JP2004358603A - マイクロデバイスの製造方法 - Google Patents

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Mitsutoshi Azuma
光敏 東
Mitsuharu Shimizu
満晴 清水
Kazunari Imai
一成 今井
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Abstract

【課題】本発明は機能部品として光デバイスやMEMS部品が搭載されたマイクロデバイスの製造方法に関し、製造工程中に機能素子に汚染が発生することを確実に防止することを課題とする。
【解決手段】光デバイス部27を形成する時に用いられる犠牲層34を除去する犠牲層除去工程と、光デバイス部27が形成された基板22Aにスペーサ23Aを介してガラス板24を配設する工程とを有するマイクロデバイスの製造方法において、犠牲層34が除去される前の光デバイス部27が形成された基板22Aに対し接着剤32を用いてスペーサ23Aを配設し、その後に犠牲層34を除去する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマイクロデバイスの製造方法に係り、特に機能部品として光デバイスやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品が搭載されたマイクロデバイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光デバイスやMEMSのように、半導体製造技術を利用して基板(例えば、シリコン基板)上に、電子回路ばかりでなくアクチュエータ等の機械的駆動要素(以下、機能素子という)を製造する技術が注目され、かつ開発が進められている。
【0003】
このような半導体製造技術を利用して基板上に電子回路ばかりでなく機能素子を形成した装置(以下、マイクロデバイスという)は、機能素子内に塵芥が侵入すると適正な駆動ができなくなってしまう。このため、マイクロデバイスは、塵芥のデバイス内の侵入を確実に防止する必要がある。そこで、従来からマイクロデバイスでは、例えば特許文献1に示されるように、機能素子が形成される部分をリッド(蓋)により覆う構成が採られている。
【0004】
図10は、従来の一例であるマイクロデバイスを示している。同図では、マイクロデバイスとして光学系モジュール1を例に挙げている。また、図11は、従来における光学系モジュール1の製造方法の一例を示している。
【0005】
光学系モジュール1は、大略すると基板2,スペーサ3,ガラス板4(リッド),光デバイス部7等により構成されている。この光学系モジュール1は、実装基板5上に実装用接着剤6を用いて実装されている。
【0006】
基板2はシリコン基板であり、その上部には光デバイス部7,配線8,及びスペーサ3が配設されている。光デバイス部7は例えば光スイッチであり、基板2上にMEMS技術を用いて形成されている。
【0007】
また配線8は、スペーサ3の内側と外側とを電気的に接続するものである。即ち、配線8のスペーサ3の内側に位置する端部はワイヤ9により光デバイス部7に接続されており、配線8のスペーサ3の外側に位置する他端部はワイヤ10により実装基板5に形成された電極11に接続されている。
【0008】
スペーサ3は、第1の接着剤12により基板2に固定されている。また、このスペーサ3の上部には、ガラス板4が第2の接着剤13を用いて固定されている。このスペーサ3及びガラス板4により、光デバイス部7は封止された構造となる。よって、ガラス板4を配設した後は、スペーサ3とガラス板4とにより封止された光デバイス部7が配設された空間内に塵芥が侵入することはなくなり、光デバイス部7の保護を図ることができる。
【0009】
続いて、図11を参照し、従来における光学系モジュール1の製造方法について説明する。光学系モジュール1を製造するには、予め別工程で光デバイス部7及び配線8が形成された基板2を用意する。
【0010】
この状態では、図11(A)に示すように、まだ犠牲層14は除去されておらず、光デバイス部7と一体的に形成された状態となっている。従来の製造工程では、この犠牲層14を除去する処理が最初に実施される。この犠牲層14の除去処理が実施されることにより、基板2には光デバイス部7のみが形成された状態となり、よって光デバイス部7は駆動可能な状態となる。
【0011】
続いて、図11(B)に示すように、スペーサ3の配設位置に対応する部位に第1の接着剤12(熱硬化性樹脂よりなる)を塗布し、続いて光デバイス部7と配線8とをワイヤ9により接続する。その後に、スペーサ3を第1の接着剤12上に載置すると共に所定の温度で加熱し、第1の接着剤12を固化させることによりスペーサ3を基板2に固定する。図11(C)は、スペーサ3が基板2に固定された状態を示している。
