JP2004356208A - オールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサーおよびその製造方法 - Google Patents

オールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサーおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定して提供でき、コストも低く、性能も十分満足することのできるオールフィルム製電子レンジ用コンデンサーの製法条件等を確立することを課題とする。
【解決手段】誘電体がポリプロピレンフィルムであり、厚さが7〜30μm、ヘイズィ( hazy )値が5〜50%、スペースファクターが5〜12%、コンデンサー用オイルを85℃に加熱し40時間以上含浸したときのフィルムの厚さ方向の厚み変化率が13%以下であり、導電体であるアルミニウム箔の厚さが4〜7μmであり、含浸後のオイルの誘電正接(tanδ)値が0.10%以下(80℃、60Hz)であり、オイルを含浸する前のコンデンサーの静電容量をC、オイルを含浸した後の静電容量をCとした時、C/C比の値が1.12〜1.17である電子レンジ用油浸オールフィルムコンデンサーである。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレンフィルムを誘電体としたオールフィルム製電子レンジ用コンデンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電極と誘電体とを巻き回して形成された素子にコンデンサー用オイルを含浸してなる油浸コンデンサー用の誘電体としては、当初、コンデンサー紙(以下、紙と言う)が用いられていた。紙は、紙自体がポーラスでコンデンサー用オイル(以下、オイルという)を含浸させるのが容易であり、オイルを含浸しても膨潤がない上に、コンデンサー使用時の温度変動に対しても、熱膨張・収縮が少なく、設計が容易であるとして、広く用いられてきた。
反面、紙の誘電正接は比較的大きく、コンデンサーの内部発熱量は大きい。また、紙の絶縁破壊電圧が低いため、電位傾度を高くすることができず、必然的に厚い紙を用いることとなって、コンデンサーが大きくなるという欠点が避けられなかった。
さらに、紙はその製造過程で副生する種々の廃棄物によって環境が汚染されるという問題や紙の原料である資源の保護並びにコストダウンの要望があり、ミックスタイプからオールフィルム化への切り替えが望まれていた。
【0003】
一方、合成樹脂フィルムは、絶縁破壊電圧が高いので電位傾度を高く設計でき、内部発熱量も少ないので、単位容量当たりの体積が小さくて済み、大容量のコンデンサーが小型化できるので設置面積が少なくなるという特徴が着目され、さらには、製造コスト的にも多くのメリットが認められている。
電力用コンデンサーは、これらのメリットを活かして、オールフィルムタイプのコンデンサーが用いられてきている。現在、600V以上の電力用コンデンサーに使用されるフィルムは、電気的性能の優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPと言う)が主に使用されている。電力用コンデンサーは、OPPとAl箔とを巻き回して形成された素子をつぶし素子とし、数ヶ〜数十ヶを束ねた上に、バンドをかけて素子を所望のC/Cになるように固定・拘束した後、鉄製の容器に入れてオイルを含浸し、密封した構造となっている。因みに、Cはオイルを含浸する前のコンデンサーの静電容量、Cはオイルを含浸した後の静電容量であり、電力用コンデンサーにおけるC/Cは、1.19〜1.20である。
【0004】
これに対して、電子レンジ用コンデンサーは、電力用コンデンサーとは異なり、通常、素子数は1ヶであり、容器は一般的にアルミ缶が用いられる。また、電子レンジ用コンデンサーは使用される環境温度範囲が広い。
合成樹脂フィルムは、紙と異なり、一般に内部に空隙等を含まない(ポーラスでない)ので、密に巻かれた場合にはオイルの含浸に多くの時間が必要であり、また、オイルを含浸すると膨潤する、さらに、熱膨張・収縮が紙に比較して大きい、等により、寸法安定性が低くなり易いという欠点がある。
これらの特性により、電子レンジ用コンデンサーにオールフィルムタイプのコンデンサーを用いようとすると、電子レンジ用コンデンサーはOPPとAl箔とを巻き回して形成された素子「1ヶ」を単独で使用するため、所望のC/Cに固定するのが困難であった。また、熱による収縮(膨張)や、オイルによる膨潤で、缶が膨らみ、オイルが流れ出す等の問題、素子に「シワ」が発生し、コンデンサーがパンクする、等の原因となった。
このように特性が安定しないため、電子レンジ用コンデンサーの「オールフィルムタイプコンデンサー」の開発は成功しなかった。
【0005】
紙とフィルムの両方の長所を利用するものとして、紙とフィルムとを混用した「ミックスタイプコンデンサー」が開発され、今日の電子レンジ用コンデンサーは、ほぼ100%がミックスタイプとなっている。
