JP2004351865A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Tetsuhito Kageyama
徹人 蔭山
Hiroaki Shirakawa
宏昭 白川
Masaki Nitta
正樹 新田
Nobuhiko Takekoshi
信彦 竹腰
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Abstract

【課題】長期間放置されたインク容器に収容されたインクの濃度ムラが記録画像の濃度ムラとなって出現することを防止すること。
【解決手段】インクタンクを本体設置する際にそのインクタンク内と連通する2つ以上の連通口の相互間を循環するポンプなどを設けることにより、その動作によるインクタンク内インク流を生成攪拌でき、消耗部材である交換式インクタンクに特別の構成を付加することなく顔料の沈降現象によって生じた濃度ムラを解消することが可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に用いられる記録ヘッドにインクを供給するインク供給装置および該装置を備えたインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリント方式は、単色またはカラープリントに対応して用意された複数色のインクを、紙,布,不織布,OHP用等のプラスチックフィルムなど種々のプリント媒体上に吐出することによって画像を形成するプリント方法である。この方式を採用したインクジェットプリント装置としては、プリント手段(プリントヘッド)およびそのインク供給手段たるインクタンクを搭載してプリント媒体に対し所定方向に主走査されるキャリッジと、プリント媒体を主走査方向とは異なる方向に搬送(副走査)する搬送手段と、これらを制御するための制御手段とを具備し、プリントヘッドを主走査方向にシリアルスキャンさせながらプリントヘッドに設けられた複数のインク吐出口からインクを吐出させ、一方でシリアルスキャン後に所定量(例えば吐出口配列範囲に対応した1回のシリアルスキャンでのプリント幅)搬送することによってプリント媒体上に順次プリントを行ってゆくものがある。このようなインクジェットプリント方式では、プリント信号に応じてインクを直接プリント媒体上に吐出してプリントを行う所謂ドロップオンデマンド方式が採用され、これは容易で廉価な記録(プリント)方式を提供するものとして広く採用されている。
【0003】
ところで、上述のようなインクジェットプリント装置では、キャリッジ上のプリントヘッドの傍らに、これと一体もしくは別体にインクタンクをカートリッジとして有し、そのインク残量が無くなったときには新しいカートリッジと交換することによりインク補充を行う形態のもの(カートリッジ交換方式)が最も一般的に広く知られている。
【0004】
しかしながら、インクジェットプリント装置を印刷や捺染等の産業用目的で使用する場合など、極めて高いプリントデューティが要求される場合には、インク消費量が非常に大きいのでキャリッジ上にカートリッジ交換方式インクタンクを搭載する方式ではそのインクタンク質量を大きくしなくてはならず、高加減速キャリッジ走査による高速印字を低コストのキャリッジ駆動モータなどで達成することは困難となる。
【0005】
この解決のためにはキャリッジ上以外の移動しない位置に必要十分な容量を持ったインクタンクを配設し、キャリッジ上の記録ヘッドにはチューブなどを接続して各種ポンプなどを用い供給する方式が一般的である。(例えば,特許文献1参照。)
【特許文献1】
特開2002−30771号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように構成されたインク容器では、染料を主成分とする色剤を用いたインクを収容した場合には問題ないが、色剤として顔料を用いたインクを収容した場合には、長期間保管すると顔料が沈降し、インク容器内のインクに領域によって濃度が異なる濃度ムラが生じてしまう。
【0007】
通常、顔料インクは水に対して不溶性の色剤を高分子樹脂或いは、界面活性剤型のいわゆる分散剤に混ぜて細かく砕き、水や油その他の溶剤成分等で希釈することにより得られる。顔料粒子そのものは水に溶けないので、印刷物に塗布されたときには、顔料インクは染料インクよりも耐水性に優れている。さらに、顔料粒子は光に対して強いために、長期間にわたって光が当てられても退色せず、例えば長期間掲示するための印刷物において、特に優れた性能を発揮する。顔料インクが一般の印刷物に広く使用されているのも、このような理由によるためである。しかしながら、顔料のような固体微粒子は微粒子として液体中に浮遊しているのであるが、比重が溶媒液体(媒質)より大きければ沈降することは免れない。
