連通している。また、図示の構成では、外管72の先端は、内管73の先端よりも基端方向に若干後退した位置に設けられている。
【0041】
中心シャフト7の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系樹脂またはポリアミドエラストマー、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー等のオレフィン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびポリウレタンエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂およびフッ素樹脂系エラストマー、ポリイミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
また、中心シャフト7の外周面と、体腔内拡張用バルーン6の膨張時に外側になる面(図1に示す状態では内側の面)との一方または両方には、潤滑性を呈する処理がなされているのが好ましい。これにより、体腔内拡張用バルーン6を図1に示す収納状態から図2に示す露出状態に移動させるとき、摩擦抵抗が低減され、より円滑かつ確実に移動させることができる。
【0043】
この潤滑性を呈する処理としては、例えば、湿潤(吸水)時に潤滑性を呈する親水性高分子物質の付与(被覆層の形成)、シリコーンコーティング、PTFEコーティング等の方法が挙げられるが、前記親水性高分子物質の付与であるのがより好ましい。この親水性高分子物質としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0044】
なお、このような潤滑性を呈する処理は、外管2の外周面にも施されていてもよい。これにより、体腔内拡張用カテーテル1を血管100内に挿入する際に、摩擦が低減され、その挿入をより円滑に行うことができ、操作性および安全性が向上する。
【0045】
中心シャフト7の先端部71には、筒状の膜部材で構成された、膨張・収縮可能な体腔内固定用バルーン8が設けられている。具体的には、図3に示すように、体腔内固定用バルーン8の一端部(先端部)は、内管73の先端部に例えば融着または接着などにより液密に固着され、体腔内固定用バルーン8の他端部(基端部)は、外管72の先端部に例えば融着または接着などにより液密に固着されている。
【0046】
図1および図2に示すように、この体腔内固定用バルーン8は、少なくとも体腔内拡張用カテーテル1の使用時において、体腔内拡張用バルーン6より先端側に位置している。この体腔内固定用バルーン8は、第3流路74を通過して送り込まれる作動流体(好ましくは液体)によって、膨張・収縮する。
【0047】
体腔内固定用バルーン8は、各種の高分子材料(特に、熱可塑性樹脂)で構成されている。この場合、体腔内固定用バルーン8は、体腔内拡張用バルーン6より伸展性が高い(伸び率が大きい)材料で構成されているのが好ましい。これにより、例えば血管100の内径等の条件に合わせて体腔内固定用バルーン8をある程度自由な大きさに膨張させることができるので、症例に合わせ、体腔内固定用バルーン8を血管100内でより確実に固定(位置決め)することができる。
【0048】
体腔内固定用バルーン8の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはそれに架橋処理を施したもの(特に、電子線照射により架橋させたもの)、ポリオレフィン系エラストマー、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、軟質塩化ビニル樹脂、シリコーンゴム、またはこれらのうちの少なくとも一種を含むポリマーブレンド、ポリマーアロイ等の材料が挙げられる。
【0049】
体腔内固定用バルーン8のサイズは、特に限定されないが、通常は、膨張時の直径がφ1.0〜φ10mmであるのが好ましく、φ1.5〜φ6.0mmであるのがより好ましい。また、体腔内固定用バルーン8の軸方向の長さは、10〜40mmであるのが好ましく、15〜30mmであるのがより好ましい。
【0050】
体腔内固定用バルーン8の基端側には、体腔内拡張用バルーン6の先端側への移動を規制するストッパー13が設けられている。ストッパー13は、その外径が内管4の先端部41の内径より大きい円盤状(リング状)の部材で構成されており、中心シャフト71に同心的に固定されている。このストッパー13を設けたことにより、体腔内拡張用バルーン6がストッパー13を超えて先端方向に移動するのをより確実に防止することができる。