従来の電子レンジ用ミックスタイプコンデンサーの一般的な素子構成を図5に模式的に示す。
図5において、Al箔4、OPP5および紙6をこの順に重ねて巻き回し、素子を構成する。電極である上下のAl箔間の誘電体層は、OPP1枚と紙1枚または紙2枚で構成される。ミックスタイプの場合、オイルはOPPの表面状態に拘わらず、紙が持つポーラス性によって素子内部まで容易に含浸させることができる。また、オイルに含浸された紙は殆ど形状変化を起こさないために、OPPの膨潤や熱膨張・収縮に対するクッション材或いはバッファー材の役目を果たし、素子を圧迫する現象が緩和され、素子の巻き締まりや変形がなくなり、C/Cを厳密に規定しなくても安定したコンデンサーが製造できる。そして、そのC/Cとしては、1.17〜1.18(紙1枚+OPP1枚の場合)、または〜1.20(紙2枚+OPP1枚の場合)の値となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、未だ開発に成功していないオールフィルム製電子レンジ用のコンデンサーを安定して提供し、コストも低く、性能も十分満足することのできるオールフィルム製電子レンジ用コンデンサーの製法条件等を確立することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、紙を使用しないオールフィルム製電子レンジコンデンサーの信頼性向上に寄与する要素について鋭意検討を行った結果、コンデンサーの誘電体フィルムがポリプロピレンフィルムのみからなることを特徴とするオールフィルム製電子レンジコンデンサーの作製に成功した。
本発明のオールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサーは、ポリプロピレンフィルムとアルミニウム箔とを巻き回して形成された素子にコンデンサー用オイルを含浸してなる電子レンジ用油浸オールフィルムコンデンサーにおいて、前記コンデンサーの誘電体がポリプロピレンフィルムのみからなることを特徴とする。
【0008】
上記ポリプロピレンフィルムとアルミニウム箔とを巻き回して形成された素子は、つぶし素子であり、かつ拘束されていること、前記ポリプロピレンフィルムは、厚さが7〜30μm、ヘイズィ( hazy )値が5〜50%、スペースファクターが5〜12%、コンデンサー用オイルを85℃に加熱し40時間以上含浸したときのフィルムの厚さ方向の厚み変化率が13%以下であり、前記アルミニウム箔の厚さが4〜7μmであり、含浸後のオイルの誘電正接(tanδ)値が0.20%以下(80℃、60Hz)であること、オイルを含浸する前のコンデンサーの静電容量をC、オイルを含浸した後の静電容量をCとした時、C/C比の値が1.08〜1.22であることが好ましい。
【0009】
また、前記素子の前記拘束が、以下の態様の単独、または組み合わせた態様であることがこのましい。
▲1▼.素子巻工程の終部においてAl箔が規定の長さに達し、Al箔を切断した後、ポリプロピレンフィルムのみを上巻きする態様。
▲2▼.PETフィルム、PPフィルム等の厚手のフィルムで素子を包む態様。
▲3▼.ガラスフェノール樹脂、ユリア樹脂等の剛直性を有する板でサンドイッチする態様。
▲4▼.素子を入れた缶の外から缶の膨張を拘束する態様。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明のオールフィルム製電子レンジ用コンデンサーに用いるポリプロピレン(以下、PPという)樹脂は、メルトフロー値 1〜10g/10分、好ましくは 2〜6g/10分、アイソタクティック度93%以上、好ましくは95%以上、塩素含有量10ppm以下、灰分30ppm以下であり、500〜1,500ppmの抗酸化剤を添加したPP組成物であることが好ましい。このPP組成物を加熱成形し、2軸延伸して、本発明の誘電体であるOPPとする。
ここで、上記PP樹脂のメルトフロー値が 1g/10分より小さいと、PP組成物をフィルム状に成形すること、及び所望の特性を有するOPPを得ることが困難となることがあり、また、メルトフロー値が10g/10分より大きいとオイル(絶縁油)中への低分子量PP成分の溶出量が増加することがある。
【0011】
OPPの絶縁破壊性能は、フィルム中の結晶化度に左右される。結晶化度はフィルムの製膜条件(製膜温度、延伸倍率等)によっても変わるが、アイソタクティック度により影響を受ける。アイソタクティック度93%未満の場合、OPP中の非結晶部分が多くなり、オイルによるフィルムの膨潤度が大きくなる。なお、アイソタクティック度93%以上でのOPPの結晶化度は概ね65〜85%である。
塩素含有量及び灰分は、共にOPPの耐電圧性能を左右するもので、いずれの含有量が多くなっても耐電圧が低下するため、塩素含有量は10ppm以下、灰分は30ppm以下とすることが好ましい。
【0012】