【0008】
また、顔料粒子は重力による沈降作用を受けている他に、媒質分子の熱運動の影響を受けて絶え間なくブラウン運動を続けている。このブラウン運動により、沈降作用と反対の作用である拡散が起こる。インク容器に収容された顔料インクの鉛直方向の濃度分布は、上記の沈降作用とブラウン運動による拡散作用とによって決定される。
【0009】
そのため、インク供給口が鉛直方向の下に向けられた状態でインク容器が長期間静置されると、鉛直方向に沿って濃度の異なるインクが記録ヘッドのノズルに向かって流れる。このようにインク供給口におけるインク濃度が異なると、結果的にノズル列の各ノズルから吐出されるインクに濃度差が生じ、印刷の印字ムラとなって現われる。
【0010】
また、キャリッジ上にインクタンクを搭載した場合はその走査動によって攪拌効果が発生し濃度ムラを防止することが可能であるが、先に述べたように大容量インクタンクでは移動しない場所に搭載することが一般的であり、濃度むらの改善が必要であった。
【0011】
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、長期間放置されたインク容器に収容されたインクの濃度ムラが記録画像の濃度ムラとなって出現することを防止することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の大容量インクタンクを移動しない場所に搭載したインクジェット記録装置では、インクタンクを本体設置する際にそのインクタンク内と連通する2つ以上の連通口の相互間を循環するポンプなどを設けることにより、顔料の沈降現象によって生じた濃度ムラを解消することが可能となる。以下、本発明の具体的実施例を説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施例)
図1は、本発明の一実施形態のインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。本実施形態のインクジェット記録装置は、記録ヘッド201の往復移動(主走査)と、一般記録紙、特殊紙、OHPフィルム等の記録用シートSの所定ピッチごとの搬送(副走査)とを繰り返しつつ、これらの動きと同期させながら記録ヘッド201から選択的にインクを吐出させ、記録用シートSに付着させることで、文字や記号、画像等を形成するシリアル型の記録装置である。
【0014】
図1において、記録ヘッド201は、2本のガイドレールに摺動自在に支持され不図示のモータ等の駆動手段によりガイドレールに沿って往復移動されるキャリッジ202に着脱可能に搭載されている。記録用シートSは、搬送ローラ203により、記録ヘッド201のインク吐出面に対面し、かつ、インク吐出面との距離を一定に維持するように、キャリッジ202の移動方向と交差する方向(例えば、直交する方向である矢印A方向)に搬送される。
【0015】
記録ヘッド201は、それぞれ異なる色(例えば黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色)のインクを吐出する複数のノズル列を有する。このノズル列は主走査方向と実質的に直交する。記録ヘッド201から吐出されるインクの色に対応して、複数の独立したメインタンク(インクタンク)204が、インク供給ユニット205に着脱可能に装着される。インク供給ユニット205と記録ヘッド201とは、それぞれインクの色に対応した複数のインク供給チューブ206によって接続され、メインタンク204をインク供給ユニット205に装着することで、メインタンク204内に収納された各色のインクを、記録ヘッド201の各ノズル列に独立して供給することが可能となる。
【0016】
記録ヘッド201の往復移動範囲内で、かつ、記録用シートSの通過範囲外の領域である非記録領域には、回復ユニット207が、記録ヘッド201のインク吐出面と対面するように配置されている。この回復ユニット207は、記録ヘッド201の吐出用ノズルから強制的にインクや気泡等を吸い出し、ノズルのクリーニングなどを行う機構である。
【0017】
次に、このインクジェット記録装置におけるインク供給の基本原理について、図2を参照して簡単に説明する。
【0018】