【0051】
また、図3に示すように、体腔内固定用バルーン8内に位置する中心シャフト7の先端部71(内管73)の外周面には、造影性(特にX線造影性)を有する造影マーカー16、17が設置されている。造影マーカー16、17は、体腔内固定用バルーン8が拡張したときの体腔内固定用バルーン8の円筒体部と円錐体部との境界を表す位置に設けられている。この造影マーカー16、17は、例えば金、銀、プラチナ、タングステン等の細線、コイル、リング等で構成することができる。このような造影マーカー16、17を設けることにより、X線透視下で体腔内固定用バルーン8の位置を確認しつつ生体内に挿入することができるので、好ましい。
【0052】
なお、このような体腔内拡張用カテーテル1では、例えば外管2の先端部21、内管4の先端部41等にも造影マーカーを設けてもよく、これにより、体腔内拡張用バルーン6の位置をX線透視下で確認することができる。また、これらの造影マーカーは、X線以外の造影方法、例えば、CTスキャン、MRI等において造影性を有し、その位置を確認することができるものであってもよい。
【0053】
図1および図2に示すように、外管2の基端部(基端側)には、外管ハブ3が設置されている。外管ハブ3は、外管2の基端に同心的に固定された筒状(円筒状)の胴部31と、胴部31の先端付近から傾斜した方向に突出形成された第1の開口部(第1ポート部)32とを有している。胴部31は、内管ハブ5の一部を収納する収納部ともなるものである。また、第1の開口部32は、第1流路11に連通している。
【0054】
第1の開口部32には、例えばシリンジのようなバルーン拡張器具(図示せず)を接続することができ、該バルーン拡張器具より供給される作動流体を第1流路11を介して体腔内拡張用バルーン6の内部に送り込み、あるいは、作動流体を抜き取ることにより、体腔内拡張用バルーン6を膨張・収縮させることができる。
【0055】
バルーン拡張用の作動流体としては、好ましくは液体を用いるが、液体の中でも、X線造影性を有する液体であるのがより好ましく、例えば、動脈用造影剤等のX線造影剤を生理食塩水で数倍に希釈した液体等を使用することができる。
【0056】
内管4の基端部は、外管4の基端を超えて基端方向に延びており、外管ハブ3の胴部31の内部にまで達している。
【0057】
外管ハブ3の胴部31内には、胴部31の内周面と内管4の外周面との間を封止するシール部材14が設置されている。このシール部材14は、第1の開口部32の付け根より基端側に設置されている。このシール部材14を設けたことにより、第1の開口部32から注入された作動流体が基端側に漏れるのを防止することができる。
【0058】
内管4の基端部(基端側)には、内管ハブ5が設置されている。内管ハブ5は、内管4の基端に同心的に固定された筒状(円筒状)の内管ハブ本体51と、内管ハブ本体51から傾斜した方向に突出形成された第2の開口部(第2ポート部)52とで構成されている。第2の開口部52は、第2流路12に連通している。
【0059】
第2の開口部52には、例えばシリンジのようなプライミング用液体供給器具(図示せず)を接続することができる。第2の開口部52から例えば生理食塩水等のプライミング用液体を第2流路12内に送り込むことにより、中心シャフト7の外周面や、体腔内拡張用バルーン6の図1に示す状態で内側の面を濡らし、そこに付与された前記親水性高分子物質の潤滑性を発現させて、中心シャフト7と体腔内拡張用バルーン6との間の摩擦抵抗を低減することができる。その結果、内管4がより円滑に先端方向に摺動し、体腔内拡張用バルーン6がより円滑かつ容易に先端側に突出(露出)しながら膨張することができる。また、第2流路12をプライミング用液体で満たすことにより、血管100内の血液が第2流路12を介して内管ハブ5側に流入(逆流)するのを防止することもできる。
【0060】
内管ハブ本体51は、外管ハブ3の胴部31内に収納されており、胴部31内で軸方向に移動可能になっている。胴部31の壁部には、軸方向に沿って延びる溝(開口)311が形成されており、内管ハブ5の第2の開口部52は、この溝311を通って、胴部31内から外側に突出している。
【0061】
術者は、外管ハブ3(胴部31)に対して内管ハブ5(第2の開口部52)を先端方向(または基端方向)に移動(スライド)させる操作を行うことにより、内管4を外管2に対し先端方向(または基端方向)に移動(摺動)させることができる。
【0062】