また、PP組成物中の抗酸化剤量が500ppm未満の場合、PP組成物をフィルム状に加熱成形する際に熱劣化が起こり、また、抗酸化剤量が1、500ppmを越えるとOPPの誘電正接(tanδ)が大きくなり過ぎる傾向が見られやすい。このような、成形時に酸化が進んだOPPあるいは抗酸化剤を多量に含むOPPを油含浸タイプのコンデンサーに用いると、内部発熱が大きくなり、フィルムの熱劣化を進めたり、フィルムの膨潤による変形が大きくなり、コンデンサーの寿命に悪影響を及ぼす原因となる。
なお、メルトフロー値、アイソタクティック度、塩素含有量、抗酸化剤量等は、当該フィルムの製造業界では公知の物性である。このような特性を有する樹脂は、コンデンサーフィルム用樹脂として市販されているものから選択することができる。
【0013】
本発明に使用されるフィルム(OPP)は、上記したPP樹脂を使用して製造される。そのヘイズィ( hazy )値は5〜50%であることが必要であるが、特に20〜40%であることが好ましい。なお、ヘイズィ値はフィルムを通過する光の量、即ち入射光強度に対する透過光強度の比(百分率)で表わされる値であり、光の散乱率である。ヘイズィ値にはフィルムの内部で発生する内部ヘイズィと、フィルムの表面での散乱により発生する外部ヘイズィとがあるが、本発明で規定するのは、外部ヘイズィ値についてである。
即ち、ヘイズィ値は、フィルム表面の粗度状態(表面構造の微細性)を表す。ヘイズィ値が5%未満では、PP表面に形成される微細構造が十分でないため、スペースファクタが目的とした範囲にまで上げられず、信頼性の高いコンデンサーは得られない。
他方、ヘイズィ値が50%を越える場合、OPP表面には微視的に複雑で深い凹部が存在し、この部分では局部的にフィルムの厚さが薄くなるため、耐電圧が低下し、コンデンサーのパンクの原因となる。
【0014】
一方、フィルムの全厚さに対して、表面の凹凸部分が占める厚さの割合(表面粗度の大きさの絶対値)を求めた値がスペースファクター(SF)と呼ばれるもので、マイクロメーター等で実測した厚さ(t)に対し、フィルムの重量から計算により求めた厚さ(w)の比、即ち、SF=[(t−w)÷w]×100、で表される。SF値は、OPPとAl箔とを交互に巻き回すことによって形成した素子の、絶縁油が入るべき空間量(空隙率)を左右することになる。例えばSF値が大きいと表面の凹凸が大きいことになる。
【0015】
本発明で使用するOPPのSF値は、5〜12%であることが望ましい。SF値が5%未満の場合、OPPとAl箔とを交互に巻き回すことによって形成した素子に減圧下においてオイルを含浸させる場合、オイルがフィルム層間或いはOPP―Al箔層間に十分に含浸が行き渡らず、コロナ発生電圧が低下し、その結果フィルムの絶縁破壊が起り、コンデンサーがパンクする。また、SF値が12%を越えると、前項のヘイズィ値が50%を越える場合と同様に、フィルム表面に局部的に深い凹部の存在頻度が増加し、耐電圧が低下してしまう。
OPPは、成形方法及び条件によって種々の表面形態が得られる。製法を大別するとインフレーション法(同時二軸延伸法)とテンター法(逐次二軸延伸法)とが知られている。
【0016】
インフレーション法で得られるヘイズィフィルムは、その製法上、チューブ状であり、通常、徐冷された側は凹凸が大きく、逆に急冷された側は小さくなる。
即ち、内面と外面とでヘイズィ値及びSF値の度合いが異なるヘイズィフィルムを製造するのに適している。
一方、平板状で製膜するテンター法は、一般に表面が平滑なフィルムの生産に適しているが、製膜時のフィルム両面の冷却速度を適宜調整することによって、ヘイズィフィルムの製造が可能である。
本発明において用いられるOPPは、上述のOPP諸特性を満足するものであれば、その製法には制約されない。
【0017】
本発明で使用されるフィルム厚さは、7〜30μmで、単独或は複数枚を組み合わせて使用される。設計電位傾度によって、フィルム枚数や厚さの組み合わせにバリエーションを持たせることが出来る。
今、電子レンジ用コンデンサーの耐電圧を2,000Vとすれば、フィルムの最小耐電圧は300V/μm以上であるから、2,000(V)÷300(V/μm)≒7(μm)となり、誘電体の厚さとしては、理論上7μmの誘電体厚さとになり、7μm厚さのフィルムを1枚使用すればよいことになる。しかし、プラスチックフィルムは、一般的に言って、製膜時の条件、異物混入、空気の抱きこみ等により、フィルム自体に肉厚ムラや、場合によってはピンホールが発生し、耐電圧は低下すると見た方がよい。
従って、設計上の耐電圧(電位傾度)は、安全率を高くとる必要がある。一般的には、40〜100V/μmの値を採用する。40V/μm未満では、信頼性は増すがコスト高となり、100V/μmを越えるとその逆となる。
【0018】
設計耐電圧を80V/μmとした場合、2,000÷80=25、となる。フィルム1枚の場合の厚さは25μm、同じ厚さのフィルムを2枚使用すれば12.5μm、3枚なら8.3μmとなる。安全率はフィルムの弱点部が重複する確率を少なくすれば高くなるので、フィルム1枚より2枚、2枚より3枚の場合の方が安全率は増加する。本発明では、通常複数枚を組み合わせて使用する。他方、作業効率は、枚数が少ないほどよいため、何枚で設計するかは、コストとの絡みで決定される。