記録ヘッド201とメインタンク204とがインク供給チューブ206で連結されて、インク経路が構成されている。このインク経路がインク209で満たされ、記録ヘッド201は、ノズル201gの位置がメインタンク204の液面よりも高さHだけ高くなるように配置され、記録ヘッド201内が高さHの水頭差分の負圧に保たれる。この負圧により、記録ヘッド201のノズル201gの先端部にインクのメニスカスが形成された状態を維持している。これにより、ノズル201gからのインクの漏れや大気の進入を防いでいる。ノズル201gからインクが吐出されると、記録ヘッド201内のインク量が減り一時的に負圧が増大してメニスカスが後退するが、ノズル201gの毛細管力により再びノズル201g内にインクが満たされ、インク209はインク供給チューブ206を介してメインタンク204から吸い上げられることにより、記録ヘッド201内の圧力が元に戻り、ノズル201gの先端部にてメニスカスが安定する。このような吐出とインク供給(再充填)とが繰り返される。本実施形態のインクジェット記録装置は、この基本原理に則ったものである。
【0019】
次に、このインクジェット記録装置のインク供給系の詳細な構成について図3を参照して説明する。図3は、図1に示すインクジェット記録装置のインク供給経路を説明するための図であり、説明を簡単にするため、1色分の経路についてのみ示している。
【0020】
まず、記録ヘッド201について説明する。記録ヘッド201へは、インク供給チューブ206の先端に設けられた液体コネクタが気密接続されるコネクタ挿入口201aからインクが供給される。コネクタ挿入口201aは記録ヘッド201の上部に形成されたサブタンク部(第1の液室)201bと連通している。サブタンク部201bの重力方向下側には、並列に配列された複数のノズル201gを有するノズル部にインクを直接供給する液室(第2の液室)201fが形成されている。サブタンク部201bと液室201fとはフィルタ201cによって区画されているが、サブタンク部201bと液室201fとの境界には開口部201dが形成された仕切部201eを有し、フィルタ201cはこの仕切部201e上に設置されている。
【0021】
上述の構成により、コネクタ挿入口201aから記録ヘッド201に供給されたインクは、サブタンク部201b、フィルタ201c、液室201fを経てノズル201gに供給される。コネクタ挿入口201aからノズル201gまでの間は大気に対して気密な状態に保たれている。
【0022】
サブタンク部201bの上面には開口部が形成され、この開口部はドーム状の弾性部材201hで覆われている。この弾性部材201hで囲まれた空間が圧力調整室201iであり、サブタンク部201b内の圧力に応じて容積が変化し、後述するようにサブタンク部201b内の圧力を調整する機能を有する。
【0023】
ノズル201gは、断面幅が20μm程度の筒状の構造を持ち、ノズル201g内のインクに吐出エネルギーを与えることでインクをノズル201gから吐出させ、インクの吐出後、ノズル201gの毛管力によりノズル201g内にインクが満たされる。通常は、この吐出を20kHz以上のサイクルで繰り返し、微細で高速な画像形成を行っている。ノズル201g内のインクに吐出エネルギーを与えるために、記録ヘッド201は、ノズル201gごとにエネルギー発生手段を有する。本実施形態では、エネルギー発生手段として、ノズル201g内のインクを加熱する発熱抵抗素子を用いており、記録ヘッド201の駆動を制御するヘッド制御部(不図示)からの指令により発熱抵抗素子を選択的に駆動し、所望のノズル201g内のインクを膜沸騰させ、これにより生じる気泡の圧力を利用してノズル201gからインクを吐出させている。
【0024】
ノズル201gは、インクを吐出する先端を下向きにして配列されているが、その先端を閉鎖する弁機構は設けられておらず、インクはメニスカスを形成した状態でノズル201gを満たしている。そのため、記録ヘッド201の内部、特にノズル201g内は負圧の状態に保たれている。ただし、負圧が小さすぎると、ノズル201gの先端に異物やインクが付着した場合、インクのメニスカスが崩れてインクがノズル201gから漏れ出てしまうことがある。また、逆に負圧が大きすぎると、吐出時にインクに与えられるエネルギーよりもノズル201g内にインクを引き戻す力が強くなってしまい、吐出不良となってしまう。よって、ノズル201g内における負圧は、大気圧よりも若干低い一定の範囲に保たれる。この負圧の範囲は、ノズル201gの数、断面積、発熱抵抗素子の性能等により異なるが、本発明者らの実験結果によれば、−40mmAq(約−0.0040atm=−4.053kPa)〜−200mmAq(約−0.0200atm=−2.0265kPa)(ただし、インクの比重≒水の比重とする)の範囲が好ましい。
【0025】
本実施形態では、インク供給ユニット205と記録ヘッド201とをインク供給チューブ206で接続しており、インク供給ユニット205に対する記録ヘッド201の位置を比較的に自由に設定できるので、記録ヘッド201内を負圧とするために、記録ヘッド201をインク供給ユニット205よりも高い位置に配置している。
【0026】