【0012】
続いて、図11(D)に示されるように、スペーサ3の上面に第2の接着剤13(熱硬化性樹脂よりなる)を塗布する。スペーサ3に第2の接着剤13が塗布されると、続いて図11(E)に示されるように、ガラス板4が第2の接着剤13を介してスペーサ3上に載置される。この状態で所定の温度に加熱処理を行なうことにより、第2の接着剤13は硬化してガラス板4はスペーサ3に固定される。これにより、光デバイス部7は、スペーサ3及びガラス板4により封止された構成となる。
【0013】
【特許文献1】特開2002−246489号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の光学系モジュール1(マイクロデバイス)の製造方法においても、光デバイス部7(機能素子)はスペーサ3及びガラス板4により封止されるため、ガラス板4の配設後においては塵芥が光デバイス部7に付着し、光デバイス部7を汚染することを防止ができる。
【0015】
しかしながら、従来の光学系モジュール1(マイクロデバイス)の製造方法では、図11(A),(B)に示すように、犠牲層14を除去することにより光デバイス部7が外部に露出した状態とした後に、基板2に第1の接着剤12,スペーサ3,第2の接着剤13,及びガラス板4を配設する方法が採られていた。
【0016】
このため、第1の接着剤12によりスペーサ3を基板2に固定する際、また第2の接着剤13によりガラス板4をスペーサ3に固定する際に加熱処理を行なうと、各接着剤12,13からガス(揮発成分)が発生し、このガスにより光デバイス部7が汚染されてしまうという問題点があった。このように、光デバイス部7が汚染された場合、光デバイス部7が適正に駆動しなくなり、光学系モジュール1の信頼性が大きく低下してしまう。
【0017】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、製造工程中に機能素子に汚染が発生することを確実に防止しうるマイクロデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0019】
請求項1記載の発明は、
機能素子を形成する時に用いられる犠牲層を除去する犠牲層除去工程と、
前記機能素子が形成された基板に、スペーサを介してガラス板を配設する工程とを有するマイクロデバイスの製造方法であって、
前記犠牲層が除去される前の前記機能素子が形成された基板に対し、接着剤を用いて前記スペーサを配設するスペーサ配設工程と、
該スペーサ配設工程が終了した後、前記犠牲層除去工程を実施することを特徴とするものである。
【0020】
上記発明によれば、基板に接着剤を用いてスペーサを配設する際、機能素子には犠牲層が設けられたままの状態となる。即ち、機能素子が犠牲層により保護された状態で、接着剤によりスペーサが基板に接着される。このため、接着時に接着剤からガス(揮発成分)が発生しても、機能素子は犠牲層により保護されているため、機能素子がこのガスにより汚染されるようなことはない。
【0021】
また、請求項2記載の発明は、
機能素子が形成された基板に、スペーサを介してガラス板を配設する工程とを有するマイクロデバイスの製造方法であって、
前記ガラス板を前記スペーサに陽極接合を用いて配設したことを特徴とするものである。
【0022】
上記発明によれば、機能素子が形成された基板にスペーサを介してガラス板を配設する際、陽極接合を用いてガラス板をスペーサに接合するため、従来必要とされた接着剤を不要とすることができ、よってガラス板とスペーサとの接合時に接着剤から発生するガスにより機能素子が汚染することを防止できる。
【0023】
また、請求項3記載の発明は、
請求項1または2記載のマイクロデバイスの製造方法において、
前記スペーサの材料としてシリコンを用いたことを特徴とするものである。
【0024】
上記発明によれば、スペーサの材料としてシリコンを用いたことにより、スペーサの加工精度を高めることができる。
【0025】
また、請求項4記載の発明は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
一端部が前記機能素子と電気的に接続されると共に、他端部が前記基板の前記機能素子が配設された面と反対側の面に露出するスルーホール電極を前記基板に形成するスルーホール形成工程を更に設けたことを特徴とするものである。
【0026】
上記発明によれば、機能素子に接続される配線を基板上のスペーサが配設された外部まで引き出す必要がなくなるため、この配線の引き出しに要する領域分だけマイクロデバイスの小型化を図ることができる。