なお、設計耐電圧を40V/μmとした場合、2,000÷40=50(μm)で、例えば25μmのフィルムを2枚使用される。また、設計耐電圧を100Vとすれば、2,000÷100=20μmとなり、例えば20μmのフィルムを1枚使用しても良い。安全率を上げるには、10μmのフィルムを2枚使用することでも良い。
ヘイズィ値5〜50%、SF値5〜12%の他に、フィルムの熱収縮率または熱膨張率、およびオイル中での膨潤率も重要なファクターである。85℃、60時間後のフィルムの熱収縮率または熱膨張率は2%以下であればよい。2%以下のフィルムは、適正な製膜条件を採用することにより得ることが出来る。
【0019】
フィルムの熱収縮率または熱膨張率は、空気中での値であるのに対し、膨潤率はオイル中でのフィルムの変化を表し、コンデンサーとしてより現実的で影響が大きく、無視できない。なお、オイル中でのフィルムの膨潤率は主としてフィルムの結晶化度に左右されることは前述した。しかし、OPPが結晶性脂肪族ポリマーのため、オイルとの相容性(組合わせ)でもその値は変化する。本発明における膨潤率は、85℃のオイルに含浸して膨潤が飽和・平衡に達したときのフィルムの厚さ方向の変化率で、13%以下、好ましくは10%以下であることが望ましい。85℃のオイルとする理由は、電子レンジ用コンデンサーの寿命試験条件がこの温度のためである。85℃で13%以下でないと、寿命試験に合格しない。なお、85℃のオイルの中で膨潤が飽和・平衡に達するまでのおおよその時間は、40時間以上好ましくは60時間である。
【0020】
コンデンサー素子中での電極間(2枚のAl箔間)距離は、アルミ箔の伸び縮みは無視できるため変化がないのに対して、フィルムは熱とオイルの影響を強く受ける。膨潤率13%以上では、フィルム厚が増大して、容器を膨らまさせ、パンクの原因になったり、フィルム層間、フィルム―アルミ箔層間に浸透したオイルを排出して十分な量を保持できなくなり、コンデンサー容量の安定性が悪く、耐電圧が低下し、パンクの原因となる。また、加熱時間40時間未満では、フィルムとオイルとの平衡関係(加熱時の平衡)が終了しないため、安定的にコンデンサーを製造できない。
【0021】
本発明のオールフィルム製電子レンジコンデンサーは、上記の条件を満足するOPPとAl箔とを巻き回して素子を形成し、これを容器に入れ、次いでオイルを含浸し、封缶することにより得られる。
素子は、通常丸型に巻き回され、巻芯から引き抜かれて製造されるが、断面がトラック状の容器に入れられるため、ツブして(つぶし素子として)容器中に挿入される。つぶし素子とは、図4に示されるように、素子の中心部の巻芯跡の空隙をほぼ無くすように平行平面で押し潰し、断面がトラックの形状を呈する状態の素子をいう。本発明素子形状は、つぶし素子または無誘導巻つぶし素子が対象である。なお、巻き芯を入れたままの丸型素子では巻下層部から巻上層部までにオイルを均一に含浸させることが難しく、巻き芯の無い丸型素子においては、素子中心部に向かってフィルムの膨潤による縮径する力が加わり中心部分が異常変形するため、C/C比をコントロールすることが非常に難しい。なお、Al箔はコンデンサー用として市販されており、その純度は99%以上、厚さは4〜7μmである。
【0022】
オイルは、電極間での部分放電防止のために必須な材料である。要求される特性は、イオン性不純物の混入がなく、誘電正接が小さく、Hガス吸収性に優れ、耐電圧が大きいことである。具体的には誘電正接(tanδ)が0.005〜0.05%(80℃、60Hz)であるものが採用される。
オイル単独でのtanδ値(tanδ が0.01%のオイルであっても、コンデンサーの製造工程や部材から混入する不純物によって、その値は悪化する。容器(Al缶は使用前に洗浄される)、フィルム、Al箔は純度的に問題ないが、蓋(オイル漏れ防止のため、オイル注入孔封鎖部材等各種部材が使用されている)、タブ(取り出し電極。タブに紙を貼り付けたタイプのものは、接着剤が使用されている。)、素子巻き終了後の巻き終わりのフィルムを固定するための粘着テープ(接着剤)及びクランプ材(膨潤防止材)の純度が特に大きな問題となる。
【0023】
ものによっては10倍以上オイルのtanδを悪化させる。これら部材が、使用可能であるか否かの判定は、コンデンサーとした後のtanδ値(tanδ)によって判定できる。tanδ値は0.20%以下が必須である。これ以上では、コンデンサーはパンクする可能性が増加する。
部分放電が発生しないためには、オイル自身の耐電圧が高いことが必要である。そのためには、オイルの体積抵抗率が1015Ω・cm(80℃)以上であることが望ましい。
【0024】
また、フィルム―Al箔各層間にボイドを作らないことも重要となる。そのためには、フィルム―Al箔各層間にオイルが浸透し易いようにオイルの粘度が低いことが好ましい。さらに寒冷地での使用に耐えるためには、流動点は−30℃以下のオイルが好ましい。しかし、使用環境が氷点下にならない温暖地仕様では、特にこだわらない。部分放電が発生すると、その周辺のフィルムやオイルが放電エネルギーにより分解し、Hガスが発生し、部分放電がますます発生しやすくなるため、この発生したHガスを速やかに吸収する特性を有するオイルであることが、より有効となってくる。