中心シャフト7の基端部は、内管ハブ本体51内を挿通して、さらに基端方向に延びている。中心シャフト7の外管72の基端部は、胴部31の基端側底部312に固定されている。内管73の基端部は、外管72の基端を超えてさらに基端方向に延びており、後述する第4の開口部34に連通するように固定されている。
【0063】
内管ハブ本体51内には、内管ハブ51の内周面と中心シャフト7の外周面との間を封止するシール部材15が設置されている。このシール部材15は、第2の開口部52の付け根より基端側に設置されている。このシール部材15を設けたことにより、第2の開口部52から注入されたプライミング用液体が胴部31内に漏れるのを防止することができる。
【0064】
外管ハブ3は、胴部31の基端側に、第3流路74に連通する第3の開口部(第3ポート部)33と、ルーメン731に連通する第4の開口部(第4ポート部)34とを有している。第4の開口部34は、中心シャフト7と同心的に設けられており、第3の開口部33は、傾斜した方向に突出している。
【0065】
第3の開口部33には、例えばシリンジのようなバルーン拡張器具(図示せず)を接続することができ、該バルーン拡張器具より供給される作動流体を第3流路74を介して体腔内固定用バルーン8の内部に送り込み、あるいは、作動流体を抜き取ることにより、体腔内固定用バルーン8を膨張・収縮させることができる。
【0066】
第4の開口部34からは、図示しないガイドワイヤをルーメン731内に導入することができる。
【0067】
次に、体腔内拡張用カテーテル1の使用方法の一例について説明する。
[1] 使用前、体腔内拡張用カテーテル1は、体腔内拡張用バルーン6が図1に示す収納状態とされるとともに、体腔内固定用バルーン8が収縮または折り畳まれた状態とされている。この状態の体腔内拡張用カテーテル1に対し、予め第2の開口部52からプライミング用液体を注入し、第2流路12をプライミング用液体で満たしておく。あるいは、プライミング用液体は、体腔内拡張用カテーテル1を生体内に挿入しながら、第2の開口部52に接続したシリンジ等から微量注入することとしてもよい。
【0068】
[2] 体腔内拡張用カテーテル1を、血管100内に留置したガイディングカテーテル(図示せず)内に挿入し、前進させる。このとき、ルーメン731内に挿通したガイドワイヤ(図示せず)を先行させながら、前記ガイディングカテーテルの内腔に沿って前進させる。
【0069】
[3] 体腔内固定用バルーン8が狭窄部110を超えて先端側まで挿入されたら、第2の開口部52から作動流体を体腔内固定用バルーン8内に供給し、体腔内固定用バルーン8を膨張させる。これにより、体腔内固定用バルーン8を血管100内で固定(位置決め)することができる。このとき、図1に示すように、外管2の先端部21は、狭窄部110の基端付近に位置する。
【0070】
[4] 体腔内固定用バルーン8を膨張させたら、第2の開口部52を外管ハブ3に対し先端方向に移動させるとともに、第1の開口部32から作動流体を体腔内拡張用バルーン6内に供給する。これにより、体腔内拡張用バルーン6は、内管4の先端部41とともに外管2の先端から突出し、狭窄部110の内側に挿入されつつ、膨張する。このとき、本発明では、中心シャフト7および外管2が体腔内固定用バルーン8によって血管100に対し固定(位置決め)されているので、体腔内拡張用バルーン6をより円滑かつ確実に前進させて、狭窄部110内に確実に挿入することができる。
【0071】
また、本発明では、第2の開口部52を先端方向に移動させる操作を行う際、胴部31を基端方向に引っ張って体腔内固定用バルーン8に基端方向の力をかけながら行うことができ、これにより、狭窄部110の狭窄の度合いが激しいような場合であっても、体腔内拡張用バルーン6をより円滑かつ確実に狭窄部110内に挿入することができる。
【0072】
[5] 前記[4]の操作によって、体腔内拡張用バルーン6が狭窄部110内に挿入されながら膨張することにより、狭窄部110を拡張することができる(図2参照)。体腔内拡張用バルーン6を膨張させる際には、第2の開口部52が基端方向に戻らないようにして行う。
【0073】
本発明では、体腔内拡張用バルーン6を膨張させるとき、体腔内拡張用バルーン6は、外管2、内管4および中心シャフト7を介して、体腔内固定用バルーン8により、血管100に対し固定(位置決め)された状態になっている。よって、本発明では、体腔内拡張用バルーン6が狭窄部110から滑って位置ズレすることを確実に防止することができ、狭窄部110を確実に拡張することができる。さらに、本発明では、体腔内拡張用バルーン6が単に外周側に向かって膨張するだけでなく、外管2から先端方向に繰り出されつつ膨張するので、狭窄部110内により確実に挿入することができるとともに、挿入後に狭窄部110から滑って位置ズレするのをより確実に防止することができる。