【0027】
また、請求項5記載の発明は、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
前記スペーサを形成するスペーサ形成工程を更に有し、
該スペーサ形成工程において、前記スペーサを枠状に形成すると共に、前記スペーサの内周コーナー部を湾曲形状に形成したことを特徴とするものである。
【0028】
上記発明によれば、スペーサを枠状に形成すると共に、このスペーサの内周コーナー部を湾曲形状に形成したことにより、コーナー部に応力が集中することがなくなり、枠状とすることにより幅が狭くなっても強度を維持することができる。
【0029】
また、請求項6記載の発明は、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
前記スペーサ形成工程で、前記スペーサに前記基板に当接する凸部と、該当接部に対し窪んだ凹部とを形成し、
前記スペーサ配設工程では、前記凸部を前記基板に当接させると共に、前記凹部に前記接着剤を充填することにより、前記スペーサを前記基板に配設することを特徴とするものである。
【0030】
上記発明によれば、スペーサ形成工程においてスペーサに凸部及び凹部が形成される。よって、スペーサ配設工程においてスペーサを基板に配設した際、凸部が基板に当接すると共に、凹部は基板から離間した状態となる。よって、スペーサの基板に対する高さは、凸が基板と当接することにより精度出しを行なうことができる。また、凹部と基板との間には間隙が形成されるため、スペーサと基板を接着する接着剤はこの凹部と基板との間に配設され、凸部と基板との間には配設されないため、基板に対するスペーサの高さを一定に保つことができる。
【0031】
また、請求項7記載の発明に係るマイクロデバイスの製造方法は、
基材にキャビティを形成することにより収納基板を形成する収納基板形成工程と、
犠牲層が除去される前の機能素子が形成された基板を、前記収納基板のキャビティ内に接着剤を用いて配設する基板配設工程と、
該基板配設工程の終了の後に、前記犠牲層を除去する犠牲層除去工程と、
前記キャビティを覆うように前記収納基板にガラス板を配設する工程とを有することを特徴とするものである。
【0032】
上記発明によれば、スペーサを用いないため、スペーサの接着処理を不要とすることができ、よって接着剤から発生するガスにより機能素子が汚染することを防止できる。
【0033】
また、請求項8記載の発明は、
請求項7記載のマイクロデバイスの製造方法において、
前記ガラス板を前記収納基板に陽極接合を用いて配設したことを特徴とするものである。
【0034】
上記発明によれば、陽極接合を用いてガラス板を収納基板に接合するため、接合時に機能素子を汚染させるガスの発生はなく、よって汚染のない信頼性の高いマイクロデバイスを製造できる。
【0035】
また、請求項9記載の発明は、
請求項7または8記載のマイクロデバイスの製造方法において、
前記収納基板の材料としてシリコンを用いたことを特徴とするものである。
【0036】
上記発明によれば、収納基板の材料としてシリコンを用いたことにより、シリコンは加工精度が高いため、キャビティを精度よく形成することができる。
【0037】
また、請求項10記載の発明は、
請求項7乃至9のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
一端部が前記機能素子と電気的に接続されると共に、他端部が前記収納基板の前記機能素子が配設された面と反対側の面に露出するスルーホール電極を前記収納基板に形成するスルーホール形成工程を更に設けたことを特徴とするものである。
【0038】
上記発明によれば、機能素子に接続される配線をキャビティの内壁に沿って外部まで引き出す必要がなくなるため、マイクロデバイスの製造の簡単化を図ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0040】
図1及び図2は、本発明の第1実施例であるマイクロデバイスの製造方法を製造手順に沿って示す図である。本実施例では、マイクロデバイスとして、光デバイス部27を機能素子として有する光学系モジュール20A(図2(B),(C)参照)を製造する方法を例に挙げて説明するものとする。また説明の便宜上、図2(C)を用いて光学系モジュール20Aの構成説明を先に簡単に行い、その後に光学系モジュール20Aの製造方法の説明を行なうものとする。
【0041】
図2(C)に示されるように、光学系モジュール20Aは、大略すると基板22,スペーサ23A,ガラス板24,光デバイス部27等により構成されている。この光学系モジュール20Aは、実装基板25上に実装用接着剤26を用いて実装されている。