【0025】
これらの要求を満足するものとして、芳香族系の合成油が長年多用され、代表的な例として、PXE或いはSAS−40(いずれも新日本石油化学(株)製の商品名)等、合成アルキル化芳香族系化合物類が知られている。PXEはフェニルキシリルエタンを主成分とし、SAS−40はm−ベンジルトルエン(32%)、o−ベンジルトルエン(5%)、p−ベンジルトルエン(22%)、ジフェニルエタン(38%)からなる混合物である。低温特性を向上させる目的でジフェニルエタンの一部をベンジルトルエンに変えたものや、フェニルキシリルエタンを使用したものもある。
これら合成アルキル化芳香族系化合物からなるオイルは、特にHガス吸収性が優れており、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
一般(汎用)コンデンサー用のコンデンサー用オイルとして要されていたものは、電気絶縁性の油であり、JIS C 2320に規格が示されている。これらは鉱油、アルキルベンゼン、ポリブテン、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、シリコーン油が例示される。これらのオイルは、本発明の要求特性を有するものを除いて、単独で使用することは出来ないものの、混合して使用することは拒まない。
JIS規格以外のものとして植物系、その他の合成エステル系オイル他が使用されてきた。植物系のものとしては、大豆油、なたね油、綿実油、ひまし油などが挙げられ、合成エステル系オイル他としては、長鎖アルコール、リン酸エステル、スルホン油、高級エステル類などが知られている。
しかし、電子レンジ用コンデンサーの定格電圧は2,000V以上と高圧のため、これらのオイルは一般に耐電圧が低く、単独では使用できない。
【0027】
本発明の電子レンジ用コンデンサーは、OPPとAl箔とを巻き回して素子を形成し、つぶして、容器に収め、乾燥工程等を経てオイル充填・含浸・エージングを行ってコンデンサーを製造する。この一連の過程で、OPPにはオイル含浸による寸法変化(膨潤)及び温度上昇に伴う寸法変化(油中での熱収縮または熱膨張)の現象が起きる。コンデンサーの安定性に大きな影響を与えるのは、前者(膨潤)である。特に適正なフィルム(OPP)とオイルとの選定により、初めて信頼性に優れたオールフィルム製電子レンジ用コンデンサーが得られる。
オイル中でのフィルムの膨潤率は、85℃、60時間加熱した後で13%以下、好ましくは10%以下あるが、この条件を満たすためには、オイルの含浸条件も重要となる。
オイルの充填後、引続き加熱下に保持し、フィルムへのオイルの浸透(膨潤)を完了させ、平衡化させることにより、安定性、信頼性がより強固なものとなる。
含浸後のエージング時間は、30〜60℃の温度範囲で、かつ含浸時間を含めて48時間以上が必要となる。48時間未満ではフィルム中の微小欠陥にまで充分にオイルが浸透せず、信頼性が確保できない。望ましいエージング時間は48〜60時間である。
【0028】
次に、オイルを含浸する前のコンデンサーの静電容量をC、オイルを含浸した後の静電容量をCとした時、オイルによるフィルムの膨潤を束縛(拘束)して、C/C比の値が1.08〜1.22、より好ましくは1.10〜1.17になるようにすることが必要である。C/C比の値が1.08〜1.22の場合、フィルムを適度に膨潤させ、フィルムの微小欠陥をカバーし、且つフィルム層間及びフィルム−アルミ箔層間にオイルの層が均一に過不足無く存在し、素子を安定させることが出来る。この範囲に満たない場合は、各層間にオイルが十分でないことを意味し、課電中にオイルが十分でない部分から部分放電が起こる。発生したコロナは、オイル或いはフィルム等有機構成物を分解し、コンデンサーの温度上昇や内圧上昇を起こし、パンクする原因となる。他方、上記範囲を越える場合は、層間のオイル量が過大であることを意味し、オイルの耐電圧が低いため、分解が起こり、繰り返し使用でパンクする原因となる。
【0029】
/C比を1.08〜1.22に束縛する方法は、つぶし素子または無誘導巻つぶし素子の上下を、
▲1▼.素子巻工程の終部においてAl箔が規定の長さに達し、Al箔を切断した後、ポリプロピレンフィルムのみを上巻きする方法。
▲2▼.PETフィルム、PPフィルム等の厚手のフィルムで素子を包む方法。
▲3▼.ガラスフェノール樹脂、ユリア樹脂等の剛直性を有する板でサンドイッチする方法。
▲4▼.素子を入れた缶の外から缶の膨張を拘束する方法。
の単独、あるいは
▲5▼.上記▲1▼〜▲4▼を組み合わせた方法。
が挙げられる。
【0030】
▲1▼の方法では、Al箔が介在させない部分の巻回ではその部分が膨潤・熱膨張による拡径よりも、それ自体が内部側に対する膨張抑制の作用の方が大きいことを利用するもので、余剰巻回は15巻以上、好ましくは20〜30巻が採用される。