フィルタ201cは、ノズル201gを詰まらせるような異物がサブタンク部201bから液室201fへ流出するのを防止するものである。フィルタ201cの面積は、インクによる圧力損失を許容値以下とするように設定される。圧力損失は、フィルタ201cのメッシュが細かいほど、また、インクの流量が多いほど高くなり、フィルタ201cの面積には反比例する。近年の、高速かつ多ノズルかつ小ドットの記録装置においては、圧力損失が高くなる傾向があり、サイズが10×20mm程度の大きなフィルタ201cが用いられており、それに伴って、フィルタ201cの上流のサブタンク部201bやフィルタ201cの下流の液室201fにも大きな空間が必要になっている。フィルタ201cの上面にはサブタンク部201b内のインクが接触しているが、このインクと接触している面積がフィルタ201cの有効面積となる。フィルタ201cによる圧力損失はフィルタ201cの有効面積に依存している。本実施形態では、フィルタ201cを記録ヘッド201の使用状態において水平となるように配置し、フィルタ201cの上面全体にインクを接触させることによりフィルタの有効面積を最大とし、圧力損失を低くしている。
【0027】
フィルタ201cは、インクに接すると、毛細管力によりインクが各孔部(メッシュ)に浸み込んで微細なメニスカスが形成され、インクの透過は容易であるが、空気の流通は困難になる性質を持つ。メッシュが細かいほどそのメニスカス強度が増し、より空気を通しにくくなる。
【0028】
本実施形態のフィルタ201cにおいて、空気を透過させるのに必要な圧力は0.1atm(10.1325kPa)程度(実験値)である。そのため、記録ヘッド201内でのインクの移動方向に関してフィルタ201cの下流に位置する液室201fに空気が存在すると、空気は空気自身の浮力程度ではフィルタ201cを通過することができないので、液室201f内の空気は液室201f内に留まる。本実施形態においてはこの現象を利用しており、液室201fをインクで満たさず、液室201f内のインクとフィルタ201cとの間に空気の層が存在しこの空気層によって液室201f内のインクとフィルタ201cとが隔てられるように、所定の量のインクを液室201f内に蓄えている。
【0029】
また、ノズル201g内に液室201fからの空気が侵入すると、インク吐出後のノズル201gにインクが補充されず吐出不良をおこすため、ノズル201g内は常にインクで満たされている必要がある。
【0030】
圧力調整室201iは、内部の負圧が高まるにつれてその容積が縮小する部屋であり、圧力調整室201iが本実施形態のように弾性部材201hで構成される場合は、弾性部材201hとしてはゴム材等が好ましく用いられる。
【0031】
圧力調整室201iを設けない場合、サブタンク部201b内の圧力は、インクがメインタンク204、インク供給ユニット205、およびインク供給チューブ206を通過する際の圧力損失による抵抗を直接受ける。そのため、全てのノズル201gよりインクを吐出するなど、高い割合でインクを吐出するいわゆる高デューティーの場合には、吐出されるインクに対して記録ヘッド201に供給されるインクが不足状態となり、負圧が急激に上昇してしまう。ノズル201gの負圧が、前述した限界値である−200mmAq(約−2.0265kPa)を越えると、吐出が不安定になり画像形成の上で不都合な状態となる。
【0032】
本実施形態のような、シリアル型の記録装置においては、高デューティーでの画像形成であってもキャリッジ202(図1参照)の反転の際にインクの吐出を中断する状態が存在する。圧力調整室201iは、インクの吐出中には容積を縮小させてサブタンク部201b内の負圧の上昇を緩和し、反転時に復元するといった、コンデンサのような役割を果たす。
【0033】
次に、インク供給ユニット205およびメインタンク204について説明する。
【0034】
メインタンク204は、インク供給ユニット205に対して着脱可能な構成であり、剛性を有するタンク本体の底部に、ゴム栓204bで密封されたインク供給口と、ゴム栓204cで密封された大気導入口とを有する。メインタンク204は、単体では気密な容器であり、インク209はメインタンク204内に液体のまま収容される。
【0035】
一方、インク供給ユニット205は、メインタンク204からインク209を取り出すためのインク供給針205aと、メインタンク204内へ大気を導入させるための大気導入針205bとを有する。インク供給針205aおよび大気導入針205bはともに中空の針であり、メインタンク204のインク供給口および大気導入口の位置に対応させて針先を上方に向けて配置されており、メインタンク204がインク供給ユニット205に装着されることで、インク供給針205aおよび大気導入針205bがそれぞれゴム栓204b,204cを貫通し、メインタンク204の内部に侵入する構成となっている。
【0036】