【0042】
基板22はシリコン基板であり、その上部には光デバイス部27,配線28,及びスペーサ23Aが配設されている。光デバイス部27は例えば光スイッチであり、基板22上にMEMS技術を用いて形成されている。この際、光デバイス部27は、基板22上に形成された犠牲層34に形成される。
【0043】
ここで、犠牲層とは、機能素子(光デバイス部27)の製造段階では機能素子と一体的に層形成され、機能素子を保持する機能を奏し、最終的には機能素子の稼働のために除去される層をいう。従って、犠牲層34が存在する間は、光デバイス部27はこの犠牲層34により保護される。
【0044】
また、配線28は銅膜をパターニングしたものであり、光デバイス部27の形成時と前後して形成される。この配線28は、スペーサ23Aの内側と外側とを電気的に接続するものである。即ち、配線28のスペーサ23Aの内側に位置する端部はワイヤ29により光デバイス部27に接続されており、配線28のスペーサ23Aの外側に位置する他端部はワイヤ10により実装基板5に形成された電極11に接続されている。ワイヤ29,30としては、金ワイヤを用いる。
【0045】
スペーサ23Aはシリコン加工したものであり、接着剤32により基板22に固定されている。このスペーサ23Aは開口部38が形成されることにより、図3に拡大して示すように平面視した状態で枠状の形状を有している。
【0046】
また、光学系モジュール20Aの小型化を図るため、スペーサ23Aの幅寸法(図中、矢印Wで示す)を狭くなるよう形成している。シリコンは加工性がよく、また微細加工も可能であるため、幅寸法Wの狭いスペーサ23Aを容易に形成することができる。
【0047】
更に、スペーサ23Aの開口部38の内周コーナー部には、湾曲部35が形成されている。これにより、スペーサ23Aのコーナー部に応力が集中することがなくなり、上記のように枠部分の幅寸法Wが狭くなってもスペーサ23Aの強度を維持することができる。
【0048】
このスペーサ23Aの上部には、ガラス板24が固定される。このスペーサ23A及びガラス板24により、光デバイス部27は封止された構造となる。よって、ガラス板24を配設した後は、スペーサ23Aとガラス板24とにより封止された光デバイス部27が配設された空間内に塵芥が侵入することはなくなる。これにより、光デバイス部27が汚染されることを防止することができ、よって光デバイス部27を確実に駆動させることができる。
【0049】
続いて、図1及び図2を参照し、本発明の第1実施例である光学系モジュール20Aの製造方法について説明する。
光学系モジュール1を製造するには、図1(A)に示される基板22Aを用意する。この基板22Aはシリコンウェハであり、その表面にはマイクロマシニング技術を用いて光デバイス部27及び配線28等が形成されている。この光デバイス部27等は基板22A上に多数個形成されているが、図1及び図2では1個の光学系モジュール20Aに対応する部分を拡大して示している。
【0050】
この状態では、図1(A)に示すように、光デバイス部27には犠牲層34が形成されたままの状態とされている。前記したように、従来の製造方法では先ず犠牲層14を除去する処理を実施したが、本実施例では犠牲層34を除去することはせずに次の工程に移る。
【0051】
上記構成とされた基板22Aには、先ず図1(B)に示すように、接着剤32の塗布が行なわれる。この接着剤32は熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、基板22A上のスペーサ23の配設位置に対応する部位に塗布される。この接着剤32の上部には、図1(C)に示すようにスペーサ23Aが配設され、続いて加熱処理を実施することにより接着剤32を硬化させスペーサ23Aを基板22Aに固定する(スペーサ配設工程)。
【0052】
前記のように、本実施例ではスペーサ23Aの材料としてシリコンを用いているため、スペーサ23Aを高精度に加工することができる。このため、スペーサ23Aの幅寸法W(図3参照)を小さくすることができ、基板22A上におけるスペーサ23Aの配設面積(配設スペース)を小さくできる。これにより、製造される光学系モジュール20Aの小型化を図ることができ、1枚の基板22A(ウェハ)から製造される光学系モジュール20Aの個数を増大させることができる。
【0053】
また、上記のようにスペーサ23Aの幅寸法Wを狭くしても、スペーサ23Aの内周コーナー部には湾曲部35が形成されている。このため、上記のような温度変化があっても、コーナー部に応力が集中することがなくなり、スペーサ23Aの強度を維持することができる。
【0054】