▲2▼の方法は、素子よりも剛性の高いフィルムで素子を包み、粘着テープあるいは接着剤でその巻回周長さを固定しようとするものである。必要があれば、フィルムを複数回巻き回す。
▲3▼の方法は、図4に示すように、剛直性を有する板を素子をつぶした両面にあてがい、テープ等で固定するものである。図4の例では、剛直性を有する板としては、ガラスフェノール樹脂板を例示している。
▲4▼の方法は、アルミ缶等の素子収納容器そのものの膨張・拡径を規制することにより、素子の膨潤・膨張を規制しようとするものである。そのためには、鉄製バンドでたが(箍)を填めるような形態や、素子収納容器の広い面積部分に鉄製板を添わせる形態等が採用できる。
コンデンサーから、直接的には、オイルを含浸する前のコンデンサーの静電容量をCを計測することはできないものの、使用される誘電体フィルムの比誘電率、厚みと幅及びスペースファクター、アルミ箔(電極)長さ、オイルの比誘電率等から近似計算で求めることができる。
【0031】
ガラスフェノール樹脂、ユリア樹脂等の、剛直性を有する板でサンドイッチする方法や、PETフィルム、PPフィルム等の厚手のフィルムで素子を包む方法の場合、重要なことは、これらの部材がオイルを汚染する有害な不純物を含有・放出しないことである。オイル中に溶解するイオン性不純物が存在すると、コンデンサーは容易にパンクするようになる。
/Cを目標値に保つ好ましい方法は、巻取り終了後の素子を、同じフィルムを使用して通常より長く後巻きする方法である。後巻きフィルムの長さは、素子を15回以上、好ましくは20回以上巻取ることが有効である。15回以下では、クランプ効果は少なく、C/Cを目標値に保つことは困難となり易い。
素子の上下(つぶした平行面))を束縛する方法以外に、缶の外から缶の膨張を拘束する方法も可能である。これら拘束方法は、単独または組み合わせて使用できる。
【0032】
本発明による、誘電体構成部材がOPPのみからなる電子レンジ用油浸オールフィルムコンデンサーの素子構成の一例を図1に模式的に示す。
図1において、Al箔1、OPP2、OPP3を1組としてこの順に重ねて巻き回し、素子を構成する。電極である上下のAl箔間の誘電体層は、この図示例では2枚のOPPで構成される。OPPの枚数は、前述の通り、適宜とすることができる。また、複数用いる場合に、各OPPの膜厚は同一であることを原則とするが、異なるものであっても差し支えない。
オールフィルムタイプコンデンサーでは、フィルムがオイルにより膨潤すれば、フィルムの厚さは増加する。同時に巻き回された部材同士は圧迫されることになる。更に、フィルムが熱収縮すると、素子に巻き締まる力が加算され、オイル含浸により素子中の部材間に保持されていたオイルが素子外部に押出される現象が起きたり、素子にシワが発生してパンクの原因となることがある。
【0033】
ミックスタイプ、オールフィルムタイプ何れの製法においても、その製造工程は同じであり、洗浄=缶及び蓋を洗浄する、素子巻き=巻き芯にOPPとアルミ箔とを巻き回し、巻取り途中に電極取り出しのためのタブを挿入する、つぶし、組み立て=外部電極と放電抵抗を取り付けた缶の蓋にタブから引き出されているリードをハンダ付けする、缶入れ=これを缶(ケース)に入れる、巻き締め=蓋とケース上部の接合部を巻き締める(封缶する)、C及びtanδ測定、乾燥(真空下)、オイル含浸(真空下)、エ−ジング(放置)、封缶、C及びtanδ測定である。
ミックスタイプコンデンサーの乾燥は、通常、紙は融点がなく、吸水性のため高温(90〜120℃)で長時間(72時間以上)が適用されるのに対し、オールフィルムタイプは、フィルムの軟化点(融点168〜170℃)が低く、水を吸収しないため、温度は30〜60℃、時間は24時間以内で十分である。
30℃以下では水分の除去に長時間を要する。他方、60℃以上の乾燥温度では、前述したように、オイル含浸時に60℃以下に確実にしておかないとフィルムの膨潤、素子に収縮が起こりオイルが含浸しにくくなる。
【0034】
なお、OPP幅とAl箔幅との端面の差(マージン幅)は、3mm〜10mmが好ましい。3mm以下のマージン幅では、素子端面で電極間での回り放電が起こりパンクすることがある。10mm以上では回り放電の問題は無くなるが、フィルムを余分に使用することとなり、コスト高になる。なお、旗状タブ(引き出し電極)を使用しない無誘導巻つぶし素子の場合のマージン幅とは、誘電材の間で頭が隠されている側のマージン幅を意味する。反対側の突出幅は、適宜とする。
製品の試験は、ヒートサイクル、部分放電開始電圧(コロナ発生電圧)測定、連続課電、直流破壊電圧(DC−BDV)の測定である。
ヒートサイクルテスト条件は、室温(保持時間8時間)−80℃(保持時間16時間)−室温−80℃と2回繰り返す。
連続課電(ライフテスト)条件は、定格電圧x1.25倍(2,625V)、500時間、85℃雰囲気下とする。
DC−BDVは、室温下、定格電圧x4.3倍(9,030V)とする。