【0074】
[6] 狭窄部110の拡張操作が終了したら、第1の開口部32および第2の開口部52からそれぞれ作動流体を抜き取って体腔内拡張用バルーン6および体腔内固定用バルーン8をそれぞれ収縮させ、次いで、体腔内拡張用カテーテル1を血管100内から抜去する。これにより、狭窄部110の拡張治療が完了する。
【0075】
以上、本発明の体腔内拡張用カテーテルを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、体腔内拡張用カテーテルを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0076】
また、本発明の体腔内拡張用カテーテルは、経皮的経血管的冠状動脈形成術(PTCA)に用いられるものに限らず、他の血管(例えば、透析シャント、下肢、腎等の血管)に対する経皮的血管形成術(PTA)に用いられるものや、さらには、血管以外の体腔(例えば、卵管、胆管、膵管等)に生じた狭窄部を拡張するためのものにも適用することができる。
【0077】
また、本発明における体腔内固定用部材としては、前述した実施形態におけるバルーンのような部材に限らず、例えば、特開平6−190049号公報に記載の自己膨張性フィルタのような部材を用いてもよい。
【0078】
また、前述した実施形態では、外管2と中心シャフト7とが互いに対して軸方向に相対移動不能に構成されているが、本発明は、このような構成に限定されず、例えば、体腔内固定用部材を収縮した状態で内管内に中心シャフトを収容しておき、体腔拡張時に、中心シャフトを先端方向にスライドさせて体腔内固定用部材を体腔内拡張用バルーンよりも先端側に移動可能な構成としてもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、体腔内に生じた狭窄部を拡張する治療において、狭窄部に体腔内拡張用バルーンを円滑かつ確実に挿入することができるとともに、体腔内拡張用バルーンを膨張させる際に体腔内拡張用バルーンが狭窄部から位置ズレするのを確実に防止することができる。よって、治療を簡単かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の体腔内拡張用カテーテルの実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の体腔内拡張用カテーテルの実施形態を示す縦断面図である。
【図3】図1および図2に示す体腔内拡張用カテーテルにおける体腔内固定用バルーン付近を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 体腔内拡張用カテーテル
11 第1流路
12 第2流路
13 ストッパー
14 シール部材
15 シール部材
16、17 造影マーカー
2 外管
21 先端部
3 外管ハブ
31 胴部
311 溝
312 基端側底部
32 第1の開口部
33 第3の開口部
34 第4の開口部
4 内管
41 先端部
5 内管ハブ
51 内管ハブ本体
52 第2の開口部
6 体腔内拡張用バルーン
7 中心シャフト
71 先端部
72 外管
73 内管
731 ルーメン
74 第3流路
8 体腔内固定用バルーン
100 血管
110 狭窄部
Claims (14)
- 外管と、
前記外管の基端部に設けられた外管ハブと、
前記外管の内側に挿入され、前記外管に対し軸方向に移動可能な内管と、
その一端部および他端部が前記外管の先端部および前記内管の先端部にそれぞれ固定された膜部材で構成された膨張・収縮可能な体腔内拡張用バルーンと、
前記内管の内側に挿入された中心シャフトと、
前記中心シャフトの先端部に設けられ、膨張・収縮可能な体腔内固定用部材とを備えることを特徴とする体腔内拡張用カテーテル。 - 前記体腔内拡張用バルーンを膨張・収縮させる作動流体が通過する第1流路が前記外管と前記内管との間に形成されており、前記外管ハブは、前記第1流路に連通する第1の開口部を有する請求項1に記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記内管の基端部に設けられ、前記内管と前記中心シャフトとの間に形成される第2流路に連通する第2の開口部を有する内管ハブをさらに備える請求項1または2に記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記中心シャフトの基端部は、前記外管ハブに固定されている請求項1ないし3のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記内管を前記外管に対し軸方向に移動させることにより、前記体腔内拡張用バルーンが前記外管の先端付近の内側に収納された状態と、前記体腔内拡張用バルーンが前記外管の先端側に露出した状態とをとり得る請求項1ないし4のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記外管の先端から前記内管の先端部を突出させ得る請求項1ないし5のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記中心シャフトの外周面および/または前記体腔内拡張用バルーンの膨張時に外側になる面に、潤滑性を呈する処理がなされている請求項1ないし6のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記中心シャフトの外周面および/または前記体腔内拡張用バルーンの膨張時に外側になる面に、湿潤時に潤滑性を呈する親水性高分子物質が付与されている請求項1ないし7のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記体腔内固定用部材の基端側に、前記体腔内拡張用バルーンの先端側への移動を規制するストッパーが設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記中心シャフトは、先端および基端が開放したルーメンを有する請求項1ないし9のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記体腔内固定用部材は、体腔内固定用バルーンで構成され、前記中心シャフトは、前記体腔内固定用バルーン内へ連通する第3流路を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記体腔内固定用バルーンは、前記体腔内拡張用バルーンより伸展性が高いものである請求項11に記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 前記外管ハブの内周面と前記内管の外周面との間を封止するシール部材をさらに備える請求項1ないし12のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
- 使用の際、狭窄部より先端側に挿入した前記体腔内固定用部材を膨張させることにより前記体腔内固定用部材を体腔内で固定し、前記内管を前記外管に対し先端方向に移動させることにより前記体腔内拡張用バルーンを前記狭窄部内に挿入し、前記体腔内拡張用バルーンを膨張させることにより前記狭窄部を拡張する請求項1ないし13のいずれかに記載の体腔内拡張用カテーテル。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003139474A JP2004337456A (ja) | 2003-05-16 | 2003-05-16 | 体腔内拡張用カテーテル |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP2003139474A JP2004337456A (ja) | 2003-05-16 | 2003-05-16 | 体腔内拡張用カテーテル |
Publications (1)
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|---|---|
| JP2004337456A true JP2004337456A (ja) | 2004-12-02 |
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2016165499A (ja) * | 2016-04-28 | 2016-09-15 | スマート・メディカル・システムズ・リミテッド | 内視鏡ツール |
| JP2023166627A (ja) * | 2016-02-25 | 2023-11-21 | ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド | 卵管診断のためのデバイス |
-
2003
- 2003-05-16 JP JP2003139474A patent/JP2004337456A/ja active Pending
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