ところで、上記したようにスペーサ配設工程では、スペーサ23Aを基板22Aに固定する際、接着剤32を硬化させるために加熱処理が実施される。この加熱処理において、接着剤32に含まれる揮発成分はガス化して飛散する。しかしながら、本実施例では基板22Aに接着剤32を用いてスペーサ23Aを配設する際、光デバイス部27には犠牲層34が設けられたままの状態となっている(図1(C)参照)。
【0055】
即ち、光デバイス部27が犠牲層34により保護された状態で、接着剤32によりスペーサ23Aが基板22Aに接着される。このため、接着時に接着剤32からガス(揮発成分)が発生しても、光デバイス部27は犠牲層34により保護されているため、光デバイス部27(機能素子)がこのガスにより汚染されるようなことはない。
【0056】
上記のスペーサ配設工程が終了すると、次に光デバイス部27を保護していた犠牲層34を除去する処理が実施される(犠牲層除去工程)。この犠牲層34の除去処理は、反応性イオンエッチング(RIE)、アッシング、ケミカルエッチング等により実施される。
【0057】
これにより、光デバイス部27は外部に露出した状態となり、またこれに伴い光デバイス部27は駆動が可能な状態となる。このように犠牲層34が除去されると、光デバイス部27と配線28との電気的な接続処理が実施される。本実施例では、図1(D)に示すように、光デバイス部27と配線28をワイヤ29によりワイヤボンディングする。
【0058】
続いて、図1(E)に示すようにスペーサ23Aの上部にガラス板24を位置決めし、スペーサ23A上にガラス板24を配設する処理を行なう。本実施例では、シリコンよりなるスペーサ23Aとガラス板24との接合に、陽極接合を用いている。この陽極接合とは、ガラスとシリコン(金属でも可能)を重ねて電圧印加しつつ加熱すると、ガラスとシリコンの界面で静電引力が発生し、これによりガラスとシリコンとが接合される接合方法である。
【0059】
この陽極接合を用いてスペーサ23Aとガラス板24を接合した場合、従来必要とされた接着剤を不要とすることができる。よって、ガラス板24とスペーサ23Aとの接合時に、接着剤から発生するガスにより光デバイス部27(機能素子)が汚染することを防止できる。
【0060】
尚、陽極接合を用いてスペーサ23Aとガラス板24を接合する場合、若干の酸素が発生することが知られているが、その発生量は微量であるため、光デバイス部27に悪影響を及ぼすようなことはない。また、スペーサ23Aとガラス板24とは熱膨張差が存在するため、この熱膨張差の影響を少なくする点から、ガラス板24としては低膨張の硼珪酸ガラス、例えばパイレックス(登録商標)ガラスを用いることが望ましい。
【0061】
図1(F)は、ガラス板24がスペーサ23Aに陽極接合された状態を示している。このように、ガラス板24がスペーサ23Aに配設されることにより、光デバイス部27はガラス板24及びスペーサ23Aにより封止された構成となり、よってこの封止後に塵芥が光デバイス部27に付着することを防止することができる。
【0062】
上記のようにガラス板24の配設処理が終了すると、続いて図2(A)に示すように、基板22Aをダイシングソー44により切断し光学系モジュール20Aを個片化する。図2(B)は、個片化された光学系モジュール20Aを示している。このようにして製造された光学系モジュール20Aは、例えば図2(C)に示すように実装基板25に実装されて使用される。光学系モジュール20Aの実装基板25への実装方法としては、実装用接着剤26を用いて光学系モジュール20Aの基板22を実装基板25に固定すると共に、配線28と電極31をワイヤ30にて電気的に接続する。
【0063】
続いて、上記構成とされた光学系モジュール20Aの変形例について説明する。前記した第1実施例に係る光学系モジュール20Aでは、スペーサ23Aは図3に示すように単に枠状の形状とされていた。
【0064】
これに対して変形例では、図4及び図5に示すように、スペーサ23Bを形成する際、スペーサ23Bの基板22(22A)と対向する位置に凸部36を形成したことを特徴とするものである。このように、スペーサ23Bに凸部36を形成することにより、相対的にスペーサ23Bには凸部36に対して窪んだ凹部37が形成される。
【0065】
上記構成とされたスペーサ23Bを基板22(22A)に当接させ接着剤32を用いて接着する際、凸部36が基板22と当接することにより、凹部37の形成位置では基板22と凹部37との間に間隙が発生し、接着剤32はこの間隙の内部に位置する構成となる。
【0066】