インク供給針205aは、液路205c、遮断弁210、および液路205dという経路を経て、インク供給チューブ206と接続される。大気導入針205bは、液路205e、バッファ室205f、大気連通口205gを経て大気と連通する。インク供給針205aおよび大気導入針205bは、本実施形態では、インクの流動抵抗を抑えるため、内径が1.6mmの太いものを使用している。
【0037】
また、液路205c途中からは液路205iが分岐している。同時に液路205e途中からは液路205jが分岐しておりともに循環ポンプ205kに接続されており、この循環ポンプ205kの動作によって双方向にインクを送液可能な構造になっている。このポンプは動作しないときには自由なインク流を防止するためにチューブを回転コロで押圧しながら回転しごくたとえばチューブポンプが最適であるが、非動作時にインク流を防止できないタイプのポンプの場合には別途、遮断弁(不図示)を液路205i、もしくは液路205jの途中に追加配設してもよい。
【0038】
遮断弁210は、ゴム材からなるダイアフラム210aを有し、このダイアフラム210aを変位させることにより2つの液路205c,205d間の開閉を行う。ダイアフラム210aの上面には、押圧ばね210cを内部に保持する筒状のばねホルダ210bが取り付けられており、この押圧ばね210cによりばねホルダ210bを介してダイアフラム210aを押し潰すことにより、液路205c,205d間が遮断される。ばねホルダ210bは、後述する回復ユニット207のリンク207eにより動作されるレバー210dが係合するフランジを有する。レバー210dを動作させて、押圧ばね210cのばね力に抗してばねホルダ210bを持ち上げることで、液路205c,205d間が連通する。遮断弁210は、記録ヘッド201がインクを吐出している状態では開かれ、待機中および休止中は閉じられ、回復ユニット207とタイミングを合わせて開閉される。
【0039】
上述したインク供給ユニット205の構成は、レバー210dを除き、メインタンク204ごと、すなわちインクの色(本実施形態では黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色)ごとに設けられている。レバー210dは全ての色に共通のものであり、全ての色についての遮断弁210を同時に開閉させる。
【0040】
以上の構成により、記録ヘッド201内のインクが消費されると、その負圧により、インクが随時メインタンク204からインク供給ユニット205およびインク供給チューブ206を介して記録ヘッド201へ供給される。その際、メインタンク204から供給されたインクと同量の空気が、大気連通口205gからバッファ室205f、大気導入針205bを経て、メインタンク204内に導入される。
【0041】
バッファ室205fは、メインタンク204内の空気の膨張によりメインタンク204から流出したインクを一時的に保持する目的の空間であり、大気導入針205bの下端はバッファ室205fの底部に位置している。インクジェット記録装置の待機中または休止中に環境温度が上昇したり外気圧が低下する等、メインタンク204内の空気が膨張した場合は、遮断弁210は閉じられているため、メインタンク204内のインク209が大気導入針205bから液路205eを経てバッファ室205fへ流出する。逆に、環境温度が低下する等、メインタンク204内の空気が収縮した場合は、バッファ室205f内に流出していたインクはメインタンク204へ戻る。また、バッファ室205fにインクが存在している状態で記録ヘッド201からインクを吐出させると、まず、バッファ室205f内のインクがメインタンク204へ戻り、バッファ室205f内のインクがなくなった後、メインタンク204内に空気が導入される。
【0042】
バッファ室205fの容積Vbは、製品の使用環境を満足するように設定する。例えば、5℃(278K)〜35℃(308K)の温度範囲内での使用を前提とする製品であれば、メインタンク204の容量を100mlとすると、Vb=100×(308−278)/308=9.7ml以上として設定される。
【0043】
インク供給針205aと大気連通針205bとにはインクの電気抵抗を測定する回路205hが接続されており、メインタンク204内のインクの有無を検出可能となっている。この回路205hは、メインタンク204内にインクが存在している状態では、メインタンク204内のインクを介して回路205hに電流が流れるため電気的クローズを検出し、インクが存在しないまたはメインタンク204が装着されていない状態では電気的オープンを検出する。検出電流は微弱であるため、インク供給針205aと大気導入針205bとの絶縁は重要であり、本実施形態では、インク供給針205aから記録ヘッド201までの経路と、大気連通針205bから大気連通口205gまでの経路とを完全に独立させ、メインタンク204内のインクのみの電気抵抗を測定可能なように配慮している。