部分放電開始電圧(コロナ発生電圧)測定は、コロナ測定器、NF回路ブロック社製を用いて測定した。コンデンサーを85℃にして、AC1,650V×24時間(16.5μmのフィルムを2枚用いた場合、1,650V=50V/mm×16.5μm×2を基準とした)の予備課電実施後、コンデンサーの温度を室温まで下げ、4,000V/90秒の速度でAC電圧を印加し、部分放電が発生する電圧を測定する。
これら項目を全てクリアーして(パンクしない)初めて合格となる。
【0035】
【実施例1】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[素子製造]
Cu板に錫メッキをした旗状タブ(引き出し電極)を使用し、厚さ16.5μ、幅75mmのOPPフィルム2枚及び厚さ6μ、幅60mmのAl箔1枚を巻き回して外径40mm(内径12mm)のコンデンサー素子(仕様2,100V、1μF)を作成した。マージン幅は両側とも7.5mmとした。タブ位置は中央(接着剤:アクリル系接着剤転写テープ)。使用したOPPフィルムのヘイズィ値は30%、スペースファクター10%、オイル(PXE)85℃、60時間加熱したときのフィルムの厚さ方向の膨潤率は8%であった。なお、素子を巻き戻した状態を図2に示した。
【0036】
オイル(PXE)の温度85℃、60時間加熱したときのフィルムの厚さ方向の膨潤率の測定方法は、オイル500ccをビーカに注入し、85℃に昇温後、OPPフィルム(幅35mmx長さ400mm)を浸して行った。時間の経過とともに膨潤率は増加するが、この変化を図3に示した。
図3から、時間の経過とともにフィルムが膨潤し、およそ40時間でほぼ平衡に達することが理解できる。余裕を持たせて、60時間とすればより確実である。
素子をつぶして「つぶし素子」とし、C(0.936μF)及びtanδ(0.02%)を測定した。
【0037】
次いで、厚さ2mm、幅30mm×長さ80mmからなる、アンモニア性不純物をカットしたガラスフェノール樹脂板(日立化成製、商品名:スタンドライトCP−J−8700)2枚を素子の上下にセットし、電気用ポリエステルテープでC/Cが1.14なるように固定(拘束)した。
10MΩの放電抵抗を電極に接続した蓋を取り付けた缶(十分に清浄したアルミ缶)に拘束した素子を封入し、複数の缶を纏めて密封容器に挿入した。缶が挿入された密閉容器を0.001Torrに減圧にした後、60℃まで昇温し、24時間乾燥後40℃まで冷却し、同温度でPXEオイルを容器に注入(含浸)した。PXEオイルから十分に脱気するために、1時間を要して密閉容器にオイルを充填した。40℃に50時間静置した後、缶のオイル注入口を密閉し、コンデンサーを製造した。
の値は1.067μF、tanδは0.08%で、C/C=1.14であった。
【0038】
[素子評価結果]
1.ヒートサイクルテスト:室温から80℃に昇温し、16時間保持。これを2回行った。結果は合格だった。
2.部分放電開始電圧:予備課電:85℃、1,650V×24時間後、部分放電開始電圧を測定した。その値は2,759Vであった。
3.連続課電テスト:85℃、2,625V(定格電圧2,100V×1.25)で500時間行った。結果は合格だった(パンクしなかった。)
4.直流破壊電圧テスト:200V/sで昇圧し、破壊電圧を測定した。合格(破壊)電圧は9,030V(定格電圧×4.3倍)以上である。結果は10,200Vでパンクした(合格)。
測定に使用した機器は、容量及びtanδ:LCRメーター(NF回路ブロック社製)、部分放電(コロナ測定器、NF回路ブロック社製)、ライフテスト:連続課電装置(総研電気社製)、温度は日油技研工業社製のサーモラベルを使用した。なお、得られた結果を表1に示した。
【0039】
[実施例2〜7]
クランプ方式を表1に示したやり方で行った以外、実施例1と同じ方法でコンデンサーを製造した。評価結果は表1に示したが、いずれも満足のいくものだった。 なお、クランプの仕様の詳細は、以下の通りである。
Al板寸法(厚さ2mm、幅30mm×長さ80mm)、石英ガラス寸法(厚さ2mm、幅30mm×長さ80mm)(共に、固定テープは電気絶縁用ポリエステルテープ)、PETフィルム(厚さ20μm、幅75mm,長さ150mm、コンデンサー用PET)、PPフィルム(厚さ25μm、幅75mm、長さ100mm、コンデンサー用純度樹脂使用)、OPP後巻(厚さ等は素子まきに使用したフィルムと同じ、巻き終わり後のフィルム長:実施例6は30ターン、実施例7は20ターン(3者とも、固定テープは電気絶縁用ポリエステルテープ)。
【0040】
【表1】
Figure 2004356208
【0041】
[実施例8〜14]
表2に示す条件で、実施例2〜7と同様の方法でコンデンサーを製造した。評価結果は表2に示したが、いずれも満足のいくものだった。
【0042】
【表2】
Figure 2004356208
【0043】
[比較例1〜7]
比較のため、表3に示す条件で以下の実験を行った。それぞれの実験の変更事項は以下の通りである。
比較例1:コンデンサオイルに菜種油を用いた。
比較例2:スペースファクタの小さなフィルムを用いた。スペースファクタ=4%。
比較例3:膨潤率の大きなフィルムを用いた。膨潤率=15%。