これにより、凸部36が基板22(22A)と当接する部分には接着剤32が介在しないため、スペーサ23Bの基板22(22A)に対する高さは、凸部36が基板22(22A)に直接当接することにより高さ出しを行なうことができる。また、前記のように接着剤32は、凹部37と基板22(22A)との間に形成される間隙が形成される。よって、基板22(22A)に対するスペーサ23Bの高さを一定に保つことができる。これにより、ガラス板24をスペーサ23Bに陽極接合する際、確実に陽極接合することができ、光学系モジュール20Aの信頼性を高めることができる。
【0067】
図7は、本発明の第2実施例であるマイクロデバイスの製造方法により製造された光学系モジュール20Bを示している。尚、図7において、図1乃至図6に示した構成と同一の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。また同一の製造処理についても同様に、その説明を省略する。
【0068】
前記した第1実施例に係る光学系モジュール20A及びその製造方法では、基板22Aに配線28を設け、この配線28により光デバイス部27をスペーサ23Aの外部に引き出し、この配線28のスペーサ23Aの外部位置と電極31(実装基板25に設けられている)とを電気的接続する構成とした。
【0069】
これに対して本実施例に係る光学系モジュール20B及びその製造方法では、配線28に代えてスルーホール40を設けたことを特徴とするものである。このスルーホール40は、基板22のスペーサ23Aの形成位置よりも内側の位置に形成されている。
【0070】
また、スルーホール40の上端部は、光デバイス部27(機能素子)と電気的に接続されると共に、下端部は基板22の背面(光デバイス部27が配設された面と反対側の面)に露出している。この露出位置には下部電極41が形成されると共に、下部電極41には外部接続端子となるはんだボール42が配設されている。
【0071】
この構成とすることにより、第1実施例のように光デバイス部27に接続される配線28をスペーサ23Aの外部まで引き出す必要がなくなるため、この配線の引き出しに要する領域分(図7に一点鎖線で示す領域分)だけ光学系モジュール20Bの小型化を図ることができる。
【0072】
図8及び図9は、本発明の第3実施例を示している。図8は第3実施例であるマイクロデバイスの製造方法により製造された光学系モジュール20Cを示しており、また図9は本発明の第3実施例である光学系モジュール20Cの製造方法を示している。尚、図8及び図9において、図1乃至図6に示した構成と同一の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。また同一の製造処理についても同様に、その説明を省略する。
【0073】
光学系モジュール20Cは、キャビティ46が形成されたキャビティ収納基板45内に、光デバイス部27が形成された基板22を配設したことを特徴とするものである。キャビティ収納基板45はシリコンにより形成されており、キャビティ46はバルク状のシリコンをエッチングすることにより形成されている。また、ガラス板24は、キャビティ収納基板45の上面に、陽極接合を用いて接合されている。
【0074】
更に、キャビティ収納基板45の底面部にはスルーホール40が形成されており、光デバイス部27はこのスルーホール40を用いてキャビティ収納基板45の底面に配設されたはんだボール42と電気的に接続されている。このように、スルーホール40を用いることより、光デバイス部27に接続される配線をキャビティ46の内壁に沿って外部まで引き出す構成に比べ、光学系モジュール20Cの製造の簡単化を図ることができる。
【0075】
以下、図9を参照して,光学系モジュール20Cの具体的な製造方法について説明する。
【0076】
光学系モジュール20Cを製造するには、先ず図9(A)に示すシリコン基板47を用意する。このシリコン基板47は、高さHが所定の高さとなるように高精度に形成されたものである。このシリコン基板47には、エッチング処理を行なうことによりキャビティ46が形成される(収納基板形成工程)。このエッチング処理は、キャビティ46の内壁を垂直とする点からは、反応性イオンエッチング(RIE)を用いることが望ましい。
【0077】
続いて、このキャビティ46が形成されたキャビティ収納基板45には、スルーホール40の形成処理が実施される。このスルーホール40の形成処理は、周知の方法であり、特に困難を伴うものではない。このスルーホール40の上端部には上部電極39が形成され、また下端部には下部電極41が形成される。
【0078】
続いて、スルーホール40が形成されたキャビティ収納基板45には、光デバイス部27が形成された基板22が搭載される。この基板22は、実装用接着剤26を用いてキャビティ収納基板45のキャビティ46内に接着される。
【0079】