【0044】
続いて上記構成において顔料の沈降現象によって生じた濃度ムラを解消する手法について説明する。まず、顔料の沈降現象が発生、もしくは推定されたときには先述したレバー210dを動作させて、押圧ばね210cのばね力を利用してばねホルダ210bを下げることで、液路205c,205d間を遮断させる。続いて循環ポンプ205kを動作させて所定の方向へインクを送液する。この時の送液方向は任意であるがメインタンク204内のインク攪拌効果のより高い方向を選択することがより有効である。一端に大気連通口205gを介して大気開放されているがその他の液路205i、205j、インク供給針205a、大気導入針205b、循環ポンプ205k、およびメインタンク204の液路においては密閉されているため、循環ポンプ205kの動作によって大気連通口205gからインクがあふれることはない。インク供給針205aまたは大気導入針205bのメインタンク内開口部はメインタンク204挿入時にその底部に位置させることによって、沈降現象による最も濃度が高い底部付近のインクを循環ポンプ205kの動作によるインク流により一方の開口部から吸出し、他方の開放部から噴出させることができ、メインタンク204内のインク209の攪拌を促進して均一な濃度にすることが可能になる。
【0045】
(第2実施例)
図1に示すインクジェット記録装置のインク供給経路を説明するための図の第2の実施例であり、説明を簡単にするため、1色分の経路についてのみ示している。
【0046】
本実施例では先の第1の実施例における循環ポンプのかわりにピストン205mを具えたものである。ピストン205m内部はピストンを介して2つの液室に分離されており、それぞれ液路205i、205jに接続されている。また、図示しない外部動力によりこのピストンは往復動作可能となっている。
【0047】
顔料の沈降現象が発生、もしくは推定されたときには先述したレバー210dを動作させて、押圧ばね210cのばね力を利用してばねホルダ210bを下げることで、液路205c,205d間を遮断させる。つづいてこのピストン205mを往復動作させることによってインク供給針205a、大気導入針205bから相互にインクを噴出吸い込みを繰り返し、メインタンク内インクの攪拌が可能となる。
【0048】
ここで液路205i、205j、ピストン205m内にはなるべく空気が入らないほうが好ましいため、事前に液路内をインクで満たしておくか、ピストン位置を初めに液路205i側死点としておき動作を開始することで多くの空気流入を防止することができる。
【0049】
(その他)
なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0050】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長や収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0051】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことができるようになるからである。
【0052】
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0053】
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0054】
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出手段を挙げることができる。
【0055】
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0056】
さらに加えて、以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギーによる昇温を、インクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0057】
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、大容量インクタンクを移動しない場所に搭載したインクジェット記録装置において、インクタンクを本体設置する際にそのインクタンク内と連通する2つ以上の連通口の相互間を循環するポンプなどを設けることにより、その動作によるインクタンク内インク流を生成攪拌でき、消耗部材である交換式インクタンクに特別の構成を付加することなく顔料の沈降現象によって生じた濃度ムラを解消することが可能となるため、低コストのインクタンクを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェット記録装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置のインク供給原理の説明図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置の、1色分についてのインク供給経路を説明するための第1実施例を示す図である。