比較例4:オイル含浸を低い温度(室温)で実施した。オイル含浸温度=20℃。
比較例5:オイル含浸を高温・短時間で実施した。オイル含浸温度=80℃、時間=8時間。
比較例6:C/Cを大きくした。C/C=1.25。
比較例7:素子にクランプをかけなかった。
【0044】
【表3】
Figure 2004356208
【0045】
【発明の効果】
オールフィルム製電子レンジ用コンデンサーが安定的に製造でき、環境対策、コスト削減効果が得られる。
以上のように、本発明によれば、安定性のあるオールフィルム製電子レンジ用コンデンサーが製造可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、誘電体構成部材がOPPのみからなる電子レンジ用オールフィルムコンデンサーの素子構成の一例を模式的に示す図である。
【図2】実施例1の素子を巻き戻した状態を模式的に示す図である。
【図3】実施例1におけるOPPフィルムの膨潤の経時的変化を示すグラフである。
【図4】本発明のつぶし素子に剛直板をサンドイッチにして拘束した状態で完に収納する過程を示す説明図である。
【図5】従来の電子レンジ用ミックスタイプコンデンサーの一般的な素子構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1:Al箔
2:OPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
3:OPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
4:Al箔
5:OPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
6:紙(コンデンサー紙)

Claims (7)

  1. ポリプロピレンフィルムとアルミニウム箔とを巻き回して形成された素子にコンデンサー用オイルを含浸してなる電子レンジ用油浸オールフィルムコンデンサーにおいて、前記コンデンサーの誘電体がポリプロピレンフィルムのみからなることを特徴とするオールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサー。
  2. 上記ポリプロピレンフィルムとアルミニウム箔とを巻き回して形成された素子は、つぶし素子であり、かつ拘束されている請求項1に記載のオールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサー。
  3. 前記ポリプロピレンフィルムは、厚さが7〜30μm、ヘイズィ( hazy )値が5〜50%、スペースファクターが5〜12%、コンデンサー用オイルを85℃に加熱し40時間以上(飽和・平衡に達するまで)含浸したときのフィルムの厚さ方向の厚み変化率が13%以下であり、前記アルミニウム箔の厚さが4〜7μmであり、含浸後のオイルの誘電正接(tanδ)値が0.20%以下(80℃、60Hz)である請求項2に記載のオールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサー。
  4. 前記ポリプロピレンフィルムが複数枚の組とされている請求項3に記載のオールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサー。
  5. オイルを含浸する前のコンデンサーの静電容量をC、オイルを含浸した後の静電容量をCとした時、C/C比の値が1.08〜1.22である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサー。
  6. 前記素子の前記拘束が、以下の態様の単独、または組み合わせた態様である請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のオールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサー。
    ▲1▼.素子巻工程の終部においてAl箔が規定の長さに達し、Al箔を切断した後、ポリプロピレンフィルムのみを上巻きする態様。
    ▲2▼.PETフィルム、PPフィルム等の厚手のフィルムで素子を包む態様。
    ▲3▼.ガラスフェノール樹脂、ユリア樹脂等の剛直性を有する板でサンドイッチする態様。
    ▲4▼.素子を入れた缶の外から缶の膨張を拘束する態様。
  7. ポリプロピレンフィルムとアルミニウム箔とを巻き回して形成された素子にコンデンサー用オイルを含浸してなる電子レンジ用油浸オールフィルムコンデンサーを製造する方法において、
    ▲1▼.コンデンサー用オイルの含浸前の誘電正接(tanδ)値が0.005〜0.05%(80℃、60Hz)を用いること、
    ▲2▼.コンデンサー用オイルの含浸温度を30〜60℃とする、
    ことを特徴とするオールフィルム製電子レンジ用油浸コンデンサーの製造方法。
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