この際、本実施例では犠牲層34を除去しない、即ち光デバイス部27に犠牲層34が設けられた状態の基板22をキャビティ収納基板45に搭載する。このため、基板22の接着時に実装用接着剤26から発生する揮発成分(ガス)により、光デバイス部27が汚染してしまうようなことはない。
【0080】
基板22がキャビティ46内に配設されると、続いて犠牲層34が除去されると共に、光デバイス部27と上部電極39とがワイヤ29により接続される。続いて、キャビティ収納基板45の上面にガラス板24が搭載され、このキャビティ収納基板45とガラス板24とを陽極接合する。この際、前記のようにキャビティ収納基板45は高さHのシリコン基板47から製造されるため、キャビティ収納基板45も高さHを維持している。このため、ガラス板24を確実にキャビティ収納基板45の上面に陽極接合することができる。
【0081】
上記のようにガラス板24がキャビティ収納基板45に配設されると、続いて下部電極41にはんだボール42が形成され、これにより図8に示す光学系モジュール20Cが完成する。
【0082】
尚、上記した各実施例では、ガラス板24とスペーサ23A,23B、及びガラス板24とキャビティ収納基板45とを接合する方法として陽極接合を用いたが、ガスを発生させない接合方法であれば、他の接合方法を用いてもよい。具体的には、ガラス板とスペーとの接合面、及びガラス板とキャビティ収納基板との接合面にそれぞれ金メッキを施しておき、これを着き合わせて超音波接合する方法等が考えられる。
【0083】
【発明の効果】
上述の如く本発明によれば、次に述べる種々の効果を実現することができる。
【0084】
請求項1記載の発明によれば、接着時に接着剤からガス(揮発成分)が発生しても、機能素子は犠牲層により保護されているため、機能素子がこのガスにより汚染されることを防止することができる。
【0085】
また、請求項2記載の発明によれば、従来必要とされた接着剤を不要とすることができ、よってガラス板とスペーサとの接合時に接着剤から発生するガスにより機能素子が汚染することを防止できる。
【0086】
また、請求項3記載の発明によれば、スペーサの加工精度を高めることができる。
【0087】
また、請求項4記載の発明によれば、機能素子に接続される配線を基板上のスペーサが配設された外部まで引き出す必要がなくなるため、この配線の引き出しに要する領域分だけマイクロデバイスの小型化を図ることができる。
【0088】
また、請求項5記載の発明によれば、コーナー部に応力が集中することがなくなり、枠状とすることにより幅が狭くなっても強度を維持することができる。
【0089】
また、請求項6記載の発明によれば、スペーサの基板に対する高さは凸が基板と当接することにより精度出しを行なうことができ、またスペーサと基板を接着する接着剤はこの凹部内に配設され凸部と基板との間には配設されないため、基板に対するスペーサの高さを一定に保つことができる。
【0090】
また、請求項7記載の発明によれば、スペーサを用いないため、スペーサの接着処理を不要とすることができ、よって接着剤から発生するガスにより機能素子が汚染することを防止できる。
【0091】
また、請求項8記載の発明によれば、陽極接合を用いてガラス板を収納基板に接合するため、接合時に機能素子を汚染させるガスの発生はなく、よって汚染のない信頼性の高いマイクロデバイスを製造できる。
【0092】
また、請求項9記載の発明によれば、収納基板の材料としてシリコンを用いたことにより、シリコンは加工精度が高いため、キャビティを精度よく形成することができる。
【0093】
また、請求項10記載の発明によれば、機能素子に接続される配線をキャビティの内壁に沿って外部まで引き出す必要がなくなるため、マイクロデバイスの製造の簡単化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるマイクロデバイスの製造方法を説明するための図である(その1)。
【図2】本発明の第1実施例であるマイクロデバイスの製造方法を説明するための図である(その2)。
【図3】スペーサを示す図である。
【図4】スペーサの変形例を示す図である。
【図5】変形例であるスペーサに設けられる凸部を拡大して示す図である。
【図6】変形例であるスペーサが基板に接着された状態を拡大して示す図である。
【図7】本発明の第2実施例であるマイクロデバイスの製造方法により製造されたマイクロデバイス(光学系モジュール)を示す図である。
【図8】本発明の第3実施例であるマイクロデバイスの製造方法により製造されたマイクロデバイス(光学系モジュール)を示す図である。
【図9】本発明の第3実施例であるマイクロデバイスの製造方法を説明するための図である。
【図10】従来の一例であるマイクロデバイスの製造方法により製造されたマイクロデバイス(光学系モジュール)を示す図である。