【図4】図1に示すインクジェット記録装置の、1色分についてのインク供給経路を説明するための第2実施例を示す図である。
【符号の説明】
201 記録ヘッド
201a コネクタ挿入口
201b サブタンク部(第1のインク室)
201c フィルタ
201d 開口部
201e 仕切部
201f 液室(第2のインク室)
201g 吐出ノズル
201h 弾性部材
201i 圧力調整室
202 キャリッジ
203 搬送ローラ
204 メインタンク(インクタンク)
204b、204c ゴム栓
205 インク供給ユニット
205a インク供給針
205b 大気導入針
205c、205d、205e 液路
205f バッファ室
205g 大気連通口
205h 回路
205i、205j 液路
205k 循環ポンプ
205m ピストン
206 インク供給チューブ
207 回復ユニット
207e リンク
209 インク
210 遮断弁
210a ダイアフラム
210b ばねホルダ
210c 押圧ばね
210d レバー
S 記録用シート

Claims (7)

  1. 複数の吐出口からインクを吐出して記録媒体上に記録を行う記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドが搭載されて前記記録媒体上を往復走査するキャリッジと、
    前記キャリッジが前記記録媒体上を1回往復走査する毎に、前記キャリッジの走査方向に対して垂直方向に前記記録媒体を所定の距離だけ搬送する記録媒体搬送手段と、
    前記キャリッジの往復走査および前記記録媒体搬送手段による前記記録媒体の搬送に影響を与えない位置に設置されたインク貯蔵タンクと、前記インク貯蔵タンクに挿入されるインク供給針と空気導入針をそれぞれ1つ以上具え、前記インク貯蔵タンクから前記インク供給針にインクを供給する供給チューブを具えたインクジェット記録装置において、
    前記インク供給針と前記空気導入針の片端はそれぞれ前記インク貯蔵タンク内に排設され、それぞれ他端は送液部材に接続されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記インク貯蔵タンク内の前記インク供給針と前記空気導入針からは、前記送液部材の動作によって等量のインクが、一方が流入すれば他方が排出する補間的インク流を起こすことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記送液部材はチューブをコロで押圧、回転することで前記インク供給針側から前記空気導入針側、もしくは、その逆方向へインクを循環送液するチューブポンプであることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記送液部材はピストン部材であって前記インク供給針側から前記空気導入針側、もしくは、その逆方向へインク送液方向を交互に変える送液部材であることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記インク供給針から前記供給チューブを経由して前記記録ヘッドへの途上に遮断弁を具え、前記送液部材の動作によるインク流が前記記録ヘッドへ到達することを遮断する構成であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  6. 該記録インクは顔料を含有する記録インクであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記記録ヘッドは、電気エネルギーを熱エネルギに変換する電気熱変換体を備え、該電気熱変換体によって印加される熱エネルギによりインクに生じる膜沸騰を利用してインクを吐出する請求項1から6のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006327186A (ja) * 2005-04-28 2006-12-07 Brother Ind Ltd インクジェット記録装置及びその制御方法
JP2007296795A (ja) * 2006-05-02 2007-11-15 Canon Inc 液体供給システム及びインクジェット記録装置

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