【図11】従来の一例であるマイクロデバイスの製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
20A〜20C 光学系モジュール
22 基板
23A,23B スペーサ
24 ガラス板
25 実装基板
26 実装用接着剤
27 光デバイス部
32 接着剤
34 犠牲層
35 湾曲部
36 凸部
37 凹部
38 開口部
40 スルーホール
42 はんだボール
45 キャビティ収納基板
46 キャビティ
47 シリコン基板

Claims (10)

  1. 機能素子を形成する時に用いられる犠牲層を除去する犠牲層除去工程と、
    前記機能素子が形成された基板に、スペーサを介してガラス板を配設する工程とを有するマイクロデバイスの製造方法であって、
    前記犠牲層が除去される前の前記機能素子が形成された基板に対し、接着剤を用いて前記スペーサを配設するスペーサ配設工程と、
    該スペーサ配設工程が終了した後、前記犠牲層除去工程を実施することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  2. 機能素子が形成された基板に、スペーサを介してガラス板を配設する工程とを有するマイクロデバイスの製造方法であって、
    前記ガラス板を前記スペーサに陽極接合を用いて配設したことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  3. 請求項1または2記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    前記スペーサの材料としてシリコンを用いたことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    一端部が前記機能素子と電気的に接続されると共に、他端部が前記基板の前記機能素子が配設された面と反対側の面に露出するスルーホール電極を前記基板に形成するスルーホール形成工程を更に設けたことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    前記スペーサを形成するスペーサ形成工程を更に有し、
    該スペーサ形成工程において、前記スペーサを枠状に形成すると共に、前記スペーサの内周コーナー部を湾曲形状に形成したことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    前記スペーサ形成工程で、前記スペーサに前記基板に当接する凸部と、該当接部に対し窪んだ凹部とを形成し、
    前記スペーサ配設工程では、前記凸部を前記基板に当接させると共に、前記凹部に前記接着剤を充填することにより、前記スペーサを前記基板に配設することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  7. 基材にキャビティを形成することにより収納基板を形成する収納基板形成工程と、
    犠牲層が除去される前の機能素子が形成された基板を、前記収納基板のキャビティ内に接着剤を用いて配設する基板配設工程と、
    該基板配設工程の終了の後に、前記犠牲層を除去する犠牲層除去工程と、
    前記キャビティを覆うように前記収納基板にガラス板を配設する工程とを有することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  8. 請求項7記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    前記ガラス板を前記収納基板に陽極接合を用いて配設したことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  9. 請求項7または8記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    前記収納基板の材料としてシリコンを用いたことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  10. 請求項7乃至9のいずれか1項に記載のマイクロデバイスの製造方法において、
    一端部が前記機能素子と電気的に接続されると共に、他端部が前記収納基板の前記機能素子が配設された面と反対側の面に露出するスルーホール電極を前記収納基板に形成するスルーホール形成工程を更に設けたことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
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